朝ドラ「虎に翼」寅子、花江、よねで描かれる100年前の“同年代の女性の多様性”を考える

朝ドラとしては珍しく若い女性の視聴者層に人気がある理由

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只今、絶賛放送中の NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』。

当ブログでも、毎日感想を投稿して絶賛応援中だ。

朝ドラ『虎に翼』とは、日本史上初めて法曹界に飛び込み、日本初の女性弁護士となった一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー。

主人公・佐田寅子〔旧姓：猪爪〕（伊藤沙莉）のモデルは、日本初の女性弁護士の一人であり、初の女性判事および家庭裁判所長となった三淵嘉子さん。

説明はこれくらいにして、今回の本題。

今作が、朝ドラとして珍しく若い女性の視聴者層に人気があるという。

ちょうど今、現職の小池百合子都知事の対抗馬（まだ出馬表明はしていない）として、立憲民主党の蓮舫参院議員が立候補して話題になっている東京都知事選挙と今作を絡めて論じてみようと思う。

寅子が目指しているのが「男女同権の社会」

今作で、寅子が目指しているのが、ざっくり言えば「男女同権の社会」だ。

今（令和6年6月）は、一応法律上は男女同権になっており、社会が目指しているのは、現政府的にいうなら「女性が輝く社会」となる。

とはいえ、「男性も女性も性別に関係なく、生きづらさのない（少ない）社会」とするのが分かりやすいし、妥当だと思う。

以下は、「男性も女性も生きづらさのない社会」とさせていただく。

寅子のような意識の高い女性法律家が社会を変えられるのか？

今作には、「女性法律家、女性弁護士が誕生する展開」があったのは言うまでもないと思う。

寅子を含めた “とらツバ・アベンジャーズ（以下に説明アリ）” が「男性も女性も生きづらさのない社会」のために、法律家になろうとした展開は、ご存じのとおりだ。

穂高教授（小林薫）が、男性社会に対して少し変わった視点の持ち主である寅子に着目し、後押しする展開もあった。

ここで私が着目したのが、寅子のような意識の高い女性法律家が社会を変えることができるかどうか？ だ。

異論反論あると思うが、私は、そう簡単に変えられるとは思わない。

未だに、都知事選を「女性対決」と決めつけをやるのか？

例えば、下記のようなネットニュースを見かけたことがあると思う。

小池百合子は「もう限界」で蓮舫は人気ガタ落ち…都知事選「女性対決」がグダグダになりそうな理由（安積 明子） | 現代ビジネス | 講談社（1/4） 

敢えて性別を記すが。

国会議員政策担当秘書としての経歴を持つ女性政治ジャーナリストでさえ『女性同士の一騎打ちに』という見出しを付けて論じているのが、令和6年6月なのだ。

だって、これ、小池現東京都知事と立憲民主党の蓮舫氏が “共に男性” だったら、果たして『男性同士の一騎打ちに』なんて見出しを付けたのか!?

そういうことなのだ。

どんな意図があるのか知らないが、文章は切り取られて独り歩きするものなのだ。

だから、PVを稼ぎたいとしても、都知事選を「女性対決」などと比喩して論じるのは軽率な気がする。

女性と男性の法律家が"同人数"になれば、社会を変えられる

話を今作に戻そう。

寅子の時代、モデルである三淵嘉子さんが第二東京弁護士会に弁護士登録をした、今から約84年前の昭和15年（1940）からしたら、だいぶ女性の社会進出、政治進出は進んでいるは確かだ。

だから、寅子のような意識を持った女性たちの数が増えれば。

それこそ、男性法律家と同人数にまでなれば、女性と男性が共に社会を変えていくことはできると思う。

なぜ、そう思うのか？

それが、6月4日放送の第47回での花江の反応を見たからに他ならない。

花江「私は とてもじゃないけど笑えないわ」
寅子「えっ？」
花江「直道さんの仇(かたき)の国の人と
　トラちゃんが仕事して 仲よくして」
　寅子「それは…」
花江「ごめんなさい 今のは忘れて。
　トラちゃんは 家族のために
　頑張ろうとしてくれてるのに…。
　ごめんなさい はあ～。
　しかたないわよね
　負けたのは日本なんだから」

