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連続テレビ小説「おむすび」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『おむすび』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第101回〔全130回〕第21週『米田家の呪い』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


神戸に福岡・糸島に住んでいる永吉(松平健)と佳代(宮崎美子)が突然やって来て、結(橋本環奈)たちは久しぶりに祖父母と食卓を囲む。結はてっきり聖人(北村有起哉)の病状が心配で来たかと思いきや、永吉は太陽の塔をみんなで見に行くために来たという。また永吉は商店街の佐久間美佐江(キムラ緑子)に、自分のおかげで1970年の大阪万博が開催できたと自慢する。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:根本ノンジ(過去作/正直不動産シリーズ,相棒シリーズ,フルーツ宅配便,ハコヅメ)
演出:野田雄介(過去作/スカーレット,マッサン,六畳間のピアノマン,舞いあがれ!) 第1,3,7,13,18,21
   小野見知(過去作/マチ工場のオンナ,トクサツガガガ,転・コウ・生) 第4,6,10
   松木健祐(過去作/ひよっこ,いだてん,晴天を衝け,舞いあがれ!) 第2,5,16,20
   盆子原誠(過去作/カーネーション,ごちそうさん,おちょやん,ブギウギ) 第8,12,17
   大野陽平(過去作/「ちむどんどん」第9週のみ,「舞いあがれ!」第25週のみ) 第9,11
   原田氷詩(過去作/「おちょやん」 第17週のみ,「舞いあがれ!」第16週のみ) 第14,19
   工藤隆史(過去作/「舞いあがれ!」第20週のみ) 第15
音楽:堤博明(隣の家族は青く見える,ベビーシッター・ギン!)
主題歌:B'z「イルミネーション」
語り(本編):リリー・フランキー(過去作/「なつぞら」本編語り)
語り(土曜日版):高瀬耕造アナウンサー(過去作/「ブギウギ」本編語り)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼)
制作統括:宇佐川隆史(過去作/岸辺露伴は動かないシリーズ,正直不動産シリーズ)
   真鍋斎(過去作/まんぷく,正義の天秤,拾われた男)
※敬称略
※他のスタッフ表は、当記事の最下部へ移動



なぜ医療ドラマでないのに患者とのやり取りを盛り込むの?

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
お仕事や学校の休憩時間や移動中の方、就職活動中の方、病気療養、子育て、介護など、それぞれの生活を送る読者の皆様…
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―――ここまで、ごあいさつ―――

常連の読者様は、ご存じだと思います。
ここ数日間 連続で Web拍手が 30未満(投稿時)になりましたので…
できるだけ、重箱の隅を楊枝でほじくることはやめて。
読者様に向けて、どうしたら今作が巻き返せるのか考える感想にもしたいと思います。

ということで、「一つだけお願いがあります。朝ドラ『おむすび』のことは嫌いでも、管理人・みっきーのことも、当ブログも感想も “まだ” 嫌いにならないでください」と本日も叫びます!
※しばらくテンプレです…

きょうは振替休日で、朝から妻と『御上先生』を見て、4時間超かけて感想を投稿。

それに続けて、『おむすび』を見た妻は「こんなこと、まだやってるんだ」と呆れて買い物に行ってしまった。

それも、そのはずだ。

なぜ、こうも、「医療ドラマ」でもないのに、病院に入院中の患者とのやり取りを盛り込むのだろう?

どうせ、超安定の… 月曜日から木曜日に描いたことは無視して、〈“むすび” つかない金曜日〉 は、今週もやるに違いないのだ。


なぜ、勤務時間中の主人公の私用電話まで盛り込むの?

妻が「え~~~っ!」とうなったのが、勤務時間中の主人公の私用電話だ。

「お昼休憩中なら百歩譲れるけど、勤務時間中はあり得ない!」とプンプンだ。

これ、主人公が単独で廊下を歩いている場面にするだけで、違和感を払しょくできたのでは?

もう、ここのスタッフはそんなことも気づかないし、やる気もないってことなのか。

これでも、頑張ってほしいと願っているのだが。


ベッドサイドに座り込んで管理栄養士が自分語りって?

どうも、脚本や制作統括は、放送前から「米田結はスーパーウーマンではない、普通の女性です」と言い訳しているが。


今回、橋本さんに演じていただく「米田結」は、決してスーパーな人間じゃないんです。(中略)結は主人公だけど、取り立ててすごい能力を持っているわけでも、抜きん出た個性があるわけでもない。でも、その気負わなさというか、マイペースさが魅力で、それは橋本さんが持っている魅力と合っている気がしています。

出展:放送直前! 連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「みなさんの朝を元気にしたい!」 | ステラnet 新窓で開きます

2月中旬からの主人公は 《担当医も病棟看護師も存在しない世界》 で 《医療行為もできちゃうスーパー管理栄養士・ムスビン》 に成長した設定になっており。

今回は、ついに、担当医の許可を受けたような描写もなしに、管理栄養士が患者の病状を患者の家族に話すという、あり得ないスーパーぶりを発揮させちゃった。

これ、脚本家や演出家や制作統括も、本気で 《担当医も病棟看護師も存在しない世界》 で 《医療行為もできちゃうスーパー管理栄養士・ムスビン》 に描いて不思議はないということなのか!

いくら、橋本環奈さんが多忙でも、セリフで「先生に相談したら、米田さんから伝えてって言われたけん」を加えるだけで、多少の違和感は払しょくできたのでは?

これも、スタッフはそんなことも気づかないし、やる気もないってことなのか。

それに、また、よっぽど暇な病院なのか、ベッドサイドに座り込んで管理栄養士が自分語りって?

おっと、大阪新淀川記念病院は「座って接客」を取り入れている最新の病院ということにしておくか。

参考:座って接客してもいいですか? レジなどに椅子を導入する新しい接客のかたち| 日本財団ジャーナル 新窓で開きます


全てを“主人公ひとりのお手柄”にしようとするから…

いや、こんな暢気なことを言っている場合ではないのだ。

そもそも論 《その1》 として。
 ※青色は、冷静さや論理性を象徴し、物事を根本的に捉える思考を表す
 茶色は、大地や根を象徴する色で、物事の根本や基礎をイメージ

主人公は、一体どこで、患者の家族に病状を話した設定なのか?

これまで見てきた人ならおおよその想像がつく通り、病室前か待合室近くの廊下だろう。

他の患者や家族が通行する廊下で?

いや、担当医が病棟の面談室や詰め所で伝えたとしても、患者本人の許可もなければ、しかも不在で?

