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リブート

TBSテレビ系・日曜劇場『リブート』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)InstagramTikTok

第4話『光明』の感想。


早瀬(鈴木亮平)は、麻友(黒木メイサ)から「儀堂から連絡があった」と告げられ、儀堂(鈴木亮平)になりすます危険な綱渡りを続ける。向かった先は、かつて儀堂を埋めた山中であり、そこで信じ難い光景を目撃する。一方、合六(北村有起哉)が極秘に保管していた100億円相当の商品が盗まれ、疑いは早瀬へ。決定的証拠映像まで浮上し、命乞いも通じぬ中、早瀬は正体を明かす決意に至るが信じられず、生き残りを懸けた“提案”を口にする…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:黒岩勉(過去作/グランメゾン東京,TOKYO MER,全領域異常解決室)
演出:坪井敏雄(過去作/妻、小学生になる。,ライオンの隠れ家) 第1~3
   田中健太(過去作/トリリオンゲーム,クジャクのダンス、誰が見た?) 4
   元井桃(過去作/さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~)
音楽:大間々昂、木村秀彬
主題歌:Mr.Children「Again」
パティシエ監修:本田珠美
P:東仲恵吾(過去作/ラストマン ー全盲の捜査官ー FAKE/TRUTH)
協力P:國府美和(過去作/すっぴんヒーロー)
   小髙夏実(過去作/着飾る恋には理由があって,クジャクのダンス、誰が見た?)
※敬称略




第4話からの「第2章」で、本当の《リブート》が始まる

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―――ここまで、ごあいさつ―――

1週空けての第4話だ。

思い出してみれば、第3話のラストで、死んだとされていた “本物の儀堂” が生きていることが判明した。

ということは、第3話までが「儀堂は生きているのか!?」を描いた「第1章」であり。

「儀堂は生きている!」と始まった第4話からの「第2章」こそが、本当の《リブート》が始まるわけである。

だって、本物の儀堂歩(鈴木亮平)と、儀堂に入れ替わった早瀬陸(鈴木亮平)が「どのように対峙するのか?」と「鈴木亮平さんの一人二役の演技」を本気で楽しめる “ドラマ” になると思うからだ。


スリリングさやトリッキーさが強めな田中健太氏が演出担当

そんなわけで、「第2章」になった第4話で、演出担当も、第1~3話を担当した本作のチーフ監督・坪井敏雄氏からサブの田中健太氏にバトンタッチされた。

気づかなかった人も多いと思うが、過去の担当作品から鑑みても、田中氏の演出のほうがスリリングさやトリッキーさは強めだ。

だが、前述のとおりに本当の《リブート》が始まった「第2章」の幕開けとしては、ふさわしい演出になっていたと思う。

なにせ、黒岩勉氏の脚本が「第2章」突入して、さらに「誰が見方で誰が嘘をついているのか!?」が分からなくなり、主人公・早瀬陸の立ち位置も心情もめまぐるしい展開に進んでいるから、演出も脚本に寄せる必要があるし、その機会としてグッドタイミングだったと思う。


明かされた入れ替わりの事実/警察内部の異変と儀堂の生存

以前も書いたとおり、私は本作をいわゆる “考察系ドラマ” としては見ていない)

しかし、ここまで「誰が見方で誰が嘘をついているのか!?」で数分ごとに急展開の連続だと、さすがに「どうなるの?」とは思う。

で、第4話では儀堂の妻・儀堂麻友(黒木メイサ)が、目の前に現れた男を儀堂歩ではなく早瀬陸であると見抜いた。

正体を指摘された早瀬は、本物の儀堂を隠した山へと向かったが、そこで発見されたのは裏組織の幹部である安藤(津田篤宏)の亡骸だ。

早瀬は麻友から一香(戸田恵梨香)の身辺を探るよう助言を受け。

職務に戻った早瀬は、部下の足立(蒔田彩珠)から「リブート」という不可解な噂を聞かされ。

さらに、上司の三上(池田鉄洋)から身に覚えのない飲酒の事実を指摘され、ロッカーに保管していた写真が紛失していることに気づく。これらの状況から、早瀬は儀堂が今も生きていることを確信した。

