NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『風、薫る』
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第104回/第21週『定めと選択』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
雨の日、りん(見上愛)は、佳枝(相田翔子)の元を訪ねる。この日の佳枝は調子が悪く、手のこわばりで食事が思うようにとれず落ち込んでいた。そんな佳枝を気遣ったりんは、食事がしやすくなるよう工夫して・・。シマケン(佐野晶哉)は直美(上坂樹里)からりんの話を聞き…。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
脚本協力:佃良太(過去作/舞いあがれ!,それってパクリじゃないですか?) 第20~21週
演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4,8,11,12,19週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2,6,10,18週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,おむすび) 第5,9,13,17週
松本仁志(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。) 第3,7,14,15,20週
内田貴史(過去作/ちむどんどん) 第16,21週
平竣輔(過去作/本作第16週の助監督) 第20週
制作統括:松園武大(過去作/とと姉ちゃん,半分、青い。,ちむどんどん)
宮本えり子(過去作/なつぞら,エール)
音楽:野見祐二(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「風と町」
語り(本編):研ナオコ
土曜日版ナレーション:石橋亜沙(NHK東京アナウンス室)
※敬称略
諸般の事情で、今回の感想は簡素版とさせていただきます
物語の良さと課題が複雑に絡み合うドラマの魅力
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―――ここまで、ごあいさつ―――
連続ドラマ『風、薫る』の第104回は、良い部分と気になる部分の両方が残る放送となった。
まず、仕事の展開を提示しながらも、登場人物であるシマケンの場面へ素早く切り替わった点には、展開の強引さが見受けられた。
しかし、この場面によって主人公である‘りん’とシマケンの深い結びつきが明確になったことは、大きな収穫である。
本来であれば、こうした人間関係は物語の序盤で提示されるべきであり、これまで描かれなかったことには疑問が残る。
それでも、患者の世話をする描写に看護婦としての専門性(自助具の製作)が表現されていた点は、人物像を伝える工夫として評価できる。
さらに、丸山や美津という周囲の人物が二人の関係に関わることで、物語の世界観に連ドラらしい一層の広がりが生まれた。
特に注目すべきは直美の存在であり、‘りん’との対比によってそれぞれの個性が生き生きと際立っていた。
これまで登場人物の動機や行動のつながりが曖昧に感じられる場面も存在したが、今回は主人公たちの魅力がしっかりと表現されている。
演出や脚本の積み重ねに課題を残しつつも、登場人物の魅力を巧みに引き出した今回の内容は、全体としてこれまでよりは見ごたえのある仕上がりとなった。
一応は褒めてみたが、一部はまだまだポエム三昧であり、先週から脚本協力の佃良太氏の手腕もまだまだ安心はできない。
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作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
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第103回/第21週『定めと選択』の感想。
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りん(見上愛)はシマケン(佐野晶哉)を心配して自宅を訪ねる。りんの仕事が順調な様子を見て、シマケンは、ある思いを語り出し…。一方の直美(上坂樹里)は、身寄りのない平蔵(太田光)の派出看護に向かうが、意外な言葉を投げかけられて…。
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朝ドラ「風、薫る」に見る演出の工夫と展開の課題
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―――ここまで、ごあいさつ―――
NHKの朝ドラ『風、薫る』は、アップの映像やポエムのようなセリフが多く、演出の工夫は伝わってくる。
しかし、本編の展開には首をかしげたくなる場面がいくつか存在する。
