NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『風、薫る』
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第22週『明るい未来』の「土曜ダイジェスト版(土曜日版)」の感想。
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小川(甲斐翔真)の軍服のボタンを縫うことに愚痴をこぼす直美(上坂樹里)を、りん(見上愛)は心配していた。そんな中、多江(生田絵梨花)から届いた手紙に二人は激怒する。やがて直美の妊娠が明らかとなり、小川(甲斐翔真)は子どもの名前を考えたいと告げるが、直美は胸に秘めた思いを伝え…。小川の出征後、無事に明を出産した直美は育児に励む一方、仕事への復帰を望み始める。そんな中、陸軍予備病院から戻った多江(生田絵梨花)がもたらすものとは…。
------上記のあらすじは、当ブログのオリジナル------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
脚本協力:佃良太(過去作/舞いあがれ!,それってパクリじゃないですか?) 第20~22週
演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4,8,11,12,19週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2,6,10,18週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,おむすび) 第5,9,13,17,22週
松本仁志(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。) 第3,7,14,15,20週
内田貴史(過去作/ちむどんどん) 第16,21週
平竣輔(過去作/本作第16週の助監督) 第20週
門脇陸(過去作/本作第18週の助監督) 第22週
髙橋実香(過去作/本作第17週の助監督) 第22週
制作統括:松園武大(過去作/とと姉ちゃん,半分、青い。,ちむどんどん)
宮本えり子(過去作/なつぞら,エール)
音楽:野見祐二(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「風と町」
語り(本編):研ナオコ
土曜日版ナレーション:石橋亜沙(NHK東京アナウンス室)
※敬称略
本編のモヤモヤを吹き飛ばす!重要場面だけに絞った見事な編集
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―――ここまで、ごあいさつ―――
思い出せる読者様は少ないと思うが。
第20週『家族のかたち』の「土曜ダイジェスト版(土曜日版)」では、多くの出来事の中からダブル主人公の一人である小川直美(上坂樹里)と陸軍二等軍曹・小川吾郎(甲斐翔真)の結婚という一つの出来事に絞って編集されていた。
そして、今週の「土曜日ダイジェスト版」も、第20週と同じ手法で作られている。
短い時間で物語の流れを伝えるまとめ方としては、それなりによくできてはいる。
なぜなら、たくさんの出来事を無理に残すよりも、まとまりがあって分かりやすいからだ。
ほら、実際の「本編」では、脚本家や演出家や制作統括の都合を感じさせる場面や、不自然な話の進み方が目立っていたのだ。
それを思い切って、直美と小川に限定したのは一定の評価はできる。
ムダを削って魅力がUP!人物の良さが引き立つシンプルな整理術
前章にかいた不自然な場面の例として、捨松(多部未華子)の慰問に関するエピソードが挙げられる。
「本編」では捨松の家庭事情まで詳しく描かれていたが、かえって訪問の場面に不自然さが生じていた。
しかし今回の「土曜日ダイジェスト版」では、その家庭事情をあえて削り、純粋な慰問シーンとしてシンプルに整理している。
その結果、物語の不自然さが消え、捨松という人物の性格もハッキリと伝わるようになった。
このように思い切った整理を行ったことは、正しい判断だったと言える。
一方で、「本編」の物語を削りすぎている印象)もある。
であるが、多江(生田絵梨花)や捨松の見どころ(看護婦としての仕事シーン)が残されているため、「まとめ」としての役割は果たしていると思う。
本編の詰め込みすぎが惜しい!ダイジェストから見える作品の課題
繰り返しになるが、第20週の「土曜日ダイジェスト版」で予想できたとおりで、今週分の放送も同じような編集構成だった。
しかし、今週の「土曜日ダイジェスト版」の意外とよくできた整理具合を見ると、「本編」には不要な場面が多すぎると感じてしまう。
これ、「土曜日ダイジェスト版」から逆算するかたちで、重要な場面だけを膨らませる編集を「本編」でもやれば、それなりに仕上がったのでは? と思う。
今さら言うまでもないが、余計な出来事を詰め込みすぎている点が、このドラマ『風、薫る』の惜しい部分である。
きっと、今週の「土曜日ダイジェスト版」が《直美の集大成》的になったことから鑑みれば、来週が《‘りん’の集大成》、最終週が《‘りん’と直美の集大成》になるのかも?
