ディレクターの目線blog

連続テレビ小説「虎に翼」（第87回・2024/7/30）感想 ※事務員・小野のカットが差し替わっている！

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第1話第2話

感想の趣旨について

当ブログの感想は、僭越ながら 「もっとこうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
作品の粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくること、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃が目的ではないことをご理解ください。

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[5回]

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2024/07/30 (Tue)11:32:44 ドラマ

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第87回／第18週『七人の子は生すとも女に心許すな？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

兄・顕洙（許秀哲）の無実を訴える弟・広洙（成田瑛基）に、小野（堺小春）は思わず声をかける。小野にはかつて朝鮮人の恋人がいた。結婚しようとしたが、親の猛反対に遭い、別れさせられたらしい。改めて公平な目で事件を見ようと決める寅子（伊藤沙莉）。わかり合えない人とも諦めずに関係を深めようと踏み込んでいく寅子の姿を航一（岡田将生）は見守っていた。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4,7,10,11,14,16週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3,8,13.18週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6,9,12週
　　　伊集院悠（過去作/ｵｰﾃﾞｨｵﾄﾞﾗﾏ･FMｼｱﾀｰ｢告白の対価｣静岡局制作） 第15週
　　　相澤一樹（過去作/BSﾌﾟﾚﾐｱﾑ:善人長屋第5話のみ,単発:月食の夜は） 第17週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学法学部専任教授）
裁判所考証：荒井史男（元名古屋高裁長官　定年退官）
風俗考証：天野隆子（過去作/ごちそうさん,花子とｱﾝ,ｽｶｰﾚｯﾄ）
旧字考証：三浦直人（明治大学大学院文学研究科史学専攻日本史学専修）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
ジェンダー・セクシュアリティ考証：前川直哉（福島大学教育推進機構高等教育企画室准教授）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

前回と今回で、小野の「どうかお静かに」のカットが違う！

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

室内でも熱中症の危険があるとのこと。
こまめに水分補給してくださいね。

前回の感想に書いても良かったのだが。

きっと今回のアバンタイトルで振り返ると思ったので、再度放送されたら書こうと思ったことがある。

それは、火災があったスマートボール場の経営者である朝鮮人の金顕洙（許秀哲）が放火事件で逮捕された事件の裁判風景で。

兄・顕洙の無実を訴える弟・広洙（成田瑛基）が怒鳴った際に、傍聴席にいた三条支部の事務員・小野（堺小春）が思わず朝鮮の言葉で声をかける。

そのときの小野の「（朝鮮の言葉で）お兄さんが苦しむことになる。どうかお静かに」の “あと” の弟・広洙のリアクション、特に表情のカットが一つもないことだ。

前回では、小野のセリフの直後は、弁護側の杉田太郎（高橋克実）と杉田次郎（田口浩正）の兄弟二人体制のツーショット。

続いて、頷く小野、驚く寅子（伊藤沙莉）、また小野に戻って、次のシーンへ進んでいた。

普通なら、弟・広洙の表情を見たいと思うのが視聴者の心理だと思うが、提供しない（されない）のだ。

そして今回のアバンでは、意外な撮影と編集が行われていた。

私が見たいと思った弟・広洙が、存在すら消えている！

それは、前回と今回のカットが「別撮り」になっているのだ。

下図を見ると分かるが、上が前回で、下が今回で、私が見たいと思った弟・広洙が今回のカットから “存在すら消えている” のだ。

©NHK

このことで、特に演出家の意図の何が見えてくるのか？

それは、脚本と演出にとって視聴者に注目してほしいのが「小野と広洙の個人間の関係」ではないということ。

この時点でいうなら、注目してほしいのは「朝鮮人に対する小野の態度と心情」のほうなのだと。

以前に、“イマジナリー優三” が別撮りになっていることに言及したが、今作はたまに同じカットを別アングルなので撮影して、視聴者に作り手の意図を明確にする作戦をとる。

