ABC創立65周年記念スペシャルドラマ「氷の轍」 （2016/11/5） 感想

テレビ朝日系・ABC放送・ABC創立65周年記念スペシャルドラマ『氷の轍』（公式）
『出生に秘密を抱える新人刑事・大門真由。北海道釧路でみつかった老人二人の変死体。真由は、先輩刑事・片桐周平と共に、釧路と札幌、青森にまたがる連続殺人の真相を追う。』の感想。
なお、原作小説：桜木紫乃氏の『氷の轍』は未読。

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　大門真由(柴咲コウ)は北海道警釧路中央本部の新人刑事。生真面目で打ち解けない性格から、「剣道の防具をつけた女」と言われている。真由に母親はなく、唯一の肉親である父親の史郎(塩見三省)は病に倒れ、余命いくばくもない。今は　ただ床に伏しているだけの史郎も、かつては有能な刑事。
真由の教育係となった片桐周平(沢村一樹)は、若い頃、史郎から薫陶を受けた刑事の一人だ。真由の生い立ちの秘密も周平は承知していた。
　二人は、釧路の雪原から冷凍状態で発見された身元不明の男の捜査を担当することになる。指紋から身元は、札幌で前科のある加藤千吉と判明。また、解剖の結果、体内からはアルコールと睡眠薬が検出される。
　加藤の前科は30年前の管理売春で、当時の捜査資料にはなんと史郎の署名があった。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

ど定番ど真ん中の"安定感ある演出"に強く引き込まれた

脚本は、ドラマ『私立探偵 濱マイク』や映画『スープ・オペラ』等の青木研次氏。演出は、映画『スープ・オペラ』『星守る犬』映画『脳男』等の瀧本智行氏。撮影は、映画『トウキョウソナタ』『南極料理人』等の芦澤明子氏。音楽は、映画『スープ・オペラ』『グラスホッパー』等の稲本響氏。

全体的には犯人の殺害動機の弱さと、偶然の重なり過ぎは若干気にはなるものの、中盤での子供時代と終盤での現代での “姉妹の悲しくも逞しく生きていかなければならない別れ” を、映像的にしっかりと重ね合わせたりと、ど定番ど真ん中の安定感ある演出に強く引き込まれた。

撮影は大自然と運命の対比、音楽は厳冬の釧路に余韻を…

良かったのは、演出だけでない。芦澤明子氏のカメラが切り取る北海道の大自然の優雅さと、それぞれの時代をリアルに切り取った数奇な運命とのコントラストが素晴らしかった。

また、ギター、チェロ（エレキも）、オーボエを使ったシンプルな稲本響氏の劇番も、凍りつく冬の北海道・釧路の張りつめた空気に響くような程よい余韻を作り出した。

細かなエキストラまで凝った配役と演技も見応えアリ

もちろん、俳優たちの存在も忘れられない。二大女優、宮本信子さんと余貴美子さんが演じた姉妹は圧巻。死期が近い病床の真由の父で元刑事を演じた塩見三省さんの眼光で魅せる演技。

沢村一樹さんが演じた真由の教育係役もワイルドな見た目に反した優しさ溢れて良かった。また、子供時代を演じた子役たちや、ストリップ劇場の関係者など、細かなエキストラまで凝った配役と演技も見応えあった。

あとがき

前半は状況説明が多く淡々と進むのでこのままで大丈夫かと心配しましたが、後半になるにつれて、様々な事実が明らかになっていくとグイグイと引き込まれていきました。

劇場映画のような映像のしっかり感や劇番の聴きやすさを含めた演出力、豪華だかでなく全ての俳優さんたちの素晴らしい演技に支えられたスベシャルドラマでした。

今回は、本作のような人間の数奇な運命を描いた人間ドラマの映画を3作品ご紹介します。 若尾文子主演・山本薩夫監督の映画『氷点』。広末涼子主演・犬童一心監督の映画『ゼロの焦点』。 ブラッド・ピット主演・デビッド・フィンチャー監督の映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。何れも名作揃いです。

     

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スニッファー 嗅覚捜査官 （第3話・2016/11/5） 感想

NHK総合・土曜ドラマ『スニッファー 嗅覚捜査官』（公式）
第3話『名画はニセ物の香り～探れ！絵画偽造極秘トリック』の感想。
なお、原作は2013年にウクライナで制作された世界的な大ヒットドラマ『The Sniffer』で未見。世界に先駆け日本でリメイク。

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画家・佐伯雲天の名画がドイツから返還されることになった。報道陣への公開の場に居合わせた華岡（阿部寛）は、絵のにおいから、これを偽物だと主張する。文科省を巻き込んだ大騒動になるが、科学鑑定の結果、絵は本物と証明される。窮地に立たされた華岡は、美術館の館長・塔子（川原亜矢子）が偽物作りに関わっていると疑い、小向（香川照之）と共に調査することに。そんな中、華岡は襲撃を受け、嗅覚が使えなくなってしまう。
上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

