夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」 （第6話／第2週・2024/6/4） 感想

NHK総合・夜ドラ『柚木さんちの四兄弟。』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第6話／第2週〔全8週・全32話〕の感想。

なお、原作(漫画)である藤沢志月『柚木さんちの四兄弟。』は未読。
2023年10月から12月までAT-Xほかにて放送されたテレビアニメ（DVD BOX 発売中）も未鑑賞。

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長男・隼（藤原大祐）の友人・宮本（前田旺志郎）が柚木家にやってきて隼を合コンに誘う。隼は行きたがらないが、たまには息抜きが必要だと三人の弟たちに背中を押されて行くことにする。合コン当日、隼は玲菜（片岡凜）という女性と意気投合し、後日、玲菜が家に遊びに来ることになる。自宅で作ってきたという玲菜の手作り料理に感心する湊（山口暖人）と岳（永瀬矢紘）だが、尊（大野遥斗）だけは怪訝そうに玲菜を見つめていた。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作(漫画)：<藤沢志月『柚木さんちの四兄弟。』
脚本：荒井修子（過去作/和田家の男たち,ｶﾅｶﾅ,ﾊﾟﾊﾟとﾑｽﾒの7日間）
演出：瀬田なつき（過去作/声ガール!,あのｺの夢を見たんです｡） 第1,2週
　　　伊野部陽平（過去作/いつかﾃｨﾌｧﾆｰで朝食を,受付のｼﾞｮｰ）
　　　玉澤恭平（過去作/水は海に向かって流れる）
　　　菊池俊次（過去作/家､ついて行ってｲｲですか?）
音楽：王舟（過去作/ｺﾀｷ兄弟と四苦八苦,阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし）
制作統括：三本千晶（制作統括初）
　　　樋渡典英（過去作/育休刑事(ﾃﾞｶ)）
　　　渡辺悟（過去作/褒めるひと褒められるひと）
Ｐ：北林督世（プロデューサー初）
※敬称略

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尊が、杉下右京並みの洞察力と知識量で玲菜ロックオン！

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

個人的な事情だが。

直前に、NHKドラマ10『燕は戻ってこない』の感想を投稿した。

あちらは、（今のところ）「下半身がだらしない代理母」と「欲望むき出しのバレエダンサー一家とその嫁」の下衆なお話だ（笑）

その直後に、夜ドラ『柚木さんちの四兄弟。』を見ると、少しの間、脳内の転換に時間がかかる。

さて、今回も一話完結で「隼人、恋人にフラれるの巻」だと思ったら。

意外にも意外に、文字どおりの「少年探偵団」が登場。

そして、早くもクールな次男・尊（大野遥斗）が、ドラマ『相棒』の杉下右京並みの洞察力と知識量で、早々に玲菜（片岡凜）をロックオン！

まさかの尾行まで（驚）

当然、三兄弟だけで問題解決しないのが今作のはず。

きっと、お向かいの霧島家の住人の助けを借りて、お兄ちゃんを助けるのだろうが。

前回が虎次郎（イッセー尾形）だったから、今回は咲（臼田あさ美）が助っ人になるのか。

あとがき

次男・尊（大野遥斗）と三男・湊（山口暖人）が同い年で同じ学年なのに、兄は少し大人びていて、弟はお子様の味付けになっているのが、意外といいんですね。

尊は隼（藤原大祐）の良き協力者で、湊は四男・岳（永瀬矢紘）のアニキみたいな立ち位置。

「四兄弟」の設定が、とても巧みだなぁと思います。

さて、弟たちがどうやって玲菜を撃退するのか楽しみです。

【注】原作(漫画)やテレビアニメ版のネタバレのコメント、お控えください。

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【これまでの感想】
第1週 第5話 

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NHKドラマ10「燕は戻ってこない」(全10回) （第6話・2024/6/4） 感想

NHK・ドラマ10『燕は戻ってこない』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)

