映画「バーレスク」 感想と採点 ※ネタバレあります

映画『バーレスク（デジタル上映）』（公式）を、昨日（1/7）鑑賞。劇場公開を1ヵ月過ぎ、それもレイトショーにも関わらず、観客は20名ほどで意外と多い印象。

採点は、★★★★☆(5点満点で4点)。100点満点なら75点。

ざっくりストーリー

『バーレスク』は、セクシーなダンサーたちがゴージャスなショーを毎夜繰り広げられる、大人のためのエンタテインメント・クラブ。
アリ（クリスティーナ・アギレラ）は歌手になる夢を追いかけて、テス（シェール）が経営するロサンゼルスのバーレスク・クラブで働きはじめる。やがてアリの類稀な歌唱力とダンスの才能が話題となり、経営が傾きかけたバーレスクは次第に盛況に…

久しぶりにシェールに会うような気分で劇場に足を運んだ…

私はミュージカル嫌いだから、全くノーマークだった本作だが、たまたま仕事で『バーレスク』のサウンドトラックを聴く機会があり、その仕上がりの良さにビックリ。
昔、婚礼の仕事で、シェールと、ピーター・セテラとのデュエット曲“After All（Love Theme From Chances Are）”にお世話になったから、久しぶりにシェールに会うようなつもりで劇場に足を運んだ。

ミュージカル嫌い、主演を知らなくても、気軽に楽しめる！

確かに途中で主人公たちが、気持ちを歌に込めるシーンはあるが、本作はミュージカルでない。もちろん主演の二人の世界の歌姫を楽しむのも良いだろうが、二人を知らなくても、ハリウッドの大人のためのクラブの最前列でショーを楽しむ雰囲気を味わうだけでも、観る価値があると思う。
もちろん？物語は平坦だし、ご都合主義満載だが、きれいなお姉さんたちのショーは、それを覆い隠すエンターテインメント性があるのだ！

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今回は、4点とは言え、それなりに辛口の感想なので、「意見には個人差があるから」と寛大なお心の方のみ、右下からどうぞ。
採点の理由も含めて詳しい話はネタバレがありますので、ご注意ください。

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感想の趣旨について

当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。

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ここからネタバレあります！

本来ストーリーは要らない。ただ、シェールの“あの歌”のためには必要だ！

最初に言っておくが、私は本作は物語を楽しむ映画でないと思う。だから、誤解を恐れずに言えば、ストーリーなんてどうでも良い。
ただ、クラブの経営がいよいよ危うくなってきた頃、テス（シェール）が夜遅くディレクターとリハーサルをやるシーンがある。歌うのは、“ユー・ハヴント・シーン・ザ・ラスト・オブ・ミー”。この歌詞とシェールの歌唱力のためには、このストーリーがないと意味がない。この１曲のためのストーリーだから、どうでも良いのだ…と思う。

“口パクを当てるクラブ”の設定だからこそ、生きる生歌の魅力！

『バーレスク・クラブ』は、所謂“口パク”と言うか、往年の名曲に口を合わせて、セクシーダンスを見せる所。客は往年の名曲を聴き、女たちのゴージャスなダンスを楽しみに来る。
しかし、オーナーのテスは生歌でこの店を築いてきた。そして、アリ（クリスティーナ・アギレラ）も生歌とダンスで閉店の危機を救う（きっかけをつかむ）。この辺のアメリカのショービジネス的な一面がうまく物語りに活かされ、二人の生歌が光るってわけ。

結婚披露パーティーで、ボストンの“宇宙のファンタジー”とはにくい演出！

中盤の結婚披露パーティーのシーンで、DJがボストン（70～80年代に活躍したアメリカのプログレッシブ・ロック・バンド）の“宇宙のファンタジー（More Than A Feeling）”がチラッと流れる。
実はこの曲、私は結婚披露宴の「キャンドルサービス」や「おひらき」の時に使っていた曲。披露宴には意外な選曲と思われるかもしれないが、結構合うからおススメ。

本場のステージ照明を楽しむのも悪くない！

仕事柄、映像的な部分もそうだが、本作ではステージ演出、特にステージ照明が気になったし、勉強になった。決して、大量な照明機材を使っているわけでないが、それが逆に本物の“本場のステージ演出”らしさを上手く映像化していた。
そもそも映画の生い立ちが、舞台中継（記録）だから、とかく似たり寄ったりの平凡に画になりやすい。本作では、クラブにいる客目線が効果的に使われているため、とても臨場感もあるから、ステージ照明を楽しむのも良いのでは？

