夜ドラ「VRおじさんの初恋」 （第17話・2024/4/29） 感想

NHK総合・夜ドラ『VRおじさんの初恋』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第17話／第5週〔全8週・32話〕の感想。

なお、原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、既読。

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穂波（坂東彌十郎）の家を訪れた直樹（野間口徹）。それを見ていた穂波の孫・芦原葵（柊木陽太）は、２人の関係に疑問を持ち潜入捜査を始める。隠れて２人の会話を盗み聞く葵。２人は友達のようだが、それだけでもなさそうだ…。見つかりそうになり逃げ隠れた穂波の部屋で、葵はかつて自分が使っていたＶＲゴーグルを発見する。装着しトワイライトを起動すると、目の前には見知らぬ女性・ナオキ（倉沢杏菜）が座っていた。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作(漫画)：暴力とも子『VRおじさんの初恋』
脚本：森野マッシュ（過去作/ｹの日のｹｹｹ）
　　　吉田照幸（過去作/脚本担当は朝ﾄﾞﾗ｢ｴｰﾙ｣の第4週のみ） 第5週
演出：吉田照幸（過去作/あまちゃん,ｴｰﾙ,富士ﾌｧﾐﾘｰ） 第1,2週
　　　桑野智宏（過去作/ｳｪﾙかめ,あまちゃん,おかえりﾓﾈ） 第3,4週
　　　石川慎一郎（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ,らんまん）
音楽：渡邊崇（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
主題歌：Ｃ＆Ｋ「ハートビート」
挿入歌：Ｃ＆Ｋ「旅人」
制作統括：桑野智宏（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
　　　遠藤理史（過去作/ﾅｲﾌの行方,下町ﾎﾞﾌﾞｽﾚｰ,木曽ｵﾘｵﾝ）
※敬称略

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『光る君へ』の皆実広見、『岸辺露伴は動かない』の少年…

原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、読了しました。
でも、ネタバレは基本的に書きません。

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』にて、一条天皇（塩野瑛久）の幼少期・皆実広見を演じた柊木陽太くんであることは気づいていたが。

今日の家に侵入するくだりを見て、思い出した。

ドラマ『岸辺露伴は動かない』（NHK／2020,21,22）の第8話『ジャンケン小僧』で、岸辺露伴（高橋一生）の漫画家としての才能や資質に幻滅したファンの少年・大柳賢を演じた、柊木陽太くんだったのだ。