今回も、「気づいた人だけ」にはなるが、実は気づかなくても意図は伝わるのが、本当に優れた演出なのも理解していただきたいポイントなのだ。

視聴者に要らぬ印象を抱かせたくないと願う… 繊細な演出

メインタイトル映像明け、更に前述の作り手の注目してもらいたい意図が判明する。

次郎「小野の御嬢さんが
　李とかいう男と恋仲らったらしいのよ」

そう、小野が関係しているのは「広洙」でなく「李という男」だったわけだ。

これ、もしも「どうかお静かに」の直後に広洙の受け手としての表情があったら、小野と広洙に何らかの関係があるようなにおいが漂ってしまったと思う。

それを嫌ったから入れなかった… そういう繊細な演出だったのだ。

釈迦に説法にはなるが、今回も、前回同様に次の寅子が継承された。

寅子「深田さん本人のいないところで
　そういううわさ話はいけませんよ」

こういう部分を徹底的にこだわり続け、手抜き無しなのも私が評価する部分だ。

もちろん、次の寅子における、中立性も。

寅子「公開されている裁判を
　傍聴するもしないも小野さんの自由。
　人が口出しすることじゃないわ」

喫茶ライトハウスでの四部構成に脚本と演出のうまさが光る

「ありがとう」のセリフつながり、きっかけで、舞台が三条支部から喫茶ライトハウスへ。

今回の展開の中で、かなり秀逸だと評価したい構成が、この喫茶ライトハウスの描写だ。

全体が三部構成（四部構成かも？）になっている。

最初のパートは、稲（田中真弓）を絡めて、涼子（桜井ユキ）と玉（羽瀬川なぎ）の現状報告。

会話に登場した新潟県長岡市に伝わる「しょうゆおこわ」を介して、二つめのパートで、寅子と優未（竹澤咲子）の現状報告。

その流れで三つめのパートである、稲の「昨日もね」から寅子と優未の実際の回想シーンへ。

更に、“相性の悪い山登り” から超絶合成が話題になったハイキングと、「オフィーリア寅子」がトレンド入りした川に流された寅子、その上に山田よね（土居志央梨）を、回想シーンの中に回想を盛り込む構成へ。

そして四つめのパートは、航一（岡田将生）が「なるほど」と “溝を埋めようともがく女” の原点を悟ったようなくだりで終了。

約４分弱のシーン構成だが、メインの裁判とは無関係のシチュエーションに寅子を置かずに、「いない寅子」で物語を作り上げた。

それも、普通ならこれ見よがしに見える回想なのに、ちゃんと「見たかった回想」に仕上げている。

今作の脚本と演出のうまさが光る映像だ。

人によって"正しい行い"と"間違った行い"の尺度は違う！

裁判シーンのあとの内々の会議の場面は、本格的リーガルドラマの様相だ。

関東大震災のときから続く朝鮮の人々への“差別と偏見” を、新潟地方裁判所の刑事部で判事補・入倉始（岡部ひろき）の態度で視聴者に分かりやすく描きつつ。

寅子と航一は、単純に「差別や偏見をやめなさい」でなく、法律にかかわる者、判事や裁判官としての “正しい行い” として、次のセリフが提示された。

航一「『火の無い所に煙は立たず』で
　終わらせるのか
　それともその煙を上げたのは誰なのかを
　見極めるのか…」

一般の人と、裁判官としての “正しい行い” は違うのだと。

今作は、これまでも様々な立場や見識の “正しい行い” と “間違った行い” を丁寧に描き分けてきた。

時に、ある人にとっては “正しい行い” でも、他の人には “間違った行い” に見えること。

その逆も描いてきた。

それこそ「これが法律だ」「これが法的に正義だ」と声高に掲げるばかりでなく。

今回のように、人によって “正しい行い” と “間違った行い” の尺度が違うことを、さらっと盛り込んでくる。

このことは、昨今のネット上における誹謗中傷にもつながること。

そう、知らず知らずのうちに、現代にも通ずる“差別と偏見” を盛り込んでいるのだ。

だから、今作が若い視聴者に受け入れられるのも理解できると思う。

また、偶然ではあるが、様々な多様性や平等に配慮しているとされるパリ五輪の開催期間中であることも、何かの縁を感じざるを得ない。

"溝を埋めようともがく女"を見守る航一が実にいい感じ!!!