あまり登場人物やリアルな人間をステレオタイプに分けるのは好きではない。

が、分かりやすく論じるために、敢えてステレオタイプに書いてみる。

「寅子と花江」という"同年代の女性の多様性"を持ち込んで

寅子のように自由で革新的な考えの女性は必要だ。

でも、私は保守的な女性が増えることも、ある意味で必要だと思う。

これは、寅子の時代も、今にも通じることで。

女性だから、全ての女性が「女にも男と同じ権利を！」「女を差別する男は許さない！」ではないと思うのだ。

逆に男性だって、全ての男性が「女は家で家事と育児をやっていればいいんだ！」「女の仕事なんて所詮結婚と妊娠までの腰掛けだろ？」でもないと思うのだ。

要するに、それぞれの立場を尊重することが、男女共の多様性だと思う。

とにかく上を目指して、そうでない女性を差別する女性もいるだろうし。

権力志向や上昇志向がほとんどなく、女性とうまく付き合っていける男性もいるだろうし

こう考えると、今作では「寅子と花江」という“同年代の女性の多様性”を持ち込んで描いているわけだ。

寅子もよねも意思表示するタイプだがやり方に多用性がある

もう一つ、今作に持ち込まれている“同年代の女性の多様性”が「寅子と よね」だ。

よねとは、山田よね（土居志央梨）のこと。
男装の女性で、同級生の誰とも群れたがらず、女性の社会進出に熱い信念を持っている。
しかし、第49回放送時点では法律家になっておらず、戦後の行方も分かっていない設定の女性だ。

ここでの多様性は、次の構造だ。

寅子もよねも、「自分の意思を言葉と行動で示す」という共通点はある。

しかし、寅子は男性たちも認める“正攻法” で意思表示をするのに対して。

よねは、暴力（法廷劇を邪魔された際は寅子もだが）や激しい口調で相手を論破するかのように意思表示する。

暴力は決して肯定しないが。

今作では、暴力は咎められて当然のことだが、時と場合には女性が男性に対して正攻法で向かって行っても、相手にすらされないという厳しい現実の描写になっていたのだ。

花江の気持ちをくみつつ「自分の意思を言葉と行動で示す」

少し話を進めよう。

このような状況を経験・体験してきた寅子だから。

「自分の意思を言葉と行動で示そうとはしない」立場の花江のことを考えると、ついつい「スンッ」ってなるし、これまでの寅子を知る人物から見れば “謙虚” に映ってしまう態度しか選択できなかったと思う。

だって、寅子は、これまで幾度も花江に助けられて、ここまでたどり着いたし。
兄・直道（上川周作）や息子たちとの家族愛も十分すぎるくらいに身近で見て感じ知っている立場だから、

花江の立場や気持ちを無碍に扱うことに悩んだ… そういうことだったと思う。

しかし、今作の大きなテーマであり。

寅子の人生訓でもあると思われる…

「自分の意思を言葉と行動で示す」が、今作の根底には脈々と流れているのだ。

だから、寅子は前回（第49回）で、まずは同じ考えの持ち主である女性代議士・立花幸恵（伊勢志摩）らに賛同の意思表示をした。

同志を得た寅子は「自分の意思を言葉と行動で示す」ことをやらないと何も始まらないことを思い出し、言葉と行動で示したのだ。

こうして考えると、主人公の寅子、サブキャラクターで真逆のタイプの花江と よねによって、およそ100年前の “同年代の女性の多様性” が組み込まれ、巧みに描かれているのが分かるし。

男性も女性も “それぞれの性の多様性” を認めること、尊重することが、「男性も女性も生きづらさのない社会」の創出の第一歩であることも見えてくるし。

主人公たちが命がけで「男性も女性も生きづらさのない社会」を目指しているところに、今もなお女性差別が絶えない社会に悩む若い女性たちが惹かれるのかもしれない…

あとがき

まだ、今日(6/7)放送の第50回は見ていません。

でも、きっと、上で書いた寅子とはちょっと真逆ですが、前回で心をほぐした花江と。

良い意味で、男性と女性、保守派とリベラルの中間的立場、中立的なポジション、ニュートラルな立ち位置である寅子の母・猪爪はる（石田ゆり子）の三人を活用して、これまで以上に “女性の多様性” を描きつつ。

＜シン・寅子＞ の誕生、寅子の覚醒、トラちゃんの開眼をドラマチックに描いてくれると信じます。

最後に、この展開予想からすれば、間違いなく よねさんは生きていると思います…

いや、これらをやるために全ての “設定と展開” があったと思うので、ハズレることはないと思います（けど）

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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