連続テレビ小説「ばけばけ」 （第1週/ダイジェスト版・2025/10/4） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『ばけばけ』
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第1週『ブシムスメ、ウラメシ。』の「ダイジェスト版（土曜日版）」の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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明治初期、没落士族の娘・松野トキ（髙石あかり）は、武士の誇りと貧困の狭間で揺れる家族と共に暮らしていた。父・司之介（岡部たかし）は商売を始め、松野家に変化が訪れるが、突然の失踪により再び不安が広がる。成長したトキは借金返済のため機織り工場で働き、婿探しを決意する。やがて外国人の夫・ヘブン（トミー・バストウ）と出会い、怪談を愛する日常が始まるが――。
------上記のあらすじは、当ブログのオリジナル------

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原作：なし
脚本：ふじきみつ彦（過去作/ﾊﾞｲﾌﾟﾚｲﾔｰｽﾞ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記）
演出：村橋直樹（過去作/まれ,透明なゆりかご,ｻｷﾞﾃﾞｶ） 第1週
　　　泉並敬眞（過去作/ｽｶｰﾚｯﾄ,ｶﾑｶﾑｴﾌﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
　　　松岡一史（過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,ｶﾑｶﾑｴﾌﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ）
制作統括：橋爪國臣（過去作/青天を衝け,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
音楽：牛尾憲輔（過去作/ﾁｪﾝｿｰﾏﾝ,僕の心のﾔﾊﾞｲやつ,ﾀﾞﾝﾀﾞﾀﾞﾝ）
主題歌：ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション：北郷美穂子（NHK大阪アナウンサー）
副音声解説：山崎健太郎（過去作/舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ,虎に翼,おむすび）
タイトル写真：川島小鳥（過去作/未来ちゃん,SHISHAMOｱｰﾄﾜｰｸ）
タイトルロゴ：西沢和樹（instagram.com/nishizawa_k/）
プロデューサー：田島彰洋,鈴木航
美術：山内浩幹（過去作/わろてんか,ちむどんどん）
技術：増田徹（過去作/恋せぬふたり,おむすび）
音響効果：松本有加（過去作/恋せぬふたり,望海風斗のｻｳﾝﾄﾞｲﾏｼﾞﾝ）
撮影：岩崎亮（過去作/％ ﾊﾟｰｾﾝﾄ,ﾊﾞﾆﾗな毎日）
照明：根来伴承（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,あなたのﾌﾞﾂが､ここに）
音声：吉竹淳樹（過去作/青春ｱﾄﾞﾍﾞﾝﾁｬｰ,やさしい猫）
映像技術：前田惇徳（過去作/ﾊﾞﾆﾗな毎日,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
カラーグレーディング：原幸介（過去作/おむすび）
VFX：西垣友貴（過去作/まんぷく,光る君へ）
CG：大西智子（過去作/全貌 二・二六事件 特別編）
美術進行：嶋原広起（過去作/ｻﾝﾀが降りた滑走路）
装置：佐藤千織（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,ﾊﾞﾆﾗな毎日）
装飾：津村政幸（過去作/ﾊﾞﾆﾗな毎日）
特殊効果：奥村陵（過去作/ちりとてちん）
衣装：横山智和（過去作/おちょやん,ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,ﾊﾞﾆﾗな毎日）
メイク：堀洋子（過去作/11通の出せなかったﾗﾌﾞﾚﾀｰ）
持道具：楠正由貴（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,だから私は推しました）
かつら：松本誠也
特殊メイク：江川悦子（過去作/地面師たち）
特殊メイク協力：荒井律子
助監督：小林直毅（過去作/ｴｰﾙ,らんまん,3000万）
制作担当：木村晴治（過去作/だから私は推しました）
取材：川野秀昭（過去作/昔はおれと同い年だった田中さんとの友情）
編集：藤澤加奈子（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,舞いあがれ!,おむすび）
記録木本裕美：（過去作/あまろっく,港に灯がともる）
時代・風俗考証：刑部芳則　松江風俗考証：藤岡大拙
出雲ことば指導：多々納斉　所作指導：藤間豊宏
料理指導：広里貴子　英語指導：塩屋孔章
英字指導：前田祐加　眼科指導：大路正人
怪談ばなし指導：玉田玉秀斎　茶道指導：有澤一男
三味線指導(タエ)：菊央雄司　三味線指導(遊郭)：長江浩子
アクション指導：中村健人　日本画指導諫山恵実：
※敬称略

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引き延ばし部分は徹底的に削除、物語の骨格だけ確実に残存

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―――ここまで、ごあいさつ―――

ひと言でいうなら「試行錯誤が見えた、なかなかのダイジェスト版」だ。

第1週ゆえに、「状況説明」や「雰囲気づくり」の要素は多分にあるし。

松野トキ（髙石あかり）が金曜日に登場させるために、木曜日まで小学生のトキ（福地美晴）で引っ張らないといけない大人の事情もあったのは明らかで。

だからこそ、「ダイジェスト版」としては “完全な引き延ばし” の箇所は徹底的に削り。

“物語の骨格” だけは確実に残した。

こんなスタイルの編集になっていたと思う。

北郷美穂子アナの追加ナレで様々な要素がつながった印象

さらに、制作統括の橋爪國臣氏の談によれば「蛇と蛙は‘語り’でない」そうで、あくまでも登場人物（人ではないですけど）の二人（これまた人ではないですけど）の扱いなので、クレジットタイトルに「語り」表記がないそうだ。

