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嘘解きレトリック

フジテレビ系・月9『嘘解きレトリック』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)InstagramTikTok

第7話『幽霊屋敷の噂は本当!?殺人事件の夜に浮かぶ女』の感想。
なお、原作(漫画)である都戸利津『嘘解きレトリック』 新窓で開きますは未読。


祝左右馬(鈴鹿央士)と浦部鹿乃子(松本穂香)が昼食中、強盗殺人事件の捜査に行き詰まる端崎馨(味方良介)が現れ、三十三番街の“幽霊屋敷”が話題に上る。その後、病院で『カフェーローズ』のリリー(村川絵梨)が客の桐野貫二(黒羽麻璃央)を問い詰めている場に遭遇。貫二は幽霊屋敷で幽霊を見て骨折したと弁解するも、リリーは浮気を疑う。左右馬たちは真相を確かめに“幽霊屋敷”へ向かう。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作(漫画)都戸利津『嘘解きレトリック』 新窓で開きます
脚本:武石栞(過去作/キー局地上波ドラマ不明) 第1,3
   村田こけし(過去作/キー局地上波ドラマ不明) 第2,7
   大口幸子(過去作/カイジ2 ~人生奪回ゲーム~3名共同脚本の1名) 第4,5
演出:西谷弘(過去作/ラヴソング,シャーロック+アントールドストーリーズ) 第1,3
   永山耕三(過去作/モンテ・クリスト伯,シャーロック+アントールドストーリーズ) 第2,7
   鈴木雅之(過去作/元彼の遺言状,ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~) 第4,5
   岩城隆一(過去作/絶対正義,アライブ,競争の番人←すべて演出捕,「いちばんすきな花」第9話のみ担当) 第6
音楽:菅野祐悟&眞鍋昭大(過去作/花咲舞が黙ってない2024)
主題歌:eill「革命前夜」
撮影:長谷川諭(過去作/ガリレオ,,リーガル・ハイ,世にも奇妙な物語)
   木下雄介(過去作/競争の番人,PICU 小児集中治療室,わたしのお嫁くん)
照明:田部谷正俊(過去作/映画「サムライフ」,映画「県庁の星」,映画「感染2004」)
VFX:菅原悦史 (過去作/映画「劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急究明-」,映画「逃走中 THE MOVIE」)
選曲:藤村義孝(過去作/映画「劇場版ラジエーションハウス」,映画「七人の秘書 THE MOVIE」,映画「ゴジラ-1.0」)
美術プロデューサー:三竹裕典(過去作/映画「劇場版 ルパンの娘」,映画「劇場版ラジエーションハウス」, 映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」)
美術デザイン:柳川和央(過去作/ガリレオ,ショムニ2013,正義の天秤)
フードコーディネーター:はらゆうこ(過去作/VIVANT,ミステリと言う勿れ, ドクターX~外科医・大門未知子~,99.9% -刑事専門弁護士)
:鈴木吉弘(過去作/電車男,ガリレオ,ラヴソング,この素晴らしき世界)
   狩野雄太(過去作/知ってるワイフ,スタンドUPスタート,366日)
※敬称略



≪私が妻に文句を言わないかった理由≫は?

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私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

「月曜日は週のはじまりだからの病院が一番忙しいんだよね」と愚痴る看護師の妻が言う。

「月曜の夜は、こういう普通のドラマがいいな」

恐らく、妻が言う「普通」とは、以下の三つの条件に一つでも当てはまる作品のことだ。

●やたらと “死や余命”、“病気や障がい”、“現実に遭った災害” を盛り込ない作品

●妙に捻ってあって、ずっと見ていないと内容が分からなくなる作品

●一緒に見ている夫(私)が文句を言わずに見る作品

この作品は、上記の三つに該当しないということになる。

そこで今回の感想は、三つめの ≪私が文句を言わないかった理由≫ について書いてみる(笑)


アットホームとホラーが合体した落ちまで、お見事!

今回のエピソードで注目すべきは、全体の構成、構造だ。

大まかに書くとこんな感じだろうか。

人並外れた洞察力と鋭い推理力を持つ探偵・祝左右馬(鈴鹿央士)のレトロなホラーミステリーと。

“人の嘘が聞き分けられる能力”を持つ探偵助手・浦部鹿乃子(松本穂香)の恋愛指南物語とでも言おうか。

この二つを上手に合体させた「お得な二本立て上映」だ。

左右馬と加奈子が日ごろお世話になっている小料理屋「くら田」を “アットホーム要素” として利用しつつ。

左右馬が中心の事件パートは、左右馬の友人で刑事の端崎馨(味方良介)をガッツリと組み込んで、これまでで最もミステリーを強調。

鹿乃子が中心となる女給と絵描きは恋愛パートは、第1話に登場で鹿乃子と面識のあるカフェー『ローズ』の女給・久我山小百合 / リリー(村川絵梨)を相手に、“人の嘘が聞き分けられる能力”のいつもと違う活用法を描いた。

それでいて、二本立てが分離することはなく。

怖いものなしと強がる左右馬と、リリーの恋を何とか成就させてあげたい鹿乃子が、互いの不足分を補って、二つのトラブルを見事に解決だ。

全体を統一された世界観を保ちつつ、個々のキャラクターの特徴をいかし、最後の最後でアットホームとホラーが合体した落ちまで、お見事だ。

まあ、あえて惜しい点は「この程度は、今作では‘普通’である」ということくらいだ。

ホント、よくできている。


強盗殺人犯役の温水洋一さんと、女スケキヨの坂東希さん

ここで終わってもよいのだが、せっかく読みに来てくださった読者様のために蛇足をやってみる(笑)

まず、軽め? のところから。

今回で最も意外だったのは、鶴屋の隠居宅に押し入った強盗殺人犯として追われる男を演じた温水洋一さん。

何が意外かといえば、いい人役がお似合いの温水さんが悪人を演じたことだ。

もちろん、かつて劇団「大人計画」に在籍していたから、松尾スズキさん同様に何でもこなす名バイプレーヤーだから、驚くほうがおかしいわけだが。

もう一人の注目は、フェー「ローズ」の常連客の絵描き貫二(黒羽麻璃央)を映画館で待っているリリーの前に「貫二を探していると」と現れる謎の女性を演じた坂東希さん。

50歳以上の読者様なら「犬神家の佐清(すけきよ)だ!」と盛り上がったのでは?

