連続テレビ小説「あんぱん」 （第119回・2025/9/11） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『あんぱん』
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第119回／第24週『あんぱんまん誕生』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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柳井家に東海林（津田健次郎）が訪ねてくる。再会を喜ぶのぶ（今田美桜）に、嵩（北村匠海）の活躍をうれしそうに話す東海林。そのころ、浮かない顔で投稿作品を整理していた嵩は、八木（妻夫木聡）たちの前で悩みを吐露する。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：中園ミホ（過去作/花子とｱﾝ,ﾄﾞｸﾀｰXｼﾘｰｽﾞ,ｻﾞ･ﾄﾗﾍﾞﾙﾅｰｽｼﾘｰｽﾞ）
脚本協力：山岡真介（過去作/中園ﾐﾎ氏と共同脚本→万博の太陽,ｻﾞ･ﾄﾗﾍﾞﾙﾅｰｽ[2]）  第2～7,9,11,13,15,17,19,21,23週
　　　三谷昌登（過去作/あさが来た[京ことば指導],ｽｶｰﾚｯﾄ 第21週,西郷どん[脚本協力]） 第8,10,12,14,16,18,20,22,24週
演出：柳川強（過去作/ｵｰﾄﾞﾘｰ,花子とｱﾝ,やさしい猫） 第1,3,5,8,11,12,17,22,23週
　　　橋爪紳一朗（過去作/花子とｱﾝ,ｴｰﾙ,ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ） 第2,4,7,10,14,19,24週
　　　野口雄大（過去作/ｴｰﾙ,恋せぬふたり,どうする家康） 第6,9,13,16,21週
　　　佐原裕貴（過去作/ｽｶｰﾚｯﾄ,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第15,20週
　　　尾崎達哉（過去作/3000万） 第18週
　　　日高瑠里（過去作/光る君へ/第31,42話のみ） 第22週※本来の「高」ははしごだか
　　　榎本彩乃（過去作/NHKﾗｼﾞｵFMｼｱﾀｰ｢ｱﾗｶﾙﾄ｣,ここは今から倫理です｡(演出部)） 第24週
音楽：井筒昭雄（過去作/奇跡の人,99.9-刑事専門弁護士-）
主題歌：RADWIMPS「賜物」
語り(本編・土曜日版)：林田理沙ｱﾅｳﾝｻｰ（現｢ｻﾀﾃﾞｰｳｵｯﾁ9｣ﾒｲﾝｷｬｽﾀｰ）
副音声解説：山崎健太郎（過去作/舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ,虎に翼,おむすび）
制作統括：倉崎憲（過去作/おかえりﾓﾈ,ここは今から倫理です｡,やさしい猫）
※敬称略

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最初から、東海林のセリフを映像化すればよかっただけ!?

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
お仕事や学校の休憩時間や移動中の方、就職活動中の方、病気療養、子育て、介護など、それぞれの生活を送る読者の皆様…
私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

もう少し内容が良い方向に向かうまで、少しエネルギーは抑え目で書かせていただきます。
　※しばらくの間、テンプレです…(謝)

久しぶりに、かつ、唐突に、東海林（津田健次郎）を利用して、サブタイトル『あんぱんまん誕生』に至る経緯の説明だ。

いいや、正しくは、《アンパンマン誕生秘話をセリフ三昧で、一方的に説明しまくった》だ。

前回のラストを今回のアバンタイトルに使い回して、直後にメインタイトル映像を入れ、残りの13分29秒を一気にまくしたてた。

それでも、一定の評価をしたいのは、東海林が語った内容についてだ。

要するに、（東海林が知る時点からの）高知新聞社時代のずば抜けた才能の嵩（北村匠海）だからこそ、数々の作品群を創出してきたように、第13週『サラバ　涙』から視聴者に対して描けばよかったことが、再確認できたことだ。