いずれにしても、これが《直美個人の集大成》とするなら、これのどこが「看護婦の黎明期を描く朝ドラ」なのか? という最大の疑問は残るが。
本編をもっと面白くする!大事な場面を丁寧に描くための改善法
ドラマ本編の魅力を高めるためには、物語の詰め込みすぎを防ぐ工夫が必要である。
具体的には、視聴者へ伝えるべき主要な出来事をあらかじめ絞り込み、主題から外れる複な背景設定は極力カットすることが望ましい。
さらに、登場人物の行動理由や感情の変化を丁寧に描くことで、場面展開の不自然さを減らすことができる。
「土曜日ダイジェスト版」のように重要場面を厳選し、それを時間をかけて掘り下げて描けば、本編はさらに分かりやすく魅力的な内容になるはずだ。
あとがき
感想の本文に書いたように、エピソードの取捨選択については、よくできていたと思います。
ただ、「土曜日ダイジェスト版」を “一つのドラマ” として見ると、つなぎ目の処理がとても雑だったことに気づきましたか?
シーンが変わる度にギクシャクした感じと言いましょうか?
それだけ、青「本編」上でも、エピソードを詰め込みすぎたために、エピソードとエピソードのつなぎ目が雑で、バタバタと変わっていたということです。
「妊娠して、出征して、出産して、病死をしたので、ボタンをつけ直したら亡霊が出た」だけですよ。
「本編」を含めて、もっとスムーズに、もっと滑らかにできなかったのかなぁって思います。
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テレビ朝日系・金曜ナイトドラマ『名探偵のままでいて』
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第7話『記憶をなくした男』の感想。
四季(綱啓永)の異変を心配する楓(吉川愛)と岩田(髙松アロハ)は、彼の自宅を訪れるが、劇団仲間からも連絡が取れないと知る。一方、祖父(奥田瑛二)らは人気作家・レオン根室(松尾諭)の新作披露パーティーへ。だが、レオンが姿を消し、鍵のかかった控室から前秘書の磯貝(YOUNG DAIS)が現れ、室内には腹部から血を流して倒れるレオンの姿が…。これは仕掛けられたサプライズなのか、それとも…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---
原作:小西マサテル『名探偵のままでいて』シリーズ(宝島社)
脚本:若杉栞南(過去作/フムサシノ輪舞曲,ぜんぶ、あなたのためだから)
演出:村尾嘉昭(過去作/アンナチュラル,最愛,トリリオンゲーム) 第1,2,4話
片山修(過去作/相棒シリーズ,ドクターX 7,ザ・トラベルナースシリーズ) 第3話
近藤幸子(過去作/明日、私は誰かのカノジョ,ミス・ターゲット) 第5話
多次見隼斗(過去作/こんなところで裏切り飯~嵐を呼ぶ七人の役員~) 第6話
三國陽平(過去作/ビジネス婚,未来のムスコ) 第7話
音楽:青木沙也果(過去作/ユニコーンに乗って,ライオンの隠れ家)
主題歌:平井大「名残花」
レビー小体型認知症監修:北村久美子
医療監修:山本昌督
介護指導:堀エリカ
警察監修:志保澤利一郎(チーム五社)
※敬称略
演出が変わって淡々とした展開になったのが少し気になった
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まず驚いたのは、演出が過去の6話とだいぶ違うことだ。
クレジットタイトルを見ると、本作は初担当の「三國陽平」との記載があった。
脚本や演技は別にして、とにかく「なんか、これまでと違う」のひと言しか出てこない。
全体的には、全編にわたって “ふわ~っとしている” 感じだ。
適度にメリハリもあるし、見せ場はきちんとつくられているが。
「早く続きを見たい」という視聴者に対する訴求力に乏しいと言えばよいだろうか?
