連続テレビ小説「虎に翼」 （第30回・2024/5/10） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第30回／第6週『女の一念、岩をも通す？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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とうとう合格した寅子（伊藤沙莉）。先輩の久保田（小林涼子）、中山（安藤輪子）、そして寅子と合格者が３人も出たことで、廃部寸前だった明律大学女子部は息を吹き返す。初の女性弁護士誕生と新聞が大々的に報じ、大学では祝賀会が開かれることに。口述試験に落ちたよね（土居志央梨）は寅子のもとを訪れ、「いつか必ず合格してみせる」と寅子に約束する。祝賀会の席で寅子はスピーチを求められ―。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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偏った価値観で描かれていないことを表す意味で意義がある

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

Ｎ「祝われて… ×４回
　とにかく祝われる日々です」

前回で、「日本初の女性弁護士誕生」ということで、今回の冒頭は「祝われて…」の日々の描写だ。

ここでも、今作の思いが伝わってきたのは、いわゆる「サブキャラクター」とは少し異なる猪爪家の名もなきご近所さんを、ちゃんと組み込んできたことだ。

「名もなき」といっても、酒屋の三河屋さん（きづき）、伊藤一二三（志賀圭二郎） 、山根初代（水木薫） らは役名が与えれているが。

それでも、主人公が周囲の老若男女問わずから愛されていることや、試験の去就を気にされていたことが、３カットだけだが伝わってきた。

もちろん、ご近所さんだからこそ、父・直言（岡部たかし）の「共亜事件」のことは知っているだろうから、その分も上乗せされた「日本初の女性弁護士誕生」を祝福したいとの思いを映像化したのは、ドラマの方向性が偏った価値観でないことを表す意味で意義がある。

「黄色いバラ」の花言葉は「美」「友情」「嫉妬

メインタイトル映像明けは…
“トラつば・アベンジャーズ” の最後のひとりである山田よね（土居志央梨）が登場。

ここ、寅子がよねに会いに行くのか？ よねが猪爪家を訪れるのか？ 二択できる。

今作が選択したのが後者。

前者のほうが、寅子が祝福やらで多忙なことが見えてくるし、友情も見えてくる。

でも、後者だと、よねの決意というか、気丈さ、頑固さ、根性みたいなものが見えてくる。

だから、脚本は後者を選んだのだろう。

その脚本家の意図を汲み取ったと思った演出が、寅子とよねの脇にあった「花瓶にいけてあったたくさんの黄色いバラ」だ。

「黄色いバラ」の花言葉は「美」「友情」「嫉妬」などだ。

「美」を「美学」と置き換えれば、黄色いバラがよねの心情を表した演出アイテムであることは分かるはず。

「言うのが遅くなったが… おめでとう」と言葉だけを残して、寅子に背中を見せたまま足早に去るよねの夕景のロングショットで聞こえた遠くのカラスの鳴き声がもの寂しく切なかった…

「♪モン・パパ」のくだりは大いに評価したい脚本と演出

個人的に、お見事だと評価したい脚本と演出は、よね退場直後の歌「♪モン・パパ」を使った寅子の闘いの日々のスライドショー的なシークエンス。

音声は、2024年4月4日放送の第4回での、兄夫婦の結婚披露宴の余興として寅子が歌った際の歌声だろう。

今さら「♪モン・パパ」の歌詞の解説をするつもりはない。

が、まず評価すべきは、その披露宴での回想シーンをワンカットも使わなかったこと。

ここも省略するが、ここで披露宴を１秒でも入れたら、並み、または駄作にまっしぐらなのだ。

脳裏にふと浮かんで歌い出した寅子に視聴者を感情移入させたいなら、視聴者の脳裏にも浮かべさせるべき！

手抜きな脚本家や弱気な演出家は、回想に頼りがちになるものだ。

しかし、今作、今週の脚本と演出は、それらとは違うってわけ。

こういう描写も、一つ、二つ捻って、“テレビドラマ” なのだから ＜映像で見せて（show）魅せる（fascinate）べき！＞ をしっかりと実行している… というわけだ。

