NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第4週『一人前になるまでは』の 『第21回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)は荒木荘の住人たちの様々な生き方を通じて、自分の将来を見つめ直す。その結果、「女中の仕事を途中で投げ出して、転職はできない」とオファーをくれたちや子(水野美紀)に告げる。女中として一人前になった後、「自分が本当にやりたい道に進む」と決意。その視線の先には趣味で続ける描きかけの絵があった。その頃、信楽では川原家に異変。室内が荒らされ、家族が大切に取っておいた喜美子からの仕送りが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンの編集から演出家の丁寧さが滲み出ていた
やはり、今週担当の 2人目の演出家も私の好きな作風だ。アバンタイトルの編集から丁寧さが滲み出ていた。例えば、アバンのファースト・カット。
前回のラスト・カットが夜の荒木荘の喜美子(戸田恵梨香)の暗めの部屋で ちや子(水野美紀)と話していたシーンだったから、今回はそこからの続きで暗いシーン(内容でなく、映像、照明的に…と言う意味)から始めると思いきや…
演出家はナレーションの「喜美子が大阪に来て1か月」に合わせて、なんと喜美子がセーラー服で大阪にやって来たシーンへまで一気に遡って、更にオープン・セットの明るい日差しの中での晴れ晴れしい雰囲気のカットを選んだ。
これ、良いと思う。今週はスタジオ内の映像が多かったから、週の半ばで屋外のカットをアバンの頭でつかうことで、「また何かが始まる予感」を感じさせるのに成功した。また、前回のアバンですら、新聞社で試し働きをするシーンから始まったのに、水曜日で来阪から前回までを、僅か 1分足らずで、まとめを描いた。
セーラー服で来阪した喜美子のカットが "程良い息抜き" になった
その上、このアバンが秀逸なのは、今回が初見の視聴者に、ヒロインを演じる戸田恵梨香さんが「中卒の15歳」で来阪して来たことに始まって…
給料がたったの 1,000円で、薄給でも1か月間一生懸命に働いた給料にただただ嬉しくて、来阪から 1か月で女中としての仕事ぶりを職場(荒木荘)以外の人にも認められる働き者であることや、荒木荘の大人たちが喜美子を良い意味で “子ども扱い” せずに応援している…と言うことまで伝えてしまうような作り込みになっていたこと。
更に、前述のセーラー服で来阪したカットのお陰で、私のようにずっと観ている視聴者に新鮮味も与えた。ある意味で軽い “息抜き” と言えよう。こう言うのが入ると、益々 “先” が見たくなる…
もしも、目覚まし時計が映っていなかったら…
主題歌明けは、前回のラストシーンの続き。時間は、喜美子の後ろの目覚まし時計が「12時38分頃」を指している。もう、この時計 1つで前述のように、荒木荘の大人が喜美子を “子ども扱い” せずに真剣に “喜美子の将来” を支え応援しようとするのが分かる。
もしも、目覚まし時計が映っていなかったら、台詞だけの表現になってしまっただろう。脚本も台詞も大事だ。しかし、朝ドラは、このように登場人物の心情を映像で描くべきなのだ。
ちや子は「うん」と相槌を打つだけ。急がば回れってこと…
そして、話はそのまま喜美子の今の心境を語るくだりへ。今度は演説会でなく、今の自分が感じていることを出来るだけ率直に、且つ ちや子に分かり易く、且つ ちや子に嫌な思いをさせまいと、ちょっぴり 15歳なりに気を遣って話し出す場面が良かった。
喜美子「うち… こういう 絵描くこと好きです」
ちや子「うん」
喜美子「お金も好きです」
ちや子「うん」
喜美子「荒木荘の皆さんのことも
大久保さんのことも 腹立つことはあっても 好きです」
ちや子「うん」
喜美子「ほやけど ヒラさんも ええ人で…
新聞社の雑用いう仕事もやってみたい」
ちや子「うん」
喜美子「あそこで働いたら 新しいこと 自分が よう知らん
新聞に載ってるようなことを 知ることができます」
ちや子「そら 新聞社やからな」
喜美子「はい。ちや子さんの職場 大変そうやけど 好きです」
ちや子「好きばっかりやな」
喜美子「そうですぅ」
もう、この時点で喜美子には、どこで働きたいか? の結論は出ているのだ。出ているから、サクッと結論だけ言っても良いのに、それでは、最近の朝ドラでお馴染みの「出来事や騒動の箇条書き」で終わっちゃう。
先日も書いたように、本作は話を “先” に進めるよりも、ヒロインを中心とした人間関係の深まりや広がりを描きながら、丁寧に視聴者へ “先” に興味を抱かせようとしている作品だ。だから、この ちや子が「うん」とだけ答えて、喜美子の言い分を “聞くだけ” なのが良いのだ。人生も連ドラも朝ドラも、急がば回れなのだ。
2つの「誇り」を一度にサラリと回収しちゃった!
