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連続テレビ小説「虎に翼」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第43回第9週『男は度胸、女は愛嬌?』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の様子がおかしいが、はる(石田ゆり子)や直明(三山凌輝)も声がかけられない。それから直言はみるみる衰弱。自分が長くないと悟った直言は家族を枕元に集める。直言の身勝手な言葉に怒った花江(森田望智)は寅子にきちんと怒って向き合ってほしいと頼む。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7
   橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8
   安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト 新窓で開きます
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略



ホントいろいろ辛いのだが、前向きにいこう!

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

私事で申し訳ないが(いつも、ほとんどが私事ですけど・汗)

先ほど、ドラマ10『燕は戻ってこない』の感想を投稿して、心底どっと疲れた直後。

更に、妹のお骨がきょうにも関東を離れて九州に旅立つので、昨夜の台風のごとく心の中は荒れているのだ。

というわけで、前回の “あの続き” を見て、感想を書くのは、ホントいろいろ辛いのだが、前向きにいこう!

「心を込めたお守り」ではなく、「力を込めたお守り」

やはり、 “あの続き” だから、そんなエピソードで受け止めるのかが、最初の期待したところだ。

すると、こんな語りで始まった。

そういえば、これまでナレーション部分の表記は「N」と書いてきたが、先日から「語り」に変えている。
漢字二文字の登場人物が多いから、馴染みやすいかな? という私なりのカスタマーファーストである(笑)

語り「直言が半年近く隠し持っていたものは
 優三の死亡告知書でした」

いわゆる、朝ドラファンの間で呼ぶ「ナレ死」というやつだ。

しかし、最後まで見れば分かるが。

この時点でも分かるのは、例えば「葬儀のシーン」「遺影のカット」にナレーションを被せるという従来の「ナレ死」とは明らかに違う。

今作が、今回のアバンタイトルにおいて <映像で見せて(show)魅せる(fascinate)べき!> だと判断したのは、苦しむ直言(岡部たかし)であり、ただただ信じられない母・はる(石田ゆり子)と花江(森田望智)、茫然自失の寅子(伊藤沙莉)の表情だけなのだ。

リアルなセリフは排除し、外から入ってくる小鳥のさえずりと、「五香の寅生まれの私が力を込めたお守りです」回想シーンで、約45秒間のアバンを紡いだ。 放送当時はスルーしてしまったのだが、今回の回想シーンを見て改めて脚本の細かさに恐れ入ったのが。

「心を込めたお守り」ではなく、「力を込めたお守り」となっている点だ。

よく考えれば、裁縫が不得手な寅子だからこそ、“丁寧に心を込める” という表現よりも、“精一杯の力を込める” ほうが思いの、気持ちの強さを感じる。

なんだろ?
「心がこもった言葉」より「力がこもった言葉」のほうが説得力があるし、効果もあるように感じる… そんな違いがあるような。

こうしてみても、なかなか奥深いセリフだったから、回想に再利用した意味も分かるというのものだ。

恐るべし嫁、いや、寅子の幼馴染で親友の米谷花江の逆襲!

メインタイトル映像明けも、怒涛の、いや、息を飲む、息が詰まる展開の連続だ。

その閉塞感が充満している猪爪家の空気感に、バッサリ袈裟懸けで斬り込んだのが花江の次のセリフだ。

花江「お義父さんとは 生きてるうちに
 お別れできるんだから」

恐るべし嫁、いや、寅子の幼馴染で親友の旧姓・米谷花江の逆襲だ。

嫁だからいえるし、親友でないと、ほぼ「介ハラ」「ケアハラ」のレベルだ(笑)

しかし、介護をやった人、やっている人なら花江に拍手を送る人も多かったのでは?

時に、高齢者は「自分は余命が…」を免罪符にして、普段ではあり得ないことをやってしまいがちなのだ。

死期が迫っている父が家族を枕元に集めて、これを言う?

その後も、花江の無敵モード、圧巻のパフォーマンスは続くつづく。

花江「トラちゃん 許したくなかったら
 許す必要ないのよ」

もはや、もんぺ姿でおしとやかに座ってはいるが、「全ての心が満ちるまで、私は戦い続ける!」のキュアムーンライトにすら見える(笑)

花江最強伝説の誕生だ。

しかし、ここからが今作らしさの炸裂だ。

前回では、やや今作らしい楽しさが少なかったことの “返礼品” かもしれないが。

死期が迫っている父が、家族を枕元に集めて、咳き込みならが何を話すかと思いきや。

娘の結婚相手としての優三(仲野太賀)を「優三君かぁ」と、ディスり始め。
今さら、あのイケメン学生の花岡(岩田剛典)推しを妻に合意を求め。
散々助けてもらった寅子への恩を仇で返し。
夫を案じる妻をうるさがり。
息子を愛妻の浮気相手の子どもだと疑い。
花江は、上げたり下げたり無視したり。
まさかの、孫の優未に対して孫ハラ? まで(笑)

ここまで、一気に約8分間。

寅子「一生分の懺悔(ざんげ)する気?」

お見事だ。

確かに、これまでも直言は “ダメ夫” “ダメ父” として描いてきた。

しかし今回は、全部ひっくるめて “ダメ男” の共通項でくくってきた。

それでいて、なぜか直言が哀れに見えるし、可哀そうに見えるのは、岡部たかしさんの人柄か!

