ディレクターの目線blog

NHK連続テレビ小説虎に翼上 (1) 単行本

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吉田恵里香(著),豊田美加(著) ? NHK出版 2024-3-25

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森優太日本コロムビア 2024-6-5

￥3,300(記事投稿時)

TBS系日曜劇場アンチヒーロー（上） (扶桑社文庫)

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感想の趣旨について

当ブログの感想は、僭越ながら 「もっとこうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
作品の粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくること、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃が目的ではないことをご理解ください。

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#テレビ #テレビドラマ#ドラマ clear #ドラマ感想 #朝ドラ #連続テレビ小説 #映画 #映画レビュー #サザンオールスターズ #桑田佳祐 #VOWWOW #山本恭司 #あんぱん

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[47回]

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アンチヒーロー（第6話・2024/5/19）感想

2024/05/20 (Mon)07:42:05 ドラマ

TBSテレビ系・日曜劇場『アンチヒーロー』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

Episode 6『-不正-』の感想。

ある夜、赤峰（北村匠海）は明墨（長谷川博己）が緋山（岩田剛典）と接触しているのを目撃するが、明墨は控訴審の打ち合わせだと言う。
一方、紫ノ宮（堀田真由）は倉田（藤木直人）に弁護を担当することを伝えるが、倉田は紫ノ宮の勾留請求の却下を拒絶する。その帰り道、紫ノ宮は伊達原（野村萬斎）に声をかけられ、二人の繋がりを感じ取る。
紫ノ宮が伊達原と倉田の繋がりを赤峰に伝えると、赤峰は明墨と緋山が会っていたことを話し、12年前の志水（緒形直人）の事件に緋山も関連があるのではないかと示唆する。
明墨は大洋出版の情報漏洩事件で逮捕された副編集長・沢原真希（珠城りょう）に接触し、「私があなたを無罪にして差し上げます」と言う。
沢原のIDが社内情報入手に使われ、指紋が付着した封筒もあったが、沢原は犯行を否認するが、一審では有罪判決を受ける。沢原は元上司の上田基一（河内大和）を疑っていると様子で。
しかし、沢原はかつて政治家のスキャンダル記事を書いていたことが分かり…
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

原作：なし
脚本：山本奈奈（過去作/ﾄﾞﾗｺﾞﾝ桜2021,VIVANT） 第1～5話
　　　李正美（過去作/半沢直樹2020､ﾄﾞﾗｺﾞﾝ桜2021,VIVANT） 第1～5話
　　　宮本勇人（過去作/VIVANT） 第1～5話
　　　福田哲平（過去作/ｲﾝﾊﾝﾄﾞ.ﾊﾟﾝﾄﾞﾗの果実） 第1～5話
演出：田中健太（過去作/DCU､ﾍﾟﾝﾃﾞｨﾝｸﾞﾄﾚｲﾝ,ﾄﾘﾘｵﾝｹﾞｰﾑ） 第1,2,3,6話
　　　宮崎陽平（過去作/半沢直樹2020,日本沈没2021,DCU,VIVANT） 第4,5話
　　　嶋田広野（過去作/わにとかげぎす）
音楽：梶浦由記（過去作/花子とｱﾝ､作詞･作曲｢炎｣(LiSA),ｷｯﾁﾝ革命）
　　　寺田志保（過去作/ﾊﾟｰﾌｧｸﾄ･ﾌﾞﾙｰ,ｷｯﾁﾝ革命）
Ｐ：飯田和孝（過去作/義母と娘のﾌﾞﾙｰｽｼﾘｰｽﾞ,ﾏｲﾌｧﾐﾘｰ,VIVANT）
　　　寺田志保（過去作/？）
法律監修：國松崇（ﾄﾞﾗﾏ｢ｾｸｼｰ田中さん｣日本ﾃﾚﾋﾞ社内特別調査ﾁｰﾑの外部有識者）
警察監修：大澤良州（過去作/小さな巨人）
主題歌：milet「hanataba」(Amazon)
※敬称略

"チーム明墨"の連帯感とチームワークが、構築されていく

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

5/24(木)、夜空にフラワームーンが咲きます！
【満月ｶﾚﾝﾀﾞｰ】2024年5月23日(木)がﾌﾗﾜｰﾑｰﾝ(花月)