結局、「N.S.T.」(Nandemo Suttobasu Tenkai=何でもすっ飛ばす展開)で、何でもかんでも “主人公ひとりのお手柄” にしようとするから、あり得ない病院と医療従事者が出来上がるのだ。

《病院や医療従事者への理解に、誤解を与えるような描写は慎重にすべき!》


最後は老いた父と息子でお涙頂戴のつもりをやるのだろうが

おっと、サクサク進めよう。

終盤の3分間も、開いた口が塞がらないというか。

そもそも論 《その2》 として、 神戸に福岡・糸島に住んでいる永吉(松平健)と佳代(宮崎美子)が突然やって来た本当の理由は、聖人(北村有起哉)の病状が心配で来たと、今作がたった10分ほど前に描いたことなのだ。

なのに、 そもそも論 《その3》 として、 12分ごろの栄吉と佳代は、聖人を心配しているようには全く見えない。

ここも、超安定の トラブル依存症候群(人間描写をなおざりにして、物語の構築を騒動ばかりに依存するドラマづくりのこと:「騒動至上主義」改め) のための要員ってだけ。

その上、今週のサブタイトルが『米田家の呪い』だから、金甌日まで聖人と栄吉の見飽きた親子喧嘩を見せられるのも間違いないはず。

で、最終的に「老いた父と息子でお涙頂戴のつもり」をやるのだろう。

ホント、いい加減「主人公の物語」に集中したらどうかと思うのだが。


あとがき

そもそも論 《その4》 として、 公式サイトのあらすじに、今回登場した患者のことは書かれていないのですよ。

だから、今週は「聖人と栄吉の親子喧嘩」がメインなのは決定で。

そこに木曜日あたりで、強引に患者の栄養管理をこじつけますよ、きっと。

異様に「味噌汁」が映像で強調されていたので、「結ちゃん特製味噌汁」で回復! ですよ、きっと。

ちなみに、助産師の妻に「悪阻の妊婦さんが好きな食べ物ってあるの?」と聞いたら、「なぜか、マ●クのポテトっていう人が多いんだよね」ですって。

今週も、よろしくお願いいたします。

今朝、下記の記事を投稿したので、良かったら読んでみてください!
「批判・批評」でなく、より映像作品を楽しむための「感想」を書き続ける“7つ”の理由 新窓で開きます


文中の博多弁風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
博多弁に変換 | 恋する方言変換 | BEPPERちゃんねる 新窓で開きます


『おむすび』を召し上がった後の ≪お口直し≫ に下記の感想をおすすめ!
朝ドラ「カーネーション」全151回分の感想リンク 新窓で開きます
朝ドラ「カムカムエヴリバディ」全112回分の感想リンク 新窓で開きます


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拍手[28回]

御上先生 width=

TBSテレビ系・日曜劇場『御上先生』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)InstagramTikTok

第6話『-confession-』の感想。


週刊誌の記事により、生徒たちは御上(松坂桃李)の兄・宏太(新原泰佑)について知る。御上は「昔のことだ」と答えるのみであったが、彼の過去を知る人物の後押しを受け、静かに語り始める。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:詩森ろば(過去作/映画「新聞記者」,NHK鹿児島発地域「この花咲くや」)
脚本協力:畠山隼一(過去作/世にも奇妙な物語21,アトムの童)
   岡田真理(過去作/荒ぶる季節の乙女どもよ。)
演出:宮崎陽平(過去作/日本沈没2021,DCU,VIVANT,アンチヒーロー) 第1~3,6
   嶋田広野(過去作/パパとムスメの7日間2022版,アンチヒーロー) 第4,5
   小牧桜(過去作/持続可能な恋ですか?,あのクズを殴ってやりたいんだ)
   府川亮介(過去作/着飾る恋には理由があって,ブラザー・トップ)
音楽:鷺巣詩郎(過去作/アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」,アニメ「BLEACHシリーズ」,アニメ「進撃の巨人」)
主題歌:ONE OK ROCK「Puppets Can't Control You」
教育監修:西岡壱誠(過去作/「ドラゴン桜2」東大監修)
学校教育監修:工藤勇一(横浜創英中学校・高等学校元校長)
P:飯田和孝(過去作/ドラゴン桜2,VIVANT,アンチヒーロー)
   中西真央(過去作/フェルマーの料,100万回 言えばよかった)
   中澤美波
※敬称略



「回想シーンはドラマでも物語でもない」だが、そもそも…

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―――ここまで、ごあいさつ―――

まず、当ブログのスタンスを明確にしておく。

回想シーンは、ドラマでも物語でもない。ただの後出しの言い訳(説明)に過ぎない!

この大前提ありきで。

そもそも、今のところは、主人公の過去も、兄の死も、隣徳学院を辞めた教師・冴島悠子(常盤貴子)も、文科省の裏社会も、隣徳学院の光と影も、必要ないのだ。

いま現在の主人公と生徒がいるだけで、十分に “ドラマ” として成立しているのだから。

したがって、不必要な要素を強調すればするほど、その要素の特性上、いわゆる “考察系ドラマ” の臭いが漂ってしまう。

改めて書くが、私はる “考察系ドラマ” が苦手で、謎解きを楽しんで投稿する趣味も気力もない。

その上で今回は、回想シーンをこれでもか! と言わんばかりに盛り込んできた。

ハッキリ言うが、これだけ主人公の人格形成に重要な要素を盛り込むなら、第1話から 《壮絶な過去を背負った主人公》 として登場させ、描くべきでは?