で、その蛇と蛙（阿佐ヶ谷姉妹） の出演シーンもセリフを残した上で。

NHK大阪の北郷美穂子アナウンサーの追加・補足ナレーションを加え。

「本編」では少々分かりにくかった「時代設定」「状況設定」「時間経過」等の説明を入れることで。

“流れ” を分かりやすくするだけでなく、“物語” として楽しめる編集にもなっていたと思う。

おかげで、様々な要素（エピソード）が “ひとつにつながった” 印象がある。

これこそが「ダイジェスト版」といえるだろう。

“今作らしさ”を強めない編集として受け取ればかなり良作

しかし、残念な部分もある。

それは、第5回（10月3日放送）の感想に書いた次の要素が薄まってしまったことだ。

　●軽妙な語り口で描く、日常の断片を綴ったホームドラマ
　●ライトコメディ寄りのファミリードラマ
　●家族の “あるある” を軽やかに描く日常スケッチ風ドラマ

もちろん、「本編」を見た視聴者であれば「残ってたよね」だろう。

でも、見ていなければ「朝ドラっぽい」と感じても、「〈ばけばけ〉らしい」とは思わないと思うのだ。

やはり、「ダイジェスト版」は「視聴者を本編に誘導する」が大きな役割だから、「ダイジェスト版」から「本編」に移行する人は少し違和感を覚えるかも？

それでも、まだ第1週だ。

そもそも、今作の方向性が上で挙げたような “軽妙な語り口で描く、日常の断片を綴ったホームドラマ” になるなんて、現時点では期待、妄想、思い込みの類だ。

その意味で考え直すと、むしろ《“今作らしさ” を強めない編集》として受け取れば、なかなかよくできているともいえるのだ。

あとがき

個人的には「ウサギバブル」と「ウサ右衛門」、［史実］だった‘縁結び’で名高い八重垣神社での「恋占い」の時間経過のくだりなんて好きでしたけどね。

でも、ホント、ここまで “完全な引き延ばし” の箇所は削り取るとは想定外です。

逆に、編集者の中では「伝えたいもの」が明確にあるということ。

それは、視聴者にとっても良いことだと思います。

前作は、そこがブレまくり続けましたので…

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【これまでの感想】

第1週『ブシムスメ、ウラメシ。』
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 

朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と妻・セツの研ぎ澄ませた得意な感覚（聴覚やアニミズム思想）で耳で感じる異文化理解 

朝ドラ「ばけばけ」初めての外国人に心を開いた少女――ルーペの光が導いた妻・セツと小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）の運命 

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連続テレビ小説「ばけばけ」 （第5回・2025/10/3） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『ばけばけ』
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第5回／第1週『ブシムスメ、ウラメシ。』の感想。

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明治１９年。トキ（髙石あかり）は、借金を返すために親戚の雨清水傳（堤真一）が経営する機織り工場で働いていた。しかし、膨大な借金の前に生きてくのがやっとなトキと松野家。そこに、借金取り・森山（岩谷健司）が「トキを遊郭にやって借金を返せ」と現れる。トキは借金返済のため、働き手となる婿をとることを提案する。同僚のチヨ（倉沢杏奈）、せん（安達木乃）とまずは有名な恋占いをすることになるのだが。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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※敬称略

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小泉八雲とセツさんの出生から出会いまで…投稿しました

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何人の読者様が待っていようがいなかろうが(笑)、前回の感想のあとがきに次の文言を書かせていただきました。

近日中に、小泉八雲と小泉セツの簡単な［史実］を投稿しようと、現在必死に構成・校正中です。しばらくお待ちください…

というわけで、昨日中に小泉八雲と小泉セツさんの “出生から出会いまで” の［史実］を簡単にまとめた記事を投稿しました。

前作『あんぱん』同様に、「フィクションとはいえ史実は知りたくない」な人は読まなくて結構です。

逆に、「フィクションが得意なふじきみつ彦さんが史実をどんな風にアレンジするんだろう？」と期待している人は、事前に読んでおくと「なるほど、そう書いたんだ！」と思えると思います。

私自身は「作家力」「作家性」を満喫したいので、「本編」に先駆けて投稿しました。

「小泉八雲版」で注目してほしいのは《夫婦が耳で感じる異文化》のくだり。

「小泉セツ版」では《ある外国人からもらった虫眼鏡がハーンとの運命をつくった》くだり。

これ以上は書きませんので、興味があったら読んでください！

とくに、この文章を「第5回を見た後に読んでいる貴方」は、読めば今回の展開の理解が深まること間違いありません！！

朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と妻・セツの研ぎ澄ませた得意な感覚（聴覚やアニミズム思想）で耳で感じる異文化理解 

朝ドラ「ばけばけ」初めての外国人に心を開いた少女――ルーペの光が導いた妻・セツと小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）の運命 

