新宿野戦病院 （第7話・2024/8/14） 感想

フジテレビ系・水曜22時枠『新宿野戦病院』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第7話『迫る、看護師長・堀井しのぶの人生と母親への想い!』の感想。

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多くの高齢患者が訪れる聖まごころ病院。岡本勇太（濱田 岳）は通報を受け、80代の独居老人・田辺を発見し、緊急搬送するも手遅れで死亡確認。田辺は娘や他の老人たちに見送られる。横山勝幸（岡部たかし）は堀井しのぶ（塚地武雅）の姿を見て勘違いに気づくが、医師たちは動揺せず受け入れる。高齢者と子供の事故をきっかけに、堀井の悩みが明らかになる。高峰はずき（平岩 紙）と享は、南舞（橋本 愛）のNPO法人『Not Alone』と病院がタッグを組んで見回り医療サービスを提案するが…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作：なし
脚本：宮藤官九郎（過去作/あまちゃん,俺の家の話,不適切にもほどがある!）
演出：河毛俊作（過去作/ﾅﾆﾜ金融道,きらきらひかる,救命病棟24時2009） 第1,2,5話
　　　澤田鎌作（過去作/不毛地帯,元彼の遺言状,女神の教室） 第3,6話
　　　清矢明子（過去作/ﾗｼﾞｴｰｼｮﾝﾊｳｽII 第8話のみ,僕たちの校内放送） 第4,7話
音楽：本多俊之（過去作/ﾆｭｰﾖｰｸ恋物語,風のﾊﾙｶ,家族ｹﾞｰﾑ2013）

主題歌：サザンオールスターズ 「恋のブギウギナイト」 
Ｐ：野田悠介（過去作/競争の番人,ｱﾝｻﾝｸﾞ･ｼﾝﾃﾞﾚﾗ,女神[ﾃﾐｽ]の教室）
※敬称略

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「とあるマンションの一室」のスタジオセットに注目！

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

個人的に「そうきたか」と思ったのが、序盤の警察官の岡本勇太（濱田 岳）は通報を受けて駆け付けた「とあるマンションの一室」のスタジオセットの作り込み。

撮影期間の詳細は分からないが、公式 SNSから推測すると遠い時間ではないはず。

そうなると、この猛暑、酷暑の中でのアパートロケは難しい、というかできるだけ少なくしたいはず。

それでなくても、路上生活者のくだり、カフェ店内、交通事故現場など、今回も外せない屋外撮影分があるから。

そこで、「とあるマンションの一室」だ。

ちょっと見で、アパートの全景や室内も造作物で、外の風景が書き割り（風景など遠くの景色を描いた大道具のこと）であることは分かるが、何となく今作全体の “怪しげな雰囲気” や “虚構だからこその魅力” に通じていた。

今回は他にも、スタジオセットの作り込みに美術、大道具、小道具さんの情熱を感じる箇所がたくさんあった。

まっ、ネタ探し、間違い探しの類は他でやっていただくとして、これ以上ここではやらない。

今回は大きく二本立ての構造

老人「どつせ　葬儀は親族だけだろ」

この老人のセリフから始まったといっても過言でない… 令和6年の日本の超高齢者社会の問題に鋭く斬り込んだ問題作！

という中に、看護師長・堀井しのぶ（塚地武雅）の「逆 院長の かぶせなくていいから」のボケツッコミを盛り込む華麗な味わいの社会派コメディ系の医療ドラマだ。

で、今回は大きく二本立ての構造だ。

●堀井と母・房江（藤田弓子）のこじれた関係の修復

●新宿・歌舞伎町の貧困と高齢化問題

「堀井と母のこじれた関係」は直球勝負な展開と表現が意外

まず、一つめの「堀井と母のこじれた関係」は、思った以上に直球勝負な展開と表現だ。

私は、LGBTQ+について、多少の解説をやりながら、“人情モノ”風にやんわりと円満解決に着地する程度だと思っていた。

しかし、看護学校入学以前の回想シーンを盛り込んで、しっかりと堀井の気持ち、特に親子関係と自分の心と体のことを丁寧に掘り下げた。

更に、母・房江の自転車事故を組み入れて、親が子どもを心配する気持ちを被害者の親と重ねつつ。

堀井が母の認知症を認めずに、父親役をやっていたという展開まで。

私は、実の両親の認知症の介護をやって既に他界し実家もなくなった身だ。

だから、親の認知症を認めたくない気持ちも、つい間違いを否定したくなる心情も、ホントによく分かる。

でも、この場にふさわしくない意見かもしれないが、ケアマネさんやヘルパーさんなどプロの手を借りるのは恥でも何でもないと。

むしろ、お互いのQOL（＝Quality of life〈クオリティ オブ ライフ〉＝生活の質、生命の質）を鑑みれば、認知症は元には戻らないことを前提に前向きに生きるべきなのだ。

いろいろな意味で「無理せず、やれることをやる」が最も大切であると、今作でも表現されたと思う。

日本の社会問題を、数名の老人たちで描いた

もう一つの「新宿・歌舞伎町の貧困と高齢化問題」は、歌舞伎町に限定されたテーマではない。

今の日本の保険制度や生活保護などの社会が抱える大きな問題を、劇中の数名の老人で描いた。

すごいのは、そこにちゃんと主人公・ヨウコ（小池栄子）のアメリカとの違いを盛り込みつつ、医療従事者たちの浮浪者や老人たちへの愛も組み込んで描いていることだ。

そのことで、描いているのは、殺伐とした孤独な老人たちの日々なのに、しっかりと人と人のぬくもりが感じられるのだ。

「医療ドラマ」は、天才医師が生死をさまよう患者を鮮やかに治療しちゃうとか、『白い巨塔』風の医師らのカースト制度を描くとか、医師と患者を重ねて “記憶が” とやるとか。

別に、上記のような医療ドラマを否定するつもりはないし、面白いドラマがあるのも確か。

でも、今作は、「医師たちのお手柄」をあまり強調せず、「病院で働く人たち」や「病院から立ち直って出て行く患者たち」に焦点が当てられている。

そう、医療技術をメインにせず、しっかりと “人間” が描かれている点が、最近の医療ドラマにはない点だ。

だから、感動できるのだと、

最後に自転車事故の被害者の子供がサムズアップをしたのを見て「溶鉱炉サムズアップ」を思い出したのでは？

本家は「沈んでいく」のに、今作は「不死身、不死鳥」的な逆説の意味で引用しているのも、映画好きの宮藤官九郎氏の遊び心だろう。

あとがき

いよいよ、ヨルゴス・ランティモス監督の映画「哀れなるものたち」が登場しましたね。
言葉で彼の作品の世界観を表現するのは困難なくらいに、個性的で異様で難解でクセになる監督ですね。
良かったら調べてみてください。

で、今作は完全にアクセル全開モードって感じだと思います。

それでいて、かなり万人向けになっているのが、クドカンの手腕ですね。

問題は、それが、既に第7話だってことです（笑）

もちろん、見続けてよかったと思います。

FODにて先行配信で次回を見た方、ネタバレコメントはご遠慮ください！

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