終盤の展開も、かなり秀逸だ。

とかく、あちこちに主人公が首を突っ込みたがるのが、朝ドラのヒロインの特権ではある。

多くの朝ドラが、しれ～っとあちこちに首をツッコませるから、大概はご都合主義になる。

しかし今作、今回は寅子が首をツッコむのが当然のように仕掛けを作った。

涼子「トラコちゃんなら
　そうなってしまいますわね」

むしろ、涼子が「知られちゃった」の感じに見せることで、寅子の介入が自然に見えた。

寅子「戦争が終わって新しい憲法が出来て
　全ての人が平等である
　正しい世の中になった… はずなのに」

しかし、現実は、寅子が首をツッコめば理想が現実になるわけではない。

そんな厳しい現実を、「公私の私」でも突きつけられて翻弄する寅子。

そこに、次の航一のセリフだ。

航一「全ての事件に
　公平でいるなんて無理ですよ」

“自ら溝を作りにいく厄介で面倒な男” らしく、「無理だからやめるのでなく、そもそも無理ならやってみる価値あり」的な考え方で“溝を埋めようともがく女” を見守る航一が実にいい感じだ。

分かり合えないと思う相手にも、果敢に近づいて踏み入って、関係を築こうとする寅子のこのあとが楽しみだ。

あとがき

朝ドラとしては、かなり重いといいますか、重厚でシビアな話になってきましたね。

人によっては、「朝はもっと違うのが…」な人もいるでしょう。

でも、これくらい違うことをやらないと、朝ドラのマンネリ化に歯止めはかからないと思うので応援します。

おまけ

前回で、パリ五輪で柔道女子48キロ級にて金メダルを獲得した角田夏美選手の話題を書きました。

同じ、千葉県八千代市出身で千葉県立八千代高等学校（在学中）のスポーツクライミングの安楽宙斗選手も金メダル候補です。

週２回以上通院している整形外科病院に、たくさんのプロやアマチュアのスポーツ選手が治療に来ているのを間近に見ているので。

メダリストも、惜しくもメダルに手が届かなかった選手も、それこそオリンピックの舞台に立てない選手も、ホント凄いなぁって思います。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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[49回]

これまでの感想を読む

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マウンテンドクター（第4話・2024/7/29）感想

2024/07/30 (Tue)08:37:46 ドラマ

関西テレビ制作・フジテレビ系・新月10ドラマ『マウンテンドクター』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第4話『MMTに新たな任務!7年前の悲しき事故の記憶』の感想。

宮本歩（杉野遥亮）や村松典子（岡崎紗絵）は、鮎川玲（宮澤エマ）の「江森岳人先生（大森南朋）が山に復讐を誓う原因は私にある」という言葉を気にしている。鮎川篤史（石丸謙二郎）が7年ぶりに登山ツアーを企画し、MMTに参加を依頼。玲は反対するが、ツアーは決行され、歩が参加する。途中で天候が悪化し、小屋番の丸山絵理子（工藤美桜）が雷に打たれて倒れる。玲は篤史に怒りをぶつけ、歩は玲が山を恐れる理由が江森の復讐の原因であることを知る。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

原作：なし
脚本：高橋悠也（過去作/仮面ﾗｲﾀﾞｰｴｸﾞｾﾞｲﾄﾞ,ﾐﾗｰ･ﾂｲﾝｽﾞ,ｻﾞ･ﾊｲｽｸｰﾙﾋｰﾛｰｽﾞ）
演出：国本雅広（過去作/ﾃﾞｶﾜﾝｺ,ｶﾝﾅさーん!,青のSP） 第1,2,4話
　　　高橋貴司（過去作/青のSP,ｼｯｺｳ!!~犬と私と執行官~ 第7話のみ） 第3話
　　　保坂昭一（過去作/転職の魔王様第8話のみ）
主題歌：Official髭男dism「Sharon」
音楽：林ゆうき（過去作/緊急取調室.Believe-君にかける橋-）
※敬称略

