連続テレビ小説「虎に翼」 （第18回・2024/4/24） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
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第18回／第4週『屈み女に反り男？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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親睦を深めるためハイキングに行くことになったが、花岡（岩田剛典）たちの態度に溝を感じ、浮かない気持ちの寅子（伊藤沙莉）。梅子（平岩紙）は三男・光三郎（石塚陸翔）を連れてきて、皆で楽しくおにぎりを食べる。だが小橋（名村辰）らが光三郎の前で梅子の夫にめかけがいることを誇らしげに話す。信じられない思いの寅子たち。梅子の家庭の事情が明らかになる一方、花岡は山道で足を滑らせてしまい…。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,鎌倉殿の13人,やさしい猫）
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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轟太一の立ち聞きを盛り込む辺りが、うまくてニクイ脚本だ

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

これまで、今作を「朝ドラらしからぬ朝ドラ」と評価してきた。

しかしそれは、逆説的に「朝ドラらしい朝ドラ」を強く意識しているから作ることができるわけで。

例えば、今回で朝ドラあるあるの王道があった。

終盤での、轟太一（戸塚純貴）の立ち聞きだ。

轟は「男は強くあるべし」と男らしく振る舞うことを良しとする男だが、主人公たち女子部には意外に “いい人” だ。

やはり、単純に「男 VS 女」の対峙構造に持ち込むのは簡単だが、それをやるといろいろと角が立ってとげとげしくなる。

そこで、男子学生の中にも “味方” 的なキャラクターを配置するのは緩和策として悪くない。

もちろん、轟がいるから、法廷劇を邪魔した男子学生・小橋（名村辰）らしさが、ドラマの中で際立って面白いわけだ。

某朝ドラのような"騒動至上主義"に陥ってはいない理由

さて、今回は、騒動に次ぐ騒動だ。

しかし、某朝ドラのような “騒動至上主義” に陥ってはいない。

ここでいう騒動至上主義とは、騒動を描くことが目的となり、物語や人間を描くことを蔑ろにする愚かで稚拙な脚本や演出のこと。

なぜ、今回が “騒動至上主義” でないと言えるのか？

第一に、猪爪寅子（伊藤沙莉）と花岡（岩田剛典）のやり取りが、単なる感情の発散、言いたいことを言うだけ、相手を叩きのめす前提の口げんかになっていないこと。

前回のこと、今回の靴擦れのことなどを前提に、異なる意見や価値観を持つ人たちが、それぞれが自分の立場を述べているように描かれていた。

流石に、花岡や小橋は相手の立場を理解しようとしているようには見えないが。

それでも冷静に見れば、自分の立場からではあるが建設的な意見交換に見えるし、できれば問題解決に至りたいと願っているようにも見えた。

それが分かるのが、次の二つの寅子のセリフだ。

寅子「えっ？ 養ってるから 何ですか？」

寅子「私たちは 特別扱いされたいんじゃない」

しっかりと、少々分かりづらい寅子の主張、寅子の立場をうまく会話劇に落とし込んでいる。

寅子を含めて、よねと梅子もうまく描き分けができている

そして、寅子と花岡の言い合いに結論を出さないで、大庭梅子（平岩紙）と三男・光三郎（石塚陸翔）の母子関係や、「大庭家」の夫婦や家族の話に持っていった。

連ドラの今後のことを案じれば、ここで寅子と花岡のガチの論争に決着をつけると時期早々に思うし。

何より、寅子と花岡の意識の違いことが今作の肝でもあるから、ここはよい意味で引っ張るべきだ。

で、梅子の苦悩、そして吐露…

梅子「私は 長男を救えないって
　諦めてしまっている」

一般的には「諦めからは何も生まれない」というが、梅子は自分と我が子の関係修復は諦めたが、そのあきらめをエネルギーに変換して法曹界へ殴り込みをかけたわけだ。

