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連続テレビ小説「虎に翼」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第22週『女房に惚れてお家繁盛?』「土曜日版」の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


昭和31年。星家で暮らしはじめた寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)だが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕真花)とはまだぎこちない雰囲気だ。百合(余貴美子)が家事全般をほぼ一人で引き受けていることに疑問を感じた寅子は、つい苦言を呈してしまう。一方、地裁では判事補・秋山(渡邉美穂)が予期せず妊娠したことを寅子に告げる。秋山の件をきっかけに女性法曹の労働環境を良くしたいと考えた寅子は「意見書」をまとめ、桂場(松山ケンイチ)に提出する。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11,14,16,19,20
   橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8,13.18,22
   安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12
   伊集院悠(過去作/オーディオドラマ・FMシアター「告白の対価」静岡局制作) 第15
   相澤一樹(過去作/BSプレミアム:善人長屋 第5話のみ,単発:月食の夜は) 第17
   酒井悠(過去作/兵庫発地域ドラマ「あったまるユートピア」,FMシアター「ふたつのせかい」) 第21
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト 新窓で開きます
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略



土曜日版の感想も、思いきり"本気の読者の集い"にしよう

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

「土曜日版」の感想だけ読みにきてくださる読者様もいらっしゃるので補強しておきますが。

昨日、金曜日分の感想の冒頭に、次のように書きました。

ブログの常連さんはご存じだと思います。
朝ドラの感想への Web拍手が「30」を下回るようになったら、私を含めた “本気の読者の集い” になると(笑)
投稿時点の前回への拍手が「31」なので、もうすぐです(爆)

しかし、今朝(本記事の投稿時点)になったら、まさかの「54」もいただきました(驚)

きっと、心の中でもやもやしていた「今作はこんなんじゃない!」の同志の数だと思います。

今日は、「本編」よりも読者数は少ないと思いますが、思いっきり “本気の読者の集い” にしようと思います。

編集の目的は、"家族のようなもの"以外は可能な限り削る

今週の「土曜日版」の編集の最大の意図は恐らく、<“家族のようなもの” 以外は可能な限り削る> だろう。

要するに、今週で描きたかったのは “家族のようなもの” だと主張しているのが「土曜日版」だってことだ。

まあ、「本編」だって、あれこれと盛り込まれていたが、よく見れば “家族のようなもの” だけだったわけだが。

それが、ダイジェスト版になって際立った“だけ” のことだ。

もちろん、「本編」の全5回を見た人なら、「こんな印象だっけ?」なのは言うまでもない。

「女性の働く道」のくだりも、単なる"秋山の紹介エピ"に!?

まず「こんな印象だっけ?」と感じたのは、判事補・秋山(渡邉美穂)のくだりも同じだ。

「本編」よりも、ナレーションでの補強をして、短い尺ながらも印象づけてはいる。

でも、細かく書かないが、穂高重親(小林薫)と寅子の回想シーンも「意見書」とつながっている感じは乏しいし。

そもそも、星家の騒動とも、あまり関連性を感じにくい

きっと、作り手も承知しているのだろう。

“寅子のお手柄エピソード” の印象を薄めて、“秋山の紹介エピ” に仕立て直した感じだ。

だったら、今週に盛り込む必要なかったと思うが。

"唐突な朋一のキャラ変"が再編集で気にならない程度に…

この「土曜日版」で良かったについて。

先週分が無い上に、今週の序盤にあった航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)と長女・のどか(尾碕真花)の悪態シーンが削除されたため、特に朋一の <突然のキャラ変> の印象がほぼ感じられずに済んだ。
※キャラ変とは、すでに認識されている性格や傾向を変えること

また、百合(余貴美子)も “ホラーなおばあちゃん” の印象を薄め、“優しい人のいいおばあちゃん” へ仕立て直した。

いや、むしろ、“百合がいたから” 星家の問題がサクッと解決したように編集したのだ。

繰り返すが、「本編」の全5回を見た人なら「はて?」なのは言うまでもない。

しかし、強引にでも、寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)の大活躍で星家の騒動が沈静化した印象に見せたのは評価したい。

というわけで、ダイジェスト版としては、かなり頑張ったと思う。

この程度で解決する星家の騒動なら…

さて、この「土曜日版」を見て、改めて考えたことを書いてみる。

ハッキリ言うが。
家族マージャン程度の心の通じ合いで解決する程度の “家族のようなもの” の騒動、問題、トラブルであるなら、「本編」の感想にも書いたが、寅子が次のことをやるだけで良かったのでは?