そうすれば、少なくとも “考察系ドラマ” に見えること避けられるだろうし。

ただ、やりようによっては「昭和の学園ドラマ」のようになる可能性もある。

しかし、今作が『日曜劇場』枠であることを考えれば、むしろベタで悪くないともいえる。

まあ、今後の展開次第ではあるが。


宮崎氏の演出によって、いろんな意味で再び難解なドラマへ

ちょっと厳しいことを書いたが。
ここからは、「好意的に解釈」を分かった上で。
演出に注目して書いてみる。

おっと、正しくは、この脚本を演出がどう読み、どのように解釈し、映像化したのかを、勝手に推測してみたい。

演出担当が、第4,5話担当の嶋田広野氏から、チーフ監督の宮崎陽平氏に戻った第6話。

直前2話が、嶋田氏の演出でやや考察系に傾いたが。

宮崎氏の演出によって、いろんな意味で再び難解なドラマになった第6話。


今回を、「後半」のための踏み台的位置づけとすれば…

最初に、“連ドラ” としての第6話の位置づけを考えてみる。

今作の総話数は不明だが、第6話であることから、恐らく折り返し地点だろう。

そうなると、内容から考えると第5話までが「前半」で、次回の第7話からが「後半」で。

「前半」は、法廷ドラマや政治ドラマで多く見られる「ディスカッションドラマ」の形式を多用し。

特定のテーマや問題について登場人物たちが議論を交わす場面を強調して盛り込むことによって。

視聴者に対して問題提起と、異なる立場や意見の提示で、やや説教臭くて難解な部分が際立つ作風だった。

それに対して、「後半」のための踏み台的位置づけとすれば。

今回は、「ディスカッションドラマ」の雰囲気が弱められ。

逆に、「1対1」「1対 多数」「多数の中の個」を取り上げ。

さらに、それぞれの関係性や相手の内面に踏み込む様子や、影響を受けて変化する様子が描かれはじめたと言えないだろうか。


前半で最も強調してきた三つのキーワードの集大成を創出

これらのことから推測できるのは、前半で最も強調してきた三つのキーワードの集大成を創出しようという意図だ。

当ブログでは、下記の三つとして挙げてきた。

〈“人ごと” を “自分ごと” にさせるドラマ〉

〈教師は生徒を正しい道に導く存在ではなく、生徒自身に正しい道を考えさせる存在〉

そして、「パーソナル・イズ・ポリティカル( personal is political:個人的なことは政治的なこと)」からの…
当たり前だと思っている歴史や制度も、全ての個人に通じ、個人に影響を与える

全部を細かく深掘りすると、とんでもない分量になるので、今回は一つだけ抜粋してみる。


途中で現れた“宏太”は何なのか?

今回の映像表現の中で、様々な議論を巻き起こしそうなのが、中盤で。

主人公である東大卒のエリート文科省官僚で官僚派遣制度によって私立高校への出向が命じられた3年2組の担任・御上孝(松坂桃李)が、「昔のことだ」と生徒からの問いに答えない御上の兄・宏太(新原泰佑)のことを静かに語りだすくだり。

途中で現れた “宏太” は何なのか? ではないだろうか。

一緒に見ていた妻は「宏太を知っている人が見える幽霊なのかな?」と言っていたが。

私は、《宏太の存在や、宏太の死を、“自分ごと” にしている登場人物だけに見えて、話せる存在》 と位置づけた。

そう思う理由もある。


御上、一色、是枝、神崎は“宏太”の位置づけ違いがある

宏太の存在に最初に気付くのは、廊下で御上の授業を聞いている養護教諭・一色真由美(臼田あさ美)だ、

一色は、高校時代の宏太の同級生で、宏太に寄り添う存在であるから、すでに宏太を 自分ごと” として受け入れているキャラクターだ。

だから、〈死を選んだあとの宏太〉 が見えるし、感じることができるのは当然と言える。

直後に、〈死を選んだあとの宏太〉 が3年2組の副担任で国語教師・是枝文香(吉岡里帆)の目の前を歩くが。
是枝はまだ宏太を 自分ごと” として受け入れていないキャラクターだから、見えないし感じないのも合点がいく。

そして、当然、御上も〈死を選んだあとの宏太〉 に気付き。

その直後、報道部の部長でジャーナリスト志望・神崎拓斗(奥平大兼)は何からの気配は感じるが、そこまでにとどまった。

この脚本と演出から読み解けるのは、神崎は宏太を 自分ごと” として受け入れて始めているということだ。

要するに、これによって 《人間は変わることができる》 と 《人の価値観や考え方や人生の在り方をアップデートできる》 ということが見えると思うのだ。


違和感に生徒たちが違和感を覚えない描写になっている

そのことは、次の御上が 〈死を選んだあとの宏太〉 との会話が成立した直後で、さらに分かる。


宏太「でも…
 それ やらないと
 自分じゃなくなっちゃうんだよ」
御上「そうだね」

この直後に、教室を出ていく宏太を御上が目で追うカットがあって、教室全体の引きの画になって。


御上「兄のような存在を
 繰り返してはならないと
 僕は思った」

これ、よく見ると分かるが、「そうだね」「兄のような存在を」は、生徒たちへの語りかけとして成立していない。

だって、「そうだね」は御上が兄に対してだけ発した言葉だからだ。

しかし、注目すべきは、この違和感に生徒たちが違和感を覚えているような描写になっていないことだ。

御上の自分語りが始まったのが、昼のチャイム直後の「12時31分ごろ」で、宏太が教室を出て行ったのが「12時37分ごろ」で、この “約6分間” で、生徒たち全員と是枝が宏太を 自分ごと” として受け入れて始めていると解釈もできる。

さらに、御上が退室する直前が「12時43分ごろ」で、その後にチャイムが鳴って、活発で前向きな性格の元サッカー部・安西淳平(森愁斗)が週刊誌を破り捨てて「よし 弁当でも食おうか」と、なる。

ここまでの恐らく約15分間で、完全に生徒たち全員が宏太を 自分ごと” として受け入れを完了したと捉えてみた。

こう解釈すれば、前回までの「前半」は “生徒の内面” と “生徒の変化” が中心だった今作が。

今回を分岐点にして、「後半」は “大人の内面” と “大人の変化” を盛り込むと考えるのが自然では?

なぜなら、今回では、国家公務員試験に落ちた経歴を持つ3年の学年主任・溝端完(迫田孝也)の動揺が強調されていたからだ。

後半戦にも、大きく期待しようと思う。


あとがき(その1)

完全な妄想ですけれど。

今作のプロデューサーである飯田和孝さんは、日曜劇場『アンチヒーロー』も手掛けておられるので、主人公の御上先生を “ダークヒーロー風な教師像” にしたかったのかなと。

でも、脚本の詩森ろばさんの得意な作風は社会派ドラマなので、「生徒を正しい道に導かない新型の教師像」に落ち着いたのかも?

そう考えると、御上先生の壮絶な過去の設定は、当初の “ダークヒーロー風な教師像” の名残なのかななんて思いました。

でも、無くてもいいけど、あったほうが御上先生の複雑なキャラクターが際立つように利用されており、これはこれで脚本と演出、俳優さんの見せ方(way of showing)と魅せ方(how to fascinate)が巧みだなぁと思います。

今回は、ちょっと私の推測が中心の妙な感想になってしまい、ごめんなさい。

今作の感想って、本当に難しいですね。


あとがき(その2)

そうそう、私が気にいった演出があるので、最後にご紹介します。

終盤で、溝端先生が廊下で地団駄を踏む場面がありましたよね。

その際に、歌詞の「You'll never be happy again(幸せは二度と来ない)」「again」の部分で、一段と力強く地団駄を踏みます。

ああいうの、きちんと主題歌を意識した演出として好きです。

それだけなんですけど(笑)


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【これまでの感想】
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拍手[27回]