そして、喜美子が一通り「好きなこと」を話したあとに、「嫌いなこと」を話し出してからの展開も実に良く出来ていると思う。
喜美子「うちの嫌いなこと… 途中で放り出すことです」
と、紹介してくれた ちや子に本音をぶつけて、理解を求めた喜美子。そして、前回での平田の「誇りっちゅうのは…」だけでなく、喜美子が幼少期に父・常治(北村一輝)へ主張した「女にも 意地と誇りはあるんじゃあ!」まで、これまたサラリと回収しちゃった。
ちや子と喜美子が人間同士として互いを気遣い本音で話した
その上、ちや子の「かえって うち 惑わしただけみたい…」と謙遜する姿も大人として素敵だし・・・
ちや子に対して「ほかにもあるて 分かりました。ここだけやのうて うちにも やろうと思たら… ほかにもやれることがある。ここのほかにも 自分の進む道があるんや。それが分かっただけでも すごいうれしい。力が出ます 前よりずっと」と、きっと眠たいだろうに、キラキラした瞳で嬉しそうに答え、お礼を言う喜美子。
ここ、本当にいいね。「努力さえすれば、いつか夢は叶う」とか「頑張っていれば、誰かが必ず見ていてくれる」みたいな、ありきたりな大人からの応援歌的な言葉でなく、「お金ためて いつか…」と現実的な要素を 15歳の喜美子に伝えることで、本音を話してくれた喜美子に ちや子が向き合うのが。
そして、喜美子自身が描いた絵のインサート・カット。まだまだ「女性陶芸家」の “未来” は全く見えて来ないが、喜美子の中に「やりたいこと…」が出現することだけは見えた。この位のテンポ感で良いと思う。また、「月給1,000円で ためんの難しいけどな?」の ちや子のオチも楽しかった。
淡々と進む大阪に対して、信楽は何かと騒動が起こるのか?
9分過ぎには、久し振りの信楽にある喜美子の実家が舞台。淡々と進む大阪に対して、信楽は何かと騒動が起こる。こんな緩急の付け方も巧いなと思う。前述の通り、「騒動の箇条書き」は困るが、少しは事件があった方が、ドラマとしての緩急が付いて、面白味が出る。
それにしても、「月給1,000円で ためんの難しいけどな?」の直後に、喜美子の初月給の全額が空き巣に盗まれるとは! でも、ちょっとだけ救いがあった。それは、以前、喜美子の両親は喜美子の初月給全額を首を長くして待っていたように描かれていたのに、今回の喜美子の母・マツ(富田靖子)は「まだ使わんと置いてあったの!」と言っていた。
すぐに使わなくても良いなら「全額よこせ」みたいにせずに、「半分だけ仕送りをしてくれる?」みたいな設定でも良かったような気もするが、やはり、こんなダメ両親だから、喜美子が家族のために踏ん張ろうとするのだろうと考える方が、物語には合っていると思う。
来阪する常治を退治するのは大久保の懐刀かな?
