連続テレビ小説「虎に翼」 （第4回・2024/4/4） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
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第4回／第1週『女賢しくて牛売り損なう？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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味方のはずの直言（岡部たかし）も頼りにならず、寅子（伊藤沙莉）ははる（石田ゆり子）に女子部の話を切り出せない。そうこうするうちに花江（森田望智）と直道（上川周作）の結婚式が迫る。式が終わるまで大人しくしていてと花江に釘を刺された寅子は、「したたかに」ふるまう作戦に出る。しかし、重要な場面で男性の横でスンッとしている女性の姿には納得できない寅子。式が終わり、いよいよ寅子ははるの説得を決意するが…。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,鎌倉殿の13人,やさしい猫）
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘）
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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アバンタイトルが「3分52秒」と長尺の構成だった

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

どうしても、おどおどした仲野太賀さんを見てしまうと、読者の皆様から「BSで見ちゃったけどネタバレ書かないから、ぜひ見て感想書いて！」とお願いされた名作ドラマ『拾われた男 LOST MAN FOUND』（NHK/2022）での松戸諭 役の亡霊が浮かんでしまう（笑）

それは、それとして。

今回は、第4回としては大胆な構成、いいや、なかなか良くできた構成だ。

それは、アバンタイトルが「3分52秒」と長尺の構成だったことだ。

「わたしの翼」を抜けば、本編が「14分54秒」で、メインタイトルが「1分14秒」だから、正味「13分40秒」。

全体の約28%がアバン、要は「全体の 1/3」も割いたということ。

起承転結の構成から鑑みても、バランスが異なる。

ここまで書いたら、当ブログの常連さんなら “あの言葉” が思い浮かぶのでは？

そう、ハリウッド映画で多用される「三幕構成」だ。

ハリウッド映画で多用される「三幕構成」とは？

前回説明したのは、映画『生きる』がテレビ放送される機会で。
一般的なストーリー構成である「起承転結」になっていないことに注目してみた。

今回は、その時に作成した資料をもとに、少し解説してみる。

「起承転結」と「三幕構成」の大きな違いは…

「起承転結」が物語の “流れ” で観客を惹き付けようとする思惑が強いのに対し…

「三幕構成」は、“主人公の目標” が重視される。

重要なのはストーリー全体の真ん中に"転換点"をつくること。

「三幕構成」を簡単に箇条書きで表すと次のようになる…

　　●第一幕：発端→状況や設定の説明と、主人公の目標を提示
　　●第二幕の前半：葛藤1→主人公が目標に向って前進
　　★この位置に「転換点＝ミッドポイント」が入る
　　●第二幕の後半：葛藤2→主人公がどんどん窮地に陥っていく
　　●第三幕：解決→主人公が目標に向って再び前進

上記を見てお分かりのように…

重要なのは、ストーリー全体の真ん中に “転換点” をつくるという「ミッドポイント」の考え方。

「起承転結」は「承」から「結」で物語を切り替えるが。

「三幕構成」は物語の真ん中で “主人公の立場が一転する” みたいな感じだ。

第一幕から第二幕の前半までは観客を惹き付けて…

第三幕の直前で「プロットポイントII」と呼ばれる切れ目をつくって、そこから一気に主人公の再起を描く。

これがハリウッド流。

「3分52秒」のアバンを作った意図は？

上記の「三幕構成」のポイントを踏まえると、今回の「3分52秒」のアバンを作った意図が見えてくる。

脚本も演出も演技も、私が前回で言及した ＜主人公・寅子の運命的な出会いであり、人生のターニングポイント＞ を強調しまくるため… ということだ。

花江「どうしても欲しいものがあるらば
　したたかに いきなさいってこと」

前回で、花江（森田望智）が寅子（伊藤沙莉）に言った上のセリフを受け止めて、寅子が強調する。

寅子「やるか したたか」

基本的に、朝ドラのヒロインはブレイクスルーする力（問題解決能力）に長けている設定だ。

しかし、この10年では、『あまちゃん』（NHK/2013年度前期）、『あさが来た』（NHK/2015年度後期）、『カムカムエヴリバディ』（NHK/2021年度後期）のヒロイン以外は、強い意志のもとで自分の進む道を選択するというより、「やりたい」「やってみたい」程度で進んじゃうのだ。

