コントが始まる （第2話・2021/4/24） 感想

日本テレビ系・土10ドラマ『コントが始まる』（公式サイト）
第2話『屋上』、EPG欄『一緒に笑って一緒に泣ける、『あの頃』感じる群像劇』の感想。

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マネジャーの楠木から解散を引き留められ揺れる春斗（菅田将暉）。だが、高校時代からの恋人・奈津美との結婚を考える潤平（仲野太賀）を思うと言い出せない。解散を望むかのような周囲にいら立ち、瞬太（神木隆之介）が働く焼き鳥店で店主・安藤（伊武雅刀）に絡んだ春斗は、翌朝、潤平が自分に隠し続けていた事実を知ってしまう。一方、里穂子（有村架純）は瞬太の気掛かりな行動を目撃する。
---上記のあらすじは[[Yahoo!テレビ]より引用---

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原作：なし
脚本：金子茂樹（過去作/世界一難しい恋､もみ消して冬､俺の話は長い）
演出：猪股隆一（過去作/怪盗 山猫､家売るｵﾝﾅｼﾘｰｽﾞ､ﾆｯﾎﾟﾝﾉﾜｰﾙ､35歳の少女） 第1,2話
　　　金井紘（過去作/信長協奏曲､ﾗｼﾞｴｰｼｮﾝﾊｳｽ~放射線科の診断ﾚﾎﾟｰﾄ~）
音楽：松本晃彦（過去作/踊る大捜査線､3年A組､ﾆｯﾎﾟﾝﾉﾜｰﾙ）
主題歌：あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE)

予告編以外の事前情報を全てシャットアウトして見た第2話

前回の感想で、私は本作のことを、次のように書いた…

●ドラマの流れに身を任せて、空気感を味わうのが、本作の正しい楽しみ方かもしれない…

●「先が見たくなるドラマ」と言うより「ドラマと一緒に進んで行くドラマ」、そんな感じ…

と。だから、前回のラストで見た予告編以外の事前情報を全てシャットアウトして、この第2話に挑んだ。

自分の青春時代と重ねて見ると、より登場人物たちが愛おしい存在になるドラマ

そして、見終えて感じた第一印象は、自分の青春時代と重ねて見ると、もっと春斗（菅田将暉）たち登場人物たちが愛おしい存在になるドラマだと言うこと。

なぜ、そう思ったのか？ 私事で恐縮だが、私と妻は高校時代の同級生で、妻は文化祭実行委員で、私は学校に認められていない「8ミリ映画同好会」の監督 兼 責任者だった。でも、完成した8ミリ映画を上映する教室を借りることが出来なかった。そこで何人もの友だちを経由して、知り合った当時は高校生の妻に頼み込んで、教室を借りることが出来た。

結果的に、その時の文化祭実行委員会、生徒会、「8ミリ映画同好会」のメンバーたちとは、今はコロナ禍で会うことが叶わないが、35年以上、毎年欠かさず年に数回の飲み会と旅行をしている。

そんな今も続く “私の青春” と、潤平（仲野太賀）と奈津美（芳根京子）たちの “ドラマの中の青春” が絶妙にシンクロして、本気で彼ら、彼女らを応援し続けた1時間だった。

高校生役を演じても違和感がなく、且つ"スターのオーラ"を消せる俳優陣を見るだけでも価値アリ

さて、今回も見ながら、いろいろなことが思い浮かんだ。例えば、配役の妙。今回登場した芳根京子さんの存在感の破壊力もさることながら。やはり、キャスティングが絶妙だと思うのは、高校時代を演じても全く違和感のない俳優陣、それも、個性派＆実力派ばかりを終結させている点だ。

以前、別のドラマの感想で、「俳優・小栗旬」は、自在に “スターのオーラ” の出し入れが出来る名優の一人だと書いたことがある。

本作に於いても菅田将暉さんを始め主要キャスト、特に売れずに解散宣言をしたコントトリオ「マクベス」を演じている3人は、髪形や衣装でなく、演技でお馴染みの外見だけを残して、“スターのオーラ” を完全に消して売れない芸人になり切っている。そこを、見るだけでも価値がある。

様々な要素が"アナログ・チック"なのが、オジサンが共感できる理由かも…

また、本作が50歳過ぎのオジサンの心を鷲掴みにする理由も、第2話で漸く見つけることが出来た。それは、今を描いているのに、いろいろな要素が “アナログ・チック” なのだ。例えば、スマホが登場する割に、登場人物たちはSNSで問題解決しない。橋まで走ったり、自転車を使ったり。ブログや手紙（遺書）などのアイテムもそうだ。

どこか、アナログで少し前の時代の雰囲気。敢えて言うなら、春斗たちが生きた青春時代のままの今。

いや、春斗たちは青春時代のやり方でしか、自分たちの繋がりを確認できないような、良い意味での閉塞感や孤独感や孤立感の表現であり、同じ時代、似たような価値観を持っている同士の一体感や仲間意識の映像的な創出が成功しているから、オジサンこそが30歳近く離れた若者に共感するのだ。

最近のドラマでは味わえない、少しずつジワッと沁み込んで来る不思議な感覚…

褒め次いで… と言う言葉が正しいのか分からないが。私は、このドラマが、最近のドラマのように、伏線だ、回収だ、どんでん返しだ、胸キュンだ、バズらせろ！ などど言うことに拘らずに作り込まれていることを評価している。

とにかく、斬新なのは、冒頭に「コント」があって、そのコントを基に、本編が作られていると言う構成だけ。あとは、徹底的に、普通のことを普通に、会話を重ねることで青春群像劇に仕上げていること。この、ドラマの内容が、少しずつジワッと沁み込んで来る不思議な感覚は、ここ最近のドラマでは味わったことない新感覚だ。

あとがき

今回、瞬太（神木隆之介）が「27歳で死ぬ」と言うくだりがありました。ああ言うのをさり気なく持ち込んで来るのも、オジサンの心をくすぐります。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、あれは「27クラブ」のことです。27歳で死亡したミュージシャンやアーティスト、俳優たちのことを一括りにした言葉です。

特に、1969年から1971年の間に亡くなった人たちが「27クラブ」と呼ばれています。私の大好きなミュージシャンである、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリスンも、そう。私は、彼らの倍以上、生きています。命の大切さを思い知らされる昨今だけに、今回の「遺書」と「青春の思い出」を組み合わせたストーリーに泣けました。次回にも期待します。でも、若い人たちにはウケないかも…

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