ここまでやるのなら、アホのおっちゃんが探してきた “桃” の奇跡で、直言が元気回復しちゃうのもアリだと思うが(笑)

<回想シーンはドラマでも物語でもない>が条件が揃えば…

さて、番組的には 11分が過ぎたころ、エピソードの風向きがふわ~っと変わる。

直言「こんなお父さんで ごめん。ごめんな」
寅子「何度も ごめんって言われても…」
直言「うん…」
寅子「でも お父さんだけだったよ…。
 家族で 女子部に行っていいって
 言ってくれたのは」

ここの演出で注目すべきは、上記のセリフの直後からの、寅子の直言へのお褒めの言葉の際に、小鳥のさえずりの効果音も、涙なみだを誘うような劇伴も排除し、俳優の演技だけを集中して見せて魅せたことだ。

息を飲む音や、鼻をすする音や、息遣いの音を、まるで目の前で聴いているような臨場感で再現してきた。

はる、花江、直明(三山凌輝)よりも違い距離で、寅子と直言を見ているような緊張感。

それを和らげるように、救われた思いの直言の表情と、笑みの寅子から、アコギのイントロの劇伴が入る。

<回想シーンはドラマでも物語でもない> ことは変わらない。

でも、今回の回想シーンは、寅子と直言と視聴者が一緒に思い出したい “共通の記憶” なのだ。

だから、次の直言のセリフに、より説得力を持たせる効果としても、絶対に必要だった。

直言「トラは俺の誇り 宝物なんだから」

朝ドラの歴史に残る「笑いと涙に溢れるナレ死」

このまま、涙なみだで終わるかと思いきや、いきなり直言が畳の上に突っ伏して動かなくる。

「えっ! この流れで、今度は直言が!?」と恐る恐る見続けたら…

はる「まだよ。寝てるだけ」
直明「何だよ。こんな体制で? 困ったな」
寅子「すっきりした顔しちゃって」

今週は、特に前回からは、“時代” だから悲観的、絶望的、厭世的なエピソード群が続くのはやむを得ないとは思っていた。

だから、前述のように、今週は暗い感じで進むことは半ば諦めていた。

しかし、今回の 15分間は、まさしく「朝ドラらしからぬ朝ドラ」を最大限に振る舞って、朝ドラだけでなく、昨今の「松竹梅の竹や梅レベルのドラマ」では絶対にやらない、やれないセリフ、演出、演技で盛り上げた。

そして、最後には、“死んだように眠る父” のオチまで用意してきた。

語り「数日後 直言は静かに息を引き取りました」

最後の最後は「ナレ死」になったが、朝ドラの歴史に残る「笑いと涙に溢れるナレ死」になったと思う。

ホント、いいものを見せてもらった… と思う。

あとがき

個人的な事情があるから、「直言の死は、本当に見たくなかった…」なのが本音なんですね。

だって、ドラマを見てまで悲しくなりたくないので。

でも、この度のエピソードで、笑って看取(みと)られる人生もいいなって。

ただ、厳密にいうと、直言が死亡告知書を隠した本当の理由は語られていないんですね。

でも、肝心なことは言わずに、あの世に持って行っちゃったのも、 “ダメ男” らしい最期だったと思います。

懺悔をしただけ、直言さんはよくやった… でよいと思います。


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燕は戻ってこない

NHK・ドラマ10『燕は戻ってこない』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)

第5話〔全10回〕の感想。

なお、原作(小説)となった桐野夏生『燕は戻ってこない』は未読。



法律上、基(稲垣吾郎)と夫婦になったリキ(石橋静河)は6年ぶりに故郷の北海道に帰省する。代理出産の着手金を手に入れ、見違えるように着飾ったリキに驚く家族や地元の面々。リキはかつての職場の同僚たちとの飲み会で、当時不倫していた日高(戸次重幸)と再会する。リキが言い寄ってくる日高に辟易としていると、スマホに基から怒りのメッセージが届く。それは悠子(内田有紀)が止めるのも聞かずに送ったものだった。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作(小説):桐野夏生『燕は戻ってこない』
脚本:長田育恵(過去作/群青領域,朝ドラ「らんまん」)
演出:田中健二(過去作/朝ドラ「カーネーション,半分、青い。,なつぞら」) 第1,3,4,5
   山戸結希(過去作/映画「溺れるナイフ」,映画「21世紀の女の子」) 第2
   北野隆(過去作/半径5メートル,エルピス-希望、あるいは災い-)
音楽:Evan Call(過去作/ハラスメントゲーム,鎌倉殿の13人)
制作統括:清水拓哉(過去作/正義の天秤 Season2,生理のおじさんとその娘)
   磯智明(過去作/なつぞら,十三人の刺客,どうする家康)
※敬称略

この章は、今作専用の毎週書いているフォーマット

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

この章は、今作専用の毎週書いているフォーマット。 前回も書いたが、繰り返す。

■我が家は、結婚35年ほどで子なし夫婦世帯。
■妻は助産師で既に数百人の赤ちゃんを取り上げている。
■私は1,000組超の結婚披露宴の演出を手掛けている。
■従って、結婚、出産などについては、いろいろ考えがある。

