アンメット ある脳外科医の日記 （第2話・2024/4/22） 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・新 月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、TikTok

第2話『左の感覚失った少年…日記にはない秘密』の感想。

なお、原作(漫画)である、子鹿ゆずる(原作)･大槻閑人(漫画)『アンメット－ある脳外科医の日記－』は、既刊13巻全巻(2024年4月16日現在)を既読。

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ミヤビ（杉咲花）は助手として手術に参加し、ヤビの主治医である大迫（井浦新）と看護師長の津幡（吉瀬美智子）の反対を受ける。その後、高校生の鎌田亮介（島村龍乃介）が右脳損傷で左半側無視の後遺症を抱えて入院し、ミヤビは彼のリハビリを支援する。亮介はサッカー復帰を目指し、ミヤビも不安と戸惑いを感じながらも、三瓶（若葉竜也）のサポートを受け取る。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---

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原作：子鹿ゆずる(原作)･大槻閑人(漫画)『アンメット－ある脳外科医の日記－』
脚本：篠﨑絵里子（過去作/ｸﾛｻｷﾞ2006､2022,朝ﾄﾞﾗ｢まれ｣､竜の道）
演出：Yuki Saito（過去作/おっさんずﾗﾌﾞｼﾘｰｽﾞ,ﾘｴｿﾞﾝ-こどものこころ診療所-） 第1,2話
　　　本橋圭太（過去作/DOCTORSｼﾘｰｽﾞ.ｸﾞﾚｲﾄｷﾞﾌﾄ）
主題歌：あいみょん「会いに行くのに」
オープニング曲：上野大樹「縫い目」
音楽：fox capture plan（過去作/ﾔﾒｺﾞｸ､SUPER RICH､ﾌﾞﾗｯｼｭｱｯﾌﾟﾗｲﾌ）
Ｐ：米田孝（過去作/ｺﾝﾋﾞﾆ★ﾋｰﾛｰｽﾞ~あなたのSOSいただきました!!~）
　：本郷達也（過去作/星降る夜に,リビングの松永さん）
※敬称略

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「障がい」の表記について

当ブログでは、人や人の状態を表す場合、原則「障がい者」「障がい」と表記としています。
※法令、条例、規則などからの引用や固有名詞は対象としていません

かなり脚本家は苦戦中、いや悶絶中、いいや絶讚奮闘中

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

冒頭の構成からしても…
かなり脚本家は苦戦中、いや悶絶中、いいや絶讚奮闘中と称えたい！

そう考える理由がある。

普通の連ドラの第2話の冒頭なら、ほぼ間違いなく“前回のおさらい”から始めるはずだ。

第1話未視聴者へのサービス含めて、初回のダイジェストで事件を大々的に扱って。

一息入れて、今回のファーストシーンへ直結だ。

記憶障害の主人公・ミヤビ（杉咲花）が三瓶（若葉竜也）の助手として、手術に参加したことは大きな波紋を呼び。

ミヤビの主治医である大迫（井浦新）と看護師長の津幡（吉瀬美智子）が、院長の藤堂（安井順平）の「危険極まりない行為だ」に右へ倣えで、ミヤビと三瓶に猛抗議… のくだりだ。

