連続テレビ小説「虎に翼」 （第5回・2024/4/5） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
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第5回／第1週『女賢しくて牛売り損なう？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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穂高（小林薫）に出くわしたことで女子部への出願がはる（石田ゆり子）にばれてしまった寅子（伊藤沙莉）。娘に普通の結婚を望むはるは弁護士を目指すなど当然大反対。必死に説得しようとする寅子に、はるは現実の厳しさを教え、明日改めて振袖を買いに行こうと提案する。翌日、母との待ち合わせ場所で寅子は裁判官の桂場（松山ケンイチ）に再会。母を説得する方法を尋ねると、「私も女子部進学には反対だ」と言われてしまう。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,鎌倉殿の13人,やさしい猫）
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘）
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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大切な部分は、繰り返すのも正しい表現

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

前回は、感想でも言及したように 15分間の構成がきれいな「三幕構成」になっていたが。

今回は、前回の「先が見たくなる」を受け止めた形で、アバンタイトルは前回のラストシーンの繰り返し。

やはり、前回での母・はる（石田ゆり子）にばれてしまった寅子（伊藤沙莉）とのやり取りがわからないと、今回の意味がない。

でも、まだまだ第1週ということで、初見の視聴者向けの編集としても “繰り返し” は悪くない。

そして、大切な部分は繰り返すのも正しい表現だと思う。

丁寧な "頭のいい女" 同士の会話劇

メインタイトル映像明けも、うまい展開だ。

前作だったら、主人公が速攻で「ワテは！」と反論したと思うが（笑）

母の意見に対して、寅子に即座に攻撃させなかった。

はる「どう進んだって地獄じゃない。そうでしょ？
　頭のいい女が確実に幸せになるためには
　頭の悪い女のふりをするしかないの」

丁寧に “頭のいい女” 同士の会話劇になっている。

第3回での花江（森田望智）の次のセリフとも、しっかりと呼応し合っている。

花江「どうしても欲しいものがあるならば
　したたかに いきなさいってこと」

これで、第1週で中心に描かれた女性３人の…

この時代に女性が幸せに生きる術(すべ)と語ることで、 “心の底” や “腹の内” や “本意” が明瞭に見えてきた。

その上で、母のはる、友人の花江とは違った道を選択する寅子を差異化し、更に強調している。

この時代の “女の幸せ” を３人でうまく重ねて、主人公の個性を引き立てるのはいい作戦だ。

母と娘のやり取りから、ナレーションにつながる一連の描写

個人的に、今回で好きなシーン、いいや、心にグサッと刺さったシーン。

それが、次の母と娘のやり取りから、ナレーションにつながる一連の描写。

寅子「私は お母さんみたいな生き方じゃなくて…」
はる「お母さんみたいに なりたくないってこと？」

一度、その場は仲違いをして、夜が明けて寅子が目を覚ますと。

Ｎ「正真正銘の親不孝になってしまったと 寅子は思いました」

こういう寅子の本音って、この時代に限ることではないと思う。

ちょっと古い考えの親なら、今でも多くのが「普通の女性として幸せになってほしい」と言っちゃっているのでは？

いや、女性に限らず、男性も、いやいや性別によって幸せが決まってしまうというのがイマドキではないわけで。

吉田恵里香氏ならではの切り口で「女性の生き方」を描く…

話を広げるつもりはないが、昨今の LGBTQに関することでも、ある種の “決めつけ” が知らず知らずのうちに “縛り” になっていることが問題視される。

今作の脚本担当の吉田恵里香氏は、私が挑戦的なドラマとして評価している下記の２作品を手掛けている。

一つは、岸井ゆきのさんと高橋一生さんのＷ主演『恋せぬふたり』（NHK総合/2022）だ。

どんな相手にも恋愛感情も性的欲求も抱かない「アロマンティック・アセクシュアル」の男女の同居生活が巻き起こす「ラブではないコメディ」として当時話題になった。

もう一つは、原田泰造さん主演『生理のおじさんとその娘』（NHK総合/2023）。

「生理に詳しすぎるおじさん」として有名人になった男性と、生理を語りたくない思春期の娘の、「生理」を巡る親子のスレ違いを乗り超えるホームコメディドラマ。