が、今作の感想で、「代理出産」などの議論をするつもりはない。

>更に、原作は未読だ。

序盤の理紀とダイキの温度差が今回のテーマに隣接してくる

まず意外と衝撃的だったのは、久し振りに地上波ドラマでクスコ(膣鏡)を見たこと。

それこそ、昭和のドラマ、昭和の産婦人科院内シーンではよく見かけたが。

というわけで、今回から、どうやら、それなりにきわどい表現や露骨な言い回しをしないと、本当の感想は書けなさそうだ。

従って、そういのは読みたくないなら、すぐ離れるべき… だと、事前に断っておく。

序盤から、印象的な場所として劇中に登場したのが「ホテル オリオン」。

実家に向かうバスの中で懐かしそうに「ホテル オリオン」を通り過ぎた‘リキ’こと大石理紀(石橋静河)。

ダイキ(森崎ウィン)からの「帰ってきたら会おう!気をつけて」LINEメッセージに、理紀の今の心境とは真逆に見えるスタンプで応える。

最後まで見れば分かるが、この理紀とダイキの温度差(心も気温も)が今回のテーマに隣接してくるという仕掛けだ。

オリオン神と、日高と草桶を強引に重ねてみると…

因みに、「オリオン」とはギリシャ神話に登場する美男子で巨人の猟師だ。

ギリシャ神話の最高神ゼウスと女神レトの子どもで、若く美しい処女の狩人のアルミテミスの怒りにふれて殺された。
※さそりに刺されて死んだ説もある。

余計な深読みをやるなら。

理紀と、かつての職場の同僚で、当時不倫していた日高(戸次重幸)の軽率極まりない肉体関係にもつながるし。

異常性をも感じる支配欲に縛られる元バレエダンサー・草桶基(稲垣吾郎)と、主張があるようで無責任な一面を持つその妻、悠子(内田有紀)との関係にも見えてくる。

何となく登場した「ホテル オリオン」だが、これだけで様々なことが考えられるというわけだ。

"理紀"の中の"リキ"を目を覚まさせた母の強烈な価値観!

今回の、大きな見どころであり、人間の本性が見えると同時に。

田舎でくすぶり続けた“大石理紀” の中の、東京でやり直せる気満々の “リキ” が目を覚まさせたのが、次の大石昌江(あめくみちこ)のセリフだ。

昌江「別れるんなら
 その前に子種(こだね)もらっときな。
 (中略)草桶さんの子どもさえ産んどきゃあ
 なんとかなる」

あめいくみちこさんの欲望にまみれた眼力の演技も凄いが、「子種」にピクッと反応する石橋静河の鋭い眼光が怖かった。

私にとっては “下衆極まりない弊社社会にありがちなよもやま話” だが、大石一家には嫁を含めて、ネタとして笑い飛ばしながら喋る本音トークになっているのも、更に背筋が凍る思いだ。

そして、この時の理紀のモノローグは自分を代理母であると冷静に律しているように見せる一方で、下衆な話をまんざらでもないと思い始めたところ…
そこへ、神をも恐れぬ行為で生命と命を搾取しまくるアメリカの生殖医療エージェント「プランテ」日本支社のエージェント・青沼薫(朴璐美)から、神とは真逆の悪魔の声が電話で届く。

一度でも悪魔の手に染まった者は、悪魔の手から逃れられないのだ。

もう、ひとりの女性としての “理紀” も “リキ” も存在を許されないことを身に染みて知るわけだ。

椅子に座って身体を揺らす赤い青沼がエンマ大王に見えた!

ブルーに光る水の奥で、椅子に座って身体を大きく揺らす赤い青沼が、私には “嘘大嫌いで、嘘をついたら舌を抜く” で知られるエンマ大王に見えた。

ここで、脱線してみる。

青沼というキャラクター名の割に、今回の青沼の顔も赤い照明で彩られていた。

エンマ大王様も赤いかをしているのはご存じだと思う。

でも、あの赤い顔は悪事をはたらいた罪人に激怒している面もあるが。

エンマ大王自身も、罪人を地獄へと裁く悲しみに堪え耐え、地獄での責め苦を味わっているのだ。

そう考えると、このシーンの最後の青沼が、疲れ切った感じで椅子の背もたれに身を預ける様子が、やはりエンマ大王に見せるような演出になっているように思う。

理紀は"無知の知"に気づかぬまま恐怖のどん底に落ちさそう

終盤での理紀のモノローグも印象的だ。

理紀(M)「あの墓地に埋葬されない生き方を
 選ぶしかない」

やはり、今作には、「生命」「誕生」を描く一方で、どこか「地獄」「死」を描いているように思う。

で、理紀が選んだ “生き方” が、あらゆる “煩悩の象徴” しての <中だし(膣内射精)> だ。

またここで、ギリシャの話をすることになる。

古代ギリシャの哲学者・ソクラテスの有名な言葉に「無知の知」がある。

哲学の根本は、「人はどう生きるべきなのか」「正しい行いとはどういったものか」を追求することも含まれており。

「無知の知」は、自らの無知を自覚することが真の認識に至る道であるとする真理探究への基本になる考え方だ。

で、理紀は、卵子が受精できる期間と、精子の生存期間の違いを知らない。

でも、「代理母」という立場と金銭を得た理紀は “無知の知” に気づかぬまま、恐怖のどん底に落ちさそうになって終わった。少々、「代理母」を社会問題として扱う社会派ドラマの色は薄まってきた。

一方で色濃くなったのは、望むものを手に入れる過程で様々なものを失ったり得たりする人間模様を描いたヒューマンドラマだ。

「全10回」の折り返し、今後どんな方向へ転じていくのか楽しみだ。

あとがき

今どきの言い回しなら、よい意味でも、悪い意味でもエグいドラマ… となるのでしょうか?