ここからが、今作の本領発揮であり、注目すべき展開

それはさておき。

67歳、50歳、そして 12歳が同一画面に！

このようなカットがあると、俄然とホームドラマらしさが強まる。

何となく、急にホームドラマ風になってきたのは、多少の戸惑いはある。

でも、ここからが「単なる、おじさん同士の初恋物語」でない今作の本領発揮だ。

まずは、孫の葵（柊木陽太） が、おじいちゃん・穂波（坂東彌十郎）が天真爛漫な美少女アバター・ホナミ（井桁弘恵）だと、いつ、どうやって知るのか？

そこを、坂東彌十郎さんと直樹を演じる野間口徹さんの演技が楽しみでしょうがない！

脚本担当が、メイン監督との二名体制に！

やはり… というか。
ついに、脚本担当が二名体制になった。

それも、メイン脚本の森野マッシュ氏に加わったのが、今作のメイン監督・吉田照幸氏だ。

吉田照幸氏は、NHK連続テレビ小説『エール』（NHK／2020年度前期）のメイン監督だったが、急きょ第4週『君はるか』で脚本としてクレジットされた。

理由は、企画段階で脚本担当だったが林宏司氏が途中で降板したために、第3週まで「脚本」は不在の記載で、いよいよ吉田氏が脚本を手掛けたわけだったのだ。

のちに、後任の脚本家・清水友佳子氏、嶋田うれ葉氏が「脚本」担当になるのだが。

きっと〔全32回〕の半分を過ぎて、脚本のテコ入れが必要との作り手側の判断だろう。

冒頭では「やはり」「ついに」と書いたが、個人的には「なるべくしてなった適切な選択」だと思う。

こうやって、ベテラン演出家と優秀な脚本家がタッグを組み、勉強して育つのは良いことだと思うし。

あとがき

今週から展開が広がりそうで、期待が高まりますね。

それにしても、坂東彌十郎さんと井桁弘恵さんの顔をオーバーラップって（笑）

硬軟、シリアスとコミカル、両方ができる中堅とベテラン俳優さんが揃っているので、本当に見ごたえ十分です。

直樹（野間口徹）の年下の上司・澤田龍之介を演じている細田善彦さん。
今放送中のドラマ『アンチヒーロー』では、コンビニ「エフマート」店員・松永理人を演じておられますが、同一俳優さんとは思えないカメレオンっぷりに驚きます。

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【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話 第12話 第13話 第14話 第15話 第16話 

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感想の趣旨について

当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
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アンメット ある脳外科医の日記 （第3話・2024/4/29） 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・新 月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、TikTok

第3話『忘れられた婚約』の感想。

なお、原作(漫画)である、子鹿ゆずる(原作)･大槻閑人(漫画)『アンメット－ある脳外科医の日記－』は、既刊13巻全巻(2024年4月16日現在)を既読。

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ミヤビ（杉咲花）の記憶障害は治る可能性があると示唆され、三瓶（若葉竜也）が「婚約していました」と驚きの過去を明かす。ミヤビは動揺し、日記に残すか迷う。翌日、星前からミヤビと三瓶の写真を見せられ、混乱する。一方、津幡（吉瀬美智子）が患者の安全を考え、ミヤビを手術に参加させるべきではないと主張し、反発があがる。藤堂（安井順平）によれば、津幡の固執には理由があるという。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作：子鹿ゆずる(原作)･大槻閑人(漫画)『アンメット－ある脳外科医の日記－』
脚本：篠﨑絵里子（過去作/ｸﾛｻｷﾞ2006､2022,朝ﾄﾞﾗ｢まれ｣､竜の道）
演出：Yuki Saito（過去作/おっさんずﾗﾌﾞｼﾘｰｽﾞ,ﾘｴｿﾞﾝ-こどものこころ診療所-） 第1,2話
　　　本橋圭太（過去作/DOCTORSｼﾘｰｽﾞ.ｸﾞﾚｲﾄｷﾞﾌﾄ） 第3話
主題歌：あいみょん「会いに行くのに」
オープニング曲：上野大樹「縫い目」
音楽：fox capture plan（過去作/ﾔﾒｺﾞｸ､SUPER RICH､ﾌﾞﾗｯｼｭｱｯﾌﾟﾗｲﾌ）
Ｐ：米田孝（過去作/ｺﾝﾋﾞﾆ★ﾋｰﾛｰｽﾞ~あなたのSOSいただきました!!~）
　：本郷達也（過去作/星降る夜に,リビングの松永さん）
※敬称略

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「障がい」の表記について

当ブログでは、人や人の状態を表す場合、原則「障がい者」「障がい」と表記としています。
※法令、条例、規則などからの引用や固有名詞は対象としていません

先週まで良かったのに、今週で落胆してしまった３つの理由

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
なお、原作(漫画)は、既刊13巻全巻(2024年4月16日現在)を読了しました。

先週までは、決して悪くなかったのに。
第3話で、予想どおりに駄作へまっしぐら… か？

今週で落胆してしまった最大の理由が３つある。
それを１つずつ書いてみる。

１つめは、ゆるすぎる演出

１つめは、ゆるすぎる演出だ。

演出家が交代したのは、開始して数分で分かった。

　●カット割りのテンポの悪さ
　●主要登場人物の顔面のどアップの乱用
　●似たようなカットの多用

上記の三要素は、良くない演出である「セリフを聞かせるための演出」の典型例。

これはもう、“テレビドラマ” なのに ＜映像で見せて（show）魅せる（fascinate）べき！＞ を放棄したのと同じだ。

簡単にいえば、脚本の文字列をただ撮影してつなげただけ。

これが、一番呆れた理由だ。

２つめは、ミヤビが主人公に見えない…

２つめは、ミヤビ（杉咲花）が主人公に見えない… だ。

とにかく、物語が動いているのが、ほぼ、ミヤビが画面に登場しない部分ばかり。

更に、ミヤビが登場するのは飲み屋、病院食堂、休日ばかり。

その上、ミヤビのシーンは、終盤の種々シーン以外は本筋にあまり関係のないくだりばかり。

確かに、ミヤビは記憶障害だから、ミヤビが画面にいるところで物語を動かすと、二度は繰り返さないとならないのは分かる。
（だって、翌日には忘れちゃうから、回想シーンを入れる必要があるから）。