兄夫婦の披露宴での「♪モン・パパ」は、寅子にとって…

もう一つ評価すべきは…

この「♪モン・パパ」は、参列者たちが「女はこうあるべき！」三昧だった中で、寅子が “したたか” に振る舞う苦渋の選択をした、ある意味で寅子にとっての汚点、失敗、負けを認めた辛いつらい思い出の歌、負の遺産的な位置付けなのでは？ と思う。

そして、今回は自分の祝賀会で “心の中” で「♪モン・パパ」を思い出す寅子を描いたことで、あの時の苦渋の選択の是非が脳裏に浮かんできた… と、描いたのでは？

「楽しかった日々」を「単なる思い出」としてでなく。

「楽しかった日々もあった」ことを「今の自分がいる土台」として描いたこと。

それをもって、祝賀会の高砂の席の中央に座る寅子の心情に置き換えたのは、本当にお見事！

敢えて、「スンッ」も「はて？」も使わずに、神輿に担ぎ上げられている自分を冷静に分析している寅子を描写したのは、ホントに意味があると思う。

５つのカットで構成された＜無音の 15秒間＞が描いたもの

そんな思いが堂々巡りする中で、「日本で一番優秀なご婦人方だ」に疑問を持ち、「一番？」とかみつく。

もしかすると、自分を祭り上げる取材記者たちが、兄夫婦の結婚式の参列者に見えたのかもしれない。

で、ようやく 10分過ぎに「はて？」が登場。

これまた、演出として大きく評価したいのが、「ひと言多いと言われていきましたが？」から「この場に私が立っているのは」までの ＜無音の 15秒間＞ だ。

５つのカットで構成された ＜無音の 15秒間＞ によって、まず、寅子が必死に言葉を選んでいることが伝わる。

そう、もう「♪モン・パパ」を唄って、その場を繕い、したたかに乗り切ることへの断絶、拒絶だ。

一方で、

「法の世界」の先達たちである穂高重親（小林薫）や桂場等一郎（松山ケンイチ）。

明律大学で共に学んできた轟太一（戸塚純貴）や花岡悟（岩田剛典）。

寅子に一目置いている新聞記者・竹中次郎（高橋努）らの期待の高揚も伝わってくる。

寅子が女性の権利獲得でなく男女同権を訴えたのに意味がある

今回の寅子の演説で、注目すべきは次の部分。

寅子「男か女かで ふりにかけられない
　社会になることを 私は心から願いします」

この前段では、寅子は “男尊女卑” “女性差別” を口にしている。

でも、ここでは “男女同権の社会” を目指すと主張している。

ここが、よねが代表格だが、男性敵視を強調した他のキャラクターとの差別化もできていると思うのだ。

だからこその、裁判官、検事に… だと思う。

「♪モン・パパ」と ＜無音の 15秒間＞ と演説だけでも、見ごたえ十分の金曜日だった。

あとがき

こういう言い方もあれですけど、さすが、伊藤沙莉さんでした。

これくらいの説得力があれば、実際の選挙でも楽々当選しちゃうのでは（笑）

もう「何章」なのか分かりませんが、ひとつの章の完了を感じました。

内容が濃くて見ごたえがあるので、つい「朝ドラ」であることを忘れてしまうくらい。

来週は、女性弁護士としての厳しい現実… のようですが、楽しみにします。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』
21 22 23 24 25 土 
第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 28 29 

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夜ドラ「VRおじさんの初恋」 （第24話・2024/5/9） 感想

NHK総合・夜ドラ『VRおじさんの初恋』
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第24話／第6週〔全8週・32話〕の感想。