「終わってみると、脚本がよくできている割に意外に淡々としていたな」が最も正しい表現だろうか。
まあ、どの連ドラも最終回の数話前になると、内容的にも視聴者層も安定してくるから、若手演出家の練習台にすることはよくあること。
ただ、厳しいことを言わせていただけば、「最終章まで見てきた視聴者を練習台にするの?」という思いがある。
大人の事情も分からなくもないが。
ハッピーエンドを目指す言葉に込められたドラマの魅力
さて、「本編」について。
とても分かりやすい「印象的な劇伴をつける」という演出があったように、今回は、後半での次の祖父(奥田瑛二)のセリフに集約されていた。
祖父「世の中の出来事は
その全てが物語なんだ。
物語である以上
僕たちは
ハッピーエンドを目指さなければいけない」
本作が「ただの推理もの」でない理由も、この祖父のセリフに通じるものがある。
それは、毎回、事件を解決した後に、心地よい読後感のようなものを感じ取れるのである。
辛い事件、悲惨な事件、不可思議な事件であっても、“物語(事件)の真相” を知ることで、人間の本質が見えると同時に、「人間もバカにできないな」というある種のほっとした気持ちになる。
今回の事件も、まさにそうだった。
《物語はハッピーエンドを目指すべき》は、混迷した現代社会に放送するドラマにおいて、とても重要な要素になるのではないだろうか?
そして本作の最終回も《物語はハッピーエンド》になると信じて。
あとがき
今回は、「記憶をなくした男」と「記憶がまだらな幻視を見る男」の対峙だったわけです。
レオン根室の前秘書・磯貝の幼少期の兄妹の幻視が切なかったですね。
次回が最終回ということで、ラスト17秒が衝撃映像でした。
どのような最終回になるのか楽しみです。
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第7話『第三金曜日の出会い』、第8話『逃避と詮索』の感想。
【第7話】あずさ(夏帆)との関係を“不倫”と定義されたことに納得できない充(松山ケンイチ)は、咲子(蒼井優)と樹生(中島歩)に二人の関係を本当に不倫ではないと言い切れるのかと問いかける。答えに窮する二人を前に、充はあずさとの「第3金曜日の真実」を語り始める。一方、樹生は宮内(リリー・フランキー)から、あずさが遺した日記帳を受け取り…。
【第8話】充(松山ケンイチ)とあずさ(夏帆)の“第3金曜日の真実”を知った咲子(蒼井優)は、家を飛び出してしまう。翌日になっても戻らない咲子を心配した充は、喫茶「ひこうき」に樹生(中島歩)、千鶴(臼田あさ美)、宮内(リリー・フランキー)を集め、これまで自分が知らなかった咲子について教えてほしいと頼むのだが、そこで明かされる過去とは…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---
原作:なし
脚本:生方美久(過去作/silent,いちばんすきな花)
演出:土井裕泰(過去作/重版出来!,カルテット,逃げ恥) 第1,2,6
塚本連平(過去作/時効警察はじめました,) 第3,4,7,8話
小牧桜(過去作/御上先生) 第5話
音楽:haruka nakamura(過去作/ひきこもり先生)
主題歌:スピッツ「見知らぬ糸」
P:千葉行利、宮川晶
※敬称略
【第7話】劇的な設定の詰め込みすぎが生んだ説明不足
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物語の序盤から “ポエム” なセリフ表現や登場人物による状況の解説ばかりが目立ち、視聴者が純粋にストーリーへ引き込まれにくくなっていた。
本来であれば、映像や自然な演技を通して登場人物の心情を表現すべき場面であっても、セリフによる状況説明に頼りすぎている印象を受ける。
確かに、独特のポエムなセリフ回しや説明の多さを、好意的に作品独自の味わいとして捉えることもできなくはない。
しかし本作においては、複雑すぎる人物関係や多様な出来事を無理に詰め込みすぎた結果、物語を整理するために膨大な説明文が必要不可欠になってしまっている。
その影響で、物語の展開において視聴者が不自然さや戸惑いを感じる場面が目立つのだ。
例えば、かつて妻以外の女性と親密な関係を築いていた主人公が、今になって急に故人となった妻を想って涙を流す場面には強い唐突感を覚えてしまう。
また、夫が突然姿を消してしまうという展開だけで十分に魅力的なドラマとして成立するため、わざわざ事故の要素まで盛り込む必要性は薄かったと考えられる。
実際に作中での事故の描写は非常に曖昧であり、ドラマ前半の物語を深める役割を十分に果たせていなかったと言わざるを得ない。
このようにストーリー構成には課題が多く見受けられるものの、主演をはじめと知る演技派俳優の優れた表現力があるからこそ、何とか最後まで鑑賞に耐えうる作品として成り立っている。
隠された事実や謎を無用に増やして視聴者を混乱させるよりも、もっとシンプルな構造で登場人物の心の動きを丁寧に描くべきであった。
【第8話】人関係と役者の魅力を引き出すため設定はもっと絞るべき
本作の真価は、(視聴者の好みとは別にして)人と人との細やかな関係性や味わい深い対話の描写にこそ存在すると思っている。
しかし、第8話の物語の展開においては、登場人物の奇妙な習性や過去の出来事といった要素が過度に強調され、本来の強みが活かされていない。
この程度の内容であれば、ただひたすらに、夫が定休日に出かけるという日常の描写とそれを見守る妻という構図のみで、人間模様を表現するには十分であったのでは?