例えば、登場人物が元の作業に集中するはずの場面で、いきなり別の課題に意識が向いてしまう展開には違和感を覚える。
特に気になるのは、ダブル主人公である‘りん’と直美、そしてそれぞれの相手役との恋愛模様の描き方だ。
作品内で複数の出来事が同時に進行するため、人物同士の絆が深まる様子が視聴者に伝わりにくくなっている。
もし恋愛の過程を一つずつ丁寧に描いていれば、登場人物たちの心情の変化にしっかりと納得できただろう。
一方で、お店での会話や日常の描写など、登場人物の生活感が伝わる丁寧なシーンが増えてきた点は評価できる。
だからこそ、主人公たちの重要なドラマが途切れ途切れになってしまったことが本当に惜しいと感じる。
本編で描ききれなかった二組の恋愛模様は、独立した特別な番組としてじっくり描き直してほしいほどだ。
作品としての魅力が十分にあるからこそ、細かな展開の雑さが浮き彫りになってしまうのだと言える。
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シマケン(佐野晶哉)の小説が新聞で連載されることが決まり、りん(見上愛)とシマケンは喜びあう。男爵家の佳枝(相田翔子)の派出看護も始まる中、しのぶ(木越明)に異変が起こる。シマケンの元にも思わぬ来訪者が訪れて…。
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橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,おむすび) 第5,9,13,17週
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シマケン中心の展開と看護描写の薄さに思うこと
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今回の放送も、前回に引き続き、‘シマケン’こと島田健次郎(佐野晶哉 ex.Aぇ! group)を中心にして物語が展開が始まった。
私は、佐野晶哉さんも、‘りん’役の最上愛さんも嫌いでないし、むしろ好意的に見ている部類であり。
前回の物語を鑑みれば、今回が‘シマケン’と‘りん’から始まるのは不自然だとも思わない。
しかし、特定の登場人物ばかりに焦点を当てすぎると、主要なテーマである “看護の描写” が控えめになってしまう懸念が生じる。
特に、リウマチ患者である宮川佳枝(相田翔子) 絡みの「男爵家」に関わる重要な背景設定が存在するにもかかわらず、“看護の描写” が「土曜日ダイジェスト版」のように描写が駆け足になる危険性がある。
その結果、物語の核となるべき “看護の仕事” についての描写が薄味になってしまうのではないかという疑問が残る。
いや、今回だって、メインタイトル映像の放送尺を削れば、;“看護の描写” なんて正味5分程度しかなかったのである。
バラバラな要素がキレイにつながった見事な展開
ただし、今回の放送に限っていえば、‘シマケン’に関する出来事と男爵家の話、そして本来の看護業務という三つの要素が、バラバラではあるが、一定の流れを持って描かれてはいた。
「看護」「男爵家」「シマケンの義姉」「新聞小説」「小説家の仕事」という要素が自然な流れで結びついていたのだ。
逆に、これまでの放送では、要素同士のつながりが不十分で不自然さが目立つ場面が多かったため、今回の構成は出来が良いと言える。
つまり、物語の流れを整えるだけで作品全体の印象は大きく変化するため、今回の工夫は高く評価できるのだ。
特に、柳田しのぶ(木越明)に関する伏線の張り方や、妊娠の秘密が発覚するまでの展開は(次元は高くないですが)鮮やかであったと言えると思う。
小道具の工夫で人間関係を深められる期待感
さらに驚かされたのは、以前の見習い看護婦期間中にわずかに触れられただけであった「看護日記」という小道具が、今回の物語で効果的に再登場した点である。
こうした過去の要素や日常の何気ない会話を丁寧に拾い上げて活用すれば、登場人物たちの深い人間関係を自然に描くことができる。
もし日記を通じたやり取りに看護婦や医師との関わりを絡めることができていれば、物語の深みはさらに増していたはずである。
要するに、現状の描写だけでは、恵風看護婦会が行っている “派出看護” が、担当医をはじめとした医師や医療と連携しているようには見えず、看護と看病の境目が曖昧になったままだからだ。
であるから、もっと頻繁に「看護日記」を登場させ、医師との連携も匂わせるべきだったし、これからもやるべきだと思う。
とにかく、これまでの放送では全体的な展開を急ぐあまり、心理描写や場面のつながりを軽視しがちであった点が非常に悔やまれる。
人物同士の細やかな交流を描く機会が幾度もあっただけに、「脚本の仕掛け」や「物語の見せ方」の工夫次第でより魅力的になったはずだ。
と同時に、先週の第20週から、朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK/2022年度後期)の共同脚本担当でパイロット訓練学校編を担当した佃良太氏が、本作の「脚本協力」に名を連ね始めた。
