拍手コメント返信（2024/5/8）：虎に翼（第28回） ※先週と今週は、脚本と演出の相性も良いと思う

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[拍手投稿]  てぃわん さん  （2024-05-08 15:03:01）
連続テレビ小説「虎に翼」 （第28回・2024/5/8） 感想 

みっきーさん、こんにちは！

おっしゃる通り、まったくムダのない演出で、しかも物足りないとか駆け足感もまったくなく、描くべきことはきっちりと。 あの短い時間で、ヒャンちゃんとの別れの描き方も丁寧でした。

よねさんの無念な表情やしぐさとか・・特に涼子様が朝鮮名を尋ねて、ヒャンちゃんとみんなで呼ぶシーンは胸をつかれました。なんと素晴らしい脚本か。

今週末には弁護士トラコが誕生するのでしょうね！楽しみです。

※当方にて適宜改行を入れさせていただきました。

↓ここから管理人返信↓

ここまで “トラつば・アベンジャーズ” をスピンオフ週風に各人にスポットライトを浴びせて、掘り下げて描いてきたからこそ…

視聴者の多くが「思い出づくり」に感情移入できたと思います。

やはり、脚本は計算なんです。
後々のことを考えて、前段を丁寧に築き上げていく作業がうまくできるかどうかの、センスが必要だと思います。

今作は、特に先週と今週は、脚本と演出の相性も良いように思います。

必要以上にサブキャラを強調せず、サブキャラを思う主人公の心情描写に集中できている感じですね。

きっと金曜日辺りには、朝ドラあるあるで「寅子のスピーチ」があって、またまた盛り上がると期待します。

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連続テレビ小説「虎に翼」 （第28回・2024/5/8） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第28回／第6週『女の一念、岩をも通す？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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香淑（ハ・ヨンス）との思い出作りのため、海にやってきた寅子（伊藤沙莉）たち。一方、涼子（桜井ユキ）の元にも大きな問題が。父・侑次郎（中村育二）が失踪し、家を継ぐためにやむなく涼子が婿を取ることになったという。試験はもう受けられないと言い出した涼子によね（土居志央梨）は怒りをぶつけるが、「母・寿子（筒井真理子）を見捨てることができない」という涼子の言葉に、何も言えなくなる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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こういうナレーションを的確に入れられるだけでも…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

昨日が「実質的な月曜日」だったため、前回はほぼ状況説明で終わった。

その分を取り戻すかのように、今回はいろいろと詰め込んできた。

しかし、今作らしく 15分全体が丁寧に精査されていたので、その辺を掘り下げてみる。

Ｎ「こんな思いを抱えて１年も…」

ご存じのとおり、今作はテンポが速く、サクサクと進む。

決して、内容をすっ飛ばしているのではなく、やや紋切り口調ではあるが、今作らしい小気味よさを創出している。

それでも、毎回を見ていない視聴者もいるはずで、そこに対する補強の意味でも、このナレーションはいい。

更に、この直後に時間経過をやるから、全体の時間軸は見えたほうが良いのもある。

そして、しっかりと主人公の心情も解説している。

こういうナレーションを的確に入れられるだけでも、まだまだ脚本家に余裕があるという証拠になると思う。

屋外ロケを選択したのは大正解

さて、かなり唐突ではあるが、これも朝ドラあるあるなのか、物語が新展開しそうな直前に「ヒロインが海に行く」だ。

寅子「はて？ 」
よね「すてきな場所ねえ」
寅子「ごめんなさい。
　思っていた景色と違っていた」

朝ドラあるあるなら、快晴か夕景の海辺でロケ撮影のはずだ。

しかし、今作の天気は “どん曇り” というやつだ。

今にも雨が降りそうな気配で、天気がよくなる気配もない感じ… だ。

ロケ撮影の日が、偶然どん曇りだったのか、狙ってどん曇りだったのか知る由もないが。

完成した映像は、このあとの展開を暗示するかのような、すぐにでも泣き出しそうな、暗雲立ち込めそうな… だ。

もちろん、寅子たちの憩いの場となっている甘味処「竹もと」で、歌って、紙に書くという選択肢もあるが。

今回は特に、猪爪家、試験会場、涼子（桜井ユキ）の桜川邸、梅子（平岩紙）の大庭家と室内シーンが多いし、それぞれが印象的な扱いだから、屋外ロケを選択したのは大正解だ。