冒頭から、本当にテンポが良い。

サクサクとご都合主義で展開させているのではなく。

しっかりと、「明墨法律事務所所」の各所員の個性を “ドラマ” として最適化して＜映像で見せて（show）魅せる（fascinate）！＞をやり切っている。

特に、９分ごろからの会議のシーンからの描写がスムーズすぎる。

明墨（長谷川博己）を中心に、パラリーガルの青山（林泰文）と白木（大島優子）のよどみない明墨のフォロー。

絵に描いたような「一を聞いて十を知る」の紫ノ宮（堀田真由）と赤峰（北村匠海）の言動なんて、本当によくできている。

そして、注目は下記の明墨のセリフだ。

青山「はいこれ設定済みなんで」
赤峰「（中略）これで上田さんを尾行しろ
　ってことですね」
明墨「分かってきたねえ」

前段の映像と、このセリフによって “チーム明墨” の連帯感とチームワークが、どんどん構築されていくことが伝わる。

最近の当ブログの流行で例えるなら“トラつば・アベンジャーズ”ならぬ “アキズミ・アベンジャーズ／リバーサル・ロウヤーズ”か（苦笑）

残りの尺は、 “アキズミ・アベンジャーズ”を見せて魅せて楽しく盛り上げて完了だ。

本当に、１時間があっという間に過ぎてしまったことは言うまでもないか。

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蒔田陽平(著) 扶桑社 2024-5-31

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TBS系日曜劇場「アンチヒーロー」オリジナル・サウンドトラック

今後の幾つかの事件をまとめて "悪人を成敗" するのか？

改めて今作は、良い意味で気になるコトばかりだ。

まず気になるのは、今回の大洋出版「週刊大洋」の社内情報流出事件の顛末だ。

これまでは、各回の事件は、その回のラストで何らかのオチを描いてきたのに…

もちろん、今回の事件によって、ようやく中ボス（ラスボスの前）が瀬古裁判官（神野三鈴）であることが見えたし。

伊達原検事正（野村萬斎）も、ラスボスではなさそうだから。

今後の幾つかの事件をまとめて一気に “悪人を成敗” するのかも？

次回が第7話で、いよいよ最終章直前になるから、構成や展開が楽しみだ。

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TBS系日曜劇場「アンチヒーロー」オリジナル・サウンドトラック

権力で奪われた家族の幸せと未来が報われる日がくるのか

もう一つ気になるのは、当然、「12年前の事件」「志水の事件」だ。

いわゆる “連ドラにおける縦軸”になるエピソードだ。

最近の連ドラは、考察系を強調したいがために、やたらと “縦軸” を小出しにするあざいと作品が多い。

でも今作は、“縦軸” をあくまでも主人公・明墨の原点として描くにとどめている。

そう、だから、だから、余計に気になるわけだ。

今作の主題歌、miletが歌う『hanataba』のオーラスに次の歌詞がある。

Go carry on, carry on
点と点を繋いで
Ah-ah, ah-ah, ah-ah, ah
Go carry on, carry on
その鎧をおろして
Ah-ah, ah-ah, ah-ah, ah

きっと、全ての点と点がつながったとき、全ての気になるコトが解決するのだと期待している。

権力によって奪われた幾つもの家族の幸せと未来が報われる日がくるのか、最終回まで目が離せない作品だ。

milet「hanataba」

あとがき

なぜ、その被告の弁護を明墨が引き受けるのか？<

この一点で、ギュッと全体をひとまとめにしているのが、今作がブレて見えない要因ではないでしょうかね。

令和は、自分は “良かれ” と思ってやったことが、受け手次第で “○○ハラ” になってしまうご時世。

しかし、自分が “良かれ” と思う行動原理や価値基準は、自分の大切な家族や忘れられない過去によって形成されているってことですよね。

ですから、“○○ハラ” と判断されれば、それは、ある意味で、自分にとっての宝物が全否定されるのと同じこと。

だからこそ、正義とは何か？悪とは何か？それを裁く法律も元を辿れば人間の産物だとすれば、正義と悪の境目は何なのか！

いろいろなことを考えさせてくれる作品だと思います。

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花咲舞が黙ってないオリジナル・サウンドトラック

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【これまでの感想】
第1話第2話第3話第4話第5話

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[32回]