佃氏の手腕がどこまで影響するか分からないが、少なくとも本作のメインライターである吉澤智子氏の負担は減るはずだ。
その作業軽減が、良い方向に働くことを期待するしかない(と思う)。
前半が良い出来だっただけに惜しい急激な後半展開
前半の7分間が「看護を描いたくだり」としてなかなかの出来だっただけに、8分過ぎからの後半におけるシマケンの行動や展開には強い強引さしか感じない。
前半で積み上げた丁寧な物語の流れが、後半の急激な変化によって損なわれてしまった印象は否めない。
大袈裟に言えば、前半と後半で全く別の番組が始まったかのような感覚である。
脚本家二人体制であっても、大人の事情が絡むと、一連の流れとして一貫性を保つことが蒸すかしいことを痛感させられた。
『風、薫る』の満足度を高めるために必要な今後の改善策
今回の放送から分かるように、作品全体の満足度を高めるためには、物語の展開速度よりも登場人物の感情や関係性を丁寧に描くことが不可欠である。
具体的には、特定のキャラクターだけに偏らず、「看護」という本来のテーマや男爵家の設定といった重要な要素をバランスよく配分する必要がある。
また、「看護日記」のような小道具や日常の会話を巧みに利用して、登場人物同士の絆や葛藤を自然な流れの中で表現することが望ましい。
さらに、物語の前半と後半で脈絡のない急展開を避け、一つの流れとして整合性を保つ工夫が求められる。
あとがき
直美「そうやって うちを信用して
長く頼んでくれる患者さんが増えるのは
ありがたい」
分かるんですよ、私も10年近く整形外科病院にリハビリを兼ねて通院しているので、治療には長い期間がかかる病気もあるということは。
でも、医療従事者が、患者が「長く」「ありがたい」は言っちゃいけないと思いますね。
まあ、今回の場合は分かりますけど、それでも「長く」のひと言は蛇足、地雷を踏んだと思いますよ。
ポエムが減ってホッとしていたら、今度はリアルすぎるセリフで違和感増し増しですか…
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フジテレビ系・月9『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』
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第5話『恋は、国境を越えてー』の感想。
バルで土生洸太(神尾楓珠)と鯖山周平(戸塚純貴)から浦真鷲直人(GACKT)が弁護士になった理由を聞く麻生縁(志田未来)。帰り道、ドンヒョク(セヨン)から傘を借りた縁は、彼の相談を受けることに。千葉県の港南市で、マンションの立ち退きを拒む住人がいるという。現地を訪れた縁に、浦真鷲は“隠れた設計図”の存在を示唆し、そこに潜む“嘘”とは…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---
原作:なし
脚本:吉髙寿男(過去作/ザ・ハイスクールヒーローズ) 第1,2話
市東さやか(過去作/真夏のシンデレラ) 第1,2話
阿部沙耶佳(過去作/東京P.D.警視庁広報2係) 第3話
萩森淳(過去作/クジャクのダンス、誰が見た?) 第4話
北浦勝大(過去作/サバ缶、宇宙へ行く) 第5話
鈴木洋介(過去作/絶対零度~情報犯罪緊急捜査~)
演出:三橋利行(過去作/コンフィデンスマンJP,もしもこの世が舞台なら…) 第1,2話
下畠優太(過去作/真夏のシンデレラ,もしもこの世が舞台なら…) 第3,4話
林徹(過去作/大奥,黄昏流星群) 第5話
撮影監督:佐光朗介(過去作/映画「たたら侍」,映画「ミックス。」)
照明:加瀬弘行(過去作/映画「キングダム シリーズ」,映画「ミックス。」)
主題歌:GACKT「STAND ALONE」
※敬称略
主人公の活躍は派手だけど事件の筋道が見えないもったいなさ
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確認するまでもないが、この作品は《法廷や弁護をテーマにした裁判もののドラマ》のはずである。
しかし、見終わった後にどこか納得がいかない不思議な感覚が残ってしまう。
その理由は、主人公・浦真鷲直人(GACKT)の活躍ばかりが目立ち、事件の本質や物語の筋道がしっかり描かれていないからだ。
つまり、今回の中心人物であるはずの麻生縁(志田未来)の事情や、事件の背景が十分に説明されないまま物語が進んでしまっていたのだ。
そのため、主人公である浦真鷲とそのチームがどれほど華やかに解決しても “話のつながり” が見えてこない。
要するに、「リーガルドラマ」として最も大切な《事件の全体像を丁寧に伝える作業》が後回しになっているのだ。
本来であれば、物語の土台となる部分を丁寧に描いたうえで主人公の活躍を際立たせるべきであったのは言うまでもない。
さらに、土台が不安定なまま解決の爽快感だけを強調したため、視聴者は置いてけぼりになってしまった。