回想シーンが全くなかったことを大いに評価

この「海辺で思い出づくり」を評価したい点は、他にもある。

寅子「考えてみたら 私たちって いつも
　思っていたのと違う方へ行ってるなって」

確かに、そのとおりなのだが、評価したいのはその直後だ。

梅子たちが、入学式、法廷劇、山登りのエピソードを語り出すが、回想シーンが全くなかったことを大いに評価したい。

この前後にも１年間を振り返る瞬間が描かれるが、ほぼ回想シーンはなかった。

先ほど投稿した『NHKドラマ10「燕は戻ってこない」(全10回) （第2話・2024/5/7） 感想』でも書いたが。

「回想シーンは、物語でも、ドラマでもない。ただの説明にしか過ぎない脚本と演出の手抜き」なのだ。

更に、ここで回想シーンを入れてしまったら、寅子や香淑（ハ・ヨンス）たちも、視聴者も、「あんなことがあったなぁ」と折角進んでいる物語を止める、あるいは引き戻すだけ。

でも、今回の寅子もヒャンちゃんも、前を見ている、前進し続けるつもりなのだ。

従って、懐かしの「♪モン・パパ」ですら、説明も回想も入れなかったのが、大正解だと思う。

主要キャラクターが離脱するエピソードとして完成度が高い

さて、今回が、ある種の “トラつば・アベンジャーズ” の再構築と再出発のくだりだと描かれた印象的な場面が、次の寅子が涼子の母・寿子（筒井真理子）へ言った言葉だ。

寅子「私たちは 私たちだけで
　みんな そろって合格したい。
　したかったんです」

これによって、“トラつば・アベンジャーズ” から涼子が離脱。

終盤の描写では、恐らく次回で梅子も離脱するだろう。

流石に、最終回まで “トラつば・アベンジャーズ” を引っ張るとは思わなかったが。

どこかでカタチを変えていくなら、それぞれの登場人物の設定と、劇中の時代背景を加味すれば、ヒャンちゃんに続いて、涼子、梅子と３人が離脱するのは良い時期だったかもしれない。

やはり今作は、「100年前」を描いているのだから、主要キャラクターが離脱するなら、うまく設定と時代を利用して退場するのは好都合だったといえると思う。

「離脱せざるを得なかった仲間のためにも！」となった

前回の感想で、次のように書いた。

本音を書くと、今作のテーマを考えると「崔さんのために」ではなく、「すべての女性のために」じゃなくていいの!? とは思う。

しかし、「仲間のためにも！」と拡大解釈すれば、ぎりぎり許容はできる。

この辺のさじ加減次第で、今作がブレるかブレないかが決まるような気がする。

結局、「崔さんのために」でなく、「離脱せざるを得なかった仲間のためにも！」となった。

もちろん、国籍や人種の違い（by ヒャンちゃん）、生まれ育った環境の影響（by 涼子）、結婚した相手との関係性（by 梅子）などの多種多様な女性たちの思いを背負って受験する展開になったので、ちゃんと作り込まれていると思う。

やはり、まだまだ今作はブレずに進みそうだ。

あとがき

水曜日に試験をもってくるとは思いませんでした。

がしかし、そのおかげで、本当にテンポが良いです。

なのに、端折った感じ、抜け落ちた感じ、描写不足はほとんど感じません。

やはり、描くべきエピソードの選り分けがうまいと思います。

だから、要点だらけの箇条書きにもなっていません。

やはり、「ちゃんと人間を描く」をやっているから、ドラマとして成立しているのだと思います。

みっきーの植物図鑑（第229回）

今朝のウォーキングコースで見つけた「みかんの花」です。

桜、梨、ツツジ、バラと咲き出すと、みかん、柑橘系の花の季節ですね。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

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第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』
21 22 23 24 25 土 
第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 

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ドラマストリーム「からかい上手の高木さん」 （第6話・2024/5/7） 感想

TBS系・ドラマストリーム『からかい上手の高木さん』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TicTok