さらに、よく考えれば分かるが、強い存在感を示した充(松山ケンイチ)を主軸に置いたほうが、より深い人間ドラマを展開できた可能性が高いのだ。
また、全体を充と咲子(蒼井優)の二人を中心とした構成に整理することで、登場人物の葛藤がより鮮明に浮かび上がったはずである。
昨今のドラマ制作では、多重な設定や多くの登場人物を盛り込む傾向が見られるが、要素を限定する手法のほうが作品の密度を高める結果につながるのだ。
仮に事故などの要素を物語に組み込むのであれば、いっそのこと、さっぱりと、きっぱりと “考察系ドラマ” の要素を強めた構成へ転換するほうが、論理的であったと思う。
あとがき
複数の読者様から「感想を投稿してほしい」と要望をいただいたので、2話分をまとめて投稿してみました。
やはり、本作の作風というか、作り手たちの目論見が苦手です。
というわけで、第9話以降の感想も投稿するかどうか分かりませんのであしからず。
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第110回/第22週『明るい未来』の感想。
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仕事に復帰しようとする直美(上坂樹里)を心配する美津(水野美紀)だったが、りん(見上愛)は直美の意志を尊重しようとする。そんな中、多江(生田絵梨花)が陸軍予備病院から帰ってきて…
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
脚本協力:佃良太(過去作/舞いあがれ!,それってパクリじゃないですか?) 第20~22週
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心のこもった描写と、連ドラならではの勢い
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少し前から書いていることだが、脚本協力(佃良太)が加わってから、当初に比べれば、細かい部分までそれなりに心を込めて作られているのは認めるところだ。
しかし、毎日続いていく連続ドラマという形式で考えると、どうしても物語としての勢いや盛り上がりが足りなく感じられる。
やはり、登場人物たちの関係性や作品の世界観を広げるためには、時には多少の強引さがあったとしても、視聴者の感情を大きく揺さぶるような劇的な展開が必要となるのだ。
現実では起こりえないようなドラマチックな出来事であっても、登場人物同士の対話や交流をしっかり描くことこそが、物語を面白くするための基本的な工夫であるからだ。
その上で、複雑になりがちな登場人物同士の結びつきを視聴者に分かりやすく伝えるためには、少し大胆な演出を取り入れる勇気も重要になってくる。
これらの点が、今回では「まともにできているのか?」について見てみよう。
登場人物の絆と強い思いを深く印象づけるための工夫
陸軍予備病院で、病で意識を失う直前の陸軍二等軍曹・小川吾郎(甲斐翔真)が、看護婦の多江(生田絵梨花)を通じて大切な人である妻・ダブル主人公の一人である小川直美(上坂樹里)へメッセージを残そうとする場面を例に挙げて考える。
このような切迫した状況では、登場人物(小川)が直接言葉を交わしたり、思いを託したりする作劇をあえて強調した方が、見ている人の心に強く響くものだ。
自然な流れにこだわりすぎて描写をあっさりさせてしまうと、せっかくの重要な場面が視聴者の記憶に残りにくくなってしまうからである。
物語としての面白さを優先し、あえてドラマチックな嘘や演出を重ねることで、登場人物たちが抱える思いの深さがより鮮明に伝わるようになる。
しかし、この、登場人物(小川)の心が大きく変化する重要な局面なのに、物語の勢いを止めてしまう展開・構成になっていたのは、非常に勿体ないことである。
なぜなら、小川と多江は以前に面識がある “設定” なのだ。
であるなら、小川は多江に《ひと言挨拶を告げてから、ボタンを渡す》のが最も自然であるだけでなく。
妻(直美)と多江がただの仕事上の同僚を超えた友人関係であることを知っている “設定” なのだから、「直美に伝えてほしい」「直美を頼みます」と懇願するくらいが、ちょうどよき塩梅なのでは?