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“お買い物やデートの途中に、本場ロサンゼルスの大人のためのショーを楽しむ”あたりがこの映画にピッタリな楽しみ方のように思います。主演の二人を知らなくても楽しめますし、知っているならなおさら、最前列で彼女たちの歌とダンスを堪能できます。お約束通りのサクセスストーリーですから、安心してショーを楽しみましょう。

　　             　
   

バーレスク オリジナル・サウンドトラック
Very Best of.. [Import, from US] シェール
グレイテスト・ヒッツ / ボストン
バイオニック(期間限定盤) [Limited Edition] クリスティーナ・アギレラ

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映画「アンストッパブル」 感想と採点 ※ネタバレあります

映画『アンストッパブル（デジタル上映）』（公式）を、本日（1/7）鑑賞。初日の上映で、観客は20名ほど。

採点は、★★★★☆(5点満点で4点)。100点満点なら75点。

ざっくりストーリー

ペンシルバニア州の操車場に停車中の最新式貨物列車777号が、整備員のミスによって走り出す。大量の化学薬品とディーゼル燃料が搭載された777号を、鉄道会社と警察は手を尽くして、停止か脱線させようと試みる。
同じ頃、同じ路線で旧式機関車1206号を走らせるベテラン機関士フランクは、非常事態を察知。この日初めてコンビを組んだ若き車掌ウィルと共に、777号の追跡を開始。フランクとウィルは、男のプライドと愛する人たちために、決死の覚悟で暴走列車に立ち向かう…。

突っ込みどころもあるが、実話ベースだから許せる範囲ってことで…

予告編で期待をして観たのだが、意外に突っ込みどころ満載（笑）。実話のベースの上に、いつもの“アメリカ映画のお約束”がドッシリ乗っかってるのが原因。
実際、この手の暴走列車系の映画って似たり寄ったりの映像になるのは当然だから、今回は悪人が逃走目的で列車を盗んだり、核兵器を輸送したりと言うのでなく、今回は、ヒューマン・エラーをヒューマンが守ったお話にまとめたのは、許せる範囲かな。

B級アクション映画の匂いを楽しみながら、年明けにハラハラドキドキしよう！

残念ながら、暴走列車のシーンはだいぶCGが使われているが、予想できる範囲？のエンディングまで、まるで事件現場の近所に住んで、テレビの実況中継を観ているような、手に汗握る臨場感は十分に味わえる。
物語の辻褄とか考えずに観られれば、痛快な年明けに相応しい１本になる！

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ここからネタバレあります！

やはり、「なぜ、最初からやらないの？」と思ってしまう阻止対策！

最終的に暴走列車が止まるのは誰でもわかると思う。本作では、鉄道会社や警察をはじめ、主人公たちが数々の阻止対策を施していくが、次々と敗北し、最後の最後に主人公たちが選んだ策が功を奏すのだが…
普通、あれだけ田舎なら、自動車かヘリで暴走列車に平行走（飛）行し、運転手を乗り込ませるって考えるはず。途中でヘリから兵士が降りていくが、一度失敗しただけで終わりなんて考えられない。この辺が、妙に時間延ばしに見えて残念だった。なぜなら、この策が最後に残った主人公たちの策だからだ。
この辺の辻褄が合わないと言うか、合点が行かない部分は、同監督・主演の前作『サブウェイ123 激突』でも同じだが、本作は意外と実話に忠実のようだからしょうがないか。

“アメリカ映画のお約束”で、実話がベッタリとお色直し！

ウィル（クリス・パイン）は妻子と別居＆裁判中だとか、フランク（デンゼル・ワシントン）がベテランゆえにリストラ宣告されてるとか、白人、黒人、男性、女性の４人がヒーローだとか。最近の“アメリカ映画のお約束”で、実話がベッタリとお色直しされている。
正直「またか！」と思うわけだが、これを認めないとアメリカ映画は観られないから、潔く撃沈されるしかないか…

不器用な男たちが活躍する映画が好きだ！

あれこれ文句を言ったが、基本的に不器用な男たちが活躍する映画は好きだ。特に普通は逃げ出すような環境で、あえて苦境に身を突っ込んでいくような。
その点では、フランクのベテラン機関士としてのプライド、新人とは言え車掌としてのウィルの意地が、最後まで熱く“アンストッパブル”なのが良い。