村松の解説がないと宮本の気持ちが理解できない人がいる…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

当ブログに来訪してくださる多くの読者様はスルーして構いませんが。

ネット検索に引っ掛かって訪問した方は、この章を読んで納得したなら先に進んでいただきたい。

あとから「こんな感想は読みたくなかった」と思わないための防衛策として。
では、いきますよ。

今作が、いや、最近の “ドラマ” や “連ドラ” が幼稚になってきていることに嘆いている。
もちろん、“映画” や “漫画” や “アニメ” も同じ傾向だ。

その理由は、視聴者や観客に対して過剰に説明しないと理解できず、不満を訴えるようになったからだ。

だから、登場人物の設定だけでなく、感情や心情までも、ことごとくセリフやテロップで説明する。

で、今作が目指している視聴者のレベルが、次のセリフで分かる… という話だ。

中盤の居酒屋の外で、店を出た山岳看護師の鮎川玲（宮澤エマ）に麻酔科医の村松典子（岡崎紗絵）が声をかける場面での次のセリフだ。

村松「玲さんにも山を
　嫌いになってほしくないって
　歩は思ってるんじゃないかな」

普通に日本語が理解できる人なら、今作を第4話が初見であっても、主人公・宮本歩（杉野遥亮）が鮎川に言った心理は分かると思う。

でも、今作は敢えて “お節介” なセリフで補強した。

そう、これくらい補強しないと宮本の気持ちが分からない人がいるのだ。

別に、その人を揶揄しているわけでない。

テレビ離れの今は、いろんな人たちに楽しんでもらえるように、多少の説明は必要だとは思っている。

ただ、私がいいたいのは、村松の解説がないと宮本の気持ちが理解できない人を対象に今作を作っているという現実、事実だ。

登場人物が過去を語るなら、今現在の職業なんて何でもいい

さて、今作の、いつもどおりの感想だ。

当ブログでは口癖のように連呼している。

「回想シーンは、ドラマでも物語でもない。ただの後出しの言い訳（説明）に過ぎない」と。

これに準ずるなら、今回の半分以上が＜ドラマでも物語でもない。ただの後出しの言い訳（説明）＞ だということだ。

極論でいうなら、登場人物が過去を語るなら “今現在の職業なんて何でもいい” では？

たまたま居酒屋、病院の待合室、山小屋で出会った人たちが “自分語り” や “昔語り” をやるだけで成り立つのでは？

ドラマ『ブルーモーメント』より良いのは、自分語りの時間

もしかすると、この記事を読んでいるあなたは医療ドラマ、人助け系ドラマ好きですか？

だとして、感想を展開してみよう。

前期の連ドラに、山岳医でなく気象予報士が国民の命を災害から守るドラマ『ブルーモーメント』も見ていたのでは？
ドラマ『ブルーモーメント』については「見ていた人」向けに説明は省略させていただく。

あちらは、ほぼ全話、全編が、主人公をはじめとした主要登場人物たちの “自分語り” で構成されていた。

「自分語り」とは、聞かれてもいないのに自分の過去の話や、自慢話など止め度なく自分について話し続けること。

引用：自分語りとはどんな意味？その対応に困った体験談も合わせてご紹介 | Domani

災害が起こりそう、災害が発生している真っ最中でも、「実は…」とそれぞれが語り出す。

そう、休憩中や就業後ではなく、勤務中に仕事そっちのけで、専用車両の中で語っては、みんなで共感し合って終了。

ホント、心の底から「これの、どこが、ドラマなの？」と思いながら最終回まで見届けた次第だ。

そのドラマ『ブルーモーメント』と今作は、やたらと登場人物たちの “自分語り” や “昔語り” を盛り込むのは同じだが、一つだけ大きく異なる点があることにお気づきだろうか？