連続テレビ小説「おむすび」

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第20週『生きるって何なん?』「土曜日版」の感想。


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胃の調子が悪い聖人(北村有起哉)は、精密検査が必要となり胃カメラの検査を受けることに。結(橋本環奈)は、実家で聖人から胃がんについて質問され、心配になる。そんなある日、聖人が理容店の休憩時間に外に出たまま帰ってこなくなる。聖人は歩(仲里依紗)の仕事ぶりを見るため、歩が勤めている古着店に来ていた。するとそこに神戸に帰ってきた渡辺孝雄(緒形直人)も来て、元気がない聖人をどうにかしようと街へ誘う。一方、家で心配しながら待つ愛子(麻生久美子)たち。遅くに帰ってきた聖人は、愛子から本気で頭にきたと言われてしまう。
------上記のあらすじは、公式サイトより引用------


原作:なし
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「土曜日版」を見て改めて感じたのは「内容が薄っい!」

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とにかく、「土曜日版」を見て改めて感じたのは「内容が薄っい!」だ。

まず、今となっては、とてつもなく取って付けた印象しかない…

糖尿病患者で、かつて糖尿病で教育入院(病気について理解し、適切な管理を学ぶための入院)していた磯山八重子(徳田尚美)と夫の伸彦(や乃えいじ)のくだり。

恐らく、脚本家や演出家や制作統括は、八重ちゃんへの過ちがを「結の初めてのミスと挫折感」として描いたのだろう。

しかし、ご存じの通り、これまでの結(橋本環奈)が基本的に「ミスとミスして、すぐに次で成功しちゃう」をやってきたキャラクターだから、「引き続きよろしくお願いします」も、どこか謙虚さに欠けて見えてしまう。

まあ、 そもそも論 《その1》 だから、 「結の成長物語」として描くつもりはなさそうだから、「成長を見たい」「成長を見せてよ」は大きなお世話なのかもしれないが。


なぜ、ここへきてギャルを強調するのを手抜きするの?

その次の、聖人(北村有起哉)が要精検の通知に死を意識して、長女・歩(仲里依紗)に行くくだり。

歩が聖人に元気を出してもらおうと、ギャルのコーディネートをやるわけだが。

北村有起哉さんに配慮してなのか。

私は。ファッションにとてつもなく無頓着だから的外れを言うかもしれないが。

そもそも論 《その2》 として、 数十年前とはいえ地元の福岡では「伝説のギャル」として知られ、現在も古着バイヤーとして正解を飛び回る設定のわりに、歩自身が身に着けているファッションに一貫性や流行性を感じないのは、私だけ?

どうせ、「N.S.T.」(Nandemo Suttobasu Tenkai=何でもすっ飛ばす展開)であることは修正できないのだから、今さら歩と今作のギャルファッションへのこだわりを描けなんて言わない。

言わないが、せめて、これまで苦労を掛け続けた父親を励ます歩の一世一代の晴れ舞台として、もっと衣装スタッフ、演出スタッフ含めて、気合を入れても良かったのでは?

本来は「本編」の感想で書くべきことだが、「本編」ではもっと書くべきことがあったのでここで書かせていただいた。

どうして、最初の数か月間は、必要以上に 《ギャル》 を強調したのに、今やらない?


ジャズバーのシーンには本物が演じる迫力と説得力があった

いろいろ書きたいことがある聖人を渡辺孝雄(緒形直人)だが、「土曜日版」を見て再確認したことがある。

それは、北村さんと緒形直人さんのツーショットのお芝居は、内容がどうであれ、ちゃんとドラマ(人間の本質を描くこと)になっているのは、すごいことだ。

そして、聖人とナベさんがジャズバーで酒を酌み交わす場面についても、「本編」の感想で書かなかったことを。

劇中でクローズアップされたトランぺッターが。現在再放送中『カムカムエヴリバディ』でトランペット監修を担当し、自らも進駐軍クラブで吹くトランぺッター役で出演されたMITCHさんだったことは書いた通り。

その大事なカットが「土曜日版」では削除されたのは、非常に残念だが。

「本編」の際に書かなかったのは、今回でかろうじて残ったピアニストにしても… だ。

アラ還(アラウンド還暦=60歳前後の世代のこと)世代にとって、〈北村有起哉&緒形直人〉 は二世俳優としてでなく一俳優として大きな魅力を持つ俳優さんだ。

当時に、歌舞伎や落語のように俳優には世襲制度はないが、私にとっては 〈モノホン(本物の意味)〉 の生粋の俳優だ。

だから、「土曜日版」では削除されたMITCHさんらの演奏を含めて、〈モノホン〉 だけが持つ説得力が、ジャズバーのシーンにはあふれていたとうことなのだ。

しかし、 そもそも論 《その3》 として、 聖人は、若かりしころにロングヘアでギターを抱え、名古屋の元ヤン(のちの妻・愛子)が18才で妊娠させたなどの破天荒キャラだったのだ。