しかし、脚本家はそうは書かなかった。

ミヤビが今作の主人公であることを強調するため

なぜ、そうしたのか？

それは、ミヤビが今作の主人公であることを強調するためだと思う。

ご存じの方も多いと思うが、原作(漫画)の主人公は三瓶医師だ。

三瓶がミヤビの治療をするために帰国するのだ。（これ以上は書かない）

でも、今作の企画では主人公をミヤビに改変した。

改変の是非を問うのは、ここではやらない。
原則、原作と実写ドラマ版は比較しない立場だから。

冒頭の約２分間は絶讚奮闘中の証しの一つ

で、話を「なぜミヤビを強調できるのか？」に戻す。

大迫教授、藤堂院長、津幡看護師長に責められたミヤビが、次の大迫の言葉を胸に、もう一歩踏み出すことを強調できるからだ。

大迫「後遺症のある君にしか
　できないことがあるはずだよ」

かなり慎重派なミヤビらしく、今は焦らずに後遺症のある自分にしかできないことを探そうと思い直す姿にスポットライトを当てるという計算があったと思う。

これを、時間軸どおりの流れ「手術で補助 → 反省会」で描くと、「ああ、そういう内容だったよね」で終わってしまう可能性が高い。

でも、「反省会(注意)→ 手術(回想) → 反省会(指導)」にしたことで、「あの医療行為は正しかったのか？」と視聴者に疑問を投げかける形になるのだ。

医療ドラマの見どころの一つとして、「自分が、家族が、知り合いが患者だったら、この医者は…」的な没入感や感情移入といった共感性があると思う。

今作は、毎回一話完結のゲスト患者が登場するが。

恐らく作り手は、主人公のミヤビとゲスト患者の両方に没入し感情移入してほしいと思って作っていると思う。

そうなると、「まだ第2話」だから、まずはミヤビに共感させる必要がある。

だって、ミヤビに共感しなければ、ミヤビの治療にも共感できないわけだから。

長くなったが、これらの意味から、冒頭の約２分間は絶讚奮闘中の証しの一つだと思う。

苦戦中、悶絶中に見えた部分

では、奮闘中の一方で、苦戦中、悶絶中に見えた部分も解説してみる。

結論からいうと。

「不慮の事故で脳を損傷した脳外科医・ミヤビの日々を描いた日記的な医療ドラマ」と。

「過去を忘れたミヤビと元婚約者・三瓶の謎解きドラマ」と。

「不慮の事故で脳を損傷した脳外科医・ミヤビが主治医の医療ドラマ」の３つがうまく重なって見えないのだ。

好意的に見れば、“ミヤビだからできる治療” になっている。

しかし、冷静に考えれば、優秀な脳外科医なら患者の高校生の鎌田亮介（島村龍乃介）が逃げ込んだ場所くらいわかるはずだ。

それこそ、歴代の医療ドラマの名医なら一瞬でたどり着くレベルだと思う。

ノートを見て覚醒するのが "40分前後" なのは遅すぎる

だから、ここは、

「ミヤビの日々を描いた日記的な医療ドラマ」と「ミヤビと三瓶の謎解きドラマ」を、もっと減らす、薄めるべきだったと思う。

で、ミヤビに医師として戻ってほしいと願う三瓶からの流れで「ミヤビが主治医の医療ドラマ」をもっともっと強調して良かったと思う。

「結構、ミヤビが高校生のリハビリに付き添って、頑張っている場面があったけど」と思う人がいるかもしれない。

しかし、リハビリは理学療法士や作業療法士、トレーナーなどの仕事なのだ。

院長と教授から「脳外科医として動くな！」と言われているから、こうなってしまうのは分かる。

それとしても、１時間枠のドラマとしては、病院を抜け出した高校生から、ノートを見て覚醒するのが “40分前後” なのは遅すぎるというか、そこまでが長過ぎると思うのだ。

それこそ、医療ドラマあるあるなのは承知しているが、もう少し「飲み会」を減らして、ミヤビがいつもより早起きしてノートを見直すシーンを増やすとか、逆に詳細に書き込む様子を印象付けるとか。

要するに、タイトルにも入っている「ある脳外科医の日記」を、もっともっと意味あるモノ、ミヤビの本音。ミヤビの脳外科医としての才能みたいなものの象徴して描くべきだと思う。

私の「お買い物メモ」とは違うわけだから。

"リハビリの辛さ"を描くのは悪くない

期待している作品だから、敢えて私も本音で書いてみた。

しかし、今回も私の心に響いたシーンもたくさんあった。

例えば、直球だがリハビリの辛さの描写だ。

私も、未だに週２回４年以上整形外科病院の理学療法士の指導の下、自宅で一年365日休むことなく１時間のホームリハビリをやっている。

休むと… う～ん、簡単にいうと連続歩行ができなくなる… のだ。

でも、毎日やっているから、日常生活に支障はない。

今作も、リハビリの辛さと、乗り超えれば先があることが描かれたのは良いことだ。

"泥臭い医師と患者の信頼構築"は最近のドラマとして秀逸

もう一つ挙げるなら、終盤での文字どおりの「泥臭い主治医と患者の信頼関係の図」だ。

わざとらしい泥水と水溜まりなのはご愛嬌としてスルー。

最近の医療ドラマは、すぐに患者が脱走するのもスルーする。

しかし、お互いに泥まみれになって座り根で「日記」をはさんで二人が互いに信頼をし合う関係になったのは良いと思う。

私の妻も看護師で助産師だが、産婦人科の現場勤務でなくなった今も、30年以上前に赤ちゃんを取り上げた妊婦さんと交流があるし。

妻が取り上げた赤ちゃんが「私も大きくなったらナースになる」と宣言して、今、救急救命で看護師として働いているなんてホントの話もあるのだ。

院内でのゴタゴタを描くドラマが増えているが、やはり医療ドラマの醍醐味は、医師と患者のやり取りだと私は思う。

そこを、もっともっとブラシュアップしたら、更に化けると思うので期待したい。

あとがき

第2話になって、サブキャラクターの出番が増えて、群像劇の匂いが強まったのも気になります。

“大人の事情” は理解しますが、それをやっちまうと、一瞬で「ミヤビが主治医の医療ドラマ」は薄まるはず。

だって、サブキャラたちも“謎解き”に参入するのは目に見えていますから。

どうか脚本も演出も余計なことはせずに、「主人公はミヤビ」だけやってほしい。

本当、「脳障害のミヤビ」を強調する、ちょっとしたさじ加減の問題だと思いますよ。

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