連続テレビ小説「虎に翼」 （第8週・土曜日版・2024/5/25） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
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第8週『女冥利に尽きる？』の「土曜日版」の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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結婚した寅子（伊藤沙莉）は手伝いとして働くよね（土居志央梨）とともに子の親権を義父と争う女性・両国満智（岡本玲）の依頼を引き受ける。弱い女性の味方になろうと奮闘する寅子だったが、満智のうそを見抜くことができず自分の甘さを痛感することに。そんな中、寅子は久保田（小林涼子）が弁護士を辞めることを知る。自身も子供を授かるが、無理をしすぎて倒れてしまう。限界を感じて弁護士を辞める決意をした寅子はやがて、娘・優未（ゆみ）を出産。幸せな暮らしを営んでいたが、優三（仲野太賀）の元に召集令状が届く。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4,7週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3,8週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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‘ずる賢い女’の両国満智が登場したのって、今週だっけ？

私のブログに来てくれて、ありがとうございます。
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、私が管理人のみっきーです！

毎週のように書いているが。

‘ずる賢い女’の両国満智（岡本玲）が登場したのって、今週だっけ？

今週も内容満載の一週間だったわけだが。

寅子が５つの看板を背負っていることを強調して編集して…

久し振りに書くと思う。

今作ではほとんど書いていないのは、書かずともちゃんとできているからだ。
それが…

ドラマ、特に連ドラでは、「主人公が生きている世界」と「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」をきちんと共存しているように描くべき！ ということだ。

要するに、主人公は一人で生きているわけでなく、周囲の存在によって生きている部分もあるし、主人公がいるから成り立つ部分もあることを忘れちゃいけませんよ… なのだ。

そして今週は、見事に “３つの世界” がきれいに描かれた。

概要で書くと…
　●寅子の女性としての物語
　●寅子の周辺の人たちの物語
　●主人公を取り巻く社会や時代の物語
の３つだった。

でも、この「土曜日版」では、あえて「寅子の女性としての物語」だけに絞り込んで
きた。

誤解してほしくないのは、「寅子の周辺の人たちの物語」と「主人公を取り巻く社会や時代の物語」を蔑ろに編集してあったのではないってことだ。

寅子が「良き女性弁護士」「良き妻」「良き娘」「良き教え子」「良き先輩」「良き母親」という５つの看板を背負っていることを強調して編集することで、それぞれの寅子にかかわる人たちを描いたのだ。

山下誠一郎さんの語りと、語りの中の接続詞の使い方に注目

それを、巧みにやってのけたのが、後付けの山下誠一郎さんの語り（土曜日版）と、語りの中の接続詞の使い方だ。

例えば、絶妙な補足によって分かりづらかった展開を明快にした上で、寅子（伊藤沙莉）の失態を強調した語りがこれだ。

Ｎ「後日 女性を守りたい一心で
　見落としていた事実に気づきます」

まず、冒頭に「後日」と入れたことで、寅子が裁判が終わって何もしてないことを表現し。

失態が「基礎的な見落とし」であったことを強調した。

このことで、寅子も万能ではないこと、ひとりの力には限界があることが分かる。

更に。

雲野「誰かの人生を狂わせたことを忘れてはいかん」
寅子「申し訳ありませんでした」
Ｎ「その翌日」

このナレーションによって、きっと一晩中落ち込み反省してた寅子を優三（仲野太賀）が見ていて、翌日に励まそうと思ったことが推測できる。

因みに「本編」では「翌日」との説明は一切なく、失態を反省したあと、寅子が直言（岡部たかし）の工場に書類を届けるくだりになって。

その直後はメインタイトル映像となり、タイトル明けは説明なしで川辺を歩く寅子と優三へ直結している。

でも、繰り返すが、「土曜日版」では明確に「翌日」としたことで、優三の寅子への愛情が見える編集になっているのだ。

この編集が、「寅子の周辺の人たちの物語」を薄めて「寅子の女性としての物語」を強調しているわけだ。

女性弁護士として一人で戦っている孤独感のほうを強調

もう一つだけ例を挙げてみる。

寅子「久保田先輩は 妊娠中も出産後も
　弁護士として ご活躍ですから」 Ｎ「しかし その久保田は…」

「本編」では、寅子はすぐに雲野先生（塚地武雄）に話すと言うし、久保田（小林涼子）が登場して活躍を話すのかと思わせるくだりがある。

しかし、「土曜日版」は「しかし」と全部カットして、結婚出産した女性が弁護士として仕事を続けることの困難さに直結させている。

このことで、寅子の考えが甘いこと、机上の空論であることよりも。

寅子が、女性弁護士として一人で戦っているという孤独感のほうを強調したのだ。

「土曜日版」として新しい価値観の創造として意味があった

まとめよう。

「本編」がここまでテンコ盛りだと、15分間のダイジェスト版に収めるのは至難の業だ。

そこで、「戦時中」の要素をすべて薄めにして、「女性弁護士の生き様」だけにフォーカスした編集を選択せざるを得なかったのだろう…

そういうことだと思う。

その取捨選択によって、結果論ではあるが「令和の、働く女性の生きづらさ」を描いたドラマのダイジェスト版になったと思う。

まっ、「今現代にも通じる 100年前の出来事」を描いている点も、「朝ドラらしからぬ朝ドラ」らしいと思うし。

あくまでも「土曜日版」だから、これはこれで新しい価値観の創造として意味があったと、私は考えるが。

あとがき

敢えて、予告編の内容には触れませんけど。

なんとなく、悲しい、切ない、苦しい展開になりそう。

でも、それが “戦争を描くこと”ですし、目をつぶることなく見ないと… です。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』
21 22 23 24 25 土 
第6週『女の一念、岩をも通す?』
26 27 28 29 30 土 
第7週『女の心は猫の目？』
31 32 33 34 35 土 
第8週『女冥利に尽きる？』
36 37 38 39 40 

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