この辺りの描写が、山田よね（土居志央梨）とは違うところだ。

よねは、男性に、男性社会に対して強烈に嫌悪感を表し、近寄る者すべてに反発反論食って掛かる。

私は、そんな虚勢を張って生きることでしか、よねは自分のアイデンティティを確認できないと思って見ている。

でも、梅子は違う。

自分の境遇や立場を一旦全部受け入れて、自分がやるべきことを、やりたいことを取捨選択している。

人間として、登場人物として、好き嫌いはあると思うが。

ドラマとしては、寅子を含めて、よねと梅子もうまく描き分けができていると評価したい。

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デリケートな"設定"を敢えて朝ドラに持ち込むチャレンジ精神

梅子「長男は もう無理かもしれない。
　でも せめて 次男とこの子は
　絶対に夫のような人間にしたくないの」

前回（第17回）で、梅子と徹男の間に、21歳、13歳、8歳の男子ばかりの息子がいることが描かれた。

第一子と二子が8歳差、第二子と三子が5歳差なのに、ちょっぴり「？」と思ったのだ。

でも、誤解を招くかもしれないが。

夫・徹男（飯田基祐）の暴君さに嫌な思いをしていた梅子の ＜妊娠と出産、育児＞ への、ささやかな抵抗とわずかな希望を、三人兄弟の年の差で表したのかも？

こういうデリケートな“設定”を敢えて朝ドラに持ち込めるのは、夜ドラ『恋せぬふたり』や特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』の脚本を手掛けた吉田恵里香氏だからこそだと思う。

女性たちの権利獲得までの壮大なスペクタクルロマンの序章

さて、ここで前回で予告して、ようやく投稿を終えた下記のネタに話をつなげてみる。

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

©NHK & ﾃﾞｨﾚｸﾀｰの目線blog

今回を見終えても、やはり「和製アベンジャーズ」なんだなぁと、勝手に納得しちゃった点を挙げてみる。

例えば、終盤の梅子が身の上話をして、法律家になる決意を語るシーン。

普通のドラマ、並みの朝ドラなら、もっと寅子をはじめとして仲間たちが強くエールを送ると思う。

でも、今作の寅子たちはじっと聞き入るスタンス。
※最後は、寅子が梅子に抱きつくが。

敢えて自分から寄って行ったのは、朝鮮半島から法律の道を志し日本に渡ってきた留学生・崔香淑（ハ・ヨンス）だ。

朝鮮半島といえば、儒教の教えが強く深く根ざし残っている地域だ。

儒教の説明は、先の投稿で簡単にやったので省略するが、崔香淑が梅子に共感するところがミソなのだ。

女性たちが、国や宗教や思想を超えて、法律で女性を、世の中を変えようとするドラマが、この『虎に翼』だ。

やはり、女性たちの権利獲得までの壮大なスペクタクルロマンの ＜序章＞ であると思う。

あとがき

第1週で寅子、第2週で涼子（桜井ユキ）、第3週で よね、第4週で梅子にスポットライトが当たった感じでしょうか。

個人的は、崔香淑と涼子のお付き・玉（羽瀬川なぎ） にもフォーカスしてほしいですね。

ただ、一応この流れからすると、和製アベンジャーズの紹介は今週で一時停止でしょうね。

あまり人物設定や状況説明が続くと飽きますから。

明日と明後日で、花岡がどうしてあんな男性になったのか？ を描くくらいがちょうど良いと思います。

そうしないと、花岡が悪役になり過ぎて、それはそれで「男 VS 女」が続くだけで面白くないですから。

おっと、予想は外れるかもしれませんけど（汗）

みっきーの植物図鑑（第224回）

千葉県南房総の「お花の町・千倉」から届いた“そら豆”です。

30年近く前に、東京の大学病院で助産師をしていた妻が赤ちゃんをとり上げた妊婦さんから毎年「自宅で収穫したそら豆」を送っていただきます。

そのときの赤ちゃんが、今は千葉県で、それも我が家から意外と近くで看護師として働いています。

いろんなご縁がありますね。

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 

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