前者は直球で性別の違いと人間愛の本質を扱い、後者は当事者と非当事者が正解を模索する姿を扱った。

これら、実はどちらも今作『虎と翼』に通じる部分があると思う。

女性にとって「女にとっての幸せ」と「人間としての幸せ」は違うのか？ や。
悩みや苦悩は当事者と非当事者では温度差が生じるのでは？ などなど。

こうして考えると、吉田恵里香氏ならではの切り口で、その時代に生きる「女性の生き方」の違いを丁寧に描写していると思うし。

このような描写を、敢えて「朝ドラ」に持ち込んで、それも「第1週」に盛り込んだことが斬新で良いと思うし。

やるなら、これくらいガッツリとやってくれるとグサッと刺さった。

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「通行人や客などエキストラのバランス」に注目してみる

さて、感想が長引きそうだから（汗）ここで一息入れよう…

映像的な演出にも触れておこう。

前回は「火鉢上のやかんから湯気」だったが、今回は「通行人や客などエキストラのバランス」について。

第2回での寅子の３人目の見合い相手・横山太一郎（藤森慎吾）との見合い会場や。

第3回での寅子と父・直言（岡部たかし）の甘味処や。

今回で寅子とはるが待ち合わせた甘味処「竹もと」に共通すること。

それは、通行人や客などエキストラが老若男女のバランスで整っていることだ。

特に、微妙に映像上で女性が強調されるように描かれている。

例えば今回の甘味処の前のシーン。

寅子とすれ違う手荷物を持った女性は、カメラ前で一度立ち止まる。

奥の立ち話をする二人の女学生は、ずっと映り込んでいる。

一方で、少年たちは見えないくらいの速足で消えるし、男性は中年以降が多く、ほぼ全員が歩き去る（笑）

店内も、平日昼間の甘味処とはいえ、客は女性二人と桂場等一郎（松山ケンイチ）だけ。

ラストシーンの橋の上では、背中に大きな荷物を背負った行商のおばちゃん風が、まるで “母子三世代” のように配置されていた。

少々あざといし、印象操作の感も否めない。

でも、映像で “女性の時代” を強調するのは “ドラマ” としては悪くない。

だとすれば、これくらいに人数を送り込まないと、女性が多いとは感じにくいと思うし。

"はるのどんでん返し"が見事にハマったのは、かなり秀逸！

終盤は、寅子の桂場への反撃が始まる。

寅子「あの… 私の母は とても優秀ですが？」

寅子が、決して母の生き方を否定しているわけでないことを描き。

母・はるが、これっぽっちも娘の進みたい道を認めないわけでないことも描き。

はる「無責任に娘の口を塞ごうとしないでちょうだい！」

最後は、はるが “若造” に負けるもんか！ と言わんばかりに、法律専門書店に入って六法全書を寅子に買い与える。

主人公の思い込みや気の強さ、言い切ってからスンッと反省… みたいなメリハリあるキャラ設定がいかされた展開だ。

その上で、物語の中核を成すのは、ちゃんと “寅子の夢と葛藤” で。

それを、“ドラマ” なのだから ＜映像で見せて（show）魅せる（fascinate）べき！＞ をしっかりとやり遂げた。

感動的で劇的な “はるのどんでん返し” が見事にハマったのは、かなり秀逸だと思う。

あとがき

第1週の５回分を見ただけで、この先の25週分〔全26週〕のことなんて微塵も予想できませんけど。

脚本家とメイン演出、キャストのチームワークが良いと思います。

やはり、（多分）全話の脚本が仕上がっていることや、脚本を毎週開示するくらいですから、作り手たちも自信があるんでしょうね。

それと、女性蔑視的な表現や法律上の冷静な表現を、うまくポップな感じにして緩和しているのが尾野真千子さんの語りの絶妙さも大いに評価します。

ホント、お手並み拝見です。

みっきーの翼（第1回）

本家『虎に翼』の最後の写真投稿コーナー「みんなの翼」は、視聴者が夢中になって取り組めること、強くしてくれる存在など、自分にとっての「翼」を表現した写真をお送るコーナー。

ってことで、「みっきーの翼」もパクりました（笑）

実は、妻は両親の猛反対の末に看護師になり、更にフリーランスの私と結婚したんですよね。

だから妻は自分の道は悔やんでないけど、母親との関係はずっと悩んでいたわけです。

結局、時は流れて、ザ・昭和な父は介護施設に入所し、母も認知症が進行中で、いろんな人たちの手を借りつつ介護をやっています。

写真は、今年のお正月に義母が父の固定席に座って乾杯をした記念写真です。

来年、自宅でお正月を祝えるか分かりませんが。

今年 妹が亡くなったので、もう私の親も家族も妻と妻の家族だけなりました。

私が強くなれる存在に囲まれた一枚でした…

まっ、しんみりならずに。
明日は、妻の実家でお義母さんと近所に花見に行こうと思います。

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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