要するに、ポンコツ記者だった嵩が、戦争体験や母への思いを通じて、ずば抜けた才能で数々の作品を生み出したように、「本編」も描けばよかっただけってこと。

のぶがいるから嵩が売れっ子になったわけじゃないのに…

しかし、今作が描いたのは、「なぜか周囲に認められ続けるのぶ（今田美桜）がそばにいるから嵩が売れっ子になった」（史実は別にして）なのだ。

決して、嵩は自分自身の成功の全てを “のぶちゃんのおかで” とは思っていないように見えても。

視聴者には、嵩の成功の全ては “のぶのおかげ” に見えるように作り込んできてしまったのだ。

繰り返すが、本来、今作がやるべきだったのは、一部の成功は “のぶちゃんのおかで” だったとしても。

一つひとつの作品の生みの苦しみの根っこには、常に “戦争体験や母への思い” があったと強調し続けることだったと思う。

でも、今作は、どちらかといえば、嵩が作品群に “戦争体験や母への思い” を込めたのも、全て “のぶのおかげ” と描いてきた。

このことが、多くの視聴者には押し付けに見えたし、やりすぎだったと思う。

のぶと東海林のセリフが自然なセリフにしか聞こえなかった

さて、‘いいとこ探し’には苦慮するが、探さなくてもいいのが‘わるいとこ’である。

まあ、さすがに “最もわるいとこ” と評価するまでではないので、‘やりすぎたとこ’にしておこう。

今回で、最も‘やりすぎたとこ’は、東海林が『元祖アンパンマン』を読んで感じたことや、のぶが『アンパンマン』への自分と嵩の思いを語る際の “セリフ” だ。

要するに、東海林と‘のぶ’の “セリフ” が “自然なセリフ” にしか聞こえなかったこと。

ここでいう 緑“不自然なセリフ” とは、私たちが普段使うような “言葉” でなく、いかにも脚本が脚本のために書いた “芝居がかった会話” や “人為的なやり取り” のこと。

では、なぜ、「セリフが作られすぎている」のは問題なのか？

少し長くなるが、作られすぎたセリフによる会話の問題点を「五つ」挙げてみる。

「五つ」の作られすぎたセリフによる会話の問題点を解説

一つは、《日常言語との乖離》である。

人は実際には言いよどみ、口癖、曖昧な言葉を交えて話す。
しかし駄作の脚本では、それが省かれすぎ、整いすぎた文章が並ぶ。
結果として「台本を読んでいる」印象が強まるのだ。

さらに、現実には滅多に使わない言い回しや、過度に文学的・説明的な表現が続くから、観客の感覚が冷めるのだ。

二つ目は《作り手の意図の押しつけ》だ。

「伝えたい」が前面に押し出るため、登場人物の言葉が「人物の感情」ではなく「観客への解説」になってしまう。
これを、一般的に「説明ゼリフ」なんて呼ぶが。
特に駄作に多いのが、過去の出来事を登場人物同士が不自然に語り直す場面だ。

また、本来は行動や関係性で示すべき主題を、キャラクターに言わせてしまう。
このことによって、観客に俳優が「言わされている感」を与えるのだ。

三つ目は《キャラクターの個性喪失》だ。

役柄に応じた語彙・リズム・言葉遣いがなく、誰のセリフも「脚本家の声」に聞こえてしまうことも多い。
「高知出身者だから土佐弁をしゃべる」程度で止まり、内面や人間性を反映しない安直な造形になるのだ。

四つ目は《物語構造への影響》だ。

本来、映像や登場人物の行動で提示すべき展開を、セリフで済ませるために無駄が多く、長々しい印象を与えてしまう。
ときには、シーンの状況に合わない「言い過ぎた言葉」が感情の流れを壊すこともあるし。

