朝ドラ「虎に翼」 新潟で優未が「スンッ」と「お利口さんのふり」をやめるのに必要なものは？

©NHK

読者様から非公開希望の質問をいただいたので応えてみる

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

非公開希望の、ある読者様から質問をいただいた。

「非公開で質問してどうなるの？」を不思議に思われる方もいるだろう。

自慢じゃないが、私も当ブログもワガママ、キママ、マイペースでやらせていただいている（笑）

だから、全ての質問には答えるつもりはないし、義務もないと思っている。

でも逆に、「これは答えてみんなで考えるのもアリかな？」と感じた質問やコメントは、非公開だろうが匿名にして公開し返事を書いている（汗）

まあ、常連さんは「そんなの知ってるよ」だろうが。

というわけで、まずは、朝ドラ『虎に翼』の感想には、ご新規さんも大勢いるようなので、説明をしてみたわけだ。

優未が｢ｽﾝｯ｣と｢お利口さんのふり｣をやめるには何が必要か?

で、いつものように前置きが長くなったが、先の非公開希望の質問が、これ。

母とふたりで新潟に行った優未（竹澤咲子）が「スンッ」と「お利口さんのふり」をやめるには何が必要だと考えますか？

そんなのは第16週を見れば分かること。
そう思っていたのだが（笑）

よくよく考えてみると、面白そうなのでやってみた。

なお、「本編」の感想で書いたことはできるだけ書かずに、この投稿で初披露のことを中心に書いてみたい。
（そのほうが、楽しいでしょ？）

朝ドラにしては、ヒロインに対して情け容赦ない場面

まず、振り返りたいのは、7月10日（水）放送の第73回だ。

私が注目したのは、優未たちがカルタ取りに興じる様子を、家の外から寅子（伊藤沙莉）がのぞき見る場面だ。

劇中のこの一年では寅子に見せたことのない快活で陽気な笑顔の優未を目の当たりにした寅子が思わず涙ぐむ。

朝ドラにしては珍しいくらいの、ヒロインに対して情け容赦ない場面だと思って見ていた。

と同時に。

このときに、寅子は、5月24日放送の第40回の中盤で、出征直前の優三（仲野太賀）が川辺で寅子に語る言葉を思い出すくだりがあったのを覚えているだろうか？

優三(回想)「優未の いいお母さんでいてもいい。
　僕の大好きな あの
　何かに無我夢中になってる時の
　トラちゃんの顔をして
　何かを頑張ってくれること」

なぜ寅子はカルタ取りの際に優三の言葉を思い出したのか？

先の質問の前…
「なぜ、このときに寅子は、優三の言葉を思い出したのか？」を掘り下げてみる。

きっと、こんな感じではないだろうか？

屈託のない笑顔でカルタ取りを楽しむ優未の笑顔が。

天国の優三が見たいと願っているのが “妻であるトラちゃんの笑顔” であると同時に、“何かに夢中になっている時の優未の顔” だと気づき…

その “僕の大好きな優未の笑顔” を長い間曇らせてしまったのが、自分自身であることに、ようやく認識できたからではないだろうか？

だって、第73回ではカットされたが、上記の優三のセリフには次の続きがあったのだ。

優三「いや やっぱり 頑張んなくてもいい。
　トラちゃんが後悔せず
　心から人生をやりきってくれること。
　それが僕の望みです」

そう、寅子は自分が、優未の母親の部分を含めて “後悔せず、心から人生をやりきっている” と優三にいえる状況ではないことに気づいたのだ。

だから、優三に顔見せできるような子育てをしてない自分を鼓舞するかのように、「家族会議」の開催を宣言した… のだと思う。

寅子に刷り込みされた呪いを解く都合がいい呪文なんてない

そこで今度は…
「優三に顔見せできるような子育て」について掘り下げてみる。

翌日の第74回で寅子が優未に次のようにいう。

寅子「お母さん頑張るから 生まれ変わるから…。
　だから 一緒に新潟についてきてください。
　お願いします」

頭を深く下げる寅子に、「はい」と即答する優未は背中と腕しか見えない、優未ナメの寅子の構図。

「ナメ」とは、カメラ手前に被写体の一部を入れる構図のことだ。

で、その構図のまま、寅子が頭を上げて優未を見ると、カットチェンジして。

今度は、寅子ナメの優未の顔が見える構図になって。

見える優未は、一度だけまばたきをするが、そのあとの目は落ち着かずキョロキョロ。

劇伴はなく、背後にストーブでお湯が沸くやかんのチンチンチンの音だけ。

私には、寅子と優未の、心の中のつっかえ棒が刺さったままの母子関係が、まだまだ鎮火する（＝平静を取り戻す）ことはない… と感じ取った。

要するに、寅子に小さいころからインプリンティング（＝刷り込み）された「お利口さんでいてって呪い」を解く、都合のよい呪文なんてない… との厳しい表現なのだ。

"公私の公と私"の対比で、今作らしいリアルな母親像を創造

ここで7月5日（金）放送の第70回で、寅子が栄二（中本ユリス）に言った次のセリフを思い出してほしい。

寅子「栄二君が頼る大人は 親である必要はないの。
　あなたが これ以上 苦しい思いを
　しないで済む道を あなたと探したいの」

寅子は、他人であっても自分たちのような大人が周囲にいれば何とかなる… と言ったのだ。

しかし、いざ “我が事”になると、「花江に預けるのが一番だって分かってる」のに、「でもね」と言い訳をはじめる。

寅子「お母さんのワガママと勝手でしかないんだけどね…。
　お母さん頑張るから 生まれ変わるから…。
　だから　一緒に新潟についてきてください。

この矛盾こそが、 今作らしい人間の描き方であり。

「家庭裁判所の母」と呼ばれ順風満帆な寅子の “公私の公” と、「優未の母」としては未熟すぎる寅子の “公私の私” の対比、対立によって、今作らしい “リアルな母親像” を創造したのだ。

