放課後カルテ （第3話・2024/10/26） 感想

日本テレビ系・土ドラ9『放課後カルテ』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第3話『お前の責任なわけがない』、ラテ欄『学校行きたい…　弟の切ない願いを叶えたい姉と母ぶつかる想い』の感想。
原作(漫画)である、日生マユ氏による『放課後カルテ』は、既刊(全16巻／全79話)は、読了。

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牧野（松下洸平）は、かつての患者・冴島直明（土屋陽翔）の姉が6年2組の冴島啓（岡本望来）だと知る。啓は、直明のために牧野を病院に戻そうと悪い噂を広める。退院予定の直明は母・環（ソニン）に学校を禁じられるが、啓とともに忍び込み、校内探検中に体調が悪化。啓は牧野に助けを求め、一緒に直明を探す。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作(漫画)：日生マユ氏『放課後カルテ』 ※全巻読了
脚本：ひかわかよ（過去作/ｾｼﾙのもくろみ,個人差あります,花咲舞が黙ってない2024）
演出：鈴木勇馬（過去作/花咲舞が黙ってない,ﾘﾊﾞｰｻﾙｵｰｹｽﾄﾗ）
音楽：得田真裕（過去作/ﾘｴｿﾞﾝ-こどものこころ診療所-,ｸﾞﾚｲﾄｷﾞﾌﾄ,海のはじまり）
主題歌：wacci「どんな小さな」
医療監修：小松祐美子（おむすび小児科クリニック）
　　　　　伊藤健一郎（みらいこどもクリニック）
看護指導：石田喜代美（過去作/ﾗｼﾞｴｰｼｮﾝﾊｳｽ,祈りのｶﾙﾃ,ｻﾞ･ﾄﾗﾍﾞﾙﾅｰｽ）
ＣＰ：松本京子（過去作/となりのﾅｰｽｴｲﾄﾞ,GO HOME~警視庁身元不明人相談室~）
※敬称略

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超好意的な視聴者だけ向けにドラマを作っても…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
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―――ここまで、ごあいさつ―――

今作の感想の大前提として。

原作は全巻全話既読だが、ネタバレはやらないし、比較するつもりもない。

また、誤解されても構わないが。

私は今作の原作も大好きだから、ドラマの感想だけ辛辣に書いているわけでもない。

ただただ、あえて言うなら「原作は名作だし、子役を含めて俳優も良いのに、今作ときたら…」との気持ちで書いてはいる。

もちろん、好意的に見て、自分が納得しやすいように理解している人を否定するつもりはない。

但し、超好意的な視聴者だけ向けに作品を作っても、多くの人が楽しめるドラマにはならないのだ。

だから、あえて原作とは比較せず、今作について書いてみる。

前回よりマシだが、なぜ学校内の生徒の話にしないの!?

第2話では、「学校医」として、小学校の保健室に常駐することになった小児科医・牧野（松下洸平）を描く物語なのに…

ご丁寧に、＜学校にいる間に発症した病気やケガではない＞ 案件を盛り込んできた。

この時点で、脚本、演出、企画そのものが主人公の初期設定を活用しようと頑張っていないことが懸念された。

しかし、この第3話では。

厳密に言えば、かつての患者・冴島直明（土屋陽翔）だって、＜学校にいる間に発症した病気やケガではない＞ ではないのだが。

ぎりぎりで、姉が6年2組の冴島啓（岡本望来）だから… 超超超好意的に受け入れた。

ただ、やはり、どうしても解せないのは。

今回もまた、ご丁寧に、＜自宅療養中の患者を外出、それも学校に赴かせる展開＞ にしたこと！

見ず知らずの老人は牧野に相談したのに、弟は相談しない!?