逆に、沈黙や間を採用すれば成立する場面を、余計なセリフで埋めてしまうか違和感が増すのだ。

五つ目は《受け手の没入感を損なう要因》だ。

人は、無意識に「これは作為ある脚本だ」と築いた瞬間、無意識に物語の世界観から距離を置くものだ。

また、（登場人物同士で）相手の発言に対して自然な応答ではなく、脚本家が「伝えたいこと」の情報を渡すための「セリフのバトンリレー」に陥ると、それは「会話」ではなく「朗読劇」に見えてしまうのだ。

《作りすぎ、やりすぎ、言い過ぎ》のセリフはダメ！

長くなったので、いったんまとめよう。

作られすぎたセリフによる会話の問題点を「五つ」は下記のとおりである。

　●日常性からの乖離
　●脚本家の意図の過剰投影
　●キャラクターの個性の希薄化
　●映像的表現の欠如
　●観客の没入感の破壊

どうだろう、これら五つの要素の大部分が、今回の‘のぶ’と東海林のやり取りに当てはまったのでは？

もちろん、今回の二人のやり取りの全て「わるいとこ」だとは言わない。

しかし、何事も、《作りすぎ、やりすぎ、言い過ぎ》や《求めすぎ、詰めすぎ、盛りすぎ》など、過ぎたるは猶及ばざるが如しだってことだ。

きっと、残り2週半で、のぶと嵩にとって、現存する第三者で、文学的・商業的なことを語っておかしくないキャラクターは東海林しかいない。

だから、東海林を利用して、「これまでの総括」をしつつ、最終段階に向けて弾みをつけたい…　という意図なのだろう。

でも、その意図が分かるだけに、もっともっと “過ぎたるは猶及ばざるが如し” にならぬよう、精査しまくるべきだったと思う…　プロなのだから。

東海林の誉め言葉とエールは、嵩に直接伝える設定のほうが

‘やりすぎたとこ’を書いたので、最後に‘やればよかったとこ’を書いてみる。

それは、東海林が嵩の作家性を評価し褒めて、さらに声援を送るのは、嵩に直接言わせる（もしくは、立ち聞きさせる）ほうがよかったと思う。

なぜか？

一つは、単純に回りくどいからだ。

今回が、連ドラとして、残り2週半として、相当に大きな分岐点だったことは明確だ。

だって、誰が見ても、金曜日の次回で、東海林の存在によって、嵩が覚醒して、（おそらく「絵本」でしょう）鉛筆を動かすのは分かるのだ。

だったら、東海林の思いを直接嵩が受け取ったほうが、覚醒する嵩がストレートに描けると思うのだ。

まあ、回りくどい、わざわざ湾曲させるのは、今作のお約束ではあるが。

もう絶対に“視聴者には“のぶのおかげ”に見せてはダメ！

もう一つは、直接でないと、また “のぶのおかげ” に見てしまう可能性があるからだ。

だって、《ついにアンパンマンに覚醒した嵩》を描くにあたって。

直接なら “東海林のおけげ” となるが、のぶからの又聞きだと、映像的に “のぶのおかげ” に “視聴者” には見えてしまう）からだ。

前回の感想の冒頭でも書いたとおり、“のぶのおかげ” を全面否定はしないが、もう絶対に “視聴者” に “のぶのおかげ” に見せてはダメなのだ。

だって、それをやればやるほど、“のぶの物語” が強調され、“嵩の物語” は薄まり、結果的に “のぶと嵩の夫婦の物語” が崩壊するからだ。

あとがき

引っ掛かるんですよね、サブタイトルは「あんぱんまん」なのに、劇中のセリフの字幕は「アンパンマン」なのが。
本当は “表記の違い” も、エピソードにしてもいいと思のです。

今回で‘のぶ’と東海林がセリフ三昧で言ったことの［史実］を、偶然ですけど昨夜にまとめました。
よろしかったら読んでみてください。

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作品紹介はこちら！
https://tezukaosamu.net/jp/anime/9.html

放送日時：2025/09/20　15:00-
放送局：NHK-Eテレ
URL：https://www.nhk.jp/g/blog/nzaaai_ms/

© TEZUKA PRODUCTIONS

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