『“激突！』のようなシンプルさは無いが、娯楽作品として十分に楽しめる！

先に書いた、“アメリカ映画のお約束”部分をスパッと切って、単純に暴走列車と二人の男の闘いにしても良かったように思う。
しかし、その王道にはスピルバーグ監督の『激突！』がある。だから、先述のように、人間はミスを犯すし、それを乗り越えるのも人間だという点に絞り込んだのは悪くないし、それを鉄道をモチーフに描くのも良いと思う。

ネッド役のリュー・テンプルが最高！

実は、冒頭の登場シーンから最後の最後まで、私の心を離さなかったのが、ネッド役のリュー・テンプル。
溶接主任と言う立派な肩書きなのに、ある時はさぼり社員、またある時はヒーローたちの最大の助っ人、最後はあざとい上司と、ルックスもキャラ設定も本作で一番光を放っていた。あの風貌も車もザ・アメリカでカッコいい！

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本作の評価って、「面白い」か「普通」に分かれそうな気がします。多分、「普通」と思う人は、物足りないのだと思います。その辺を「実話がベース」と言う事で割り切れそうな人は、最後まで手に汗握って楽しめると思いますし、私がそうですが、再現ドラマが好きな人なら、きっと満足できるはずですよ。

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映画「サブウェイ123　激突」感想と採点　※ネタバレあります

     

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映画「最後の忠臣蔵」 感想と採点 ※ネタバレあります

映画『最後の忠臣蔵』（公式）を、昨日（12/28）鑑賞。
TOHOシネマズデーで観客は30名ほどで、7割は60歳以上。

採点は、★☆☆☆☆（5点満点で1点）、100点満点ならば10点。
役所広司さんの使い方がもったいないし、なぜ本作に出たんでしょう？って感じでした。ただ、会場は、冒頭からすすり泣く人もいれば、いびきも聞こえてきましたから、やはり微妙な作品だと思います。
ちなみに、原作もテレビ版も見ていません。

ざっくりストーリー

討ち入り前夜、怖くなって逃げ去った瀬尾孫左衛門と、討ち入りを果たした後に大石内蔵助から、「お前は生き続け、後世に伝えよ」と密命を受けた寺坂吉右衛門。
それから16年、生き恥をさらす二人が偶然に再会する。あの前夜、孫左衛門に何があったのか？そして、何のために生きてきたのか？忠義を果たす二人の選ぶ結末は…

討ち入りで、セットの石の橋が揺れた時点で終わった…

本作では、回想程度しか例の吉良邸討ち入りシーンは描かれない。その数少ないシーン、しかもスタート直後、武士たちが切り合いながら、堀に架かる石橋へやってくる。すると、何と石橋が大きく揺れた。
木材か発泡スチロールでつくったセットの一部だが、いくらなんでもあれが“OKテイク”になるのは信じ難い。私なら当然“NG”にする。と言うことは、この監督や撮影監督と気が合わない証拠。この時点で終わっていたのだが…

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今回も相当辛口の感想なので、監督や出演者のファンの方、最初から1点の採点に異論のある方は読まない方が良いです(と言うか読まないでください)。反論コメントを頂いても、答えに困ります。
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ここからネタバレあります！

“重箱の隅”でなく、価値観の相違だ！

冒頭で書いた通り、スタート直後の石橋の揺れで、一気に萎えてしまった。「そんな重箱の隅を突くような小さな部分を見なさんな！」と思う人もいるかもしれないが、そんな問題ではない。
映画監督の仕事は、“選択”と言っても良い。どれを残し、どれを捨てるか。演技指導、画コンテ、編集、音楽などすべてが、最高責任者である監督が“選択”することで、決まるのだから。だから、あのカットをOKとする価値観に共感できなければ、作品に共感できないのは当然なんだ。

何とも継ぎ接ぎだらけで、やっつけな…

簡単に言うと、役所広司さん演じる赤穂浪士の生き残り・孫左衛門が、桜庭ななみさん演じる大石内蔵助の隠し子・可音を16年間育てて、最後に大金持ちに嫁入りさせ、最後の最後で忠義を果たしたとして、切腹して終了。
途中、役所さんと浩市さんが突然チャンバラを始めちゃうし、討ち入りのシーンも強引に突っ込んだ感じ。花嫁行列に次々と「お供をさせて！」と集まってくる武士たちは、桃太郎かブレーメンの音楽隊を彷彿させる。役所さんの切腹シーンは、もはや『犬神家の一族』。もう、継ぎ接ぎだらけ。
50歳過ぎの役所さんに、16歳の桜庭さんがオジサン萌えで恋愛感情を抱くとか、いくらなんでも無理がある。スケジュールを抑えた俳優さんを、何とか全部出しました的なやっつけ感が…。