寅子を溺愛した父・直言と、妻を心底愛した優三から見える

ここで、さらに深掘りしよう。

上記の今作らしい “リアルな母親像” から伝わるのは、次の３つになると思う。

●自分が優位な立場にあると、権力の強い側にいることに意外と無自覚になる。

●人間は、自分にない権力や権限には神経質になりがちだが、自分のものにした権力や権限に対しては配慮を欠けやすくなりがち。

●倫理観が強く聡明な正義(正義感)は、場合によっては、誠実に生きることが困難な弱者の声を封じてしまうことがある。

これらを総合的に鑑みると、「優未に必要なのは？」の２つの答えがおぼろげに見えてきた。

一つは、上記の３つと共に、“子どもには好きなことをやってほしいと切望しまくった” 寅子の父・直言（岡部たかし）を重ねると、次のことが優未には必要だと感じる。

★「テストなんて頑張んなくてもいい。自分がやりたいと思うことに夢中になって楽しんでる優未が好きなの」と優未に優しく伝えること。

もう一つは、優未が「お母さんのワガママと勝手」でカッコ悪く言い訳した母を見習うのだ。

★優未自身が「私、いつでもどこでも、お母さんと一緒にいたい」と寅子に本心を伝えること。

寅子が父親である優三のことを優未に教(伝)える場面がない

ぼちぼち、総論というか、次週への期待を込めて、まとめてみよう。

こうして先週からを包括的に考えると、次のことに気づく。

優未が生まれてから、完全に欠落している描写があることで。

それは、寅子が父親である優三のことを、優未に教える場面だったのだ。

もしかすると、寅子は優三の死を未だに咀嚼しきれていないのかも？

だから、優未も「親に育てられる」ことを理解しきっていないのかもしれない。

そんな母と娘の関係性の再構築こそが、「新潟編」の “公私の私” の中心になるのか？

あとがき

まとめておきましょうね（笑）

●「テストなんて頑張んなくてもいい。自分がやりたいと思うことに夢中になって楽しんでる優未が好きなの」と優未に伝えること

●優未自身が「私、いつでもどこでも、お母さんと一緒にいたい」と寅子に伝えること

●亡き父(優三)を介しての、母・寅子と娘・優未の関係性の再構築

上記の３つが、優未が「スンッ」と「お利口さんのふり」をやめるには何が必要なものの答えです。

最後に、お粗末な論理展開に最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

類似の分析も、異論反論もあると思いますが、朝ドラを通して様々な意見を交わすのも有意義だと思います。
粗探し、重箱の隅を楊枝でほじくるより、建設的で良いと思います。

明日(7/15・祝月)は「お仕事日＝仕事をガッツリやる日」なので、お返事などは遅くなると思います…

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』
21 22 23 24 25 土 
第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 28 29 30 土 
第7週『女の心は猫の目？』
31 32 33 34 35 土 
第8週『女冥利に尽きる？』
36 37 38 39 40 土 
第9週『男は度胸、女は愛嬌？』
41 42 43 44 45 土 

納得！「虎に翼」の演出語る「マーベル映画を意識」やはり“トラつば・アベンジャーズ”は正解だった…？ 

第10週『女の知恵は鼻の先？』
46 47 48 49 50 土 


朝ドラ「虎に翼」花岡（岩田剛典）のモデルは山口良忠さん？正義感を貫いた判事の生き様！ 
朝ドラ「虎に翼」寅子、花江、よねで描かれる100年前の“同年代の女性の多様性”を考える 
朝ドラ「虎に翼」多岐川幸四郎（滝藤賢一）のモデルは“家庭裁判所の父”宇田川潤四郎さん？「花子とアン」との意外なご縁も！ 
朝ドラ「虎に翼」への質問に回答「轟の、花岡への感情に “恋愛要素” はあったと思いますか？」 

第11週『女子と小人は養い難し？』
51 52 53 54 55 土 
第12週『家に女房なきは火のない炉のごとし？』
56 57 58 59 60 土 

午後LIVEニュースーン 午後4時台・「虎に翼」取材担当者がドラマの裏側を語る“第12週の寅子と家裁がやったこと”

第13週『女房は掃きだめから拾え？』
61 62 63 64 65 土 

朝ドラ「虎に翼」星航一（岡田将生）のモデルは“初代最高裁長官の長男”三淵乾太郎さん？渋沢栄一との遠いご縁も！”

第14週『女房百日　馬二十日？』
66 67 68 69 70 土 

拍手コメント返信（2024/7/4）：虎に翼(第69回) ※私は寅子が“ブチ切れ”た理由をこう解釈しました(長文です)

第15週『女房は山の神百石の位？』
71 72 73 74 75 土 

拍手コメント返信（2024/7/10）その2：虎に翼(第73回) ※「直明と花江の寅子への忠告は１年後では遅かったのか？」を考えてみた

第16週『女やもめに花が咲く？』

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GO HOME～警視庁身元不明人相談室～ （第1話・2024/7/13） 感想

日本テレビ系・土ドラ９『GO HOME～警視庁身元不明人相談室～』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第1話『模型がリアル人骨？謎に挑む珍バディ』の感想。

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警視庁身元不明人相談室の三田桜（小芝風花）と月本真（大島優子）は、身元不明の遺体を家族に帰すことを任務としている。ある日、捜査一課と科捜研のエースが、人体骨格模型が本物の人骨だったと相談に来る。理科教師の西川（坂本真）がその遺体を標本にしようとしたが殺してはいないと主張。桜たちは遺体の身元を特定するが、男性の妻は遺体の引き取りを拒否する。桜と真は真相究明に奔走する。
---上記のあらすじは、公式サイト等より引用---