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花咲舞が黙ってない (2024) （第6話・2024/5/18）感想

2024/05/19 (Sun)09:36:08 ドラマ

日本テレビ系・土曜夜9時連続ドラマ枠『花咲舞が黙ってない (2024)』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第6話『死んでいない恋人?』の感想。

なお、原作(小説)となった池井戸潤『花咲舞が黙ってない』、池井戸潤『不祥事』は、未読。

花咲舞（今田美桜）と相馬健(山本耕史)は花咲健（上川隆也）と訪れた寿司屋の常連客（宮崎美子）から、5年前に亡くなった娘（堀田茜）の銀行口座で娘の死後、何千万ものお金が動いていたと相談を受け、調査を行う。娘が働いていたのは新薬を開発する製薬会社だった。5年前に開発途中で破産し、社長は行方不明。別のベンチャー企業が似た薬を開発中の情報を掴む。銀行口座の謎に隠された、愛と死と偶然の絡む不思議な物語…!？
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

原作(小説)：池井戸潤『花咲舞が黙ってない』、池井戸潤『不祥事』
脚本：松田裕子（過去作/花咲舞が黙ってない,東京ﾀﾗﾚﾊﾞ娘,正義のｾ） 第1,2,4,6話
　　　ひかわかよ（過去作/ｾｼﾙのもくろみ,個人差あります） 第3,5話
演出：南雲聖一（過去作/花咲舞が黙ってない,東京ﾀﾗﾚﾊﾞ娘,ﾊｺﾂﾞﾒ） 第1,2,3,6話
　　　佐久間紀佳（過去作/花咲舞が黙ってない,あなたの番です,真犯人ﾌﾗｸﾞ）
　　　鈴木勇馬（過去作/花咲舞が黙ってない,ﾘﾊﾞｰｻﾙｵｰｹｽﾄﾗ）
　　　山田信義（過去作/家売るｵﾝﾅｼﾘｰｽﾞ,悪女(わる)~働くのがｶｯｺ悪いなんて誰が言った?~） 第4,5話
音楽：菅野祐悟、得田真裕
挿入歌：あかせあかり「いつか叶えたくて」
ＣＰ：田中宏史（過去作/悪女(わる)~働くのがｶｯｺ悪いなんて誰が言った?~）
Ｐ：小田玲奈（過去作/悪女(わる)~働くのがｶｯｺ悪いなんて誰が言った?~）
　　　鈴木香織（過去作/ﾌﾞﾗｯｼｭｱｯﾌﾟﾗｲﾌ）
　　　能勢荘志（過去作/ﾊﾟﾝﾄﾞﾗの果実~科学犯罪捜査ﾌｧｲﾙ~）
※敬称略

物語が銀行や臨店業務とほぼ無関係なのがメッチャ気になる

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

こう言っちゃなんだが。

今シーズンから初参加のひかわかよ氏が脚本を担当した放送回（第3,5話）のほうが…
全シーズン担当中の松田裕子氏の回よりも、新シーズンらしさがあるし、全体の違和感が少ないような気がするのだが。

それはともかく。

大、大、大前提として、エピソード自体が銀行や臨店業務とほぼ無関係なのがメッチャ気になるが。

お金にまつわるエトセトラとしては、一捻りも効いているし、人情モノとしても良かったとは思う。

「本編」の内容についての感想は以上。

居酒屋経営者の健さんが、２回も他店で飲食って？？？

とにかく、気になる点は山ほどある。

そもそも、自宅で居酒屋を経営しているキャラクターを、わざわざ他店で食事をする設定って何？

神保町の寿司屋「かと勘」の常連客なんて面倒な設定をやめて。
最初から谷原道代（宮崎美子）が、健さん（上川隆也）が店主の「酒肴処・花さき」の常連客で…
道代が健さんに相談しているときに、舞（今田美桜）と相馬（山本耕史）が来店して、話に合流すれば、10分は展開を早くできたのでは？

更に、相馬と健さんが中盤で食事をした店もあったし。

健さんの人柄を頼って「花さき」に来る客から話が展開するのが、今シリーズらしいと思うのだが。

いや、そのための健さんでは？

恐らく、「花さき」のスタジオセットの使用スケジュールと、上川隆也さんと菊地凛子さんと宮崎美子さんの香盤（撮影を行なう際に事前に作られたスケジュール）の関係で、「花さき」を同時並行で使用できないなどの大人の事情があったと思うが。