本格的な同居の前に、直明(三山凌輝)の婚約者・玲美(菊池和澄)から花江(森田望智)への「お試し」で同居してみてはどうかと提案したくだりのような “同居のようなもの” をやってみる

本格的な同居の前に、みんなの真意を問い、家族の方向性を見出すための猪爪家・佐田家恒例の “家族会議のようなもの” や “家族裁判会議のようなもの” をやってみる

これ、言いたくないが、わざわざ事前に両者の話し合いを無い設定にして、騒動をつくった… に近いと思う。

これでは、「騒動至上主義」改め、トラブル依存症候群(人間描写が蔑ろにしてまで、物語の構築を騒動ばかりに依存するドラマづくりのこと)と同じ愚策ということになるのだ。

家庭のくだりが"似たようなネタばかり"に見えてしまう理由

ただ、ここで一つ擁護しておくと。

誰の目にも「トラブル依存症」だと思われたくないから、「本編」でも「土曜日版」でも、猪爪家のお試し同居での “嫁姑問題のようなもの” を強調しなかった(尻切れトンボのままの)可能性だ。

ただ、その擁護も、聡明な読者様なら私の付け焼き刃であることはお見通しだと思う(苦笑)

やはり、私(たち)は星家の面々よりも花江に大いになじみがあるのだ。

だから、たとえワンシーンでも「お悩み中の花江ちゃん」を見せられれば、否が応でも “気になる” のだ。

つまり、何が言いたいのか?

なぜ、猪爪家のときは “同居問題” をあれこれ描いたのに、星家ではやらないの? である。

猪爪家では、ちゃんと “嫁姑問題のようなもの” を描いたのは、ご存じのとおりだ。

8月27日放送の第107回では、寅子と優未が興味を示したように描写した上で、「料理の味付けを聞く、聞かない」に言及して描いた。

それこそ、寅子の母・はる(石田ゆり子)が生前のころには、花江との数々の “本物の嫁姑による同居問題” を盛り込んだのだ。

一方の星家のくだりでは、「朝食はご飯かパンか?」と似たようなエピソードはあったが、ほぼそれだけで、あとは悪態をついている兄妹のみ。

おなじ主人公の家族なのに、わざわざ変える意味が分からない。

と同時に、これだから「似たようなネタばかり」に見えるわけだ。

優未に"年齢が近い初めての兄姉"ができる楽しいエピなら…

であるから、先日から書いている「こうしたら良かったのに」をやるべきだったと考える。

世間の夏休みの前に。

同居する前に「家族会議」をやって、個々の思いを相手に伝え、兄妹が「新しいお母さんと妹と一緒に暮らせてハッピー!」で良かったと思う。

だって、この2週間の描写では、完全に忘れていると思うが。

優未にとっては、新たな「ステップファミリー」としての “兄” と “姉” ができることなのだ。

ステップファミリーとは、夫婦の一方あるいは双方が、子どもを連れて再婚したときに誕生する家族のことです。
ステップファミリーについて - 東大阪市 新窓で開きます

詳しくは、下記の投稿をご参照ください。
拍手コメント返信(2024/8/30):虎に翼(第110回) ※ステップファミリーを築くトラちゃんのエピソードにしたかったのなら… 新窓で開きます

「そのとおりだ!」と察知された読者様なら分かるはずだ。

「新潟編」で母・寅子と二人きりで同居する以前の “優未” には、“実母のようなもの=花江ちゃん” や“実兄のようなもの=直明・直人・直治” は存在したが。

生まれたときにすでに父・優三(仲野太賀)はおらず、ずっと一人っ子だったのだ。

だから、しつこくて恐縮だが、朋一とのどかを優未と同世代にしておけば良かったのだ。

そうすれば、優未にとっての“年齢が近い初めての兄姉” となったわけだ。

まとめ

まとめよう。

いまさら言っても書いても無駄ではあるが。

猪爪家と似たような嫁姑問題や同居問題を繰り返さずに。

最初から、星家が寅子と優未を快く受け入れて、新しい星家で描く楽しいホームドラマを、リアルな夏休みに放送するだけで良かったと思う。

あとがき

「虎に翼」番組CPに聞く 最終回どうなる?吉田脚本絶賛「エンタメと主張の両立」同性婚描写は自然な流れ― スポニチ Sponichi Annex 芸能 新窓で開きます

虎に翼:朝ドラで夫婦別姓&同性婚に切り込んだ理由 “婚姻制度”について「何か考えるきっかけになれば」 制作統括が語る - MANTANWEB(まんたんウェブ) 新窓で開きます

いよいよ金曜日の放送終了後から、制作統括と脚本家、応援団らが反撃し始めましたね。

褒め殺し合いは、楽しいんでしょうけれど。

こういうネットニュースが躍るときは、だいたい… 自粛。

厳しいようですが、プロなら全て映像で伝えるべきです。

おっと、私、まだまだ見捨てていませんから!
ラスト1か月で盛り返すと信じます… 一応。


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ビリオン×スクール

フジテレビ系・金曜9時枠のドラマ『ビリオン×スクール』
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第9話『伏線全回収!AI教師は親子の絆を取り戻せるか』の感想。


加賀美零(山田涼介)は、失われた記憶を取り戻し、絵都学園校長の東堂真紀子(水野美紀)と過去に関係があったことを思い出す。そんな中、0組の東堂雪美(大原梓)が行方不明になり、加賀美と芹沢一花(木南晴夏)は捜索を開始。一方、真紀子はICレコーダーの紛失に気づく。その頃、雪美は校舎の屋上でICレコーダーを聞いていたが、そこに梅野ひめ香(上坂樹里)と城島佑(奥野壮)が現れる。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:我人祥太(過去作/墜落JKと廃人教師,奪われた僕たち,ゴーストヤンキー)
脚本協力:西垣匡基(過去作/) 第2
演出:瑠東東一郎(過去作/浦安鉄筋家族,極主夫道,魔法のリノベ) 第1,2,6
   西岡和宏(過去作/親愛なる僕へ殺意をこめて,元彼の遺言状,婚活1000本ノック) 第3,4,8,9
   松下敏也(過去作/元彼の遺言状,DIVE!!,映画「Gメン」助監督) 第5
   塚田芽来(過去作/地上波ドラマ不明,高嶺のハナさん,ビハインドオーケストラ) 第7
音楽:宮崎誠(過去作/今だから、新作ドラマ作ってみました 第3夜「転・コウ・生」)
主題歌:Ado「ルル」
P:江花松樹(過去作/うちの弁護士は手がかかる,クライムファミリー)
※敬称略



"学園モノ"としての構成、表現が秀逸!