なお、原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、既読。

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「私は死にかけの男です」とＶＲ世界でナオキ（倉沢杏菜）に自らの余命を告げるホナミ（井桁弘恵）。その言葉に現実世界の直樹（野間口徹）も動揺を隠せない。「これで終わりにしてください。静かに死なせてください。お願いします」と頭を下げるホナミに対して、為すすべも無い。そのままＶＲの喫茶店を立ち去ってしまうホナミ。翌朝、決心を固めた直樹は穂波（坂東彌十郎）の元へバイクを走らせる―。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作(漫画)：暴力とも子『VRおじさんの初恋』
脚本：森野マッシュ（過去作/ｹの日のｹｹｹ）
　　　吉田照幸（過去作/脚本担当は朝ﾄﾞﾗ｢ｴｰﾙ｣の第4週のみ） 第5,6週
演出：吉田照幸（過去作/あまちゃん,ｴｰﾙ,富士ﾌｧﾐﾘｰ） 第1,2,6週
　　　桑野智宏（過去作/ｳｪﾙかめ,あまちゃん,おかえりﾓﾈ） 第3,4週
　　　石川慎一郎（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ,らんまん） 第5週
　　　中村俊介（過去作/？） 第6週
音楽：渡邊崇（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
主題歌：Ｃ＆Ｋ「ハートビート」
挿入歌：Ｃ＆Ｋ「旅人」
制作統括：桑野智宏（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
　　　遠藤理史（過去作/ﾅｲﾌの行方,下町ﾎﾞﾌﾞｽﾚｰ,木曽ｵﾘｵﾝ）
※敬称略

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俳優が演じる実写版ドラマだからこその説得力と訴求力

原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、読了しました。
でも、ネタバレは基本的に書きません。

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穂波「ですから もう終わりにして下さい。
　静かに死なせてく下さい。お願いします」
直樹「ごめん。自分のことばかり言っちゃって」
穂波「私は… 自分の信じた人生を
　生きてきたつもりです」
直樹「初恋の相手は
　一人で死なせるわけにはいかないから」
穂波「私を… こんな私を。ありがとう」

もう、この直樹（野間口徹）と穂波（坂東彌十郎）のやり取りで完成形と言っても過言でない。

しかし、今作は、そこへ佐々木さん（堀内敬子）を持ち出してきた。

そして、おじさん二人で、延々と恋バナをやるかと思いきや。

穂波「あっちのホナミ風に言ってみました」
直樹「あっちのナオキ風に言ってみた。
　気持ち悪かった？」
穂波「全然。何かトキメキました」

まさか、NHKのドラマで野間口徹さんと坂東彌十郎さんがじゃれ合うのを目撃できるとは（笑）

佐々木さんのズケズケと押し迫る行動力が、直樹を突き動かしたことは、これまでを見ていれば分かること。

そして。

直樹「初恋の衝動って すさまじいね」

本当に、物語の “流れ” が自然だ。

心の変化に合わせて、身体が動き、その結果として、両思いになっていく… みたいな。

あっ、おじさん同士なんだけど（笑）

やはりこの辺は、俳優が演じる実写版ドラマだからこその説得力と訴求力だ。

どうやら、これで第1章が壮大に終了… そんな感じだろうか。

今後の展開が楽しみだ。

あとがき

今作が、秀作であるのが分かるのは、例えばこんな部分です。

終盤で、穂波が８歳の娘にロボットをプレゼントしたくだりを直木に話しましたね。

並みのドラマ、駄作は、ほぼ絶対に回想シーンを入れてくるはずなのですよ。

でも、今作は入れずに、「仲直りさせたい」と思い始めた感じの直樹と、今現在の飛鳥（田中麗奈）と葵（柊木陽太）親子に切り替えました。

入れないから、「穂波と飛鳥の親子げんかを見ていない直樹」に私たちが共感、感情移入できるんです。

ここで見せてしまったら、私たちは、ただの傍観者、第三者なる、そういうことです。

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Believe－君にかける橋－ （第3話・2024/5/9） 感想

テレビ朝日系・木曜ドラマ『Believe－君にかける橋－』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第3話『夜決行!191秒の脱獄計画!』の感想。