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原作：なし
脚本：八津弘幸（過去作下町ﾛｹｯﾄ,陸王,おちょやん,VIVANT） 第1話
　　　佐藤友治（過去作/ﾗｽﾄｺｯﾌﾟ,ﾌﾞﾗｯｸﾘﾍﾞﾝｼﾞ,霊媒探偵･城塚翡翠）
演出：菅原伸太郎（過去作/君と世界が終わる日に,ﾊｺﾂﾞﾒ,霊媒探偵･城塚翡翠） 第1話
　　　大谷太郎（過去作/ﾔｽｺとｹﾝｼﾞ,35歳の少女,逃亡医F）
音楽：横山克（過去作/わろてんか,ﾒﾈｼｽ､最愛､転職の魔王様）
主題歌：ヨルシカ「忘れてください」
ＣＰ：松本京子（過去作/となりのﾅｰｽｴｲﾄﾞ,ACMA:GAME ｱｸﾏｹﾞｰﾑ）
Ｐ：荻野哲弘（過去作/視覚探偵 日暮旅人,美食探偵 明智五郎）
　　　鈴木将大（過去作/こっち向いてよ向井くん,すきすきﾜﾝﾜﾝ!）
　　　本多繁勝（過去作/ACMA:GAME ｱｸﾏｹﾞｰﾑ）
※敬称略

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事前情報は、"ほぼゼロ"で鑑賞

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事前情報ほぼゼロで鑑賞。

公式サイトによると、『警視庁に実在する部署をモデルに描く、ミステリー×ヒューマンドラマ!!』だそうだ。

といっても、他局の『遺留捜査』など類似作品が次々と頭をよぎるが。

それでも、漫画や小説を原作にするドラマが多い中、オリジナルで勝負するのは一定の評価をする。

と同時に、それが「あの原作者との問題山積の日テレ」だから、何とも言い難いが。

ドラマ『あぶない刑事』のタカとユージへのオマージュか…

第1話を見えた印象は。
「やりたいことは分かる」けど「見たいのは、これじゃあない」か。

この日テレ「土ドラ９」枠は、2024年春から新設されたドラマ枠で。

前作の『花咲舞が黙ってない（2024）』に続いて、今作が第二弾。

前作も、過去のシリーズに比べて、コミカル要素を封印し、銀行エンターテインメント作品から、ヒューマンドラマ風に仕上げたのは記憶に新しい。

その変更が、杏さん主演時代のファンにはあまり受け入れられなかったようだが。

私は、折角新たにつくるなら、新解釈もありかなと見ていた。

で、今作も、コミカル要素を封印し、ヒューマンドラマ風に仕上げてきたのだろう。

ただ、シリアス一辺倒というわけにもいかないから、日テレの警察ドラマでバディものの大ヒットシリーズ『あぶない刑事』シリーズへのオマージュを盛り込んだ… のでは？

刑事のコンビ、タカこと鷹山敏樹（舘ひろし）とユージこと大下勇次（柴田恭兵）の破天荒な活躍を描いた刑事ドラマだ。

日テレの警察官のコンビといえば ドラマ『ハコヅメ～たたかう！交番女子～』もあるが。

全体の人物構成や、笑いもあるけどガッツリと刑事モノという雰囲気からすると、『あぶない刑事』のタカとユージかなと。
まあ、どちらでもいいが。

ここまでが、「やりたいことは分かる」の解説だ。

これだけの俳優陣を揃えたら、もっと面白いドラマが…

ここからは。
「見たいのは、これじゃあない」について。

文字どおりだ。

確かに「枠の特徴」を守るのは間違っていない。

でも、これだけの俳優陣を揃えたのなら、もっとコミカルとシリアスのメリハリをつけて、笑って泣ける警察エンターテインメントにしてほしかった。

そう、私は、そういうのが見たかった。

なんか、スタッフもキャストも「枠の特徴」を意識しすぎて、無理しているように見えたのだ。

小芝風花さん、大島優子さん、吉田鋼太郎さん、戸次重幸さん、半海一晃さんの５人だけでも、もっと面白いドラマが作れたのでは？ と。

「コンプラなんて気にするな！」と日テレには間違ってもお勧めしないが。

それでも、もっと “やりきる感じ” がないと、最近の人気ドラマの仲間入りは難しいと思う。

あとがき

筋金入りのバスケットボールファンの浅利陽介さんは、2022年8月7日放送のTBSドラマ『オールドルーキー』でも、 バスケットボール選手役でしたね。

【期限付きプロ選手契約】#55 浅利陽介選手加入のお知らせ | 千葉ジェッツ 

今作ですけど、三田桜（小芝風花）のトラウマと、月本真（大島優子）の謎のチラ見せも、程ほどにしたほうが良いと思いますね。

この直後に放送された土ドラ10『マル秘の密子さん』もそうですが。

最近は、ネタを隠し続けて、後出しジャンケンをしたところで、あまり面白いと感じた作品にお目にかからないので。

次回の感想は、内容次第で無くなるかも…（謝）

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連続テレビ小説「虎に翼」 （第15週・土曜日版・2024/7/13） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第15週『女房は山の神百石の位？』の「土曜日版」の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

---

昭和２６年。視察のためにアメリカに行っていた寅子（伊藤沙莉）が帰国する。雑誌の取材を受け、多岐川（滝藤賢一）とラジオにも出演。それぞれ「家庭裁判所の父」「家庭裁判所の母」などと呼ばれ、後輩も出来て順風満帆。そんな中、寅子は福田慶太（中村無何有）・瞳（美山加恋）の離婚調停を担当することに。妻が不貞行為をしたことで夫が離婚を申し立てたのだ。どうやら瞳は寅子が担当することで自分に有利な判断をしてもらえると考えているようだった。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