なのに、街を恥ずかしそうに歩くとか、ジャズバーで真面目一筋に生きてきたようなキャラに変換し、「いい話」風に仕立て直したのは、本当に解せない。

もちろん、「本編」では1ミリも触れなかったプリクラ撮影が、その「虚構の中の虚構」で捜索した「いい話」すら陳腐なものにしたことは言うまでもない。


せめて「責任をもって仕事をしている」ように描いてほしい

少しだけ 〈モノホン〉 で脱線してみる。

今作は、基本的に 〈モノホン〉 を描くつもりがない… と思う。

それこそ、聖人の角刈りの場面は北村さんの習練によってプロの仕事に見えたが。

前述したばかりの歩のギャルファッション、ナベさんのデコレーションシューズ。

少し前の星河電器での翔也(佐野勇斗)の社会人野球と炊飯器開発秘話。

菜摘(田畑志真)のスイーツ開発。

もちろん、大阪新淀川記念病院の医師ら医療従事者も、よ~く見るまでもなく、ほぼ全員が 〈モノホン〉 に見えない。

「俳優さんが演じているのだからしょうがないのでは?」は理解するが、私が言いたいのはそこではない。

キャラクターの言動からにじみ出る “プロらしさ” みたいなものが、希薄に見えるのだ。

時々、「プロ以前に、社会人としてどうなのよ?」と言わんばかりの描写もちらほら。

少なくとも、「お仕事ドラマ」の一面を有しているなら、せめて「責任をもって仕事をしている」ように描いてほしいと願うのは、夢物語だろうか。


結が仕事をこなす姿に父の病気への思いを感じさせないと…

医師が聖人にがん宣告する場面についても、「本編」の感想では書かなかったこと。

「土曜日版」の編集で顕著になったので書いてみる。

ハッキリ言って、夫が、父が、がん宣告されたのに、あっさりとしすぎていないか? と。

第98回の「本編」でも、歩と愛子は一瞬だけチラッと目を合わせるだけ。

これ、ドラマとしては、もっと見つめるなり、結が愛子の手を握るとか、愛子と聖人の肩に軽く触れて微笑むとか。

そういう仕草があってこそ、続くシーンの結が「うち、管理栄養士んプロやけん!」と健気に父、そして他の患者に接する言動として、〈モノホン〉 に見えるのにやらない。

主人公が「淡々と仕事をこなす姿」の背景に、父の病気や家族の思いを感じさせない点で、やはりダメだと思うし。

脚本家や演出家や制作統括は、「米田結」に愛はあるんか? と聞いてみたい。


病院では「米田さんのおかげ」、私生活では「結のおかげ」

これ以上長く書いても、今作が変わることはないので、まとめよう。

今週の「土曜日版」の特徴は、聖人の場面を全部残した… だ。

いつもなら、結の場面を全残しだが。

この編集によって、さらに北村さんの演技力も曖昧って。

聖人の『生きるって何なん?』には、ギリギリで見える。

そして、さらにギリギリで、聖人が生きようと思ったきっかけに、管理栄養士の結もあったようにも見える。

ただ、今作は「米田結の物語」であり、今回の「米田聖人の物語」はその一部でしかない。

いや、むしろ「米田聖人の物語」として、長女や妻も存在も結の活躍と同等に描くべきなのだ。

なのに、今作は、いつも通りに「結のおかげ」で押し切った。

やはり、病院では「米田さんのおかげ」をやりまくり、私生活では「結のおかげ」をやりまくられては、さすがに面白みを感じにくいのだ。

なぜなら、全ての要素が「米田さんのおかげ」と「結のおかげ」をやるための展開にしか見えないから、いくらうきょ曲折があるように期待したところで、着地点は見えているから、見る必要がない

だから、ここまで視聴率が下がるのは無理もないと思う。


あとがき

「お仕事ドラマ」としても、「病院が舞台のドラマ」としても、内容らしきものがないですね。

「お仕事ドラマ」としては、特段の努力もせずに、簡単にできちゃうし、認められちゃう。

「病院が舞台のドラマ」として、最も大切で繊細に描いてほしい “命” 、そして “死” を軽んじて描いているのが本当に気になります。

何でも『食べり』で治ってしまう展開は、医療と医療従事者を馬鹿にしている感じもしますし。

ホント、なんだかなと思います。


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拍手[30回]

クジャクのダンス、誰が見た?

TBS系・金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)InstagramTikTok

第5話『襲いかかる宿命ー秘められた弁護人の本心』の感想。

原作(漫画)の浅見理都「クジャクのダンス、誰が見た?」は、連載中を追っている状態(第1話放送前に既刊の最新6巻まで読了)


ラーメン屋台店主・染田(酒井敏也)の死により、真相はさらに闇へと沈む。心麦(広瀬すず)と松風(松山ケンイチ)は、春生(リリー・フランキー)の手紙に名のあった東賀山事件の元弁護人・三木田辰雄(石丸謙二郎)を訪ね、新たな手がかりを得る。一方、検察の阿南(瀧内公美)は友哉(成田凌)起訴に向けて動き出す。松風は、友哉の放った“ある一言”により、自らの本心と向き合うこととなる。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作(漫画):浅見理都「クジャクのダンス、誰が見た?」
   (過去作/イチケイのカラス)
脚本:金沢知樹(過去作/半沢直樹2022,Get Ready!,からかい上手の高木さん)
演出:田中健太(過去作/ペンディングトレイン,トリリオンゲーム,アンチヒーロー) 第1,2,4
   青山貴洋(過去作/グランメゾン東京,ユニコーンに乗って,ライオンの隠れ家) 第3,5
   福田亮介(過去作/恋つづ,俺の家の話,海に眠るダイヤモンド)
   棚澤孝義(過去作/半沢直樹2013,ユニコーンに乗って,下剋上球児)
音楽:桶狭間ありさ(過去作/ハヤブサ消防団,私たちが恋する理由)
主題歌:Ado「エルフ」
警察監修:志保澤利一郎(チーム五社)
法律監修:市川寛(かなえ国際法律事務所 弁護士)
ラーメン監修:(ウェスティンホテル東京 龍天門)
フードコーディネーター:はらゆうこ(過去作/ライオンの隠れ家,ザ・トラベルナース,嘘解きレトリック)
P:中島啓介(過去作/天国と地獄~サイコな2人~,Eye Love You)
   内川祐紀(過去 協力P作/18/40~ふたりなら夢も恋も~)
   丸山いづみ(過去作/ペンディングトレイン ー8時23分、明日 君と,西園寺さんは家事をしない)
※敬称略

視聴者が登場人物の誰の立場になっても楽しめるサスペンス

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
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私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

原作(漫画)の浅見理都「クジャクのダンス、誰が見た?」は、連載中を追っている状態です(第1話放送前に既刊の最新6巻まで読了しました
原作は〔全7巻〕とされ、最終巻は今春発売予定(読むつもりです)
したがって、結末以外は知っているので、犯人捜しなどのコメントの対応を控えさせていただきます
また、原則 原作のネタバレは書きません

いまだに、「ミステリー」と「サスペンス」を曖昧に、かつ、都合よく使い分けて今作を論じるブログや掲示板があるが。

当ブログが一貫して書いているのは、今回の劇中の弁護士・松風(松山ケンイチ)のセリフを拝借すれば。

秀逸なサスペンス仕立て “風味” である。

今さら解説をする必要もないが。

金沢知樹氏が手掛ける脚本は、サスペンス&ミステリー仕立てだが。

演出部が踏襲しているのは、ドキュメンタリー&ヒューマンドラマ風なのだ。

さらに、類似作品との差別化を図る目的で、今作の場合は、そこから “ミステリー(=謎解き要素)” を薄めて。

逆に、視聴者や観客は登場人物の誰の立場になっても楽しめる “サスペンス要素を濃いめ” の味付けにしてある。

“この人も怪しいの?”を感じさせる要素は敢えて排除

そして、これまで今作の演出は、チーフ監督の田中健太氏と、セカンドの青山貴洋氏が務めている。

これまでは、田中氏はどちらかと言えばサスペンス強め、青山氏はヒューマンドラマ強めの傾向だ。

すると、懸命な読者様なら「今週の演出は青山さんだ」とピンと来るはずだ。

今回は、前回のようにサスペンスを強調するような、(前回で解説させていただきました)映像合成技術『バーチャル・プロダクション』も印象的な場面で使用することなく。

さらに、例えば、主人公・山下心麦(広瀬すず)の父・春生(リリー・フランキー)の捜査一課時代の部下・赤沢正(藤本隆宏)の世話好きで料理上手な正の妻・赤沢京子(西田尚美)が、小麦の部屋で夕食を作って食べる場面で。