そもそも、この展開そのものに、無理があることに脚本や演出は気づかないのか？

だって、前回で、姉の啓は、通りすがりで倒れていた老人を必死に助けようと、話をしたくもない（設定だった）牧野に、自分の携帯電話で助けを求めた。

そう、描いたのは、今作なのだ。

で、今回は、弟が外出したいと言い出して、困った姉・啓を表現したのだ。

だったら、だったら、 “連ドラ” の連続性を担保するためには、啓は牧野に「弟が散歩したいって聞かないんだけど、どうしたらいい？」と直に電話して指導を仰ぐ…

これが、“連ドラ” としての正解では？

きっと好意的に見ている人は「お姉ちゃんの気持ちが痛いほど分かるよ」だろう。

しかし、それでは “連ドラ” として破綻しているのだ。

だったら、お姉ちゃんなのに、見ず知らずの老人は医師に相談するけど、弟は素人判断で良いの!? ってことなのだ。

これだって、牧野から「静かに10分くらい歩くのなら良いけどな」とかあって。

「先生、直明が学校に行きたいって！」で、「じゃあ、無理しないで保健室へ来い！」とかあって、トラブル発生なら、これまた、超超超好意的に見ることができたのに。

病弱な弟を連れ出したのに「体を大切にしないと」って？？

今作のおかしい点は、まだある。

学校内探検がひと段落して。

啓「今は 体を大切にしないと
　いけないの 分かるよね!?」

え～っと、学校まで連れきたのは啓自身なのだが（謎）

もちろん、「子どもだから」と好意的に解釈する人はいるだろう。

でも、散々弟の病のことを心配して、牧野に数々の嫌がらせをやってまで、主治医として戻ってほしいと願うほどの啓だと描いたのだ。

だったら、誰よりも「辛抱」「我慢」が分かっていないと、論理展開が破綻しかけるわけだ。

で、ほぼ論理展開が破綻したようになってしまったのが、これ。

啓「今日は遊び疲れちゃったでしょ」

もう完全に意味不明… だ。

"連ドラ"としての"違和感を消すだけ"で、名作ドラマになる

もちろん、姉として長きにわたり入院生活を強いられている弟を思って… は、理解できる。

だったら最初から、せめて、啓が “いい子” ではなく、親に心配ばかりかける “わがままな子” のほうが良かったのでは？

そうすれば、牧野への嫌がらせも、弟を親に内緒で連れ出すのも、母にビンタを食らうのも。

前回で、毛嫌いしている牧野に、老人を助けたい一心で直電するのも、何とか許容できたのでは？

厳しいことを言うが、周到さが足りない、完成度が高くない、緻密さが不足しているのだ。

今回だって、終盤で “わがままな子” を表現しているが、タイミングが最適化されていないから、違和を生むのだ。

もちろん、画竜点睛を欠いてはいても、出演者たちの演技や存在感が素晴らしい上に。

主人公・牧野の過去の設定をいかしつつ、今の仕事を丁寧に描き、医療ドラマとしてだけでなく、学園モノとして面白いし、感動できる作品になっている… とは思う。

だからこそ、まだ修正可能なら、的確に軌道修正すれば、評価も右上がりになる可能性はゼロではないのだ。

とにかく。

もっと、あらゆる要素、特にメインのエピソードを構築するための周辺情報に細心の注意を払うしかない。

周囲に目を配ることで、見落としがちな違和感を消すことができる。

お手本（原作）があるからこそ、オリジナル脚本よりも気を付けないと見落としがちになるってことだ。

"連ドラ"らしい前段の挿話があるからこその意味がある物語

今回のエピソードは、前回で牧野に助けられた「IgA血管炎(アレルギー性紫斑病)」の理子（中村たんぽぽ）があったからこその物語だ。

それが分かるのが、序盤での保健室での牧野と理子の次のやりとりだ。

牧野「小児科は 頭から足の先まで
　診られるからな。
　大人は分かれているんだよ。
　脳 心臓 呼吸器 循環器 消化器 血液…」 理子「え… じゃあ 小児科の先生は
　それ全部 診るってこと？」
牧野「人間の体 全部だ」
理子「体…。でも 私は先生に
　心も救ってもらった気持ちだよ」

前回は、生徒の体の病気だけでなく、心も救うエピソード。

今回は、生徒だけでなく、親の心まで救い、希望を与えるエピソード。

きちんと、“連ドラ” らしく… 前段のエピソードがあるからこそ、意味がある物語になっている。

類稀なる鋭い観察眼で、生徒、親、教師の異変を見抜き、付かず離れずの牧野らしいアプローチで救う物語。

ここが、ブレないうちは、“ぜひとも見てほしい今期の連ドラ” だと言える。

あとがき

今回の感想で指摘した違和感が勝ってしまうと、お涙頂戴ドラマになり下がる可能性があるのですよ。

だって、“子ども” と “病気や死” と言う強力なお涙頂戴要素を振りかざしているわけですから。

そこが鼻につかないように、違和感を払しょくするだけで、だいぶ変わると期待します。

「あなたの意見は違う」と思う人がいるのは理解しますが。
ここで私を説得することに時間を割くなら、同じ感想の人たちと他の場所で感動し合ったほうが時間を有効に利用できると思います。
※しばらくの間だけ、コメント欄は閉じておきます。

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