「まだ第1週だから大目に見よう」週間真っ最中なので…

第4回までが「明治8年（1875）」で、第5回の冒頭でいきなり11年後の「明治19年（1886）」となった（驚）

私の朝ドラ歴だと、ヒロインの幼少期の顔のどアップから大人版のどアップにオーバーラップ（現在の画面が次第に薄くなり、次の画面が濃く重なりはじめて、結果カットが入れ替わる効果）のような編集処理をして「子役から切り替え」るのが王道なのだが。

今回はいわゆる “入れ替わり” を作らずに、一気に切り替えた。

蛇(N)「おトキちゃん　なんと18歳になりました！」

いくらなんでも「端折りすぎ」の感じは否めないのでは？

だ、か、ら、前段でご紹介した「小泉セツ版」を読んでいただきたいのだ（自己判断でお願いします）。

もちろん、今回をじっくり見れば一生働いても返せない借金を抱えて “11年も” 生活してこられたのか想像はできる。

しかし、（やっぱり今作でも書くことになりました）本人が自覚しようがしまいが、好意的な脳内補完は個人の “創作” であり、全視聴者共通の認識ではないのだ。

こういうのをやるから「だったら、今回が第1回でよかった…」なんて意見が出るのは当然だと思う。

もちろん現在の私は「まだ第1週だから大目に見よう」週間真っ最中なので “本人が自覚” して脳内補完しておくが（苦笑）

軽妙な語り口で描く、日常の断片を綴ったホームドラマ

メインタイトル映像明けのトキ（髙石あかり）は、知る人ぞ知るドラマ版と劇場版もある『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ』の‘ほぼ杉本ちさと？’である（笑）

その後のトキも、良い意味で‘ほぼ杉本ちさと？’に意図的に近づけたような人物像として描かれた。

さすがに、‘ちさと風トキ’慣れるまで少々面食らったが。

しかし、次のような捉え方もできる。

第1～4回までの主人公・トキは「うらめしい話としじみ汁が大好きな少女」という設定以外は、朝ドラによく出てくる「幼少期のヒロイン像」で特別個性が強いわけではなかったと思う。

そのために、脚本家の「何も起こらない物語」も相まって、“ドラマ” としての方向性がぼやけていたのだ。

しかし、今回の18歳のトキのキャラクター設定と表現（演出と演技の両方）によって、あえて脚本のふじき氏の意向に寄せるとこんな感じだろうか？

　●軽妙な語り口で描く、日常の断片を綴ったホームドラマ
　●ライトコメディ寄りのファミリードラマ
　●家族の “あるある” を軽やかに描く日常スケッチ風ドラマ

個人的には「うらめしい話」を扱う朝ドラだからこそ、これくらいの塩梅がちょうどよいと思う…

何が “いい塩梅” なのか分からんけど（笑）

トキの“立場の変化”を一気に描くには絶好の構成

中盤では、11年後の野津サワ（円井わん）が登場。

さらに、天国遊郭で働く遊女・なみ（さとうほなみ／ほな・いこかex.ゲスの極み乙女） も登場。

これによって、カステラのくだりのトキと母・フミ（池脇千鶴）を含めて「しんどいけれど、今日も踏ん張って生きている」な女性たちの三者三様（四者四様？）が描かれ。

その直後に、「しんどいけれど、踏ん張りつつもどこか無責任に生きている」な父・司之介（岡部たかし）と祖父・勘右衛門（小日向文世）描かれた。

ここ、「娘が遊女に？」「娘自身が婿をもらう宣言？」と衝撃的な展開に気を取られがちだが。

前4回分ではあまり強調されなかった、いわゆる「出雲遊郭」と呼ばれる地帯を描く一方で。

私は日本史が苦手な人間なので間違っている可能性あると断りつつ…

松江に限ったことではないが、松江における明治8年の庶民、とくに元武士の生活は、「収入を失い困窮、身分の行き場を探す過渡期」だった。

それが明治19年には、「教育・官職・商売に職を得て定着、社会的地位を再構築する時期」に移行していた。

つまり、この11年は「没落の痛みを経て、新しい身分秩序に適応しはじめた」決定的な変化の期間であったといえる。

そう考えれば、今回で一息に前回の貧乏生活のはじまりから‘困窮生活の果てに’まで描いた構成は、“トキの立場の変化” を一瞬で（1回で）描くには絶好の描写だったともいえると思う。

カメラの高さに注目

最後に、「前作では演出関連の話題が少なかったので書いてほしい」とのコメントをいただいたので書いてみる。

私が今回の演出で興味関心を抱いたのは、12分過ぎの下図のワンカットだ。

©NHK

第5回では、序盤から松野家の宅内の映像がかなりあったが、そのほぼ全てのカットで《カメラの位置は畳や床近くの上》だったのに。

トキが自分から自身の身の振り方を家族に提示したカットだけ（だと思います）《カメラの位置がトキの方の高さ》に上げてあったのだ。

この演出（カメラ位置、カメラアングル）によって《娘のトキが他の家族と同等に一家を支えている》に見えるわけだが。

それぞれの身長が、岡部たかしさんが172cm、小日向文世さんが164cm、池脇千鶴さんが155cm、そして髙石あかりさんが160cmで、カメラを髙石の肩よりやや上にすることで《トキが際立って見える》のだ。

