ブルーモーメント （第1話/初回15分拡大・2024/4/24） 感想

フジテレビ系・水曜22時枠『ブルーモーメント』
公式サイト：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第1話/初回15分拡大『空をよんで命を救え!災害対策本部SDM始動!』の感想。

なお、原作(漫画)である小沢かな(作者)/荒木健太郎(監修)『BLUE MOMENT』は未読。

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晴原柑九朗（山下智久）は気象庁気象研究所の研究官で、“ハルカン”として報道番組のお天気コーナーに出演。派遣された雲田彩（出口夏希）に辛辣な態度を取るが、彼女も負けん気を発揮。

気象災害対策本部（ＳＤＭ）が設置され、晴原が気象班統括責任者に、雲田が助手に選ばれる。福島県北部での雪崩遭難に対し、ＳＤＭ出動を決断。リスクを抱えながらも現場に急行し、救助活動に取り組む。雲田は晴原の想いの裏に５年前の悲しみがあることを知る。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作(漫画)：小沢かな(作者)/荒木健太郎(監修)『BLUE MOMENT』
脚本：浜田秀哉（過去作/絶対零度ｼﾘｰｽﾞ,ﾅｵﾐとｶﾅｺ,Chef~三ツ星の給食~,ﾎﾞｲｽ110緊急指令室）
演出：田中亮（過去作/ｱﾝｻﾝｸﾞｼﾝﾃﾞﾚﾗ,ｲﾁｹｲのｶﾗｽ,やんごとなき一族） 第1話
　　　森脇智延（過去作/SUITS/ｽｰﾂ1､2,ｲﾁｹｲのｶﾗｽ,競争の番人）
音楽：佐藤直紀（過去作/教場I/II/0,海猿,ｺｰﾄﾞ･ﾌﾞﾙｰｼﾘｰｽﾞ,救命病棟24時[5]）
主題歌：ボン・ジョヴィ 新曲「レジェンダリー」
挿入歌：山下智久「Perfect Storm （feat. TAEHYUN of TOMORROW X TOGETHER）」
消防協力：東京消防庁
気象監修：荒木健太郎（原作と同じ）
Ｐ：高田雄貴（過去作/大奥 最終章,ｲﾁｹｲのｶﾗｽ）
　　栗原彩乃（過去作/SUPER RICH,ﾅﾝﾊﾞMG5）
※敬称略

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余程の “原作からの改悪” をやらなれば…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

敢えて、今作(実写ドラマ版)を楽しむために、今のところは原作は未読。

公式サイトによれば、SDM（特別災害対策本部）とは…

気象災害から人命を守るために、階級・年齢に関係なく能力本位のエキスパートで集められた部隊

甚大な “気象災害”によって危険にさらされる人命救助のため、知恵と知識と判断録を駆使して、災害現場の最前線で救助に立ち向かう人たちのドラマ… のようだ。

まあ、既視感が漂うのは仕方あるまい。

山下智久さんがヘリに乗れば『コード・ブルー』だし。

ガンダムチックな最新鋭の特殊車両が出れば『TOKYO MER』だし。

そもそも、オリジナル脚本でない時点で、既視感云々を語ることが無意味…

で、上記のスタッフ表を見れば分かるとおり、脚本、演出をはじめスタッフはほぼ問題なし。

キャスト陣も、それこそ既視感漂う配役もあるが、一部を除いて演技派、個性派をキッチリ揃えている。

原作も口コミを読む限り、人気は高い。

従って、余程の “原作からの改悪” をやらなれば、無難な作品、それ以上になるはずだ。

"主人公の存在理由" が今一つ掴めないのが気になった…

最近の家にいるときの私は、音楽を聴くよりも、ラジオか YouTubeのウェザーニュースのライブ天気予報を聴いているほど、天気予報が大好きだ。

もちろん、俳優・山下智久さんにも注目しているし、ボン・ジョビもデビュー当時から大ファンだ。

だからといって、感想に下駄を履かせるなんて野暮はやらない。

全編を見て、どうしても気になったことがある。

それは、主人公の存在理由が今一つ掴めないことだ。

いや、描こうとしていること、描いていることは、バカはバカなりに理解しているつもりだ。

冷静に、いや、普通に自分が住んでいる町や知り合いに気象災害が起こった時点だと思えば分かる。

既に劇中では、福島県北部で急激な悪天候のため、雪崩に巻き込まれ10名が遭難しているのだ。

この時点で、普通は現地の消防や警察や協力組織くらいは既に動いているのでは？

それこそ、国家、政府が即時に動き出す必要がるような大災害なら別だが。

昨今の自然災害だって、初動の現場処理は自治体主導でやるわけだから、消防や警察が動いていない “設定” に無理があるような。

それこそ、地元の首長から 総理官邸なんかに要請依頼があって、そこから SDMが動き出す “流れ” なら納得できるが。

主人公たちが、あとからやってきて口を挟むのが…

だって、今作が、脚本が次のように書いているのだ。

救助隊員「今まで 私たちで やれていたことです」

確かに、救助隊員たちに、SDMの存在意義や価値を認めさせたい “情熱” を描きたいのは分かる。

でも、あとからやってきて、“今まで 私たちで やれていたこと” に “上から” 口を挟むのは、なんか違うような。

これ、SDMが常時、災害が起こりそうな地点をリサーチしていて、「ここが危ない！」と分かった時点から、現地に乗り込んで指示しちゃったほうが、自然な流れだったのでは？