13分過ぎに、実家に空き巣が入り、喜美子の仕送りや妹の小遣いも盗まれたとの一報が喜美子に届く。そして、妹から娘の給料を前借りするために常治が大阪に向かっていると聞いて動揺する。常治への好みは別にして、ここで常治が動き出すのは面白い。
直前で、さだ(羽野晶紀)が東京に出掛けているから、常治を退治するのは、 女中の先輩・大久保(三林京子)ってことになる。さて、どうやって大久保が常治を? まさか、喜美子の内職代で切り抜けるとか! いよいよ最初の1か月のプロローグの山場になりそうで楽しみだ。
あとがき
予告編によると、恋バナ要素もあるはずですから、この「空き巣被害による月給の前借りの騒動」は、これまた明日でサラリと解決するかも知れませんね。とにかく、“先” が気になるように毎回作り込まれているのに驚きます。次回も楽しみです。
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TBS系・火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(公式)
第2話『初めての発表会の行方は!?』、ラテ欄『本気の好きって測れるの? 片思いの沼から脱出する方法』の感想。
なお、原作の漫画、いくえみ綾「G線上のあなたと私」は、未読。
結婚式の二次会で使うはずだったドレスを着て、発表会に臨むと決めた也映子(波瑠)。理人(中川大志)、幸恵(松下由樹)と「G線上のアリア」を弾きたいと願うが、眞於(桜井ユキ)の判断により演目は別の曲になる。発表会後、さらなる上達を目指す3人は、再挑戦を誓い幸恵の家で練習会をすることに。その道中、也映子は、理人が兄・侑人(鈴木伸之)や眞於に抱く複雑な思いを知る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:いくえみ綾「G線上のあなたと私」(漫画)
脚本:安達奈緒子(過去作/コード・ブルー3、透明なゆりかご、きのう何食べた?、サギデカ)
演出:金子文紀(過去作/逃げるは恥だが役に立つ、あなたのことはそれほど) 第1,2話
竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、あなたのことはそれほど)
福田亮介(過去作/あなたのことはそれほど、初めて恋をした日)
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:緑黄色社会「sabotage」 (ソニー・ミュージックレーベルズ)
前回と今回の27分までを「初回15分拡大」にしたら良かった
16分過ぎの幸恵(松下由樹)が急に泣き出したシーンで、幸恵の苦しさを演者の台詞と演技で表現したように。また、22分過ぎの也映子のいとこ・晴香(真魚)と母・洋子(池谷のぶえ)が、也映子(波瑠)の現在の立場を演者の台詞と演技で表現したように、メインの 3人の “事情の変化” を、さり気ないシーンとして観たいのだ。
なのに、第2話の前半の15分頃までは、第1話で使用済みのシーンを回想シーンとして盛り込んだのは、どうかと思う。確かに、連ドラとして話題になっているようだから…と第2話から見始めた視聴者向けへのサービスの要素もあるだろう。未読だが、原作に縛られている部分もあるかも知れない。
しかし、好意的な視聴者はともかく、普通に見ている私にとっては、「だったら、第1話であんなに過去を盛り込む必要はなかったのでは?」と思ってしまう。むしろ、第1話と第2話の理人(中川大志)のバイト先の居酒屋の話が出るまでの 27分までを、上手く編集して「初回15分拡大」にしたら、完成度が高まったかも。
本作の見所と魅力は3人の会話劇。そこをもっと強調すべき!
