連続テレビ小説「虎に翼」 （第63回・2024/6/26） 感想

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第63回／第13週『女房は掃きだめから拾え？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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大庭家の問題は解決せず、家裁に調停の申し立てが行われた。梅子（平岩紙）は息子たちが均等に分けることを望むが、長男・徹太（見津賢）は他の兄弟に相続放棄を迫る。当初は徹太の相続に同意していた常（鷲尾真知子）だったが、長男夫婦の世話にはなりたくない、三男・光三郎（本田響矢）により多く相続して欲しいと言い出す。裁判官としてしか関われない寅子（伊藤沙莉）は梅子を案じていた。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4,7,10,11週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3,8,13週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5,6,9,12週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
裁判所考証：荒井史男（元名古屋高裁長官　定年退官）
風俗考証：天野隆子（過去作/ごちそうさん,花子とｱﾝ,ｽｶｰﾚｯﾄ）
旧字考証：三浦直人（明治大学大学院 文学研究科 史学専攻 日本史学専修）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
医事考証：冨田泰彦（過去作/育休刑事,らんまん.どうする家康）
ジェンダー・セクシュアリティ考証：前川直哉（福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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３タイプのテーブルで、人間関係や進展具合も見えてくる

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

室内でも熱中症の危険があるとのこと。
こまめに水分補給してくださいね。

やはり、前回の感想で書いたことが、当たっていたように思う。

それは、今週が、あくまでも朝ドラらしい “肩の凝らない泥沼劇場” で踏ん張っているという感じ… であるという印象のことだ。

前回では、大庭家の家族会議の場面で、必要以上に長～～～い２台の四角い座卓とカーペットで作った空間で、轟（戸塚純貴）の名刺が人伝に動く様があった。

私は、あれを、演出や美術さんが少し取り入れたコミカル要素だと判断した。

今回のアバンタイトルでは、横長に楕円形のテーブルに、背後の隅っこに轟と よね（土居志央梨）。

これ、明らかに前回の「長い四角」と「長い楕円」の対比になっているだけでなく。

泥沼を何度か和解（丸く収める）ように進展させようというのが映像で伝わる。

その後の、調停員の根本（清水伸）と長峰（福田温子）と寅子（伊藤沙莉）の話し合いは、今度は「短い角丸のテーブル」で丸みが少なくなったことで、争点が混迷していることも見える。

初回から脈々と流れ続けているのが "知ると理解は別物"

そして、今の時点の今作と、寅子が抱える最大の課題を根本のセリフが伝えた。

根本「知ると理解は別物ですからな。
　そう簡単に この国に染みついた
　家制度の名残は消えんということです」

実は、今作に初回から脈々と流れ続けているのが “知ると理解は別物” だ。

そのことを今作では、赤「地獄の道」などと表現もしている。

そう考えれば、寅子の地獄はまだまだ続くというわけだ。

因みに、調停員のお二人は『らんまん』にも出演されており。
清水伸さんは、『らんまん』で「峰屋」の分家の紀平 役、福田温子さんは「田邊家」の女中 役だった。

これだけ、コミカル要素が入ると今作らしさとしても満足

さて、メインタイトル映像明けは、更にコミカル要素が炸裂だ。

寅子「ああ～っ！」
多岐川「急に でかい声を出すな」
寅子「すみません。あ～」
多岐川「はあ… 『あ～あ～』うるさい。
　せめて きちんと言葉にしろ」
寅子「したくても できないんですよ。
　裁判官としての守秘義務です」