物語にインパクトがあるので目がそっちに行きがちですが、映像的な見せ方、魅せ方もなかなかうまいと思います。

原作既読の方は、ネタバレにならないようご協力をお願いいたします。


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------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


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登戸火工の重田登場で生きてている人たちの現実味も伝わる

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今回も、激アツ、胸アツの長文です!

冒頭から、「私が見たいドラマ」になっている。

そう、「主人公が生きている世界」と「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」がつながっていることを常に意識た描写で、視聴者にそのことをきっちりと伝え続けることだ。

冒頭のナレーションで。

N「直言が かつての知り合いに頼み込み」

これだけで、上記の3つの世界がつながっていることが伝わる。

更に、「登戸火工」の重田(緒方賢一)を映像で登場させて絡ませることで、「生きてている人たち」の現実味も伝わる

多くの人に対して釈迦に説法だと思うが、緒方賢一さんは『名探偵コナン』登場する通称「阿笠博士(あがさはかせ)」の声優さん。

阿笠博士は、コナンの協力者だから、重田と猪爪家が互いに助け合うのは、ちょっとグッときちゃうわけだ。

アバンタイトルから涙が止まらなかったのは、次のくだり…

1分49秒には「昭和二十一年 1946」に時間経過。

娘の優未を負ぶった寅子(伊藤沙莉)が歩く河川敷に人一人おらず、ヨシ(アシ)が茶色に枯れ果てている光景が、年末年始のころの寒さと生活の厳しさを醸し出す。

寅子が川砂利を踏む足音と川の流れを強調し、寅子が歌う「♪モン・パパ」は抑えめにした音量演出によって、寅子の元気も縮こまり始め、なんとなく川の流れのように身を任せるしかないと諦めかけていることも伝わる。

私が、アバンタイトルから涙が止まらなかったのは、次のくだりだ。

直言「こうして
 家族そろって新年を過ごせることを
 幸せに思わないとな」

私事だが、今年の正月は、妻の実家で義母と妻と妻の弟夫婦で元旦のお祝いをする予定だった。
※令和6年能登半島地震があったから、こんなのんきなことを書くなとお叱りを受けるかもしれないが。

私の両親は既に他界し、義父は老健施設に入居中で、義母も認知症が進んでいるから “実家でのお正月” は今年が最後になると家族中が思っていた。

でも、12月30日夜に義弟夫婦が病気になって、結果的に私たち夫婦とお義母さんでのお正月になったのは以前にも書いたとおりだ。

更に今年は、妹夫婦や姪っ子たちとも正月に会う予定だったが、年末年始に入院していた妹も1月末に往生してしまったから、もう妹とも正月を祝えなくなってしまったのだ。

脚本の吉田恵里香氏と演出担当の安藤大佑氏の愛を感じる…

そんなことを思い出せてくれたのが、直言のセリフ。

で、印象的だったのは、この直言の言葉に、寅子が数回だけ小さく小さくうなずくが「そうだよね」といつもの調子の寅子はいないこと。

そして、脚本の吉田恵里香氏の登場人物への愛を感じるのが次のくだりだ。

直言「いや そろってはいないんだが」
はる「あなた!」
花江「トラちゃん。
 もっと優三さんの話をしていいのよ。
 写真も飾っていいの。
 すぐに こう言ってあげられなくて ごめんね」