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自らが設計した「龍神大橋」の建設現場崩落事故で“あらぬ罪”を被り、国立刑務所に服役することになった狩山陸(木村拓哉)。だが、“会社を守るために、一度はふたをした真実”を明らかにし、余命いくばくもない妻・玲子(天海祐希)の元へ帰るため、狩山は決死の覚悟で刑務所からの逃走を計画。狩山のことを執拗に調べる警視庁捜査一課の刑事・黒木正興(竹内涼真)も新たな動きに転じる中、狩山は次々と“思いがけない行動”に出る!!
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作：なし
脚本：井上由美子（過去作/緊急取調室1~4､遺産争族､BG~身辺警護人~）
演出：常廣丈太（過去作/緊急取調室1~4､BG~身辺警護人~） 第1,2,3話
　　　樹下直美（過去作/未解決の女ｼﾘｰｽﾞ､帰ってきたぞよ!ｺﾀﾛｰは1人暮らし）
音楽：林ゆうき（過去作/DOCTORS~最強の名医､緊急取調室1,2）
主題歌：MAN WITH A MISSION「I'll be there」
ＥＰ：三輪祐見子（過去作/DOCTORS~最強の名医3､刑事7人,おっさんずﾗﾌﾞ）
※敬称略

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一つくらいは仏心で好意的に見てみよう

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
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「何らかの理由で好意的に見ている人は別にして」
と、いつも書いている私。

今期も私基準でつまらない作品はバッサリ切り捨ててきた。

が、一つくらいは仏心で好意的に見てみようと思うのが、これである（笑）

これ、ラジオドラマ？ 朗読劇？ 読み聞かせ？

「好意的に見てみよう」と書いて早々で恐縮だが。

「これ、ラジオドラマ？ 朗読劇？ 読み聞かせ？」と疑いたくなるくらいの、豪華キャストによるセリフのオンパレードだ（失笑）

ここまで、見事なくらいにセリフで説明してもらうと、ありがたい（一応、褒めています…）

こういう作品を、「なんちゃて群像劇」と呼ぶ

私は、盛り込み過ぎの駄作を「○本立ての映画のようだ」と例えるが。

今作は… 数えきれない（汗）

頑張って数えただけで。

●狩山陸（木村拓哉）の逃走劇
●狩山と妻・玲子（天海祐希）の夫婦の物語
●警視庁捜査一課の刑事・黒木正興（竹内涼真）の動き？
●刑務官（看守長）で区長・林一夫（上川隆也）の動き？ ●国立刑務所内の騒動？
●大手ゼネコン「帝和建設」も騒動？
●狩山の弁護担当の弁護士・秋澤良人（斎藤工）と「帝和建設」ももめ事？
●「帝和建設」土木設計部 第一設計課で狩山の部下である本宮絵里菜（山本舞香）と婚約者・南雲大樹（一ノ瀬颯）のトラブル？
●玲子が務める聖修大学病院循環器センターの入院患者・井本奏美（澤井梨丘）が、いつ「♪恋せよ乙女」を歌うのか？（笑）

とにかく、事の発端は何だっけ？ 状態も甚だしい… ではなく、どうでも良くなっているようだ。

せめて、橋の崩落事件の壮絶CGでも挟んでくれたら思い出せるのに。

こういう作品を、「なんちゃて群像劇」と呼ぶ。

群像劇とは、登場人物一人ひとりにスポットライトを当てて、集団や組織が巻き起こす騒動を描くスタイルのことだ。

その逆は、主人公ひとり（またはダブル）にスポットライトを当て、主人公の周辺人物を描きつつ、主人公に巻き起こる騒動を描くスタイルだ。

ほら、「なんちゃって群像劇」の意味が分かったと思う。

基本は、狩山にスポットライトを浴びせているのに、描いてる騒動は、ほぼすべて主人公も集団や組織の一員と同等レベルの騒動として描いてしまっているから、どっちつかず状態だってことなのだ。