知らない人のためにプチ解説すると。

犬神佐清とは、横溝正史の長編推理小説で、昭和のレトロホラー映画の代表作、遺産相続争いミステリーの金字塔『犬神家の一族』の登場人物のこと。

ビルマ戦線で顔を負傷ししたため、白いゴム製マスクを被って復員する謎の元美少年で、黒く縁取りした目と血の気を感じさせない真っ白な顔が特徴だ。

そんな謎の女を演じたのが、知る人ぞ知る、元Flour、元E-girlsのメンバー、坂東 希さん

実は、初見で誰なのか分からなかった(汗)

今度は、是非とも “マスクなし” のドラマ出演を期待したい。


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嘘が聞き分けられる鹿乃子と名探偵の左右馬の名場面の一つ

最後の最後に、鹿乃子のこと。

今回の鹿乃子は、序盤ではリリーに次のようにモノローグ言っていた。

鹿乃子(M)「いくら
 嘘じゃないですと言っても
 リリーさんが
 経験してきたことの前では
 私の言葉には 何の力もない」

前回の事件で、自分の超能力は “それだけでは使ものにならない” を悟った鹿乃子。

で、今度はその超能力でリリーの恋心の本心は見抜けたのに、“自分の言葉を役立てられない” と察したわけだ。

この辺が、超能力をバンバンいかして活躍するキャラクターとは違う、人と違うがあまりに悲哀のあるキャラな鹿乃子の特徴が見える場面だ。

そして、終盤で、病室の絵描きに花束を置いて帰るリリーに、加奈子が次のモノローグ。

鹿乃子(M)「あのときは
 何の力もなかった私の言葉
 今は 先生の明かした真実が
 私に力をくれます」
鹿乃子「貫二さん 嘘ついてなかったんです」 リリー「えっ>
鹿乃子「リリーさんも 応えてあげてください」

左右馬が事件を解決した現実、事実が、鹿乃子が自分の言葉の力をいかそうと一歩前進する場面だ。

これまで、左右馬と鹿乃子の関係性を丁寧に描いてきたからこそ、左右馬がいなくても、左右馬の存在感を感じるし。

今作が、“人の嘘が聞き分けられる能力” を持つ鹿乃子と、名探偵の左右馬のバディのミステリーであることを、改めて強調した名場面の一つではないだろうか?

時代ならではの状況が強めに反映されていることや、人間関係と事件時代がこれまでよりも、やや複雑のため、好き嫌いは分かれると思うが。

それこそ、「月9」枠としては、いくらでも、おどろおどろしく装飾できるであろう内容を…
祝左右馬と浦部鹿乃子、鈴鹿央士さんと松本穂香さんのキャラをいい塩梅に混ぜて、晩秋の夜に心温まるミステリーに仕上げた。

なかなかのものだ。


あとがき

今回の脚本・村田こけしさんと演出・永山耕三さんは、第2話を担当したコンビ。

これまで、3名の脚本家と4名の演出家で複数の組み合わせがあったわけですが。
 ※上記のスタッフリストをご参照ください。

何気にスゴイのは、各話毎の仕上がりに大きな差がないことです。

これ、他の連ドラでは “ほぼ奇跡” のレベルだと思います。

おっと、前回に続いて ドラマ『モンスター』の超超超プチ感想も。

いやあ、予告編や番宣含め、当然に本編でも必死に「人情ドラマ」にしようとしてが、その前にちゃんと「弁護士ドラマ」に見えるように作ってほしい です。


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【これまでの感想】
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連続テレビ小説「おむすび」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『おむすび』
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第36回第8週『さよなら糸島 ただいま神戸』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


高校卒業後の進路が決まってない結(橋本環奈)は、聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)が作業しているところに来て、自分のやりたいことが決まったと宣言する。それは、栄養を学びたいということで、結はそのために専門学校に行きたいと言う。一方、結のやりたいことを聞いた愛子は、聖人にもやりたいことを話してみたらと促す。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:根本ノンジ(過去作/正直不動産シリーズ,相棒シリーズ,フルーツ宅配便,ハコヅメ)
演出:野田雄介(過去作/スカーレット,マッサン,六畳間のピアノマン,舞いあがれ!) 第1,3,7
   小野見知(過去作/マチ工場のオンナ,トクサツガガガ,転・コウ・生) 第4,6
   松木健祐(過去作/ひよっこ,いだてん,晴天を衝け,舞いあがれ!) 第2,5
   盆子原誠(過去作/カーネーション,ごちそうさん,おちょやん,ブギウギ) 8
   大野陽平(過去作/「ちむどんどん」第9週のみ,「舞いあがれ!」第25週のみ)
   工藤隆史(過去作/「舞いあがれ!」第20週のみ)
   原田氷詩(過去作/「おちょやん」 第17週のみ,「舞いあがれ!」第16週のみ)
音楽:堤博明(隣の家族は青く見える,ベビーシッター・ギン!)
主題歌:B'z「イルミネーション」
語り(本編):リリー・フランキー(過去作/「なつぞら」本編語り)
語り(土曜日版):高瀬耕造アナウンサー(過去作/「ブギウギ」本編語り)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼)
制作統括:宇佐川隆史宇(過去作/岸辺露伴は動かないシリーズ,正直不動産シリーズ)
   真鍋斎(過去作/まんぷく,正義の天秤,拾われた男)
※敬称略
※他のスタッフ表は、当記事の最下部へ移動



結と人間関係が薄めのキャラクターを集めたお別れって?