脚本の指定があるのか分からない(来週、買って読んでみます)が。

演出担当の安藤大佑氏の登場人物への愛を感じるのが、写真の置き場所だ。

寅子が、優三(仲野太賀)との思い出の写真を飾るのが、みんなが集まる「居間」ではなく「優未との二人っきりの寝室」だってこと。

これ、分かっていただけるか予想がつかないが。

私は、寅子が現代に生きていたら、思い出の写真を「スマホの壁紙」にしている感じに受け取ったのだ。

娘と自分だけ好きなときに見られる、会える… そんな感じだ。

亡くなった人は "浄土" という "クラウド" にいて…

この時点で、優三が戦死をしたのか分からないから、あくまでも「たとえ話」と受け止めてほしい。

以前の投稿で、次のように書いた。

「亡くなった人は “浄土” というクラウドにいて。

ふと手を合わせて拝むのはスマホみたいなもの…」

改めて、妹のお骨に手を合わせて思うこと 新窓で開きます

繰り返すが、この時点ではまだ優三が戦死をしたのか分からないが。

寅子にとって、写真を寝室に飾ることは、夫の直明(三山凌輝)の戦死を知って傷ついている花江(森田望智)に対する気遣いもあると思うが。

もっともっと、内面的であり、個人的であり、夫婦、優未との親子関係だけの思いを大切にしておきたいから… に感じた。

私も、妹が病室から書いてくれた年賀状は部屋に飾っているが、まだ写真は飾っていないが。

なんとなくだが、寅子は優三の写真を「居間」に飾ったら、現実になってほしくないことが現実になってしまうような気がしているようにも思う。

今回も、「3分39秒間」の長尺のアバンだが、脚本と演出に愛が溢れた描写だった。

直明が夜中にコソコソと本を読む理由を他の側面から考える

アバンが正月で、メインタイトル映像明けは「昭和二十一年・五月 1946」へ。 さて、少し脱線してみる。

直明が夜中に起きて読んでいた本が『アドラー著 問題児の心理(「児」は旧漢字)』だ。

私が読んだことがあるのは、昭和34年(1959)の翻訳本だから調べてみると、直明が読んでいた翻訳本は、昭和16年(1941)の初版本という設定のようだ。

久保田(小林涼子)が婦人弁護士として初めて法廷に立ったのが昭和15年(1940)だから、大切な初版本を大事に持っていたということだ。

そして、前段の「優三の写真」の置き場所につながるエピソードがこれだ。

寅子「そんなコソコソ読まなくても」
直明「ずっと みんな気にしているんでしょ。
 僕を大学に通わせられなかったこと」

直明の質問に、ほんのわずかだけ反応する寅子。
うなずくようなことはしない。

やはり、直明は寅子の弟だから、みんなのいる前で読むと夢が消えてしまうと思っていたのかもしれない。

だから、寅子は「堂々と読みなさい」でなく、そっと本を渡すだけ。

どこで、どう読むのか、それをどう使うのかは、直明に任せた。

この辺が「猪爪家の家風」でもあって、ちょっぴり花江だけ違う理由とも合致するのではないだろうか。

なぜ、直言が半年間も隠していたのか?

12分過ぎには「昭和二十一年・十月 1946」。

因みに、朝ドラ『ブギウギ』の昭和21年春に、スズ子と愛助が湖畔へ旅行に行ったころで。

史実は、笠置シヅ子の人気が下降気味で、「リンゴの唄」を歌う美空ひばりさんが台頭してきたころだ。

そして、衝撃の事実が判明した。

この年の4月に、既に優三の戦死を知らせる手紙が届いており、直言が隠していたことが判明した。

直道の際は「南西諸島方面ニ於テ戦死」と記載してあったが。

この度の優三の知らせにはさんは「遼寧省方面ニ於テ戦病死」とあった。

直道の死は不明瞭に描かれたが、優三の死は戦病死として看取られたということで、揺るがない事実… ということだ。

なぜ、直言が半年間も隠していたのか?

傷つく寅子を見たくなかったのか?

自分の体調を鑑みて、優三君と自分がいなくなったら… と、寅子を慮った結果なのか?

とにかく、次回を見ないわけにはいかない…

脚本と演出の工夫が見えたのが、次の二つ

暗くて、絶望的なエピソードの連続だった今回。

きっと週末に向けて、そして来週に向けての下準備なのだろう。

そんな中で、脚本と演出の工夫が見えたのが、次の二つだ。

一つは、次のナレーションを受けて、今作らしさである“トラつば・アベンジャーズ” の回想シーンを盛り込んだこと。

N「直明に あの学ぶ喜びを知ってほしい。
 寅子は 目を背けていたことと
 向き合う覚悟を決めました」

やはり寅子の原動力は、学ぶことと人助け。

もう一つは、そこを強調しつつ、「雲野弁護士事務所」を盛り込んだ。

スタッフは頑張って、明るさ、楽しさを盛り込んだとは思うが。

やはり、山田よね(土居志央梨)や事務員・常盤(ぼくもとさきこ)のことがあるから、本当の意味での “今作らしい明るさや楽しさ” とはならなかった

かなり難易度が高いが、娘の優未を利用して「家族の団らん」的な要素を盛り込んでも良かったかもしれない。

本当に難しいところだが。

あとがき

私は、現状の寅子が這い上がり、立ち上がるきっかけは、次の優三の言葉だと思うんですね。

5月24日(金)放送の第40回の中盤で、出征直前の優三が川辺で寅子に語る言葉…

優三「トラちゃんが僕にできることは
 謝ることじゃないよ」
寅子「えっ?」
優三「トラちゃんができるできるのは
 トラちゃんの好きに生きることです。
 また弁護士をしてもいい
 別の仕事を始めてもいい。
 優未の いいお母さんでいてもいい。
 僕の大好きな あの
 何かに無我夢中になってる時の
 トラちゃんの顔をして
 何かを頑張ってくれること。
 いや やっぱり 頑張んなくてもいい。
 トラちゃんが後悔せず
 心から人生をやりきってくれること。
 それが僕の望みです」
  ※改行含めて、全て字幕ママ

この亡き優三の言葉を胸に、翌年となる昭和22年(1947)5月3日に新しく施行された「日本国憲法」にかかわり、希望を見出す寅子になると…

ホント、「先が気になる」「次回が見たくなる」ですね。


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拍手[51回]