主人公・狩山の出番、出演時間が全体に対して短すぎ！

特に、よろしくないのは、「９つの物語」が “そんなに面白くない” ことだが（汗）

おっと、褒めないと。

もちろん、出演者に推しがいれば、それなりの訴求力はあると思うが。

それでも、やはりよろしくないのは、主人公・狩山の出番、出演時間が全体に対して短すぎること。

これは、致命的といっても過言でない。

それこそ、初犯のサラリーマンが刑務所を脱獄しているのに、映像的に “知らんぷり” って、脚本も演出もどうかしていると思う。

これだから、普通のスタイルにも群像劇にも見えない「なんちゃって群像劇」に成り下がるのだ。

唯一の救いは、全部がつながっているかな？と思えること

ただ、唯一の救いは。

そう、ここからが超、超、超、好意的な感想だ。

ようやく第3話になって、「９つの物語」がつながっている、連鎖している、連動しているのかな？ と見えなくもないことだ。

だって、ここまで “逃走中の狩山” と同等レベルで描く必要がある「８つ」なら、流石につながってるよね？ と思うしかないのだ（苦笑）

もう一つ、褒めておこう。

昨今、「出演者目当ての視聴者のためのドラマ制作」を否定すると、今期だって半分以上が消えてしまうのだ。

「○○さんのために再生回数を回せ！」がフツーの現在、今作だけ否定しても意味がないと思う。

これ、褒めてる？？？

ネタをぶっこんでっくるくらい脚本も演出もまだ余裕がある

おっと、一つだけ救いがあったので書いておく。

黒木「もう 奥さ～ん！ 取り調べがお上手なこと」

刑事役の取り調べの演技が○○すぎるから、余計にドラマ『緊急取調室』を彷彿するのだが。

それでも、ネタをぶっこんでっくるくらい脚本も演出も余裕があるということだろう。

もちろん、井上由美子氏がこの程度の脚本で甘んじるはずはないと期待もしているが。

あとがき

せめて、せめて、もう少しそれぞれの登場人物の行動に必然性がほしいです。

要するに、「何のために、その人は動いているのか？」が少しでも見えてくれば、興味を持てると思います。

ただただ、「何かある…」と匂わせ、漂わせているだけでは、本当の「出演者のプロモーションビデオ」にまっしぐら…

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【これまでの感想】
第1話 第2話 

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涼子（桜井ユキ）と香淑（ハ・ヨンス）の思いを背負って、寅子（伊藤沙莉）たちは再び高等試験に挑むが、今度は梅子（平岩紙）の姿が会場にない。梅子を気にしながらも筆記試験を終えた寅子が帰宅すると、そこには梅子からの手紙が届いていた。夫から離婚を言い渡され、三男の光三郎（石塚陸翔）を連れて家を出たという。梅子が寅子たちに想いを託す中、寅子の口述試験の日がやってくる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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尾野真千子さんならではの声の使い分けの技もあって…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