第6話『卒業式』の感想。

●原作となった漫画・山本崇一朗「からかい上手の高木さん」は、全20巻（2024年4月現在）を完読。
●アニメ版は、全３期を未鑑賞。

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放課後の帰り道。ふとくしゃみをする西片（黒川想矢）を、『クラスの女子が自分と西片が付き合っているんじゃないか』と噂しているのだろうとからかう高木さん（月島琉衣）。二人の間にはいつもと変わらない時間が流れているように見えるが…。
卒業式当日、中井くん（川尻拓弥）から高木さんが3月いっぱいで引っ越すという話を聞き、ショックを受ける西片。卒業生へ贈る合唱の最中も、西片は高木さんが気になって仕方なくて…。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作(漫画)：山本崇一朗「からかい上手の高木さん」
脚本：金沢知樹（過去作/半沢直樹2022,新･信長公記,Get Ready!）
　　　萩森淳（新･信長公記）
　　　今泉力哉（過去作/有村架純の撮休,杉咲花の撮休）
脚本協力：いちかわニャー（過去作/渋谷先生がだいたい教えてくれる）
演出：今泉力哉（過去作/ｾｰﾗｰｿﾞﾝﾋﾞ,ｵｰ･ﾏｲ･ｼﾞｬﾝﾌﾟ!,時効警察はじめました）
音楽：大間々昂（過去作/ﾌｧｲﾄｿﾝｸﾞ､ﾏｲﾌｧﾐﾘｰ､ｱﾄﾑの童,ﾍﾟﾝﾃﾞｨﾝｸﾞﾄﾚｲﾝ)
主題歌：Aimer「遥か」
※敬称略

相手を意識する二人が強調されたからこその接近戦の面白さ

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
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高木さん（月島琉衣）と西片（黒川想矢）の “ふたりが出席する卒業式” がないから…

合唱曲「変わらないもの」で “変わらないもの” を描き切った第6話。

前回で、連ドラとして折り返ししているから、相手を意識していることが今まで以上に描写されており、まさしく接近戦の面白さだ。

とはいえ、依然として、からかい上手と、実は、からかわれ上手のふたりのやりとりが微笑ましく描かれている。

そして、第1話から踏襲されている「西片には絶対に嘘はつかない高木さん」が、いつも以上にさらりと描かれ、高木さんにとっての “西片をからかえる時間” が短くなっていることも伝わってくる。

ひらすら「可愛らしい中学生同士のカップル未満」をただただ描いている “だけ” の今作だが。

あれこれと詰め込み過ぎなドラマが多い昨今、その “だけ” に価値があると思う。

あとがき

「一話完結」「連続ドラマ」の両方として、よく作り込まれていると思います。

実写ドラマならではの、デフォルメがない自然体な世界観もじわ～っと沁(し)みてきますしね。

月島琉衣さんは、ドラマ『街並み照らすヤツら』にも出演中ですが、まるで別人…（笑）

勢いで、漫画『からかい上手の（元）高木さん』も全巻20巻読了してしまいました。

残り２話、どんなふうに終わるのか楽しみ…

※Netflixにて先行配信中ですが、ネタバレコメントはぜひお控えください（願）

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夜ドラ「VRおじさんの初恋」 （第22話・2024/5/7） 感想

NHK総合・夜ドラ『VRおじさんの初恋』
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第22話／第6週〔全8週・32話〕の感想。