この辺の、視聴者が知り得ない情報を小出しに積み重ねてスリルを生み出すのは見事である。


すり替わりの瞬間と連絡の矛盾/夢の描写と重なる疑惑

さて、早瀬と儀堂がいつ入れ替わったのか、その経緯を時系列で追うと一つの矛盾が浮かぶ。

早瀬が洋菓子店を訪れていた際、彼は儀堂からの電話を受けている。

一香が会社を出てから行動を共にするまでの間に不自然な空白はないが、横断歩道で彼女を呼び止めた人物は、早瀬なら電話で連絡してくるはずだから、すでに儀堂であったと思われる。

また、一香が見た夢の内容には、彼女が何者かに胸を撃たれる場面が含まれていた。

その光景(映像)は一香自身の視点ではなく、第三者の視点から客観的に描かれたものだった。

ということは、映像から推測すると、現在「一香」として振る舞っている人物が、実は “別の人間” である可能性を物語っているとも言えるのである。


偽装された死と名前の書き換え/残された多くの謎

例えば、こんな仮設が成り立つのではないだろうか?

かつて一香と儀堂は借金返済などのために10億円を奪う計画を立てていた。

その過程で本物の一香が命を落とし、夏海が彼女に成り代わる《リブート》が行われた。

さらに早瀬に夏海殺害の罪をなすりつける一方で、彼を逃がすために儀堂としての身分を与えたという複雑な入れ替わりの仮説が成立するのだ。

当然のことではあるが、真実はまだ完全には明らかになっていない。

夏海が儀堂に協力した理由や、木更津の運送会社で働く早瀬に酷似した男の正体など、未解決の要素が数多く存在する。

刑事の足立が把握している警察内部の情報の範囲や、真北(伊藤英明)と合六のつながりについても、今後の展開が気になってしょうがない…


あとがき

登場人物たちの複雑な動きや、細かな伏線が一つにつながっていく様子が非常に明快にまとめられているので、不明な点(謎)は当然ありますが、物語の全容が手に取るように分かりますね。

それぞれのキャラクターが抱える背景や《リブート》という言葉の重みがしっかりと伝わってくる点が、今期の他の連ドラとは一線を画していると考えます。

それにしても、ふつうに考えれば「まだ第4話」で、半分未満ですよね。

この先、どんな展開が待ち受けているのか、楽しみでしかないです。


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【これまでの感想】
第1話第2話第3話


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連続テレビ小説「ばけばけ」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『ばけばけ』
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第19週『ワカレル、シマス。』「ダイジェスト版(土曜日版)」の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


ヘブン(トミー・バストウ)の「クマモト」提案に戸惑うトキ(髙石あかり)は反発しつつも、周囲から夫婦げんかと受け取られる。錦織(吉沢亮)は校長として松江に留めようと奔走し、タエ(北川景子)や勘右衛門(小日向文世)も家族の行方を案じる。揺れる思いの中でトキは別れと決断に向き合い、松江の人々と別離の準備を進めるが、中学校では思わぬ知らせが生徒たちを動揺させ…。
------上記のあらすじは、当ブログのオリジナル------