結果として、これまでの4話分よりも見ごたえはあるのに、話の内容には満足できないという非常にもったいない状況が生じたのだ。
ピンチの詰め込みすぎで主人公のすごさがかすんでしまう問題
今回では、ドラマの緊張感を高めるために、次々と予期せぬトラブルが発生する展開が詰め込まれた。
そのため、ハラハラドキドキさせるスリルや危機一髪の場面を演出することには成功している。
しかし、あまりにもトラブルが多発するため、主人公の本当のすごさや優秀さが伝わりにくい。
要するに、偶然や勢いでピンチを乗り切っているように見えてしまい、知性や緻密な作戦がかすんでしまったからである。
ドラマ制作においては、物語の深みで魅せるのか迫力あるアクションや展開で魅せるのかのバランスが欠かせない。
優秀なスタッフであれば両方の要素をうまく組み込むことも可能だが、配分を誤るとお互いの良さを打ち消し合ってしまうのだ。
結局、本作は《どの部分を一番の目玉として見せたいのか》という “制作側の迷い” が作品全体に出てしまっているわけである。
その迷いが視聴者にも伝わってしまい、物語への没入感を削ぐ原因になっている。
後出しの展開と隠しすぎな構成のせいで爽快感が半減
終盤になってから新しい事実や証拠を次々と明かす、いわゆる “後出しジャンケン” のような展開が目立ったのもよろしくない。
今回の物語には、土地を不正に奪う不審な業者や強引な開発といった複雑な悪事の仕組みがテーマに含まれていたはずだ。
であるなら、それらの巨悪や脅威に対して主人公たちが、仲間と協力して立ち向かう構図をもっと分かりやすく強調すべきであったと思う。
そこを隠し続けて展開したから、扱っている題材自体は非常にスリルがあり魅力的だったのに、描き方の順番や強調の仕方が失敗したから、スカッとしないのである。
「リーガルドラマ」でありながら、事件の筋道が掴みにくいという点は物語として致命的な痛手である。
オチが悪くなかっただけに、そこに至るまでの過程の分かりづらさが悔やまれる作品となった。
事件の筋道と解決への筋を通すことが作品を面白くするカギ
今後の作品作りにおいては、まず事件の構図や依頼人の状況を早い段階で視聴者に分かりやすく示す必要がある。
トラブルを過剰に詰め込むのではなく、主人公の鋭い洞察力やチームワークによってピンチを脱する過程を丁寧に描くことが望ましい。
また、後から種明かしをする手法を減らし、視聴者も一緒に謎や問題に挑めるような構成にすることで物語への引き込みが強くなる。
つまり、解決の派手さだけでなく、リーガルドラマとしての筋道を一本しっかりと通すことが、作品全体の完成度を高めるカギとなるのだ。
あとがき
今回の根本的な課題は「物語の骨組み(ストーリーライン)」と「見せ場(アクション・エンターテインメント性)」の優先順位の崩れに集約されます。
リーガルドラマというジャンルにおいては、事件の背景や利害関係、法的アプローチの過程といった「論理的な筋道」が作品の説得力を支えます。
しかし第5話では、主人公陣営の華やかな活躍や連続するピンチの演出が優先された結果、肝心の事件の構図や依頼人側の描写が希薄となり、視聴者が状況を把握しにくい構造になっていました。
また、事件の核心となる悪事(土地にまつわる不正等)や後出しの展開が整理されないまま進行したため、結末の満足感に対して過程の納得感が追いつかないという乖離が生じています。
演出上のスリルやキャラクターの魅力を活かすためにも、まずは土台となる事件構造を明確に提示し、主人公の知性や解決のロジックを際立たせる構成が不可欠であったと考えられます。
まあ、脚本担当が毎回違うので、軌道修正できないことも、本作の最大の弱点だとは思います。
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―――ここまで、ごあいさつ―――
この『風、薫る』では、《ダブル主人公》という二人の主人公が交互に登場する形式をとっている。
前週はダブル主人公の一人である大家直美(上坂樹里)を中心に物語が動いていた。
そのためなのか、今回は、もう一人の主人公である一ノ瀬りん(見上愛)を中心に据えた展開へ切り替わっている。
冒頭から‘シマケン’こと島田健次郎(佐野晶哉 ex.Aぇ! group)が描かれたのも、話の主軸を‘りん’へ戻す意図があったと考えられる。
また、大型夏季休暇も終わり、常連の視聴者が通常視聴に戻ってくるため、一気に作品を盛り上げるための「脚本の仕掛け」や「物語の見せ方」や様々な都合も絡んでいるのだろう。
しかし、何よりも明らかなのは、急な登場人物の配置転換によって、視聴者はストーリーのつながりを見失いやすくなったことだ。
つまり、前後の脈絡が感じられないため、場面が突然切り替わったかのような唐突な印象を与えてしまうのだ。
いや、まるで《初めて見る週のダイジェスト版》のような切り刻み展開で、話に着いていくのが精いっぱいなのだ。
そして、もちろん私は、《三角関係の恋バナ》も《新人小説家のデビューもの》を見ているつもりは、1ミリもない!