---

原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4,7,10,11,14週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3,8,13週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6,9,12週
　　　伊集院悠（過去作/ｵｰﾃﾞｨｵﾄﾞﾗﾏ･FMｼｱﾀｰ｢告白の対価｣静岡局制作） 第15週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
裁判所考証：荒井史男（元名古屋高裁長官　定年退官）
風俗考証：天野隆子（過去作/ごちそうさん,花子とｱﾝ,ｽｶｰﾚｯﾄ）
旧字考証：三浦直人（明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
ジェンダー・セクシュアリティ考証：前川直哉（福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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「本編」以上に「寅子の物語」になっていた

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当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

室内でも熱中症の危険があるとのこと。
こまめに水分補給してくださいね。

今週も、盛りだくさんで濃厚な一週間だったから、どこを残して、どこを捨てるのか。

そこが、本当に気になっていた。

結果からいえば、「本編」以上に「寅子の物語」になるようなダイジェスト版になっていたと思う。

特に、意外… というか。

「寅子の物語」にするなら当然だが。

今週は、週の序盤と終盤で「仕事モードのトラちゃん」を描き、中盤で「お母さんモードのトラちゃん」を描いた。

要するに、母親としての寅子（伊藤沙莉）が家族、特に娘の優未と向き合うくだりが、法律家の寅子でサンドイッチされていたわけだ。

従って、本編のように順に編集をしたら、恐らく、最後の（松山ケンイチ）の寅子への “飛び切りの愛” の印象が強くなりすぎると思うのだ。

優未への寅子の謝罪を強調する編集によって…

そこで「土曜日版」は中盤の「家族会議」をかなり残した上で、翌日のアバンタイトルでも使われた次の寅子のセリフを強調する編集になっていた。

寅子「あなたのことを思えば
　花江に預けるのが一番だって分かってる。
　でもね
　今ここで優未と別れてしまったら
　私と優未の間も
　取り返しのつかないことになるってことも
　分かるの。
　お母さん頑張るから 生まれ変わるから…。
　だから 一緒に新潟についてきてください。
　お願いします」

このセリフを強調することで、今週が。

「いつの間にか家庭を顧みなくなっていたことを指摘された寅子」が、家族の本音（指摘）をもとにブレイクスルー（障壁を突破する）姿が印象的になった。

本編の感想でも書いたが。

寅子は、周囲の意見を平等に聞き取って、自分で問題を解決する人だ。

客観的な視点による意見を取り入れて、主観と合わせて結論を出すのが、トラちゃん流だ。

それを、調停でのお仕事と同様な展開と構成で、公私の私の寅子も描いた… わけだ。

大胆＆正しい編集で「新潟編」への見事なイントロに！

そのために、お仕事パートに登場した、不貞行為を理由に夫から離婚の訴えを起こされた女性・瞳（美山加恋）は全削除。

“トラつば・アベンジャーズ” も一切出番なしになった。

寅子の後輩たちも、多岐川（滝藤賢一）の「おうちDE水行」もなくなった。

この、大胆、且つ、正しい編集によって、次週に続く「新潟編」への見事なイントロダクションになったと思う。

更に付け加えたいのが、前段で触れた…

週の序盤と終盤で「仕事モードのトラちゃん」を描き…

の部分だ。

土曜日版でも、火曜日のラジオ出演シーンと、金曜日の桂場の “飛び切りの愛” が残してあった。

これ、普通に考えれば、「ラジオ出演シーン」や「多岐川の抗議のシーン」は無くても、“飛び切りの愛” だけでも内容は理解できるし、感動もできる。

しかし、「本編」では若干ではあるが、最高裁判所の二代目 最高裁判所長官・山本紘作（矢島健一）の嫌がらせの印象を残してしまった感じがあったのを覚えておられるだろうか？

でも、「土曜日版」の（良い意味で）印象操作によって、新潟赴任の全てが桂場の仕業、企み、仕掛け、配慮、そして “飛び切りの愛” だったと思えるし、感じた。

確かに、山本長官は寅子のしてやられたのはあるが、最高裁判所長官としてそんなに懐が小さいはずがない… とも思える編集になっていた。

従って、土曜日版でうまく “いい人” へ落とし込んだのも、今作らしいと思う。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

