連続テレビ小説「おちょやん」 （第78回・2021/3/24） 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』（公式サイト）
第78回／第16週『お母ちゃんて呼んでみ』の感想。


※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。

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身寄りのない寬治（前田旺志郎）を預かる千代（杉咲花）と一平（成田凌）の家に突然、高城百合子（井川遥）と小暮真治（若葉竜也）が訪ねてきた。驚くことに二人はすでに結婚していて、芝居をできる場所を探しながら、全国を回っていた。列車が雪で足止めをくらい、千代のもとを頼ったのだった。久々の再会に、楽しい夜を過ごす四人だったが、百合子と小暮はある秘密を抱えていた。一方、二階で聞き耳を立てる寛治に笑顔は無い…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

●作：八津弘幸 ●脚本協力：吉田真侑子 ●演出：盆子原誠（敬称略）
第14週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしております。

アバンで酒飲んで大声で話す小暮に何か違和感…

幾ら酔っぱらっているとは言え、視聴者（私）は、前回で、高城百合子（井川遥）と小暮真治（若葉竜也）が思想や言論を取り締まる秘密警察、特別高等警察（以下、「特高」）に追われているのを知っているから、アバンタイトルで酒飲んでいい気になって大声で話す小暮に何か違和感…

それに、最近の千代（杉咲花）は怒鳴り声こそ少なくなったが、その分だけキンキン声が増えて耳障りに。なぜ、程良く… と言うのが本作は出来ないのだろう？

小暮が病院を継がずに、芝居の道へ進んだのも違和感…

今回は、別に書かなくても良いのだけれど、なんか引っ掛かることばかりだったから、備忘録代わりに書いてみる。

まず、小暮が、家業である病院を継がなかった理由。まあ、普通のドラマなら、貧乏人の治療はしないと言う父に反発して、自分は父親とは違う “報われない人を救う病院” を作ってみせると言う方向へ反骨精神を向けるのが、それこそ “活動屋” と言われたような時代を生き、映画界で飯を食っていた小暮に似合っているように思ったが。

何故か映画界に入って、自分が監督する映画の中の “芝居で励ましたい” になってしまう。この辺のご都合主義的なキャラ設定が、なんともモヤモヤする。

あの大衆に迎合していたような高城がソ連に亡命も違和感…

また、高城百合子にしても、なんか変。撮影所で女優をやっていた時は「私は大女優よ」的な、大衆に迎合するようなアイコンとして描かれて来たのに、ここへ来て急に、やりたい芝居ができないからソ連へ亡命って？

せめて、もう少し、特高に目をつけられるような「演目」の芝居をするようになったのか描いて欲しかった。だって、これ、私が知っている高城にとっては “思想の変更” くらいに人生の大きな転機があったわけで、そこを描かずに、「ソ連に亡命する」の結果だけ描かれても、唐突過ぎる。

「芝居」と言う単語の意味が曖昧なような気がしてならない

そして、そもそも劇中で何度も使用されている「芝居」と言う単語の意味が、曖昧なような気がしてならない。今回での小暮と高城の台詞の中に登場したのは「芝居＝人に見せる演技」と言う意味だったように思う。要は「芝居≠演劇」でないってこと。でも、小暮が一平（成田凌）に話している時の小暮は、映画を作りたいみたいな雰囲気だった。

でも、高城が千代に見せた検閲を受けた削除ばかりの台本は「演劇用」のように画面からは見えた。映画の脚本なら「柱」と言うのがあって、そこに例えば「シーン１：千代と一平の家の縁側」とか書いてあるのが普通。でも、劇中の台本にはそれがなかったから「舞台、演劇用」って見える。

そうなると、高城は演劇で、小暮は映画で、でも演者の芝居（＝演技）で報われない人を… となって、あれっ？ って感じなのだ。

今回で良かったのは、千代の気持ちがわかったこと!

ただ、今回で良かったと言うか、これまで曖昧だったことが、少し明瞭になったことがある。それは、過程や経過が描かれていないのは諦めるとして、千代が、自分が何者であり、どんな思想で演劇に関わっているのかが、高城への台詞に入っていたことだ。

千代「うちは 喜劇役者だす。
　　　せやさかい お客さんに喜んでもらえたら それでよろしねん。
　　　お涙頂戴やろと こび売ろうと
　　　それでお客さんが喜んで笑（わろ）てくれはったら
　　　うちは満足してしまいますねん。
　　　ちっぽけな望みかもわからへんけど
　　　それが うちのやりたいお芝居なんだす」

まあ、本来は、これを台詞にせず、ドラマを通して視聴者に感じさせるのが、脚本家や演出家の役割なのだが。もう、描いて来なかったから、台詞に起こすしかなかったのだと思った。本当は、ここが見たかったのに… だ。とは言え、このシーンでも「役者」と「女優」が混在して使われているのは、気になってしょうがなかったが…

「戦中」と言う雰囲気が、今一つ伝わって来ない…

さて、今回の15分、ちっとも面白くないのは前回と同じだが、いろいろ気になってことがあるから、もう少し書いてみようと思う。きっと、私のように「今回も、何だかなぁ」と思いつつ、15分を見た人なら分かってくれるかも知れない。

まず、劇中の時代が、戦中ではあるが、まだ所謂 “ガッツリとした戦中” でないから描写が難しいとは言え、台詞や特高の存在で、何となく戦中と言う感じがほわ～っと漂っているだけで、前回の呑気な感じと比較すると、全く違う時代を描いているように見えてしまったことだ。

更に、ちょこちょこと寬治（前田旺志郎）のカットが入るから、余計に戦中と言う感じが薄まってしまった。これ、月曜日に劇中が昭和12年（1937）12月、父のテルヲ（トータス松本）が亡くなって5年、千代は30歳になった… とあったが、もう5年追加して、昭和17年位にして、もう少し戦中の雰囲気を街中にも漂わせた方が良かったかも知れない。

なぜ、水曜日で急に寛治のことを描かなくなったのか!?

まあ、様子見モードで見ている割には、感想に書くことが多い今回だが。

今回で、最も言いたいのは、寛治を「お母ちゃん」と呼ばせる作戦のくだりは、一体、どうなってしまったのか？ ってこと。本作は、特に脇役に関して、こうやっていつの間にか別のエピソードになることが多いが、流石に、2日間も描いて、水曜日では “無し”になるのは、如何なものだろうか？

だって、この「松島寬治」と言う人物、NHKは何ら発表もしていないが、『おちょやん』の考察サイトでは、あの有名な人がモデルとされている。ネタバレになるし、正解であるかわからないから、次の行に色を反転して書いておくので、知りたい人だけ読んで頂ければ…（やり方は各自で）

ここから→「松島寬治」のモデルは、俳優の父を早くに亡くして、父の芸名を継承した喜劇王「藤山寛美」←ここまで

と言うことは、千代の今後の女優人生に大きく関わってくるはずの、重要人物。その初登場の週が、水曜日から置き去りになるのは、流石にどうかと思う。

あとがき

う～ん、なぜ、千代の物語を描かないのでしょう？ もう、それだけです。千代が女優として、大阪のお母さんと呼ばれるような人になる物語を見たいです。

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