それは、冒頭で書いた居酒屋のシーンにヒントがあった。

そう、基本的に今作の “自分語り” は “勤務時間外”、正確に書くなら “人命救助中” には語っていない… だ。

一般的なドラマなら、仕事中は我が事は忘れるが、勤務時間外では自分を振り返るという描写が自然だし、視聴者も分かりやすいし、感情移入もしやすいのだ。

そう、みんな、「私（視聴者）だって＜仕事は仕事＞と割り切って頑張ってるんだ」なのだから。

従って、ドラマ『ブルーモーメント』が異例だったけで、今作が秀逸なのではなく、至って普通だということはご理解いただきたい。

まとめ…

ぼちぼち、まとめよう。

一つの見解は、一話完結ものとして、悪くなかった… だ。

鮎川玲のトラウマを軸に、山登りを愛する人たちのそれぞれの思いを積み上げて。

悪いのは「山登り」でなく「山を軽んじること」で。
山岳医療チーム「MMT（マウンテン・メディカル・チーム）」がやるべきは、「山の事故から何を学ぶか」であると。

もう一つの見解は、連ドラとして、良かった点と良くなかった点の両方だ。

良かったのは、ようやく延々と引っ張り続けてきた江森岳人（大森南朋）と鮎川玲の過去とトラウマが見えたこと。

良くなかったのは、言っちゃ悪いが、たいして “今” に関係のないエピソードなのだから、第1話でサクッと盛り込んで終わりにしておくべきだったと感じたこと。

第4話まで見てきたが、ほぼ毎回がプロローグ、エピソードゼロで、ほとんど話が進んでいない。

これが、一番の欠点だと思う。

あとがき

ジョーロで降らせた雨みたいでしたね（笑）

赤いドクターヘリも、遂にラジコン飛行機に見えましたし。

次回から後半戦でしょうから、ぼちぼち「MMT」の “今と将来” を描いてほしい。

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林ゆうきポニーキャニオン 2024-9-4

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第1話第2話第3話

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連続テレビ小説「虎に翼」（第86回・2024/7/29）感想

2024/07/29 (Mon)11:19:35 ドラマ

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
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第86回／第18週『七人の子は生すとも女に心許すな？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

寅子（伊藤沙莉）と優未（竹澤咲子）の姿を見ていきなり号泣した杉田（高橋克実）。実は杉田は昭和２０年の長岡空襲で娘と孫を失っていた。そんな中、ある放火事件が発生。火災があったスマートボール場の経営者である朝鮮人の金顕洙（許秀哲）が逮捕される。寅子は傍聴席に三条支部の事務員・小野（堺小春）が座っていることに気付く。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

『七人の子は生すとも女に心許すな？』について

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今週のサブタイトル『七人の子は生すとも女に心許すな？』について書いてみる。

儒教の経典として最も尊重される儒教の経典として最も尊重される五つの経書のうちの一つで、中国最古の詩集が「詩経ー邶風・凱風」にある言葉が「七人の子は生すとも女に心許すな」。

「衛之淫風流行、雖_下有_二七子_一之母_上、猶不_レ能_レ安_二其室_一」

意味は、七人もの子どもをもうけるほど長年連れ添った妻でも、気を許して大事な秘密を打ち明けてはいけない。

簡単にいえば、女には気を許すなということ。

「儒教の経典」につながる言葉だから、中国の代表的思想ではあるが、朝鮮半島で独自に発達した「朝鮮の儒教」は現在も日本の宗教観との違いによるトラブルの原因になっているのはご存じのとおりだ。

ということで、今週は「朝鮮の人たち」と「女性」が物語の素材として強調されると想像できるサブタイトルなのだ。

よねのキャラ構築、月経に触れた回の演出担当・橋本万葉氏

週のはじまり月曜日のアバンタイトルは、先週金曜日の終盤にあった衝撃的なシーンの振り返りだ。

アコースティックギターによるアルペジオの音色が航一（岡田将生）の心に隠されている “秘密” に、静かに寄り添う感じだ。

そこへ、けたたましく鳴る消防車のサイレンの音、音、音。

火災現場近くを逃げる人たちから逃れるように路地のゴミ箱の影に潜む怪しげな男。

静から動、いいや、嵐の前の静けさというべきか？（「静けさ」ではないが…）

そして、火災現場から三条支部に舞台が移ると「杉田太郎を泣かせた寅子の騒動」から「昨夜の放火事件」へ。のお話だ。

寅子「差別的発言は見逃せません」

人種差別を取り扱うなら、ドラマ『となりのマサラ』や『やさしい猫』のメイン監督だった安藤大佑が今週の演出担当かと思いきや。

男装の山田よね（土居志央梨）を構築したり、劇中に女性の生理や月経を持ち込んだ回を担当した橋本万葉(はしもとまよ)氏だ。

今作の脚本担当である吉田恵里香氏とは、特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』（NHK／2023）以降、阿吽の呼吸的なコンビネーションが光るディレクターだ。