さらに、《トキがこれから家族を支える重要人物》であることを強調するためやっている（と思います）のは、下図で分かる。

©NHK

実は、トキがカメラに背を向けているカットのほうが、池脇千鶴さんの身長が高いのだ。

おそらく、数センチだけセッシュ（身長を高く見せるために台などの上に乗せる）していると思う。
　※池脇さんの足元、ぎりぎりで映りませんよね。

このセッシュによって、母の顔だけが下がらないため、さらに《トキが際立って見える》のだ。

あとがき

終盤の「縁結びの大親神・八重垣神社」の「鏡の池の縁占い」のくだり、微笑ましくてほっこりしましたね。

「実は」というほどでもないですけど、前作に続いて今作も《エンドカードなし》ですね。

前作では「ほいたらね」を盛り込むために作り込みが雑になった放送回がたくさんありました。

でも今作は《締めくくり方がうまい》と思って見ています。

例えば、第3回のラストは「手持ちカメラで父をサスペンス風に」、第4回は「二人が出会うまで5612日」のテロップで、余韻や期待感の創出が成功していると思います。

もちろん、最後の1秒、1コマ、1フレームまで手抜きをしないのがプロとして当然やるべきことなんですけど、やらない、やれないスタッフが増えていますので（困）

※土曜日の「ダイジェスト版」の感想も投稿する予定です！

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【これまでの感想】

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第1回 第2回 第3回 第4回 

朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と妻・セツの研ぎ澄ませた得意な感覚（聴覚やアニミズム思想）で耳で感じる異文化理解 

朝ドラ「ばけばけ」初めての外国人に心を開いた少女――ルーペの光が導いた妻・セツと小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）の運命 

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朝ドラ「ばけばけ」初めての外国人に心を開いた少女――ルーペの光が導いた妻・セツと小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）の運命

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【忠告】
朝ドラ『ばけばけ』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありませんが。
小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と、妻・セツさん夫妻の［史実］について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
　※以下、敬称は部分的に使い分けをします。

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NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の放送が、2025年9月29日（月）より開始されている。

『ばけばけ』は、小泉セツと彼女の夫・小泉八雲（ラフカディオ・ハーンがモデルの物語である。
　※ドラマでは髙石あかりが演じる「松野トキ」と、トミー・ バストウが演じる「レフカダ・ヘブン」。

この記事では、当ブログの感想の補足記事として、妻・セツさんの出自を中心に小泉八雲との出会いまでをつづってみたい。

小泉セツは慶応4年（1868）2月4日、島根県松江市で生まれた。

父は松江藩士の小泉湊、母は藩家老の娘・チエである。

しかしセツは生後すぐに、親戚である稲垣金十郎・トミ夫妻の養女となった。

稲垣夫妻には子どもがいなかったため、あらかじめ「次に子が生まれたら養子とする」と決まっていたのである。

生家の小泉家は‘禄高三百石の上士’で、養家の稲垣家は‘百石の並士’であった。

そのため養父母は、格式の高い家の娘であるセツを「お嬢」と呼び、大切に育てた。

物語好きな少女

セツは子どものころから物語を聞くのが好きだった。

養母・トミは出雲大社ゆかりの家の出であり、神話や不思議な話を語ることができた。

狐にだまされた話や祈祷、呪いの話などをセツに聞かせたという。

このようにしてセツは多くの物語に親しみ、後に「語り部」となるべくしての素質を育んでいったのだ。

幼少期の特別な出会い－初めての外国人からもらったルーペ

明治はじめ、松江藩はフランス人の教官ワレット（‘Vallet’と表記される）を招き、西洋式の軍事訓練を行っていた。

軍事訓練を見物に行った幼いセツは、他の子どもが逃げる中、一人だけ逃げずに（当時は珍しい存在だった）西洋人‘ワレット’を見上げた。

ワレットはその度胸を気に入り、セツに虫眼鏡（ルーペ）を与えた。

ルーペは当時の日本では珍しい品で、セツの一生の宝物となった。

セツ自身はのちに「もしあのルーペをもらっていなければ、ハーンと夫婦になることも難しかったかもしれない」と書き残している。

ワレットとの思いがけぬ出会いは、セツはもちろん、八雲の運命も変えたのだ。

下の写真は「セツさんがもらったルーペ」。
　※「セツゆかりの品｜小泉八雲とセツが愛した島根ゆかりの地をめぐる | しまね観光ナビ｜島根県公式観光情報サイト」 より無断拝借（謝）

©小泉八雲記念館

学校生活と家計の困窮

明治9年（1876）、8歳のセツは松江市立内中原小学校に入学した。

成績もよく、さらに学びたかったが、それはかなわなかった…

養家の稲垣家が没落したからである。

養父の商売が失敗し、家は貧しくなったのだ。
　※失敗した商売の詳細は不明。「ウサギバブル」であるかも不明。

養母・トミが縫い物で収入を得るだけでは生活は苦しく、セツは義務教育を終えると進学を諦め、実父の工場などで働いた。

また、生家で茶道や謡曲を習い、礼儀作法も身につけた。

最初の結婚と破局

明治19年（1886）、18歳のセツは鳥取藩士の家に生まれた前田為二と結婚した。

だが夫は生活に耐えきれず出奔してしまう。
　※出奔の理由は定かでないですが、セツが養女として入った稲垣家同様に明治維新後の士族没落で生活は困窮していた可能性はあります。