第6話〔全10回〕の感想。

なお、原作(小説)となった桐野夏生『燕は戻ってこない』は未読。

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北海道から戻ったリキ（石橋静河）は３回目の人工授精を受け、ついに妊娠する。しかしお腹の子の父親が基（稲垣吾郎）であるという確証がない。自分が招いた事態に激しく後悔するリキ。不安に耐え兼ね、すべてを打ち明けようと悠子（内田有紀）とりりこ（中村優子）に会いに行く。妊娠を喜ぶ千味子（黒木瞳）は、リキを自宅に住まわせ目の届くところに置こうとするが、基はリキを追い詰めることを躊躇するようになっていた。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作(小説)：桐野夏生『燕は戻ってこない』
脚本：長田育恵（過去作/群青領域,朝ﾄﾞﾗ｢らんまん｣）
演出：田中健二（過去作/朝ﾄﾞﾗ｢ｶｰﾈｰｼｮﾝ,半分､青い｡,なつぞら｣） 第1,3,4,5話
　　　山戸結希（過去作/映画｢溺れるﾅｲﾌ｣,映画｢21世紀の女の子｣） 第2話
　　　北野隆（過去作/半径5ﾒｰﾄﾙ,ｴﾙﾋﾟｽ-希望､あるいは災い-） 第6話
音楽：Evan Call（過去作/ﾊﾗｽﾒﾝﾄｹﾞｰﾑ,鎌倉殿の13人）
制作統括：清水拓哉（過去作/正義の天秤 Season2,生理のおじさんとその娘）
　　　磯智明（過去作/なつぞら,十三人の刺客,どうする家康）
※敬称略

この章は、今作専用の毎週書いているフォーマット

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

この章は、今作専用の毎週書いているフォーマット。 前回も書いたが、繰り返す。

■我が家は、結婚35年ほどで子なし夫婦世帯。
■妻は助産師で既に数百人の赤ちゃんを取り上げている。
■私は1,000組超の結婚披露宴の演出を手掛けている。
■従って、結婚、出産などについては、いろいろ考えがある。

が、今作の感想で、「代理出産」などの議論をするつもりはない。

>更に、原作は未読だ。

視聴者は「見たいもの見る」ことができる

断っておくが。

そもそも、全ての視聴者に受け入れられ、高評価をもらえる “ドラマ” なんて成立しないと思う。

全方向に対して気を遣いまくり、無難な “ドラマ” なんて面白いとは思えないし。

だからといって、特に受信料で成立している NHKの制作者が作りたい、見せたい “ドラマ” を作って放送するのは自由だとも思わない。

がしかし、「妊活して妊娠できなかった人が見たら…」「子どもが見るような時間帯に…」は、完全に論点のすり替えだ。

なぜなら、視聴者は「見たいもの見る」ことができるわけだから。

まあ、当ブロブにも「読んでください」と頼んでもないのに、読んで腹を立てて誹謗中傷コメントを送り付ける輩がいるが本末転倒といわざるを得ない。

登場人物たちが興味本位で自分さえよければ他は関係ねぇ！

さて、前置きが長くなったが。

今作を、「生命倫理を解く教科書」「代理母の問題提起をする社会派ドラマ」などだと思って見ている人が多いようだが。

原作（である小説は未読）はどうであれ、このテレビドラマに関していえば、「そこまで描くことができるのか？」そんなレベルではないだろうか。

ちょうど半分を過ぎたわけだが。

今回なんて、「下半身がだらしない代理母」と「欲望むき出しのバレエダンサー一家とその嫁」が、互いに互いを翻弄し、罵り合い、苦悩して、疲弊しているだけ… のように私には見えるが。

