正直不動産2 （第3話・2024/1/23） 感想

NHK・ドラマ10『正直不動産2』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、YouTube

第3話〔全10話〕『もしもピアノが置けたなら』の感想。

なお、原作となった漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」は、既刊19巻（2023年12月現在）を完読。

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狭小住宅に住む岡田夫妻（浅利陽介・佐津川愛美）は、娘のために広い家に引っ越そうと自宅の売却を希望する。だが、担当の月下（福原遥）は買い手を見つけられず苦戦。顧客第一の月下にとって難点の多い物件を売るのは試練なのではと、永瀬（山下智久）は心配する。そんな中、同じ物件を「ミネルヴァ不動産」の花澤（倉科カナ）も担当することになり、2人は火花を散らす。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」
脚本：根本ノンジ（過去作/正直不動産,相棒ｼﾘｰｽﾞ,ﾌﾙｰﾂ宅配便,ﾊｺﾂﾞﾒ） 2024SP,第1,2話
　　　清水匡（過去作/僕の姉ちゃん） 第3話
　　　木滝りま（過去作/ｶﾅｶﾅ,青春ｼﾝﾃﾞﾚﾗ）
演出：川村泰祐（過去作/正直不動産,ﾄﾞS刑事,屋根裏の恋人） 2024SP,第1,2話
　　　金澤友也（過去作/正直不動産,ﾗｽﾄ･ﾄﾞｸﾀｰ~監察医ｱｷﾀの検死報告~） 第3話
　　　下向英輝（過去作/ｶﾅｶﾅ,青春ｼﾝﾃﾞﾚﾗ）
音楽：佐橋俊彦（過去作/正直不動産,ちりとてちん,ﾃﾐｽの剣,集団左遷!!,行列の女神）
主題歌：小田和正「so far so good」
※敬称略