ということで、序盤から強調していた… 不愛想だが自分の意見をはっきり言う三条支部の庶務課・小野知子（堺小春）が、キーパーソンの一人になりそうだ。

因みに、堺小春さんは、父方の祖父は日本の芸能史に残る喜劇役者の堺駿二、母方の祖父はタレントのE・H・エリック、父はタレントの堺正章、母はタレントの岡田美里と、超一流の芸能一家の三世の俳優さんだ。

映像化がなくても、三つの世界が連携されていること分かる

メインタイトル映像明けは、今週で扱う事件、その関連の事件の説明だ。

書記官・高瀬雄三郎（望月歩）が話す。

高瀬「確か闇米輸送を取り締まろうとした
　警察官と朝鮮人中国人が
　衝突した事件ですよね」

更に、主任書記官兼庶務課長・深田仁助（遠山俊也）で小野知子の説明も。

深田「あのままでは嫁のもらい手が…。
　しかも彼女は一度婚約を破棄されてるそうで」
寅子「深田さん本人のいないところで
　そういううわさ話はいけませんよ」

「本人のいないところで」の寅子が、ずっと踏襲されているのも良いことだ。

更に更に、三条の大地主・森口（俵木藤汰）の娘・美佐江（片岡凜）が先週で退場してしまわなかったのも、連ドラとしては朗報だ。

「主人公が生きている世界」と「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」の三つが直接映像化されていなくても、ちゃんと、物語として連携されていること分かるからだ。

放火事件の裁判のシーンは、かなり新鮮

放火事件の裁判のシーンは、かなり新鮮だ。

法壇の中央の席には裁判長として航一、裁判長から見て右側の右陪席裁判官に寅子、左側の左陪席裁判官に入倉始（岡部ひろき）。

傍聴席の最後列の隅に小野知子。

検察側席には、寅子が新潟地裁本庁で初めて担当した暴行事件の検察官・一柳忠義（田中美央）。

弁護側は、なんと、杉田太郎（高橋克実）と杉田次郎（田口浩正）の兄弟二人体制だ。

猪爪家総出演の毒饅頭事件の劇中劇を彷彿させる"頭の中"

新鮮だけではない。

語り「起訴状だけでは分かりにくいため
　寅子の脳内イメージを使って
　どんな事件なのか見ていきましょう」

この “語り” と、直後の映像を見て、ある場面を思い題した人もいるはずだ。

それは、2024年4月15日放送の第3週『女は三界に家なし？』の第11回で、「寅子の頭の中のイメージ映像です」と断り書きが入ってはじまった猪爪家総出演の劇中劇だ。

あの際は、活弁士のような恰好をした寅子が「ただいまよりご覧供しまするは法廷劇『毒饅頭殺人事件』」と紹介し、ホームビデオ風の映像で再現が描かれた。

それを演出したのが、今週担当の橋本万葉氏だったのだ。

やはり、かなり計算をしてディレクターの担当週を割り当てていると思われるし。

そうすることで、連続性も意外性も担保できると思う。

また、寅子の頭の中のイメージ映像中の金顕洙（許秀哲）が犯人ありきになっていなかったのも、当然だが正しい映像化だ。

あとがき

今週は「放火事件」と、その関係者を描くようですね。

「一度婚約を破棄されてる」の小野と顕洙に関係があるのか？
更に、美佐江もかかわっているのか？

どうやら今週は、寅子と娘・優未（竹澤咲子）はひと休みのようですね。

涼子（桜井ユキ）と玉（羽瀬川なぎ）の喫茶ライトハウスでも事件が起こるのか？

寅子の身辺で騒動が起こる週は、世間もネットも盛り上がりますが、そうでないと少し反応が静か。

でも、これまでの今作が秀作過ぎていただけで、残り２か月ほどの段階で特に大きな不満がないだけでも、最近の朝ドラとしては、普通以上の仕上がりだと思います。

暑中お見舞い申し上げます

連日、「猛暑」「酷暑」「激暑」と呼ぶにふさわしい日々が続いております。

でも、真夏の暑さを超えて、燃えたような賑わいが「パリ五輪」ですね。

実は、私の高校時代の友人が「パリ五輪」のボランティアとして現地で活躍しております。
元々、ツアーコンダクターで世界を飛び回り、スイスやフランスで済んでいた人。
１か月休暇を取って渡仏していると知らせが届きました。
目の前で開会式を見たと、写真や動画も届きましたよ。