Ｎ「去っていった仲間と女子部の未来のため
　今年こそ 必ず合格してみせる」

普通なら「…と誓う寅子だった」だろう。

でも、それがないから、ナレーションが寅子の心の声になる。

単純なことだが、ここは「…と誓う寅子だった」と客観視した語りよりも、寅子の声の代弁者のほうが圧倒的に “誓い”に感じる。

尾野真千子さんならではの声の使い分けの技もあって、良い表現だと思う。

一つめの「長めのフェードアウト」を掘り下げてみる

メインタイトル映像明けは、梅子（平岩紙）の手紙のくだりだ。

並みの朝ドラなら、退場するサブキャラクターの尻拭いは、サクッとナレーション処理で終わらせそうだが。

梅子は “トラつば・アベンジャーズ” の一員で、ただのサブキャラとは違う。

そこで、たっぷりと尺を割いて物語に組み込んできたのは、まず大いに評価できる。

その上、自分がやったことを自ら「自業自得」と評しながらも、今後の育て方次第で息子たちを変えられると信じている前向きさが梅子らしく描かれた。

更に良かったのは、次のセリフだ。

梅子「どうか私のような立場の女性たちを
　守ってあげてください」

年上で、既婚者で、子どもがいる梅子だからこそ、年下で独身の寅子（伊藤沙莉）にすべてを託す。

朝ドラあるあるな、母・はる（石田ゆり子）の覗き見を挟んで、更に、深め長めのフェードアウト。

梅子が二人の息子の手を引いて歩く後ろ姿の回想シーンを入れるでもなく。

前回の海辺での思い出づくりの回想も入れず。

ゆっくりゆったり気味のフェードアウトで、寅子がすべてを汲み取った、受け取ったことが分かる。

こういうのを、映像で見せて（show）魅せる（fascinate）というのだ。

寅子と優三の口述試験対策を映像で見せないテクニック

フェードアウト明けは、喜びのナレーションから始まった。

Ｎ「寅子と優三 そして よね 轟 中山は
　筆記試験を通過しました。
　おめでとう 万歳！」

口述試験対策のくだりで、さり気ないやりとりだけど、「いいね」と感じた部分を書いてみる。

夜、 猪爪家に下宿する書生・佐田優三（仲野太賀）と寅子のやり取りだ。

裁判所内での寅子と桂場等一郎（松山ケンイチ）のやり取りに先行して被ってきた優三のセリフだ。

優三「そろそろ 明日に備えて寝ましょうか」

実は、気になって見ていたのだ。

甘味処「竹もと」では、寅子、山田よね（土居志央梨）、久保田聡子（小林涼子）、中山千春（安藤輪子）が口述試験対策をし。

映像はなくとも、轟太一（戸塚純貴）には、先に合格している花岡悟（岩田剛典）が相手を務めることは想像できる。

でも、優三は？？？

そういうことなのだ。

でも、前段の優三のセリフがあれば、寅子が久保田たちと勉強したあと、自宅では更に優三と試験対策をやったことが感じ取れる。

もちろん、「実際に映像でも盛り込めばよいのに？」と、思うかもしれない。

しかし、私の想像する“今後のふたり”を考えると、今の時点で “寅子と優三のイチャイチャ” は封印したほうが、あとのお楽しみになると思うから問題なし。

むしろ、これくらいの、ドラマ『からかい上手の高木さん』より薄めの（笑）匂わせのほうが、今作らしいと思う。

「雲野弁護士事務所」での口述試験対策があっても良き…

まっ、褒めてばかりだと、「今作のみっきーは気持ちが悪い」なんて感じる人もいるかだろうから、敢えて書くと（苦笑）

放送尺やスケジュール調整で可能だったら、「雲野弁護士事務所」の人たちと口述試験対策をやったら良かったと思う。

だって、いくら勉強が忙しいといっても、一応は働いているわけだから。
※母のセリフで、給料を家に入れているとの言及もあったとしても。

雲野六郎（塚地武雄）が一肌脱いで、ドランクドラゴンの塚っちゃんとオズワルドのツッコミのお姉ちゃんの掛け合いも見たかったかも。

ただ、今回を見終えて冷静になれば、職場を組み込むとテンポが悪くなるのはよく分かる。

今日が木曜日であることを考えると、金曜日の次回で一区切りをつけるために、必要な要素のみを詰め込んだと考えれば、十分に納得はできる。

今回で「月経、生理」を盛り込んだのは思いのほか良い

もう、あまり掘り下げるつもりがないのが、今作らしさの一つである「月経、生理」のくだり。

ただ、今回で盛り込んだのは、意外というか、思いのほか良いと思う。

それは、よねの役割、よねの存在感が描けるからだ。

ここ数回は、むしろ「目立たないようにしている山田よね」だったから、同期で女性で、その上の三陰交。

更に、「女性ならではの悩み」を抱えていることを強調。

流石に令和になって「生理休暇は甘えだ」なんて職場はないと思うが。

ドラマでは避けがちな事案だけに、今作らしく盛り込んだのは評価できる。

因みに、助産師の妻がいうには「重い生理痛は子宮内膜症の可能性があるから、婦人科を早期受診したほうが良い」とのこと。

「痛みや不快感を我慢したところで、PMS（月経前症候群）で効率が上がらないことはよくあるから、診断書を提示して休めるなら休んだほうが良い」と。

おっと、今作の感想からずれてしまった…

15分で2つの試験と合格発表まで描いて端折った感じがない

今作に戻って、再び長めのフェードアウトを挟んで…

Ｎ「日本初の女性弁護士が誕生したのです」
解説「よね 官報を押しのけ 一点を見つめる」
優三「おめでとう トラちゃん」
解説「笑えない寅子…」