はじめに

しばらく、下記の事情でいつもの感想とテンションが違うかも？（謝）
未明に、いとしの妹が旅立ちました… 

まえがき

第3話の感想の前に。

第2話の感想に＜67回＞も Web拍手をいただき、ありがとうございます。

また、SNSで当ブログをご紹介してくださった方々へも感謝いたします。

数字や経済的なことはモヤモヤするエピソードではあるが…

まず、基本的な数字、経済、不動産業界的な気になることとして。

当初、岡田夫妻（浅利陽介・佐津川愛美）は狭小住宅の自宅を「5,300万円」で売却を希望していた。

その後、ミネルヴァ不動産の花澤（倉科カナ）に足元を見られ「3,500万円」に。

で、隣の同じく狭小住宅を買い取ることになった… わけだが。

普通に考えれば、隣の買い取り額が「3,500万円」になるはずはなく、「5,300万円」との間になると考えるのが妥当で。

ローンを組んだとしても、買取価格に増改築費に、リフォーム機関の仮住まい家賃もあり。

更に、妻・美玖（佐津川愛美）は専業主婦に見えたから、返済は夫・拓夢（浅利陽介）の給料だけで、果たして完済していけるのか？

いや、それ以前に現住まいのローンが完済しているのかも分からずで。

要するに…

細かいことを気にしだしたらキリがないし、モヤモヤするエピソードではある。

まず、そのことはきちんと認めたうえで、今回の私の感想を書こうと思う。

そう、このブログは “正直感想ブログ” なのだ（笑）

今回は"永瀬 VS 神木"を封印し、月下が前面の斬新な展開

「じゃあ、みっきーさんは褒めるの？ 辛口でツッコむの？」の声にこたえよう。

答えは、通常展開と違った、これはこれの “いい味わい” があったと思う。

ってことで、解説してみる。

まず、通常展開と違うのは、『２』になってからは特に…

永瀬財地（山下智久）と、永瀬の師匠で常にナンバーワンの営業成績を誇った男・神木涼真（ディーン・フジオカ）の対峙構造が始まったのに。

今回はそこを敢えて封印して、月下（福原遥）とネルヴァ不動産の花澤（倉科カナ）の対峙構造をメインに持ってきたことだ。

月下「これは 私と花澤さんの第２ラウンドってわけですね？」

『１』を見ていた人なら分かるとおり、演出担当も前２話から交代したことからも。

作り手側の意図に、月下を推した『１』のテイストでシリーズらしさを強調したい… が、あったと思う。

もちろん、主演の山下さんのスケジュール調整などの諸事情の影響かもしれないが。

Ｚ世代の新入社員・十影健人（板垣瑞生）を薄めに。

光友銀行八起支店融資担当・榎本美波（泉里香）はピンポイントで活用。

最終的には、後輩の月下への永瀬のサポートで大団円なのは、まさしく『正直不動産』らしい人情エピソードだった。

月下がいるから、永瀬が主人公として更に輝く

私が評価したいのは、新キャラを投入しているのに、敢えて月下をメインにしたエピソードを持ってきたことなのは前述のとおりだが。

ちょっと小難しい話になるが、“ドラマ” としての別の意味ある理由があるので。
できるだけ丁寧に書くので読んでほしい。

今作の主人公が正直過ぎる不動産営業マン・永瀬財地であることは皆様も認めるところだ。

しかし、実は＜永瀬財地＞が “正直過ぎる不動産営業マン” としての存在が輝くのは、カスタマーファースト命の月下咲良がいるからなのだ。

売上重視でウソをつきまくりだった永瀬が、ウソをつけなくなっただけでは “ドラマ” として成立しないのだ。

正しく書けば、面白い “ドラマ” にはならない。

「ただの、スーパー営業マンが誕生しました」ってだけの “ドラマ” で終わるのだ。

でもそこに、＜ウソをつかない＞とは違った正直営業スタイルである＜カスタマーファースト命＞が絡むことで、＜ウソをつかない＞が際立って見えるのだ。

月下をフォローする"また成長＆進化した永瀬"が描かれた

今回でいうなら、＜ウソをつかない正直営業＞に、月下の＜カスタマーファースト命＞が合体した営業スタイルだ。

月下「カスタマーファーストですよね」
永瀬「お客様にとって 一番大事なことか…」

要するに、カスタマーファーストは、いわゆる「お客様は神様」の考え方ではないってこと。

顧客が無理難題を押し通そうとしても、すべての要望を受け入れるのではなく。

顧客に最適な解決方法を提示して、顧客の要望を満たすことが大切だってことだ。

こうやって考えると、今回で永瀬が月下から学んだのは…
顧客のニーズのなかに隠された一番大切なことを読み解くことが、更に正直営業を進化させる要素だってことだと思う。

一見、花澤の巧みな営業テクニックに対抗する月下の孤軍奮闘を描いてはいるが。

実は、孤軍奮闘する月下をフォローする過程で “また成長＆進化した永瀬” がキッチリと描かれたのが今回なのだ。

出番は少なくても、しっかりと主人公を＜映像で見せて(show)魅せ(fascinate)た！＞のは、大いに評価すべきだと思う。

筒井夫婦とマルチーズ犬の『エスボアエルモアつつじ』

さて、いつもどおりに、どうでもいいような細かいことを書いてみる。

今回登場した、ペットも住める中古マンションの名称が『エスボアエルモアつつじ』。

「エスポア」は、フランス語で「期待・希望」という意味を持つ言葉。

「エルモア」は外国語ではなく、カミ商事株式会社が製造する、ティッシュペーパー・トイレットペーパー等のブランド商品名。
由来は、フランス語で「彼女」という意味の「エル=elle」、「私」という意味の「モア=moi」を組み合わせた造語であり、「彼女と私」という意味だそうだ。

おそらく語呂が良いので二つを並べて、筒井夫婦（伊東孝明、さとう珠緒）とペットのマルチーズ犬・クレモンティーヌ（羽衣/メス）を「彼女と私」に見立てたと思う（笑）

昭和な音楽へのリスペクトも楽しい

個人的に音楽好きの私が楽しかったのが、月下と花澤の大盛りラーメン対決のくだり。

昭和生まれの方はご存じだと思うが、対決の際の劇伴が、フジテレビ『F1グランプリ』テーマソング『TRUTH（T-SQUARE）」』で。

イントロが終わると同時に、狭小住宅に住む岡田夫妻の娘・朋花（永尾柚乃）がオモチャのピアノを弾くカットに切り替わるが。

その時の音(コード)が「Dm(ディーマイナー)」で、本家の音階と合わせてあった。

そのほかにも、今回は月下が『あなた(小坂明子)』を唄うシーンがあり。

第3話のサブタイトル『もしもピアノが置けたなら』は、もちろん西田敏行さんの大ヒット曲『もしもピアノが弾けたなら』へのリスペクト。

この辺の、音楽を使った遊び心も山下智久さんやディーン・フジオカさんらのミュージシャンが出演するドラマらしくて良いと思う。

あとがき（その１）

今回は、数字や金額や経済的なことをツッコむと「？」な部分はなくもなかったですが。

見るべきところは、月下をフォローする過程で “また成長＆進化した永瀬” であり。

親にとって大切なのは＜わが子ファースト＞ってことだと思います。

あとがき（その２）

前回の感想への非公開希望コメントで次のようなものをいただきました。

カムカムエブリバディの浜田岳さんの「黄金狂時代」の場面は、「一攫千金の夢を追い求める」を表していたんですね。なるほどです。

今作を見ている読者様は朝ドラもご覧になっている方も多いと思います。

実は、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』（NHK/2021年度後期）の第2回の感想で、既に言及しております。

安子（網本唯舞葵）の兄・算太（濱田岳）が、パンでダンスを踊って見せる滑稽な場面があったのを覚えておられますか？

あそこが、チャーリー・チャップリンの無声映画の名作『黄金狂時代』のワンシーンへのオマージュでした。

よかったら、下記の投稿を読んでみてください。

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全120回〕 （第2回・2021/11/2） 感想 

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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