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

次回の感想は、(諸般の事情で)土曜朝には投稿できなそうなので、今回ガッツリ書いてみます。
※もちろん、追って投稿します。

まず、全体の構成について。

冒頭の、意外なイントロ「三者面談」から始まって、これまで蓄積してきた… ほぼ全ての案件を網羅。

ラストを含めて、主人公が抱えてきた波乱万丈&怒涛の人生のドラマチックな回収。

奇をてらうことなく、正攻法で描く「令和6年の学園ドラマ」として、やりきった… と思う。

さらに、全編の表現をできるだけ「学校・教育用語」を使って描写していることで、金太郎飴的にどこを見ても「学園モノ」に見えるのも評価したい。

だって、最近は「医療モノ」なのに「人情モノ」、「政治モノ」なのに「考察系」など、どっちつかずの作品が乱立しているから、筋を通しているだけで評価の対象になるのだ。

梅野「被害者ぶって死ぬのは ずるい!」のセリフの鋭さ

では、ここから「今回ガッツリ書いてみる」をやってみよう。

私が最初に心に刺さったのが。

絵都学園の校舎の屋上から飛び降りようとしている東堂雪美(大原梓)に、梅野ひめ香(上坂樹里)がぶつけたセリフだ。

梅野「ずっと あなたに
 死んでほしいと思ってた。
 死んでほしいときに 死んでくれないで
 受け入れようとし始めたときに死ぬのは…。
 ずるい。
 (中略)被害者ぶって死ぬのは ずるい!」

このセリフに「いいね」と思うのは、誤解を招くかもしれない。

でも、今は偉そうに書いている私も、小学生時代はかなりのいじめられっ子で。

あれから 50年近くたって、ようやく「あんな時代もあった…」と消化できるようになったから、この梅野が雪美に投げつけた言葉の真意がよく分かる。

たまに、テレビなどで「私は若いころに散々悪いことをやって迷惑かけたけど、家族ができたからなかったことに」と改心したことを表明するような場面を目にするが、私は前述の過去があるから基本的に許容しない。

だって、“まだ” 自分のことだけしか考えていない可能性があるから。

おっと、熱くなり過ぎた(謝)

でも、いじめたほうにとっては「若気の至り」でも、いじめを受けた側にとっては「一生消えない苦痛」なのだから。

第三者の"本気の説教"が他者の心を動かすことはあると思う

上記の場面の直後に、加賀美零(山田涼介)が雪美に言うセリフもいい

加賀美「悩むのはいい。
 だが… 死ぬまで悩むのは バカだ。大バカだ」
雪美「みんなして… 何 説教してんだよ」

異論反論、大いにあると思う。

でも、教師、担任といえど赤の他人、そんな第三者の “本気の説教” が、他者の心を動かすことはあると思う。

昨今は、容易に赤の他人に声掛けすることさえ「○○ハラだ」とか。

暴言と見なされれば、軽犯罪法違反、 名誉毀損(きそん)罪・侮辱罪、脅迫罪・恐喝罪・強要罪、威力業務妨害罪などに問われる時代。

当然だが、教師と生徒の関係であっても同じだ。

こういう “ご時世” に、このようなやり取りをサクッと忍ばせるあたりも、今作が攻めたドラマである証拠だ。

もちろん、直後に「職務怠慢な教師じゃないんでな」と、雪美が加賀美を受け入れ始めたカットを加える演出も繊細だ。

加賀美からの悩みを抱える全ての人たちへの"慈悲のことば"

さて、最後に採りあげるのは、終盤で加賀美が、絵都学園校長の東堂真紀子(水野美紀)と雪美の “ねじ曲がった母子関係” に対して、持論を展開する場面。

加賀美「親だろうが教師だろうが
 人間である限り 過ちを犯す。
 だが たった一つの過ちで
 その人の全てを否定する必要はない。
 信じてた言葉や感じた感情まで
 否定する必要はない。
 その人を好きだった自分まで
 否定することはないんだ」