だから、目くじらを立てることもないと思うから、冒頭で書いたわけだ。

ただ、私が興味深く今作を見ているのは。

「下半身がだらしない代理母」と「欲望むき出しのバレエダンサー一家とその嫁」の周囲に存在するサブキャラクターたちだ。

良くいえば赤裸々な人間性、下衆にいうなら行動原理が興味本位で、自分さえよければ他は関係ねぇ！ 的な魅力だ。

正に「後の祭り」ならぬ「悪魔の祭り」の様相

もちろん、地方出身者で貧困に喘ぎまくっていた下半身ゆるゆるの‘リキ’こと大石理紀（石橋静河）にも、ちゃんとした真っ当な人間味があるのも、とてもいい。

‘テル’ことリキの元同僚・河辺照代（伊藤万理華）で “行動原理が興味本位” の権化が妊娠した電話が掛かる。

貧しいが、社会の手助けを受ければ、自分も生まれてくる子供も幸せになれるだろうと悪びれる素振りもない。

理紀(M)「この子 幸せじゃないよ。
　こんな 産むだけの女が母親で
　父親も誰か分かんない。
　どうしようもない親のもとに
　授かっちゃったんだよ」

この辺は、理紀の真面目さの側面と同時に、「テルと違って私は考えているから」な女同士のちっぽけなマウント取りにも見えるのが面白い。

そして、「テルと違って…」と思っていたのも束の間で。

理紀(M)「私がバカで あまりにバカで…
　（中略）私だけのせいでもないだろうって
　思わなくもないけど 最悪で」
医師(回想)「あ？ これは… あれかな？」
理紀(回想)「えっ？ 何です？」
理紀(M)「なのに 最悪が更新された」

自己管理の甘さ、自己防衛力の欠落、自我脅威の認識不足によって。

自業自得、ツケが回る、しわ寄せがくるの、正に「後の祭り」ならぬ「悪魔の祭り」の様相だ。

普通の、並みのドラマだったら、このまま進めば「生命倫理を解く教科書」や「代理母の問題提起をする社会派ドラマ」に持って行くと思うし、十分に可能だ。

人間の形をした孵(ふ)卵器みたいなもの

でも、本当に、よい意味で今作は下衆なドラマだから、そうは展開しない。

この数回、音沙汰がなくて面白くなかったサブキャラの満を持しての登場だ。

美術大学以来の悠子（内田有紀）の親友で、現代風の春画を描く作家として活躍中の寺尾りりこ（中村優）が、その人だ。

りりこは、外も中も “いい子” を演じまくる悠子の親友だけに、逆に “悪い子” を演じまくって、調和を取ろうとする大胆かつ繊細な女性だ。

りりこ「代理母なんて 子宮で卵を孵(かえ)すだけ。
　人間の形をした孵(ふ)卵器みたいなものだよ」
悠子「ひどいよ」
りりこ「そう ひどいよ。
　そのひどいことを あんたたちが
　若い子にさせてるんでしょ？」
※字幕ママ」

様々な意見はあろうが、代理母に反対な人の大方の意見は、りりこが言ったことだと思う。

もちろん、遺伝子的なこと、生命倫理など、いろんな論点や観点はあろうが、“人間の形をした孵(ふ)卵器みたいなもの” であるとの認識が大半だから、未だに日本では認められていないわけで。

いよいよ、主人公が心も体も経済的にも困り果てた状態で、進む道、行き着くところはどこなのか？

いよいよ、面白くなってきた。

あとがき

いわゆる、「トラジコメディー」というジャンルになるんですかね。

トラジコメディーとは、悲劇であり喜劇でもある、英語の「悲喜劇」のこと。

「ドラマ10」枠としては、もう少し笑いがあっても良いと思いますけど。

でも、正味44分間、頭をぶん殴られているようなドラマも悪くないと思います。

原作既読の方は、ネタバレにならないようご協力をお願いいたします。

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第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 

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連続テレビ小説「虎に翼」 （第47回・2024/6/4） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第47回／第10週『女の知恵は鼻の先？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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久藤（沢村一樹）の後押しもあり、司法省で働くことになった寅子（伊藤沙莉）は民法の改正案を読み、かつて共に法律を学んだ仲間たちを思い出す。そこに現れた久藤から、これがＧＨＱから突き返された案だと知らされ、「思ったより謙虚だ」と言われた寅子は、自分の認識が甘いことに悔しい思いをする。そこに、久藤を訪ねてＧＨＱで働くホーナー（ブレイク・クロフォード）がやってくる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4,7,10週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3,8週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6,9週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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「新章」で描くことが「前章」とは明らかに違う