詰め込みすぎで展開が早すぎるドラマの薄味感に対するモヤモヤ
今さら書くことではないが、一つの作品内にたくさんの要素を詰め込みすぎている点が、本作の分かりにくさの根本的な原因である。
単独の主人公であっても物語が過密になりがちな「令和のドラマ」だが、主人公が二人いることでその影響はさらに大きくなっている。
なぜなら、二人分の人生や出来事を同時に描く必要があり、物語の容量が限界を超えてしまいやすいからだ。
その結果、一つひとつのエピソードをじっくり描く時間が足りなくなり、片方の人物の物語や、全体的に内容が浅くなってしまう)のだ。
そして、内容がてんこ盛り状態のため、視聴者が過去の出来事を思い出す前に新しい場面へ移ってしまう。
そのため、話の流れに疑問や違和感を抱きやすくなる。
要するに、情報量が多すぎることで、大切な場面の印象が薄れてしまうのである。
であるから、「本編」なのに、まるで「土曜日ダイジェスト版」のよう… なのだ。
登場人物の描かれ方が雑でせっかくの魅力が台無しなモヤモヤ
具体例を挙げると、シマケンの恋愛要素は記憶に残りやすい一方で、彼が文章を書いて小説家を目指している設定は影が薄くなっている。
これは、登場人物の背景を描くバランスが崩れているからだ。
また、内科教授の木村文平(前野朋哉)と‘りん’がいつの間にか良好な関係を築いている点も、過程が省略されているため不思議にしか感じられない。
さらに妹の安(早坂美海)についても、いつの間にか結婚して子供がいる状態になっており、本来描くべき〈日常のドラマ〉が省かれている。
これ、もしも本作が《単独主人公》設定であれば、主人公‘りん’の活躍だけでなく、周りの人々の変化や人間関係の深まりを丁寧に見せることができたはずだ。
つまり、場面(=エピソード)の切り替えが早すぎることで、それぞれの登場人物が持つ魅力や物語の重みが損なわれているのだ。
と同時に、《全く、日常描写ができていない!》ことも意味する。
人間関係の丁寧な描写がないから主人公の魅力が見えないモヤモヤ
直美と‘りん’の関係についても、本来であれば「みなしご」と「元家老」という二人の歴史(出自)を生かした深い描写が可能だったはずだ。
また、直美と小川(甲斐翔真)の関係も同様で、二人の思い出や絆を示す出来事を丁寧に描いていれば、新婚生活の場面もより温かい気持ちで受け止められたに違いない。
しかし、兎にも角にも、劇中では《全く、日常描写ができていない!》ため、直美という人物の魅力が伝わりにくくなっているのだ。
それどころか、急な設定変更によって直美のキャラクターの性格が変わったように見えてしまい、観ている側に不自然さを与えている。
主人公を一人に絞っていたとしても上手くいったかは分からないが、少なくとも現状よりは人間関係をわかりやすく描けた可能性があるとは思う、今さらではあるが。
あとがき
朝ドラなどの連続ドラマにおいて、二人の主人公を同時に扱うダブル主人公制は、それぞれの物語を並行して進められる反面、一人あたりの尺が不足しやすい課題をほぼ必ず抱えます。
そのため、各登場人物の成長や関係性の変化に必要なプロセスの記述が省略されると、視聴者は文脈の飛躍を感じ、感情移入が困難になります。
残念ですが、本作は、これらの点において《完全に失敗している》と言わざるを得ません。
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