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朝ドラ「ばけばけ」愛する夫・小泉八雲の遺志を継ぎ、波乱の人生を笑顔で駆け抜けた妻セツの物語
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【忠告】
朝ドラ『ばけばけ』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありませんが。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツ夫妻の[史実]について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
 ※以下、敬称は部分的に使い分けをします。



小泉八雲が亡くなる際、そして遺族となった妻セツの生き方

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俳優・高石あかり(※高=はしごだか)さん主演でヒロイン・松野トキを、トミー・バストウさんがレフカダ・ヘブンを演じ、文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツをモデルにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ばけばけ』(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)。

第24週『カイダン、カク、シマス。』では、松野家(ヘブン一家)が熊本から東京へ移住し、二人の息子がいる桃源郷のような生活が描かれています。

そこで今回は、ドラマの一歩先を進んで、小泉八雲が亡くなる際、そして遺族となった妻セツの生き方にまつわる[史実]を記してみます。

きっと、「本編」では採用されない(と思います)エピソードを知ることに」なるので、より今作を深読みできると思います。


虫の知らせと、夫が望んだ静かな眠り

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、虫の鳴き声をこよなく愛する人であった。

特に松虫がお気に入りで、大切に飼っていたが、ある日その声がどこか悲しく聞こえた。

妻のセツは、それが何かの不吉な予兆であると感じ取る。

予感は現実となり、明治37(1904)年9月26日、八雲は心臓の病でこの世を去った。

彼は死の間際、自分を田舎の静かなお寺に埋めてほしいと願った。

36歳で夫を失ったセツは、悲しむ間もなく葬儀の準備に追われる。

多くの外国人が眠る青山霊園も候補に上がったが、セツは夫が生前に散歩を好んだ雑司ヶ谷の墓地を選んだ。

そこには今も、彼女が建てた墓が静かに佇んでいる。


桜の花の返り咲き、長い旅の夢、松虫は皆何かヘルンの死ぬ知らせであったような気が致しまして、これを思うと、今も悲しさにたえません。

 ※出典:小泉節子『思い出の記』より

雑司ヶ谷の共同墓地は場所も淋しく、形勝の地でもあると云うので、それにする事に致しました。一体雑司ヶ谷はヘルンが好んで参りましたところでした。

 ※出典:小泉節子『思い出の記』より


大家さんへの挑戦と、故郷から届いた助け舟

墓を建て終えても、セツの苦労は絶えなかった。

家には育ち盛りの子供たちが4人もおり、さらには親族の面倒も見なければならない。

広い屋敷を維持する費用もかさむ中、夫が残した貯金がいつか底をつくことは明らかであった。

そこで彼女は、敷地内に家を建てて人に貸し出すという大胆な決断を下す。

大正3(1914)年に近くの新大久保駅が開業すると、この地域は急速に発展していく。

彼女の先を見通す力は、家族の生活を守る大きな助けとなった。

この困難な時期にセツを支えたのは、同じ松江出身の親しい人々であった。

法律家の梅謙次郎などは、著作権の扱いについて的確な助言をくれた。

かつて国際結婚を冷ややかな目で見られたこともあったが、困った時に助けてくれる同郷の存在は、セツの心を温めた。


震災の悲劇と、息子に寄り添う母の心

横浜のホテル経営者であったマクドナルドも、八雲の遺産を管理し、長男の一雄を就職させるなど親身になってくれた。

しかし、大正12(1923)年の関東大震災で、マクドナルドは命を落としてしまう。

頼りにしていた存在を失ったショックから、一雄は心を病んで引きこもるようになり、セツの悩みは深まっていった。

夫の死後、意外な人物もセツの支えとなった。

アメリカの作家エリザベス・ビズランドである。

彼女はかつて八雲が憧れた女性であったが、セツとの間にわだかまりはなかった。

ビズランドは八雲の伝記を執筆し、その印税をすべてセツに贈った。

二人は手紙を通じて交流を深め、明治44(1911)年には日本での対面も果たした。

セツは夫の昔話を語り合える友人として、彼女を温かく迎え入れたのである。


重い荷物を下ろして見つけた、自分らしい生き方

大きな転機が訪れたのは震災の翌年であった。

セツは夫が大切にしていた膨大な蔵書を、今の富山大学へ寄贈することにした。

貴重な本が火災などで失われることを恐れた彼女は、信頼できる場所に託すことで、心の安らぎを得た。

「これで肩の荷が下りた」と感じたセツは、それ以降、自分のための時間を大切にするようになる。

歌舞伎の鑑賞や茶道などの趣味に没頭し、かつては避けていた松江への帰郷も楽しむようになった。

心配していた一雄も、田舎での静養を経て、父との思い出を本にまとめるなど、徐々に元気を取り戻していった。


笑顔で旅立ち、再び愛する人の隣へ

昭和7(1932)年2月18日、セツは64歳の生涯を閉じた。

最期は夫と同じように、穏やかな微笑みを浮かべていたという。

彼女の亡骸は、約束通り雑司ヶ谷の墓地にある夫の隣に埋葬された。

二人の墓石は、今も仲良く並んで立っており、静かに語り合っているかのようである。
 ※中央が八雲の墓、左が妻セツの墓、右は小泉家の墓


小泉八雲と妻セツの墓
©AERA DIGITAL(東京都豊島区の雑司ケ谷霊園には二人の墓が仲良く並んでいる)


