ゲゲゲの女房:再放送 （第20,21回） 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』（公式）
第4週『さよなら故郷（ふるさと）』の 『第20,21回』の感想。


※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。

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【第20回】
結婚式の席上で、緊張した布美枝（松下奈緒）とは対照的に、茂（向井理）はおならをしたり、飲めない酒を飲んでひっくり返ってしまったりと、何かと型破りだった。式が終わり、布美枝と茂は境港の村井家へ。絹代（竹下景子）から布美枝はあらためて「茂のことをよろしく」と頼まれる。

【第21回】
結婚式のあと、夜になってようやく酔いがさめた茂（向井理）は、布美枝（松下奈緒）に幼いころの“のんのんばあ”との不思議な思い出を話して聞かせる。翌朝、茂はなかなか起きてこない。布美枝は修平（風間杜夫）と絹代（竹下景子）と朝食をともにしながら、ふたりの個性に強い印象を受ける。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第20回】

布美枝と茂が互いに"いい感じ"を抱いているのが強調された

本放送時は、2010年4月20日（火）。前回での緊張しまくりの布美枝（松下奈緒）と対照的な、いつも平常心の茂（向井理）がおならをしたくだりで、布美枝が驚きつつも「不思議と 嫌な気持ちには なりませんでした」と締めくくったアバンタイトル。

とにかく、スピード婚だから故に、布美枝も茂も、分っていることと分かっていないことがありつつも、互いに “いい感じ” を抱いていることが強調された。

第4週から観ても満足できる、半年間の構成が上手いと思う

なお、放送当時の状況を調べてみると、朝ドラの放送回時時間が「8:15」から「8:00」に変更された最初の作品と言う事情が影響し、初週と2週の週別平均視聴率は15％台と低迷したが、大型連休を挟むことになる第3～6週が16％台と右上がりを示したとある。

やはり、前回と今回の所謂「婚礼の日」を描いたくだりでも、第4週の月曜日で結婚式後の披露宴での最初の顔合わせ的な場面で、本作は登場人物たちの人物紹介を丁寧に描いた。まるで、第4週から観ても満足できるように丁寧に。

そして、話題になっているから見ようと言う人にとっても「主人公は既に結婚している」のだから、安心して見ていられる。この辺の半年間の構成も上手いと思う。

朝ﾄﾞﾗは初月で､ﾋﾛｲﾝらの魅力を届けるのに成功するかが大事

比較する意味はないが、『なつぞら』でヒロイン・なつが上京してアニメーターになると言ったのが、第7週の土曜日で「東京編」が始まったのは放送開始後一か月半も経った第8話。『ひよっこ』だって上京したのは第5週。やはり、初月で何処までヒロインを含めた登場人物たちの魅力を視聴者に植え付けるのに成功することが大事かってことだ。

態と回想ｼｰﾝの源兵衛の影の位置を不自然にして共感させる

下戸の茂が、勧められた酒を飲んでしまう。そこから、ドタバタと始まるかと思いきや、源兵衛（大杉漣）が祝いの唄に「安来節」を歌い始める。その時に布美枝の子供の頃の回想シーンが挟まれる。病床のミヤコ（古手川祐子）の枕元に座って源兵衛が座る背後の襖に源兵衛の大きな背中の影が映し出させる。

ミヤコの枕元の行灯の位置から、あの場所に影が出るのは明らかに不自然。でも、襖にまるで鏡のような役割をさせ、源兵衛の大きな影を映し出すことで、両親の様子を覗き見している布美枝と布美枝の次姉・ユキエが見ている源兵衛の大きな背中を、視聴者に同時に体験させている効果だと思う。こう言うのが『虚構の中の真実』だ。

何のことか分からに読者さんは、是非ここ数日分の『なつぞら』の感想を読んで欲しい。もちろん、回想シーンを入れるタイミングの良さは言うまでもない。

披露宴を楽しく､明るく､賑やかに､時にしんみりさせつつ…

結局、茂は酔いつぶれてしまい、飯田家の面々は益々この婚儀に不安を感じるが、布美枝の気遣いで何とか乗り切る。そして、いよいよ布美枝は村井家に嫁いで行った…そんな展開が 12分頃まで。

昭和の頃の神社で執り行った結婚披露宴を楽しく、明るく、賑やかに、時にしんみりとさせつつ、風変わりで型破りな茂と見守る布美枝で魅せながら、娘を嫁がせる源兵衛の心情を感動的に描いたと思う。

特筆すべきは、視聴者が登場人物全員と一緒に体験したこと

しかし、このシーンで特筆すべきは、そんな嫁入りによって二組の親子をしっかりと描きながら、個性的な脇役たちも同時に描いて、それが全くゴチャゴチャした印象を与えず、本当の結婚式と披露宴に参列しているような…

先日に書いた“視聴者がヒロインと一緒に体験する” を更に一歩進めて、簡単そうで実は難しい“視聴者がその場の登場人物全員と一緒に体験する” ことをやってのけたこと。