なお、原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、既読。

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「逃げちゃだめ、逃げちゃだめ、逃げちゃだめ」と穂波（坂東彌十郎）に向き合おうとする直樹（野間口徹）。穂波にメッセージを送るも返信が無い。一方、葵（柊木陽太）は家族の関係修復のため、母・飛鳥（田中麗奈）の信頼を得ようとポイントアップに励む。突然張り切り出した葵を怪しみ、事情を探り始める飛鳥の秘書・耕助（前原滉）。家族のことを問う耕助に対し、飛鳥は父・穂波との幼少時代の思い出を語り始める。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作(漫画)：暴力とも子『VRおじさんの初恋』
脚本：森野マッシュ（過去作/ｹの日のｹｹｹ）
　　　吉田照幸（過去作/脚本担当は朝ﾄﾞﾗ｢ｴｰﾙ｣の第4週のみ） 第5,6週
演出：吉田照幸（過去作/あまちゃん,ｴｰﾙ,富士ﾌｧﾐﾘｰ） 第1,2週
　　　桑野智宏（過去作/ｳｪﾙかめ,あまちゃん,おかえりﾓﾈ） 第3,4週
　　　石川慎一郎（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ,らんまん） 第5週
音楽：渡邊崇（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
主題歌：Ｃ＆Ｋ「ハートビート」
挿入歌：Ｃ＆Ｋ「旅人」
制作統括：桑野智宏（過去作/軍港の子~よこすかｸﾘｰﾆﾝｸﾞ1946~）
　　　遠藤理史（過去作/ﾅｲﾌの行方,下町ﾎﾞﾌﾞｽﾚｰ,木曽ｵﾘｵﾝ）
※敬称略

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坂東彌十郎さんは"かつら"で、田中麗奈さんは子役…(笑)

原作(漫画)である暴力とも子『VRおじさんの初恋』は、読了しました。
でも、ネタバレは基本的に書きません。

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最近の恋愛ドラマ、いいや、駄作ドラマにありがちなのが ＜20歳以上の俳優が学生服を着て学生時代を演じた回想シーン＞の大量投入だと苦言を呈しているが。

今作の回想シーンったら、明後日(5/10)に68歳になられる坂東彌十郎さんに “かつら” を被せて、田中麗奈さんは子役って…（笑）

こういうのは大いに歓迎だ。

だって、既に今作では、野間口徹さんと彌十郎さんの VRゴーグル着用のツーショットを見せてもらっているし。

連ドラとして、直樹が薄まっているのが気になるが…

そんな話は置いておいて。

ただの “変わったおじいちゃん” ではないとは思っていたが、なかなかの変人、変わり者であることが分かった回想シーンだ。

確かに、あれを父親にやられたら、父親不信でグレてもしょうがないような。

それにしても、制服姿の女の子・ナオキ（倉沢杏菜）と天真爛漫な美少女・ホナミ（井桁弘恵）が登場しないのはやむを得ないとしても。

連ドラとしては、直樹（野間口徹）パートが薄まって、穂波（坂東彌十郎）のほうが強まっているのが気になる。

しかし、VR世界よりもリアルを描こうとするなら、この辺りで説明しないと先へ進めないとの判断だろう。

次回から、またナオキとホナミでおじさんの切なる思いを描いてくれると期待したい。

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NHKドラマ10「燕は戻ってこない」(全10回) （第2話・2024/5/7） 感想

NHK・ドラマ10『燕は戻ってこない』
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第2話〔全10回〕の感想。

なお、原作(小説)となった桐野夏生『燕は戻ってこない』は未読。

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元バレエダンサーの草桶基（稲垣吾郎）とその妻、悠子（内田有紀）の子を産む「代理母」の依頼を受けたリキ（石橋静河）。決断できずにいると故郷から叔母の佳子（富田靖子）が危篤との知らせが入る。一方の悠子も悩んでいた。金の力で夫が他の女性との間に子を作る。苦しい胸の内は親友にしか明かせない。母、千味子（黒木瞳）の賛同を受け基は代理出産の計画実現に向けて突き進む。ついに三人は直接顔を合わせるが―
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作(小説)：桐野夏生『燕は戻ってこない』
脚本：長田育恵（過去作/群青領域,朝ﾄﾞﾗ｢らんまん｣）
演出：田中健二（過去作/朝ﾄﾞﾗ｢ｶｰﾈｰｼｮﾝ,半分､青い｡,なつぞら｣） 第1話
　　　山戸結希（過去作/映画｢溺れるﾅｲﾌ｣,映画｢21世紀の女の子｣） 第2話
　　　北野隆（過去作/半径5ﾒｰﾄﾙ,ｴﾙﾋﾟｽ-希望､あるいは災い-）
音楽：Evan Call（過去作/ﾊﾗｽﾒﾝﾄｹﾞｰﾑ,鎌倉殿の13人）
制作統括：清水拓哉（過去作/正義の天秤 Season2,生理のおじさんとその娘）
　　　磯智明（過去作/なつぞら,十三人の刺客,どうする家康）
※敬称略