あとがき

小泉セツさんの歩んだ道は、決して平坦なものではありませんでした。

しかし、持ち前の明るさと行動力で困難を乗り越え、晩年には自分自身の幸福をしっかりと掴み取った姿に、とても勇気づけられます。

大切な人を想い続けながら、前を向いて生きる素晴らしさを教えてくれる物語ですね。

ドラマで描かれるフィクションの奥に、こうした史実を知ることで、物語がより深く、温かく感じられると思います。

読者の皆様の “ドラマを楽しむ” ためのお役に立てれば幸いです。


参考・出展

『小泉セツとハーンの物語: ー小泉八雲「怪談」誕生のひみつー』三成清香(著)少年写真新聞社 新窓で開きます
『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』工藤美代子(著)毎日新聞出版 新窓で開きます
『ヘルンとセツ』田淵久美子(著)NHK出版 新窓で開きます
『セツと八雲』小泉凡(著)朝日新聞出版 新窓で開きます
『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』青山誠(著)KADOKAWA 新窓で開きます
『面白すぎて誰かに話したくなる 小泉八雲とセツ』伊藤賀一(著)リベラル社 新窓で開きます『八雲の妻:小泉セツの生涯』長谷川洋二(著)今井書店 新窓で開きます
『小泉八雲と妖怪』小泉凡著(著)玉川大学出版部 新窓で開きます
『怪談・骨董』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『日本瞥見記(上・下)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『東の国から・心)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『思ひ出の記』小泉節子(著)・小泉八雲記念館(監修)ハーベスト出版 新窓で開きます
『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』NHK出版(編)NHK出版 新窓で開きます
『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』櫻庭由紀子(著)内外出版社 新窓で開きます
■「詳述年表ラフカディオ・ハーン伝」板東浩司(著)英潮社
■「小泉八雲: 思い出の記・父八雲を憶う」小泉節子,小泉一雄(著)恒文社
■https://archive.org/details/kottojapanese00hearrich KOTTO
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.79571/page/n13/mode/2up KWAIDAN
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.45846/page/n11/mode/2up Out Of The East
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami0lhear Glimpses of unfamiliar Japan vol.1
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami02hear Glimpses of unfamiliar Japan vol.2
■「松江に於ける八雲の私生活」桑原羊次郎(著)山陰新報社
『ラフカディオ・ハ-ンのアメリカ時代』エドワード・ラロク ティンカー(著)木村勝造(訳)ミネルヴァ書房 新窓で開きます
■『小泉八雲事典』平川祐弘(監修)恒文社
『夢の途上: ラフカディオ・ハーンの生涯〈アメリカ編〉』工藤美代子(著)集英社 新窓で開きます
『評伝ラフカディオ・ハーン』E.スティーヴンスン(箸)遠田勝(訳)恒文社 新窓で開きます
『小泉八雲 日本を見つめる西洋の眼差し』筑摩書房編集部(箸) 新窓で開きます
『明治時代の人生相談』山田邦紀(著)幻冬舎 新窓で開きます
■富田旅館の証言(国立国会図書館サーチ〈NDLサーチ〉 新窓で開きます
レファレンス協同データベース 新窓で開きます
島根郷土資料刊行会編「西田千太郎日記」 新窓で開きます
国立国会図書館蔵書「小泉八雲全集 第1-17巻」 新窓で開きます
名古屋大学「人事興信録」データベース 新窓で開きます
書陵部所蔵資料目録・画像公開システム - 宮内庁 新窓で開きます
『父小泉八雲』小泉一雄(箸)小山書店 新窓で開きます
『小泉八雲「見えない日本」を見た人』畑中章宏(著)光文社新書 新窓で開きます
『ラフカディオ・ハーン-異文化体験の果てに』牧野陽子(著)中公新書 新窓で開きます
『さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション』小泉八雲(著)、池田雅之(編)ちくま文庫 新窓で開きます
『小泉八雲と松江―異色の文人に関する一論考』池野誠(著)島根出版文化協会 新窓で開きます



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連続テレビ小説「ばけばけ」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『ばけばけ』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第116回第24週『カイダン、カク、シマス。』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


10年が経ち、トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)は東京の大久保に引っ越していた。長男の勘太、次男の勲、司之介(岡部たかし)とフミ(池脇千鶴)とにぎやかな幸せな時間を過ごす。ヘブンは子供たちに英語を教え、授業をしに帝大と家を往復する日々。トキは、そんなヘブンを支えながら、子供たちを愛する。どこからどう見ても幸せで、まるで桃源郷のような東京の生活が進んでいく。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:ふじきみつ彦(過去作/バイプレイヤーズ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記)
演出:村橋直樹(過去作/まれ,透明なゆりかご,サギデカ) 第1,2,5,7,13,14,19,23
   泉並敬眞(過去作/スカーレット,カムカムエブリバディ,ブギウギ) 第3,6,9,12,15,18,24
   松岡一史(過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,カムカムエブリバディ) 第4,8,10,16
   小島東洋(過去作/『ばけばけ』助監督) 第11,21
   小林直毅(過去作/『ばけばけ』助監督) 第17,20,22
制作統括:橋爪國臣(過去作/青天を衝け,あなたのブツが、ここに,ブギウギ)
音楽:牛尾憲輔(過去作/チェンソーマン,僕の心のヤバイやつ,ダンダダン)
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション:北郷美穂子(NHK大阪アナウンサー)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼,おむすび)
副音声日本語吹替:西地修哉(ヘブン担当)、木村はるか(リヨ担当)
タイトル写真:川島小鳥(過去作/未来ちゃん,SHISHAMOアートワーク)
タイトルロゴ:西沢和樹(instagram.com/nishizawa_k/)
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、川野秀昭、田中陽児|美術:山内浩幹、淀裕矢、向理沙、有本弘、和田岳秋|技術:増田徹、備中正幸、酒井俊史|音響効果:松本有加、巽浩悦、吉田直矢|撮影:岩崎亮、関照男|照明:根来伴承、大西弘憲、武井美晴|音声:吉竹淳樹、稲垣雄二、大成友二、安河内裕斗|映像技術:前田惇徳、原幸介、山下健、若嶋なな、日野維乃|カラーグレーディング:原幸介、前田惇徳、山下健、日野維乃、若嶋なな|VFX:西垣友貴、神戸大樹、山田茂人、北島規、北島規、眞弓敬司|CG:大西智子、空閑卓海、古市百人、佐藤望、田邊亮哉、大関聡|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、大塚良子、厚朴美沙子、毛尾喜泰|装置:佐藤千織、坂口大吾、山中宏華、澤井洸、平松康、吉田隆広、布川紗生、大島櫻子|装飾:津村政幸、横田浩之、長洲史、横田浩之、高浪隆史、三好勇作、石井千尋、三村つかさ、田中美紅|特殊効果:奥村陵、宮崎真有|衣装:横山智和、中村みのり、鍛本美佐子、横山智和、石川カンナ|メイク:堀洋子、正田早百合、秋山直美、櫻井安里紗|持道具:楠正由貴、森上陽子、高屋友里|かつら:松本誠也、丹波峯子、山崎浩彦、栗野洋子|特殊メイク:江川悦子、権田日和、山埼佳子|特殊メイク協力:荒井律子、大谷美咲、山埼佳子|助監督:小林直毅、小島東洋、田中陽児、早川俊介、岡本拓大、後藤怜亜、大野陽平、小峰陸矢、上野香織、佐伯木乃実、畝岡歩未、増田愛海、野曾原明香、中元芽生、佐々木俊、石名遥、木村修|制作担当:木村晴治、長岡しのぶ、本田良太、森岡あゆみ、片山哲治、斎藤明日香、竹本航、徳岡美紀、奥山温子|取材:川野秀昭、鈴木航|編集:藤澤加奈子|記録:木本裕美|時代・風俗考証:刑部芳則|松江風俗考証:藤岡大拙|出雲ことば指導:多々納斉、松島彩|熊本ことば指導:梅原勇輝|所作指導:藤間豊宏|料理指導:広里貴子|英語指導:塩屋孔章、ネイサン・ベリー、米倉リエナ|英字指導:前田祐加|眼科指導:大路正人、川村肇|医事指導:矢木崇善|助産指導:前田利子|怪談ばなし指導:玉田玉秀斎|茶道指導:有澤一男|三味線指導(タエ):菊央雄司|三味線指導(遊郭):長江浩子|アクション指導:中村健人|日本画指導:諫山恵実|絵画指導:苅谷昌江|華道指導:神前光園|造園:堤正和、宮崎昭徳|書道指導:今口鷲外|ほら貝指導:林龍沁
※敬称略