更に、地元の千葉県北西部では、八千代市生まれの女子柔道48キロ級、角田夏実(つのだなつみ)選手が日本人金メダル第1号に！パチパチ
市民会館でのパブリックビューイングも盛り上がっていました。

そこで、昨日は妻と近所のスーパーで日本人選手の活躍を祝してハーゲンダッツを買いました（笑）

一つは、苺の豊かな風味をパリパリとした食感のチョコとともに楽しむ「苺のトリュフ」。

もう一つは、香ばしく濃厚な味わいのピスタチオのジェラートに、夏向けに開発された“サマーバニラ”ジェラートが組み合わさったクリーミージェラート「ピスタチオ＆サマーバニラ」。

読者の皆様全員に届けたいですが＜写真だけ＞で申し訳ありません。

お互い体に気をつけて夏を思いっきり楽しみましょう！

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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[40回]

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ブラックペアンシーズン2 （第4話・2024/7/28）感想

2024/07/29 (Mon)03:03:23 ドラマ

TBSテレビ系・日曜劇場『ブラックペアンシーズン2』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第4話『天才医師VS医療AI』の感想。

※原作(小説)である海堂尊「ブレイズメス1990」、「スリジエセンター1991」は、未読。

天城（二宮和也）が高額な手術費用を要求したことに対し、弁護士・戸島和子（花總まり）が市民団体と東城大に抗議。佐伯（内野聖陽）は天城の手術を中止して事態を収拾する。和子が倒れ、世良（竹内涼真）が緊急手術を行うが失敗。唯一治せるのは天城の手術だが、和子は拒否。和子は医療AI“エルカノ”による手術を選び、維新大教授の菅井（段田安則）が成功を目指す。世良は和子の抗議を止めようと、美和（葵わかな）と和子と食事し、美和の母への思いを知る。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

原作：海堂尊「ブレイズメス1990」、「スリジエセンター1991」
脚本：槌谷健（過去作/ﾌﾞﾗｯｸﾍﾟｱﾝ1,下町ﾛｹｯﾄ,ｲﾝｼﾞﾋﾞｼﾞﾌﾞﾙ） 第1～3話
　　　守口悠介（過去作/AKBﾎﾗｰﾅｲﾄ,ｵｰ･ﾏｲ･ｼﾞｬﾝﾌﾟ!,左利きのｴﾚﾝ） 第2,4話
演出：西浦正記（過去作/ﾊﾗｽﾒﾝﾄｹﾞｰﾑ､名前をなくした女神､ｺｰﾄﾞﾌﾞﾙｰ） 第1,2話
　　　加藤亜季子（過去作/ﾉｰｻｲﾄﾞ･ｹﾞｰﾑ特別編1,VIVANT） 第3話
　　　伊東祥宏（過去作/ｵｰﾙﾄﾞﾙｰｷｰ,ﾗｽﾄﾏﾝ-全盲の捜査官-） 第4話
音楽：木村秀彬（過去作/ﾌﾞﾗｯｸﾍﾟｱﾝ,ｸﾞﾗﾝﾒｿﾞﾝ東京,ﾗｽﾄﾏﾝ）
ＣＰ：伊與田英徳（過去作/半沢直樹ｼﾘｰｽﾞ）
Ｐ：武藤淳（過去作/TOKYO MER~走る緊急救命室~.Get Ready!）
医療監修：山岸俊介/ｲﾑｽ東京葛飾総合病院（過去作/ﾌﾞﾗｯｸﾍﾟｱﾝ1）
主題歌：小田和正「その先にあるもの」
※敬称略

前回同様に経験の浅い演出家の担当回だから大目に見みよう

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

今回、第4話の演出担当は。

日曜劇場『日本沈没－希望のひと－』（TBS／2021）のスピンオフドラマ『最愛のひと～The other side of 日本沈没～』の第4話が演出デビュー作で。