食後のコーヒーを淹(い)れる場面で、京子が小麦を抱きしめ場面があった。

ここ、ミステリーなら謎を強めるために京子のどアップにするだろうし、サスペンスなら京子に一瞬だけ怖い目をさせるなんてやるかもしれない。

しかし今作は、ヒューマンドラマとして魅せる作品だから、この直後の京子と夫・正とのSNSとのやり取りの画面ですら、怪しさや不穏な奮起を醸し出さないのだ。

この辺の、最近のドラマではやりがちな “この人も怪しいの?” を感じさせる要素を、敢えて排除していると言っても過言ではない。

そのことは、検察庁「本部係」の女性初の検事・阿南由紀(瀧内公美)と、松風が小学5年生の時に離婚して以降、行方不明の松風の父親で元警察官久世正勝(篠井英介)についての描写もやりすぎ、見せすぎはやらない

回想を、松風自身の自問自答にすることで後出しに感じない

その分、今回で強調したのは、松風の “まっとうな” が生まれた原点… とでも言おうか。

小学生時代の松風義輝(間藤陽向)と松風の母(宮崎美子)のと回想シーンだ。

当ブログでの「回想シーンは、ドラマでも物語でもない。ただの後出しの言い訳(説明)に過ぎない」と主張している。

だから、この度の回想シーンだって、松風が “まっとうな人” に見える後出し説明に過ぎない。

でも、この場合は少し意味合いが違う

まず、後出しとは言っても、それは主人公のことではないということだ。

そして、後出しとは言っても、サブキャラクーとしてこれまで “まっとうな人” の原点だから、単純にし著者を納得させると同時に。

劇中で松風をすでに “まっとうな人” に見えていた人たちと気持ちの共有のための道具になっている。

松風(M)「まっとうって言葉が
 正しくまっすぐにという意味なら
 お前はさ
 今までだって そうしてきたよな」
少年松風(回想)「うん」

そして何より、この「まっとうな」が、〈いまの松風〉 からの 〈過去の松風〉 への問いかけになっていることで、回想というよりも、松風自身の自問自答になっているから、後出しとは違うと位置付けるのだ。

今回の青山氏の演出は、以下の五つを意識されていたかも?

そろそろまとめよう。

今回の大きな見どころの一つは、前回まで今作の “謎” をある意味で一気に引き受けていたラーメン店店主の染田(酒井敏也)が退場した。

その意味で、主人公が頼れるのは、「おじさん」「おばさん」である赤沢刑事夫妻と、松風と松風の幼なじみで弁護士事務所の共同経営者・波佐見幸信(森崎ウィン)だけになった。

そして、現状では、その「おじさん」ですら… なのだ。

このことから、今作が全何話なのか分からないが、恐らく今回が折り返し地点で。

いよいよ、ここから 《小麦と松風のバディが、クジャクのダンスの真相を暴く》 展開になりそうなことは、この人選でも分かるはずだ。

その意味でも、普通に描けば 《真相を暴く》 が強調されてしまう。

そこで、今回は青山氏が次のことを意識して演出していたように思う。

それは。

 ●できるだけ、カメラは三脚に固定して動かさない
 ●スタジオセット、屋内ロケでも、できるだけ引きの画を入れる
 ●ダイアローグカット(セリフをしゃべっている人を優先的に見せる編集)をやらない
 ●カット割りを可能な限りせわしなくしない
 ●画面内を暗すぎないようにする

この五つが、より踏襲されたように思う。

広瀬すずさん演じる小麦がが動き出さないと物語が動かない

そして、その目的を三つに集約すると。

 ●映像で、しっかりと内容を伝えたい
 ●俳優の演技や存在感を見せたい
 ●視聴者に「より引き込まれる世界観」を提示したい

決して、派手さはないし、奇をてらったカットもないし、主演俳優のプロモーションビデオにもなっていない。

でも、ちゃんと小麦が物語の中心に存在し、広瀬すずさんらしい繊細な芝居もきちんと見せる。

そして何よりも、広瀬すずさん演じる小麦がいないと、小麦が動き出さないと、物語が動かないように作り込まれている。

「これ、主人公って必要?」「群像劇じゃないの?」風味の作品が多い中、個性が際立っているのは間違いない。

あとがき

次回は、阿南由紀検事が動くようですね。

いやあ、今作は “ドラマ” として面白すぎるので、ついついネタバレと気付かずに書いちゃいそうで(笑)

今回も、ネタバレ厳禁を遵守できたかな?

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拍手[26回]

連続テレビ小説「おむすび」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『おむすび』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第100回〔全130回〕第20週『生きるって何なん?』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


結(橋本環奈)たちは、病院で外科医の蒲田(中村アン)から聖人(北村有起哉)の胃がんの手術がうまくいったが、今後5年は経過をみる必要があるとの説明を受ける。病室に戻った聖人は、手術中に夢を見たという。それから術後の食事のケアを結が担当し、聖人は結の指示に従って徐々に常食が食べられるようになっていく。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:根本ノンジ(過去作/正直不動産シリーズ,相棒シリーズ,フルーツ宅配便,ハコヅメ)
演出:野田雄介(過去作/スカーレット,マッサン,六畳間のピアノマン,舞いあがれ!) 第1,3,7,13,18
   小野見知(過去作/マチ工場のオンナ,トクサツガガガ,転・コウ・生) 第4,6,10
   松木健祐(過去作/ひよっこ,いだてん,晴天を衝け,舞いあがれ!) 第2,5,16,20
   盆子原誠(過去作/カーネーション,ごちそうさん,おちょやん,ブギウギ) 第8,12,17
   大野陽平(過去作/「ちむどんどん」第9週のみ,「舞いあがれ!」第25週のみ) 第9,11
   原田氷詩(過去作/「おちょやん」 第17週のみ,「舞いあがれ!」第16週のみ) 第14,19
   工藤隆史(過去作/「舞いあがれ!」第20週のみ) 第15
音楽:堤博明(隣の家族は青く見える,ベビーシッター・ギン!)
主題歌:B'z「イルミネーション」
語り(本編):リリー・フランキー(過去作/「なつぞら」本編語り)
語り(土曜日版):高瀬耕造アナウンサー(過去作/「ブギウギ」本編語り)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼)
制作統括:宇佐川隆史(過去作/岸辺露伴は動かないシリーズ,正直不動産シリーズ)
   真鍋斎(過去作/まんぷく,正義の天秤,拾われた男)
※敬称略
※他のスタッフ表は、当記事の最下部へ移動



記念すべき?第100回! 褒めるところが“三つも”あった!