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

当ブログの感想欄で、憲法議論や、リベラルVS保守を語るつもりはない。

今回も、いつもどおりに “ドラマ” の感想を書いてみる。

序盤で、印象的だった寅子（伊藤沙莉）のセリフと演出がこれ。

寅子「さっきから この喜びを
　分かち合いたかった人たちの顔が
　次々と浮かんできて」

もちろん、「主人公が生きている世界」と「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」が共存しているからこそ、寅子が過去にかかわった人たちのことが、我々視聴者も浮かんでくるわけだが。

ここで注目したいのは、敢えて “分かち合いたかった人たち” の回想シーンを盛り込まない演出になっていたことだ。

並みの演出なら、“トラつば・アベンジャーズ” の面々を盛り込むと思う。

でも、今回は敢えてやらなかった。

それは、いわゆる「新章」で描くことが「前章」とは明らかに違うからだ。

どう違うのか？

「ヒロインの挫折」を強調するために回想は不要との判断…

「前章」では、誤解を招くのを恐れずに書けば、寅子が正義、寅子が正しい、寅子に従え… だったのだ。

寅子は、誰よりも型にはまらず自由で、斬新で、時代の先の先まで見据えて行動していた… はずだ。

でも、戦争、夫や家族の死を経て、一家の経済的支えになると決めた時点から、寅子は自身の中で、ある種の決意と実績を封印するようになったのだ。

そういった「ヒロインの挫折」を強調するためには、挫折以前の回想シーンは演出的に邪魔になるという意図だと思う。

で、逆に強調してきた回想シーンが、次の二つと、衣装箱を前に泣く寅子のカットだ。

"希望"と"現実"の違いこそが、"ドラマで時代を描く"こと

よね(回想)「こっちの道には 二度と戻ってくんな」
桂場(回想)「君は弁護士を 一度 断念しているだろ」
語り「駄目だ どうしても スンッてなる」

以前に、山田よね（土居志央梨）が言った「こっちの道」が何であるかは議論済みだから省略する。

でも、明らかに、よねと桂場等一郎（松山ケンイチ）の各ひと言の回想は、痛烈に「ヒロインの挫折」を非難している。

そして、その非難を反論や反発で返すのではく、「スンッてなる」が今の寅子だってことだ。

要するに、夢や希望を語り前進していたころは成立していても。

戦争が終わり、民法改正のそのときになったら、寅子は及び腰になっている… と、際立たせて描いたわけだ。

これの何がスゴイのか、お分かりだろうか？

寅子と‘ライアン’こと久藤頼安（沢村一樹）との序盤の数分間のやり取りだけで。

寅子が変えるべきだと訴え続けた “現実” は、戦争が終わり、憲法が改正されたくらいでは変わらないことに力点を置いた。

これによって、「前章」で描いた “希望の未来” と、「新章」で描き始めた “現実” の違いがクッキリすることができたのだ。

そして、“希望” と “現実” の違いこそが、「ドラマで時代を描く」ということになるのだ。

桂場の恩師で東京帝大教授・神保を終盤に登場させる効果

少し劇中の時間軸は前後するが。

並みのドラマなら、終盤に登場した桂場の恩師で東京帝大教授・神保衛彦（木場勝己）を序盤に盛り込んで、保守派の意見をセリフでしゃべらせてから、「神保さんは、ああ言うんだけどね」と久藤が更に解説をやるのだ。