アンメット ある脳外科医の日記

関西テレビ制作・フジテレビ系・新 月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)TikTok

第7話『記憶がすり替わっている』の感想。

なお、原作(漫画)である、子鹿ゆずる(原作)・大槻閑人(漫画)『アンメット-ある脳外科医の日記-』は、既刊13巻全巻(2024年4月16日現在)を既読。



抗てんかん薬を増やしたことで、ミヤビ(杉咲花)は前日のことを断片的に覚えられるようになり、彼女を支えてきた医局のメンバーも喜んでいた。しかし、三瓶(若葉竜也)だけは記憶障害の改善に違和感を覚えていた。
そんな中、一同が高美武志(小市慢太郎)の居酒屋『たかみ』を訪れると、料理の味がいつもより濃いことに気づく。検査の結果、高美に髄膜種という腫瘍が見つかり、嗅覚が落ちて味つけが濃くなったことが判明する。手術は可能だが、神経を傷つけて嗅覚を失う可能性が高く、非常に難しい選択を迫られる。
一方、ミヤビは前日の記憶に誤りが多いことに気づき、治療中に患者を取り違えそうになって恐怖に立ち尽くす。三瓶は、記憶錯誤が起きている可能性を示唆するが、治療法はまだ解明されていない。新たな壁に悩むミヤビは、高美に寄り添いたいと思う。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:子鹿ゆずる(原作)・大槻閑人(漫画)『アンメット-ある脳外科医の日記-』
脚本:篠﨑絵里子(過去作/クロサギ2006、2022,朝ドラ「まれ」、竜の道)
演出:Yuki Saito(過去作/おっさんずラブシリーズ,リエゾン-こどものこころ診療所-) 第1,2,5,7
   本橋圭太(過去作/DOCTORSシリーズ.グレイトギフト) 第3,4,6
主題歌:あいみょん「会いに行くのに」
オープニング曲:上野大樹「縫い目」
音楽:fox capture plan(過去作/ヤメゴク、SUPER RICH、ブラッシュアップライフ)
P:米田孝(過去作/コンビニ★ヒーローズ~あなたのSOSいただきました!!~)
 :本郷達也(過去作/星降る夜に,リビングの松永さん)
※敬称略



「障がい」の表記について
当ブログでは、人や人の状態を表す場合、原則「障がい者」「障がい」と表記としています。
※法令、条例、規則などからの引用や固有名詞は対象としていません

せっかく俳優さんたちが作り上げているリアリティーも…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。
なお、原作(漫画)は、既刊13巻全巻(2024年4月16日現在)を読了しました。

相変わらず、人手不足の病院勤務者たちが、師長まで加わって大勢で飲み会やってる呑気なシーンから始まったのが、今期では数少ない(一応は)医療ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(苦笑)

更に、変わらず「ミヤビちゃんが可愛くて癒されます」「花ちゃんがステキすぎます!」と、コメントと投稿し続ける人も絶えない医療ドラマが『アンメット ある脳外科医の日記』(苦笑)

まあ、今回はエピソードがエピソードだから料亭居酒屋「たかみ」を組み込むのを全否定はしないでおくが。

ほどほどにしないと、せっかく俳優さんたちが作り上げているリアリティーも、嘘八百を並べまくる他のフジテレビのドラマのように、現実味ゼロのおとぎ話になるだけ… そういうことだ。

もちろん、フジテレビの某ドラマのように「今作も嗅覚を失う設定なの?」なんて無粋なツッコミは入れない。

これまで以上に「ミヤビの物語」が主軸に置かれた!

さて、今回で評価したいのは、これまで以上に「ミヤビの物語」が主軸に置かれていたことだ。

せっかく、原作から主人公を「三瓶友治」から「川内ミヤビ」に改変したのだから、メインはミヤビ(杉咲花)、サブは三瓶(若葉竜也)にするべきだったのだ。

ようやく、既定路線になった… そういうことだ。

更に今回で良かったのは、三瓶の次のセリフを盛り込んだ点だ。

三瓶「感覚と感情は 一体化して働くんです」

当然のことだが、それでも分からない人もいるわけだから、セリフにすることは大切。

また今回は、ミヤビが部分的ではあっても記憶が残っている喜びや、麻衣(生田絵梨花)とのランチでの味や推しの共通点や。
手術手技などの “感覚と感情” を強調しているわけだから、組み入れて正解
だった。

前向きに頑張る脳外科医ミヤビの物語して昇格したと思う

そう考えると、一つだけ「こうやっておけば…」が思いつく。

それは、原作は既読だし、原作者との契約などがあるのも理解するが。

ミヤビにも “記憶錯誤” と同時に “味覚嗅覚障害” も併発した設定にしたら良かったのでは? と。

料亭居酒屋「たかみ」の大将・高美武志(小市慢太郎)を病気を重ねることで、ミヤビが「どうしても大将の嗅覚を取り戻してあげたい!」を願い信じ…

三瓶と協働するほうが、より「ミヤビの物語」として、ミヤビが魅力的に映った… と私は思う。

だって、ミヤビの記憶障害にいいタイミングで変化が起きた “設定” にしたのだから、それを活用しない手はないと思う。

それでも、今回は「ミヤビの記憶障害」をやや後退させ、「脳外科医ミヤビ」を前に出すことで、脳外科医を主人公にした “ドラマ” に見えたし、なったと思う。

もう、第7話まで進んでいるが。

テレビ局は出演者のファン、ドラマファンの思いをくむべき

作品の感想ではないが、やはり簡単に触れておく。

いくら「北朝鮮による‘衛星ロケット’の打ち上げ」が突発的だったとはいえ。

私は、昨日(5/27)の夜7時ごろに、北朝鮮が深夜に人工衛星の打ち上げを日本の海上保安庁に通告したとのニュースを知ったので、レコーダーの録画時間を「2時間分」延長して設定しておいたから難を免れたが。

北朝鮮、日中韓首脳宣言に反発 非核化議論「主権侵害」と非難 | ロイター 新窓で開きます

恐らく、普通に録画設定した人は、残り数分の時点で切れていたはずだ。

私は、カンテレとフジテレビは次の選択をするべきだったと思う。

●放送を中断、中止にし、「後日改めて再放送します」のテロップを入れる

●スポーツ中継のように、延長信号を送ってテレビの視聴者に最大限のサービスをやる

事前に延長用の信号送信の準備をするだけで良かったのでは?