今作の感想で、「代理出産」などの議論をするつもりはない

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

前回も書いたが、繰り返す。

我が家は、結婚35年ほどで子なし夫婦世帯。

妻は助産師で既に数百人の赤ちゃんを取り上げているし。

私は1,000組超の結婚披露宴の演出を手掛けている。

従って、結婚、出産などについては、いろいろ考えがある。

が、今作の感想で、「代理出産」などの議論をするつもりはない。

更に、原作は未読だ。

前回は、偏った価値観で代理母を描いていたのが気になった

前回は初回だったから、「代理母出産」についての医学的、法律的な解説をやり。

いろいろな登場人物の説明をやり。

「要は ただ 卵の話だ」と、ある意味で番組時代の自己防衛をやりつつ、別の意味でシニカルに自虐して見せた。

ただ、私が気になったのは、少し「代理母に賛成寄り」な描写になっていたこと。

前回も書いたが。

この類の問題提起が強いドラマは、「ただの卵の話」だと「結婚・不倫・出産ドラマ」として見る感覚も必要だと思う。

と同時に、「自分だったら」「我が子、親戚、友達だったら」の仮定と想像の視点もあって良いと思う。

もちろん、見ない、触れない、考えないも自由だ。

しかし、世界中の貧困地域で起こっている人権問題につながる重大な事実として、“無知の知”からの脱却をやる機会になってほしいと、私は思うのだ。

だから、原作および原作者は別にして。

今作の脚本家、演出家、制作統括などの作家性を全否定するつもりはないが。

できれば、それは極端に表面化させずに、分かる人には良く分かる感じでうまく内包化させ（オブラートに包んで隠せという意味ではない）、できるだけ興味本位で見続けるようなエンターテインメントに仕上げてほしい… と期待したのだが。

でも、実際は前述のとおりに “代理母賛成” の立場に少し傾いていたのだ。

従って、このまま偏った価値観で代理母を描くなら今回で離脱するつもりで見始めた。

テルの生き方、価値観が、今作の世界観を痛烈に批判する

前置きが長くなったから確信に迫っちゃう。

結論からいうと、次回も見てみようかな？　だ。

その理由は、次の二人の登場人物によって、私には頑張って中立性を担保してきたと感じたからだ。

一人目が、主人公の‘リキ’こと大石理紀（石橋静河）の同僚で、‘テル’ことリキの同僚・河辺照代（伊藤万理華）だ。

照代「卵子って 子どもの元でしょ。
　愛する人としか 子どもつくりたくないんだ。
　そんなことしたら　ソム太 悲しむと思うし。
　（中略）
　リキの中で 風俗は嫌だけど
　プランテならいいやって思ったんでしょ？
　とにかく私は
　体は売っても 心だけはソム太にささげてる」

今作の主人公はリキではあるが。

基本的には、派遣社員で金欠な独身女性の‘リキ’理紀、自らの遺伝子を継ぐ子を望む元トップバレエダンサー・草桶基（稲垣吾郎）、その妻で不妊治療をあきらめた草桶悠子（内田有紀）という３人の欲望が「代理母出産ビジネス」を通じて交錯する3人が「代理出産」を通じて交差する「いい年をした大人たちの欲望丸出しドロドロドラマ」だ。

見方を変えれば、私が軽蔑してやまない「ドロドロ不倫ドラマ」以下の下衆作品だ。

しかし、テルのような “本音むき出しキャラ” が登場するのは面白い。

なぜなら、テルの言い分こそ、リキに対しての痛烈な批判になっているのは当然の上で。

実は、基と悠子夫妻にも遠回しに「あんたたちのやってることに “心” はあんの!?」と責め立てているわけだから。

もちろん、テルは草桶夫妻面識はないが、私がテルを “いいキャラ” だと評価する理由はこれだ。

サブキャラのセリフによって、「主人公が生きている世界」と「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」が同時に成立しているように描いていることが、ドラマとして良くできていると思う。