でも、それはあまりにも説明になり過ぎる脚本であり、演出だ。

むしろ、ちょっと難しい内容だから、終盤で神保教授を盛り込んで “詳しく解説” した… という感じだと思う。

今作らしさをしっかりと担保しつつ、老若男女問わず楽しめる朝ドラとして盛り込まれていると思う。

「なんでも映像で、回想で見せればいい」のではない

さて、民法改正の話から距離をおいてみよう。

今回で、今作らしいやり取りといったら、これも入ると思う。

アメリカ人と、親友の寅子が働くことを良き事とは思えない花江（森田望智）を慰める寅子とのシーンだ。

寅子「お給料もらったら 何か ぜいたくなもの
　食べに行きましょうか」
花江「いいわね」
寅子「何が食べたい？」
花江「う～ん… 手羽先」

先日の、母はる（石田ゆり子）からもらったお金で、闇市の焼き鳥屋に寅子が座るも食べずに席を立った場面で。

鶏肉と鶏肉のすき間から串が見えるような品祖な焼き鳥が普通だった時代だからこその、手羽先のスペシャル感だ。

もちろん、5月30日(木)での はるの次のセリフの回収だ。

はる「どうしようもなくなった時
　ないしょで 思いっきり ぜいたくしました。
　そうするしかなかった」

言うまでもないが、5月21日(火)放送の第37回での川辺のシーンでの寅子が優三（仲野太賀）へ恋に落ちた名ゼリフの回収でもある。

優三「嫌なことがあったら
　また こうして２人で隠れて
　ちょっと 何か おいしいものを 食べましょう」

どちらのシーンの回想も挿入しないからこそ、上記の二つの言葉が、寅子の心に強烈に残っていることが伝わる。

「なんでも映像で、回想で見せればいい」のではないことを、証明したともいえる、いい演出だ。

久藤らが期待する寅子像と、寅子の寅子像の乖離の描写が！

さて、今回を、今作を、少し俯瞰で見下ろしてみよう。

「主人公の挫折」を描く、ネタにする “ドラマ” や “連ドラ” はよく見かける。

でも、積み上げてきた「主人公の言動や目標を、ほぼ全否定」するのは、 “ドラマ” や “連ドラ” で見かけることはないのでは？

もちろん、寅子が「第●条の、あそこを、こう修正するべき！」と詳細に描かれたことはあまり記憶にない。

ただ、寅子の “法律” や “法律家（弁護士や裁判官の含む）” はこうあるべき的な視点や論調は描いてきた。

それを「もう ヘマはできない。変な波風は立てずに…」で封印した結果を、久藤の最大の皮肉である「謙虚」で盛り込んできたのだ。

ここの脚本と演出と演技が秀逸だと思うのは。

本当の寅子を知っている人たちが期待する寅子像と、寅子自身がやらねばと思っている寅子像が乖離していることを、困惑する寅子と、嫌味な久藤と桂場、そして回想シーンのよねで明確化した点だ。

少し遠回りした描写に感じるが、実の表現はメッチャストレート。

この辺のメリハリのさじ加減も、今作らしさだ。

あとがき

ホント、よくできていますね。

並みのドラマなら「寅子、どうした？」「寅子、何やってんの！」となると思いますけど。

今作の場合は、「寅子、気づけ！」「寅子、再起して！」になりますもんね。

おっと、完全に感情移入してしまいました。

でも、私が感情移入するなんて、滅多にないですよ（笑）

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』
21 22 23 24 25 土 
第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 28 29 30 土 
第7週『女の心は猫の目？』
31 32 33 34 35 土 
第8週『女冥利に尽きる？』
36 37 38 39 40 土 
第9週『男は度胸、女は愛嬌？』
41 42 43 44 45 土 

納得！「虎に翼」の演出語る「マーベル映画を意識」やはり“トラつば・アベンジャーズ”は正解だった…？ 

第10週『女の知恵は鼻の先？』
46 

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夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」 （第5話／第2週・2024/6/3） 感想

NHK総合・夜ドラ『柚木さんちの四兄弟。』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第5話／第2週〔全8週・全32話〕の感想。

なお、原作(漫画)である藤沢志月『柚木さんちの四兄弟。』は未読。
2023年10月から12月までAT-Xほかにて放送されたテレビアニメ（DVD BOX 発売中）も未鑑賞。

