正直不動産2 （第1話・2024/1/9） 感想

NHK・ドラマ10『正直不動産2』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、YouTube

第1話〔全10話〕『帰ってきた正直不動産』の感想。

なお、原作となった漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」は、既刊19巻（2023年12月現在）を完読。

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登坂不動産の正直過ぎる営業マン・永瀬財地（山下智久）は、後輩でカスタマーファースト命の月下咲良（福原遥）、Ｚ世代の新入社員・十影健人（板垣瑞生）とともにタワマン購入希望の夫婦を現地に案内する。そこに突如、かつての永瀬の師匠で常にナンバーワンの営業成績を誇った男・神木涼真（ディーン・フジオカ）が現れる。登坂不動産のライバル・ミネルヴァ不動産の社員となっていた神木は、その場で永瀬の客を奪ってしまう。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」
脚本：根本ノンジ（過去作/正直不動産,相棒ｼﾘｰｽﾞ,ﾌﾙｰﾂ宅配便,ﾊｺﾂﾞﾒ） 2024SP,第1話
　　　清水匡（過去作/僕の姉ちゃん）
　　　木滝りま（過去作/ｶﾅｶﾅ,青春ｼﾝﾃﾞﾚﾗ）
演出：川村泰祐（過去作/正直不動産,ﾄﾞS刑事,屋根裏の恋人） 2024SP,第1話
　　　金澤友也（過去作/正直不動産,ﾗｽﾄ･ﾄﾞｸﾀｰ~監察医ｱｷﾀの検死報告~）
　　　下向英輝（過去作/ｶﾅｶﾅ,青春ｼﾝﾃﾞﾚﾗ）
音楽：佐橋俊彦（過去作/正直不動産,ちりとてちん,ﾃﾐｽの剣,集団左遷!!,行列の女神）
主題歌：小田和正「so far so good」
※敬称略

今季期待度ナンバーワンの『正直不動産2』の第1話

いよいよ、今季期待度ナンバーワンの『正直不動産2』の第1話だ。

前シーズンがあまりに好評で…

放送直後に特別番組『正直不動産 感謝祭』が放送され。

更に当初ソフト化企画はなかったが、希望の多くの声にこたえる形でDVDとブルーレイの円盤化発売決定された大人気ドラマの続編だ。

様々な"ドラマ"の要素が盛り込まれた、お得感のあるドラマ

NHKのドラマらしく、お勉強モードで不動産用語のお勉強要素や不動産業界の裏情報の提供をして “賢い消費者” をつくることに寄与しつつ。

基本(ベース)は、主人公たちの「お仕事ドラマ」で。

不動産にまつわる「人情ホームドラマ」や…

不動産業者と消費者の情報格差に鋭く斬り込む「社会派ドラマ」もあり…

祠(ほこら)と石碑を壊した祟(たた)りのコミカルなオカルトドラマ…

そして、何より重要なのは “正しい者が勝つ” という勧善懲悪モノ…

おっと、季節の和菓子が登場する「グルメドラマ」の要素も…

と、まあ盛りだくさんの内容だ。

しっかり"俳優で魅せる(fascinate)"にも一切手抜きがない

しかし、これらの要素が見事に調和して、ひとつの “ドラマ” に盛り込まれている。

決して一部が突出したり後退することもなく、程よいバランスで共存する… これが今作のスゴイところだ。

上記を成立させている企画制作、脚本、演出も大いに褒めたいところだが。

これだけ盛り込んでいるうえに、しっかり “俳優で魅せる(fascinate)” も一切手抜きがないことだ。

当然、主演の山下智久さんを筆頭に全キャストが自身の魅力を最大限に引き出して、演じるキャラクターをリアルへ昇華させているのは言うまでもない。

分かりにくい不動産業界のテーマを映像で見せて魅せた！

感想以前の称賛が長くなってしまったが、それだけ完成度が高いということだ。

で、『２』の第1話は…

正直過ぎる不動産営業マン・永瀬財地（山下智久）の前に、かつての永瀬の師匠で客に平気で嘘をつく悪魔的営業の神木涼真（ディーン・フジオカ）という最強のライバルが出現！ だ。