意外な冒頭から笑えるオチまで、見事な完成度の高さ

まさか、「名画を鼻で鑑賞して事件を解決」なんてストーリーが登場するとは！？しかし、冒頭の華岡（阿部寛）が絵の匂いから贋作であることを見抜き、ラストでまた絵の匂いから贋作を見抜いたことで耳鼻咽喉科の女医・由紀（井川遥）にフラれると言うオチも見事。やはり完成度が高い。

敢えて「科学捜査」を排除して、"本作らしさ"を確保

ただ、実は華岡は嗅覚で贋作を判別した以外は、実はあまり刑事らしいことはやっていない。それに、普通の刑事ドラマなら即刻「科学捜査」が入って解決してしまうかもしれない。そんな部分を一切排除して、華岡の考え方を映像化することで見せ場を作り、小向（香川照之）とのバディも描いて、実に本作らしい仕上がり。

ゲスト俳優の好演と、俳優陣を活かし切った脚本と演出

また、学芸員の志村役を演じたイッセー尾形さん、東京国際美術館館長の塔子役を演じた川原亜矢子さん、そして色材科学研究所の緒川役を演じた岡本信人さんら、ゲストの好演が冴えた45分間でもあった。レギュラー陣含めてこれだけ個性的な演者を巧みに演出した堀切園健太郎も秀逸だった。

もちろん、林宏司氏と山岡潤平氏のバディが書き上げた脚本の素晴らしさも、最後に記しておく。

あとがき

究極的な疑問として、まずこれがどう言う事件だったのか？贋作事件はどう解決したのか？結果、贋作で無い本物は展示されたのか？この3点は置き去りになりました。でも、面白かったから後日談はどうでも良いってことで…。次回にも大いに期待します。

 

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【これまでの感想】
第1話 第2話

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THE LAST COP/ラストコップ （第5話・2016/11/5） 感想

日本テレビ系・土曜ドラマ『THE LAST COP/ラストコップ』（公式）
第5話『高校に潜入捜査アノ伝説学園ドラマ再現!?熱血授業で皆号泣!?』の感想。
なお、原作ドラマ『DER LETZTE BULLE』（Red Arrow International 配給）は未見。本作の『episode 1』『episode 0』は鑑賞済みで、『episode 2』は未見。2017年G.W.に劇場版公開決定。

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神奈川県内屈指の名門校「翔蘭高校」の関係者の自宅を狙った強盗事件が相次ぐ。被害総額は4億円近いが、それは賄賂、脱税、不正献金といった‘裏金’で、被害届は出されていない。理事長から内密に捜査を依頼された県警本部長・神野（小日向文世）は、松浦（藤木直人）ら本部と横浜中央署にそれぞれ犯人確保を命じる。京極（唐沢寿明）は潜入捜査を提案し、亮太（窪田正孝）、結衣（佐々木希）、菜々子（桜井日奈子）が学内に入り込むが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

連ドラ化されてから"一番"楽しめた

個人的には、連ドラ化されてから一番楽しめたのがこの第5話。刑事ドラマなのに、主人公2人が捜査をやらな過ぎると言う一点の不満と不思議を覗けば、本作らしさが最も表現されており、面白かった。

特に良かったのは京極（唐沢寿明）と亮太（窪田正孝）のジェネレーション・ギャップをしっかり描いたこと。そして、30年間眠っていたと言う真実を、学園ドラマ（で良かったのかは別にして）の中で有効活用し、感動的なエピソードにしたこと。

馬鹿馬鹿しいネタをふんだんに盛り込んだのも大正解

また、呆れるほどの馬鹿馬鹿しいネタをふんだんに盛り込んで、コメディの部分に手抜きが無かったのも良かった。まあ、あれらを笑えるかどうかは、視聴者によって違うだろうが、こう言うことが “本作らしさ” だから、やはりとことんやるべきだ。

あとがき

全体には、連ドラ化して一番面白かったです。ただ、本作ってテンポよくコミカルな一話完結の刑事ドラマなのに、なぜ二週跨ぎ？そこが残念。アッと言うような次回の結末を期待します。

     

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【これまでの感想】
金曜ロードSHOW!特別ドラマ企画「THE LAST COP/ラストコップ」日テレ×Hulu共同製作 （2015/6/19） 感想
第1話 第2話 第3話 第4話

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拍手コメントへ返信 （2016/11/5の分）

ご来訪の上、拍手とコメントをありがとうございます！

いつもドラマや映画の感想にご賛同のWeb拍手やコメントを頂戴し、ありがとうございます。もちろん厳しいコメントも頂きますが、ブログ更新の励みになります。
なお、"拍手コメント"にお返事をする機能が無いため、基本的に翌日以降にこの場でお返事を差し上げます（謝）