時代設定の“曖昧さ”が際立つ10年後の描写

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蛇(N)「あれから 10年ほどがたちました」

そもそも、朝ドラの割に「時代や年代を明瞭に描かない」という珍しい趣向の本作だから、驚くほどではないのだが。

残り2週の週の始まり、月曜日の冒頭から「10年ほど」と “曖昧” である。

ちなみに、‘当ブログの独自判断’によると、先週が「明治26(1983)年」で、今週が「明治36(1903)年」の設定で、「トキは35歳、ヘブンは53歳」と推測している。

さらに、ちなみに、錦織(吉沢亮)のモデル「西田千太郎」が亡くなったのは「明治30(1897)年3月15日」であるから、本作の時間軸は[史実]とは異なっている… ということになる。

とはいえ、ここまで「小泉八雲の史実に則ったフィクション」をやっているのだから、時代設定くらいは明瞭にしてもよいと思うが。

というか、この時点になっても、年代を曖昧にする意味がよく分からないのだ。


“語り”へと変貌した蛇と蛙の不思議な存在感

時代の設定は「曖昧」なのに、逆に「なぜ、明瞭になったの!?」な要素がある。

それが、蛇と蛙(渡辺江里子&木村美穂 ex.阿佐ヶ谷姉妹)だ。

これまでは、当ブログでも書いてきたように「語り」でない「影の声」だった。

主人公が住む「松江の借家」に棲みついている「蛇と蛙」の設定で。

でも、主人公らが熊本に引っ越しても「声だけ」は「ついて来た形になっていた」のだ。

しかし、今回のアバンタイトルでは、さらに「東京にもついて来た形」にしただけでなく。

完全に「語り」として「状況説明」をやっていた。

しかも、小さなことだが、「蛇」は「10年間を知っている設定」で、「蛙」は「10年間の変化を知らない設定」って?

もちろん、事情説明を視聴者に自然にやるために「蛙を視聴者に見立てる」のようなやり取りにしたのだろうが、

ラスト2週でこの展開にするなら、第1週から「蛇と蛙は一般的な語り担当」でよかったと思うが。


ヘブン流“家庭教育”の描写に残る説明不足

不明瞭な点はまだある。

中盤で描かれたヘブン(トミー・バストウ)が長男の勘太(ウェンドランド浅田ジョージ)と次男の勲(柊エタニエル)に読み書きを教える場面だ。

本作中では「何の説明もなし」に、「ただただ、わが家を寺子屋風にしている」という描写になっていたが。

フツーに考えれば、「学校の教師をやっていた人物が、なぜ我が子は月光に通わせないの?」と思うのでは?

もちろん、これも[史実]がある。
詳細は下記に書いたので読んでいただきたい。

朝ドラ「ばけばけ」父・小泉八雲が愛した息子の名前の由来と、受け継がれる「魔法の机」での英才教育|ディレクターの目線blog 新窓で開きます

朝ドラ「ばけばけ」父・小泉八雲が愛した息子の名前の由来と、受け継がれる「魔法の机」での英才教育|ディレクターの目線blog 新窓で開きます

簡単に書けば、当時の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は次のような考えがあったからだ。

 ●当時の日本の教育がただ覚えるだけの「暗記」に頼りすぎていると感じていたから
 ●人間にとって最も価値があるのは「想像力」であり、当時の学校教育ではそれが失われてしまうのではないかと強く心配していたから
 ●長男・一雄の体が弱かったから

そして、授業内容はこんなものだった。

 ●家庭での授業は非常に本格的で、病気のとき以外は休みなく続けられた
 ●朝と夕方の決まった時間に、一雄を専用の文机の前に座らせて教えた
 ●八雲が選んだ教科書は、『アンデルセン童話集』『妖精物語集』といった物語だった
 ●理科や社会といった幅広い知識を、物語を聞かせるように分かりやすく伝えた