脚本が着地点を設定し、至る過程を緻密に計算している

今作は、たしか… 全話分の脚本が完成している上で撮影に入っていると思う（今、確認していません）

で、先週と今週の内容は、来週から始まる「新潟編」を着地点にして “起承転結” になっていると推察できる。

だって、「実は…」という感じで、「点数偽装」を１年前にしてネタ振りをやったのが「起」。

“いい子” と「スンッ」で、花江ちゃん（森田望智）を中心に猪爪家がトラちゃんを支えようとしたのが「承」。

かるたの「塵も積もれば山となる」で涙し、家族会議を開いたのが「転」。

とりあえず寅子と優未の新潟行きが決まり、赴任理由も明解になったのが「結」。

ねっ？

着地点をきっちりと設定し、そこに至るのに割ける時間（数週、話数）から緻密に計算しているのだ。

当ブログでは、脚本家には “数学的な論理回路” が必要だと書いているが。

正に、これがそういうことなのだ。

あとがき

脚本で数学的に筋道を考えると、「箇条書き」になりやすい一面もあるんですね。

でも、今作には「自然な流れ」がありますね。

要するに、「伏線と回収」に例えますと。

回収がうまいのではなく、伏線の張り方が実に巧妙でさり気ないことが秀逸なのです。

だから、桂場の赴任を決めた理由も納得感があるし、感動もできる。

で、そのために、桂場の寅子への思いは一切見せずに、存在だけを印象に残す。

それが、本編の感想に書いた絶妙な設定、舞台である甘味処「竹もと」なのですよ。
※土曜日版にはありませんでしたが…

だって、「竹もと＝桂場と串団子」はインプットされていますからね（これも、一種の伏線ですね）

ほんと、よくできたドラマだと思います。

もちろん、今週の演出も右上がりになりましたし、俳優さんたちの名演技のおかけもあります。

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』
21 22 23 24 25 土 
第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 28 29 30 土 
第7週『女の心は猫の目？』
31 32 33 34 35 土 
第8週『女冥利に尽きる？』
36 37 38 39 40 土 
第9週『男は度胸、女は愛嬌？』
41 42 43 44 45 土 

納得！「虎に翼」の演出語る「マーベル映画を意識」やはり“トラつば・アベンジャーズ”は正解だった…？ 

第10週『女の知恵は鼻の先？』
46 47 48 49 50 土 


朝ドラ「虎に翼」花岡（岩田剛典）のモデルは山口良忠さん？正義感を貫いた判事の生き様！ 
朝ドラ「虎に翼」寅子、花江、よねで描かれる100年前の“同年代の女性の多様性”を考える 
朝ドラ「虎に翼」多岐川幸四郎（滝藤賢一）のモデルは“家庭裁判所の父”宇田川潤四郎さん？「花子とアン」との意外なご縁も！ 
朝ドラ「虎に翼」への質問に回答「轟の、花岡への感情に “恋愛要素” はあったと思いますか？」 

第11週『女子と小人は養い難し？』
51 52 53 54 55 土 
第12週『家に女房なきは火のない炉のごとし？』
56 57 58 59 60 土 

午後LIVEニュースーン 午後4時台・「虎に翼」取材担当者がドラマの裏側を語る“第12週の寅子と家裁がやったこと”

第13週『女房は掃きだめから拾え？』
61 62 63 64 65 土 

朝ドラ「虎に翼」星航一（岡田将生）のモデルは“初代最高裁長官の長男”三淵乾太郎さん？渋沢栄一との遠いご縁も！”

第14週『女房百日　馬二十日？』
66 67 68 69 70 土 

拍手コメント返信（2024/7/4）：虎に翼(第69回) ※私は寅子が“ブチ切れ”た理由をこう解釈しました(長文です)

第15週『女房は山の神百石の位？』
71 72 73 74 75 

拍手コメント返信（2024/7/10）その2：虎に翼(第73回) ※「直明と花江の寅子への忠告は１年後では遅かったのか？」を考えてみた

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ビリオン×スクール （第2話・2024/7/12） 感想

フジテレビ系・金曜9時枠のドラマ『ビリオン×スクール』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok

第2話『AI教師はイジメ問題を解決できるか?』の感想。

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日本最大の財閥グループ『加賀美グループ』のＣＥＯ、加賀美零（山田涼介）は、秘書兼ボディーガードの芹沢一花（木南晴夏）とともに私立絵都学園の３年０組の担任として赴任する。
ある日、校庭を歩いていると教卓が落下し、西谷翔（水沢林太郎）が駆けつける。加賀美はクラス内のいじめを察しており、いじめ問題の解決がＡＩ教師の導入に繋がると考える。
翌日、彼は生徒たちにいじめに関するアンケートをタブレットで実施する。東堂雪美（大原梓）が異議を唱えるが、加賀美は「いじめはある前提」で状況を確認するためのアンケートだと説明する。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作：なし
脚本：我人祥太（過去作/墜落JKと廃人教師,奪われた僕たち,ｺﾞｰｽﾄﾔﾝｷｰ）
脚本協力：西垣匡基（過去作/）
演出：瑠東東一郎（過去作/浦安鉄筋家族,極主夫道,魔法のﾘﾉﾍﾞ） 第1,2話
　　　西岡和宏（過去作/親愛なる僕へ殺意をこめて,元彼の遺言状,婚活1000本ﾉｯｸ）
音楽：宮崎誠（過去作/今だから､新作ﾄﾞﾗﾏ作ってみました 第3夜「転･ｺｳ･生」）
主題歌：Ado「ルル」
Ｐ：江花松樹（過去作/うちの弁護士は手がかかる,ｸﾗｲﾑﾌｧﾐﾘｰ）
※敬称略

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学園ドラマとして一段格上げした！

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

前回よりも、メイン監督である瑠東東一郎氏らしさが、職員室周辺以外は薄まったのが、期待をしている私としては少々残念ではあるが。

多くの人にとっては、これくらい薄まったほうが良いかもしれない。

さて、今回は、最1話よりも、今作の主人公のキャラクター説明が分かりやすくなった。

特に、序盤で丁寧にセリフで盛り込んだのは良策だ。

この演出で、あれこれやるよりも圧倒的に理解しやすいからだ（汗）

そして、物語全体も、加賀美零（山田涼介）でしかあり得ない解決方法をもってきた。

やはり、自分大好き、俺ナンバーワンこそが加賀美の個性であり魅力だから。

そこを徹底的に ＜映像で見せて（show）魅せた（fascinate）＞ ことで、学園ドラマとして一段格上げしたと思う。

生徒たちが、妙にリアルに感じる…

意外と斬新というか、新鮮に感じるのは。

私が、最近の若手俳優を知らないせいもあるが。

普通は、パッと見で、善悪みたいなキャラクター設定が判別できることが多いと思う。

でも、今作は、一部の目立つ生徒以外は、よい意味でみんな一緒に見える（オッサンから見たら）

だから、妙にリアルに感じる… というわけ。

まっ、これも好みが分かれる原因か…

あとがき

私は、やるなら、全編でやり切ったほうが良いと思うんですが。

演出家が交代した放送回で、どうなるかですね。

それにしても、もう少し話題になってもいいような…

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【これまでの感想】
第1話 

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連続テレビ小説「虎に翼」 （第75回・2024/7/12） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第75回／第15週『女房は山の神百石の位？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