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[拍手投稿]  りりさん （2016-11-05 11:37:42）
べっぴんさん （第30回・11/5） 感想

啖呵を切るシーンで私も同じことを思っていました。すみれより姉夫婦のアップのほうが先で、あれっと思いました。話も画像も悪くないのにワクワク出来ない。主人公が自分の旦那だげ帰ってこない様を深く悲しんでみたり、動きがほしい。応援したくなるよなヒロインを求めます。特に朝ドラでは。

↓ここから管理人返信↓

「そう言う人物なんだ」と言われればそれまでですが、心情を描写するような表現が欲しいですね。好意的な解釈ばかりに頼り過ぎなような気がします。

ただ、最近は『べっぴんさん』への読者の皆さんからの反応が少なくなっているので、やはり私のようにまだ評価が中途半端な気持ちで見ている人は、少ないのかもしれません。その分、なにも気にせずに書けますが。りりさん、これからもよろしくお願いします。

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べっぴんさん （第30回・11/5） 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』（公式）
第5週『お父さまの背中』『第30回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子（ばんの あつこ）さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。

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すみれ（芳根京子）の父・五十八（生瀬勝久）は、姉のゆり（蓮佛美沙子）と潔（高良健吾）と一緒に、梅田の闇市の元締め・根本（団時朗）の元に出向く。初めは相手にされない五十八だったが、その言葉は市場の人々の胸を打ち、次第に人だかりができていき…。一方、すみれたちが依頼を受けたテーブルクロスを納品する締め切りが迫っていた。良子（百田夏菜子）が店を辞めて人出が足りない中、さらに君枝（土村芳）までもが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

"時間がない"のに、すみれが"神戸と大阪"を行き来し過ぎ

まず、違和感を覚えたこと。確か、テーブルクロスづくりの締め切りは近いはず。だから、今回も序盤で朝からすみれ（芳根京子）もテーブルクロスを作りかけたら、一気にシーンが飛んで、前回で神戸から大阪まで端切れを貰いに来たすみれが、また大阪に “端切れ” のためにやって来た。

まあ、前回から数日経過して、端切れが足りなくなったと言うならそれはそれで良いのだが、どうも「時間がない」割りにすみれが「神戸と大阪」を行き来するシーンが多くて緊迫感に欠けるような。やはり、大阪は大阪で少しまとめて描いた方がまとまり感が増して、より良くなるような…

五十八の啖呵の場面は見応え◎　すみれの存在感は薄し

五十八（生瀬勝久）が、群衆の前で梅田の闇市の元締め・根本（団時朗）に啖呵を切るシーン。エキストラを集めてクレーンカメラを使ったりの工夫は認めるところ。ヤ○ザが長台詞をじっと聞いているのも、如何にも朝ドラらしくてこれはこれで悪くない。

ただ、前回の感想でも書いたように、すみれの存在感が物足りない。すみれのアップは挿入されたが、ゆり（蓮佛美沙子）たちのアップと大差ない。ここはカメラアングルを駆使して、演説中の五十八の後ろに必ずすみれの顔をしっかり入れるとかしたら良かった。ほんの少しの工夫だけに残念…

すみれの「あさや」での存在感は○　後は主人公の存在感

その後のすみれが、くじけそうになっている明美（谷村美月）を励まし、テーブルクロスづくりを先導しているなんて良いシーン。君枝（土村芳）への対応も、4人の、「ベビーショップあさや」の中心人物のようで良かった。そして、すみれらしい “優しさ” をしっかりと描いた。

今週は、すみれが、4人の、そして「ベビーショップあさや」の中心人物しての描写が増えたのは良かったが、本作全体の主人公であると言う魅せ方は、まだまだ不十分に感じてしまう。自己主張しないヒロインでも、無駄に語りを被せないとか、的確な場所にアップを入れる等で、存在感を高められるはず。今後はそこに期待したい。

あとがき

来週は、4人の関係も「ベビーショップあさや」も大きく前進するようですね。いろいろと描くのは良しとしても、ホント、あともう少しすみれ自身の話を膨らませて描いて、尚且つ主人公らしく魅せたら、だいぶ仕上がりが良くなると思うんですが。次週に期待します。

             

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【これまでの感想】
第1週『想（おも）いをこめた特別な品』
1 2 3 4 5 6
第2週『しあわせの形』
7 8
“視聴率＝作品の質”か？ 「べっぴんさん」視聴率18％台と7日から大台割れ
9
「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27％ 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか？
10 11 12
第3週『とにかく前に』
13 14 15 16 17 18
第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
25 26 27 28 29

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