目線の方向がおかしい…

全体的に、俳優さんのキャメラに対する目線の方向がおかしいと思った。特に女優陣。キャメラ目線でもなく、誰に向かって演技しているのかわからないカットが多かった。もちろん、演技力の問題もあるし、安田さんは若干斜視気味かもしれないが…。
少し専門的になるが、撮影では誰かに向かって話すカットを撮る際に、実際の話す相手でなく、助監督などがキャメラの横に手でグーを作り、「ここに目線を下さい！」と言って、出演者に対して目線の方向を示すことがある。
これは会話のシーンが、映像的に実際の相手の目を見るより“らしく”見えるからだ。これを「目線を作る」などと言うが、この作る位置がおかしいカットが多かったのだ。例えば、風吹ジュンさん演じる・きわは、最後まで目が不自由な設定かと思う程に目線が不安定だったり。こう言うのも、気になり始めると気になって…
因みに、役所さんと浩市さんは、結構ちゃんとした目線が多かったですが。

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途中に入る人形浄瑠璃も必然性を感じませんでしたし、時折入った暗雲とか夜空などの“情景のインサート・カット（主人公のいないショット）”も意味不明。私の場合は、過去の杉田成道監督作品もあまり好きではないので、相性が悪いんでしょうね。

どこのレビューを読んでも、高得点が多いので、少しは期待したのですが、残念ながら私はおススメしません。忙しい年末年始、時間とお金はもっと有効に使った方が良いと思います。
最後に、私おススメの忠臣蔵作品をご紹介します。

　　             　
   

忠臣蔵 [DVD] 長谷川一夫 (出演), 市川雷蔵 (出演), 渡辺邦男 (監督)
忠臣蔵 [DVD] 里見浩太朗 (出演), 森繁久彌 (出演)
忠臣蔵 決断の時 DVD-BOX 中村吉右衛門 (出演), 黒木瞳 (出演)
元禄忠臣藏(前篇・後篇) [DVD] 河原崎長十郎 (出演), 中村翫右衛門 (出演), 溝口健二 (監督)

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映画「相棒－劇場版II－警視庁占拠! 特命係の一番長い夜」 感想と採点 ※ネタバレあります

映画『相棒－劇場版II－警視庁占拠! 特命係の一番長い夜』（公式）を、本日（12/23）初日第1回目で鑑賞。
観客は200名ほどで、半分以上は50歳以上。

採点は、★★☆☆☆（5点満点で2点）。100点満点ならば45点。テレビのスペシャル枠なら、★★★★☆（5点満点で4点）だと思います。

ざっくりストーリー

警視庁本部内で人質事件発生。しかも、人質は警視総監と副総監を含む警察幹部12名。
間もなく事件現場の会議室は、特殊捜査班SITと機動隊に完全包囲される。しかし、犯人は要求もせず、動機も不明なまま、時は過ぎる。
これに気づいた特命係の右京と尊は、鑑識の米沢と元特命係の陣川と組み、犯人逮捕に乗り出す…

好き嫌いが別れそうな仕上がり!?

テレビ版も映画も殆ど観ている私だが、観終わって最初に口から出た言葉が、「これな無いなぁ」だった。今や、テレビ局の作る映画に何の期待もしないが、それでもつい言ってしまった。
会場のあちこちでも賛否が分かれていたようだ。特に、多くの年配の人が「眠かった」と言っていたのは、意外だったかも…

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今回も相当辛口の感想なので、『相棒』や出演者のファンの方や、最初から2点の採点に異論のある方は読まない方が良いです(と言うか読まないでください)。反論コメントを頂いても、答えに困ります。
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スローモーション、シーンの使い回し、中年男性のアップが多過ぎ！

ストーリー以前の話として、映像（特に編集）に関して。
とにかく映像的な面白みに欠ける。スローモーションは多いし、爆発シーンなど同じシーンの使い回しの多いこと。
警察幹部の話だから止むを得ないにしても、中年男性のアップ、それも似たようなカットのカットバック（切り返し）ばかりで、撮影も編集が単調。まるでテレビみたい。
あれだけ、中年男性のアップが多いと、コニタン（小西真奈美さん）のアップが少々あっても効果無し…