そう、思ってしまった理由は、ちゃんとある。それはCM明けの 28分過ぎからの、居酒屋での也映子と理人と幸恵のやり取り、会話劇が楽しかったから。正確に言えば、本作の最大の見所であり魅力は、この 3人のやり取りなのは、ほぼ間違いない。
連ドラの中盤になっても、その作品の見所や魅力が見えて来ない作品もあるのに、第2話でここまで明確に見せ場があるのは珍しいし誇らしいこと。だから、そこをもっと強調して描いて欲しいのだ。
あとがき
明らかに第1話よりも 3人の距離感が縮まっているし、也映子と理人との間に生まれているが今は “友情” や “同士” と言う感じですが、人間関係の距離感の縮め方や、それぞれの登場人物の変化もとても丁寧に描かれています。台詞も、心に響くものがあります。ただ、やはり無駄が多いかな? と。次回で、無駄が減るのを期待して第3話まで様子見します。
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【これまでの感想】
第1話
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関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『まだ結婚できない男』(公式)
第3話『若い女優とウワサになって悪いか!!』の感想。
なお、前作の、「結婚できない男)は、鑑賞済み。
桑野(阿部寛)は、隣人で女優の早紀(深川麻衣)が飼い始めた犬が、ペットショップで気に掛けていたパグ犬で、タツオと名付けられたと知る。後日、早紀と立ち話をしていると、元恋人・野村(平田雄也)が現れ復縁を迫った。早紀の様子から、桑野は新恋人を装いその場をやりすごすが、野村が人気俳優だったことから、この時の3人の写真が週刊誌に掲載されてしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし ※結婚できない男 DVD-BOX
脚本:尾崎将也(過去作/アットホーム・ダッド、鬼嫁日記、結婚できない男)
演出:三宅喜重(過去作/結婚できない男、銭の戦争、嘘の戦争) 第1,2話
小松隆志(過去作/結婚できない男、家政夫のミタゾノ1,2,3) 第3話
植田尚(過去作/結婚できない男、まっすぐな男、鬼嫁日記)
音楽:仲西匡(過去作/結婚できない男、うぬぼれ刑事、匿名探偵、黒服物語)
主題歌:持田香織「まだスイミー」(avex trax)
これまでと第3話の違いは脚本家による"微調整"だと思う…
冒頭の健康器具を使ったコミカルな “ツカミ” の良さから、「第3話は、これまでと違うな?」と思ったら、2人目の演出家・小松隆志に交代していた。
しかし、第1,2話担当の三宅喜重氏同様に『結婚できない男』の担当だから全体の雰囲気に大きな差が出る可能性は低い。なのに、序盤から「第3話は、これまでと違うな?」と思わせたと言うことは、脚本家による “微調整” による結果だろう。
桑野が "53歳のオジサン" を強調したエピソードなのが良かった!
その脚本家による “微調整” を強く感じるのが、まず、桑野(阿部寛)が “53歳の中年オジサン” と言うことを敢えて強調したエピソードになっていたから。
実は、第1話も、これまで知り合いでない人との出会いの話だったが、第1話で初期設定の多さ(これは、やむを得ない)や、前作の桑野の相手役との違和感などが交錯して、「13年後」と「53歳」が中途半端なまま、第2話に進んでしまった。だから、私を含む今作に期待した人たちが少々落胆したと思う。
タツオの絡め方も、第3話の方が自然で面白かった
しかし、今回は違う。知り合いでない人を「若くて小柄な女優」と言う、桑野との “年齢差” と “身長差” が見た目で分かり易いキャラクターに仕立てた。更に、桑野の母・育代(草笛光子)に「新介ったら 若い女が好きなのかしらね」と言わせたり、桑野の旧友・中川良雄(尾美としのり)と桑野のバーでのオジサン同士のやり取りがあったり。
また、序盤での第2話で登場した隣人で女優の早紀(深川麻衣)がペットショップで買って飼い始めた犬・タツオの絡め方が、第3話の方が自然で、桑野と早紀の遭遇のエピソードの違和感が払拭されたのも前回から明らかに “微調整” されている。
桑野が、ほんのちょっぴり人間的に"丸くなった"のが見えた!
しかし、これまでの 2話分と大きく違ったのは、46分頃の桑野と早紀がホン読みの最中に、桑野がコアな演劇論を始めたせいで、早紀が女優を続けて行くのを諦めかけた時の、この桑野の台詞だ。
桑 野「なら やめろ。やめたほうがいい」
まどか「また そんなこと」
桑 野「そう言われて 簡単に夢を捨てられるぐらいだったら
やめたほうがいい。
どんな仕事だって必ず辞めたいというときがくる。
でも そこで踏みとどまれたら それこそ 本当の第一歩なんだ。
俺は若いとき そうだったから」
この台詞、明らかに桑野が年齢を重ねて、少し変化、いや、ほんのちょっぴり人間的に “丸くなった” のを表現した。これって、実は大切なことだと思う。だって、多くの視聴者は前作と変わらぬ桑野を期待しているのに、桑野自身が “若い時と今は違う” と表明したようなものなのだから。
従って、今作は前作の13年後のほんのちょっぴり人間的に “丸くなった” 桑野を楽しむドラマとして観るのが正しいのでは? そう、脚本家が視聴者に問い掛けているように感じた瞬間だった。
第3話は明らかに完成度が高まった!