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四男・岳（永瀬矢紘）の親友は、お向かいの霧島家に住むおじいさん・虎次郎（イッセー尾形）だ。祖父と孫のような年の差の二人が親友になったのは、２年前に四兄弟が両親を突然亡くしたあとのことだった。その頃、まだ大学生だった長男・隼（藤原大祐）は、弟たちに今までと同じような生活をさせようと無理をしていた。ある日、岳が幼稚園から帰宅すると隼がおらず、仕方なく扉の前で待っていると、虎次郎から声を掛けられる。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作(漫画)：<藤沢志月『柚木さんちの四兄弟。』
脚本：荒井修子（過去作/和田家の男たち,ｶﾅｶﾅ,ﾊﾟﾊﾟとﾑｽﾒの7日間）
演出：瀬田なつき（過去作/声ガール!,あのｺの夢を見たんです｡） 第1,2週
　　　伊野部陽平（過去作/いつかﾃｨﾌｧﾆｰで朝食を,受付のｼﾞｮｰ）
　　　玉澤恭平（過去作/水は海に向かって流れる）
　　　菊池俊次（過去作/家､ついて行ってｲｲですか?）
音楽：王舟（過去作/ｺﾀｷ兄弟と四苦八苦,阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし）
制作統括：三本千晶（制作統括初）
　　　樋渡典英（過去作/育休刑事(ﾃﾞｶ)）
　　　渡辺悟（過去作/褒めるひと褒められるひと）
Ｐ：北林督世（プロデューサー初）
※敬称略

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とにかく「空気感が心地よい」のひと言

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

相も変わらず、四男・岳（永瀬矢紘）とお向かいの霧島家に住むおじいさん・虎次郎（イッセー尾形）のやり取りは、ドラマ『コタローは1人暮らしシリーズ』を彷彿させるが（笑）

今回も「あれこれと感想でこねくり回すような作品ではない」と分かっていても、やちゃおう。

私自身、まだ分析できていないのだが、とにかく「空気感が心地よい」のひと言がしっくりくる。

年の離れた四人兄弟の「ホッコリの日常」と「ちょっとしたトラブル」だけの世界観だが。

基本的にテーマを感じにくいドラマは好きでなないのだが…

前段で「私自身、まだ分析できていない」と書いたのには理由がある。

私は基本的に「テーマ主義」である。

要するに、ドラマには何らかのテーマ（主題）があり、それを伝えるための手段が脚本や演出や俳優だと思っている。

だから、テーマを感じにくく、だらだらと日常描写を続けるドラマは好きでなないのだ。

でも、「空気感が心地よい」のだ。

きっと、四兄弟を含めた登場人物の心理描写が繊細であることや。

我々の日常の延長線上のように見える非特別感も良いと思う。

と同時に、どこにもでもありそうだけど、令和6年の今では、そう簡単に見られない特別感も。

まだまだ魅力が分からない点も多いが、引き込まれる作品になりつつあるのは間違いない。

あとがき

鍋焼きうどんの湯気の足し算の塩梅なんて、ちょうどよかったです。

寝込んだ兄を心配して作戦会議をやる三兄弟のうしろでせっせと仕事をするロボット掃除機も健気でいいし。

タクシー代わりに救急車を利用しないのも、お世話になったお礼を持参するのも、テレビドラマで見るとなんかホッとしますね。

アドリブに走らないイッセー尾形さんも、意外と新鮮で良いと思います。

【注】原作(漫画)やテレビアニメ版のネタバレのコメント、お控えください。

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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【これまでの感想】
第1週 

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当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
◆関連投稿：「批判・批評」でなく、より映像作品を楽しむための「感想」を書き続ける“7つ”の理由 

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アンメット ある脳外科医の日記 （第8話・2024/6/3） 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・新 月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、TikTok