まあ、2022年にスポーツ中継が延長になり、人気アニメ『SPY×FAMILY』の放送時間が変更され、録画に失敗したり見逃したりする人が続出して大騒ぎになったから、サブチャンネルのない民放放送は逃げ腰になっている可能性はあるが。

【テレビ用語の基礎知識】スポーツ中継につきもの放送時間「延長」 民放地上波は向いてない…そろそろやめにしませんか? 人気アニメの録画失敗で大騒ぎに(2/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト 新窓で開きます

でも、でも、こんなことをやっているから、テレビ離れ、リアルタイム視聴者が減る一方なのでは?

見逃し配信に誘導したいのかもしれないが、テレビ局の収入額でいったら、リアタイ視聴向けの広告収入と配信での広告収入は10倍以上の差があるのが実情だ。

今こそ、今回こそ、「再開されたけど、テレビで最初から見たい」「録画保存しているから再放送してほしい」と願う、出演者のファン、ドラマファンの思いをくむべきだと思う。

あとがき

話題を変えましょうね。

私、正直いって、最近の “俳優・杉咲花” にあまり興味関心がありませんでした(汗)

それこそ、朝ドラ『おちょやん』(NHK/2020年度後期)での‘竹井千代 ’は本当に良かったし、超はまり役だと確信していました。

けど、その後は… だったんですよね。

でも、今回の‘川内ミヤビ’は、表情のつくり方や言葉の発し方、ちょっとした仕草まで、良い意味で “演技をやってます” が全く伝わってきません。

テレビの中の世界に‘川内ミヤビ’が普通に生きているように見えます。

で、すごいと思うのは、そんな‘自然体の川内ミヤビ’に周りの俳優さんたちも影響されているのか、いつもは “演技をやってます” が駄々漏れの俳優さんもメッチャ自然で。

こういうのが、「座長の魅力」なんだなぁと思うわけです。


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拍手[28回]

連続テレビ小説「虎に翼」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第41回第9週『男は度胸、女は愛嬌?』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


昭和20年。東京大空襲で多くの人が被害に遭う。寅子(伊藤沙莉)と娘・優未、花江(森田望智)と子供たちは疎開先で空襲を逃れるが、空腹に耐えながら必死に暮らす家族の元に悪い知らせが届く。やがて、終戦。弟・直明(三山凌輝)が帰って来る。久しぶりの再会に大喜びする猪爪家だったが、直明は大学へは行かず、すぐにでも家族のために働きたいと言い出す。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:吉田恵里香(過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘)
演出:梛川善郎(過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのブツが、ここに) 第1,2,4,7
   橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘) 第3,8
   安藤大佑(過去作/とと姉ちゃん,となりのマサラ,やさしい猫) 第5,6,9
音楽:森優太(過去作/海の見える理髪店,あなたのブツが、ここに,忘恋剤)
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博(明治大学 法学部 専任教授)
料理指導:赤堀博美(過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす)
タイトルバック制作:シシヤマザキ(公式サイト 新窓で開きます
取材:清永聡(NHK解説委員:司法・事件・公文書管理・災害)
語り(本編):尾野真千子(過去作/カーネーション,長谷川町子物語,足尾から来た女)
語り(土曜日版):山下誠一郎(過去作/Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」)
副音声解説:山崎健太郎(過去作舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ)
制作統括:尾崎裕和(過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人)
※敬称略



『虎に翼』を楽しんでいらっしゃる雅子さまと愛子さま

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

昨夜放送のTBSテレビ「日曜劇場」枠『アンチヒーロー(第7話)』をご覧になった方は、感想も読んでいただきたいのだが。

劇中で、ラスボス的な野村萬斎さん演じる伊達原検事正が、女性裁判官の “たわごと” に対して「はて?」という場面があったのを覚えておられるだろうか?

令和の時代でも、女性が裁判官にまで男性たちをかき分けて昇り詰めた梯子を男性の野望で外され。
のちの場面で、「男社会で…」と大いに愚痴るシークエンスにつながったのだが。

恐らく、TBSのスタッフは『虎に翼』を意識はしていないとは思う。

していないとは思うが、同時期に放送される法曹界を扱ったドラマだから、何か思いはあると思う。

そう感じるのは、週末に見つけた次のネットニュースの記事からも感じたのだ。

『虎に翼』を楽しんでいらっしゃる雅子さまと愛子さま 女性天皇への期待高まるなか、揺れるお立場に「日本初の女性弁護士の物語」を重ねられて|NEWSポストセブン 新窓で開きます

よりボーダーレス、よりジェンダーレスを先取り、意識すべき今だからこそ、女性の活躍と、女性の活躍を拒む圧力に注目が集まると思う。

そう考えると、今作は “それ” を朝ドラでやっているのだから、ホントに意味も意義も価値もあると思う。

天気雨の雷鳴と、地蔵菩薩様の足元のコップに溜まる水…

ワンカットめから演出が素晴らしい。

夜の住宅街の奥に火の手が上がり、空襲警報の効果音に、逃げ惑う人々の声を同時に描きつつ。

薄暗がりで恐怖すら漂うカットに、白抜きの明朝体の文字で『連続テレビ小説』とテロップ。

遠くでの爆発音をきっかけに背景の映像はブラックアウトして、白と灰色の文字で『昭和二十年・三月 1945』の文字と、ナレーション。

N「昭和20年3月10日。
 後に東京大空襲と呼ばれる
 この一晩の空襲で
 多くの犠牲者が出ました」

38秒に焼夷弾の落ちる爆音とともに、また暗転。

今度は、快晴の猪苗代湖に映る磐梯山の風景にセミの鳴き声がかぶって『昭和二十年・七月 1945』の文字が載る。

ナレーションと疲れ切った足取りの娘・優未を負ぶった寅子(伊藤沙莉)と花江(森田望智)だけで、花江の息子たちも疎開先で空襲を逃れはしたものの、空腹に耐えながら必死に暮らしている現実が伝わってくる。