とても、解説音声のフォローがうますぎると思う。

で。
ここで終わっても、十分すぎるくらいに “ドラマ” として良いのに。

Ｎ「やっと勝ち取った景色は…。
　思っていたものと全然違っていました」

ちゃんと、前回の「海辺での思い出づくり」の際の寅子のセリフと重なっている。

寅子「ごめんなさい。 　思っていた景色と違っていた」

本当に完成度の高い 15分間だ。

試験を諦めた梅子、試験に落ちたよねと優三の終幕も、しっかりと盛り込み。

猪爪家の家族の思いも組み込み。

その上で、主人公である寅子の心と体の両方の変化を丁寧に描き切った。

僅か 15分間で高等試験、口述試験、合格発表まで描いて、端折った感じがないのがホントお見事。

これは、改めて秀作になる予感だ。

あとがき

前回同様、今回もお腹いっぱいです。

これだけ盛り込んでいるのに、「寅子の物語」であることはこれっぽっちもブレない。

これくらいの完成度なら、多少の気になる点は不問にできます。

なお、優三のモデルは「明治大学卒の和田芳夫」なので、気になる方は自己責任で検索してください。

これ以上は【史実のネタバレ】になるので触れませんので。

みっきーの翼（第7回）

私の、やる気元気の源でもありますが。

認知症の義母が毎月楽しみにして待っているお饅頭のお話です。

いつも書いているとおり、千葉県成田市の銘菓「黒平まんじゅう本舗」の月替わりの季節のお饅頭で。

今月は、先代名物「ずんだ＝茹でて軟らかくした 枝豆をつぶし砂糖を混ぜたもの」を使った「ずんだまんじゅう」です。

餡の中に、ずんだのつぶつぶが見えますよね。

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第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』
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第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 28 29 

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夜ドラ「VRおじさんの初恋」 （第23話・2024/5/8） 感想

NHK総合・夜ドラ『VRおじさんの初恋』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第23話／第6週〔全8週・32話〕の感想。

なお、原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、既読。

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仲直りをしようと何度も穂波（坂東彌十郎）へメッセージを送り続ける直樹（野間口徹）。しかし、返事は一向に来ない。「あと一日ここで待ってる。来なかったら終わりにしよう」と、最後のメッセージを送る。そんな直樹の元へ穂波から「１８時に喫茶店に行きます」とやっと返事が来る。ＶＲ世界にてホナミ（井桁弘恵）とついに対面を果たしたナオキ（倉沢杏菜）だったが、「もうＶＲを止めます」とホナミから告げられて―。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作(漫画)：暴力とも子『VRおじさんの初恋』
脚本：森野マッシュ（過去作/ｹの日のｹｹｹ）
　　　吉田照幸（過去作/脚本担当は朝ﾄﾞﾗ｢ｴｰﾙ｣の第4週のみ） 第5,6週
演出：吉田照幸（過去作/あまちゃん,ｴｰﾙ,富士ﾌｧﾐﾘｰ） 第1,2週
　　　桑野智宏（過去作/ｳｪﾙかめ,あまちゃん,おかえりﾓﾈ） 第3,4週
　　　石川慎一郎（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ,らんまん） 第5週
音楽：渡邊崇（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
主題歌：Ｃ＆Ｋ「ハートビート」
挿入歌：Ｃ＆Ｋ「旅人」
制作統括：桑野智宏（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
　　　遠藤理史（過去作/ﾅｲﾌの行方,下町ﾎﾞﾌﾞｽﾚｰ,木曽ｵﾘｵﾝ）
※敬称略

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流石に、唐突感を拭えない。

原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、読了しました。
でも、ネタバレは基本的に書きません。

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

前回の感想でも書いたが。

ここ数回、穂波（坂東彌十郎）の家族の描写が多めだったことがマイナスになっているような。

やはり、今回を描くなら、ホナミ（井桁弘恵）との初恋と、穂波（坂東彌十郎）の体を心配する直樹（野間口徹）を、もっと印象的に描くべきだったのでは？

流石に、唐突感を拭えない。

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