正直不動産2 （第2話・2024/1/16） 感想

NHK・ドラマ10『正直不動産2』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、YouTube

第2話〔全10話〕『思いを伝える』の感想。

なお、原作となった漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」は、既刊19巻（2023年12月現在）を完読。

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永瀬（山下智久）と月下（福原遥）は、客の寺島（迫田孝也）が売却を希望する空き家の物件調査に来たが、その家には現在も寺島の父と息子が住んでいることが分かる。家族間での話し合いを求める永瀬だが、怒った寺島は神木（ディーン・フジオカ）に相談する。強引なやり方で売却を進めようとする神木。一方、カスタマーファーストがモットーの月下は、寺島家が揉めている原因を探るべく、寺島の妻の実家がある栃木へと向かう。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」
脚本：根本ノンジ（過去作/正直不動産,相棒ｼﾘｰｽﾞ,ﾌﾙｰﾂ宅配便,ﾊｺﾂﾞﾒ） 2024SP,第1,2話
　　　清水匡（過去作/僕の姉ちゃん）
　　　木滝りま（過去作/ｶﾅｶﾅ,青春ｼﾝﾃﾞﾚﾗ）
演出：川村泰祐（過去作/正直不動産,ﾄﾞS刑事,屋根裏の恋人） 2024SP,第1,2話
　　　金澤友也（過去作/正直不動産,ﾗｽﾄ･ﾄﾞｸﾀｰ~監察医ｱｷﾀの検死報告~）
　　　下向英輝（過去作/ｶﾅｶﾅ,青春ｼﾝﾃﾞﾚﾗ）
音楽：佐橋俊彦（過去作/正直不動産,ちりとてちん,ﾃﾐｽの剣,集団左遷!!,行列の女神）
主題歌：小田和正「so far so good」
※敬称略

まえがき

第2話の感想の前に。

第1話の感想に＜63回＞も Web拍手をいただき、ありがとうございます。

また、SNSで当ブログをご紹介してくださった方々へも感謝いたします。

今回で最も注目したいのは「45分間の構成」

「本編」の感想。

今回で最も注目したいのは、45分間の構成だ。

まずは、序盤の客の寺島（迫田孝也）が売却を希望する空き家の物件調査「寺島邸の査定下見」での月下（福原遥）の次のセリフだ。

月下「住民の方が いかに この家を
　愛情を持って暮らしていたかが 分かりますね」

結果的に “住民の家への愛情” と “家族への思いやり” が寺島一家の幸せにつながったわけだから。

こうやって、ぼんやりでも、ぼんやりでも、描くことの主旨のようなものを提示するのは良いことだ。

作り手側には常にテーマが意識されるし。

視聴者には、寺島一家の過去から未来へ自然に興味を沸かせることだできるからだ。

もう一つ注目したいのが、＜不動産業界あるある＞の描き方

もう一つ注目したいのが、いわゆる＜不動産業界あるある＞の描き方だ。

『シーズン1』で多かったのは、“嘘をつけなくなった” 永瀬財地（山下智久）の正直すぎる営業と。

“カスタマーファースト命” の月下咲良（福原遥）の人情営業を比較して。

不動産営業の裏側を面白おかしく、＜映像で見せて(show)魅せ(fascinate)きた！＞ のだ。

しかし『2』になって、永瀬の宿敵であの神木涼真（ディーン・フジオカ）が登場し、ミネルヴァ不動産に入社した。

この新展開によって…

まず、単純に “悪魔的な営業” の神木の手口を丁寧に描くようになった。

このことで、永瀬の正直すぎる営業だけでなく、“今だけ嘘をつけさせてほしい” という永瀬の優しさが際立ってきた。

更に、「登坂不動産 VS ミネルヴァ不動産」の対峙構造も強調されてきたことで、意外にキーマンになりそうなのが花澤涼子（倉科カナ） だ。

花澤は社長・鵤聖人（高橋克典）のやり方に異論を唱えるキャラだから、今後も黙っていなそうだし。

更に更に、Ｚ世代の新入社員・十影健人（板垣瑞生）も意外に成長し、活躍しているし（笑）

新キャラが増え、益々世界観が濃くなり、且つ広くなった

普通は、続編になって、登場人物が増えて複雑になると、どこかが薄まったり、分かりにくさが増したりするものだが。

今作に限っては、世界観が広がっただけでなく、“ドラマ” としての見せ方や魅せ方に幅がでてきた。

私も嘘をつけないから書いてしまうが（笑）

原作はあるにしても、“ドラマ” “連ドラ” として、今後の様々な展開に期待できる続編に昇華するとは思わなかった。

そして、前作以上に、永瀬と月下のメイン部分をキッチリと描きつつ、サブキャラの部分をうまく絡めていると思う。

本当に、良い意味での衝撃だ！（by 正直感想ブログ）

まだまだ注目したい、回想シーンの適切な使い方

まだまだ注目したいのは、回想シーンの適切な使い方だ。

つい最近も、月９ドラマ『君が心をくれたから』とカンテレドラマ『春になったら』の感想で次のことを書いた。

回想シーンは物語でも何でもない。ただの後出しの説明に過ぎない！ と。

だから、私は基本的に回想シーンを盛り込むべきでないと思っている。

しかし、今回では ＜神木の過去＞ が回想シーンで組み込まれた。

では、どう評価するのか？

やはり、神木はシリーズの途中から参加したキャラクターだから、いつかどこかで過去を描く必要が出てくるのは仕方がないというか、当然のコトだ。

個人的には、「なぜ、神木が悪魔のような営業をするようになったのか？」も、描いてほしいくらいで。

だから、今回は組み込み方も流れを阻害しなかったし、いいタイミングで盛り込んだと思う。

高級レストランでのタップダンスによる営業術伝授に注目！

今回の感想は以上… ってことで終わっても良いのだが。
折角だから、管理人みっきーなりの解釈をご披露したい。

今回の描写の中で印象的だったシーンの一つが…

神木と永瀬、ディーン・フジオカさんと山下智久さんの、高級レストランでのタップダンスによる営業術伝授だったと思う。

そこで…
映画好き、プロの映像作家なら「食事中にタップダンス」といったら、喜劇王チャールズ・チャップリンが監督・脚本・製作・音楽・主演の四役を務めた名作『黄金狂時代』（米国/1925）ではないだろうか。