原作:なし
脚本:ふじきみつ彦(過去作/バイプレイヤーズ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記)
演出:村橋直樹(過去作/まれ,透明なゆりかご,サギデカ) 第1,2,5,7,13,14,19
   泉並敬眞(過去作/スカーレット,カムカムエブリバディ,ブギウギ) 第3,6,9,12,15,18
   松岡一史(過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,カムカムエブリバディ) 第4,8,10,16
   小島東洋(過去作/『ばけばけ』助監督) 第11
   小林直毅(過去作/『ばけばけ』助監督) 第17
制作統括:橋爪國臣(過去作/青天を衝け,あなたのブツが、ここに,ブギウギ)
音楽:牛尾憲輔(過去作/チェンソーマン,僕の心のヤバイやつ,ダンダダン)
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション:北郷美穂子(NHK大阪アナウンサー)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼,おむすび)
副音声日本語吹替:西地修哉(ヘブン担当)、木村はるか(リヨ担当)
タイトル写真:川島小鳥(過去作/未来ちゃん,SHISHAMOアートワーク)
タイトルロゴ:西沢和樹(instagram.com/nishizawa_k/)
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、川野秀昭、田中陽児|美術:山内浩幹、淀裕矢、向理沙、有本弘|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、毛尾喜泰|技術:増田徹、備中正幸、酒井俊史|音響効果:松本有加、巽浩悦、吉田直矢|撮影:岩崎亮、関照男|照明:根来伴承、大西弘憲、武井美晴|音声:吉竹淳樹、稲垣雄二、大成友二、安河内裕斗|映像技術:前田惇徳、原幸介、山下健、若嶋なな|カラーグレーディング:原幸介、前田惇徳、山下健、日野維乃、若嶋なな|VFX:西垣友貴、神戸大樹、山田茂人、北島規、北島規、眞弓敬司|CG:大西智子、空閑卓海、古市百人、佐藤望、田邊亮哉、大関聡|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、大塚良子、厚朴美沙子、毛尾喜泰|装置:佐藤千織、坂口大吾、山中宏華、澤井洸、平松康、吉田隆広、布川紗生、大島櫻子|装飾:津村政幸、横田浩之、長洲史、横田浩之、高浪隆史、三好勇作、石井千尋|特殊効果:奥村陵、宮崎真有|衣装:横山智和、中村みのり、鍛元美佐子、横山智和、鍛本美佐子|メイク:堀洋子、正田早百合、秋山直美、櫻井安里紗|持道具:楠正由貴、森上陽子|かつら:松本誠也、丹波峯子、山崎浩彦、栗野洋子|特殊メイク:江川悦子、権田日和|特殊メイク協力:荒井律子、大谷美咲、山埼佳子|助監督:小林直毅、小島東洋、田中陽児、早川俊介、岡本拓大、後藤怜亜、大野陽平、小峰陸矢、上野香織、佐伯木乃実、畝岡歩未、増田愛海、野曾原明香|制作担当:木村晴治、長岡しのぶ、本田良太、森岡あゆみ、片山哲治、斎藤明日香、竹本航、徳岡美紀、奥山温子|取材:川野秀昭、鈴木航|編集:藤澤加奈子|記録:木本裕美|時代・風俗考証:刑部芳則|松江風俗考証:藤岡大拙|出雲ことば指導:多々納斉、松島彩|所作指導:藤間豊宏|料理指導:広里貴子|英語指導:塩屋孔章、ネイサン・ベリー、米倉リエナ|英字指導:前田祐加|眼科指導:大路正人、川村肇|怪談ばなし指導:玉田玉秀斎|茶道指導:有澤一男|三味線指導(タエ):菊央雄司|三味線指導(遊郭):長江浩子|アクション指導:中村健人|日本画指導:諫山恵実|絵画指導:苅谷昌江|華道指導:神前光園|造園:堤正和、宮崎昭徳|書道指導:今口鷲外
※敬称略




本編よりも物語の流れが、はるかに理解しやすく整理された

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今回の「ダイジェスト版」の編集の特徴、特性は、「本編」よりも物語の流れがはるかに理解しやすく整理されていたことだ。

「本編」ではコミカルな場面が多く、登場人物の情報も一度に押し寄せたため、主人公・トキ(高石あかり※高=はしごだか)の物語がやや見えにくくなっていた。

特に錦織(吉沢亮)の重要な展開が重なったことで、視点が分散し、「誰が中心なのか」が曖昧になっていた印象だった。

しかし、「ダイジェスト版」ではその点が丁寧に調整されていた。

トキに関する描写はしっかり残しつつ、過剰に感じられたコミカルさは控えめに整理され。

錦織の扱いも必要な部分だけに絞られており、物語の軸が自然とトキへ戻る構成になっていたのである。


最適な取捨選択で「トキとヘブンの物語」に再構築

特に印象的だったのは、ヘブン(トミー・バストウ)がトキを気にかける場面がきちんと残されていた点である。

視線や表情といった細かな演技まで拾われており、二人の関係が物語の中心として伝わる編集になっていた。

また、家族や友人、町の人々の描写も適度に配置され、物語全体の流れを支える役割を果たしていた。

こうした編集によって、「ダイジェスト版」は「本編」以上に 物語としてのまとまり“” が感じられ、視聴者にとって理解しやすい仕上がりになっていたのだ。

もちろん、「本編」に大きな不満があったわけではない。

でも、演出によって先週までとの雰囲気の差もあり、今回の「ダイジェスト版」の完成度がより際立って見えたのである。

※本日は超多忙につき、コンパクトに書かせていただきました(謝)


あとがき

「編集で、ここまで変えられる!」という感じですね。

良くも悪くも、今週の演出担当である本作チーフ監督・村橋直樹氏の演出らしさである《コミカルとメリハリが強め》が「本編」でやりすぎたことを、「ダイジェスト版」では巧みな取捨選択で最適化したというところだと思います。