前述の、いじめた側にとっては「若気の至り」への私の意見と違うと思われるかもしれないが、そうではないのだ。

ここで注視したいのは、次の二点だ。

●たった一つの過ち
●その人を好きだった自分まで否定することはないんだ

やはり、過ちだって「繰り返し」と「たった一つ」では意味合いが違うし。

このセリフが心に刺さるのは「その人を好きだった自分まで否定することはないんだ」の部分。

これ、ある意味で、悩みを抱える全ての人たちへの「慈悲のことば」に聞こえた。

ほら、例えば、「いじめられ続けた自分が悪いんじゃないか?」のような否定の感情に対する、いつくしみ、救いのような。

もちろん、このセリフは加賀美自身や、父・治(市村正親)への言葉でもあるわけで。

徹底的に、全編が「担任教師の指導」で紡がれているのが、本当に見事だ。

相手が変わったからって、自分は簡単には変われない…

まとめよう。

今作としても、今回としても、類似の「学園ドラマ」から傑出していると思うのは。

前回で改心した元陸上部のエースで暴力事件を起こしてゼロ組へ転落した城島佑(奥野壮)と今回の雪美は変化させても、梅野らを含めた0組の同級生たちの言動を変化させなかったことだ。

並みの学園モノだったら、「誤ってくれるのなら許しちゃう」的な、いわゆる “きれいごと” に着地させると思う。

でも、今作は「自分まで否定することはない」だから、相手が変わったからって自分は簡単には変われない… ということだ。

この辺の主張の一貫性も、ドラマとしてブレずに進んでいるのもよく精査されていると思う。

あとがき

世間では、評価どころか、あまり話題になっていない今作ですが。

「令和6年の学園ドラマ」として、かなり攻めていると思います。

また、山田涼介さんの鬼気迫る演技も素晴らしかったです。

さらに、今回は梅野 役の上坂樹里さん、雪美 役の大原梓さんの好演が際立ちました。

他にも多くの若手俳優さんが出演されていますが、皆さん個性的で今後が楽しみです。

さて、次回からの最終章、どうなるのか目が離せません。


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※敬称略



今回も通常運転で"見たまま感じたまま"を書こうと思います

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

当ブログの常連さんはご存じだと思います。

朝ドラの感想への Web拍手が「30」を下回るようになったら、私を含めた “本気の読者の集い” になると(笑)

投稿時点の前回への拍手が「31」なので、もうすぐです(爆)

私は、私と異なる意見、味方、考え方を否定するつもりはないです。

同時に、疑問視はともかく、敵対視されたり押し付けられたりされる筋合いもないです。

意見交換なら、別ですが。

というわけで、今回も、通常運転で “見たまま感じたまま” を書こうと思います。

もちろん、賛同、共感は大きな励みになります!

「こういう兄妹もいるでしょうね」と思えば、許容できる

今週の内容に、どうしても納得できない…

いくら「脚本が遅れている」としても(噂だが)、あまりにも「新潟編」からの落差がすごいので…

そこで、今朝、早起きして直前2週間の録画を見直した。

まず、再チェックで分かったのは…

航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)と、長女・のどか(尾碕真花)の状況設定をはじめ、父や家族への思い、途中からの心情変化も、納得できなくても受け入れるしかないということだ。

簡単に言えば、「こういう兄と妹もいるでしょうね」と思えば、許容できるというわけだ。

そうでもしないと、<私> は、今週分を全否定せざるを得ない。

でも全否定をしないのは、<私> は、最終回まで見たいし、また面白くなると期待しているから。

"家族のようなもの"の前に、"同居のようなもの"があれば…

称賛の感想なら3時間超でも苦にならないが、そうでないからサクッと進めよう。

結論から言わせていただくなら。

この程度の “結末” や “回収もどき” なら…
寅子(伊藤沙莉)が違和感を覚えた同居直後の早々に「家族裁判」でみんなが本音を出し合って、1週間 “笑顔の絶えないシン・星家のホームドラマ” で良かったと思う。

結局、他の案件(あとで書くが)を含めて、今作では “初” のトラブル依存症候群(人間描写が蔑ろにしてまで、物語の構築を騒動ばかりに依存するドラマづくりのこと:「騒動至上主義」改め)の1週間だったと思う。

せめて、せめて、聡明な登場人物たちを描く今作なのだから。

“家族のようなもの” を始める前に、お試し的な “同居のようなもの”、例えば「週末だけ」「平日3日間と日曜だけ」なんて提案こそが、主人公さしさ…だと思うし。

そのような提案をすることで、「星家の騒動」が、8月19日放送の第101回での、直明(三山凌輝)の婚約者・玲美(菊池和澄)から花江(森田望智)への「お試し」で同居してみてはどうかと提案したくだりと、つながるのでは?

これでは、聡明であるはずの主人公が “学習しない人” になってしまったとするのも過言でないのだが…

週初に描いた"ホラーな百合"から展開すべきだったのでは?

感想の主旨は上記で済ませたので、ここからは補足と蛇足。

まず、少なくとも今週で描こうとしていたのは。

寅子と優未(毎田暖乃)が、星家の面々と “家族のようなもの” を始めたものの、航一意外の家族に抱いた “違和” だったのでは?

それだから、脚本だけでなく演出でも必要以上に、百合(余貴美子)をホラー風に装飾したのでは?