とにかく、梅子（平岩紙）に関わりたい、梅子を助けたい… の寅子の“大声”が本当にいい。

伊藤沙莉さんの屈託のない感じも、メリハリのある芝居も相まって、ホント楽しい。

この “大声” を更に強調したのが、猪爪家の夜のシーンだ。

大人の恋愛事情に精通しまくっている？ 直人（琉人）の分析。

寅子と直明（三山凌輝）の姉弟の大きな笑い声。

そして、MUGO・ん…犬の遠吠え（笑）

これだけ、コミカル要素が入ると今作らしさとしても満足だ。

母・梅子と息子たちの思いを "おにぎり" に重ねて描いた

コミカル演劇の直後は、再び梅子の泥沼劇場の再開だ。

しかし、この場面は、うん、私はとても好きだし、いいシーンだと思う。

梅子の過去を描きつつ、三男・光三郎（本田響矢）の母親への優しさと兄弟愛。

光三郎とは違う次男・徹次（堀家一希）の母への積年の恨みと悲しみ。

それらから、三人の息子が平等に幸せになってほしいと願う母としての唯一の望み。

これらを、母の味、おふくろの味としての「おにぎり」に重ねた。

梅子の「おにぎり」といって思い出すのが、4月24日放送の第18回だ。

花岡（岩田剛典）たちのとの親睦を深めるためハイキングに、梅子が光三郎（石塚陸翔）を連れてきて、皆で楽しくおにぎりを食べる印象的な場面だ。

あのときの小橋（名村辰）らまき散らした騒動によって、梅子の家庭の事情が明らかになった。

脚本も演出も秀逸なのは、回想シーンを１秒も挟み込まなかったこと。

今作は、全体の脚本が完成してから撮影に入っていると聞いているから、のちに必要とあらば、子役を使って撮影しておくことも可能だし、あれが引っ張り出して使うのが常套句的な編集だ。

でも、ここで回想を入れないのは、まさしく、基本的に ＜回想シーンはドラマでも物語でもない＞ からだ。

当然のことがやられているだけで称賛してしまうのは、最近のドラマの質が低下している証拠でもあるわけだが。

終盤では "トラつば・アベンジャーズ" の回想が効果的に！

終盤も “らしい” のテンコ盛りだ。

終盤では “トラつば・アベンジャーズ” 時代の回想シーンが盛り込まれた。

では、これはよかったのか？

結論からいえば、こっちは意味がある… だ。

先の大庭家でのシーンは、あくまでも、サブキャラクターである梅子と光三郎の過去を説明するだけの役割しかない。

でも、終盤の回想は、裁判官としてしか関われない主人公・寅子と悶々として気持ちの理由の説明になっている。

確かに、笑顔で空を見上げる寅子のカットに、例えば「青空の情景カット」を絡めて、語りで補強しても良いが、語りの尺が長いため、やったら間延びをすると思う。

でも、トラつば・アベンジャーズ” 時代の回想なら、初回から見続けている視聴者なら、「そうそう、ああいうことが梅子たちにはあったんだよね」と容易に感情移入できる。

語り「離婚も親権も得ることも
　できなかったけど
　光三郎ちゃんのこと
　立派な青年に育てたんだね。
　それだけで
　うれしくてしょうがない梅子です」

そう、必死に夫や姑と闘い続けた梅子を知っているから、“関われないけど、うれしい” のは、寅子も私も、きっと他の視聴者も同じだ… そのような演出になっていたと思う。

だから、私たちの代わりに寅子が両足を突っ張らかして叫んだ「ああ～っ！」が心に刺さるのだ。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

寅子は、積極的に他人の問題に関われない主人公だからこそ

少しまとめよう。

先日の感想でも書いたが。

寅子は、自分自身の問題についてはとてつもなく “ブレイクスルー(問題解決)能力” に長けた人だ。

その点は、これまでの朝ドラの主人公、ヒロインとの大きな共通点だ。

しかし、寅子が “これまでの朝ドラの主人公” と違うのは、他人のことには中立で、“ブレイクスルー能力” を発揮して問題解決に果敢に挑めない点だ。

今回なんて、正にそれだ。

この設定によって、先日最終回を迎えたドラマ『花咲舞が黙ってない』の主人公の「お言葉を返すようですが」とは、やれないのだ。

だから、今までの朝ドラのようなスッキリ感は薄い。

でも、今回のような “大声” による感情表現が、「お言葉を返すようですが」の代替品になっているうえに、ちゃんと “中立性” を担保している点が、花咲舞の斜め上を行っているようにも思う。

和田庵さんのイメージのためにも…

最後に。

恐らく、賛否両論、というか、私自身が判断に迷ったのが、セリフだけで登場した道男（和田庵）。

花江「その おいなりさんね
　道男君が持ってきてくれたのよ」

賛成できるのは、道男は更生するために笹山（田中要次）の「笹寿司」で働いている設定だから、その “続き” を描くのは間違っていないから。

しかし、そもそも、時代であっても犯罪を犯し、猪爪家で騒ぎ立て、特にイメージ回復をするような言動はない道男の “続き” を見たい人がどれだけいるのか？ とも思うのだ。

それこそ、“知ると理解は別物” を道男に当てはめれば、道男が本気で更生しようと修行しているのかも微妙だと、今作が言っているのだ。

私は、静かにフェードアウトしたほうが、和田庵さんのイメージのためにも良いと思う…

あとがき

期待どおりに、次回で「ラジオ出演」が盛り込まれるみたいですね。

下記の投稿に書いたように、寅子のラジオ出演は朝ドラ『花子とアン』の世界観とつながる可能性があるエピソードなので注目です。

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