簡単にいうなら、冒頭も中盤も、昇仙峡玲子（菊地凛子）が酔って来店する場面も全て「花さき」だと、出演者スケジュールや照明チェンジなど含めた撮影が困難ってこと。

それでも、都合をつけて全て「花さき」にするべきだったと、私は思う。

あとがき

昇仙峡さんがキャラ変したのは別に気になりません。
むしろ、朝ドラ『ブギウギ』の‘茨田りつ子’みたいに、最初から二面性がある設定にしたほうが面白かったと思うくらいです。

どうやら、第6話となり後半に突入して、一気に最終回のために辻褄合わせをし始めたとか？

おっと、今期は「記憶喪失」の設定が大人気ですが。
まさか、今作と『アンメットある脳外科医の日記』で「もやもや病」が被るとは（苦笑）

あっ、次回もこんな感じ（どんな感じ？）でしたら、感想投稿は離脱します…

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菅野祐悟

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妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

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【これまでの感想】
第1話第2話第3話第4話第5話

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連続テレビ小説「虎に翼」（第7週・土曜日版・2024/5/18）感想

2024/05/18 (Sat)13:05:25 ドラマ

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第7週『女の心は猫の目？』の「土曜日版」の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

優三（仲野太賀）は弁護士の道を諦め、直言（岡部たかし）の工場で働くことを決めて猪爪家を出る。一方の寅子（伊藤沙莉）は雲野（塚地武雅）の事務所で弁護士実務を学び始める。寅子の一年先を行く花岡（岩田剛典）は司法修習後の試験に合格。お祝いのための二人きりの食事の席で、寅子は花岡から故郷に帰ると告げられる。昭和１５年、晴れて弁護士になった寅子だったが、女性だということを理由になかなか依頼をしてもらえない。悩んだ寅子は、社会的信用を得るために再びお見合いをしようと決意する。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4,7週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学法学部専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト新窓で開きます）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

「今週で描きたかった真意はどこなのか？」に注視してみた

私のブログに来てくれて、ありがとうございます。
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、私が管理人のみっきーです！

「本編」の５回分を見た人なら分かると思う。

今週も面白かったし、感動したし、内容が充実していたことを。

そして、今週も「盛りだくさん」がピッタリなエピソード集だったことも。

それだけに、当ブログとしては「どこを取捨選択するのか？」に注目するとともに。

「今週で描きたかった真意はどこなのか？」に注視してみた。

優三は、気弱で頼りないが優しく芯が通っている設定だから

「土曜日版」を見終えて分かったのは。

婚約から結婚に至る過程で、主人公の仕事への情熱を描きたかった… と思う。

要するに、寅子（伊藤沙莉）が弁護士として一人前に世間に認められるには、寅子は「既婚者」という肩書が絶対に必要だと考え、“あの手この手” を駆使して結婚にたどり着いたことを強調したかった… というわけだ。

そうだと思うのは、寅子の花岡（岩田剛典）への恋心や、よね（土居志央梨）の寅子への忠告も、ほぼ全て削除されていたからだ。

残った印象の度合いでいうなら、優三（仲野太賀）の秘かな寅子への恋心を少し強めにすることで、寅子の身勝手な契約結婚に見えない工夫すら感じたくらいだ。

そう、これで良いのだ。

寅子が花岡と別れることや、花岡が小高奈津子（古畑奈和）に乗り換えたことよりも。

両親を亡くし、弁護士だった父に憧れて大学に通うも高等試験(司法試験)には合格できず、下宿先の猪爪家を出た優三が「トラちゃんが幸せになるなら」と「ずっと好きだった」とケジメをつけたことに意味があると思う。