確かに、百合、朋一、のどかは個性的だ。

“家族のようなもの” という同居体制も特殊ではある。

ただ、週の中盤での “朋一の突如のキャラ変” を機に、描いていることは別段個性的、特別感も失った。

だって、言ってしまえば、今までの慣れ親しんだ環境が無くなるのが良くも悪くも怖かった… 程度。

これ、別に今作でなければ描けないことではないと思うが。

また、困ったことに、現在進行中の花江と玲美の猪爪家のお悩み相談事とも、先日の裁判所で開かれた中学生向けの勉強会とも、完全に内容が乖離してしまっている。

判事補・秋山(渡邉美穂)の妊娠騒動の顛末は、「昭和31年(1931)12月」へ時間経過しているから積極的に評価できないが、ぎりぎりで「星家の騒動」とつながったとしておくが。

折角の様々な要素が、ほぼ無関係のまま終了…

今作で第二弾の「こうしたら良かったのに」を無駄を承知で書いてみる。

そもそも、今週は、月曜日のアバンタイトルでの星家での家族マージャンで始まった。

そして、その席での、寅子や優未と楽しく話す百合の姿を見た朋一とのどかに違和を感じたのがスタートなのだ。

だったら、寅子らが来てから突然に変化した百合を中心に物語を展開しないのは、むしろ不自然では?

その「姑・百合と嫁・寅子」の先に「姑のような花江と嫁のような玲美」を配置し描いたのでは?

「働く女性と家にいる女性」の先に「勉強会」「妊娠」「意見書」を持ってきたのでは?

兄妹が優未と同世代なら、優未を潤滑材に利用できたのに…

こんなのだって、意外と簡単に違和感を払しょくできた可能性はある。

例えば。

感じ方は人それぞれだろうが、昭和30年代初頭とすると、タバコを合法で吸える兄妹の思いとしては、幼すぎると思うのだ。

であるから、前回の感想で次のように「こうしたら良かったのに」の第一弾を書いたのだ。

航一とのどかを優未と同年代にしたほうが良かったのでは?

もしも、朋一とのどかが優未と同世代にしていたら、「今までと違った環境になる不安、分かるぅ」もアリだし。

父を亡くしている優未だからこそ、一人っ子の優未だからこそ、兄妹が父を思う気持ちに寄り添いたいと考えるのもアリだし。

折角、「おなか ぎゅるぎゅる」まで盛り込んだのなら、なぜもっと優未を利用しないのか? の、これまでの仕上がりに比べると脚本家への違和もある。

まあ、ベビーシッターが富裕層の間で普及し始めたのが、1960年代だから、それを盛り込みたかっただけの可能性もあるが。

出典:ベビーシッターのズバリ!将来性は?【スタディサプリ 進路】 新窓で開きます

あとがき

う~ん、ハッキリ言いまして、「星家の騒動」って必要でしたかね?

以前にも書きましたが、寅子、優未、花江をまずは描くべきだったのでは?

結局、今月一か月は、“ドラマ” として長~い夏休みだった… と好意的に解釈しておきます。

来週から、いよいよラスト1か月。

まずは、下記のネタで、夏休み明けで元気を補給した生き生きした脚本に期待します。


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拍手[56回]

連続テレビ小説「虎に翼」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第109回第22週『女房に惚れてお家繁盛?』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


秋山(渡邉美穂)の妊娠をきっかけに、女性法曹のためによりよい労働環境を整えたいと寅子(伊藤沙莉)は「意見書」をまとめ、桂場(松山ケンイチ)に提出する。一方、星家では優未(毎田暖乃)の提案で、かつての猪爪家で使われていた番号付きの棚を導入することに。棚作りに朋一(井上祐貴)が加わるが、のどか(尾碕真花)だけは冷ややかで─。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7,10,11,14,16,19,20
   橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8,13.18,22
   安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9,12
   伊集院悠(過去作/オーディオドラマ・FMシアター「告白の対価」静岡局制作) 第15
   相澤一樹(過去作/BSプレミアム:善人長屋 第5話のみ,単発:月食の夜は) 第17
   酒井悠(過去作/兵庫発地域ドラマ「あったまるユートピア」,FMシアター「ふたつのせかい」) 第21
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
裁判所考証:荒井史男(元名古屋高裁長官 定年退官)
風俗考証:天野隆子(過去作/ごちそうさん,花子とアン,スカーレット)
旧字考証:三浦直人(明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
医事考証:冨田泰彦(過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康)
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉(福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト 新窓で開きます
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略



月曜以外は「1分14秒版」なのに、今日は「1分29秒版」に

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

台風10号(サンサン)により、被害を受けられた方々には心よりお見舞い申し上げます。
皆様のご安全とご健康を心よりお祈り申し上げます。
もちろん、進路先の私も一層の注意をしようと思います。