神木の営業テクニックの迫力や話術を分かりやすくきっちりと描写しつつ。

最後の最後は、文字どおりの “正直不動産” をやり切った永瀬の１勝！

＜相手をしっかりと観察する＞という営業で一番大切なことをきっちりと描いた。

今回は、「表情の変化」「呼吸の変化」「声のトーンの変化」「声のテンポや間の変化」を巧みに利用した神木の悪魔のテクニックに対して…

永瀬の「姿勢や動きの変化」に注目する能力が一枚上手(うわて)だったというわけだ。

勧善懲悪モノとして分かりやすいだけでなく。

いつも以上に、分かりにくい不動産業界というテーマを掘り下げて＜映像で見せて(show)魅せ(fascinate)た！＞と思う。

ホント、これだけ完成度が高いと、これ以上書くことはない（汗）

＜視聴者ファースト命＞の作り方になっている

これ以上書くことはないのだが。
折角、読みに来てくださった読者様に、私なりの切り口で褒めちぎってみようと思う（笑）

分かりやすさという点では、「タムパ（タイムパフォーマンス）」を解説するテロップなんて好例だ。

いつも書くことだが、受信料で制作されている NHKのドラマは幅広い世代が楽しめるように作るべきなのだ。

日本語に拙い人だって分かるように描くのは当然だ。

でも、分かりやすさ重視で昨今の略語を排除してしまうと、作品としての “時代感” が損なわれてしまう。

今回のテロップと、永瀬の後輩の月下咲良（福原遥）による視聴者へのフォローもお見事だ。

だって、月下は＜カスタマーファースト命＞の設定だから、＜視聴者ファースト命＞がピッタリというわけなのだ。

演出的なお遊びであり、ちょっとしたセンスの見せどころ

演出的なお遊びであり、ちょっとしたセンスの見せどころで、私がこういうのを見ると「いいね」したくなるのが。

序盤にあった、ミネルヴァ不動産に神木が入っていく際のワンカット。

閉じていた扉が左右に開くだけ… だが。

©NHK

よく見ると分かるが、扉外側の金属ライン装飾と、奥の室内の LED蛍光灯が、一直線に映っている（←黄色い線で示したとおり）。

もちろん、こう映る位置にカメラを配置して撮影しているわけだが。

きっと、次のような演出意図があったと思う。

一つは、のちに顔を見せる神木の “ボス感” を強調するために、城全体が出迎えている雰囲気を醸し出す。

もう一つは、神木の後ろ姿の動きをスッキリ見せるために、ドアと中を合わせた。

最後は、視聴者の視線を一度「上（蛍光灯のある天井）」に向けさせることで、「下（床・フロア）」での神木のタップダンスの面白さを増幅させる。

だって、ここ、扉が開く前から神木の靴のアップで、華麗なステップで入室しても良いわけだから。

良い意味で視聴者の視線の動きをコントロールして、タップの楽しさを表現するため… だと思う。

『正月スペシャル』と、この第1話との関係性のうまさ

まだある。

先日の『正月スペシャル』と、この第1話との関係性のうまさだ。

一部に、私は違うが、「なぜ正月SPを第1話にしなかったの!?」の声があることは知っている。

今回では、その『正月SP』で描かれたくだりが挿入された。

永瀬の大学時代の親友・希志（溝端淳平）に一軒家を売って、初めて営業トップになったエピソードだ。

『正月SP』を見た人なら、数カットの回想で「あれね」と分かる。

でも、『正月SP』を見ていない人には、「一度だけ神木に勝った時は一軒家を売ったんだ」と分かれば良いだけだから、何ら問題はないと思う。

要するに、＜後日談を先行して放送した＞だけだったのだ。

この辺の、特別番組とレギュラー放送のすみ分け、使い分け、視聴者を置いてけぼりにしない配慮も＜視聴者ファースト命＞の一つだと思う。

永瀬が"祟りの風"を自分なりにコントロールして生きている

さて、『１』から『２』になって変わったのが、永瀬が “祟りの風” を何とか自分なりにコントロールして生きている点だ。

世の中、いろいろな場面で自分の力ではどうにもならないことがある。

そこへ全力で立ち向かう勇気や気力がある人は別にして、それができない人もいる。

そういう人は、目の前に立ちはだかる難問や難題とうまく向き合い、付き合いつつ、時には いなせに身をこなしてやり過ごすことも大切かと。

そんな、ちょっぴり江戸っ子気質な部分が、山﨑努さん演じる和菓子職人でインフルエンサーの石田努の生き方や生き様と、さらりとシンクロするのも面白いと思う。

「ザ・イカロス武蔵小杉」の "イカロス" とは？

ちっちゃなことだが、今回に登場したタワーマンション「ザ・イカロス武蔵小杉」に言及してみる。

今作に登場する物件名には、ほぼ必ず何らかの意味が含まれていることは、『１』で何度か書いた。

今回で注目するのは「イカロス」だ。

イカロスは、ギリシャ神話に登場する青年の名で別名「イカルス」とも呼ばれる。

幽閉されていたクレタ島の迷宮ラビリントスの島から…
父ダイダロスが考案した蝋(ろう)で付けた人工の翼で脱出に成功したが…
父の忠告を聞かず傲慢さから天高く飛び過ぎたために…
太陽の熱で蝋が溶けて海に落ちて溺死する運命を辿った。

要するに、身の丈以上の高い場所では何が起こるか分からないってことだ。

だから、今回のタワマンに「ザ・イカロス」がピッタリなのだ。

＜俳優・山下智久＞について

最後に、普段は俳優や演技に言及することは少ないのだが。

やはりひとこと言いたいのは＜俳優・山下智久＞についてだ。

これまでも、山下智久さんの演技など称賛してきたが。

今作、特に『２』になって、見た目も演技も、よりシャープさ、しなやかさ、コミカルさがパワーアップしているように思う。

中でも、良くなったのが身のこなしと所作の美しさだ。

今作の “永瀬財地” は風が吹くとのけぞったり飛んでしまいそうになったり、意外と大きな動作が要求される。

一方で、優秀な営業という役回りだから、シュッとしつつ滑らか動きも要求される。

『２』の山下さんは、＜風をいなす永瀬＞を体現して演じているように見える。

そう、『１』では＜風に翻弄される永瀬＞から進化しているってこと。

更に、ちょっとした指差しの動作などもキレがあり、メリハリもついて… う～～ん、スゴクいいとしか言いようがない！

あとがき

ホント、不満はありません。

個人的には、元旦に発生した令和6年能登半島地震で多くの人が “家” を失い… 避難所や被災した場所で “家” のことを心配していると思うんです。

そして、避難所にあるテレビのチャンネルは、ほぼ NHK一択が多いです。

だから、被災地の皆さんを元気づけることができるのは、NHKの全国放送なんですね。

その意味でも、家族、家、仲間、信じることの尊さを描く今作を放送する意味は大きいと思います。

下記に令和6年能登半島地震 緊急支援募金（Yahoo!基金）のリンクを貼らせていただいております。

何かできないか？」とお考えの皆様、よかったらご活用ください。

追記：今回投稿するまで４時間かかったので、次回からの感想は短くなります（苦笑）

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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