それは、優三というキャラクターは、気弱で頼りないが優しく芯が通っている設定だからだ。

優三の行動は、寅子の法や法律家としての心得に通じる

以前、寅子が次のことを言っていたのを覚えておられるだろうか？

寅子「法は強き者が弱き者を
　虐げるためのものじゃない。
　法は正しい者を守るものだって
　私は信じたいんです」

寅子「私はね法は弱い人を守るもの。
　盾とか傘とか温かい毛布とか
　そういうものだと思う」

今週の優三を見て、何となくリンクしていると思っていたのだ。

優三の行動原理、正義感、倫理道徳みたいな部分が、「正しい者を守るもの」「弱い人を守るもの」「盾とか傘とか温かい毛布とか」に隣接しているのでは？と。

そう考えれば、花岡やよねをカットして。

（ちょっと表現は微妙だが思いつかないので… 汗）我が身を寅子に差し出した優三の温かい人間性や、一種のロマンみたいなところへ着地したのも、人間の生き様を描いている今作らしいラストだったと思う。

あとがき

一つだけ心残りなのは、「この手があったか」が見られなかったこと。

はる（石田ゆり子）と直言（岡部たかし）のズッコケのコンビ芸が残してあっただけに見たかったです。

でも、それを残すと契約結婚が強調されるので削除したのも理解できます。

気がつくと、来週で２か月が終わるのですね。

今のところ、「本編」も「土曜日版」も本当に楽しくて満足です。

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季節のない街 (新潮文庫) 新潮社 2019-6-26

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季節のない街（第7話・2024/5/17）感想

2024/05/18 (Sat)11:36:58 ドラマ

テレビ東京系・ドラマ25『季節のない街』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第7話〔全10話〕『がんもどき前編』の感想。

なお、原作(小説)である山本周五郎『季節のない街』は既読。
また、2023年8月9日より、Disney+で全10話配信済みですが、そちらは未鑑賞。
しかし、名匠・黒澤明監督の不朽の名作映画『どですかでん』（東宝/1970年）は、数十回鑑賞済みで、Blu-rayも所有します。
黒澤明監督『どですかでん』 [Blu-ray DVD]

かつて自分を捨てた母親（小田茜）から容姿を「まるで潰れたがんもどき」だと評されたかつ子（三浦透子）。街の住民にも「実写版貧乏」だと蔑まれながら、日々黙々と内職をして伯母夫婦を養っている。かつ子のことが大好きなオカベ（渡辺大知）は、彼女の誕生日プレゼントを買うために半助（池松壮亮）たちを誘い街に繰り出すが、半助はそこで偶然にもかつての恋人・永田（佐津川愛美）と再会する。
ある日、かつ子の伯母・妙子（広岡由里子）が入院をすることになり、かつ子は酒癖の悪い伯父の京太（岩松了）と二人暮らしをすることになるのだが…。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

原作(小説)：山本周五郎『季節のない街』
企画：宮藤官九郎（過去作/初企画作品）
脚本：宮藤官九郎（過去作/あまちゃん,俺の家の話,不適切にもほどがある!）
演出：宮藤官九郎（過去作/木更津ｷｬｯﾂｱｲう,ぬぼれ刑事） 第1,2,4,5話
　　　横浜聡子（過去作/ﾊﾞｲﾌﾟﾚｰﾔｰｽﾞ2017､2018,ひとりｷｬﾝﾌﾟで食って寝る） 第3,7話
　　　渡辺直樹（過去作/いだてん~東京ｵﾘﾝﾋﾟｯｸ噺~,映画｢ﾄﾞﾗｲﾌﾞﾏｲｶｰ｣助監督） 第6話
ＣＰ：濱谷晃一（過去作/警視庁ｾﾞﾛ係ｼﾘｰｽﾞ,ｼﾞｬﾝﾇの裁き）
撮影：近藤龍人（過去作/映画｢万引き家族｣,映画｢ある男｣,映画｢怪物｣）
美術：三ツ松けいこ（過去作/映画｢海街diary｣,映画｢溺れるﾅｲﾌ｣,映画｢万引き家族｣）
衣装：伊賀大介（過去作/俺の話は長い,大豆田とわ子と三人の元夫,17才の帝国）
音楽：大友良英（過去作/あまちゃん,いだてん,しもべえ,ﾄｸﾒｲ!警視庁特別会計係）
※敬称略

後編へのお楽しみのために、核心的な部分は書かない

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

【基本情報】
　●原作(小説)は、既読。
　●Disney+で全10話配信済みは、未鑑賞。
　●同じ原作の黒沢明監督『どですかでん』は、大好き！
　※原則、原作(小説)、映画とは比較、ネタバレやりません。