昨日、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が島根県松江を離れて九州・熊本に移住した「ホントの理由」を綴った「補足記事」を投稿しました。
これこそ、『ばけばけ』では描かれないと思いますので、読んでみてください。

朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲が松江を去った本当の理由は「お財布事情」だった?高給取りでも火の車!? 八雲が愛した「散財」の美学|ディレクターの目線blog 新窓で開きます


厳選『ばけばけ』で描かれない秘話の解説リンク集
●八雲×セツ「万物に霊が宿るアニミズム思想」 → こちら 新窓で開きます
●三之丞(板垣李光人)モデル“静かなる光” → こちら 新窓で開きます
●錦織(吉沢亮)モデル“八雲+セツとの友情” → こちら 新窓で開きます
●妾か女中か?“八雲が求めた女中の条件” → こちら 新窓で開きます
八雲はモラハラ夫?“繊細で偏屈な素顔” → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
"禁じられた結婚"とセツ・マティの共鳴 → こちら 新窓で開きます
※他のリンクは下記↓の折り畳みの中!

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恋する方言変換 | BEPPERちゃんねる 新窓で開きます


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探偵さん、リュック開いてますよ

テレビ朝日系・金曜ナイトドラマ『探偵さん、リュック開いてますよ』
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第6話『BAD MEMORY GOOD SOUND』の感想。


“思い出の人”と再会する番組に呼ばれた一ノ瀬洋輔(松田龍平)は、高校時代の同級生で今や人気女優となった神林リカ(夏帆)と22年ぶりに再会する。かつてラブレターを返さなかった理由を問われ沈黙する洋輔。その放送に沸く清水としのり(大倉孝二)と南香澄(片山友希)をよそに、室町圭(水澤紳吾)は激しい怒りを抱く。室町はかつてリカに想いを寄せており、洋輔が“禁断の発明品”で彼女の心を奪ったと信じていたのだった。やがて洋輔はリカから直接連絡を受け、怪しい行動を見せる夫タカシ(中島歩)の素行調査を依頼されることになり…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---


原作:なし
脚本:沖田修一(過去作/0.5の男) 第1,2
   近藤啓介(過去作/今日もふたり、スキップで) 第4
   守屋文雄(過去作/キツツキと雨※沖田修一と共同脚本) 第3,5,6
演出:沖田修一(過去作/フルーツ宅配便) 第1,6
   近藤啓介(過去作/今日もふたり、スキップで) 第3,4
   東かほり(過去作/映画「とりつくしま」) 第5
音楽:池永正二(過去作/0.5の男,パーセント)
主題歌:My Hair is Bad「ここで暮らしてるよ」
※敬称略




私が一番好きな回の理由1:「大人の恋の物語」の新鮮さ

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第6話は、本作において《私が一番好きな回》である。

その理由は「大きく3つ」ある。


1つ目は、過去5話にはなかった「大人の恋の物語」であることが新鮮だったからである。

きっと、この感想を読んでくださっている読者様は「すでに見た後」であると思うが。

それでも、「まだ見ていない人」にはぜひとも見てほしいので詳細な内容には触れない。

が、「ただの寂れた温泉街の物語」だと思って見てきた立場としては、ここまで斬新な変わりっぷりはお見事だと言うしかない。


私が一番好きな回の理由2:凝った&奇抜な演出が刺さった

2つ目の理由は、凝った演出、奇抜な演出が刺さったからだ。

例えば、30分ごろの港の公園を歩く探偵兼発明家の一ノ瀬洋輔(松田龍平)と、幼馴染である人気女優として活躍する神林リカ(夏帆)が歩く場面。

二人の会話が画面から聞こえてくるが、画面は「超ロングショット(引きの構図」で、一ノ瀬とリカの姿は見えていない。

次第に、画面左から小さく映る二人が画面手前に歩いてくる構図になるのだが、音声レベル(音量)は一定だ。

要するに、視聴者は二人の会話を盗み聞きしているような感覚になる映像処理になっており、そのおかげで二人のやり取りへの没入感が半端ないことになっていた。

また、一ノ瀬とリカが「空飛ぶリュック」で青空を滑空する映像は、チープなのにめっちゃピュアな合成処理。

さらに、終盤のバンド「NISHIYAMA bros Ensemble」の演奏シーンも、メリーゴーランドの映像もとても美しく、「これ何のドラマだっけ?」という感じで目新しくてよかった。