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
お仕事や学校の休憩時間や移動中の方、就職活動中の方、病気療養、子育て、介護など、それぞれの生活を送る読者の皆様…
私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

常連の読者様は、ご存じだと思います。
ここ数日間 連続で Web拍手が 30未満(投稿時)になりましたので…
できるだけ、重箱の隅を楊枝でほじくることはやめて。
読者様に向けて、どうしたら今作が巻き返せるのか考える感想にもしたいと思います。

ということで、「一つだけお願いがあります。朝ドラ『おむすび』のことは嫌いでも、管理人・みっきーのことも、当ブログも感想も “まだ” 嫌いにならないでください」と本日も叫びます!
※しばらくテンプレです…

「もう、今作で褒めることない」と思っていたので、さすが記念すべき? 第100回である。

なんと、褒めるところが “三つも” あった! (*’ω’ノノ゙☆パチパチ

一つめは、アバンタイトルでの「インフォームドコンセント(説明と同意)」のシーンに、主人公らの背後に看護師がいたことだ。

当然に「なぜ、看護師が医師の横ではないの?」を強烈な違和感は覚えるが。

いまや、大人の事情までツッコミを入れたら褒める部分がなくなるから見て見ぬふりだ。

なぜ褒めるのか?

それは、今作はことごとく 《看護師が存在しない病院》 を踏襲してきたからだ。

したがって、“いるだけマシ” というだけだ。

いや、もしも看護師不在でインフォームドコンセントを描くようなら、前回の “身内を忖度する組織” と “公私混同する医療従事者” に次いで、医療ドラマでなくても 〈主人公が管理栄養士で病院が舞台のドラマ〉 として看過できない!


術後説明で、結がユニフォームを着用していた!

二つめの褒められる点は、インフォームドコンセントの場面の主人公・結(橋本環奈)がユニフォームを着用していたことだ。

「当然でしょ?」なご意見は真っ当なのだが、そんな当たり前ができない、やれない、やれないのが今作なのだ。

だから、褒められるときにやっておくのだ。

なぜ、ユニフォーム着用が評価できるのか?

書くのも馬鹿馬鹿しいが、管理栄養士が、主人公が、結が、忙しそうに見えるから! である。

「そんなこと?」と思うかもしれない。

しかし、前回もあったように、病院内にいる主人公は異常なくらいに神出鬼没で、かつ、公私混同しまくるキャラクターに成り下がっているから、《仕事中を抜け出して参加している》 のアピールは、今作においてはとても有効なのだ。


他の患者に栄養指導する結を見る聖人が盛り込まれた!

三つめの褒められる点は、自分以外の患者・山本(堂崎茂男)を看(み)ている娘の結を見ている父・聖人(北村有起哉)が盛り込まれたことだ。

もちろん、時すでに遅しであることは間違いない。

なぜなら、月曜日から木曜日に描いたことは無視して、〈“むすび” つかない金曜日〉 をやり続けてきたのは、何を隠そう今作そのものだ。

したがって、“金曜日にだけ盛り込んで” も意味がないのは、自業自得なのだ。

それこそ、聖人が入院して看護師が病室に案内しようと入室する際に、すでに他の患者の栄養指導をしている結を配置しておけば何の問題もなかったのは言うまでもない。

まっ、それ以前に、僅か20秒間程度の尺で “いつもやっている” と受け取れというのは、表現の暴力に近いが。

というわけで、第100回記念? の珍事件! として “三つも” 良かったところがあったことの紹介だ、以上。


メインタイトル映像以降は、感想を書くのも躊躇するレベル

ハッキリ言うが、メインタイトル映像以降について、特に書くことはない。

きっと、妄信的な視聴者、超が付くほどに好意的に見ている人たちは「聖人さんが無事で良かった」「家族団らんにほっこりした」だろうし、それはそれで構わないし、否定もしない。

しかし、私の感想は全く違う。

今作は、これまで、散々、「N.S.T.」(Nandemo Suttobasu Tenkai=何でもすっ飛ばす展開)をやり続けてきたのに。

病室内での術後の聖人への結の栄養指導は、「術後3日目」「術後4日目」「術後7日目」と、これでもか! と言わんばかりに “約3分半” も割いて描いただけでなく。

聖人の退院後も、これ見よがしに… 福岡・糸島の郷土料理三昧を盛り込だ上に。

これまた、これ見よがしに… 結による自宅での栄養指導のてんこ盛りだ。

う~~~ん、もう虚しさで胸がいっぱいになって、書けない…


Web拍手とコメント、いつも、ありがとうございます。管理人、みっきー


確実に「管理栄養士・米田結の宣伝紹介ビデオ」になった!

気分転換に、マイブレンドの豆を挽いてドリップしたコーヒーを飲みつつ書いてみる。

今週、何度かいたか分からぬが、とにかく、何を書いても言っても無駄ではあるが。

そもそも論 《その1》 として。
 ※青色は、冷静さや論理性を象徴し、物事を根本的に捉える思考を表す
 茶色は、大地や根を象徴する色で、物事の根本や基礎をイメージ

今回に限ったことではないが。
敢えて「今週」と「今回」に共通するので、できれば脳内で「今週と今回の」と思いつつ読んでいただけると大変うれしい(助かります!)。

で、そもそも今週と今回の最大のミスは、主人公と橋本環奈さんの出番を多くするために、物語に必要とは思えないシーンやセリフを盛り込すぎたことだ。

この最大のミスによって、主人公の活躍しか印象に残らない作品に仕上がったのだ。

そう、今週は「米田さんのおかげや」で、今回は「結 ホンマに すごかったわ」だけってこと。

私も、皆様が思っているほど意地悪でないから「橋本環奈さんのPVみたい」とまでは言わない。

しかし、確実に「管理栄養士・米田結の宣伝紹介ビデオ」にはなっていたのでは?


月から木曜日に「結と父」「結と家族」を十分に盛り込まず

こう書くと、「主人公だから目立っても良いのでは?」の声も聞こえそうだ。

だが、「誰よりも出番とセリフが多い=主人公」ではないのだ。

もちろん、きちんと作られた「主人公の物語」であれば、自然と「誰よりも出番とセリフが多い=主人公」なるのは当然だ。

でも、今週の今作は、 そもそも論 《その2》 として、 主人公よりも、下記の二つの要素を強調したのだ。

 ●月曜日:結の夫・翔也(佐野勇斗)の母・幸子(酒井若菜)とイチゴ栽培
 ●火~木曜日:結の姉・歩(仲里依紗)と渡辺孝雄(緒形直人)と商売

要するに、前述した通り、 〈“むすび” つかない金曜日〉  をやり続け、その “合間を縫うようにしか” 主人公と父のやり取り、主人公と家族とのやり取りを盛り込まなかったのだ。

これでは、思い入れを持たずに見ている視聴者にとって、さすがに今週を「主人公の物語」と位置付けるのは難しいのでは?