というわけで、本作が描いた「イラストで英単語を学ぶ」程度の生易しいお勉強ではなかったわけだ。

もちろん、「何が何でも史実をなぞれ」とは思わない。

しかし、描くなら、もう少し説明があってもよいとは思う。


今週は“怪談おあずけ”を示唆する構成のデジャヴ

今回を見て、気づいたことがある。

それは「今回の構成」と「第96回(2026年2月16日(月)放送」が、ほぼ同じ構成だということだ。

熊本に引っ越してきた松野家の朝食シーン、ヘブンの出勤シーン、ヘブン出勤中の家内風景、ヘブンの執筆シーンと、今回とほぼ同じだ。

このことから推測できるのは、ハッキリ書くが「怪談ネタは金曜日まで出ない」である。

だって、第96回があった第20週『アンタ、ガタ、ドコサ。』は、一週間丸々「焼き網盗難事件」だったのだ。

ということは、今週も「何らかの騒動でお茶を濁す」のはずである。

そのネタが、おそらく「ヘブンの鬚についていたミルク」だろう。

だって、ミルク(牛乳)は松野家と馴染みがある食材だからだ。

まあ、劇中の時代は「ミルクホール」なんてのはない時代(ミルクホールは、大正~昭和初期に流行した軽食喫茶)なのだが。

近年のドラマや映画では、下記の印象を植え付ける演出的・象徴的な設定として利用する機会が多い。

 ●明治~大正の文明開化イメージ
 ●外国人文化人
 ●西洋風の飲食店

というわけで、「ミルクホール」で、勘右衛門(小日向文世)亡き後の「松野家の騒動」を司之介(岡部たかし)で創出するつもりなのだ、きっと。

そうなれば、必然的に「怪談ネタは金曜日までお預け」になるだと思う。


あとがき(その1)

実は、[史実]を知る人の間では「夏目漱石は登場するのか?」が話題になっていたのです。

理由は、夏目漱石は熊本大学の前身である第五高等学校で、ラフカディオ・ハーンの後任の英語教師を務めたからです。

しかし、結果的に「熊本編」でも「今回」でも夏目漱石がモデルの登場人物は出ませんでした。

そうなると、もう「怪談の出版と成功」と「本当の晩年」しかネタがないので、さすがの二週間も引っ張れないはずなんです。

さらに、今週末は三連休なので平日4日分で描くとなると、「牛乳で騒動」くらいしかない…

まっ、それでも、面白ければいいんですけどね。


あとがき(その2)

さすがに、残り2週となると「新しいスタッフはいない」と思っていましたが、いましたよ。

「ほら貝指導:林龍沁」のクレジットです。

愛知県豊橋市にある「ほら貝専門店・穂の国」 新窓で開きますの店主らしいです。


厳選『ばけばけ』で描かれない秘話の解説リンク集
●八雲×セツ「万物に霊が宿るアニミズム思想」 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●超裕福生活でも"熊本生活は3年間"のワケ → こちら 新窓で開きます
●八雲の"息子の名前の由来"と"英才教育" → こちら 新窓で開きます
※他のリンクは下記↓の折り畳みの中!

文中の方言風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
恋する方言変換 | BEPPERちゃんねる 新窓で開きます


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第8話『真実』の感想。


早瀬(鈴木亮平)と冬橋(永瀬廉)は、位置情報を手掛かりに一香(戸田恵梨香)を追い詰めるが、あと一歩で逃走を許してしまう。執念を燃やす冬橋は霧矢(藤澤涼架)や“しぇるたー”の仲間を動員して包囲網を構築。一方の早瀬は、ハヤセ洋菓子店や妹・綾香(与田祐希)のもとを訪ね、独自に行方を探り始める。そんな中、一香から早瀬へ連絡が入り、ある決意を聞かされる…。
しかし、早瀬の行動に違和感を覚えた冬橋との対立は決定的となり、ついに仲間割れに…。孤立した早瀬は一香の居場所を突き止め対峙するが、衝撃的な出来事が起こる…。その裏で合六(北村有起哉)は海江田(酒向芳)を使い、100億円相当の商品にある企みを仕掛け、一香へ電話をかけていた…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:黒岩勉(過去作/グランメゾン東京,TOKYO MER,全領域異常解決室)
演出:坪井敏雄(過去作/妻、小学生になる。,ライオンの隠れ家) 第1~3,5,8
   田中健太(過去作/トリリオンゲーム,クジャクのダンス、誰が見た?) 第4,6
   元井桃(過去作/さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~) 第7
音楽:大間々昂、木村秀彬
主題歌:Mr.Children「Again」
パティシエ監修:本田珠美
P:東仲恵吾(過去作/ラストマン ー全盲の捜査官ー FAKE/TRUTH)
協力P:國府美和(過去作/すっぴんヒーロー)
   小髙夏実(過去作/着飾る恋には理由があって,クジャクのダンス、誰が見た?)
※敬称略




まえがき

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―――ここまで、ごあいさつ―――

前回までの感想で、本作の脚本や演出上の特性などはほぼ書きつきしてきました。

よって、個人的には「あとは最終回までじっくり楽しむのみ」なんですね。

したがって、今回は他の作品のように、脚本や演出の解説はほぼないです(笑)


隠されていた過去

さて、最終章直前の第8話では、これまで本作上の重要なキーパーソンのひとりである幸後一香(戸田恵梨香)が歩んできたこれまでの道のりが語られた。

早瀬陸(松山ケンイチ)が‘リブート’してから1か月半ほどが過ぎた頃、実は早瀬夏海(山口紗弥加)が‘一香’として生き始めてから、すでに3年近い月日が流れていたのである。

もちろん、当ブログでは早い段階で「夏海が一香にリブートした説」を予想していたので、驚きはない

しかし、私が「なるほどね」と思ったのは、この‘種明かし’を最終章の決め球(決め手)にせず、その直前でバラしてきたことだ。

以前から書いているが、私は本作を「考察系ドラマとして見ていない」し、本作自体の創り込みだって当初から「予想できる」ように描いているのだから、考察系ドラマでやりがちな「実は!」というネタ晴らし的なインパクトがない(ように作られている)のだ。