ゴールドラッシュにわくアメリカを舞台に、放浪紳士チャーリー（チャップリン）の一攫千金の夢と恋を描く喜劇映画だ。

爆笑シーンの連続で、中でも飢えすぎてドタ靴を煮て食べるシーンが有名だが。

今回ご紹介したいのは、チャーリーが憧れの女性(たち)を家に招いて食事を取るシーン。

チャーリーは「ダンスをお見せしましょう」と言いながら、２本のフォークをロールパンに突き刺して。

２組のフォークとパンで作った足で演じるのが、軽妙なタップダンスなのだ。

酒場の女・ジョージア（ジョージア・ヘイル）たちは拍手喝采を送り、ジョージアはチャーリーにキスをする。

しかし、その幸せいっぱいの光景は、眠り込んでしまったチャーリーの夢だった… とのオチ。

その場面の動画がこれ↓

Charlie Chaplin - The Gold Rush - Roll Dance

タップは黒人たちの怒りや悲しみを発散させるためのはけ口

ここで知っておいていただきたいのが、タップダンスの歴史だ。

発祥は、ヨーロッパやアフリカからアメリカへ移住してきた移民・奴隷とされていた黒人たちの伝統的な “打楽器ダンス” で（諸説あります）。

タップダンスは、差別と貧困で苦しむ黒人たちの怒りや悲しみを発散させるための‘はけ口’としての表現手段だとされている。

それを、チャップリンの『黄金狂時代』では、ドイツを追われたユダヤ人への差別と貧困に当てはめて、「フォークとパン」で “生きる糧” と “武器” を手に表現していると受け取れるのだ。

長くなったから、まとめよう。

一攫千金の夢を追い求める『黄金狂時代』のチャーリーと、金ですべてを解決できるという神木重ねた描写に、私は見えるってことなのだ。

楽しさや明るさと同時に、怒りや悲しみを感じる “軽快な靴の音” が床に響く感じが。

爽やかで心地よいときも、寒さや怖さを感じさせる “突然の風の音” が吹く感じと対比されていると思うのは、ひいき目過ぎるだろうか？

「使用貸借契約」とは？

一緒に見ていた妻が、「そんなに簡単に住んでいる人がいるのに『出て行け』って言えないよね」と言っていたので少しだけ。

今回の劇中に当住したのは「使用貸借契約」。

「使用貸借」というのは、例えば、友だちから本や自転車を無償(タダ)で借りるような場合のこと。

本を読み終えたり、自転車を使い終えたりしたら、友だちにタダで返還する契約のことだ。

簡単にいえば、「タダで貸し借りをする口約束」みたいなものだ。

今回では、「口約束は残ってますけど～」ってコトなのだ。

「居住権」「借家権」とはちょっと違うので間違えたくない…

因みに私は不動産には詳しくないが。
千葉県では賃貸戸建ての借主で、東京では分譲マンションのリロケーション（一時的に自宅を貸し出すこと）をやっているから、ちょっと知っているだけ。

あとがき

光友銀行八起支店融資担当・榎本美波（泉里香）さんも、ラスト凄かったですね。

永瀬と榎本さんの今後、ますます気になります。

今回は、“神木に翻弄されまくる永瀬たち” を中心に描いたので、いつもより永瀬と月下の出番が少なかったですが。

でも、ライバルをキッチリと描いておくことで、この先の永瀬と月下の活躍が際立つと思うので。

“連ドラ” としての全体構成の中での第2話の位置づけとして正解だったと思います。

あとがき

最後の最後に少しだけお時間をくださいませ。

第1話の感想の「あとがき」に、“被災地の皆さんを元気づけることができるのは、NHKの全国放送なんです” と書きました。

すると、その２日後の１月11日(木)に、NHKが下記を発表しました。

NHK BSの３チャンネル（BS103）で総合テレビ（石川向け）放送 | NHK | 令和6年能登半島地震
     https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240109/k10014315041000.html

能登半島地震で特に被害が大きかった被災地では、インフラが寸断されたため、地上波の放送が見られなくなっているところがあり、NHKでは、BSの3チャンネルを使って、9日から随時、総合テレビの金沢放送局の地域向けニュースや全国ニュースなどを放送し、能登半島地震の最新情報をお伝えしています。

被災地の方々からはニュース以外の番組も視聴したいという声が寄せられていることを受けて、NHKでは12日午前4時から、石川県で放送している総合テレビのほぼすべての番組をBSの3チャンネルで放送します。地上波が見られない地域では、BSの3チャンネルで総合テレビのニュースや災害情報、番組をご覧ください。

元旦に発生した令和6年能登半島地震で多くの人たちが “家” を失い…

避難所や被災した場所で “家” のことを心配していると思います。

そんな被災している方々に今回の『思いを伝える』が生きるエネルギーになったと信じたいです。

下記に令和6年能登半島地震への支援金のリンクを貼らせていただいております。

「何かできないか？」とお考えの皆様、よかったらご活用ください。

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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【これまでの感想】
第1話 

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