セツは大阪まで探しに行ったが拒絶され、明治23年（1890）に正式に離縁となった。

このときセツは、自ら命を絶とうとまで思ったが、家族のことを考え思いとどまった。

松江での極寒と決意

同じころ、松江は大寒波に襲われ、セツたち家族は貧しい家で寒さに震えていた。

生活のため、セツは “外国人教師の家” で “住み込み女中” をすることを決意した。

外国人に仕える女性は偏見の目で見られることもあったが、セツは家族を支えるためこの道を選んだのだ。

ラフカディオ・ハーンとの出会い

その外国人教師こそ、のちに小泉八雲と呼ばれるラフカディオ・ハーンであった。

明治23～24年（1890～1891）、セツはハーンのもとで働き始め、やがて夫婦として暮らすようになった。

ハーンは明治29年（1896）に日本へ帰化し、「小泉八雲」と名乗った。

セツは彼に民話を語り、日本文化を伝え、八雲の作品を支える大きな役割を果たしたのだ。

あとがき

小泉セツさんが八雲と出会うまでの経緯を中心に、セツさんの人となりが分かるようにしてみました。

セツと目が不自由だった八雲の「二人の人生をつなぐ共通の象徴」が、小さくて見えづらい物の検査・測定・作業に使用する手持ちの拡大鏡というのも運命を感じます。

『朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と妻・セツの研ぎ澄ませた得意な感覚（聴覚やアニミズム思想）で耳で感じる異文化理解』 も併せてお読みください！

参考・出展

■『小泉セツとハーンの物語: ー小泉八雲「怪談」誕生のひみつー』三成清香(著)少年写真新聞社 
■『小泉八雲　漂泊の作家ラフカディオ･ハーンの生涯』工藤美代子(著)毎日新聞出版 
■『ヘルンとセツ』田淵久美子(著)NHK出版 
■『セツと八雲』小泉凡(著)朝日新聞出版 
■『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』青山誠(著)KADOKAWA 
■『面白すぎて誰かに話したくなる 小泉八雲とセツ』伊藤賀一(著)リベラル社 

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と妻・セツの研ぎ澄ませた得意な感覚（聴覚やアニミズム思想）で耳で感じる異文化理解 

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朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と妻・セツの研ぎ澄ませた得意な感覚（聴覚やアニミズム思想）で耳で感じる異文化理解

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【忠告】
朝ドラ『ばけばけ』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありませんが。
小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と、妻・セツさん夫妻の［史実］について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
　※以下、敬称は部分的に使い分けをします。

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の生い立ちと若き日の苦難

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私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の放送が、2025年9月29日（月）より開始された。

『ばけばけ』は、小泉セツと彼女の夫・小泉八雲（ラフカディオ・ハーンがモデルの物語である。
　※ドラマでは髙石あかりが演じる「松野トキ」と、トミー・ バストウが演じる「レフカダ・ヘブン」。

まず、当ブログの感想の補足記事として、小泉八雲の出自や妻セツさんとの出会いをつづってみたい。

小泉八雲は嘉永3年（1850）にギリシャ・レフカダ島で生まれた。

父はアイルランド人の軍医、母はギリシャ人で。

幼少期にアイルランドへ移り、カトリック教育を受けた。

慶応2年（1866）、16歳のとき事故で左目を失明した。

翌年、親戚の経済的破綻により学業を続けられなくなり、19歳で単身アメリカへ渡った。

アメリカでの記者時代

八雲は印刷業者ヘンリー・ワトキンに出会い、文章の校正や執筆を学んだ。

努力の結果、シンシナティの新聞社で記者となった。

緑明治7年（1874）にはアイルランド系移民の女性アリシア・フォリーと結婚するが、当時の人種差別的な法律のため仕事を失い、結婚生活も長く続かなかった。

その後、ニューオーリンズやカリブ海で取材や執筆を行った。

日本との運命的な出会いと来日

明治17年（1884）に行われたニューオーリンズ綿花万国博覧会の日本館展示に触れ、日本文化への強い興味を抱いた。

さらに、八雲はニューヨークで日本最古の神話集『古事記』の英訳を手にし、日本文化の神秘性にひかれていった。

アメリカ社会に居場所を見いだせず、心のよりどころを探していた八雲にとって、日本は「まだ西洋に知られていない未知の国」であり、自らの好奇心と文学的探究心を満たす理想の場所に思えたのである。