第8話『揺れ動く二つの婚約』の感想。

なお、原作(漫画)である、子鹿ゆずる(原作)･大槻閑人(漫画)『アンメット－ある脳外科医の日記－』は、既刊13巻全巻(2024年4月16日現在)を既読。

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関東医科大学病院の建て替えに伴い、西島秀雄（酒向芳）が綾野病院を利用しようとしていることを知った西島麻衣（生田絵梨花）は、“ある決意”を固め、綾野楓（岡山天音）との結婚をやめると宣言する。しかし、麻衣との結婚が破談になれば多額の借金を抱える綾野病院は倒産するため、綾野は困惑する。
綾野の父・勲（飯田基祐）は、結婚の裏事情を知り、経営再建のための過疎地医療の廃止に猛反発する。そんな中、往診中の勲が交通事故で頭部に外傷を負い、丘陵セントラル病院に運ばれる。手術は川内ミヤビ（杉咲花）たちにより無事に終わるが、「社会的行動障害」の後遺症が残り、綾野が過疎地の診療所へ通うことになる。
一方、三瓶友治（若葉竜也）から「僕たちは婚約していました」と告げられた記憶がよみがえったミヤビは、三瓶にそれが事実か確かめられず戸惑う。さらに、以前に綾野から美術館で告白されたことも思い出す。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作：子鹿ゆずる(原作)･大槻閑人(漫画)『アンメット－ある脳外科医の日記－』
脚本：篠﨑絵里子（過去作/ｸﾛｻｷﾞ2006､2022,朝ﾄﾞﾗ｢まれ｣､竜の道）
演出：Yuki Saito（過去作/おっさんずﾗﾌﾞｼﾘｰｽﾞ,ﾘｴｿﾞﾝ-こどものこころ診療所-） 第1,2,5,7話
　　　本橋圭太（過去作/DOCTORSｼﾘｰｽﾞ.ｸﾞﾚｲﾄｷﾞﾌﾄ） 第3,4,6,8話
主題歌：あいみょん「会いに行くのに」
オープニング曲：上野大樹「縫い目」
音楽：fox capture plan（過去作/ﾔﾒｺﾞｸ､SUPER RICH､ﾌﾞﾗｯｼｭｱｯﾌﾟﾗｲﾌ）
Ｐ：米田孝（過去作/ｺﾝﾋﾞﾆ★ﾋｰﾛｰｽﾞ~あなたのSOSいただきました!!~）
　：本郷達也（過去作/星降る夜に,リビングの松永さん）
※敬称略

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私が選んだ「三つの軌道修正ポイント」

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
なお、原作(漫画)は、既刊13巻全巻(2024年4月16日現在)を読了しました。

