ライオンの隠れ家 （第7話・2024/11/22） 感想

TBS系・金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』
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第7話『ライオンを守るための旅行』の感想。

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記者の楓（桜井ユキ）が小森家を訪れ、愛生（尾野真千子）が殺したとされる息子が実はここにいるのではと洸人（柳楽優弥）を追及。洸人はその場をしのぐが、家やライオン（佐藤大空）の存在が露見する危険が迫る。祥吾（向井理）は愛生の無実を信じ、愁人（＝ライオン）の情報を公開。洸人は美央（齋藤飛鳥）らの助けで、ライオンを守るため家を離れる決意をするが、同時に祥吾が小森家に向かっていた。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作：なし
脚本：徳尾浩司（過去作/おっさんずﾗﾌﾞｼﾘｰｽﾞ,恋はDeepに,六本木ｸﾗｽ）
　　　一戸慶乃（過去作/ﾄﾞﾗﾏ初）
演出：坪井敏雄（過去作/妻､小学生になる｡,さよならﾏｴｽﾄﾛ） 第1,2,6話
　　　青山貴洋（過去作/ｸﾞﾗﾝﾒｿﾞﾝ東京,ﾕﾆｺｰﾝに乗って,ﾏｲ･ｾｶﾝﾄﾞ･ｱｵﾊﾙ） 第3,4,7話
　　　泉正英（過去作/TOKYO MER,ﾕﾆｺｰﾝに乗って,王様に捧ぐ薬指） 第5話
音楽：青木沙也果（過去作/ﾕﾆｺｰﾝに乗って,すきすきﾜﾝﾜﾝ!）
劇中絵画協力：太田宏介,太田信介（ギャラリー宏介株式会社 ）
自閉症スペクトラム症監修：伊庭葉子,宮本一哉（株式会社Grow-S さくらんぼ教室 ）
警察監修：古谷謙一
タイトルバック監修：Vaundy
主題歌：Vaundy「風神」
自閉スペクトラム症監修：伊庭葉子（特別支援教育士）
Ｐ：佐藤敦司（過去作/大恋愛~僕を忘れる君と,ｲﾝﾊﾝﾄﾞ,俺の家の話）
※敬称略

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「ここに注目しましたか？」なポイントを挙げてみる

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
お仕事や学校の休憩時間や移動中の方、就職活動中の方、病気療養、子育て、介護など、それぞれの生活を送る読者の皆様…
私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

今回の感想は、昨夜は放送時間が大変の遅くなったから、まだ見ていない人もいると思うので。

できるだけ内容には触れずに書いてみる。

というのは、ぜひとも、ちゃんと本編の映像を見てほしいから。

さらに、すでに見た人には「ここに注目しましたか？」な、私なりのポイントを挙げてみる。

これらで、今作をもっと楽しめると思うのからだ。

序盤の映像で、演出担当を当てることも演出の楽しみ方！

さて、今作の感想の定番になっているのが、＜序盤の映像で、演出担当を当てることも演出の楽しみ方！＞　だ。

今回の感想が初読の読者様のために、簡単におさらいだ。

大前提として、今作の脚本は。

「視聴者に謎解きをさせるミステリー」がベースで、「ヒューマンドラマやホームドラマの要素が “今作らしさ” の味付けになっている。

この、ミステリーとそれ以外の部分の主従関係を、まず抑えた上で。

今作のチーフ監督・坪井敏雄氏の演出の特徴は。
脚本に沿った、ミステリーらしさを強調して、ヒューマン＆ホームドラマの味付けは弱めになっている（と感じる）。

セカンド演出の青山貴洋氏の演出は。
サスペンスやミステリーの要素、コミカルな要素があっても、徹底的に登場人物らの心の描写を施した “ザ・ホームドラマ” だ。

前回のサード演出の泉正英氏は。
チーフの坪井氏に似ており、謎解き要素が強めでヒューマン＆ホームドラマを薄めた感じ。

では、今回の演出担当は誰だったのか？

ねっちりと、持論を展開してみる（笑）

冒頭の楓への撮影＆編集テクニック "アクションダブり"

当然のことだが、アバンタイトルの冒頭で、しっかりと謎解きであることを強調した演出を取り上げる。

週刊真相 編集部の記者・工藤楓（桜井ユキ）が小森家を訪れ、愛生（尾野真千子）が殺したとされる息子が実はここにいるのではと、主人公である市役所に勤務している小森洸人（柳楽優弥）を追求する場面の、洸人と楓のセリフの際の楓の動作とカット割りに注目してほしい。