本来の結婚式や披露宴で大切な事を､30分間でやっちゃった

結婚披露宴の演出を20年以上 1,500件超は経験している私だから敢えて言うが、結婚式や披露宴で大切なのは、サプライズやお愉しみよりも、「参列して本当に良かった」や「新郎新婦が心の底から幸せそうだった」と思え、それが “心にずっと残る” こと。それを本作は前回と今回の 30分間でやっちゃったのだ。

どうか、これから結婚を控えている人たちは、村井家と飯田家の婚礼を参考にして “新郎新婦の幸せな表情” が “心に残る” ような結婚式や披露宴を目指したら良いと思う。

1枚の葉書で“義理の親子の絆”の始まりを笑いと涙で魅せた!

そして、終盤では “遂に” 村井家にやって来た「村井布美枝」のお話。息子の出征、復員、そして結婚と言う「三つ目の出発」を祝うために「ふかし芋」を絹代（竹下景子）が布美枝に食べるように言いながら、復員してくる前に家族に右腕を失ったことで驚かせないように差し出した茂が書いた葉書きを差し出した。

僅か 2秒強のインサート（あとから「つづく」に重ねて 5秒弱映った）だったが、葉書きの中央に描かれていたペチャンコの復員服の左袖を右腕で握り締めた、のちの「サラリーマン山田」に似た復員兵のイラストがとても印象的だった。

たった一枚の葉書が取り持って始まったばかりの “義理の親子の絆” の始まりを、笑いと涙できっちり描いて魅せた。お見事！

©NHK & Amazon(サラリーマン山田 水木しげるロード ブロンズ像消しゴムフィギュア)

【第21回】

布美枝用の寝具の上に置いてある｢茂の右腕｣が､ｼｭｰﾙ過ぎる

結婚初夜は、下戸なのに口にしてしまった酒で酔っ払い、布美枝よりも先に寝てしまった茂。2階の寝室に後から入って来た布美枝が、布美枝用の布団と枕の上に置いてある「茂の右腕」に驚くと言うアバンタイトル。あまりにも、シュールな映像で驚いてしまった。

ｼｭｰﾙなﾀｯﾁで､布美枝と茂､嫁と嫁ぎ先との"違い"を強調した

主題歌明けは、階下の居間で絹代が修平に、茂の左腕がないのを布美枝が驚くのではないかと心配するが、同時刻に布美枝は茂の義手を触りながら、苦労続きだったろうと茂に思いを寄せる。どうやら、この辺りから、本作的に、布美枝と茂、嫁と嫁を貰った側・村井家との “違い” が描かれるようだ。

その意味で、アバンのシュールなタッチは “違い” を強調する第1弾として有効的だったと思う。

夜中に茂が布美枝に思い出話をする"ｶﾒﾗｱﾝｸﾞﾙ"が良かった

夜中に茂が起きて、幼いころの “のんのんばあ” との不思議な思い出を話して聞かせる場面のシーンが、窓際に二人が並んで座っている状態を “俯瞰気味（やや上の方向から見下ろすよう）” に撮影していたのが良かった。

回想シーンの不思議さと噛み合って、このシーンが誰の目線を意識しているのか、もしかして、“のんのんばあ” なのか、それとも “キツネ” なのか “天からの布美枝の祖母・登志” が見ているのかと言う雰囲気を醸し出していたから。

これが “煽り気味（やや下方向から見上げるよう” に撮影していたら、実在の誰かが見ているように感じてしまう。この辺のカメラアングルの工夫も上手いなと思う。

朝食ｼｰﾝでは､飯田家と村井家の"違い"が､本格的に描かれた

9分頃からは翌日の朝食シーンでは、飯田家と村井家の “違い” が、予想通りに本格的に描かれ始めた。

修平「お互い まだ 知り合ったばかりだけん
　　　ちょっとずつ 分かり合ったら ええわ」

正に、両家の違いを描いている訳だが、若干残念なのは、絹江が “ただの口煩くて、子離れしてない母親像” に映ってしまったこと。まあ、上の修平の台詞があるから、朝食の和食メニューにコーヒー付きと言う点を含めて、これから描かれるのか期待しようと思う。

おっと、期待と言う点では、森康子さんがいい味を出して演じていた “のんのんばあ” にも、もう一度会ってみたい…

あとがき

やはり、15分間で、村井家と飯田家が同時間帯、同場所に存在しないと “両家の違い” が分かり難いのが残念ですね。まあ、15分間と言う制約を取っ払うことは出来ませんから、次回が布美枝と実家との別れでしょうか？ 父の源兵衛がどう絡むのかが、仕上がりの肝になると思います…

  

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【これまでの感想】

第1週『ふるさとは安来』
1 2 3 4 5 6
第2週『ご縁の糸』
7 8 9 10 11 12
第3週『たった五日で花嫁に』
13 14 15 16 17 18
第4週『さよなら故郷（ふるさと）』
19

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