こうした経験を積み重ね、八雲は40歳となった1890年、ついに日本へ渡る決意を固めた。

明治23年（1890）の夏、40歳で来日した八雲は、島根県松江の中学校で英語教師となった。

帰化と正式な婚姻、家族、「八雲」の名前の由来

明治24年（1891）に士族の娘・小泉セツが住み込みで世話係として来て、以後セツとの共同生活（今でいう「事実婚」）と取材が始まる。

明治29年（1896）に出雲大社を参拝し、外国人として初めて本殿（昇殿）を許されたとの記録もある。

正式な婚姻手続きをしたのは 明治29年（1896）に日本へ帰化した後である。

以後「小泉八雲（Koizumi Yakumo）」の名を用い、三男一女（計4人の子）をもうけた。

名前は、妻の姓をとって「小泉」と名乗り、同時に「八雲」という名を選んだ。

由来は『古事記』に記された須佐之男命の歌である。

八雲立つ　出雲八重垣　妻籠みに　八重垣作る　その八重垣を

八雲は、この歌の「八雲　出雲　八重垣」の音としての面白さにひかれたと同時に。

この歌は出雲の象徴とされ、松江を第二の故郷と感じた八雲にとって特別な意味をもった。

よって「小泉八雲」という名は、結婚・帰化・出雲文化への敬意が重なって生まれたのである。

言語と執筆の協働－－「ヘルンさん言葉」とセツの役割

八雲は日本語を流暢に話せなかったため、セツとの間で助詞などが簡略化された独特のコミュニケーション（日本側で「ヘルン言葉」と呼ばれる）を用いた。

セツは多くの民話や口承を語り、ハーンはそれを英語で再話・整筆して欧米に紹介した。

特に『怪談』など多くの作品で、セツの語りが素材となっている。

ちなみに、セツの八雲に対する「読み聞かせ」は元の話を完全に暗記し、セツの言葉と表現で伝える方法が取られた。

作家としての活動

八雲は日本各地を旅し、セツから聞いた昔話をもとに『怪談』（1904）を出版した。

「耳なし芳一」や「雪女」などが有名である。

来日後の最初の著作『知られぬ日本の面影』（1894）は、松江や山陰での生活を描いた紀行文で、ベストセラーとなった。

さらに『骨董』（1902）では日本の古い伝説や信仰を題材に、死生観や哲学的な思索を記した。

小泉八雲と「耳で感じる異文化理解」

小泉八雲は、生まれつき視力が弱く、周囲を「目で見る」よりも「耳で聞く」ことで世界を受け止めていた人物である。

一般的に人は視覚に頼って理解を深めようとするが、八雲は逆に聴覚を通して異文化をとらえ、そこから豊かなイメージを広げていったのである。

人々の声、風に揺れる木々の音、波が寄せ返す響き…
八雲はそうした音の一つ一つを敏感に感じ取り、そこに込められた感情や意味を汲み取ろうとした。

この姿勢は、日本文化との親和性を持つものであった。

文化そのものを"音や声"を通して身体に取り込む独自の手法

第一に、日本の口承文化との結びつきである。

日本には古来より、物語や歴史を「文字」ではなく「語り」「朗読」「歌」といった形で伝える伝統があった。

八雲はこの語りのリズムや声の抑揚を深く味わい、まるで自らの感覚に組み込むように吸収していったのである。

第二に、日本語の身体化との関係である。

八雲は日本語を単なる外国語として習得するのではなく、耳で聞き、声に出し、身体で響きを感じる言葉として身につけていった。

言葉を「読む」よりも「響かせる」ことで、日本語を体感的に理解し、異文化を自らの感覚に根づかせたのである。

こうして八雲は、視覚に依存せず、得意な感覚を研ぎ澄ませることによって異文化を理解した。

彼の方法は、単なる知識の習得ではなく、文化そのものを「音」や「声」を通して身体に取り込む独自のアプローチであったといえる。

小泉八雲と、万物に霊が宿り生きている…アニミズム思想

八雲を理解するには「アニミズム（自然のすべてに霊が宿ると考える見方）」を知ることが大切だ。

ヨーロッパの古代ケルト人は、自然の力を神々や精霊として信じるドルイド信仰を持っていた。

太陽や森の木々、動物に霊が宿るとされ、妖精の伝承も生まれた。

やがてキリスト教が広まったが、八雲が幼少期を過ごしたアイルランドでは土着信仰との融合が進み、文化の中に精霊信仰が残っていた。

日本でも、山や川、木や石に神が宿ると考える神道の伝統があったし。

さらに仏教が伝わると、大晦日には寺院で除夜の鐘を突き、初詣では神社を参拝するような日本的宗教観、いわゆる神仏習合（神道と仏教を一緒に尊ぶ習慣）が定着し、八雲はその暮らしもしていたのだ。た。

要するに、八雲はギリシャ、アイルランド、日本という異なる文化を生きてきた…　ということ。

その背景が「自然の中に霊を感じる」という共通の思想への理解を深めたと考えられる。

彼が妖怪や幽霊の物語に強い関心を持ったのは、アニミズム的な感覚と深く結びついていたのである。

あとがき

改めまして、「アニミズム」とは、自然のあらゆる存在…　木や石、川や山、動物や人の声などに「魂」や「霊」が宿ると考える思想です。

日本の神道や昔話の世界観とも深くつながりますよね。
例えば、日本人が大好きな「桜の木」にも一本一本に「神」や「魂」が宿っていて、人間が手をかけて守るから神や魂が反応して、翌年もっときれいに咲く…　と信じるなんてありませんか？

八雲が「音」や「声」に宿る力を敏感に感じ取ったこと。

さらに、単なる自然崇拝を超えて、道具や場所、さらには怨霊や妖怪のような存在まで「霊が宿る」と考えたこと。

これらは、まさにアニミズムの感覚と響き合っていたといえると思います。

朝ドラ『ばけばけ』も、「視覚」に注目する以上に「音」や「声」に傾聴したら違った面白さが味わえると思います（そう信じます…）

※セツさんパートはただいま最終調整中につき、しばらくお待ちください。

参考・出展

■『小泉セツとハーンの物語: ー小泉八雲「怪談」誕生のひみつー』三成清香(著)少年写真新聞社 
■『小泉八雲　漂泊の作家ラフカディオ･ハーンの生涯』工藤美代子(著)毎日新聞出版 
■『ヘルンとセツ』田淵久美子(著)NHK出版 
■『セツと八雲』小泉凡(著)朝日新聞出版 
■『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』青山誠(著)KADOKAWA 
■『面白すぎて誰かに話したくなる 小泉八雲とセツ』伊藤賀一(著)リベラル社 