ミヤビの描写については、もっと気になる点はあるが面倒だからスルー。

とにかく、もう少しミヤビが患者に向き合っている映像だけでも良いから増やして、印象操作だけでもやったほうが良いと思う。

原作から主人公を変えたなら、エピソードだって軌道修正する必要があるのは当然だと思うが。

その上で困ったのは、終盤の手術助手をやるくだり以外、ミヤビが脳外科医である必然性がないことだ。

三瓶友治（若葉竜也）との過去、看護師長の津幡（吉瀬美智子）の助力など、ミヤビがナースエイドでも成立しちゃうエピソードばかり。

流石に、これでは私のほうが「アンメット＝満たされない」で離脱しそうだ。

３つめは、"大人の事情" が見えすぎ…

３つめは、「吉瀬美智子さんで一話」の “大人の事情” が見えすぎ… だ。

津幡の個人的な事情というか、“設定” をある程度描く必要も、描きたいのも理解はできる。

原作もあるし。

しかし、１時間のほぼすべてが “津幡の再生物語” で良いの？

そういうこと。

全部が全部、“津幡の再生物語” ではないし…

西島麻衣（生田絵梨）のことを描くのも否定はしない。

全体を見渡せば、何となくところどころではあるが、ミヤビが関連しているのも認める。

とはいえ、やはり “ミヤビ以外” が長過ぎ、多過ぎでは？

あとがき

折角、前回まで、「月10」で『エルピス-希望、あるいは災い-』や『罠の戦争』以来で期待できそうな作品として評価していたのに…

今回は “大人の事情” が炸裂しすぎたってことで、感想の投稿継続は来週次第ということにしておきます。

まっ、推しを見て楽しむドラマとしてなら、悪くないと思いますけど。

推しがいない私は… アンメットかな？

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【これまでの感想】
第1話 第2話 

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連続テレビ小説「虎に翼」 （第21回・2024/4/29） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第21回／第5週『朝雨は女の腕まくり？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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直言（岡部たかし）ら１６人が贈収賄の容疑で逮捕された「共亜事件」は世間の注目を集め、寅子（伊藤沙莉）は大学に行けずにいた。そんな中、花岡（岩田剛典）と穂高（小林薫）が猪爪家にやってくる。穂高が直言の弁護を引き受けてくれることになり安どする寅子たち。逮捕から４か月後、予審が終了し、「罪を自白した」と書かれた新聞記事に戸惑う寅子たちの元に直言がようやく帰ってくる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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"大型連休だから毎日見る習慣の人も見ないかも？"だから…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

今週も「共亜事件」の続きだ。

そこで、もしも史実が気になるなら、第4週『屈み女に反り男？』・第20回（4/26）の感想で解説したので、下記のリンクから読んでいただきたい。

「共亜事件」のもとになった「帝人事件」をプチ解説 

そして、冒頭から丁寧な解説、説明だ。

アバンタイトル（2分19秒）の前半の約90秒で前回の振り返りをやった。

寅子（伊藤沙莉）の家のトラブルではあるが、しっかりと山田よね（土居志央梨）、 桜川涼子（桜井ユキ）、大庭梅子（平岩紙）らの回想シーンを入れて、世界観が狭まることに配慮した編集だ。

更に、さりげなく先週で涼子の夫・徹男（飯田基祐）を特別教師に呼んだ際の穂高（小林薫）の腰痛も回収も（笑）

こういう編集は、先週も書いたとおり「大型連休だから毎日見る習慣の人も見ないかも？」だから、視聴者サービスとしても良いことだ。

リーガルものとして面白いから、一粒で二度おいしい

メインタイトル映像明けも、いい感じだ。

穂高「いや 『目から鱗(うろこ)』だったよ」

か～ら～の。

花岡「お兄さん 頭を上げてください」
優三「あっ いや… 僕はお兄さんでは…」
花岡「えっ？」
優三「僕は ただの書生です」
寅子「ただのじゃないです。優三さんは家族ですよ」