そこへ現れた寅子の父・直言(岡部たかし)が、寅子の兄で花江の夫・直道(上川周作)の戦死の知らせを持ってくる。

寅子が直言に気づいて声をかかるまで、ワンカットの長回しで描写することで、足取りの重だるさが伝わるのだ。

泣き崩れる花江に、天気雨の雷鳴が落ちる。

地蔵菩薩様の足元のコップに、水漏れの桶にも、水が溜まっていることから、南西諸島方面で水にかかわる死を遂げたことが伝わると同時に。

大きな慈悲のお心で世の人々を包み込んで、全ての命を救ってくださる地蔵菩薩様が、花江たち直道の戦死を受け止めきれずにいる悲涙をくみ取っているようにも感じる。

タイトル映像直前、花江のすすり泣く声をぶった切った!

で、ここまでの演出も素晴らしいのだが、何気にスゴイと感じたのが、メインタイトル映像にいく直前、花江のすすり泣く声をぶった切ったこと。

「え~ん」と区切ったところでなく、主題歌が割り込む感じで。

この演出、この編集によって、花江を含めた家族全員の悲しみが息つく(「ひと休み」の意味)ことはないことが強調された。

そう、あえていうなら「さよーならまたいつか!」なんて言ってる場合じゃねえんだよ! みたいな強烈なメッセージだ。

だからこそ、米津玄師さんの主題歌の「1分29秒間」で、私たちが見てきた戦争も終戦に「さよーなら」と言える雰囲気に変わったと思う。

3分59秒のアバンで、終戦まで一気に描き切った…

くどいようだが、もう一度書く。

今回のアバンタイトルの尺は「3分59秒」で、約4分間もある。

その尺を使って、終戦まで一気に描き切った… と評価するべきだろう。

驚くべきは、空襲、疎開先での暮らし、戦死の知らせなどを、丁寧に映像に落とし込んでいる点だ。

それ、数カットを束にするのではなく、印象的なワンカットを選んでつないで、映像として見せて(show)魅せ(fascinate)た。

普通の朝ドラならやりがちの「B29が焼夷弾を落とすカット」「国民が平伏して玉音放送を聞くカット」などのお決まりの映像は無しで、その分を尾野真千子さんの静かな語りで補強してきた。

要するに、寅子や花江、直言や子供たちにとっての “疎開先での日常” が <破壊されたこと> も “日常” であると描いたのだ。

歴史的な見地からしたら、戦争も終戦も “非日常” な出来事だ。

でも、そこで生きている、生き抜いた人たちにとっては、戦前も戦中も戦前も “非日常=全く次元を異にする世界” ではなく “日常” なんだと。

そこをアバンでやり切ったのが本当にスゴイと思う。

タイトル明けは、直道の戦死を受容していく猪爪家が丁寧に

メインタイトル映像明けは、タイトル映像にいく直前に花江のすすり泣く声をぶった切った “その後” の描写だ。

アバンでは、直道の戦死を当初は否認し怒っていた。

でも、タイトル映像明けは、何かにすがりたい哀感と何もできない抑うつ、それを乗り越えて戦死を受け入れる受容していく家族を丁寧に丁寧に描写した。

これ以上、何をどう評価しろというのだ。

サブキャラの現状を描きつつ、「寅子の物語」として成立

ただ、あえてもう一つ言えるのは。

直道の戦死、戦後の状況などを背負った猪爪家のホームドラマを描いているにもかかわらず。

しっかりと、寅子の女性弁護士としての仕事、大学の重要性を知る姉としての立場を盛り込んで。

「寅子の物語」として成立されている点だ。

当ブログでいつも書いていることで代用するなら。

「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」を描きつつ、ちゃんと「主人公が生きている世界」を描き切っているってことだ。

「きっと説明過多になるのでは?」と思ってしまった自分が情けない…

あとがき

お涙頂戴でもなく、悲惨さを前面に押し出すでもなく、ありがちな終戦を描くのでもなく。

淡いタッチの水彩画の絵本の、尾野真千子さんの読み聞かせを聴いて、心が揺さぶられた気分でした。

何ともいえないザワザワ感と、ゆったりと流れる劇伴の相性も良かったと思います。

ドラマ『となりのマサラ』『やさしい猫』を担当した安藤大佑氏が今週の演出なので、“弱きを助け” の視点でやさしさを描くような気がします。

今週も『虎に翼』と同様に、当ブログもよろしくお願いいたします…


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【2024/12/11 (Wed)14:29:19更新】

新規投稿【"2025年1月期/冬ドラマの期待度" を投稿しました】
2025年1月期/冬ドラマの視聴予定&期待度! 配役,スタッフ,概要などの情報も満載!?新窓で開きます内容を更新しました。読者の皆さんの見逃したくない連ドラを見つけるお役に立てれば幸いです。

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フリーランスのホテル宴会(婚礼含む)&映像ディレクター"みっきー"が、テレビ、映画、CM、ディズニー、音楽などエンターテインメント全般の感想を綴ります。愛するが故に、記事により毒を吐きますがご勘弁を。


  • 管理人 自己紹介
【ハンドルネーム】
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【性別】
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【職業】
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【自己紹介】
東京下町生まれ千葉県在住。
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