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連続テレビ小説「ばけばけ」 （第4回・2025/10/2） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『ばけばけ』
公式リンク：Website｜X(旧Twitter)｜Instagram

第4回／第1週『ブシムスメ、ウラメシ。』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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突如、トキ（福地美晴）やフミ（池脇千鶴）、勘右衛門（小日向文世）の前から姿を消した司之介（岡部たかし）。何日たっても家に帰ってこない司之介に、松野家の不安はつのっていく。そんなある日、登校途中のトキは司之介を発見する。「家に帰ろう！」と声をかけるトキだったが、司之介はかたくなに帰ろうとしない。松野家の行く末はどうなる！？一方、アメリカではレフカダ・ヘブン（トミー・バストウ）がこの世に絶望していた。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：ふじきみつ彦（過去作/ﾊﾞｲﾌﾟﾚｲﾔｰｽﾞ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記）
演出：村橋直樹（過去作/まれ,透明なゆりかご,ｻｷﾞﾃﾞｶ） 第1週
　　　泉並敬眞（過去作/ｽｶｰﾚｯﾄ,ｶﾑｶﾑｴﾌﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
　　　松岡一史（過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,ｶﾑｶﾑｴﾌﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ）
制作統括：橋爪國臣（過去作/青天を衝け,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
音楽：牛尾憲輔（過去作/ﾁｪﾝｿｰﾏﾝ,僕の心のﾔﾊﾞｲやつ,ﾀﾞﾝﾀﾞﾀﾞﾝ）
主題歌：ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
副音声解説：山崎健太郎（過去作/舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ,虎に翼,おむすび）
タイトル写真：川島小鳥（過去作/未来ちゃん,SHISHAMOｱｰﾄﾜｰｸ）
タイトルロゴ：西沢和樹（instagram.com/nishizawa_k/）
プロデューサー：田島彰洋,鈴木航
美術：山内浩幹（過去作/わろてんか,ちむどんどん）
技術：増田徹（過去作/恋せぬふたり,おむすび）
音響効果：松本有加（過去作/恋せぬふたり,望海風斗のｻｳﾝﾄﾞｲﾏｼﾞﾝ）
撮影：岩崎亮（過去作/％ ﾊﾟｰｾﾝﾄ,ﾊﾞﾆﾗな毎日）
照明：根来伴承（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,あなたのﾌﾞﾂが､ここに）
音声：吉竹淳樹（過去作/青春ｱﾄﾞﾍﾞﾝﾁｬｰ,やさしい猫）
映像技術：前田惇徳（過去作/ﾊﾞﾆﾗな毎日,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
カラーグレーディング：原幸介（過去作/おむすび）
VFX：西垣友貴（過去作/まんぷく,光る君へ）
CG：大西智子（過去作/全貌 二・二六事件 特別編）
美術進行：嶋原広起（過去作/ｻﾝﾀが降りた滑走路）
装置：佐藤千織（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,ﾊﾞﾆﾗな毎日）
装飾：津村政幸（過去作/ﾊﾞﾆﾗな毎日）
特殊効果：奥村陵（過去作/ちりとてちん）
衣装：横山智和（過去作/おちょやん,ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,ﾊﾞﾆﾗな毎日）
メイク：堀洋子（過去作/11通の出せなかったﾗﾌﾞﾚﾀｰ）
持道具：楠正由貴（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,だから私は推しました）
かつら：松本誠也
特殊メイク：江川悦子（過去作/地面師たち）
特殊メイク協力：荒井律子
助監督：小林直毅（過去作/ｴｰﾙ,らんまん,3000万）
制作担当：木村晴治（過去作/だから私は推しました）
取材：川野秀昭（過去作/昔はおれと同い年だった田中さんとの友情）
編集：藤澤加奈子（過去作/ｶﾑｶﾑｴｳﾞﾘﾊﾞﾃﾞｲ,舞いあがれ!,おむすび）
記録木本裕美：（過去作/あまろっく,港に灯がともる）
時代・風俗考証：刑部芳則　松江風俗考証：藤岡大拙
出雲ことば指導：多々納斉　所作指導：藤間豊宏
料理指導：広里貴子　英語指導：塩屋孔章
英字指導：前田祐加　眼科指導：大路正人
怪談ばなし指導：玉田玉秀斎　茶道指導：有澤一男
三味線指導(タエ)：菊央雄司　三味線指導(遊郭)：長江浩子
アクション指導：中村健人　日本画指導諫山恵実：
※敬称略

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たった4つの言葉で、トキの心境変化や松野家の実情を表現

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第3回までの感想を読んでくださった読者様向けの情報になるが。