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常連の読者様は、ご存じだと思います。
ここ数日間 連続で Web拍手が 30未満(投稿時)になりましたので…
読者様に向けて、どうしたら今作が巻き返せるのか考える感想にもしたいと思います。

よって今週も、通常モードより、本気で歯に衣着せぬ感想を書きます。
※しばらくテンプレです…

この程度のお見送り&旅立ちでも「陽太に全米が泣いた!」な人はいると思う。

がしかし、私には、どの朝ドラ以来か忘れたくらいに、白けた見送り&旅立ちに見えてしまった。

当然、俳優が、演技が、どうこうというのではない。

そもそも、私がこれまで見てきた印象で、主人公・結(橋本環奈)と同じ場面が多く、やりとりが強く印象に残っているのは…

クズ野菜の路上販売や、糸島フェスティバルで同じ舞台に立った結の祖父・永吉(松平健)。

当初はギャル嫌いが共通点で、のちに農作業を教わり、娘可愛さで好き勝手やらせてくれた父・聖人(北村有起哉)くらい。

母・愛子(麻生久美子)は歩との辛みの印象のほうが強いし。

祖母・佳代(宮崎美子)は、料理担当的にピンポイントでしかかかわっていない印象だ。

もちろん、結の幼なじみでありクラスメイトの陽太(菅生新樹)(幼少期:案津喜一)は、野球ネタど翔也(佐野勇斗)に劣るし。

イチゴ農家の井出康平(須田邦裕)は、聖人の幼なじみであって、結とのかかわりはほぼなし。

元々、 “ドラマ” として人間関係を描いてこなかった今作の中でも、人間関係が薄めのキャラクターを集めた時点で、ほぼ意味が… (自粛しなくても、分かりますよね 笑)


このお別れのためにも、もっと人間関係を描くべきだった…

脚本が仕上がった時点で、この場面のメンバーは分かっていたはずだ(当然!)

脚本家も、チーフ監督も、結の次のセリフがあると知っていたはずなのだ。

結「お兄ちゃんみたいな 弟みたいな 大切な家族」

まあ、大切な家族だから、フェス後の打ち上げ会で、初参加の河童を放置し、陽太を真横に座らせたのか!?(失笑)

もちろん、脚本の仕上がる順番と撮影順は違うと思う。

が、それでも全体の流れ、それこそ “主人公の大事な分岐点” だから、詳細は書かれていなくても、情報提供くらいはあったはずだ。

だったら、7週間もあったのだから、今回の見送り&旅立ちが盛り上がるように、下準備を積み上げることしか、脚本家も演出家もやることはないはずなのだ。

やるべきことをやらないのは、プロとして… (自粛しなくても、分かりますよね 笑)

だから、ついつい『あまちゃん』のお別れのシーンをまた、見たくなるのである…


この感動の薄さは、筑肥線の車内の客の如し…

真っ赤なJR九州 筑肥線の103系と、青い空、緑の自然が美しい別れのシーン。

なんと、メインタイトル映像まで約6分18秒の長尺のアバンタイトルだった。

しかし、この感動の薄さは、見送るほうも見送られるほうも、見ている私も、筑肥線の車内の客の如し… だ。

ここまで、朝ドラの主人公の旅立ちシーンで、全員が他人行儀なのは新記録かも。

そんなことを思っていたら、光陰チョー矢の如しで神戸に到着だ。

あの程度のお見送り&旅立ちでも「陽太に全米が泣いた!」な人は別にして。

私には、商店街に到着直後の米田家の3人と、商店街の住人たちのやりとりも、何か違和感が。

もちろん、違和感の出どころは、下準備を積み上げてこなかった点に尽きる。

ここで、今回の内容から少し離れて、これまでをプチ復習してみたい。

是非とも、受講していただきたい。


震災時に6歳だった結が10歳のときに、歩が家を飛び出した

最近は、当ブログだけ読んで、「本編」も「土曜日版」も見ておらず。
感想を読んで「不快感がなく、面白くなってきたら復活しよう」という読者様の意思表示が相次いでいる(苦笑)

本来は「ドラマを見てほしい」わけだが、今作に限ってはやむを得ず私が人柱になっている(爆)