『相棒』らしいとも言えるが、些か“朗読劇”過ぎないか？

『相棒』と言えば、台詞が多いし、その巧みに仕込まれた台詞を楽しむドラマであるのは、重々承知の上。それでも、どアップであれだけ長台詞を聞かされると、（私は）ちょっと疲れた。
他のキャストも似たようなカットで、台詞尽くめ。登場人物も多過ぎて、没個性気味。せめて、キャメラアングルや編集（その前に、脚本だが）で、工夫できなかったのだろうか？

最後の台詞のためだけに作り上げた脚本だったのか？

脚本は、輿水泰弘氏と戸田山雅司氏の共作。どちらも『相棒』の名作を幾つも生み出している脚本家たちだ。しかし、本作ばかりは、核融合でなく、核分裂してしまったようだ。
相棒ファンから、今後の小野田官房長と右京のやりとりを見る楽しさを奪った本作。それだけに、脚本はもっと丁寧に作りこんで欲しかった。終われば、最後の右京の台詞のための、奇をてらった姑息な脚本と言われてもしょうがないかも？

“暴走する右京の正義”は、面白かった！

最近のテレビ版と共通する“暴走する右京の正義”が全面に描かれていた。これはこれで、人間・杉下右京を掘り下げたと言う点でも興味深いし、面白かった。本作のタイトルが『特命係・杉下右京』ならば良かったかもしれない。
しかし、相棒初心者には、どう映ったのか？そして、あの尻切れ状態でのエンディングで伝わったのかは、甚だ疑問だ…

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妻と一緒に見に行きました。妻は「面白かった。でも、あの結末はどうかなぁ？」と言っていたので、結末は賛否両論ありそうです。相棒ファンには、右京さんのロープ降りや、尊のワイン落ちなど笑えるシーンもありますが、捜一トリオの出番も少ないですし、もう少しファンサービスがあったら良かったかも？

私は、テレビドラマで十分だったと思います。爆発などキャッチーなシーン、多種多彩な登場人物たち、単調なカット割りと編集、大き目の音楽、耳だけでもわかる台詞の多さ、そして、あの結末など、テレビなら十分許容範囲。

しかし、映画版と名乗るなら、1,800円分の映画らしい撮り方や作り込みをするべきでは？
テレビのスペシャル番組なら、★★★★☆（5点満点で4点）ですので、ドラマ『相棒』を大スクリーンで観て楽しみたい方にはおススメします。

　　             　
   

ドラマ「相棒」はビジネスの教科書だ！杉下右京に学ぶ「謎解きの発想術」 ―　もし、あなたがこの天才の頭脳をもっていたら？
「相棒」特命調書 [単行本]
相棒 劇場版II オリジナル・サウンドトラック
『相棒』オフィシャル 杉下右京手帳2011　細かいことが気になってしまうのが、僕の悪い癖 [Diary]

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映画「トロン：レガシー（3D 字幕版）」 感想と採点 ※ネタバレあります

映画『トロン：レガシー（3D 字幕版）』（公式）を、本日（12/17）鑑賞。初日第1回目の上映で、観客は20名ほど。

採点は、★★★★☆(5点満点で4点)。100点満点なら80点。

因みに、『トロン（1982）』は、当時劇場にて初日に鑑賞した。当時、高校生で進路を決めるのに、映像業界を意識させたきっかけになった映画の１本でもある。それだけに、相当思い入れが強い作品だから、採点は若干甘めになった。

ざっくりストーリー

デジタル業界のカリスマであるケヴィン・フリンは、7歳の息子サムを残して失踪した。20年後、サムは父からの謎のメッセージに導かれ、コンピューターの中の世界へと迷い込む。 そこは、父が創造した “理想の世界”。
しかし、そこは、独裁者クルーに支配されていた。命を狙われるサム、彼を助けるクオラという女性、そして父の行方は？ そして、人類の存亡を賭けた死闘が始まる…

予告編で、“あの世界観”に惹かれたならおススメ！

『トロン』。まだインターネットも無く、携帯電話がカバン位の大きさだった1982年に、フルCGの背景合成と、人物の映った白黒フィルムに1コマ1コマ手書きで色彩を施した映像革命と言えるSF映画。その後のあらゆるSF映画に影響を与えたと言って良いだろう。
その80年代のCGの雰囲気を上手く残しつつ、最新のCGと次世代3Dキャメラによる斬新な映像を体験するだけでも価値がある。設定などは第1作を踏襲しているが、本作で新たに追加された部分もあり、新作として観ても楽しめる。