今回のメインタイトル映像は、引用歌詞含めて第2回同様の「短縮版」だったので、これでますます「1回おき」なのか分からなくなった（だけです…）

「特に何も起こらない」の朝ドラゆえに、「特に何も書くこともない」である（笑）

しかし、「特に何も起こらない」の朝ドラゆえに、「なるほどね」と思った描写があった。

例えば、3分過ぎの没落士族の娘・松野トキ（福地美晴 ）のため息の使い方だ。

最初はいつもどおりの「あ～」で叱られる…　が “叱られない” に転じて「あっ…」との気づきを経由して「いえ」から「はあ～」へ転じる。

セリフと言うにはあまりにも短い言葉だが、たったの4つでありながら、前回から今回までのトキの心境の変化だけでなく、没落士族の松野家の実情を端的に表している。

出来事も騒動ではなく、描写も大げさでない。

しかし、丁寧に “時間と変化” に “物語と流れ” を重ねて紡いでいる印象だ。

もちろん、劇伴も使わず、手前の部屋の囲炉裏の火がはねる環境音をBGMに、お椀を手に取る音、トキがしじみ汁をすすり飲み込む音を強調してきた。

“心は泣いているのに、体は日常をこなしている”の演出

ここの演出を私なりに解釈すれば。

主人公・トキの心は疲弊していると描いているのに、淡々と食事をしていることで、“感情が麻痺している” 、あるいは “感情を抑圧している” ことを示唆しているのだろう。

これは「心は泣いているのに、体は日常をこなしている」ような内面と外面のズレを強調する演出だ。

また、食べ物がのどを通っているのに、“味がしない／噛む音だけが響く／無表情で咀嚼している” などの演出を加えることで、「食べられること」が “苦しみの深さを逆説的に示す” 手法により、むしろ「つらさ」が強調される策である。
　※湖のくだりで、この↑演出意図が最も重要視されていることが分かりますね。

そしてこの直後の展開を見れば、トキにとって食事が「儀式化」されていて、感情とは無関係に行われていることを示し。

家族の前で「平気なふり」をして食べる描写によって、“社会的な仮面” をかぶっていることの暗示になっているのだ。

あれっ、少々難しく考えすぎかもしれないが（汗）

主人公の現状を描く“ドラマ”としてドラマチック！

橋が架かるお堀での‘どざえもん’のあとだから、突然の “湖” に一瞬「？」となるが。

実は、今作の舞台は「島根県松江」であり、しじみの名産地である「宍道湖」が登場して当然なのだ。

でもって、トキと父・司之介（岡部たかし）との直接対決であると同時に。

八方ふさがりで窮地に立つ松野家であり、危機的状況から這い上がりつつある松野家の図である。

‘ウサ右衛門’を含めて、トキ、司之介、母・フミ（池脇千鶴）、祖父・勘右衛門（小日向文世）の人間性が丹念に描かれた。

前回の‘ウサギバブル’から父の未遂まで、それなりにトリッキーな（奇をてらった、意表を突く）展開ではあるが、主人公の現状を描く “ドラマ” としては本当によくできている。

端的に書くなら「ドラマチック！」ということだ。

終盤の蛇と蛙の語りによる‘怪談’への“流れ”が気になる

さて、今回を見ただけでは評価しにくいのが、終盤の蛇と蛙のナレーションによる‘しめこ’から‘怪談’への “流れ” だ。

トキが「あの‘ウサ右衛門’を食べちゃった…」から「うらめしいことがあると怪談をせがみました」は、あまりにも強引のような。

それこそ、父親が行方不明になった時点、学校に行けないと分かった時点で「うらめしい」と思うほうが自然だったようにも思うし。

しかし、今後の展開、いいや「小泉八雲と妻のセツをモデルにした物語」としては、特に気にはならない。

こののちに投稿予定の記事に書いた「アニミズム思想（人間以外の存在に‘魂や霊の存在’を認める考え方＝いわゆる精霊信仰」に基づけば、トキが‘ウサ右衛門’を食べたことが、‘魂や霊の存在’を…　にもつながるし。

逆に、トキがまだそこまでの思想に至っていないのであれば「うらめしさばかりが募るのでした」はいかにも “子供らしい描写” とも受け取れるが。

今後の展開で評価をしようと思う。

あとがき（その1）

終盤の約1分25秒の映像が面白かったですね。

「アメリカ　シンシナティ」と「日本　松江」の “シンクロニシティ＝意味のある偶然の一致” のビジュアル化です。

そこへ「二人が出会うまで　5612日」のテロップ。

いよいよ、第5回から物語の本格始動ですね（楽しみです）

あとがき（その2）

前回の感想のあとがきで次のように書きました。

近日中に、小泉八雲と小泉セツの簡単な［史実］を投稿しようと、現在必死に構成・校正中です。
しばらくお待ちください…

ようやく、小泉八雲の側から見た生い立ちから、セツとの出会いまでがまとまりました。

この投稿のあとにアップロードしますので読んでみてください。
※下記↓に投稿いたしました！
朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）と妻・セツの研ぎ澄ませた得意な感覚（聴覚やアニミズム思想）で耳で感じる異文化理解 

セツさんのパートは、最終段階に入ってます（汗）

※文中の方言風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
恋する方言変換 | BEPPERちゃんねる 

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第1週『ブシムスメ、ウラメシ。』
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