今回、メインタイトル映像が「1分29秒版」になっていた。

通常、月曜日以外は「1分14秒版」だから、それくらい「描くことがない」のだと思わざるを得ない今回の15分間だったような。

さらに、前回の感想で思い切って本音を書かせていただいた。

もしかして、台本遅れでプロットだけが撮影前にスタッフに渡され、制作と演出パート内で調整し、現場合わせで作り込んでいるかも? という推測です。

数名の読者様から「なぜ、推測できるの?」と質問があったので、今回の感想はその答えを意識しつつ書いてみる。

前回同様に、展開の粗さが気になる…

まず、これは「分かる人には分かる」としか言いようがないし。
「楽しい、面白いと思う人は、それで良いと思う」としか言いようがない。

この大前提で。

前回同様に、現時点で脚本上で描こうとしていること、「働く女性のための意見書」と「風変わりな星家のお話」で視聴者に伝えたいことは分かっているつもりだ。

いや、勝手な思い込みではあるが “分かっているつもり” だから、展開の粗さが気になるのだ。

そう、「もっとうまく見せて(show)魅せ(fascinate)れば良いのに…」と。

トラちゃんに意見書よりも大きな翼で羽ばたかせたていたら

まず、「働く女性のための意見書」のくだり。

ネットの‘トラつば擁護界隈’では、前回の 「私たちが次にするべきは道の開拓ではなく、舗装です」が名言だとお祭り騒ぎだが。

そもそも、前回で書いたように、「意見書」という方法論を含めた “一連の流れ” が今作、いいや寅子らしくないのだ。

至って、普通というか、ことわざ「虎に翼=ただでさえ強い力をもつ者が、さらに強い力を持つことのたとえ」にふさわしいとは思えないのだ。

この意見書のくだりは、恐らく完全フィクションだから、もっと脚本家が “想像の翼” を発揮して、トラちゃんに大きな翼で羽ばたかせたら良かったと思う。

前回の穂高重親(小林薫)の寅子の態度を含めて、オリジナリティーを発揮したら良いのに…

「ホラーな星家の騒動」が「風変わりな星家のお話」に

さて、私自身の心の叫び「はて?」は、「風変わりな星家のお話」では更に大きな「はて?」に。

以前は「ホラーな星家の騒動」だったが、回を重ねるごとにトーンダウンして、今回は「風変わりな星家のお話」に。

まあ、こうなると、描いているのは、「生活習慣が違う嫁とその娘がやって来て混乱している名家のあるある」になっている。

面白いかどうかは個人の判断だが、朝ドラ的に見れば「至ってフツーのホームドラマ」で悪いとは思わないが。

"複雑な家庭環境や人間関係"で、後に"何"を描いたのか!?

ただ、残り1か月と数回になったから書かせていただくと。

今作は、これまで様々な “複雑な家庭環境” や “複雑な人間関係” を用いたエピソードを描いてきた。

そのことは大いに認めるが。

では、それらの “特殊な設定” を “のちの展開” に活用して、描いたものは何なのか?

確かに、一定の問題提起を視聴者に投げかけたように見える。

見えるが、分かりやすい例を挙げれば、戦災孤児でスリの少年・道男(和田庵)や、両親が離婚調停中に窃盗事件の加害者となった少年・栄二(中本ユリス)、新潟の三条の大地主・森口(俵木藤汰)の娘・美佐江(片岡凜)で、その後に何を描いたのか? なのだ。

おっと、私が気づいていないだけで、盛り込まれている可能性はあるが。

脚本家が “複雑な家庭環境” や “複雑な人間関係” を描きたいという、ある種の趣味性や主体性、作家性発揮するのは、テーマ性につながる良いことだ。

でも、盛り込んだのなら活用しないと、“連ドラ” としての連続性が担保されないというか、切れてしまうのでは?

唐突な朋一のキャラ変が「星家の騒動」の致命的な部分

“複雑な家庭環境” や “複雑な人間関係” を描き中の星家のくだりで致命的なのは、連続性が担保されていない、切れてしまっているように見えていることなのだ。

その要因が、唐突に前回から、特に航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)がキャラクターがかなり変わったことだ。

もちろん、今回も書くが、好意的に考えれば、妹ののどか(尾碕真花)に言われて… とか、理由付けはできる。

できるが。

「そんなこと、見れば分かるでしょ?」「そこまで細かく見なくても?」は、既に好意的な脳内補完で、“ドラマ” でも “物語” でもないのだ!

航一とのどかを優未と同年代にしたほうが良かったのでは?

前回の感想で、出演者の年齢に言及した。

でも、今回の家族会議の様子を見て、こう思った。

そもそも、義理の家族である百合(余貴美子)はほぼ放置して、航一と息子と娘の関係しか描いていないのなら。

航一とのどかを優未(毎田暖乃)と同年代(中学生)にしたほうが良かったのでは? と。

それこそ、航一の亡き妻・星照子(安田聖愛)の連れ子にすれば問題なし。

そうすれば、朋一とのどかを、先日の「裁判所で開かれた中学生向けの勉強会」に登場した下記の3人に重ねることもできたのだ。

●裁判官を夢見る女子生徒・丘崎春子(垂水文音)
●粗暴な少年・大池玄太(斎藤汰鷹)
●当初は一番おとなしかったがキャラ変を始める優等生風の益岡良助(岩田奏)

もちろん、「重ねすぎ!」の意見もあろう。

しかし、あれ以降出番がないよりも “重ねる” ことで、“外で働く母親” との接点が生まれ「働く女性のための意見書」にも自然とつながると思うのだ。

「星家の騒動」は、全体的にもやもやする…

さらに、「風変わりな星家のお話」で解せないのは、客観的な意見を述べるキャラがいないこと。

もちろん、一般的なホームドラマにおける家族会議なんて、うちうちで、身内でやるものだ。

でも、今作で描かれた「家族会議」「家族裁判」は “意見のまとめ役” が存在した。

家長や年上が牛耳るのとは違う “意見のまとめ役” だ。

でも、星家では、互いの顔色をうかがう描写ばかりで、これまたスッキリしない

「そういう関係が星家」と言われればそれまでだし、何らかの決着は描くと思う。

でも、まどかの事件からマージャン大会の流れを見て気づいた人はいるのでは?