今作のオリジナルサイドストーリー『ブラックペアンと言いたくて…～万年ヒラ局員の憂鬱な日常～』でも演出を担当している伊東祥宏氏だ。

ということで、前回同様に経験の浅い演出家の担当回だから大目に見みよう（苦笑）

天城の手術シーンを封印して次回に期待感をつなぐのは得策

というわけで（どういうわけ？）先輩方の作品を参考にするべく、今回も「公開手術」… である（笑）

もちろん、劇中では世良（竹内涼真）が腕試しをされているわけだが、カメラのこっち側でも試されているわけだ。

前回の感想で、作品の方向性が見えたのが良かったと書いた。

それは、次のようなものだ。

アンチヒーロー」を大幅に後退させたことで、「困った患者を助けるヒーロー外科医の医療ドラマ」らしいエピソードになった。

今回も、「困った患者を助けるヒーロー外科医の医療ドラマ」を進展させたような内容だった。

ただ、意外だったのは「一話完結」でない「前後編（二週またぎ）」だったことだ。

恐らく、パリ五輪の真っ最中なので視聴者によそ見をされないための TBSの営業戦略だろう。

でも、私は営業戦略だとしても、意外と良かったと思う。

それは、「一話完結」だと、公開手術含めてパターン化してしまうから。

天城（二宮和也）の手術シーンを封印して次回に期待感をつなぐのは得策）だと追う。

マンネリ化打破としては効果的

得策だったと判断する理由は他にもある。

それは。

普通なら、天城のオペシーンがないと主人公の見せ場がないわけだし。

その代わりといっては何だが、世良が存在すれば成立するドラマになってしまう。

でも、医療ドラマ、救急救命ドラマ、災害ドラマなどは、数話に一話は「サブキャラの失敗をメインキャラが補う」のはよくあるケースだ。

で、今作は「メインキャラが補う」部分を次回に持っていった… それだけ。

そう、たったそれだけなのだが、繰り返すがマンネリ化打破としては効果的だったと思うのだ。

劇伴『ラヴェルのボレロ』が効果的！

今回の演出で、ふと心に留まったのが。

終盤の公開手術の佳境のバックに劇伴として使われた →Pia-no-jaC←の『ラヴェル／ボレロ』だ。

ボレロ：→Pia-no-jaC←

『ラヴェルのボレロ』といえば、日本映画ファンなら黒澤明監督の映画『羅生門』（1950）。

『ラヴェルのボレロ』を気に入った黒澤監督が、音楽監督の早坂文雄に「似ている曲」を発注したことが有名だ。

２パターンの16小節のメロディを約15分間繰り返すだけという特殊な構成の楽曲だ

楽譜的には単調な曲に見えるが、巧みな演奏技術によって「最初はへたくそな踊り子がうまくなるにつれて、観客が魅了されていく過程」を見事に表現している。

もうお分かりだろうが、この “へたくそな踊り子” を “世良” に見立てた音楽演出になっていたのだ（と推測できる）

あとがき（その１）

前回も書きましたが。

「アンチヒーロー」だけど「意外にいいひと」な医療ドラマとしては悪くないと思います。

世間では「マンネリ化」と揶揄する人もいるようですが、医療ドラマなんてみんな似たり寄ったりですよね（笑）

むしろ私は、＜アンチヒーローだけど意外にいいひと＞が今作らしくて良いと思います。

だって、二宮和也さんに似合った役だと思うので。

あとがき（その２）

「褒めてばかりは気持ちが悪い」との意見も出そうなので、ひと言だけ気になったことを。

それは、折角サブキャラの関係者として元宝塚歌劇団宙組・雪組トップ娘役だった花總まりさんを起用して、医療訴訟で有名な弁護士・戸島和子を登場させたのなら、「東城大学医学部付属病院」以外で手掛けている案件を盛り込んでもよかったと思います。

もっと「あの戸島弁護士がきたらヤバイ！」みたいな物語をくっつけたら、世界観が広がったと思います。

もちろん、放送枠拡大する必要ないですし。

今回でも、十分に物語としてはよくできていると思います。

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”