ついつい、原作も映画『どですかでん』も大好きな作品だから、この実写ドラマ版との比較を知らぬうちにも、読者様からの質問コメントでもやってしまう。

しかし、今回の『かんもどき』は原作でもかなりの長尺であるため、今作では「前後編」の構成だ。

従って、『がんもどき前編』については、後編へのお楽しみのために、核心的な部分は書かない。

とはいえ、読みたい人だけ向けに、この感想の後ろのほうに、私のおもいも書いてみる。

今作ならではのアレンジがあちらこちらに施されている…

まずは今作、今回の感想だ。

まだ今回を見ていない人は、是非とも見てから読んだほうが良い。

内容的にも、映像的にも、掘り下げてしまうから。

と、前置きしたので書いてみる。

「原作と比較しない」と書いた直後だが、原作の舞台は「集団就職の世界」である。

しかし今作では、「12年前の “ナニ” で被災した人々が身を寄せる、コロナ禍の仮設住宅」が舞台だ。

従って、今作ならではのアレンジがあちらこちらに施されている… とだけ書いておく。

偽善、贖罪意識、優越感には貧しい立場の人間のほうが敏感

とにかく、原作も映画も、とてつもなくリアルで、シビアで、センセーショナルなのだ。

だから、当然、時代を含めた設定移動させたら、すべてが薄まるし、意味も変わってくるのは当然だ。

しかし、繰り返しになるが、今作らしいアレンジはアレンジで、脚本の宮藤官九郎氏の原作と映画へのリスペクトがひしひしと伝わる。

例えば、序盤の状況説明のくだりで、たんばさん（ベンガル）が半助（池松壮亮）らに、かつ子（三浦透子）の事情を説明する。

たんば「社長夫人に反感持たないのは
　この住人と彼女が同類だからだよ。
　同類から生まれた成功者だよ」

ここが現代風へ巧みにアレンジされている。

それでも、女性の低賃金労働の問題は今もなお社会問題として存在する。

更にいえば、全ての低賃金労働者が心のどこかで “自分だけで良いから底辺から抜け出したい” と心底から願っていることを表してもいる。

また、悲しい性(さが)だが、偽善行為、贖罪(しょくざい)意識、優越感については貧しい立場の人間のほうが敏感なものだ。

だから、次の、たんばさんのセリフが、今作が「底辺で生きる人々の日常を描くドラマ」として意味と意義を示していると思う。

たんば「働けど働けど報われず
　楽にならない我が暮らし。
　そんな理不尽な境遇をこう
　具現化したのがかつ子ちゃんなんだよ。
　実写版貧乏みたいな」

なぜ、かつ子が「潰れたがんもどき」と呼ばれているのか？

今回を見終えて人なら分かると思う。

なぜ、かつ子が「まるで潰れたがんもどき」と呼ばれているのか？

私の勝手な解釈だが。

食材としての「がんもどき」は、揚げたてはそのままでもおいしいし、さ～っと醤油をかけただけで絶品だ。

でも、揚がってから時間がたったら、他の材料や調味料のうまみを吸わせないと食材としておいしくない。

また、そもそも「がんもどき」は精進料理であり “肉の代用品” で、鴨に似た鳥類「雁(がん)」の肉に似せた「もどき料理」だ。

製法に注目すれば、水気をしぼった豆腐にすったニンジン、ゴボウ、ギンナン、ヤマイモなどを混ぜ裏ごしし混ぜ合わせ、元の素材の原型をとどめない食べ物でもある。

これ以上書くのは野暮だからやめておくが。

かつ子の外見、今風にいえばルッキズムからきている一面もあるが。

出来立てはおいしいけど、時間がたったら単独ではうまくない的な部分や。

周囲のうまみを吸収しておいしくなるみたいな部分は、何となく意味深につながるとも思う。

もちろん、性欲を含めた様々欲望のはけ口としての “誰かのもどき” でもあるわけだが。

外に見えていることと、内側で行われていることは違う…

もう一つ注目したシーンが、かつ子の内職を見て、かつ子の叔父・京太（岩松了）がふと嫌味をこぼす場面だ。

京太「不織布マスクハハハ…。
　まさか手作業とは思うまい」

新型コロナウイルスが未知の感染ウイルスだと恐れられていたころ、多くの人は「個包装の国内製造の不織布マスク」を買い求めたのを覚えている人も多いのでは？

しかし、その現実は、その裏側は… である。