このことは、NHK朝の連続テレビ小説『らんまん』『ブギウギ』の感想でも、数えきれないほどに書いてきたこと。
※今作の脚本担当・長田育恵氏は『らんまん』の脚本も担当

劇中でも、テルから思わず発せられた本音が、リキの判断を揺るがせ、テルと自分は違うと自分の選んだ道を無理やりに正当化し始める。

叔母・佳子の生き様が、リキの生きる原動力なのか？

もう一人の注目キャラクターが、独身で北海道に住む、リキの叔母・佳子（富田靖子）。

リキに世間から一切干渉されない方法を伝授するくだりだ。

佳子「見せかけでもいい
　世間の一員になるっつうことだ。
　（中略）
　早く結婚すれば あんた なんぼでも間に合える」

佳子は、リキに上京して金を稼げとアドバイスした女性だ。

佳子の今作における役割は、「どうして‘理紀’が‘リキ’になったのか？」というか。

今のリキが生まれ、のちのリキがつくられるのか、そのキーパーソンだ。

「世間の一員になる＝結婚」の概念は、代理出産にとどまらず、昨今の LGBTQ+ の人たちにも当てはまるし。

当然、人種が渦巻く大都会に対しての “‘田舎’の価値観” として、今でも残ることも痛烈に描いている。

こちらの佳子は、上記の「３つの世界をくっつけるキャラ」というよりも、「今作を限定的なテーマの小作品にしたくない」の作家性の表れでもあると思う。

要するに、「幸せとは？」「結婚とは？」「出産とは？」「独身は負け組か？」「風俗は是か非か？」「帰省とは？」「実家とは？」「葬儀とは？」など、たくさんの人たちが心に抱えている日常的な悩みや葛藤の代弁者であり。

無理やりに自分なりの答えをつくり出して納得している自分勝手なキャラクターとしての面白味がある。

やはり、常にドラマに視聴者を引き留めておくには、多少は「イラっとする」「気になる」登場人物は必要で。

そんな難役を中学在学中に映画『アイコ十六歳』（1983）で “フツーのいい子”を演じた富田靖子さんが好演しているのも、同世代には大きな見どころだ。

回想シーンが多過ぎることが、メッチャ気になる

さて、今作を見ていて、どうしても気になったことがある。

それは、実に回想シーンが多いことだ。

常日頃から主張しているように「回想シーンは、物語でも、ドラマでもない。ただの説明にしか過ぎない脚本と演出の手抜きだ」と。

見れば分かると思うが、回想シーンを入れると自然に「そうだったんだ！」と感心や納得すると思う。

でも、そんなのは推理小説の「犯人は○○でした」と同じなのだ。

「ドラマ＝人間そのものを描くこと」だとするならば、大切なのは「犯人」でも「過去」でもなく。

そこに至る過程、過程における苦悩や葛藤、それを乗り越えた際の幸福感や達成感なのだ。

だから、本来は時間軸に沿って描けば良いだけのこと。

リキが叔母の佳子に触発されて実家を出て、職場でいろいろあって、テルに代理母を教わった… その順序で良かったのだ。

まっ、他のドラマでも書いているように、最近のドラマは、やたらと俳優の学生時代を盛り込んで自己満足する傾向があるから、今作もその例に漏れないだけだと諦めるが。

できれば、時間軸を戻すことより、話を先に進めてほしい… そう願うばかりだ。

あとがき

好みが分かれる作品ではありますけれど。
こんなドラマ、NHKでしか作れないし放送できないと思うので、その意義は大きいと思います。

個人的には、代理母出産について賛成か反対かの議論よりも。

既に問題視されている、遺伝子やクローン人間などの医学と倫理の未解決部分の問題、代理出産ビジネスの商業主義の暴走や。

日本の、相続権を含めた養子縁組制度の見直し、独身者や養子縁組家族への偏見や差別の是正も考えるきっかけになってほしいです。

最後になっちゃいましたけど、今回の演出は山戸結希さんでした。

前回よりも、圧倒的に「登場人物の内面を必死に描く」のが伝わってきました。

特に、テルとソム太のくだりなんて、映画を見ているような満足感がありました。

※原作のネタバレコメントがありましたので、コメント欄は閉鎖しました。

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