流れにこだわりすぎる必要はないが、自らが作りだした “設定” を無視するのは、プロの脚本家としてどうかと思う。
そして、「死に際に流暢に語り出す」展開を「そんなことあるものか?」という視聴者を黙らせるくらいの説得力ある映像と芝居を、プロとして創ればよいだけなのでは?
悲しみに寄り添う演出で、感情の波を逃さない工夫
物語の終盤で、直美が激しい悲しみに暮れている場面においても、周囲の人物が寄り添い、直接言葉をかけるような演出を重ねることが効果的だったはずである。
悲しむ人物をただ一人にしておくのではなく、その場で登場人物同士の心の触れ合いを描く、特に既婚者で母親の先輩であり親友であると描かれているもう一人の主人公である一ノ瀬りん(見上愛)が直美に強く寄り添うことこそ、場面の切なさがより際立つからだ。
もちろん、脚本の吉澤智子氏が‘イマジナリー吾郎(吾郎の幻想・幻視)’を盛り込みたかったに違いないと思うが。
どう考えても、わざわざ「恵風看護婦会」から「小川家」に移動することが異様であり、不自然極まりないのだ。
やはりここは、(特に)直美に対する視聴者の思い入れがまだ十分に育っていない段階だからこそ、感情が大きく動く絶好の機会を逃さずに、印象的な場面を作り出すことが求められた。
そう、いつも人前では強気でいる直美が、‘りん’と多江の前で遺品を抱えて号泣したらよかったのだ。
‘イマジナリー吾郎’という究極の飛び道具の使い方を失敗した(登場させた)ことで、直美の心が崩壊し、そして次の一歩へつながるという勢いをつけられる大事な機会を棒に振ったと思う。
立ち直りが早いからこそ輝く、悲しみのピークを描く瞬間
本作では、登場人物が大きな困難や挫折に直面して深く落ち込んでも、次の週には何事もなかったかのように立ち直ってしまう展開が目立つ。
心の傷が立ち直る過程があっさりと描かれてしまうため、視聴者が感情移入する間もなく物語が次へと進んでしまう傾向があるのだ。
だからこそ、登場人物が大きな感情の波を迎えているその瞬間に、印象に残る強力な場面を作り出すことが不可欠だった。
つまり、登場人物の立ち直りが早いからこそ、挫折や悲しみのピークを描く一瞬の重要性がより高まるのである。
安易な演出に頼らず、丁寧な対話で魅せるドラマ作り
最近のテレビドラマでは、物語を盛り上げる手法として、登場人物に突然ポエムのようなセリフを語らせたり、幻想的な演出や過去の回想場面を多用したりする傾向が強まっている。
もちろん、こうした手法にも作品の雰囲気を一時的に変化させるという一定の効果はある。
しかし、使い方を誤ると物語全体の統一感が失われ、視聴者が冷めてしまう原因にもなりかねない。
フィクションとしての架空の工夫を効果的に活用し、登場人物同士の対話を丁寧に積み重ねていくことこそが、作品の世界観を壊さずに感動を生み出す最も確実な方法である。
つまり、当ブログがしつこく書き続けるプロの愚行である《ニュアンスや技術を “逃げ” で使う》である。
真正面から描くことを放棄した時点で、その映像に多くの視聴者に対する訴求力は乏しくなる/span>のだ。
ドラマの魅力を一気に高めるための大切な工夫
連続ドラマとしての勢いと面白さを取り戻すためには、登場人物が抱える思いや人間関係を、より分かりやすく明確に表現する工夫が求められる。
登場人物同士が直接向き合い、思いを言葉にして伝える場面をあえて力強く描くことで、場面ごとの印象が深まり、次の展開への期待感が高まる。
また、登場人物の感情の変化をより自然に見せるために、一過性の幻想的な演出に頼るのではなく、人間味あふれるドラマチックな対話や出来事を丁寧に積み重ねていく姿勢が大切である。
作品が本来持っている丁寧な描写という長所を生かしつつ、視聴者の心を惹きつける劇的な展開を意図的に組み込むことが、作品全体の魅力を高める鍵となる。
あとがき(その1)
何度も書きますけれど、「これが、日本の看護婦の黎明期を描く朝ドラですか?」に尽きますね。
その上で、‘イマジナリー吾郎’を登場させてまで感動させたいなら、前段でもっともっと直美と小川吾郎のことをきっちり描いておくべきだったと思いますよ。
あとがき(その2)
朝ドラファンとして残念なのは。
「戦争が印象的な朝ドラ」には、2010年以降では『ゲゲゲの女房』→『カーネーション』→『ごちそうさん』→『なつぞら』→『カムカムエブリバディ』→『虎に翼』→『あんぱん』という系譜があると思います。
そして、それらの多くは作品の中に「戦争批判」「反戦思想」があったんです。
でも、この『風、薫る』に関しては、「戦死=視聴者を泣かせる道具」に使っただけです。
いろいろ書きたいですが、面倒なので、ひと言「残念無念」です。
あっ、私は、映画やテレビドラマには「テーマが必要である」と考える人間なので、悪しからず。
※「ドラマにテーマなんて必要ない」を否定はしません…
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第109回/第22週『明るい未来』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