この辺の、「本作は考察系でなく、サスペンス的!」という雰囲気がよいと思うのだ。


ケーキが結んだ再会

事件が起き、早瀬は冬橋航(永瀬廉)と共に一香の行方を必死に捜索する。

一香の家にたどり着いた早瀬だったが、惜しくも彼女を捕まえることはできなかった。

しかし、彼は部屋の冷蔵庫の中に、自分の実家である洋菓子店のケーキ「ハヤセショート」を見つける。

かつて触れた手の感覚と、この思い出の味によって、早瀬は目の前の女性の正体に気づき始める。

ここの「かつて触れた手の感覚」という演出(演技指導含む)と鈴木亮平さんの演技が雑妙だった。

やはり、映像で “触感” や “味覚” を伝えるのは難しいと思う。

でも、今回のこのシーンでは、本作の大事な転換点として「映像として」機能していた。

やはり、テレビドラマで大事なのは《映像で見せて(show)魅せる(captivate)》ことなのだ。


命がけの隠れん坊

一香の首には懸賞金がかけられ、多くの人間が彼女を追い詰めていく。

そんな中、一香は大切な友人に「何があっても生き延びて」と告げて姿を消す。

早瀬は彼女が自分の妻ではないかと問い詰めるが、一香は家族を守るために、あえて彼を突き放すような冷たい言葉を投げかける。

彼女を消そうとする者たちの手は、すぐそこまで迫っていた。


明かされた本当の名前

早瀬はあらゆる手段を使って、一香がどこにいるのかを探り当てる。

そして、ひとみ美容形成クリニックの院長で形成外科医・桑原瞳(野呂佳代)の記録から、整形手術を受けて顔を変えた一香の正体が、亡くなったはずの妻の夏海であることを突き止める。

ずっと自分のすぐそばに愛する人がいたと知った早瀬は、何としても彼女を救い出す決意を固める。


全てを操る黒幕

物語の後半では、これまで隠されていた真実が次々と明らかになった。

実は、夏海や早瀬が別の人間に入れ替わったことも、多額の現金が消えた事件も、全ては黒幕である合六(北村有起哉)という人物が裏で操っていたことだった。

夏海は家族の安全を守るために、自分の人生を捨てて別人に成り代わるという過酷な道を選ばざるを得なかったのだ。

そう、この「家族の安全を守るため」というお題目こそが、本作が『日曜劇場』枠にふさわしいドラマであることを示していると思う。

日曜の夜に、家族で見ても楽しめて、月曜日から始まる一週間のための活力源になるドラマ。

本作には、そんな底知れぬエネルギーを感じるのだ。


声なき叫びと家族への愛

夏海が顔を変えなければならなかった理由は、ある犯罪の罪をかぶせ、政治家を支えるための裏金を作る道具にされるためだった。

彼女は大切な子供を脅しの材料に使われ、抵抗することもできないまま絶望を味わう。

顔を変え、言葉を発することも許されない状況の中で、彼女はただ静かに家族を想い、心の中で悲痛な叫びを上げ続けていた。


‘リブート’したのに、変わらない心のつながり

戸田恵梨香さんが演じた役柄「夏海」は、見た目を変える‘=リブート’だけでなく、人生そのものを新しくやり直‘=リブート’したのだ。

しかし、どれほど姿形が変わっても、思い出の味でつながった夫婦の固いきずなは、決して消えることはなかった。

最初はハラハラドキドキする事件の物語だと思っていたが、実はとても優しくて温かい家族のドラマだったのだ。

自分が本当は誰なのかを見失いやすい今の社会で、この物語が伝えるメッセージは、多くの人の心に深く刺さる。

物語はいよいよ終わりに向かっているが、最後にどのような幸せが待っているのか楽しみでならない。


あとがき

過酷な運命に翻弄されながらも、家族を愛し抜こうとする主人公の姿がいいですね。

戸田恵梨香さんの繊細な演技によって、言葉にできないほどの苦しみや、心の奥にある優しさがひしひしと伝わってきます。

と同時に、戸田恵梨香さんと山口紗弥加さんの‘芝居のすり合わせ’が素晴らしくて、ほぼ同一人物に見えたのもスゴいと思います。

バラバラだったパズルのピースが埋まっていくような爽快感もあり、これからの展開がますます楽しみになりますね。


すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”


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連続テレビ小説「ばけばけ」

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第23週『ゴブサタ、ニシコオリサン。』「ダイジェスト版(土曜日版)」の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)の息子の名は「勘太」に決まり、親バカぶりを発揮するヘブンのもと、二人は正式に結婚して三人で家族になるため籍を入れる決意をする。しかし国籍の問題から、ヘブンが日本人になる道を選択。松江での手続きのため一行は久々に町を訪れるが、知事(佐野史郎)は帰化を認めず、頼みの錦織(吉沢亮)も協力を拒否。失意の中、勘右衛門(小日向文世)が新しい名前を持って現れる。やがて松江の朝、変化した自分に戸惑うヘブンに錦織が現れ、日本人になる意味と現実を突きつける場面をトキが目撃し…。
------上記のあらすじは、当ブログのオリジナル------