おもいを寄せる女性の近くにいる若い男性を「お兄さん」と呼んじゃうのも、お約束だし。

「優三さんは家族ですよ」も、恐らく、あれこれのネタ振りだし（笑）

花岡（岩田剛典）と優三（仲野太賀）の表情の違いが “恋のライバル” 風でホントにいい。

きっと「視聴者の多くが、これから数日間は重苦しい展開になるのを承知していると思うのだ。

だからこそ、こういった微笑ましい描写が入ると、ホームドラマらしさが見えてホッとできる。

「今作は、朝ドラ初のリーガルドラマで、ホームドラマではない！」なんて乱暴な論調も見受けられるが。

どこをどう解釈したら「ホームドラマではない！」といえるのだろう？

女性初の弁護士になる主人公のホームドラマを描いている「家のトラブル（水回りなどのトラブルじゃない・笑）」だから、リーガルもの風になっているだけ。

そして、リーガルものとして面白く作っているから、一粒で二度おいしいだけなのだ。

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今作には、"よく見るカメラワーク"がない"のが、とても良い

よねたちの学友としての友情と、轟（戸塚純貴）のナイス・アシストがあって。

花岡が「不器用で いろいろ考え過ぎちゃう人なのね」であることも判明するし。

ちょうど半分の８分過ぎから、一気に再び重苦しい雰囲気に転換だ。

そこで、少し演出に触れてみる。

以前にも書いたと思うが、最近の朝ドラでやたらと安易に多用する “あるカメラワーク” がある。

それは、「怒涛の」「衝撃の」「涙の」「絶望して」「激高して」などの、主要登場人物が異様に高揚した場面で使われる “手持ちカメラによるブレブレ＆ゆらゆら映像”） だ。

別に全否定するつもりはない。

しかし、“手持ちカメラによるブレブレ＆ゆらゆら映像”を使うことで、キャラクターの高揚感を描写した “気になっている” 稚拙な幼稚な演出家が多いのだ。

しかし、今作は、今週で４人目の演出担当になるが、今のところ、一人も、一度もお目にかかった記憶がない（あったかもしれないが）。

今回なら、検察官・日和田（堀部圭亮）が直言（岡部たかし）を取り調べる場面で、“ブレブレ＆ゆらゆら映像” を使っていてもおかいしくない。

前作『ブギウギ』では、梅丸の社長・大熊熊五郎（升毅）が劇場でトップスターの大和礼子（蒼井優）を解雇すると進言するくだりに怒りまくるスズ子（趣里）のときが、目も当てられぬ“ブレブレ＆ゆらゆら” だった。

でも、今作はこれまでも毎週のように差別表現を描いているのに、“ブレブレ＆ゆらゆら” は使わない。

こういう部分も、私には「朝ドラらしからぬ朝ドラ」と評価するゆえんなのだ。

簡単にいえば、俳優がキャラクターの心情を的確に演じてくれたのなら、余計なことはしなさんな！ ってことなのだ。

それが、演出家の俳優へのリスペクトだと私は思う。

モロボシ・ダンの森次晃嗣さんとアマギ隊員の員古谷敏さん

息が詰まる展開だから、ここでひと休みひと休み… by 一休さん（笑）

今回で、一番目を引いたのが、貴族院議員の水沼淳三郎を演じた森次晃嗣さんだ。

昭和世代なら、森次さんが特撮ドラマ『ウルトラセブン』のモロボシ・ダン役などでご存じの存在だ。

あの堂々としてふてぶてしい演技で、どこから見ても “正義の味方”ではなく “ラスボス” だ。

そして、今回は新聞紙面上での登場となったのが、 クレジット記載で現職商工大臣として逮捕された若島武吉（若島男爵）役で確認できた古谷敏さんだ。

©NHK

古谷さんといえば、ウルトラマンの初代スーツアクターで、『ウルトラセブン』ではアマギ隊員を演じた我が青春のヒーローだ。

その上、“意外にいいやつ” な花岡を演じる岩田剛典さんは、リーガルドラマとして日曜夜放送中の日曜劇場『アンチヒーロー』（TBS／2024）で、金髪で無表情の殺害事件の被告人を演じている。