そして、この “微調整” して来た脚本を受け止めた演出家が、それを “違和感” とならないように、桑野を見直す まどか(吉田羊)を含めた桑野の周囲の登場人物を、これまで異常に後退させて、より桑野を際立たせる作戦に出た。
そのお陰で、“まだ結婚しない男” ではなく、タイトル通りの『まだ結婚できない男』がテレビの中に堂々と姿を現した。第1話はそれなりの視聴率で、第2話でグンと落としたのに、第3話は明らかに完成度が高まった。この調子で、脚本が “微調整” を繰り返し、それに演出家が対応して行けば、また本作らしい面白さが復活するに違いないと信じよう…
あとがき
今回くらいに、まどか(吉田羊)と有希江(稲森いずみ)を後退させて、桑野の個性を際立たせるエピソードに仕立てた方が良いと思います。前回の感想のあとがきにも書きましたが、やはり私は阿部寛さんが演じる「桑野信介」と言う男が好きです。
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まだスイミー持田香織
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女中をしながら、新聞社でも試しに働き始めた喜美子(戸田恵梨香)。職場の清掃や、お茶出しが主な仕事だ。男ばかりの同僚に負けじと、勇ましい女性記者ちや子(水野美紀)の仕事ぶりに喜美子は圧倒される。荒木荘に戻ると、役者志望の住人・雄太郎(木本武宏)の映画出演が決まったニュース。「お金よりも夢が大事」という雄太郎の言葉と、深夜まで働きづめのちや子に触発され、喜美子は将来を見つめ直す。深夜まで考えていると…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
まえがき
この感想の投稿時点で、前々回の「Web拍手」が 106回、前回が 77回も頂戴し、コメントもたくさん頂き、ありがとうございます。
そのお礼と言う訳ではありませんが、今回から最上部の “連続テレビ小説『スカーレット』” の部分の色を、これまでの濃いめの赤色から、本作に於いて “陶芸に使用する火や甲賀の山々” からのイメージカラーである「緋色=深紅色=スカーレット色」にしてみました。違い…分かり難いですかね(謝)
意図ある映り込み。私は、こんな細かい演出が好きなのだ
まあ、気にしなくても全く問題ない部分なのだが、前回でもちょこっと気になったのが、今回のアバンタイトルでも使用された女性記者ちや子(水野美紀)が新聞社のシーン。
男ばかりの同僚たちに負けじと、勇ましくやり合ってから部屋を出て行く…。この部屋を出て行く直前に、ちや子が自分の机から荷物を持ち出しながら「そんなもん手当たり次第じゃ~」と言うカットがある。その時の ちや子の後ろに書棚があって 、そのガラスに坊主頭の男性記者の更に後ろに黄色い文字が映り込んでいる。
良く見ると ちや子と反対側の窓に書いてある「デイリー大阪」の「イ」と「大」の一部であることが推測出来る。
と言うことは、ちや子の 先輩の平田(辻本茂雄)の後ろに窓があって(実際に、平田の背中には日差しが当たっている)、それが映り込んでいるって設定(まあ、本作をずっと見て来た人なら気付いていると思うが、今日は「即位の礼」で祝日だから、初見の人もいるだろうってことで敢えて書いてみた)だ。なぜなら、他の窓はブラインドが下ろされており「デイリー大阪」は見えないから。