出征した小川(甲斐翔真)の帰りを待つ中、直美(上坂樹里)は無事に明を出産し、一ノ瀬家の美津(水野美紀)やりん(見上愛)の力を借りながら育児に励んでいた。そんな中、陸軍予備病院に運び込まれたのは…
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
脚本協力:佃良太(過去作/舞いあがれ!,それってパクリじゃないですか?) 第20~22週
演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4,8,11,12,19週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2,6,10,18週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,おむすび) 第5,9,13,17,22週
松本仁志(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。) 第3,7,14,15,20週
内田貴史(過去作/ちむどんどん) 第16,21週
平竣輔(過去作/本作第16週の助監督) 第20週
門脇陸(過去作/本作第18週の助監督) 第22週
髙橋実香(過去作/本作第17週の助監督) 第22週
制作統括:松園武大(過去作/とと姉ちゃん,半分、青い。,ちむどんどん)
宮本えり子(過去作/なつぞら,エール)
音楽:野見祐二(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「風と町」
語り(本編):研ナオコ
土曜日版ナレーション:石橋亜沙(NHK東京アナウンス室)
※敬称略
主人公の看護婦らしさをもっと丁寧に描いてほしい
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人の‘みっきー’です!
お仕事や学校の休憩時間や移動中の方、就職活動中の方、病気療養、子育て、介護など、それぞれの生活を送る読者の皆様…
私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――
今回を含めて今週の放送内容を鑑みると、「小川が出征して…」となるんだろうなと、当初から予想はできると同時に、ダブル主人公が “看護婦” という専門職であることを軽視したような場面ばかりになるのだろうな?という予測はできていた。
したがって、今回の展開を見ても「なるようになっただけ」にしか思わないが。
もっとも、ダブル主人公の一人である一ノ瀬りん(見上愛)が派遣先の患者のもとへ通う派出看護の場面では、リハビリテーションの工程が組み込まれており、この点については一定の評価ができる。
まあ、重箱の隅を楊枝でほじくれば、《‘りん’の患者の外出許可》については、過去のトラウマとなった出来事があるので、事前に医師へ相談すべきだったという懸念は残るが。
しかしながら、一連の展開を通じて看護婦としての本質的な責務や専門性が十分に描かれたとは言いがたく、「総集編」や「土曜日ダイジェスト版」などでは真っ先に省略されてしまう可能性が高いと思う。
やはり、「看護婦の黎明期を描くドラマ」としては、寂しい限り、お寒い限りである。
登場人物の描写が足りないと大きな悲劇も心に響かない
今回で描かれた陸軍二等軍曹・小川吾郎(甲斐翔真)の(ほぼ))戦死のくだりは、脚本家や演出家や制作統括が鳴り物入りで作り込んだ「心を揺さぶる悲哀の物語」「エモーショナルで切ないストーリー」であり、どう見ても「お涙頂戴のエピソード」である。
しかし、一部の視聴者は涙なみだだったかもしれないが、私の心に深く響くことなく終わってしまった。
その最大の要因は、もう一人の主人公である小川直美(上坂樹里)と、伴侶である小川という登場人物それぞれの個性が掘り下げられておらず、人間関係の描写が断片的に挿入されるにとどまっていた点にある。
具体的には、作中に登場する直美や小川といった人物に対して、視聴者が親近感や愛着を抱くための丁寧な積み重ねが決定的に不足していたのだ。
物語の土台となる人物描写が不十分なままでは、どれほど劇的な悲劇を用意したとしても、薄味で退屈な印象を与えてしまう。
連続ドラマにおいて、視聴者を感動させるためには、時間をかけてキャラクターの背景を描き出す下準備が不可欠であると痛感させられた。
日々の丁寧な積み重ねがあってこそ悲劇の感動が生まれる
もちろん、制作者側が人物描写を完全に放棄していたわけではない。
最低限のエピソードが盛り込まれていたことは理解できる。
しかし、ナレーションで説明を済ませられる程度の浅い描写では、視聴者の心の中に強い愛着や関心を育むことは不可能なのだ。
視聴者が作中の出来事に共感し、感情を揺さぶられる背景には、日々の放送を通じて蓄積された登場人物への深い思い入れが存在するのだ。