できれば是非、第1作目を観てから劇場へ！

もし、第1作目を観ていないならば、出来れば観ておくと、もっと楽しめる。特に架空のゲームの世界に登場する衣裳や武器や乗り物の（デザインの）ルーツを知っておけば、28年のタイム・トリップを体験できる。

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今回は、4点とは言え、それなりに辛口の感想なので、「意見には個人差があるから」と寛大なお心の方のみ、右下からどうぞ。
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80年代、そして“第1作目”へのオマージュが素晴らしい！

左が1982年公開の『トロン』のパンフレット。先にも書いた通り、今やフルCG全盛期だし、様々なSFアクション映画が存在するが、それらのルーツが1作目である『トロン』だ。
それ以前には、こう言う映像は存在しなかった。斬新で、美しく、独創的な映像は、当時十歩も百歩も時代を先取りしていたから、日本では一部のファンの支持しか得られなかったが、確実に日本だけでなく世界の映像クリエーターたちに影響を与えた。
それゆえに、完全に最新デザインを施さず、フレーム構造や、わざと直線や曲線を組み合わせて造形したり、80年代にみんなが夢見た“未来世界”のテイストをさりげなく残しているのも、見逃せない。

“ゲームの世界に迷い込む”お話ではない！

本作では、コンピューターの世界の住人を“プログラム”、彼らから見た実在の人間を“ユーザー”と呼ぶ。この“プログラム”が実に個性的。時に真人間に見えたり、ロボットのように見えたり、幻影にも見える。
また、コンピューターの世界が、地球や国家を投影している点も面白い。とにかく、“コンピューター・ゲームの中に迷い込んだ不思議なお話”の域を超えた独特な世界観を楽しめる。

有機物の『アバター』と、無機物の『トロン：レガシー』

映画『アバター』がフルCGと最新3Dで、有機物を描いたのに対して、本作は無機物を描いたと言って良いだろう。『アバター』が森林や湖や動物を創り出したとすれば、本作は、サム以外は“プログラム”もどこか無機質的で不気味だが、美しくカッコいい。

より自然な立体感…

3Dも『アバター』で使用した次世代3Dキャメラを更に進化させたらしく、飛び出す3Dと言うより、一眼レフカメラのボケ味を強調したような自然な立体感。飛び出す量も奥行き感も、程好い。実際に3D眼鏡を外しても、極端な3D効果をつけた場面は少なく感じた。
あえて言えば、2Dと3Dの中間的な表現の味付けと言って良いかも知れない。

残念なところもある…

人間が作り出したコンピューター世界の話だから止むを得ないが、やはり世界観が閉鎖的で、ややスケールが小さい。広さや高さは無限なのだが（笑）
ディスクとライトサイクルのゲームのシーンは、CGとアクション共に見事の一言。しかし、その他のアクションシーンとなると、軍隊まで登場するのに意外にちんまりと描かれる。
それに、独裁者クルーが、現実の世界の平和を脅かす云々の件（くだり）があるが、どう現世と関わり、影響を与えるのか見えなかった。

木を見て、森を見ず…

まず、全体的に、現実の世界とコンピューターの世界が、どのような相関関係にあるのか、あまり視覚的な説明が無い。だから、なぜ出口を目指し、出口までどのような経路を歩んでいるのかわかりにくい。
また、コンピューターの世界の俯瞰図（全体図）が示されないから、どれほどの世界なのか、最後まで手探りになってしまう。「木を見て、森を見ず」と言ったところか。

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久しぶりに、期待十分で劇場入りし、興奮しながら劇場を後にしました。今回はレビューなので、あれこれ細かい点に触れましたが、この映画の正しい楽しみ方は、細かいことを気にせず、どっぷり世界観に浸ることだと思います。そうすれば、誰でも未知の世界を体感できます。
また、私のようにコンピューター・ゲームにあまり興味の無い方でも、ディズニーランドのアトラクションの中にいるような、新しい映像体験ができます。

今回は、字幕版を鑑賞しました。未来的な映像なのに、字幕の台詞は妙に古臭い表現があったり、省略しすぎな表現が目立ちました。誰かと思えば、戸田奈津子氏。
3Dでも、字幕そのものは見易いですが、戸田氏の翻訳が苦手なら、吹き替え版も良いかもしれませんよ。

最後に、父親：ケヴィン・フリン役のジェフ・ブリッジスが良い演技をしています。そして、驚くのは、ケヴィンの20年前の容姿である独裁者クルーの表情がすべてCGだということ。
日本人クリエーターが担当しているそうです。ついに、CG俳優もここまで来たかと言う印象です。

　　             　
   

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