そう、脚本家から受け取ったプロットには結末が書いてあるから、そこまでの過程を演出で埋めている… と。

当然、脚本があって、結末もあって、でもそれでは15分間が埋まらないから、演出で補完している… 可能性もあるのだ。

だって、第1回から見続けていれば、「今週はおかしい…」と思わせる仕上がりだからだ。

あとがき

演出担当の橋本万葉さん、マージャン大会もうまく引っ張ったと思います。

あとは、特筆すべきことはありません…


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拍手[39回]

新宿野戦病院

フジテレビ系・水曜22時枠『新宿野戦病院』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)InstagramTikTok

第9話『恋の三角関係ついに終焉!?患者家族からのカスハラで訴訟の危機に!?』の感想。


岡本勇太(濱田 岳)はラブホテルで目を覚まし、焦る。部屋には南舞(橋本 愛)のエプロンが残されていた。一方、聖まごころ病院では堀井しのぶ(塚地武雅)の母・房江(藤田弓子)が退院。その頃、岡本は南との関係に悩み、彼女と話すが、南は誰とも付き合うつもりはないと告げて去る。そんな中、病院にアメリカのケーブルテレビが取材に訪れ、高峰啓介(柄本明)は医師たちの情報共有を提案する。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:宮藤官九郎(過去作/あまちゃん,俺の家の話,不適切にもほどがある!)
演出:河毛俊作(過去作/ナニワ金融道,きらきらひかる,救命病棟24時2009) 第1,2,5,8
   澤田鎌作(過去作/不毛地帯,元彼の遺言状,女神の教室) 第3,6
   清矢明子(過去作/ラジエーションハウスII 第8話のみ,僕たちの校内放送) 第4,7
   野田悠介(過去作/アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋2,競争の番人) 9
音楽:本多俊之(過去作/ニューヨーク恋物語,風のハルカ,家族ゲーム2013)

主題歌:サザンオールスターズ 「恋のブギウギナイト」 新窓で開きます
P:野田悠介(過去作/競争の番人,アンサング・シンデレラ,女神[テミス]の教室)
※敬称略



演出は、今作のプロデューサーである野田悠介氏が初担当

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

今回は、脚本担当の宮藤官九郎氏の様々なアイデアや思想がテンコ盛り。

その脚本の演出を手掛けたのは、今作のプロデューサーである野田悠介氏だ。

プロデューサーが演出を兼任することは、フジテレビでは意外と多い。

野田氏も過去に、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋2』(2020)や『競争の番人』(2022)で兼任している。

「自分でやろう」の真意は不明だが、「やりたい場面があった」と考えるのが普通だろうか?

まあ、あとに書くことを読めば、何となく分かるかもしれないが。

しのぶが母のために選んだ個性的なヘルパーさんに見る現実

さて、私なんぞが気がついた秀逸な部分だけでも、全部挙げたら数時間はかかってしまう。

今回は、厳選に厳選して書いてみる。

まず、大真面目なところから(笑)

序盤、堀井しのぶ(塚地武雅)の母・房江(藤田弓子)が、房江の介護のためにしのぶが雇ったホームヘルパー・甲斐(後藤剛範)にリハビリを促される場面。

はずき「できてたことも できなくなるからね」
しのぶ「できなかったことが
 できるようには ならないし」
はずき「認知症は そこが難しいのよ」

若い人たちにはピンとこないかもしれないが。

私は、両親の認知症介護をやって看取り、今義理の両親の認知症介護中だから、少しだけ上から体験談を書いてみる。

まず、認知症かどうかに関係なく、「老い」「加齢」による運動機能は、50歳代くらいから日に日に衰える。

特に、70歳以上は、「昨日できたことが今日できるだけで機能維持した」と解釈するくらいに、特に筋肉が衰える。

また、加齢症状に認知症が加わると「基本的に自主的に動かなくなる」ため、補助の手を借りてでも「積極的に動かす」をやらないと、数日で「三日前にできたこと」ができなくなる。

この辺の現実を今作が視聴者に提示したのだと思う。

さらに介護現場のリアルを描いていると思ったのが、房江がヘルパーの甲斐を「夫に似ている」と受け入れた場面だ。

意外と知られていないことだが、訪問ヘルパーと利用者の関係は “技術より相性” が大事… だ。

なぜなら、訪問ヘルパーと利用者の関係は、利用者からすればある意味で家族以上に深く親密だから、「心も体も許せる人」でないと受け入れない。

特に、認知症になると傾向が強くなるから、利用者家族や周囲の「評判」「人柄」などよりも、しのぶがやったような利用者目線になった人選が大事なのだ。

※この投稿は、現役助産師&看護師の監修を受けています。

よい意味で「オマージュ、悪く言えば「まるパクリ」(笑)