洸人「何のことですか？」
楓「私　見たって言いましたよね」

洸人のとぼけた態度に、楓が一歩前に出て詰め寄る感じになっている動作だ。

ここ、詳細な説明は省くが、楓の一歩踏み出す動作が、前後のカットでダブって使われているのに気づくだろうか？

このような撮影＆編集テクニックを、「アクションダブり（ACWり）」という。

アクションダブりとは、その人物の動作の途中で一度カットし、その直前の動作をほんの少しだけダブらせて次のカットの冒頭にから使う技だ。

一瞬だけ動作を重ねることで、動作を強調したり、アクティブに見せる効果がある。

この演出は何のためなのか？

●今回の中心が「いよいよ追い詰められた主人の次なる一手」が何なのか？　であること

●記者の楓が「最大のキーパーソン」であること

●楓自身も「一歩踏み出す展開」を示唆すること

この三つを強調しつつ、視聴者に演出的な伏線を忍ばせているのだ。

あとで書くので、この場面を見ている人は、背景の “音” に傾聴しておいていただきたい。

尾野真千子さんの瞳には"キャッチライト"が当たっているが

次に、サスペンス要素をうまく取り入れた演出に注目してみる。

結婚前、山梨県で建築会社を経営している橘家の次男で、建築会社「たちばな都市建設」に勤務する橘祥吾（向井理）と愛生が喫茶店で会話する場面の次のやりとりだ。

愛生が、祥吾が強く握る手をよけるように「あ…　ちょっと痛い」という場面。

この時、尾野真千子さんの左右の瞳には「キャッチライト」が効果的に当たっている。

キャッチライトとは、瞳孔の黒い部分に白い輝きの点を作るための照明器具や手法のこと。
ポートレート撮影時には、キャッチライトを入れることで、生き生きとした表情の写真を写すことができる。

もちろん、ここでも、愛生が祥吾に急速に興味を抱く様子を、少女漫画チックに演出している。

で、本当に注目してほしいのは、このシーンの直後の “現在の祥吾の瞳” だ。

下手（画面左）に目線を下げた祥吾のカットだ。

登場人物が下手に目線を向けたカットは、意識や認識の低下傾向や、絶望や敗北感を表す。
参考： [演出プチ講座] 映像の掟～画面内の人物の位置や視線（目線）の向きには意味がある～ > テレビ全般 > ディレクターの目線blog 

そして、よく見ると “現在の祥吾の瞳” には　＜キャッチライト＞　がない！

真っ暗な部屋でないことから、意図的に「嘘つきやがって」の敗北感を強調して、わずかに寄ることで敗北感を強調しているのだ。

要するに、序盤の約4分間は、徹底的にミステリー＆サスペンスを強調した演出になっているのだ。

洸人と美路人の衣装の色が、両親の服装と重なる色合いに！

しかし、洸人と同じ福祉課の同僚・貞本洋太（岡崎体育）が登場したあたりから、作風は一変する。

徹底的に…　というほどでないが、徐々にヒューマン＆ホームドラマを強調してくるのだ。

その最たる演出というべき（だと私は思う）のは、夜10時に洸人が旅行に行きたい理由を、カーテン越しにアート事務所でアーティストとして働く、自閉スペクトラム症の弟・美路人（坂東龍汰）に語る場面だ。

ここで注目してほしいのは、下記に提示する衣装の色だ。

著作権上は掲載したくないが、分かりにくいのであえて掲載する（あとから削除するかも？）

©TBS

©TBS

お気づきのとおり、洸人と美路人のトップスの色が、小森兄弟の父親(故人)・小森太一（西野大作）と母(故人)・恵美（坂井真紀）と重なる色合いになっているのだ。

さらに興味深いのは、洸人が父と似た寒色系で、美路人が母と似た暖色系になっている点だ。

このことで、洸人が美路人の父親代わりであることと同時に、実は美路人が洸人を支えていると見えるのだ。

またこの、青緑系とオレンジ色系は、この後の旅行のくだりでも、衣装や持ち物の随所に取り入れられるので、そこも注目してほしいし。

このオレンジ色こそが、‘ライオン’こと橘愁人（佐藤大空）が離さないライオンのぬいぐるみの色であり、母への強い思いを象徴しているし。

ついでに言うなら、その “ライオン（愁人とぬいぐるみ）” が、今度は美路人を支える象徴になっている…　と次のカットで表現されている（勝手に思う）。

ほ～ら、ガラス用洗剤の泡が…

©TBS

二つのドラマの要素をリンクさせる役割が "楓" なのか？

だいぶ、解説が長くなったが、このサスペンス＆ミステリーを強調しつつ、じわじわっと “ザ・ホームドラマ” に持っていく演出こそ、青山貴洋氏の演出なのだ。

また、今回の脚本も、あえて洸人を物語の前面から後退させることで、全体の印象を、恐らく次回以降の最終章向けに、変化をつけてきたのでは？

サスペンス＆ミステリーは祥吾と愛生と愁人、ヒューマン＆ホームドラマは洸人と美路人、その二つをつなげるのが楓の役割分担になった。

いよいよ、次回からがさらに面白くなりそうだ。

あとがき

感想の前段で、冒頭の、記者の楓が小森家を訪れる場面の背景の “音” に傾聴しておいていただきたいと書きました。

では、今度は 22分ごろに、無人になった小森家を祥吾が訪れる場面の “音” を聞いてください。

ほら、背後の風の音が序盤はないけど、中盤はあるでしょ？

よく見ると分かりますが、同録だと風の音が入ってしまうから、冒頭の柳楽優弥さんと桜井ユキさんの音声は別録りで、アテレコです。

この音響効果によって、祥吾のヤバさが漂うわけです。

おっと、今回は演出ばかりの話になっちゃいましたね（謝）

ついでに、美路人がおつかいから帰ってきた際に言っていた「7629C」は下図の色で、美路人の目には牛モモ肉の色がそう見えたということだと思います。

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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