一時は、“連ドラ” ＆ “原作ありドラマ” として、どうなるのか不安だったが。

前回、そして今回で、完全に軌道修正完了と言った感じ。

では、どこを軌道修正したのか？

私が選んだ「三つの軌道修正ポイント」を挙げてみる。

医療ドラマとして "患者" と "治療" を丁寧に描いている

一つめは、医療ドラマとして “患者” と “治療” を丁寧に描いていること。

冷静に見ていた人なら分かると思うが。

これまでのほとんどの回が、患者や治療そっちのけで主人公周辺を描いていたのだ。

でも、今回は、川内ミヤビ（杉咲花）自ら脳外科の主治医として、綾野楓（岡山天音）の父・勲（飯田基祐）の治療に向き合う姿がしっかりと描かれた。

もう、これだけでも医療ドラマとして二段間くらいは格上げしても良いくらいだ（今まで何段だったのかは…？）

主人公が "川内ミヤビ" として物語が構築された

二つめは、主人公が「不慮の事故で脳を損傷した脳外科医の川内ミヤビ」として物語が構築されたこと。

原作と比較するつもりはないが、周知のことだから書いてしまう。

原作の主人公は、ミヤビの記憶障害を治そうとするアメリカ帰りの脳外科医・三瓶友治（若葉竜也）なのだ。

その設定を、実写ドラマ化により改変したのだ。

改変したなら、第1話から「ミヤビを主人公」にするべきなのに、それを怠った上に、第6話まで続けたのが今作。

だから、これは軌道修正というよりも、本末転倒を改善しただけではあるが。

でも、最終回まで突っ走らなかったのは評価できる。

全ての登場人物たちの行動が "ミヤビ" になっている

三つめは、やや甘めの採点になるが。

ほぼ全ての登場人物たちの行動原理が “ミヤビ” となっており、“ミヤビ” の言動や存在によって “ストーリー” が構築されている点だ。

例えば、綾野楓と西島麻衣（生田絵梨花）の婚約という “縦軸” についても、表面的には某国のドラマ風の身分違いの恋バナ、財閥家との格差、、やたらと厳しい親など、個人的にはうんざりする一面もあるが。

綾野と麻衣の意思決定にミヤビの存在が大きく関与しているから、本来は、ミヤビは “縦軸” にあまり関係ないのに、ミヤビが “縦軸” に影響を与えている、影響を与えたように見えるのだ。

今回… も、心に染み入るセリフが幾つもあった

これ以上、褒める必要がないくらいに褒めたと思うが（笑）
次回がどうなるか分からないから、褒められるときに褒めちゃおう。

今回… も、心に染み入るセリフが幾つもあった。

例えば、ミヤビと綾野が訪れた西平森美術館（ロケ地は「ヤオコー川越美術館 」）でのミヤビのセリフ。

ミヤビ「積み重ねがないから
　直感で 余計なこと考えずに
　う～ん 今の自分の思いがわかるんです」

私なんて、第1話から全部の記憶を積み重ねるから、「これまでよりも」なんて書いてしまう。

でも、記憶の積み重ねを必要以上にやらないように感情のコントロールをすれば、今の本当の気持ちを自分が気づける可能性はあるわけだ。

綾野の父・勲が病床で感情的になった際のセリフも聞き逃せない。

勲「余計なことをするなと 言ってるんだ！
　俺が望んでいるのは
　お前が俺のために何かすることじゃない！
　お前がお前のためにいきてくれることなんだよ！
　はぁ～ あぁ だめだ。１ ２ ３ ４ ５ ６。
　楓 悪かったな」
楓「えっ？」
勲「お前が 優しい子だってことを忘れてたよ」

ここが良いと思うのは。

喜怒哀楽を抑えられなくなる「社会的行動障害」という後遺症が残っている勲ではあるが、「息子が優しい子」であるという記憶は忘れていないという展開に持ち込んでいること。

全てのエピソードが “記憶” と連動しているのだ。

『DOCTORS 最強の名医』の本橋圭太氏らしい繊細な演出

細かいことをいうと。

終盤、勲の緊急手術と急患の同時オペが決まった際、救急部長・星前宏太（千葉雄大）が勲が載ったストレッチャーを検査室から運び出す場面で。

背後の看護師が手術の手配をするような感じで院内電話で話すカットがあった。

あの一人の看護師の演技で、今作がメインやサブの俳優だけで作っていないことが分かる上に。

本当の病院で起こっているような臨場感を醸し出すことができる。

こういう、ちょっとした演出は、長年にわたりドラマ『DOCTORS 最強の名医』のメイン監督を務めた本橋圭太氏らしい繊細な演出だと思う。

あとがき

「第1話から、これくらいミヤビを主人公にしておけば」と思いますけど。

千葉県在住者として外せないのが、ベイエフエムの創成期以来からのラジオパーソナリティーで俳優でもある きゃん ひとみさんの出演です

昨日放送の担当番組『てぃだきゃん』で、今作への出演をほのめかしておられて、「診療所の看護師」で出演されていました。

それと、過疎地域＆高齢者医療のドキュメンタリー番組で、とても良い作品があったのでご紹介します。

『ＮＨＫスペシャル　せんせい！おかげで生きとられるわ～海辺の診療所　いのちの記録』
初回放送日：6/2(日) 午後9:00-午後9:50
配信期限 :6/9(日) 午後9:49 まで
見逃し配信（ＮＨＫ＋） 

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