更に、岡部たかしさんは、現放送中の連ドラ『約束 ?16年目の真実?』（読売・日テレ／2024）では、捜査第一係の課長役。

ほかにも、平岩紙さんは『ブルーモーメント』、仲野太賀さんは『季節のない街』、戸塚純貴さんんは『肝臓を奪われた妻』など、列記したらキリがない。

人気実力がある俳優さんは引っ張りだこのようだし、ドラマファンとしては俳優さんの演技を楽しめる良き機会になっていると思う。

脚本家が書いたことを、俳優の演技で、演出が見せて魅せる…

10分過ぎ、夕景の長くぼやけた影で家に帰ってきた直言（岡部たかし）。

長くぼやけた影と岡部たかしさんの演技だけで、憔悴しきった直言が伝わる。

だらりと垂れた腕と、力が抜けて怒りで握ることもできない、一瞬だけピクッとだけ動く左の手のひらが印象的だ。

前述したとおり、ワンカットも“ブレブレ＆ゆらゆら” せず。

シーン頭の影で入っているカット以外は、ラストシーンまで、すべてフィックス（カメラを三脚に固定して、カメラの首を振るだけ）で撮影・編集されていた。

「カメラが不要に動かない」から「俳優さんの動き」に注視できるのだ。

創作料理の店にありがちな「シェフの気まぐれサラダ」じゃあるまいし。

演出家の気まぐれや、撮影スタッフの腕試し、「何となく」で“ブレブレ＆ゆらゆら” させるなんて愚の骨頂だ。

その場面で、映像で見せて（show）魅せる（fascinate）べき！ことを取捨選択すべきなのだ。

ドラマは、スタッフの技術のお披露目会、テクニックの見本市でもない。

脚本家が書いたことを、俳優の演技で、演出が見せて魅せる… それが “ドラマ” なのだ。

そんな単純で当たり前のことをやっているだけだが、そんなこともできない “ドラマ” が多いから、今作を大いに評価したくなるのだ。

今週が初演出の安藤大佑氏は"弱い人を応援する"作風が得意

さて、最後に今週の演出担当で、今作は今週が初演出の安藤大佑氏について書いてみる。

私が、安藤大佑氏の演出作品を意識し始めたのが、NHK佐賀放送局時代に制作された『私が初めて創(つく)ったドラマ』（NHK／2010）だ。

星野源さん演じる若き佐賀県のフィルムコミッションの職員が怪獣映画のロケの誘致に奔走するドラマだ。

DVDが購入できるから、興味があったら見てほしい。

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そして、安藤氏のルーツは、東京外語大学在学中（韓国語専攻）に製作した短編映画『けつわり』（2019）の脚本・監督でにわかに注目していた映像作家と同一人物であるとつながった。

「けつわり」は漢字で「尻割り」と書き、建設業界用語で、請け負った仕事を完成させずに途中で投げ出してしまうことで、由来は韓国語の「逃亡する＝ケッチョガリ」だとされる。

安藤氏の祖父の実話をベースに、戦時下における朝鮮人と日本人の交流を描いた作品だ。

更に最近は、ネパールコミュニティに入れずに困惑する日本人と在日外国人の交流を描いた、NHK福岡ドラマ『となりのマサラ』（NHK／2020）。

違法滞在中のスリランカ人男性と日本人女性の結婚問題を描いた、NHK 土曜ドラマ 『やさしい猫』（NHK／2023）の演出も手掛けている。

これらのことからも、安藤氏が「誰もができないと思うことを必死に実現する人たち」や「あらゆる差別を乗り超える人たち」を応援する、支える作品に注力する演出家なのはお分かりいただけると思う。