これは、前々回『僕のワイフ』や前回『プールのある家』との共通点でもあるが、外に見えていることと、内側で行われていることは違う… ってことの別表現になっている。

今どきは、避難所でもプライベートが確保されるような工夫がされているが、＜プライベート＝秘密＞ でもあるわけで。

それを覗き見している視聴者が、実は最も下衆であり、その感覚も多くの人の中に存在していると思う。

う～ん、まとめるのが難しい。

親と分かり合えない長男の苦悩と葛藤の続編的なくだり…

まとめられないから、強引に終わりにしちゃおう（笑）

今回、かつ子と同時に描かれたのが、第2話『親おもい』で描かれた与田タツヤ（仲野太賀）、母・しのぶ（坂井真紀）、兄・シンゴ（YOUNG　DAIS）による、親と分かり合えない長男の苦悩と葛藤の続編的なくだりだ。

ついに、しのぶがタツヤを残して家を出て行ってしまった。

分かり合えないなりに、母が喜ぶ顔見たさに頑張り続けるタツヤの今後を見守りたい。

映画『どですかでん』で駆使される映像と音楽の対立法

では、私なりの「熱いおもい」を綴ってみる。
当然だが、ほぼネタバレになるから、読むなら自己責任で。

且つ、あくまでも原作や映画についての私個人の見解だから、以下の部分についての議論はやるつもりは一切ない。
ここは、ドラマ『季節のない街』の感想ブログだから

今回、『がんもどき』をドラマ化すると知って、注目していたのが父親が娘を強姦(ごうかん)するシーンだ。

この衝撃の場面があるから、当然に演出は宮藤官九郎氏が担当すると思ったが、実際は第3話『半助と猫』を担当した横浜聡子氏だ。
※ウィキペディアの表記は誤り。当方、本編映像で確認済み。

横浜聡子氏の演出は、画面全体を日本の伝統色「今様色(いまよういろ)」のようなフィルターのライティングで、かつ子と夕暮れの切なさを重ねたような “色彩のない映像的演出”になっていた。

「今様色(いまよういろ)」とは、「今流行りの色」という意味が、平安時代の流行色で「少し淡い紅色」のこと。
『源氏物語』の玉鬘(たまかずら)の巻で、光源氏が、最愛の妻である “紫の上 ” への贈り物の衣装に「今様色」を用いられたことから、高貴な人が身にまとう色という解釈もある。

黒澤明監督の映画『どですかでん』では、黒澤監督と音楽担当・武部満とタッグを組み、映像と音楽の対立法を駆使している。

一般的な映像と音楽の関係は調和や連続によって印象付けをやる。

しかし、対立法では、あえて映像と相反する感じの音楽を当てることによって不調和から生じる違和感によって強烈な印象付けをやるのだ。

そして、この「父親が娘を」のシーンでは、かつ子は造花づくりの内職をやるのだが、その畳の上に散らばる造花がすべて原色で、とても鮮やかな映像美になっており、悲惨な内容と映像美が対照的になる。

更に、今作でもカメラアングルは俯瞰（真上から撮影する）が採用されていたが。

映画では、もっと被写体の足先まで全身が映り込む引きのサイズで、「花園の中の父と娘」を描き出すのだ。

ここは、どちらが良い悪いではなく、各自が見て確認し、受け止めるべきだから、私の答えは書かない。

ただ、第3話で、あれほどに「引きの画」を多用した横浜聡子氏が、この場面で寄ったのは定かでないし、少々解せないが。

映画『どですかでん』を未見の方、この機会に下記のリンクから購入して、残り３話を映画と見比べるのもアリだと思います。

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あとがき

後編は、最近のテレビドラマでは見られないような展開を描くのか楽しみです。

もしも、原作に沿って描くならオカベ（渡辺大知）が最重要人物だとだけ書いておきます。

今回も、まとまりませんでした。

それと、繰り返しますが、原作や映画についてのコメントにはお答えしませんので、あしからず…

（注）「Disney+で全10話配信済み」のネタバレのコメント、お控えください。

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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