原作:なし
脚本:ふじきみつ彦(過去作/バイプレイヤーズ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記)
演出:村橋直樹(過去作/まれ,透明なゆりかご,サギデカ) 第1,2,5,7,13,14,19,23
   泉並敬眞(過去作/スカーレット,カムカムエブリバディ,ブギウギ) 第3,6,9,12,15,18
   松岡一史(過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,カムカムエブリバディ) 第4,8,10,16
   小島東洋(過去作/『ばけばけ』助監督) 第11,21
   小林直毅(過去作/『ばけばけ』助監督) 第17,20,22
制作統括:橋爪國臣(過去作/青天を衝け,あなたのブツが、ここに,ブギウギ)
音楽:牛尾憲輔(過去作/チェンソーマン,僕の心のヤバイやつ,ダンダダン)
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション:北郷美穂子(NHK大阪アナウンサー)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼,おむすび)
副音声日本語吹替:西地修哉(ヘブン担当)、木村はるか(リヨ担当)
タイトル写真:川島小鳥(過去作/未来ちゃん,SHISHAMOアートワーク)
タイトルロゴ:西沢和樹(instagram.com/nishizawa_k/)
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、川野秀昭、田中陽児|美術:山内浩幹、淀裕矢、向理沙、有本弘、和田岳秋|技術:増田徹、備中正幸、酒井俊史|音響効果:松本有加、巽浩悦、吉田直矢|撮影:岩崎亮、関照男|照明:根来伴承、大西弘憲、武井美晴|音声:吉竹淳樹、稲垣雄二、大成友二、安河内裕斗|映像技術:前田惇徳、原幸介、山下健、若嶋なな、日野維乃|カラーグレーディング:原幸介、前田惇徳、山下健、日野維乃、若嶋なな|VFX:西垣友貴、神戸大樹、山田茂人、北島規、北島規、眞弓敬司|CG:大西智子、空閑卓海、古市百人、佐藤望、田邊亮哉、大関聡|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、大塚良子、厚朴美沙子、毛尾喜泰|装置:佐藤千織、坂口大吾、山中宏華、澤井洸、平松康、吉田隆広、布川紗生、大島櫻子|装飾:津村政幸、横田浩之、長洲史、横田浩之、高浪隆史、三好勇作、石井千尋、三村つかさ、田中美紅|特殊効果:奥村陵、宮崎真有|衣装:横山智和、中村みのり、鍛本美佐子、横山智和、石川カンナ|メイク:堀洋子、正田早百合、秋山直美、櫻井安里紗|持道具:楠正由貴、森上陽子、高屋友里|かつら:松本誠也、丹波峯子、山崎浩彦、栗野洋子|特殊メイク:江川悦子、権田日和、山埼佳子|特殊メイク協力:荒井律子、大谷美咲、山埼佳子|助監督:小林直毅、小島東洋、田中陽児、早川俊介、岡本拓大、後藤怜亜、大野陽平、小峰陸矢、上野香織、佐伯木乃実、畝岡歩未、増田愛海、野曾原明香、中元芽生、佐々木俊、石名遥、木村修|制作担当:木村晴治、長岡しのぶ、本田良太、森岡あゆみ、片山哲治、斎藤明日香、竹本航、徳岡美紀、奥山温子|取材:川野秀昭、鈴木航|編集:藤澤加奈子|記録:木本裕美|時代・風俗考証:刑部芳則|松江風俗考証:藤岡大拙|出雲ことば指導:多々納斉、松島彩|熊本ことば指導:梅原勇輝|所作指導:藤間豊宏|料理指導:広里貴子|英語指導:塩屋孔章、ネイサン・ベリー、米倉リエナ|英字指導:前田祐加|眼科指導:大路正人、川村肇|医事指導:矢木崇善|助産指導:前田利子|怪談ばなし指導:玉田玉秀斎|茶道指導:有澤一男|三味線指導(タエ):菊央雄司|三味線指導(遊郭):長江浩子|アクション指導:中村健人|日本画指導:諫山恵実|絵画指導:苅谷昌江|華道指導:神前光園|造園:堤正和、宮崎昭徳|書道指導:今口鷲外
※敬称略




第23週の「ダイジェスト版」が捉えた物語の核心と魅力

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今回の「ダイジェスト版」は、物語の核心を巧みに捉えた優れた内容だ。

登場人物の個性が際立っており、全体の構成も筋が通っている。

特に、ヘブン(トミー・バストウ)が日本という環境に溶け込んでいく様子や、錦織(吉沢亮)が物語から去る場面は、非常に丁寧に描写されていた。

「本編」が持つ独特の空気感が損なわれることなく凝縮されており、視聴者にとって満足度の高い仕上がりとなっている… とは思う。


主人公トキの存在感が薄れていく物語構造への疑問

しかし、物語が後半に進むにつれて、主人公であるトキ(高石あかり※高=はしごだか)の存在感が希薄になっているとは思わないだろうか?

今回の「ダイジェスト版」を通して見ても、トキがヘブンの “良き相棒として機能している場面” が極めて少ないことが浮き彫りになったと思う。

リテラシーアシスタント(作家の創作を支え、共に作品を創り上げるパートナー)としても、あるいは人生を共にするパートナーとしても、物語を動かすような積極的な関わりが見えてこないのだ。

確かに、本作は「何も起こらない物語」を推し進めているのは理解はできる。

でも、いくら「何も起こらない物語」であっても、“主人公が果たすべき役割” は存在するはずである。

でなければ、主人公も「何も起こらない物語」の中では “モブ(群衆)の一人” でしか存在できないことになるのだから。


トキ不在が際立たせる物語構造のアンバランス

さらに、困ったのは。

錦織という強烈な相棒がいたからこそ、彼が去った後のトキの影の薄さがより強調される結果となったことだ。

結婚して活動の拠点を熊本に移した後は、彼女が錦織に代わってヘブンを支える存在になると期待していた(と思う)。

しかし、現状では、彼女独自の役割が明確に示されているとは言い難いのだ。

それこそ、《ヘブンが日本人になる》は、「アイデンティティの転換」を扱うイベントで、物語の主軸に関わりやすい。  ※

しかし、一方の「雨清水の籍に入る」は、「家制度・血縁の再編」を扱うイベントで、サブプロットとして機能しやすいという特徴がある

繰り返すが、「帰化は国籍・法的身分・文化的アイデンティティの三層を揺さぶる」、「戸籍入りは家制度の再編であり、個人の国籍や文化的アイデンティティは変わらない」だ。

この違いは、ドラマのテーマとして扱うときの「揺れ幅」に直結するのだ。

だから「帰化」のほうが物語上のクライマックスになりやすい。

もちろん、制作側は「雨清水トキ=丑三つ時」やらを盛り込んで、必死に「トキの見せ場」を作ってはいるが、所詮は、脚本家のお遊び、演出家のコント作成でしかないのだ。

やはり、『ばけばけ』が《トキとヘブンの夫婦の物語》であるならば、ヘブンとトキが対等な立場で互いを高め合う姿が描かれるべきなのだ。


錦織の「ナレ死」と描写の空白に込められた制作上の意図

最後に、第115回(2026年3月13日放送)の感想投降後、複数の読者様から下記の質問をいただいた件について、お答えしつつ書いておこうと思う。

それは、こんな質問だ。

【Q1】なぜ、錦織の死は「ナレ死(ナレーションやモノローグで『死んだ』という説明だけで済ませること)」にしたのか?
【Q2】トキとヘブンは、なぜ熊本に行ってから錦織と連絡を取っていなかったのか?
【Q3】トキとヘブンは、なぜ錦織の病状を心配する描写がなかったのか?