---

寅子（伊藤沙莉）は家族に優等生であることを強いていたと反省する。多岐川（滝藤賢一）と汐見（平埜生成）らが旅立つ寅子のために壮行会を開いてくれる。汐見のはからいで香子（ハ・ヨンス）と話が出来た寅子は、よね（土居志央梨）、轟（戸塚純貴）、梅子（平岩紙）にも別れの挨拶をするために上野を訪れる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

---

原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4,7,10,11,14週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3,8,13週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6,9,12週
　　　伊集院悠（過去作/ｵｰﾃﾞｨｵﾄﾞﾗﾏ･FMｼｱﾀｰ｢告白の対価｣静岡局制作） 第15週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
裁判所考証：荒井史男（元名古屋高裁長官　定年退官）
風俗考証：天野隆子（過去作/ごちそうさん,花子とｱﾝ,ｽｶｰﾚｯﾄ）
旧字考証：三浦直人（明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
ジェンダー・セクシュアリティ考証：前川直哉（福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

---

予想＆期待どおりに、仕事以上(笑)にガッツリと書いてみる

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

下書き所要時間２．５時間の超大作の前回の感想に、“68回” もの Web拍手をいただいた。

この場を借りしてお礼をいいたい。

で、昨日に続いて、今日も「お仕事日＝仕事をガッツリやる日」だが。

昨夜の連ドラ分がない（汗）から午前中に余裕ができた。

ということで、予想どおり、期待どおりに、仕事以上（笑）にガッツリと書いてみる。

今回のアバンタイトルの入り方も、意外と斬新！

今回のアバンタイトルの入り方も、意外と斬新だ。

私は、前回での次の寅子（伊藤沙莉）らしい名ゼリフのどちらかを盛り込んでから… と、予想していた。

一つめは…

寅子「親と一緒にいるのが幸せなわけじゃない。
　周りに支えてくれる大人がいればいい。
　親と縁を切った方がいい時だってある。
　でも…」

もう一つが…

寅子「お利口さんでいてって
　呪いをかけてしまって ごめんね」

この二つのいずれかをイントロに利用して、次の寅子のセリフに直結すると思ったのだ。

寅子「あなたのことを思えば
　花江に預けるのが一番だって分かってる」

しかし、今作の脚本と演出は、そっちの選択をしなかった。

恐らく理由は、次の二つだ。

一つは、「親と一緒にいるのが…」だと、「お仕事モードのトラちゃん」が強まり、「お母さんモードのトラちゃん」が薄まるから。

もう一つは、前回の放送で “寅子の優未への謝罪” は十分に伝わったとして、あえて繰り返して尺を消費したくないから。

もちろん、今回の「あなたのことを思えば」で始まれば、前回を見ていない視聴者にも、今日の寅子は「お母さんモードのトラちゃん」であると分かるようになっている。

こういう配慮はやっていると思う。

アバンからメインタイトル映像への分岐点に「なるほどね」

今回の編集で、最初に「なるほどね」と思ったのは。

寅子が優未に「お願いします」と頭を下げ、優未が「はい」があって、頭を上げた寅子の直後では、メインタイトル映像に直結しなかったことだ。

これ、頭を上げた寅子の直後に、主題歌の勢いあるイントロ、米津玄師さんの歌声があったほうが、ワクワク感を創出できると思う。

しかし、今作の編集は、「ありがとう」ではあるが、何となくスッキリしない場の空気を約20秒も、不穏な感じの劇伴と共に残した。

そして、日が変わって不穏な感じの劇伴は引き継いだまま、甘味処「竹もと」に直結した。

ちゃんとアバンが「起承転結」になっている

ここで、7月8日(月)の第71回で。

「新時代の開拓者　佐田寅子」とい記事のために猪爪家への潜入取材をやった新聞記者 改め フリーの記者・竹中次郎（高橋努）が登場。

その際の竹中は、寅子に対して。

竹中「世の娘さんたちの希望の星なんだから」

と、いかにも… な提灯記事で金儲けしようと企んでいた竹中だが。

次のセリフで、＜時に、寅子に忠告することもある＞ の設定が首をもたげた。

竹中「まあ あんたの家族のお利口ちゃんが
　うさんくさいってのは
　分かってたからいいけどさ」

「全てお見通しだった」のは、視聴者と同じで、ここでもうまくキャラクターへの感情移入をやっている。

そして、次のセリフから劇伴が外れる…

寅子「これをしないと
　家族との土台を作り直せないから」

わざわざ解説する必要もないが。

約2分59秒間のアバンで、娘に謝罪し受け入れられるも、もやもやが晴れない寅子が、自ら思い切って竹中の懐に飛び込んで、逆転勝訴を勝ち取ったと思ったら、最後の最後の「猪爪家の家族写真」によって上位の裁判で逆転された… という感じだ。

そう、ちゃんとアバンが「起承転結」になっているのだ、恐るべし…

朝ドラでは主人公の自宅や職場以外が、物語上の重要拠点に

これまで、書いていなかったと思うので、いい機会だから書いてみる。

それは、甘味処「竹もと」について。

モデルがどうとかは、下記の投稿に前に書いたので省略。

連続テレビ小説「虎に翼」 （第69回・2024/7/4） 感想 

今回は、『虎に翼』における「竹もと」という舞台（設定）のうまさについて語ってみたい。

これまでも、朝ドラでは主人公の自宅や職場以外が、物語上の重要拠点になった作品がある。

最近では。

朝ドラ『ちむどんどん』（NHK／2022年度前期）では、銀座のイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」や鶴見の沖縄料理居酒屋「あまゆ」。