私が一番好きな回の理由3:西ヶ谷温泉でしか描けない物語

そして、3つ目の理由は、第6話の(おそらく)半分以上が「西ヶ谷温泉でない場所」なのに、この上なく「西ヶ谷温泉でしか描けない物語」になっていたという、ブレない構想力である。

これまでの5話分があったからこその、主人公・一ノ瀬を始めとした粒揃いの個性派サブキャラクターを絡めた感動のエンターテインメントになっていたと思う。

確かに、「いつもの回と違う」ではあるが、連ドラの折り返し地点だと考えれば、後半戦に向けてさらに勢いをつけたと思う。

是非とも、見ていないなら見逃し配信で見てほしい一話である。

見逃し配信「TVer」リンク 新窓で開きます


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朝ドラ「ばけばけ」親友との涙の別れに隠された切ない小泉八雲の熊本移住の真実と、クビになった車夫の誤算
Image created with DALL・E

【忠告】
朝ドラ『ばけばけ』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありませんが。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、妻・セツ夫妻の[史実]について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
 ※以下、敬称は部分的に使い分けをします。



「妻を助ける美談」ではなく、高給目当てで移住を決めた!?

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俳優・高石あかり(※高=はしごだか)さん主演でヒロイン・松野トキを、トミー・バストウさんがレフカダ・ヘブンを演じ、文豪ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と、妻・セツをモデルにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ばけばけ』(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)。

第20週『アンタ、ガタ、ドコサ。』では、主人公・トキと夫・ヘブンや家族らの熊本移住が描かれました。

移住理由は、トキが世間から「ラシャメン疑惑の騒動」で困っているのをヘブンが助ける「美談」となっていました。

そこで今回は、熊本移住を決意した小泉八雲が「愛する妻を助ける美談」ではなく金欠が理由で高給目当てで移住を決めたという[史実]をもとに記してみます。

きっと、「本編」では採用されない(と思います)エピソードを知ることに」なるので、より今作を深読みできると思います。


急転直下! 小泉八雲、松江離任の真相

小泉八雲が松江から熊本へ移った経緯は、単に寒さが厳しかったからとか、妻セツのためだけといった綺麗な理由だけでは説明しきれない。

史実をたどると、八雲が島根県を離れる決断をしたのは、驚くほど急な展開だった。

熊本行きが確定したのは明治24(1891)年10月上旬で、そのわずか1カ月後(同年11月15日)には松江を出発している。

当時は9月に新学期が始まったばかりで、契約も5カ月以上残っていたのだ。

現代の感覚でいえば、学期が始まってすぐに仕事を放り出すような、周囲にとって非常に困る行動だったといえる。


恩師を笑顔で送り出した松江の人々の本音

それほど強引な退職だったにもかかわらず、松江の人々が八雲を責めたという記録は見当たらない

これには当時の学校の格付けが大きく関係している。

八雲が次に赴任する熊本の第五高等中学校は、卒業すれば試験なしで帝国大学へ進学できる超エリート校であり、一地方の中学校に過ぎない松江中学校とは立場が全く異なっていた。

さらに決定的なのは給料の差である。

松江での月給100円(現在の貨幣価値でおおよそ30万~50万円前後)に対し、熊本では2倍の200円(現在の貨幣価値でおおよそ60万~100万円前後)という破格の条件が提示されていた。

これほどの出世と高給を前にしては、引き留めること自体が野暮であり、円満に送り出すのが最も賢い選択だったというのが当時の実情である。


驚くほどお金に無頓着だった八雲の金銭感覚

当時、松江で月給100円といえば、家族を持つ他の教師が45円ほどで十分に暮らせていた時代において、かなりの高額である。

それなのに、なぜ八雲はさらに高い給料を求めて熊本へ向かったのか?