そこで、どうやら一応「新章」のようだから、再確認含めて、今作の主要登場人物の人間年表を書いてみる。

今作の導入部は、2004年(平成16年)4月6日、糸島で育った主人公・米田結(橋本環奈)が福岡県立糸島東高等学校に入学して早々に4人のギャルに絡まれるくだりだ。

その結は、1989年(平成元年)1月8日生まれ
姉の歩(仲里依紗)は、公式サイトに次の記載があるので、1981年(昭和56年)生まれ。

主人公・結の8つ年上の姉。

出典:連続テレビ小説『おむすび』キャスト・相関図紹介【第1週~】 - おむすび - NHK 新窓で開きます

したがって、第1週目の結は15歳、歩は23歳の設定だった。

そして、阪神淡路大震災の発生が、1995年(平成7年)1月17日(火)5時46分52秒。
発生時の年齢は、概算で、結は6歳、歩は14歳。

で、先週に光陰チョー矢の如しの2年経過後をやったので、現時点で結は17歳か18歳(歩は25歳か26歳)となる。

そこで、算数と現代史と社会常識のお勉強だ。

今作上では歩が家出をした時期が曖昧になってはいるが、歩が高校卒業と同時に家を飛び出したとしよう。

1981年生まれの歩が18歳のときに家を出たのだから、家出は1999年(平成11年)となる。

震災のときに14歳だった歩が、4年後に家出をしたことになる。

この計算を結に当てはめてみる。

震災のときに6歳だった結が10歳のときに、歩が家を飛び出したわけだ。

では、「本編」の感想に戻ろう。


米田家3人と商店街の人らとの交流が描かれていないから…

今回の「神戸での再会のくだり」は、震災発生から、12年近く経過している設定だ。

結に至っては、5~6歳児(年中・年長児=まだまだ甘えたい未就学児)だったのだ。

そして外見は、その当時と全く別のギャルに変貌した18歳の専門学校入学生として戻ってきたのだ。

私の受けた印象は “中学生の結ちゃんとは変わったね” レベルでしかない。

いや、演出による演技指導も、それを受けての俳優陣のお芝居も間違ってはいないのだ。

ただ、これまで見てきた米田家3人と、商店街の人らとの交流が描かれていないから、12年間の時の隔たりを感じにくい、いいや、感じないのだ。

これも、やるべきことをやらないのは、プロとして… (もう、分かりますよね 笑)


糸島に移住してから"3~4年後"なら納得できなくもないのに

上記のやりとりの違和感は他にもある。

最大級の違和感は。

聖人「一日でも早く
 商店街のために何とかしたいんですよ」

え~と、私の記憶が正しければ、ちょっと前に故郷の糸島で同じことを言っていなかったっけ?

農協の何かの係を仰せつかったのを見捨てて、神戸にやってきたのが、聖人本人では?

確かに、祖父の栄吉をうまくいっていなかったのは認めるところだ。
神戸に、理髪店にも、思い入れが強いのも認める。

ただ、聖人が糸島を捨てて神戸にやってきた理由を、今作は全て “震災のせい”  として強引に進めているのだ。

上記の年表を思い出してほしい。

震災から12年以上も経過し、それこそ、ほぼ “糸島の人” として、生まれ故郷の糸島を愛していたのでは?

それこそ、前述の神戸での再会劇の3~4年ぶりの雰囲気に合わせて、糸島に移住してから3~4年後に “震災のせい”  にするだけで良かったと思うが。

百歩譲って、聖人が神戸に思い入れがあるとするなら、軸足は糸島に置いて糸島で理髪業をやりながら、町内会の行事や商店街のイベントのために月1度なり、年数回は参加する設定にするだけで印象は違ったのでは?

その程度の自作のための補強や補完もできないってこと?


結が、神戸に引っ越す合理的な理由が見当たらない

もう一つだけ気になったこと。

親子三人で… は、分からなくもない。
大阪が近い… の、今後の展開があるからなのも理解はできる。

しかし、結が祖父母とハギャレンの残して、両親の仕事再開に合わせて引っ越す合理的な理由が見当たらないのだ。

そう、設定を十分に、いや最低限活用できないなら、震災なんて盛り込むべきではなかった… それだけのことだ。

もちろん、「やたらと “死や余命”、“病気や障がい”、“現実に遭った災害” を盛り込むな!」の私の主張は変わらない。

でも、祖父母のどちらかがケガをするなりして農業が続けられないから、一家全員で床屋を閉めて糸島に移住するだけで良かったのでは?

どうしても歩を家出させたいなら、「こんな田舎イヤ!」で家出させれば良いだけ。

ギャルを盛り込みたいなら、それこそお得意の “時代のせい” にするために、時間軸を前倒しすれば良いだけ。

結局、毎度のように書いているが、「結果の羅列」しか考えていないような構成だから、個々の「原因や動機」を考えた途端に “連ドラ” として破綻するのだ。

もう、遅いが。


ここまでの責任を取る意味でも、チーフ監督らが引き継ぐべきだった

最後の最後に。

今週の演出担当は、今作は初担当の盆子原誠氏だ。

阪神淡路大震災から20年を迎える年に放送された、菅田将暉主演ドラマ『二十歳と一匹』(NHK/2015)の監督だ。
内容は、「災害救助犬」のハンドラーを目指す青年の姿を通して「希望」を描いた物語で、ほぼオール神戸ロケのドラマだった。

他には『カーネーション』『おちょやん』『ブギウギ』も担当しているが。

私が大いに評価している演出作品が、NHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』(NHK/2022)のチーフ監督の仕事だ。

その盆子原氏の演出でも、この程度にしか作り込めない。

また、今週の撮影担当は『カムカムエヴリバディ』を担当した源拓哉氏。

照明は、朝ドラ『べっぴんさん』のスペシャルドラマ『恋する百貨店』を担当した橋村祐哉氏。

ハッキリ言わせていただくが、ここまでの責任を取る意味でも、チーフ監督、撮影も照明もチーフクラスが担当して、自身の後始末をやってから、引き継ぐべきだったと思う。

遠い意味での同業者、それもその端くれとしても、自分のケツくらい自分で… (言わずもがなです 笑)


あとがき

いかにもって感じで、真紀ちゃんの父、孝雄(緒形直人)が登場していましたけど。

きっと、今週は、菜摘との恋愛談義と、栄養専門学校の状況説明が8割だと思いますよ。

あっ、そうそう、今日11月18日は、ミッキーマウスとミニーマウスのふたりの誕生日で、今年で96歳です。

いつまでも、お若いですね。
ミッキーとミニーの写真掲載は、今日はやめておきます…


『おむすび』を召し上がった後の ≪お口直し≫ に下記の感想をおすすめ!
朝ドラ「カーネーション」全151回分の感想リンク 新窓で開きます
朝ドラ「カムカムエヴリバディ」全112回分の感想リンク 新窓で開きます


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海に眠るダイヤモンド

TBSテレビ系・日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』
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第4話『沈黙』の感想。