次は、当ブログらしく、映画関連。

今回の「過去の名監督&名作映画シリーズ」(←勝手に名付けました)に登場したのが、「ヴィンセント・ギャロ監督」と映画『バッファロー'66(1998)』での、若い男女の淡い恋を描いた劇中の「モーテルで過ごす時間」だ。

ここでは、映画『バッファロー'66』を掘り下げはしないが。
バッファロー'66 [Blu-ray] 新窓で開きます

ギャロ監督自身が主演、美術、音楽を担当した自伝的ラブストーリー。ただ、ディレクターの目線から一点だけ(もちろん気づいた人は大勢いると思う)。

ギャロ監督は、日本の名匠・小津安二郎監督から大きな影響を受けている。

小津演出の数々の特徴に「畳の上ギリギリに置いた低い位置の固定カメラでじっくりと人間を描写する」が、ある。

それを『バッファロー'66』で流用しているのが、モーテルのシーンだ。

もう、あれこれ語らないから、次の画像を見てほしい。

モーテルのシーン
©フジテレビ

上が今作、下が『バッファロー'66(1998)』のモーテルのシーンだ。

そう、よい意味で「リスペクト」「オマージュ」ありまくりだが、悪く言えば「まるパクリ」だ(笑)

もしかすると、野田氏は誰よりも “これ” を自分でやってみたかったのかも?

下の L'Arc~en~Cielの「Anemone」のMVが、ギャロ監督によるものだ。


患者の体の傷を治すのは外科医、心の傷を治すのは看護師

さて、もう一つ、大真面目なことを書いてみる。

カッターナイフで自ら陰茎を切断し、まごころに救急搬送された男性・OSAMU(浜中文一)と しのぶとのやり取りもグッとくる。

しのぶ「心と体の性が一致しているなんて
 ミラクル 奇跡なの」

ここまで読んでくださっている聡明な読者様なら、これ以上私が語る必要はないだろう。

今作がこれまで描いてきた “しのぶ” だからこそ、OSAMUに言えるセリフだ。

また、OSAMUのような人間だから、しのぶを見て全てを理解して「はい ごめんなさい」と素直に言った。

患者の体の傷を治すのは外科医だが、患者の心の傷を治すのは看護師。

この描写があるから、終盤での看護学校に通うことになったマユ / 宮嶋まゆ(伊東蒼)が、母・カヨ(臼田あさ美)を寂しくさせない心遣いと、しのぶがつながるのだ。

就業時間後の「カンファレンス」のアイデアが秀逸すぎる!

さて、ぼちぼち感想の核心にいこう。

今回での、脚本としての最も凄いアイデアは「カンファレンス」を利用した構成だ。

普通の、並みの “医療ドラマ” がよくやるのは、1話に一人か二人の患者を組み込んで、医師と患者の関係を描く… だ。

今回も、基本的に構造は同じなのだが、構成、仕掛け、アプローチが違うのだ。

「カンファレンス」を、更に「就業時間後」の設定にすることで、医療ドラマ” なのに医療従事者たちの医療行為を封印!したのが斬新だ。

「唐突な自分語り」「患者への言葉」に変換する描写も凄い

また、当ブログでは口癖のように次のように書いている。

「回想シーンは、ドラマでも物語でもない。ただの後出しの言い訳(説明)に過ぎない」のだ… と。

その愚の骨頂である「回想シーン」で医療行為を描き、その中でいろいろやった。

まず分かるのは、患者の案件が新宿歌舞伎町らしいこと。

その上で、担当する医師や看護師一人ひとりの個性を最大限にいかされたエピソードになっていること。

また、最近の並み、並み以下のドラマでよく見かける「唐突な自分語り」を、絶妙な感じの「患者への言葉」に変換していることが素晴らしい

これらの技法をシームレスに使うことで、緊張と弛緩、シリアスとコミカル、大真面目とおふざけが、いい意味でごちゃ混ぜに。

結局、あれよあれよと進んでいくうちに、“医療ドラマ” としても、“社会派ドラマ” としても、もちろん “ヒューマンドラマ” としても、大いに面白いのだ。

ホント、宮藤官九郎氏の脚本も秀逸だし、それを最大限に引き出した野田氏の演出もなかなかのものだ。

あとがき

ラストでは、未知の感染ウィルスが流行間近の「2025年」にワープ。

「大丈夫だよ。俺たち コロナも克服したんだから」が心強いですね。

でも、やはり「2024年夏、こんなに安心しちゃっていいの?」のクドカンの問いかけがあるのだと思います。

「今度は 正しく怖がらないと」と、御年75歳になられる柄本明さんが言うのが心に響きました…

最後に、前回の感想にたくさんの Web拍手をいただき、ありがとうございます。
最終回まで、今作を一緒に応援しましょう!


FODにて先行配信で次回を見た方、ネタバレコメントはご遠慮ください!


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フリーランスのホテル宴会(婚礼含む)&映像ディレクター"みっきー"が、テレビ、映画、CM、ディズニー、音楽などエンターテインメント全般の感想を綴ります。愛するが故に、記事により毒を吐きますがご勘弁を。


  • 管理人 自己紹介
【ハンドルネーム】
みっきー
【性別】
男性
【職業】
宴会/映像ディレクター(フリーランス)
【自己紹介】
東京下町生まれ千葉県在住。
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