このシーン、何度見ても、とても新聞社が戦場って雰囲気が出ていて好きなのだが、あの黄色の文字があると無いとでは全然違う。なぜなら、このシーンの登場人物たちはほぼ全員白のシャツに地味な服装ばかり。もちろん、喜美子(戸田恵梨香)も。部屋の内装も地味。
そんな中に “黄色の差し色” が私には “職場の緊張感” の演出に一役買っていると思うのだ。だって、わざわざ映り込ませている訳だから、意図ある映り込み。私は、こんな細かい演出が好きなのだ。
「信楽焼の欠片」が今後のフラグですますよ~的なのが良かった
主題歌明け、まず前述の “意図ある映り込み” の窓が映ってホッとした。
そして、先日、喜美子が平田に鑑定を依頼していた「信楽焼の欠片」が、金銭的な価値は無いものの、室町時代の物だと言うことが分かった。朝ドラのヒロインだから、金銭的な価値が無いから要らない…となるはずは無いのは十分承知だが、逆に年代物だから やたらと大切に扱い過ぎるのも不自然。
で、今回の喜美子は「ほな大事に持っときます」と欲深くもなく、かと言って雑に蓋を閉めるでもなく、如何にもこの「信楽焼の欠片」が今後のフラグになりますよ~的に、さらりと流したのが良かった。やはり、たまには「喜美子と信楽焼職人」が繋がって行くような雰囲気は味わいたいから…
喜美子と平田の会話中のフラグの立て方もさり気なく良かった
そして、4分頃にも、さり気ないフラグが立った。ちや子の同僚・タク坊(マエチャン)が平田の前で ちや子の仕事っぷりを馬鹿にするような言い方をして、平田が叱るシーンでだ。
喜美子「『ぶんやのほこり」て…」
平 田「ああ ブン屋いうのは新聞屋のこと」
喜美子「ああ…」
平 田「誇りっちゅうのは…
(机の上の埃を指で触り)このほこりやないで」
喜美子「フフッ」
平 田「仕事が好きなんや。好きやから おろそかにはせん。
最後まで責任持って やり遂げる。
入社してから並みいる男を押しのけて 女一人」
ここの喜美子も、平田の言葉に多大な影響を受けたようには見えないが、馬耳東風と言う感じでもなく、何となく 「誇り」と「やり遂げる」のキーワードに少し引っ掛かりを覚えたって感じ。いや、私には、喜美子がそんな気持ちだと、戸田恵梨香さんの演技から見えた。やはり、見え見えのフラグより、この位が本作にはちょうど良いのだ。
だって、この先の展開が読めない楽しさもあるし、喜美子を支える人たちの “輪” が少しずつ広がるのを観る方が今は楽しいから…。そして、この直後の平田が語る「ちや子の武勇伝」の回想シーンにインサートされる喜美子のアップが、今度は次第に「女一人」に痺れて来るのが楽しかった。
久し振りに「草間流柔道」の単語を発したのも良かった
5分過ぎには、新聞社での仕事が終わった喜美子が、歌声喫茶「さえずり」で役者志望の住人・雄太郎(木本武宏)と待ち合わせ。さぞや平田が語った「ちや子の武勇伝」に触発されたと思われる喜美子が、久し振りに「草間流柔道」の単語を発したのも良かった。こう言うのが連ドラ、朝ドラをずっと見て来たお楽しみ、醍醐味だ。
そして、この時点では不明だが、とにかく新しい人生の出発を分かち合おうと意気投合する喜美子と雄太郎。目をキョロっとさせてアイスクリームを頬張る喜美子の純真無垢な感じに、心が和んだ…
まさか、雄太郎と黒澤明監督『生きる』が呼応し合うとは!