1958年7月、朝子(杉咲花)の初恋相手が自分と知り浮き立つ鉄平(神木隆之介)。進平(斎藤工)はリナ(池田エライザ)の部屋で驚くべき物を目にし、百合子(土屋太鳳)は病状が悪化する母・寿美子(山本未來)の看病に追われる。鉄平は百合子の家族の運命を変えた1945年8月9日を思い出していた。
現代、いづみ(宮本信子)から「一緒に会社を潰そう」と誘われた玲央(神木)は、第二秘書として雇われ次期社長候補に。しかし、いづみの家族内で玲央への疑惑が浮上する。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:野木亜紀子(過去作/重版出来!,逃げ恥,アンナチュラル,コタキ兄弟と四苦八苦,MIU404)
演出:塚原あゆ子(過去作/アンナチュラル,MIU404,最愛,下剋上球児) 第1,4
   福田亮介(過去作/恋つづ,俺の家の話,Get Ready!) 第2,3
   林啓史(過去作/拾われた男)
   府川亮介(過去作/恋愛のすゝめ,ブラザー・トラップ) 音楽:佐藤直紀(過去作/教場シリーズ,海猿,コード・ブルーシリーズ,ブルーモーメント)
P:新井順子(過去作/着飾る恋,MIU404,最愛,下剋上球児)
   松本明子(過去作/婚姻届に判を捺しただけですが,オールドルーキー,トリリオンゲーム)
医療監修:山岸俊介/イムス東京葛飾総合病院(過去作/ブラックペアン1)
主題歌:King Gnu「ねっこ」
※敬称略



演出による映像で"見せ方と魅せ方"が明らかに変わった感じ

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―――ここまで、ごあいさつ―――

前回の感想の「あとがき」で次のように書いた。

次回こそ、投稿しない… かな?

しかし、書いている(笑)

単純に、投稿した理由を書くと。

前回までよりも、演出による映像での “見せ方(way of showing)と魅せ方(how to fascinate)” が明らかに変わった、変えた感じがしたからだ。

演出は、第2,3話担当の福田亮介氏から、脚本の野木亜紀子氏との(一応、世間では)協力チームの一員でチーフ監督の塚原あゆ子氏が担当だ。

きっと世間の評判が届いていない状況で撮影編集は進んでいると思うから、当初の予定どおりということだろう。

なにが、当初の予定通りと思ったのか?

そこから書いてみる。


物語の軸が"精霊流し"になり、全体もまとまって見えた

今回も、いいや、これまで以上に(私が大の苦手な)時間軸の行き来があった(苦笑)

現在(2018年?)と 1955年から58年? あたりの過去だけでなく。

キリスト教の教禁時代の話からつなげて、1945年も組み込んだ。

特に驚いたのは、後から思えば「舞台が長崎だもんね…」だが。

今までの展開、内容からすると、やはり、いきなり長崎市への原子爆弾投下を描きはじえめたのは驚きだ。

ただ、ここからが「なにが、当初の予定通りと思ったのか?」だ。

百合子(土屋太鳳)の母で、病状が悪化していた寿美子(山本未來)の病死をきっかけに、物語の軸が “精霊流し” になったのだ。

これまでは、お世辞にもまとまっていたとは言えないストーリだったのが、“精霊流しとキリシタンの秘話” 的な内容として “まとまり” を見せたのだ。

これによって、明らかに物語にとっ散らかった感じが薄まった。

と同時に、被爆者やキリスト教、さらに仏教とキリスト教が共存する社会である長崎を描く物語としても、まとまった感じになっていた。


早く、現代と過去のどちらかに軸足を置くべきでは?

今作の総話数を知る由もない。

しかし、最近作の例にもれなければ全10話となるはず。

とするなら、この第4話が全話の折り返しの直前、後半戦への直前として、それなりに “まとめ” ておかなければ収拾がつかないと考えるのが普通だと思うのだ。

ならば、3話分の “今作全体向けの状況説明”  を中止し、“一旦まとめ用の状況説明”  を入れようと考えるのは、至極妥当だ。

もちろん、「なぜ急に原爆とかくれキリシタン?」と思う視聴者もいるだろう。

ただ、毎度のように繰り返しになるが。

回想シーンは、ドラマでも物語でもなく、ただの後出しの言い訳(説明)に過ぎないし。

そもそも、状況説明だって、ドラマでも物語でもないのだ。

早く、現代と過去のどちらかに軸足を置くべきだとは思うが。


こちらは、推理小説を読んでるわけじゃないんだから!

今回が今までよりも悪くないと感じたのは、現代パートをできるだけ序盤と終盤に固めたことだ。

ただ、序盤の一部は精霊流しへのイントロだとしても、会社経営やDNA鑑定が過去にどう関連しているのかチンプンカンプンだ。

一番よいのは、現代パートを無くしちゃう… だろう。

しかし、それが難しいとなれば、今からできる範囲で、現代パートと過去パートの関連性をつくってほしい

それこそ、現代パートでの隠し事をもう少し明かすとか。

いつまでたっても「完全分離型の二本立て」では、さすがに興味が失う速度が半端ないのだ。

こちらは、推理小説を読んでるわけじゃないんだから!