だから、今週の演出担当に適任だし、期待したいのだ。

『けつわり』予告編　ヤン・イクチュン主演

あとがき

穂高「君にしかできないことがある」

これで、寅子が主人公としてやるべきことが分かりやすく提示されましたね。

見ても分かるように、今週は「男女差別」と距離を置いた物語です。

これで、第10回で寅子が言ったことが、更に強調されると思います。

寅子「私はね 法は弱い人を守るもの。
　盾とか 傘とか 温かい毛布とか
　そういうものだと思う」

今週も楽しみです。

みっきーの植物図鑑（第227回）

大型連休の３日目ですが、今年は５月、６月に控えているやや大きめの仕事(汗)の準備をコツコツとやっております。

写真は、快晴の今朝、近所の公園で見かけた鈴なりに咲く白い花。

エゴノキ科の「ハクウンボク（白雲木）」です。

白い花が美しく群がって咲く様子が、白い雲のようなので「白雲木」だそう。

香りが強くて、清涼感はあるのですが、とにかく甘さがきついといいますか。
だから、蜂がブンブンと飛び交っていて、ちょっと危険でした。

花言葉は、「壮大」「愛の旅」「朗らかな人」。
素敵な花言葉ですね。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』

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アンチヒーロー （第3話・2024/4/28） 感想

TBSテレビ系・日曜劇場『アンチヒーロー』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

Episode 3『-過去-』の感想。

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明墨（長谷川博己）は公判で無罪を勝ち取った。赤峰（北村匠海）は明墨の才能に感動したのも束の間、偶然事件の真相を知り愕然とする。明墨は傷害事件を弁護することになり、被害者は工藤弘和（）、被告は父親が政治家・田誠司（山崎銀之丞）の富田正一郎のため、世間で話題の裁判になった。第一回公判で、担当検事の緑川（木村佳乃）は口論後に被告の暴行を主張し、明墨は口論は認めたものの暴行を否認。明墨と紫ノ宮（堀田真由）、赤峰は現場付近を調査、聞き込みを行う。調べが進むと、被害者の工藤の悪い噂が判明するが、納得がいかない赤峰は自ら証拠を見つけ出そうとする…
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作：なし
脚本：山本奈奈（過去作/ﾄﾞﾗｺﾞﾝ桜2021,VIVANT） 第1,2,3話
　　　李正美（過去作/半沢直樹2020､ﾄﾞﾗｺﾞﾝ桜2021,VIVANT） 第1,2,3話
　　　宮本勇人（過去作/VIVANT） 第1,2,3話
　　　福田哲平（過去作/ｲﾝﾊﾝﾄﾞ.ﾊﾟﾝﾄﾞﾗの果実） 第1,2,3話
演出：田中健太（過去作/DCU､ﾍﾟﾝﾃﾞｨﾝｸﾞﾄﾚｲﾝ,ﾄﾘﾘｵﾝｹﾞｰﾑ） 第1,2,3話
　　　宮崎陽平（過去作/半沢直樹2020,日本沈没2021,DCU,VIVANT）
　　　嶋田広野（過去作/わにとかげぎす）
音楽：梶浦由記（過去作/花子とｱﾝ､作詞･作曲｢炎｣(LiSA),ｷｯﾁﾝ革命）
　　　寺田志保（過去作/ﾊﾟｰﾌｧｸﾄ･ﾌﾞﾙｰ,ｷｯﾁﾝ革命）
Ｐ：飯田和孝（過去作/義母と娘のﾌﾞﾙｰｽｼﾘｰｽﾞ,ﾏｲﾌｧﾐﾘｰ,VIVANT）
　　　寺田志保（過去作/？）
法律監修：國松崇（ﾄﾞﾗﾏ｢ｾｸｼｰ田中さん｣日本ﾃﾚﾋﾞ社内特別調査ﾁｰﾑの外部有識者）
警察監修：大澤良州（過去作/小さな巨人）
主題歌：milet「hanataba」
※敬称略

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"赤星の正義"と"明墨の正義"のガチンコ対決で展開に一工夫

私のブログに来てくれて、ありがとうございます。
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序盤で、赤峰（北村匠海）が明墨（長谷川博己）を非難する。