たとえば、それなりに丁寧に描写されてきた‘シマケン’こと島田健次郎(佐野晶哉 ex.Aぇ! group)というキャラクターであれば、視聴者は訃報が届いてても感情移入し、中の出来事に強く心を動かされると思う。
一方で、描写が不十分な直美や小川、あるいは‘りん’の元夫である奥田亀吉(三浦貴大)のような人物に対しては、唐突な悲劇が訪れたとしても大きな感動は生まれない。
やはり、連ドラで “積み重ね” や “積み上げ” がないことのほうが、悲劇なのである。
登場人物の丁寧な描写と看護の仕事を描くことが鍵になる
連続ドラマにおいて視聴者の深い感動を呼ぶためには、主要な登場人物に対する事前の丁寧な描写が欠かせない。
人物の背景や人間関係をナレーションだけで手短に処理するのではなく、日々の具体的な行動や対話を通じて描き出すことが求められる。
特に、登場人物に訪れる悲劇や大きな転機を描く際には、それまでに培われた人間関係の深さを視聴者に実感させることが重要となる。
さらに、主人公の看護婦としての専門的な働きを物語の軸として丁寧に描写すれば、作品全体の説得力と魅力は飛躍的に向上するはずである。
あとがき
重箱の隅をほじくりますけど。
©NHK
このシーンで、腰痛がある美津(水野美紀)から直美が赤ん坊を受け取るとき、美津の姿勢が痛そうで痛そうで。
看護を生業にしている直美なら、美津の腰に負担がかからない姿勢で受け取るように演技指導してほしかったです。
こういう小さな描写一つひとつが、直美を看護婦に見えないようにしていることを、3人もいる演出家は自覚すべきです。
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まれ
まんぷく
未解決の女 警視庁文書捜査官[1]
未解決の女 警視庁文書捜査官[2]
未解決の女 警視庁文書捜査官[3]
みかづき
ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~
Missデビル人事の悪魔・椿眞子
ミステリと言う勿れ
南くんの恋人
御上先生
MIU404
未満警察 ミッドナイトランナー
未来への10カウント
民衆の敵
無痛~診える眼~
メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断
モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう
MOZU Season2 ~幻の翼~
元彼の遺言状
モトカレマニア
もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~
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モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-
- 過去の連ドラの感想記事一覧(や~わ)
やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる
やさしい猫
ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~
屋根裏の恋人
山田孝之の東京都北区赤羽
ヤメゴク
ユーミンストーリーズ2024
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ユニバーサル広告社
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4号警備
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ライオンの隠れ家
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ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~
ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~
THE LAST COP/ラストコップ
ラストチャンス 再生請負人
ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~
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リーガル・ハート ~いのちの再建弁護士~
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竜の道 二つの顔の復讐者
路(ルウ)~台湾エクスプレス~
ルパンの娘[1]
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流星ワゴン
臨床心理学者 火村英生の推理
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若者たち2014
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