あとがき

今回は、野木亜紀子氏が創出した “映像美” に救われたとも言えますね。

光と海の精霊流しの描写と、やりすぎない原爆投下、花火大会など、季節はずれではあるものの。

晩秋とも初冬とも区別しがたいこの季節に、長崎県・端島の夏を感じるのも悪くなかったです。

とにかく、興味関心が私の危険水域に突入する前に、浮上していただきたいです。

一人だけ、舞台演技の人がいるんですね… 気になって気になって(自粛)


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拍手[23回]

連続テレビ小説「おむすび」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『おむすび』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第7週『おむすび、恋をする』「土曜日版」の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


結は、地震で親友を失くして以来家族とギクシャクしていた歩とようやく和解し、再びギャルになって楽しもうとする。一方、体調不良時に助けてくれた翔也(佐野勇斗)に何かお礼をしたいと思う結は、翔也からスタミナ不足を解消したいと言われ、愛子(麻生久美子)や佳代(宮崎美子)に教わりながら翔也に渡す弁当作りに励む。ところが、そこに思わぬ反対が出て結は意気消沈するが、翔也からかけられた言葉で胸がときめいてくる。
------上記のあらすじは、公式サイトより引用------


原作:なし
脚本:根本ノンジ(過去作/正直不動産シリーズ,相棒シリーズ,フルーツ宅配便,ハコヅメ)
演出:野田雄介(過去作/スカーレット,マッサン,六畳間のピアノマン,舞いあがれ!) 第1,3,7
   小野見知(過去作/マチ工場のオンナ,トクサツガガガ,転・コウ・生) 第4,6
   松木健祐(過去作/ひよっこ,いだてん,晴天を衝け,舞いあがれ!) 第2,5
   盆子原誠(過去作/カーネーション,とと姉ちゃん,おちょやん,ブギウギ)
   大野陽平(過去作/「ちむどんどん」第9週のみ,「舞いあがれ!」第25週のみ)
   工藤隆史(過去作/「舞いあがれ!」第20週のみ)
   原田氷詩(過去作/「おちょやん」 第17週のみ,「舞いあがれ!」第16週のみ)
音楽:堤博明(隣の家族は青く見える,ベビーシッター・ギン!)
主題歌:B'z「イルミネーション」
語り(本編):リリー・フランキー(過去作/「なつぞら」本編語り)
語り(土曜日版):高瀬耕造アナウンサー(過去作/「ブギウギ」本編語り)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼)
制作統括:宇佐川隆史宇(過去作/岸辺露伴は動かないシリーズ,正直不動産シリーズ)
   真鍋斎(過去作/まんぷく,正義の天秤,拾われた男)
※敬称略
※他のスタッフ表は、当記事の最下部へ移動



これを見て『月曜日から見てみよう!』なんて人います?

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常連の読者様は、ご存じだと思います。
ここ数日間 連続で Web拍手が 30未満(投稿時)になりましたので…
読者様に向けて、どうしたら今作が巻き返せるのか考える感想にもしたいと思います。

よって今週も、通常モードより、本気で歯に衣着せぬ感想を書きます。
※しばらくテンプレです…

前回の感想の「あとがき(その2)」に次のように書きました。

は~~~~っ、ため息しか出ません。
でも、明日の「土曜日版」も全力で書きますので、よろしくお願いいたします。

というわけで、全力で書く気満々で見ましたが。

最初に書きますが「これを見て『月曜日から見てみよう!』なんて人います?」と思っちゃいました。

とにかく、ため息しか出ない理由を書いてみますね(笑)


土曜日版で、本編よりも強調されていたのは、次の3つ

今回の「土曜日版」で、「本編」よりも強調されていたのは、次の3つ。

 ●主人公が、クラスメイトからハブにされている
 ●主人公がやったのは、ライバル校野球部潰し
 ●主人公も今作も脚本も演出も、糸島へのリスペクトが皆無

察しの良い人なら「皆まで言うな」でしょうね。

でも、これで終わるのは申し訳ないので、少し解説してみたい。


結の「やばい やばい」も3人以外の生徒たちはガン無視!

一つめの「主人公が、クラスメイトからハブにされている」の件だ。

これも「本編」のときに散々言ったが、このスペシャル編集で無意味に強調された。

あの「やばい やばい」のとき、主人公・米田結(橋本環奈)に反応したのも、これまた次の3人だけ。

 ●結の幼なじみであり、クラスメイト。野球部に所属している古賀陽太(菅生新樹)
 ●結が高校に入って最初に友達になったクラスメイトで書道部の宮崎恵美(中村守里)
 ●博多ギャル連合のメンバーであり、結のクラスメイトの‘リサポン’こと柚木理沙 (田村芽実)

他の生徒たちは… ガン無視である(苦笑)

私が結をサゲようとしているのではない。

演出が、映像が、3人以外の生徒たちは主人公を完全スルー一択に描いているのだ。

こんな映像、こんな編集をやっていておいて、主人公に共感、感情移入させようとするなんて、へそで茶が沸くようだ、アチチッ


主人公に「余計なこと」をさせる時点で…

次は、「主人公がやったのは、ライバル校野球部潰し」の件だ。

そもそも、結が‘鬼怒川の河童’‘福西のヨン様’こと四ツ木翔也(佐野勇斗)にスタミナ弁当を作る展開が唐突なのに。

他校の、それもライバル校の監督が米田家に、アポなしで押し掛けること自体が非常識。

その上で、わざわざ福岡西高校 野球部の監督・中西剛(真砂京之介)の「余計なこと」を残した。

また、そもそもと書くが。
そもそも、母や祖母が「ライバル校なんじゃないの!?」があって、忠告を遮っての弁当づくりでないから、主人公の行為が、心から “余計なこと” に見えるし。

全くリスペクトを感じない書道、書道部を強引に盛り込むための応援シーンだって、ハギャレン以外の友だちもゼロ。

これで、主人公に共感、感情移入させようとしているつもりだろうから、チャンチャラおかしいのだ。


天下のNHK、天下の朝ドラがヒロインに嘘を言わせちゃいかん!

三つめの「主人公も今作も脚本も演出も、糸島へのリスペクトが皆無」は、本編の感想では、あえてスルーして「土曜日版」用にとっておいた。

今週の、最大級の問題発言、問題のセリフは次だ。

結「うちは… 糸島が好いとう。
 おじいちゃんも おばあちゃんも
 みんな大好き」

天下のNHKが、天下の朝ドラが、ヒロインに嘘を言わせちゃいかん!