だって、これだけ最新鋭の機器が揃っていて、＜指示を出す＞＜統率する＞だけなら、現地に行く必要もないし。

むしろ、主人公が “数学脳” を駆使して、現地に行かずとも被害を最小限に食い止めるほうがドラマチックだったとも思うし。

第2話からは、主人公の存在意義を明確に提示してほしい

脚本が、やや迷走している感じを受けたのは、派遣としてやってきた雲田彩（出口夏希）に次を言わせたことだ

彩「ある日 突然 悲劇は起こります。
　起きてしまって 初めて気付くんです。
　あのとき こうしておけばって」

これを雲田に言わせてしまうと、物語の真の主人公が雲田になっちゃう。

いや、表面的な主人公は‘ハルカン’こと晴原柑九朗（山下智久）で、真の主人公は別なのが悪いわけではない。

例えば、『正直不動産』だって表の主人公はさいちんで、嘘(うそ)のつけない不動産営業マン・永瀬財地（山下智久）の活躍ドラマがメインであるが、真の主人公はカスタマーファースト命の月下咲良（福原遥）の成長物語だったのだ。

『不適切にもほどがある!』も、昭和のダメおやじの「不適切」発言がメインだが、実は震災で亡くなった娘の成長物語があってこその物語だったのだ。

だから今作も、それら大ヒット作、秀作ドラマと同じ系譜である可能性はある。

メインで描かれるのは晴原の苦悩と葛藤と奮闘で、それを見守るのが雲田。

これは、以前にも書いたが、映画『アルマゲドン』と同じで、ヒーローモノの定番の、安定の、王道の構成なのだ。

だから、私はこう思うのだ。

第1話は、初期設定の説明をやらなきゃいけないからしょうがない。

でも、第2話からは、晴原が動き出すタイミングを微調整して、主人公の存在意義を明確に提示してほしい。

それこそ “ドラマ” なのだから、多少のご都合主義はやったらいい。

「あそこで、大災害が起こるぞ、出動！」みたいで、良いのだ。

誰よりも先に気象の変容に気づき、危険を鋭く察知して、全体を仕切る… それだけで…
今の山下智久さんなら “藍沢耕作” 以上の愛すべきキャラ “晴原柑九朗” を創出してくれると信じたい。

細かい演出ができるうちは、撮影現場にまだまだ余裕がある

映像的には、かなり頑張っていたと思う。

特に、なんてことのないワンカットに、視聴者を飽きさせない工夫を見つけた。

終盤で、残りの一人の遭難者が見つからないくだりで、晴原が次のように言う。

晴原「あと１名」

リアタイ視聴では、このセリフの直後に CMが入り、また同じセリフから始まるのだが。

CMの前と後で、カメラアングルが違うのだ。

CM前は、晴原が下手(しもて：画面左)向きで、不穏な感じを表現し。

CM後は、晴原が上手(かみて：画面右)向きで、希望や望みがある感じを表現している。

こういう細かい演出ができるうちは、撮影現場にまだまだ余裕があるってことだ。

だから、今のうちにさらりと軌道修正したほうが良いと思う。

あとがき（その１）

やはり、知的で行動力のある主人公が山下智久さんには似合いますね。

これまで演じたキャラクターも、どこか過去を引きずった設定が多かったですが。

今作の “晴原” は、“ハルカン”の愛称の「お天気お兄さん」、SDM率いる責任感溢れる「天才で毒舌家のチーフ」と、泣き婚約者とつらい過去を背負った「悲劇の男」の、３つの人間性を同居させている点で、山下さんの新境地になる！ と確信しました。

それだけに、山下さんの新しい代表作として、しっかり作り込んでいただきたいです。

あとがき（その２）

どうでもよいことですが、

平岩紙さんが演じる晴原の上司・上野香澄の机の上に幼い息子の入学式の写真が置かれていたのですが、その息子役が石塚陸翔くんでした。

なんと、朝ドラ『虎に翼』で平岩紙さんが演じる大庭梅子の三男・光三郎役と同じキャスト！

狙ったのかな？

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