7分過ぎの舞台は夜の「荒木荘」。雄太郎の映画出演が決まったと言う吉報が、さだ(羽野晶紀)と医学生の圭介(溝端淳平)に知らされる。有頂天の雄太郎に対して、いつもどおりの冷静な女中の大久保(三林京子)の対比も面白い。そして、本作とは全く関係ないが、雄太郎が言った、この台詞にガーンと来てしまった。
雄太郎「黒澤 明の『生きる』が 僕の脳天 貫いてん」
いやあ、私の人生に、特に映像関係の仕事に進もうと決意をさせた数々の名作映画の 1作が、この巨匠・黒澤明の名作『生きる』なのだ。もう 100回以上は観ていると思う。『生きる』が登場したなら少しだけ脇道に逸れさせて頂きたい。
『生きる』を見た人には釈迦に説法だと思うが、黒澤明監督作品の中でも、神や人間の本質を追求した作品の頂点とされた名作で、「生きる」とは何か? を真正面から捉えながら、お役所仕事のような官僚主義への批判を、仕事への意欲をとうに無くしていた市役所で市民課長を務める主人公が、余命を知ることで市民課長の自分しか出来ない仕事に命を賭ける…と言う物語だ。
劇中で志村喬さん演じる主人公が「ゴンドラの唄」を口ずさみながらブランコをこぐシーンは、本作の名シーンだ。今の仕事や現状に悩んだり、モヤモヤしたりしている人には、是非とも主人公の生き様を観て欲しい映画だ。
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喜美子の小さな心の中で、6つの思いがぐるぐると廻っている
さて、話を感想に戻そう。映画で役を貰って嬉しそうな雄太郎と、その話を聞く さだと圭介に喜美子が夕食の給仕をする姿が何とも “しっくり” 来ていた。やはり、演技に定評のある戸田恵梨香さんが「中卒の15歳」を演じるからこそ、相手の台詞を邪魔せずに動いては、台詞に的確に反応する表情を見せる。この辺の緻密な演技と演技指導は安心感がある。
そして、雄太郎の「お金より大事なもん 僕は見つけた」への喜美子の反応も、さり気ないフラグになっていた。
今さら言うまでもないが、喜美子の小さな心の中では、「お父ちゃんが探して来てくれた仕事」と「お金が欲しい」と「誇り」と「やり遂げる」と「女一人」、そして先日の “俵おむすびセット” を作ってくれた「大久保への感謝」の “6つ” がぐるぐると廻っているのだ。それが喜美子の表情に表れていた。いいな、あの演技…
終盤の悪夢から絵を描く喜美子を見守るちや子の展開が素敵
11分頃の、喜美子が女中の仕事を終えて、大久保に何も言い出せないまま、夜の床に就いたあとの、悪夢? のシーンも良かった。最近の朝ドラでは不必要に死人がヒロインの夢枕に立ったり、絵から抜け出してヒロインと握手したりするが、やはり、生きている人間が生きている人間に影響を与えるのが自然。
ここも恐らく想像の域を出ないが、前述の映画『生きる』で描かれる「今の自分がやるべきことを真剣に考える」と、通じるものがあると脚本家が捉えて書いたのだと思う。だから、将来を見つめ直そうとする喜美子に共感出来るのだ。
それも、あれこれ悩んでいるように描写せず、ただ今の自分が描きたいと思う想像の花の絵を描くことで、心の中を “無” にするしかない未熟な喜美子を意図的に描いたような。
そして、ここでも ちや子との会話の中に「描くの好きやねんな」「大好きです! 楽しい!」にも、小さなフラグ。(多分)チェロとピアノの静かで優し気な二重奏の劇伴が映像にピッタリ。本当に良く出ていると思う。
あとがき
本日のラストカット。ちや子の部屋側からのカメラアングルで、画面のほぼ 3/4が暗がりで、画面の 1/4だけの襖の隙間から見える貴美子の部屋の、更に奥に小さく映った笑顔の喜美子の笑顔で、どうやら次回で喜美子が 1つの選択をしたことが描かれそうだと分かりました。
人生を “生きる” 上で大切なことを、周囲の大人たちから教わって、自分の歩む道を選んで行く喜美子の青春時代を丁寧に描いていますね。人生も朝ドラも先を急ぐ必要はないのです。じっくり進むこと、それが良いのです…
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テレビ東京系・ドラマBiz『ハル ~総合商社の女~』(公式)
第1話/初回15分拡大のラテ欄『私は攻めを選びます “敵”は社員7万人!? 上司が元夫でヒヤリ』の感想。
国際弁護士資格を持ち、米ビジネス界で活躍していた晴(中谷美紀)は、大手商社「五木商事」に引き抜かれ、経営企画部部長補佐に就任。社内の活気に心躍らせる晴だが、配属先は静まり返っていた。部長・和田(藤木直人)を中心に開かれた会議では、業績が悪い自社のラーメンチェーン店が議題に。撤退という副社長・高山(奥田瑛二)の考えに皆が賛同する中、晴は異議を唱える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:龍居由佳里(過去作/小児救命、ママとパパが生きる理由。、あなたには渡さない)
本田隆朗(過去作/地上波では「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」第5話が最近作)
演出:土方政人(過去作/大貧乏、明日への約束、SUITS/スーツ) 第1話
都築淳一(過去作/カラマーゾフの兄弟、ママとパパが生きる理由、、後妻業)
三木茂(過去作/太陽と雪のかけら)
音楽:ワンミュージック(過去作/もみ消して冬シリーズ、グッドワイフ、家政夫のミタゾノ3)