家の手伝いをしている様子もなく、クラスメイトからも避けられ、ライバル校に肩入れして、幼なじみも書道も放置。

大好きなおじいちゃんなんて、孫が栄養士学校の試験日も発表もお祝いの様子も、光陰チョー矢の如しでカット。

これのどこを、どう好意的に解釈したら、糸島も、みんなも好き… となるのか?

まあ、百羽譲って “結自身は、そのつもり” としておくが(失笑)


結も結だが、翔也も翔也のような(失笑)

最後に、本編の感想では全く触れなかったことを書いて終わりにしたい。

それは、佐野勇斗さんが “NEXT国宝級イケメン” だか知らないが。

恐らく、佐野さんが演じているから、ごまかされているのが “河童ってどうなのよ?” だ。

以前に、チョロチョロとユニフォームであちこちふらつきすぎ! は指摘したが。

この「土曜日版」を見て再認識したのは、母親のすねかじりで野球留学している割に、自覚が低いなと。

寮生活で食まで管理されているのに、太るまで食べて不調になるって?

彼女を作って、弁当こしらえさせて、応援団までやらせて、予選敗退って?(そう見えません?)

いや、冷静に書くが、そう見えてもしょうがない編集になっていたのが「土曜日版」なのだ。

とにかく、ヒロイン結も翔也も、橋本環奈さんと佐野勇斗さんも、良くない印象に強調する演出は、相当に問題がある。


あとがき

「土曜日版」の編集、本当に今週の演出担当でもあるチーフ監督・野田雄介さんがやっているのかな?

だとすると、本当に「やばい やばい やばい」ですよ。

必死に提灯記事を投入し、次回のあらすじを放流していますが、厳しいと思いますよ。

まずは、ヒロイン結も翔も、橋本環奈さんと佐野勇斗さんの好感度アップを最優先するべきですね。

この二人を応援できなければ、どんなに後方(広報)支援をやっても意味がないと思います。


『おむすび』を召し上がった後の ≪お口直し≫ に下記の感想をおすすめ!
朝ドラ「カーネーション」全151回分の感想リンク 新窓で開きます
朝ドラ「カムカムエヴリバディ」全112回分の感想リンク 新窓で開きます


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拍手[28回]

ライオンの隠れ家

TBS系・金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)InstagramTikTok

第6話『姉の決意と真実』の感想。


洸人(柳楽優弥)は、美央(齋藤飛鳥)が遊園地でライオン(佐藤大空)を抑え込んだ理由がわからないまま、傷ついたライオンを連れて帰宅する。翌朝、職場で美央に事情を聞こうとするも姿はなく、彼女のアパートを訪ねるが、「私からは、話せなくて」と拒まれる。
一方、警察に連行された愛生(尾野真千子)は息子・愁人(=ライオン)を殺害したとほのめかす。その報に困惑する洸人のもとに、ライオンのスマホに再びメッセージが届く。翌日、指定の場所で待つ人物が現れ、やがて美央の行動の理由と愛生とライオンの驚愕の事実が明かされる――。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:徳尾浩司(過去作/おっさんずラブシリーズ,恋はDeepに,六本木クラス)
   一戸慶乃(過去作/ドラマ初
演出:坪井敏雄(過去作/妻、小学生になる。,さよならマエストロ) 第1,2,6
   青山貴洋(過去作/グランメゾン東京,ユニコーンに乗って,マイ・セカンド・アオハル) 第3,4
   泉正英(過去作/TOKYO MER,ユニコーンに乗って,王様に捧ぐ薬指) 第5
音楽:青木沙也果(過去作/ユニコーンに乗って,すきすきワンワン!)
劇中絵画協力:太田宏介,太田信介(ギャラリー宏介株式会社 新窓で開きます
自閉症スペクトラム症監修:伊庭葉子,宮本一哉(株式会社Grow-S さくらんぼ教室 新窓で開きます
警察監修:古谷謙一
タイトルバック監修:Vaundy
主題歌:Vaundy「風神」
自閉スペクトラム症監修:伊庭葉子(特別支援教育士)
P:佐藤敦司(過去作/大恋愛~僕を忘れる君と,インハンド,俺の家の話)
※敬称略



「障がい」の表記について
当ブログでは、人や人の状態を表す場合、原則「障がい者」「障がい」と表記としています。
※法令、条例、規則などからの引用や固有名詞は対象としていません

冒頭、小森家の1階の階段下の踊り場で演出担当が分かる

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第3話の冒頭から、ずっと書き続けていることがある。

序盤の映像で、演出担当を当てることも演出の楽しみ方!

前回の演出担当が、全体の中間地点(だと思います)の第5話で、今作初担当の泉正英氏に交代した。

この交代によって、第4話までとは違う演出…
第5話までの脚本の傾向であった「視聴者に謎解きをさせるミステリー」に追従した「ヒューマンドラマやホームドラマの要素を後退、薄めた」ような感じの演出になった… と書いた。

そして、今回の演出担当が誰か?

それが明瞭になったシーンが、初動1分過ぎの「小森家」の1階の階段下の踊り場で、市役所に勤務している小森洸人(柳楽優弥)が、‘ライオン’こと橘愁人(佐藤大空)と話す場面

文字で伝えるのは難しいが。

手前の2本の柱と、ライオンの真横の柱を(想像で)延長すると「三角形」になるような構図で。

その縦長の二等辺三角形の内部に洸人と愁人がいる。

立っている洸人は黒い衣装で、座る愁人は白の衣装で、全体がブラウン系の配色で統一されている。

なぜ、これで分かるのか?


サスペンス&ミステリーとドキュメンタリー&ヒューマンドラマ

細かく見ると分かるが、実に繊細な照明によって “陰影のグラデーション” があるのに気づくのでは?