「サブキャラクターたーたちの物語」が大量で連携してない

一応、別の視点も書いておく。

本当に残念なことではあるが、この程度の「主人公の物語」そっちのけで「主演俳優のプロモーションビデオ化」している単発ドラマ、連続ドラマは山ほどある。)

いま放送中の連ドラだけでも、月曜日のあれとあれ、火曜日のあれとか、木曜日と土曜日のあれも、ほぼ “それ” なのだ。

但し、それらの多くが、ちゃんと(というのは、正しくありませんが) “主人公が主人公らしく活躍” した上で「主演俳優のプロモーションビデオ」になっているのだ。

しかし、今作は違う。

そもそも論 《その3》 として、 主人公本人にほぼ関係がなく、主人公の物語にも全く影響を与えないような「サブキャラクターたーたちの物語」が多すぎることで、主人公本人も、主人公の物語も埋没してしまっている。

さらに、 そもそも論 《その4》 として、 「サブキャラクターたーたちの物語」と「サブキャラクターたーたちの物語」が、ほぼ連携していない。

例えば、今週なら。

「家族のエピソード」として、月曜日の翔也の幸子と翔也と孫・花(宮崎莉里沙)のくだりと、金曜日の米田家の家族のくだりが、つながっていない。

「命のエピソード」としては、娘と親友を震災で失った歩と渡辺のくだりと、聖人と渡辺のジャズと人間ドックの結果隠しも、せっかくナベさんという共通項があるのに活用できず、つながっていない。


結が「生きるって何なん?」と自問自答した記憶はないが…

結局、繰り返しになるが。
「ここまでやるの?」と言いたくなるくらいに、トラブル依存症候群(人間描写をなおざりにして、物語の構築を騒動ばかりに依存するドラマづくりのこと:「騒動至上主義」改め) をやるから、一つひとつはそれなり面白いし、俳優も演技も楽しめる「サブキャラの物語」なのに、点と点で結ばれていないから、「描く必要あるの?」となるのだ。

今回の終盤の「米田家の再出発」的なエピソードも、全部が全部、悪いとは思わない。

働き盛りの50歳? の父親が要精検になって動揺し、いろいろ考えた挙句に家族に心配をかけるも、管理栄養士の娘のフォローや、精神的にたくましい妻、長女、婿に支えられ、頑張ろうとするのは、朝ドラとして間違っているとも思わない。

しかしだ。

まず、そもそも論 《その5》 として、 この内容が、第20週『生きるって何なん?』というサブタイトルにふさわしいのか? と問えば、私の答えは「ノー」の一択だ。

もちろん、全くの的外れだとは言わない。

だって、確かに、聖人は自分自身で「生きるって何なのか?」を問うたわけだから。

ただ、私が首を傾げざるを得ないのは、「生きるって何なん?」と福岡・糸島の方言であり、《結が発した言葉》 に位置付けられているからだ。

一体、いつ、どこで、どの描写を、主人公自身が「生きるって何なん?」と自問したというのか!

それこそ、主人公は、身内を忖度し、公私混同はしたが、淡々と管理栄養士の業務をこなしただけなのだ。

夫の母親が来訪したって、義母の健康を心配する気配はゼロで、スニーカーとイチゴと土産のお礼を言って、代わりに褒め殺しされて終了。

姉の歩とナベさんが仕事上とはいえ会っていることにも言及せず。

これ、私なら『うちら、家族やけん』くらいに寸止めして、大看板は掲げない。


あとがき(その1)

これ、サブタイトル『生きるって何なん?』で、如何にも「主人公の物語」だと誤認させる表現になっていますけど。

大部分は、「聖人の物語」「米田家の物語」ですよね。


あとがき(その2)

個人的にはですね、「米田さんのおかげ」「結のおかげ」もいいですが。

言葉狩りをするようで気が引けますけど、愛子が食事管理を娘に丸投げするみたいな描い方が気になるんですね。

今回を見て、いろいろ誤解してほしくないですけれど。

私は「食事づくりは妻の役割」ではないと思うので、娘が能力もあるならやれば良いと思います。

また、現実には、「食事療法は身内(妻とは限らない)では難しい」もあるんです。

専門家でないのもありますが、互いに本音を言いづらくて、ボタンの掛け違えが大きくなるからです。

だから、ここは「愛子が食事管理を娘に丸投げ」に見えないような配慮、それこそ「私も覚えなきゃ」「結、俺も手伝うっがら」「私もやりた~い」くらいやってくれていたら…

朝ドラで、管理栄養士が主人公のドラマで、わざわざ “死や病” を扱う意味も価値も見出せたと思います。


あとがき(その3)

さて、明日の「土曜日版」、この一週間をどうまとめるのか、今週もお手並み拝見しましょう!

今週も、たくさんの応援ありがとうございました。

残り、ついに 《30回》 ですよ。

一体どんな結末になるのか、途中で振り落とされるかもしれませんが、まだまだポンコツなジェットコースター並みの「おむすび』に一緒にライドしましょう!


みっきーの“栄養”チャージ中!(第23回)

私のあふれる知識欲に “栄養” をチャージしてくれるのが、年パス会員でもある「国立歴史民俗博物館」です(強引ですね)。

2025年2月18日(火)から3月30日(日)まで、特集展示「和宮ゆかりの雛かざり」が開催中で、早速、初日に行ってきました。

国立歴史民俗博物館 和宮ゆかりの雛かざり

和宮所用として伝来した雛人形・雛道具類を約100点が展示。
和宮が愛した人形や雛道具を通じて、江戸時代の文化や職人の優れた手わざの一端を紹介されています。

写真は、長州藩士の家系に和宮より拝領した品として伝来した「宮ゆかりの内裏雛」

国立歴史民俗博物館 和宮ゆかりの雛かざり

実は、上段と下段のお二人は異なる内裏雛です。
両者はほぼ同時期に同一工房で制作されたと考えられていますが。
上段の女雛が白小袖の上に着けた単の色彩で、下段の女雛は十二単、お扇子の持ち方も、屏風も違います。

和宮様のお雛様、とても厳かですがすがしく、あたたかい気持ちになります。

「和宮ゆかりの雛かざり」 | 展示・イベント | 国立歴史民俗博物館 新窓で開きます



文中の博多弁風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
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