オープニングテーマ:琴音「白く塗りつぶせ」(ビクターエンタテインメント Colourful Records)
主題歌:wacci「Baton」(エピックレコードジャパン)
こんな感じのドラマ…
アメリカのビジネス界で活躍していたシングルマザーの主人公が、 社長直々のヘッドハントで転職、エリート集団である経営企画部の部長補佐に就任して、社内の様々な問題を日本企業の旧態依然とした体制に捉われずに解決していく、痛快ヒューマンドラマらしい…
既視感払拭の工夫はあるが、やはり既視感が邪魔をする…
オリジナル脚本とのことだが、内容はこれまでこの「ドラマBiz」枠で放送されて来た内容とほぼ一緒。でも、既視感を払拭するために、子どもや恋バナを盛り込んでおり、まあ、これがこの放送枠の既定路線だからしょうがないか…
子どもとのやり取りや恋バナ要素の扱いも気になった…
それにしても、子どもとのやり取りに、あんなに尺を割く必要があるだろか。第1話は 15分拡大だから目立ちやしなかったが、通常の 1時間枠になっても同じ尺なら確実に、話に水を差している。恋バナ要素も含めて、もう少し尺を短くするなり、最後にまとめるとかしたら良いのに…
あとがき
丁寧に作り込もうとしているのも、人間関係もしっかり描こうとしているのも分かります。ただ、流石に「ドラマBiz」枠らしいとは言え、「今作もこんな感じなの?」と言う思いは拭えませんでした。中谷美紀さんお目当てなら、第2話まで様子見するところですが。『月9』の『シャーロック』が面白いので、その余韻を楽しむために本作は第1話で離脱します。
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コタツがない家
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少年寅次郎スペシャル2020
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SUITS 2/スーツ2
水球ヤンキース
スカーレット
好きな人がいること
素敵な選TAXI
素敵な選TAXI[再]
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すきすきワンワン!
スキャンダル専門弁護士 QUEEN
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スナック キズツキ
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スニッファー嗅覚捜査官
スミカスミレ 45歳若返った女
住住(すむすむ)
正義のセ
正義の天秤
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聖女
せいせいするほど、愛してる
世界一難しい恋
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サバイバル・ウェディング
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絶対正義
絶対零度~未然犯罪潜入捜査~
絶対零度[4]~未然犯罪潜入捜査~[2]
セトウツミ
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DIVER-特殊潜入班-
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大恋愛~僕を忘れる君と
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玉川区役所 OF THE DEAD
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タリオ 復讐代行の2人
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デザイナー 渋井直人の休日
デジタル・タトゥー
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テセウスの船
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デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
天国と地獄 ~サイコな2人~
天使と悪魔
天使にリクエストを~人生最後の願い~
転職の魔王様
天皇の料理番
TWO WEEKS
東京スカーレット~警視庁NS係~
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毒島ゆり子のせきらら日記
トクサツガガガ
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ドクターX ~外科医・大門未知子~[3]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[4]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[5]
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