赤星「先生は また犯罪者を無罪にするんですか」

しかし、赤峰よりも何枚も上手の明墨は、返す刀で次のように斬り返す。

明墨「君がやっていることは
　犯罪者と何も変わらないんだよ」

過去の２話は、明墨の “アンチヒーロー” ぶりを視聴者に理解させるべく、明墨の活躍を中心に描くストーリー展開だった。

しかし今回は、第3話ということで変化球を投げてきた。

明墨の才能に感銘しつつも、自分の主義を貫くためのやり口に疑問を持つ “赤星の正義” と “明墨の正義” のガチンコ対決だ。

そんな ＜見どころがテンコ盛りな弁護士の対峙構造＞ を描きつつ。

今作の肝である法廷劇の部分も、しっかりと映像で見せ（show）て魅せ（fascinate）てきた。

やはりこの一工夫こそが、今作の本当の注目点であり “最大の今作らしさ” だと思う。

ついに「先が気になりすぎて一週間が長く感じる連ドラ」に

その上、もう一つ盛り込んできたか!? と驚いたのが、紫ノ宮（堀田真由）の次のひと言だ。

紫ノ宮「あなたのために そこまでするなんてね」

やはり、まだまだ見ていないパーツがあるということだろう。

明墨や紫ノ宮ら明墨法律事務所の人間たちと、赤星の間に何が！

そして、今回の新事実が「明墨が元検事の弁護士＝ヤメ検」であること。

この新事実で、獄中の男（緒形直人）が明墨にとって、弁護の依頼人でない可能性が出てきた。

ホント、「先が見たくなる連ドラ」を超えて「先が気になりすぎて一週間が長く感じる連ドラ」になっていると思う。

あとがき

下衆な勘繰りはせずに、ドラマの流れに身を任せて楽しんでいます。

で、ドラマファンとして注目したのが、クラブの店長・三上を演じておられた小栗基裕（ ex：s**t kingz）さん。

朝ドラ『ブギウギ』では梅丸歌劇団員で日本のトップダンサーの一人・中山史郎を美しいダンスと共に演じてくれました。

また、脚本が常時４人体制だと船頭多くして船山に上るかと思いきや、うまく統率が取れていると思います。

むしろ、考察しちゃうのは、「どうやって４人で書いてまとめているのか？」です（笑）

ラストシーンで北村匠海さんが立っていた東京拘置所正門の真裏にあるのが東京都足立区にある五反野親水緑道で。 今日の昼間、妻が偶然見つけたのが「アオサギ（写真の黄色い丸の中）」
体長が70センチ近くあり、怖くて近づけなかったそうです。

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花咲舞が黙ってない (2024) （第3話・2024/4/27） 感想

日本テレビ系・土曜夜9時連続ドラマ枠『花咲舞が黙ってない (2024)』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第3話『汚された夢!? 銀行の真実を暴け』の感想。

なお、原作(小説)となった池井戸潤『花咲舞が黙ってない』、池井戸潤『不祥事』は、未読。

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花咲舞（今田美桜）と相馬健（山本耕史）は銀座支店の事務ミス調査から、田沼英司（犬飼貴丈）が社長を務める新進気鋭の浄水ベンチャー・アクアソートの送金処理が遅れたことの謝罪の為、融資担当者と送金先の会社を訪問。経営コンサルのはずがオレオレ詐欺のアジトのような怪しい事務所で。通帳の不審な入金記録からアクアソートが詐欺に加担し反社と繋がっている可能性に辿り着き!?更に銀行上層部を巻き込む大問題が発覚し!?
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作(小説)：池井戸潤『花咲舞が黙ってない』、池井戸潤『不祥事』
脚本：松田裕子（過去作/花咲舞が黙ってない,東京ﾀﾗﾚﾊﾞ娘,正義のｾ） 第1,2話
　　　ひかわかよ（過去作/ｾｼﾙのもくろみ,個人差あります） 第3話
演出：南雲聖一（過去作/花咲舞が黙ってない,東京ﾀﾗﾚﾊﾞ娘,ﾊｺﾂﾞﾒ） 第1,2,3話
　　　佐久間紀佳（過去作/花咲舞が黙ってない,あなたの番です,真犯人ﾌﾗｸﾞ）
　　　鈴木勇馬（過去作/花咲舞が黙ってない,ﾘﾊﾞｰｻﾙｵｰｹｽﾄﾗ）
音楽：菅野祐悟、得田真裕
挿入歌：あかせあかり「いつか叶えたくて」
ＣＰ：田中宏史（過去作/悪女(わる)~働くのがｶｯｺ悪いなんて誰が言った?~）
Ｐ：小田玲奈（過去作/悪女(わる)~働くのがｶｯｺ悪いなんて誰が言った?~）
　　　鈴木香織（過去作/ﾌﾞﾗｯｼｭｱｯﾌﾟﾗｲﾌ）
　　　能勢荘志（過去作/ﾊﾟﾝﾄﾞﾗの果実~科学犯罪捜査ﾌｧｲﾙ~）
※敬称略