朝ドラ『舞いあがれ！』（NHK／2022年度後期）では、お好み焼き屋「うめづ」や古本屋「デラシネ」。

朝ドラ『らんまん』（NHK／2023年前期）では、和菓子屋「白梅堂」や料亭「巳佐登（みさと）」。

朝ドラ『ブギウギ』（NHK／2023年後期）では、洋食屋「フクロウ」や喫茶店「バルボア」。

いずれも「飲食店」ばかりだ。

人間の欲求を描くことで本性を忠実に表現できるのが"飲食"

一般的に、「ものを食べたり飲んだりする場面」は撮影するのが面倒だ。

「消えモノ（「飲食して消えてなくなる」が転じた業界用語）」の支度が大変だし。

俳優さんたちの「飲食しながらしゃべる」の演技も、（特に子役は）難しい。

従って、「できれば少なくしたい」がスタッフの本音だと察する。

しかし、演出的には、「食べる、飲む＝食欲の表現」であって、 人間の三大欲求（睡眠欲、食欲、性欲）を表現することで、その登場人物の本性みたいなものを忠実に表現できる機会として、重要なのだ。

しかし、睡眠欲を満たしているシーンでセリフを話せるわけにはいかない。

性欲を満たしているシーンは、朝ドラでは今のところはご法度だ。

そうなると、「食べる、飲む＝食欲の表現」は、ホームドラマでもある朝ドラと、とても相性が良いのだ。

甘味処「竹もと」は、使い回しがきく、コスパの良い舞台

で、もう少し。

なぜ、こんなことをわざわざ書いたのか？

上記の４つの過去の朝ドラの飲食店と、今作の「竹もと」の決定的な違いがある。

そう、「甘味処」なのは「竹もと」だけだ。

『らんまん』の若き日のヒロインの住まい兼店舗は和菓子屋「白梅堂」だが、和菓子の製造販売だけ。

甘味処とは、甘い味の菓子を出す飲食店のことだから違うのだ（当たり前か… 苦笑）

もちろん、当時の女子たちの憩いの場であると当時に。

昨今では、老若男女問わずスイーツ好きが増えている。

ちょうど、昨夜はテレ朝の『アメトーーク！ 3時間SP』で＜ミスタードーナツ芸人＞をやっていた。

アメトーーク！ ミスタードーナツ芸人<3時間SP>｜TVer 

レストランでは堅苦しい、居酒屋では賑やかすぎる、喫茶店では BGMや食器の音がうるさい、古本屋は談話できないし、お好み焼き屋は行く層が限られる…

そんな条件を意外とさらりとかわしているのが、甘味処「竹もと」なのだ。

女子会はもちろん、様々なお祝い事、先日の星長官（平田満）の朗読、葬儀のあとの精進落としなど、使い勝手がいい。

更に、今作の「竹もと」は障子を使って、個室風にも使えるから密室設定になるし、大広間にも使える仕様になっているのだ。

いつものように脱線しすぎたが、意外と舞台（シチュエーション）が少ない「東京」の設定で、使い回しがきく、コスパの良い舞台なのだ。

"助け合い"の連続の"トラつば・アベンジャーズ"へ全部帰着

メインタイトル映像明けは、多岐川家で寅子の壮行会。

‘ヒャンちゃん’こと崔香淑／汐見香子（ハ・ヨンス）の設定があるから、「竹もと」で盛大にやるわけにもいかないわけだが。

逆に、前段での竹中とのやり取りで「竹もと」を使ったから、多岐川家であることに全く異和が生じないという、巧みな構成だ。

これは、先週で「猪爪家の家族団らん」が少なかったのは今週のため… の仕掛けと同じだ。

きちんと、全体の構成が見えているから、できるのだ。

でも、この脚本は、更に仕掛けの仕掛けを仕込んでいた。

それは、壮行会を多岐川家でやろうと言い出したのが香子だった… という設定だ。

学生時代の‘ヒャンちゃん’は、みんなのことを最優先する人だったが、事件後に別人のようになって、それきりだった。

しかし、轟（戸塚純貴）、よね（土居志央梨）、梅子（平岩紙）。

花岡（岩田剛典）は残念だったが、小橋（名村辰）や稲垣（松川尚瑠輝）ら同期の仲間が戦争から復活を遂げる中で、ある意味で置いてけぼりになっていた。

きっと、それも、今回の香子を描くための下準備だったのだ、きっと。

もちろん、優三（仲野太賀）の「ちょっと 何か おいしいものを 食べましょう」にも重なっているし。

梅子の梅のおにぎりを頬張る香子の回想は、寅子の母・はる（石田ゆり子）の次のセリフにも重なっている… と、思う。

はる「どうしようもなくなった時
　ないしょで 思いっきり ぜいたくしました。
　そうするしかなかった」

だから、梅子はが今「竹もと」で働いている設定があって。

これまで「助け合い」の連続だった “トラつば・アベンジャーズ” へ全部がつながるわけだ、凄すぎる。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