【Q1】の答えは「二つ」ある。

一つは、ありがちな「お涙頂戴の展開」を避けるためだ。

やはり、映像的に「死の瞬間」を盛り込むと、印象が強烈な視覚情報によって「親友が死んで悲しい」という感情移入を容易にさせる展開になるからだと思う。

もう一つは、人と人の「心のやり取り」に焦点を当てるためだ。

「死の瞬間」を鮮烈に描くことより、錦織が人生で成し遂げたかったこと、そこに注ぎ込んだ熱い思いをヘブンがどう受け取るのかという、ヘブンと錦織の他人には分からない強い先進的な結びつきを強調したかったのだと思う。

この「二つの理由」を踏まえておけば、残り2つの答えは自然に出てくると思う。

簡潔に書けば、下記のようになる。

【A2-1】文学的なつながりを優先したため
【A2-2】錦織の「最期の仕事」を描くため
【A3-1】再会時の「衝撃」を最大化するため
【A3-2】「湿っぽさ」を排除し、文学的な相棒関係を強調するため
【A3-3】ドラマオリジナルの「焚きつけ」を劇的にするため

これだけでは分からないと思うので、回答の詳細は「Web拍手への返信」として、詳細に解説したので読んでいただきたい。

きっと、制作陣の意図は伝わると思う(制作陣に共感するかどうかは別にして)。

拍手コメント返信(2026/3/13):朝ドラ「ばけばけ」(第115回) ※ヘブンとトキが錦織の病状を気にする描写がなかった理由を《徹底》深掘り!|ディレクターの目線blog 新窓で開きます


あとがき

今回の「ダイジェスト版」は、本作が持つ本来の魅力と、今後の展開に向けた課題を非常に分かりやすく提示してくれたと思います。

やはり、個々のキャラクターが持つ役割を整理して見直すことで、物語への理解がより一層深まるのです。

しかし、脚本家や演出家や制作統括が「錦織の死で、吉沢亮さんの魅力で、押し通したい」と企んだところで、それは「錦織の物語」であり、ギリギリで「錦織とヘブンの物語」であって、そこに《トキ》は存在し得ないのです。

残り2週がどうなるか分かりませんが、少なくとも大家族になるのは史実から間違いないので、その家族の中で、トキとヘブンがこれからどのような絆を築き、公私ともに “新し相棒” の形を見せてくれるのかに、期待したいと思います。


お知らせ

最後の最後に、今朝、日本人に帰化した小泉八雲が妻セツさんに書いた「執念の遺言状」の話を「補足記事」にして投稿しました。

『ばけばけ』では「執筆活動をうまく進めるため」が帰化した主な理由でしたが、[史実]はもっとドラマチックなんです。

朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲、全財産を妻セツへ!家族の未来を救った執念の遺言状|ディレクターの目線blog 新窓で開きます


厳選『ばけばけ』で描かれない秘話の解説リンク集
●八雲×セツ「万物に霊が宿るアニミズム思想」 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
●超裕福生活でも"熊本生活は3年間"のワケ → こちら 新窓で開きます
●八雲の"息子の名前の由来"と"英才教育" → こちら 新窓で開きます
※他のリンクは下記↓の折り畳みの中!

文中の方言風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
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拍手[18回]

朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲、全財産を妻セツへ!家族の未来を救った執念の遺言状
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【忠告】
朝ドラ『ばけばけ』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありませんが。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツ夫妻の[史実]について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
 ※以下、敬称は部分的に使い分けをします。



八雲が全財産を妻セツへ!家族の未来を救った執念の遺言状

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俳優・高石あかり(※高=はしごだか)さん主演でヒロイン・松野トキを、トミー・バストウさんがレフカダ・ヘブンを演じ、文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツをモデルにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ばけばけ』(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)。

第23週『ゴブサタ、ニシコオリサン。』では、ヘブンが「雨清水八雲」として帰化をし、日本人の夫、そして父親として生きていくことを決めたくだりが描かれました。

そこで今回は、小泉八雲が相続問題を解決するために、遺言状に最終的に書いたことにまつわる[史実]を記してみます。

きっと、「本編」では採用されない(と思います)エピソードを知ることに」なるので、より今作を深読みできると思います。


熊本で生まれた長男と「新しい自分」への決意

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、愛する妻であるセツとの結婚を法律的に確かなものにし、家族を全力で守ろうと決意したのは熊本で暮らしていた時期のことである。

それまでも手続きへの意欲は持っていたが、長男の一雄が誕生したことで、それは一刻を争う重大な課題となった。

ハーンは、自分の子供が生まれた喜びを「自分にとって世界のすべてが変わった」と妹への手紙につづっている。

また、かつての仲間には「息子は生まれ変わった自分自身だ」と語るほど、家族を深く愛していた。

この強い愛情が、セツや子供たちの生活を生涯保障したいという、彼の真剣な行動の原動力となったのである。


日本人になる道を選んだ「不公平なルール」への対抗

当時の日本では、外国人の夫が亡くなった場合、その財産は日本の家族ではなく、海外に住む親族が引き継ぐという理不尽な決まりがあった。

ハーンはこの問題を解決するために、イギリス国籍を捨てて日本人になる「帰化」という道を選択した。

当時の有名な西洋人の中で、家族のためにわざわざ日本の国籍を取った人は極めて珍しかった。

彼は日本の文化を心から愛しており、西洋の仕組みに対しても厳しい意見を残している。


私たちが文明と呼んでいる西洋のすべてを、これほどまでに嫌いになるとは思ってもみませんでした。古い日本という、素晴らしい国に長く滞在したからこそ、西洋がいかに美しくないかに気づくことができたのです。