手前の柱の黒く濃い影から、愁人のパジャマの白色まで、実に美しい。

この照明と撮影によって、様々な “人の心のグラデーション” が見えてくるのだ。

これによって、第3,4話担当の青山貴洋氏がやった、徹底的に登場人物らの心の描写を施した “ザ・ホームドラマ”  とも違うことが分かるのだ。

そう、“サスペンス&ミステリー仕立て” と “ドキュメンタリー&ヒューマンドラマ風” の両方に見えるようにしているのだ。

例の三角形の柱は不安定に先行きを表すし、三角形の底辺に座るふたりは父と息子のように見える。

この、よき塩梅こそが、チーフ監督・坪井敏雄の演出だと分かるポイントなのだ。

まあ、冒頭から熱く語ってしまったが、気づかない、気づく必要はないのは今回も同じだ(「なんのこっちゃ?」ですよね・笑)


前半の約20分間を割いて正真正銘の「謎の真相に迫る!」

感想に入ろう。

一般的には折り返しを終えた、第二章の始まりであり、後半戦突入の第6話だ。

今作が、昨今のいわゆる “考察系” と違うのは、謎の全部を全部小出しにして、無理やりに引っ張り続けないことだ。

まあ、実は今期は、他にも『オクラ』などが、中盤で “縦軸” の一部を明かす構成を採用している。

もしかすると、日●レがお得意の “とにかく先送りにするだけのお粗末な考察系” が飽きられてきたのを受けているのかも?

そうだとすれば、「ようやく気付いたか」「軌道修正せよ」しかない。

とにかく、序盤というか、前半の約20分間を割いて、ミステリー要素の中心であった正真正銘の「謎の真相に迫る!」だ。

特筆すべき真相はなく、おおよそ予想の範囲内だが。

それでも、今作の大きな要素である “ミステリー” を解き明かして提示することで。
脚本としては、終盤にあった山梨県で建築会社を経営している橘家の次男で、建築会社「たちばな都市建設」に勤務する橘祥吾(向井理)の “サスペンス” に一気にウェートを置けるから、いいことしかない。

その意味では、週刊真相 編集部の記者・工藤楓(桜井ユキ)と楓の後輩・天音悠真(尾崎匠海)が今作に必要な理由も大きく見えてきたのも朗報だ。

やはり、後半戦なら、むやみに「なんとなく存在する」は、やらないほうが得策だからだ。


あえて苦言と呈するなら…

ただ、あえて苦言と呈するなら。

当初から「必要あるの?」としている、かつて保育士として働き、今は浦尾市役所子ども支援課で子ども相談窓口を担当する牧村美央(齋藤飛鳥)の種明かしのくだりへの「これも必要あるの?」だ。

ただ、ここまで組み込んで描いてきたのだから、謎のままよりは断然良かったし。

何よりも、辻褄合わせとして、なかなかうまくできていたとは思う。


美路人に、より一層興味深くなったワケ

さて、今回で興味深かった、いや、一段と興味深くなったのが、アート事務所でアーティストとして働く、自閉スペクトラム症の弟・美路人(坂東龍汰)だ。

断っておくが、ここまで今作を評価しているのだから、今さらに「やたらと “死や余命”、“病気や障がい”、“現実に遭った災害” を盛り込むな!」なんて声高に言うつもりは毛頭ない。

むしろ、その逆で「なぜ、洸人に弟がいる設定にしたのか?」「なぜ、美路人を障がいがある設定にしたのか?」にがぜんと興味がわいたのだ。

例えば、中盤にあった、夕景の橋の上の花壇で会話する洸人と美路人なんて、本当に美しい

演技が素晴らしいのは当然として、刻々と明るさも色合いも変化する夕空の下。

風に揺れる色とりどりの花を前に語る場面は、美しい絵画を見ているようだ。

洸人「ライオンは
 うちに来るまでに
 すごい冒険をしてきたみたい」

この説明、美路人が自閉スペクトラム症の設定だから、わざとらしくない。

もしも洸人ひとりの場面でボソッと言う場面でも成立するが、 “家族が安心できる居場所” の強調が弱くなるに違いない。

こんなところにも、意味があると思うし。

もう一つは、終盤での‘ライオン’こと愁人の変装シーンでの髪を見る場面。

洸人が散髪用ケープを愁人に装着して、意外と手際よく散髪バサミ(だと思います)で髪を切っていた。

仕上がりの髪型が、美路人と似ていることから、いつまでか不明だとしても洸人が美路人の散髪をやっていたとするのは分かるし。

人の髪を切る、人に髪を切ってもらうって、私は相当の信頼感がある関係だと思うから、やはり美路人の設定はあるほうが物語に奥行きが出ると思うのだ。


あとがき

内容と全く関係ないですし、亡くなった人の話なんて読みたくない人は、離脱してください。

前述の「橋の上の夕景」で、ちょっとうるっとしちゃいました。

互いに “おとなになったきょうだい” が、夕日を背にしゃがんで語り合うなんて、本当に素敵だなって。

私も、子どものころは近所の土手に上って、遠くの小さな富士山を見ながら妹と話していました。

やがて、1978年に東京・池袋に「サンシャイン60」が建って見えなくなりましたけど。

未だに夕方、実家近くの首都高を走ると、今年1月に急逝しちゃった妹を思い出しますね。

ただそれだけなんですけど(笑)

ちなみに、美路人が言っていた夕日の色は下図の2色(上が黄色、下がオレンジ色)です。
こちらは、Web表示用に変換しているので、実際の印刷物とは異なりますけど。
この色コードを実際の景色から読み解いているということですね。
それと、この記事のアイキャッチ画像に使わせていただいている今作の「ロゴタイトル」も、なんかリンクしているような感じですよね。

美路人が言っていた夕日の色


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