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ぼちぼち過去の作品と比較するのはやめたほうが良いと思う

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2014年版、2015年版と比較するのは否定はしない。

しかし、日テレの某ドラマのように原作の作者と今作のスタッフが揉めていないのなら、両者の合意でつくられていると考えるべきで。

その合意事項の中に、主演俳優の違いも含まれているはず。

だから、前作や前々作のほうが好きなら好きで構わないが、今作 2024年版を否定するような感想を書くのは本当にどうかと思う。

それに、そもそも、原作が同じで「リブート作品」と銘打っているわけだから、平成から令和になった劇中の舞台の時代的な変化、映像的な視聴環境の変化への対応、俳優の変更による雰囲気の違いなど、当然なのだ。

いや、むしろ、「続編」でないのだから、変わらなければ意味がないと思う。

もう、第3話にまで進んだのだから、ぼちぼちネットニュースや SNSで過去の作品と比較するのはやめたほうが良いと思う。

因みに、当ブログへの非公開希望を含めたコメントでは、比較する人は “ほぼいません” けど。

安定の「意外と骨太系の社会派ドラマ」として攻めてきた

さて、愚痴は、これくらいにして～と。

第3話も、安定の「意外と骨太系の社会派ドラマ」として攻めてきた。

今どきのネタも入れて、金融業界の裏話を丁寧に描いたと思う。

臨店班内の衝突、せめぎ合いが、もう少しあっても良かった

ただ、一つだけ物足りない点がある。

それは、花咲舞（今田美桜）と相馬健（山本耕史）…
または、舞＆相馬と芝崎次長（飯尾和樹）…
臨店班内の衝突、せめぎ合いが、もう少しあっても良かったと思うことだ。

今回でも、やっていないわけではないが、物足りないのだ。

もう少し、舞と相馬、現場に出向いている二人と芝崎次長が食い違ったり、相対したりすれば、“舞らしい正義” が更に際立って面白味を出すと思うのだ。

前述のように、先輩や上司として、暴走し始める舞に忠告や指導する場面はある。

でも、ここは「ひとりの銀行員」として “舞の正義” は分かるけど “組織の一員という立場” も守ってやりたいみたいな、複雑な心境を盛り込んだほうが、主人公が際立つと思う。

想像に過ぎないが。

正義感を含めて、あまり舞を前面に押し出してしまうと、前作、前々作のようになってしまうのを嫌っているのかもしれない。

でも、折角、コミカルもシリアスもできる今田美桜さんと山本耕史さんと飯尾和樹さんを配役したのだから、思い切り生かしたほうが良いと思う。

あとがき

この第3話の脚本担当は、今シリーズは初担当のひかわかよさんなので、前2回と少し舞の見せ（show）方、魅せ（fascinate）方が違った可能性はありますね。

きっと、修正してくると思います。

千葉県内のロケ地情報

千葉県富津市富津にある「お食事処　さざなみ」がロケ地になっていました。

ドラマ『妻、小学生になる。』（TBS／2022）では、最終回で愛川と圭介（堤真一）、万理華（毎田暖乃）、圭介の麻衣（蒔田彩珠）、蓮司（杉野遥亮）が食事をした店で使われました。

お食事処 さざなみ/富津/定食【公式】 

管理人・みっきーが お薦めする商品を、Amazonと楽天市場から安心して ご購入していただけます! 花咲舞が黙ってない オリジナル・サウンドトラック 菅野祐悟 ￥2,750(記事投稿時)  Amazonで購入  楽天市場で購入

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