 ※出典:アリス・ロリンズへの手紙


妻セツにすべてを。命をかけて準備した最後の遺言状

日本人になるためには、セツの家系に「養子」として入る必要があった。

ハーンは「小泉八雲」という日本名を名乗り、家族を支えるために必死に働いた。

彼は自分がいつか亡くなった後、セツたちが困らないように何度も遺言状を書き直している。

明治27(1894)年の夏、彼は二重の封筒を用意し、自分の持ち物すべてをセツに譲るという強い意志を記した。


これは、英語教師をしているラフカディオ・パトリシオ・ハーンが書く、最後の遺言状です。私が死んだときには、私が持っているすべてのお金や家、権利を、私の子供の母親である小泉セツに、完全に譲り渡します。家の中にあるすべてのものが彼女のものであることを、みんなに知ってほしいのです。

 ※出典:明治27(1894)年6月27日付の遺言状

ハーンはその後も、自分が死んだ後の手続きがスムーズに進むよう、弁護士に手数料を払って書類を預けるなど、細心の注意を払って準備を進めた。

全ては、自分が心から愛した日本の家族が、安心して暮らしていけるようにするためだったのである。


あとがき

ドラマ『ばけばけ』では、ヘブンが自分の執筆活動のために「帰化」した、それを「錦織が後押しした」ことになっていますが、[史実]は「自分の死後に遺産を残すため」が第一目的だったわけです。

家族を守るために、国籍を変えるという大きな決断をしたハーンの情熱に、胸が熱くなりますね。

ただ「好きだから」というだけでなく、法律や手続きをしっかり整えて未来を保障しようとした彼の姿勢は、本当の誠実さだと感じました。

ドラマで描かれるフィクションの奥に、こうした史実を知ることで、物語がより深く、温かく感じられると思います。

読者の皆様の “ドラマを楽しむ” ためのお役に立てれば幸いです。


参考・出展

『小泉セツとハーンの物語: ー小泉八雲「怪談」誕生のひみつー』三成清香(著)少年写真新聞社 新窓で開きます
『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』工藤美代子(著)毎日新聞出版 新窓で開きます
『ヘルンとセツ』田淵久美子(著)NHK出版 新窓で開きます
『セツと八雲』小泉凡(著)朝日新聞出版 新窓で開きます
『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』青山誠(著)KADOKAWA 新窓で開きます
『面白すぎて誰かに話したくなる 小泉八雲とセツ』伊藤賀一(著)リベラル社 新窓で開きます『八雲の妻:小泉セツの生涯』長谷川洋二(著)今井書店 新窓で開きます
『小泉八雲と妖怪』小泉凡著(著)玉川大学出版部 新窓で開きます
『怪談・骨董』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『日本瞥見記(上・下)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『東の国から・心)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『思ひ出の記』小泉節子(著)・小泉八雲記念館(監修)ハーベスト出版 新窓で開きます
『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』NHK出版(編)NHK出版 新窓で開きます
『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』櫻庭由紀子(著)内外出版社 新窓で開きます
■「詳述年表ラフカディオ・ハーン伝」板東浩司(著)英潮社
■「小泉八雲: 思い出の記・父八雲を憶う」小泉節子,小泉一雄(著)恒文社
■https://archive.org/details/kottojapanese00hearrich KOTTO
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.79571/page/n13/mode/2up KWAIDAN
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.45846/page/n11/mode/2up Out Of The East
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami0lhear Glimpses of unfamiliar Japan vol.1
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami02hear Glimpses of unfamiliar Japan vol.2
■「松江に於ける八雲の私生活」桑原羊次郎(著)山陰新報社
『ラフカディオ・ハ-ンのアメリカ時代』エドワード・ラロク ティンカー(著)木村勝造(訳)ミネルヴァ書房 新窓で開きます
■『小泉八雲事典』平川祐弘(監修)恒文社
『夢の途上: ラフカディオ・ハーンの生涯〈アメリカ編〉』工藤美代子(著)集英社 新窓で開きます
『評伝ラフカディオ・ハーン』E.スティーヴンスン(箸)遠田勝(訳)恒文社 新窓で開きます
『小泉八雲 日本を見つめる西洋の眼差し』筑摩書房編集部(箸) 新窓で開きます
『明治時代の人生相談』山田邦紀(著)幻冬舎 新窓で開きます
■富田旅館の証言(国立国会図書館サーチ〈NDLサーチ〉 新窓で開きます
レファレンス協同データベース 新窓で開きます
島根郷土資料刊行会編「西田千太郎日記」 新窓で開きます
国立国会図書館蔵書「小泉八雲全集 第1-17巻」 新窓で開きます
名古屋大学「人事興信録」データベース 新窓で開きます
書陵部所蔵資料目録・画像公開システム - 宮内庁 新窓で開きます
『父小泉八雲』小泉一雄(箸)小山書店 新窓で開きます
『小泉八雲「見えない日本」を見た人』畑中章宏(著)光文社新書 新窓で開きます
『ラフカディオ・ハーン-異文化体験の果てに』牧野陽子(著)中公新書 新窓で開きます
『さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション』小泉八雲(著)、池田雅之(編)ちくま文庫 新窓で開きます
『小泉八雲と松江―異色の文人に関する一論考』池野誠(著)島根出版文化協会 新窓で開きます



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宴会/映像ディレクター(フリーランス)
【自己紹介】
東京下町生まれ千葉県在住。
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レンタルの恋
六畳間のピアノマン
6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱
[わ]
ワイルド・ヒーローズ
若者たち2014
私 結婚できないんじゃなくて、しないんです
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ワタシってサバサバしてるから
わたし、定時で帰ります。
わたしを離さないで
私のおじさん~WATAOJI~
私の家政夫ナギサさん
罠の戦争
わにとかげぎす
わろてんか

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