「人を変えるのは難しい」けど、自分を変えるのは…

更に、香子の本音の吐露は、前回の花江の次のセリフとリンクする。

寅子が、赴任先の新潟に優未を連れて行くのか行かぬのかの決断を、優未自身に委ねた際、花江が優未に代わって拒否したときだ。

花江「この決断の責任はトラちゃんが負うべきよ」

この花江の進言を受け止めたから、前段の「竹もと」で竹中に “偉そうに” 言ったわけだだ。

しかし、寅子は次の香子の決意を聞いてビビる…

香子「崔香淑(さい こうしゅく)は捨てたの 娘のために。
　その覚悟で娘を産んだの。
　私が選んだの。
　ここで 日本で生きていくことを」

母親が娘に、親が我が子に、下す決断の責任の重さが、寅子は香子と違い過ぎることに愕然とする。

でも、香子の「行ってらっしゃい」に、寅子は…

裁判官としても、親きょうだいとしても「人を変えるのは難しい」けど、「自分を変えるのは、変わりたいと本気で行動する」ことで実現することを学んだと思う。

それが、寅子と香子の抱擁であると…

すばらしいのは、ちゃんと「何じゃこりゃ」に見えること

涙なみだの寅子と香子の友情物語の直後。

6月17日以来の、多岐川の「おうちDE水行」のコーナーだ（笑）

もはや、「男らしさをツッコむネタ」のお笑い芸人・クールポコ。の餅つきネタの如し…（爆）

恐らく、これを見ていた全国、いいや全米だって思ったに違いない。

寅子「何じゃこりゃ」

これ、ただただ面白いのは当然で。

すばらしいのは、これだけの芸達者が揃っているとはいえ、ちゃんと「何じゃこりゃ」に見えることだ。

だって、一度テイクがＮＧになったら、衣装の着替え、身体の乾かし、メイク、水の準備からやり直しだから（苦笑）

やはり、いつでもどこでも “胸熱すぎる男”こそが多岐川。

全体を通して、今作らしい壮行会になったと思う。

これまでの寅子とよねの関係を残しつつ、互いの"今"で対比

あともう少し、頑張って！！！

「何じゃこりゃ」で終わると、ベテラン俳優のコントで金曜日を締めくくりになるから（悪くないが）。

残りの約5分間は、待ってました！と言いたくなる “トラつば・アベンジャーズ” の集結だ。

自然な流れで、一度、梅子と轟をバックスペースに逃がして、寅子とよねのツーショット。

寅子「よねさん
　そろそろ自分の道に戻るのはどう？
　司法試験 受けてみるのはどうかしら？
梅子「やっぱり トラちゃんもそう思う？」
轟「あ? 俺たちもな
　受けてみたらいいとは言ってるんだが」
寅子「最近　女性の修習生も増えてきたのよ。
　毎日 頑張っていて
　勉強する時間なんてないかもしれないけど」
よね「うるさい。そんなの言い訳だと
　自分が一番分かっている」

学生時代からのこれまでの寅子とよねの関係を残しつつ、しっかりと互いの “今” を盛り込んだ。

そして、法曹界のアイドル裁判官になった寅子だから伝わる… と思う、よねへの励まし、エールだ。

寅子が世間に受け入れられているという設定がだからこそ…

これ、寅子が裁判官になっただけでも説得力はあると思う。

でも、寅子が、寅子の言動が、世間に受け入れられているという設定が乗っかるからこそ、説得力が増すというか、よねに響くような気がするのだ。

寅子「私 確信してるのよ。
　弁護士になったよねさんにしか
　救えない人たちがたっくさんいるって」

ある意味で、今そこにいる寅子は、“かつて目の敵にしていた以前の猪爪寅子” とは違う… って。

だから、図星をいわれたのもあるが、よねは寅子と目を合わせられない。

でも映像の中の よねから感じたのは。

逆に “今の佐田寅子” に背中を押された嬉しさと恥ずかしさみたいな。

そこを敢えて描写せずに寸止めして、次のシーンへ進んだ展開も、「よねの先が見たくなる」になっていたわけだ。

寅子と優未のツーショットの夕食シーンを組み込んだ！

最後、約3分を残して、昭和27年の春の猪爪家。

普通の朝ドラ、いいや、普通の連ドラなら、お涙頂戴の家族のお別れシーンで幕引きを図るところだろう。

しかし、まず今回は、ちゃんと猪爪家で桜の花びらを散らして季節感を創出（ホッ…）

そして、「新潟県・三条市」も満開の桜でいっぱいだ。

で、衝撃的とは大げささが、びっくりしたのは、寅子と優未のツーショットの夕食シーンを組み込んだことだ。

居間の奥のガラスの花瓶には、赤やピンクのバラにカスミソウ。
緑色の座布団とはお揃いで。

室内のスタジオセットや小道具からすると、いよいよ新生活がはじまった… であるが。

映像的には、意外なくらいに母と娘の会話がなく。

カメラの画角は「広い室内に、ポツンと母子」としてつくられている。

更に、カメラのアングルも、寅子よりも優未の顔が見えるようになっている。

恐らく、次の語りを映像化しているのだ。

語り「優未のかぶったスンッの仮面はなかなか取れません」

スンッの仮面をかぶった優未と、寅子がどんな顔をして食事をしているのかが見えない。

だから…

語り「さあ 寅子 これから どうする？」

しっかりと、「先が見たくなる連ドラ」「次回が楽しみでしょうがない朝ドラ」につなげた金曜日だった。

あとがき

いやあ、懇切丁寧に、あらゆる「見たい要素」を盛り込みつつ、見せない部分は見せずに終了。

本当に、よくできた15分間でした。

これを見せられちゃうと、他の連ドラを見て感想を書くモチベーションが下がっちゃいます。

それくらい、濃厚なので。

だって、このレベルで１時間枠だったら、感想投稿に6時間はかかりますよ（笑）

あぅ、今回もまた、下書きだけで３．５時間になっちゃいました（汗）

さて、明日の「土曜日版」で、どこを残して、新しく魅せるのかがホント楽しみです。

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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