因みに、男性の主人公の朝ドラは比較的「世界初！」「絶対に成功させる！」が多い。

というわけで、今回のアバンは、徹底的に寅子の熱意、情熱、決心、活力を前面に押し出すことに成功した。

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「火鉢のやかんの湯気」で創出する季節感…

さて、今回も気分転換だ。

前作で少量物足りなかったのが “季節感” の創出だ。

基本的に室内から室内の連続で、屋外の設定が極端に少なかった前作『ブギウギ』の季節感は “草花” くらいだった。

しかし今作は主人公が場所を移動する機会が多いため、様々な要素で “季節感” が表現されている。

例えば今回なら、1分19秒での背中を向けた寅子の画面右下にあった「火鉢のやかんの湯気」だ。

これがないと、このカットから季節は伝わりにくい。

でも、2分39秒の猪爪家の居間にも火鉢とやかんと湯気が登場し「寒い中 ご苦労さま」のセリフでも強調している。

そして、障子を開けると外は雪で、食卓には鱈の煮付けに、寅子は毛糸のマフラーで。

放送時期が “もうすぐ春” だからこそ、劇中の季節が寅子にとっての “冬” であり、テレビの外も内も “春” を待つ… という意図になっていると思う。

劇中ではウェディングケーキが見当たらないのは当然のこと

メインタイトル明けは、昭和の結婚披露宴だ。

高砂(メインテーブル)には、新郎新婦の両脇に仲人さんご夫妻がいて、背後には金屏風。

平成になってから、仲人さんも金屏風もウェディングパーティーから消えた。

ウェディング業界30余年の私が少しうんちくをたれよう。

日本の披露宴でウェディングケーキが一般的になったのは…

昭和35年（1960）の石原裕次郎さんの結婚式での巨大ケーキがテレビ報道されたのがきっかけで。

一般に普及するのは、“団塊の世代” の結婚ブームとなった1970～ 80年代。

従って、劇中ではウェディングケーキが見当たらないのは当然のことなのだ。

寅子の歌の余興「♪モン・パパ」などなどについて

この披露宴のシーンで興味深かったのは、寅子の歌の余興だ。

歌った楽曲は、昭和6年(1930)の越路吹雪さんの大ヒット曲「♪モン・パパ」。

前作『ブギウギ』に登場した‘喜劇王・タナケン’こと棚橋健二（生瀬勝久） のモデルである “喜劇王エノケン” もレコード化している曲。

第1回で、「梅丸少女歌劇団」に入団すると言った寅子だけに、さすがの歌唱力。

そして、国民的喜劇俳優エノケンと‘タナケン’で、やはり先日書いたように寅子のモデルが「三淵嘉子」さんで、前作『ブギウギ』の主人公のモデルが「笠置シヅ子」さんで同い年という世界観の統一も見えてきたわけだ。

更に更に、このシーンで秀逸だったのが、寅子の心情を切々と語ったナレーションだ。

披露宴現場の音を消して、ピアノソロとナレーションで描写した寅子の複雑な心境。

一見、普通に見えるが、思い切り寅子の思いに寄せた尾野真千子さんの演技力が、寅子の笑顔に切なさを添える。

もちろん、伊藤沙莉さんの細かい演技力との相乗効果であるのは言うまでもないが。

C'est pour mon papa 榎本健一 モン・パパ Enoken

「第三幕：解決」のくだりがよくできていると感心するのは

話を「三幕構成」に戻す。

この結婚披露宴のくだりこそが、「転換点＝ミッドポイント」で。

寅子の歌が「第二幕の後半：葛藤2→主人公がどんどん窮地に陥っていく」になるわけだ。

そうなると、あとは「第三幕：解決→主人公が目標に向って再び前進」で。

そこに該当するのが、 寅子の両親と穂高（小林薫）が知り合いだったことだ。

この「第三幕：解決」のくだりがよくできていると感心するのは、全体の流れのスムーズさだ。

そもそも、寅子が疑問を抱いたのが「日本の婚姻制度」。

そこを発端に、兄と友人の結婚披露宴に参列する身内としての寅子を描くことで、寅子の結婚観が明瞭に見えるし。

寅子の決意も、両親の知り合いという偶然を通じての “縁” で紡いでいる。

ラストの寅子の母への決意表明が、演説に見えない理由

そして、全体の流れがスムーズで違和感がないからこそできたのが、ラストの寅子の母への決意表明だ。

例えば、『ちむどんどん』（NHK/2022年度前期）のヒロイン・暢子や、『舞いあがれ！』（NHK/2022年度後期）の舞、『ブギウギ』のスズ子なら、例の “演説風” になっている光景だ。

しかし今作は、幼少期を描かずに、寅子を “ハッキリとものをいうヒロイン” として描き続けてきたから違和感がないのだ。

そう、「子供の頃から変わった？」とか「急にここで演説!?」を感じにくい。

やはり、子役が演じようが、幼少期があろうが、主人公のキャラクターや設定はブレないのが一番大事ってことなのだ。

あとがき

今回の終わり方、正に「次が見たくなる」「先が気になる」になっていました。

どうやって、寅子が母親を説得するのか楽しみです。

ここで脱線。

毎夕に妻が実家の義母に電話していますが、昨夜は午後7時、8時、9時になっても通じず。

実家近くの親戚も留守で、義弟夫婦も連絡つかず。

結局、それから妻と千葉から東京へ雨の中を車を飛ばして行ったら「6時に寝ちゃった…」と眠い目をこすった義母が寝室から現れて（汗）

まあ、何もなかったからよかったですが。

おかげで、少し寝不足です…（笑）

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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