その背景には、彼の極端にルーズなお金の使い方がある。

妻のセツは、八雲がいかに金銭管理に疎かったかを次のように回想している。


その宿に行ってみると、二人は海に出かけていて留守だった。お金は靴下の中に突っ込んだまま放り出されており、中から銀貨や紙幣がはみ出していた。夫は生まれつきお金にこだわらない性格で、その様子はとてもおかしなものだった。勘定も苦手で、そうした世渡りの才能は全く持ち合わせていなかった。

 ※出典:小泉節子「思い出の記」『小泉八雲』恒文社 1976年所収


妻セツが面白がった夫の「世俗に疎い」才能

靴下からお金がこぼれていても気にしない八雲の姿を、セツは怒るどころか、どこか楽しそうに語っている。

彼女は夫に「俗才」、つまり世の中でうまく立ち回るための計算高さがないことを、むしろ彼の特別な個性として受け入れていた。

八雲の浪費癖は筋金入りで、東京へ移ってからも美術品の展示会へ行けば、セツが値段の高さを心配してブレーキをかけようとしても、全く耳を貸さなかったようである。


「あなた、あの絵をどう思いますか」と夫が聞くので、私は「値段が高すぎますね」と答えた。お金のことを考えずに買おうとするのを恐れて、そう返事をした。すると夫は「いいえ、お金の話をしているのではない。絵の話だ。あなたは良いと思うか」と言い、「美しい、良い絵だと思う」と私が答えると、「あなたが良いと思うなら買おう。この値段はまだ安い。もっと多く支払おう」と言い出した。気に入ると、提示された価格よりもたくさんのお金を払いたがった。

 ※出典:小泉節子「思い出の記」『小泉八雲』恒文社 1976年所収


現代の「推し活」にも通じる八雲の独特な購入術

八雲の買い物の仕方は、非常に巧妙である。

彼は「買っていいか」と許可を求めるのではなく、「どう思うか」と感想を聞く。

相手が良いと言った瞬間に、それを購入の正当な理由にしてしまうのである。

さらに、定価よりも高い金額を払おうとする態度は、作品の真の価値を理解しているという自負の表れでもあった。

セツは後年、自分が「高い」と言って反対したにもかかわらず、夫が勝手に買い物を進めた様子を弁明するように書き残しているが、そこには深い愛情とあきらめが混ざり合っている。


夫婦漫才のような掛け合いと三十反の浴衣事件

二人の関係は、まるでボケとツッコミが確立された夫婦漫才のようであった。

ある時、呉服屋へ行った八雲は、セツが止めるのも聞かずに大量の浴衣を買い込もうとした。


あれもこれも買おうと言って、品物を引き寄せる。そんなにたくさんは必要ないと言っても、「でも、たったの1円数十銭だ。いろいろな浴衣を着てほしい。見ているだけでも楽しい」と言って、結局三十反(約三十着分)も購入し、店の店員を驚かせたこともある。

※出典:小泉節子「思い出の記」『小泉八雲』恒文社 1976年所収

八雲は単価が安いことを理由に大量買いを正当化し、さらに「君のために買うのだから」という理屈でセツを押し切ったのだ。

彼は学生に自腹で本を贈るなど、あればあるだけ使ってしまう性格であり、アメリカ時代の極貧生活の反動もあって、入ってきたお金を使い切ることで満足感を得ていたようである。


200円の誘惑と最後まで揺るがなかった夫婦の絆

このように、常に財布が空になるまで散財し、その上でセツの大家族まで養おうとしていた八雲にとって、熊本からの「月給200円」というオファーは、喉から手が出るほど欲しいものだったに違いない。

彼の無計画なまでの楽天性と、苦労を重ねてきたセツの包容力が見事に噛み合っていたからこそ、この夫婦は最後まで円満でいられた。

八雲がこの世を去ったとき、遺産はほとんど残っていなかったというが、お金に振り回されながらも笑いの絶えない日々を過ごした彼にとって、それは一つの幸せな形の結末だったと言える。


あとがき

小泉八雲という人物が、単なる高潔な文豪という枠に収まらず、非常に人間味あふれる魅力的なキャラクターであったことがよく分かりました。

特に、お金に無頓着な八雲と、それを「俗才がない」と肯定的に捉えて寄り添ったセツさんの関係性は、現代の私たちが見ても非常に理想的なパートナーシップだと感じます。

朝ドラ『ばけばけ』でこのエピソードがどのように描かれるのか、二人の賑やかな共同生活を想像すると、今から放送がとても楽しみになりますね。

ドラマで描かれるフィクションの奥に、こうした史実を知ることで、物語がより深く、温かく感じられると思います。

読者の皆様の “ドラマを楽しむ” ためのお役に立てれば幸いです。


参考・出展

『小泉セツとハーンの物語: ー小泉八雲「怪談」誕生のひみつー』三成清香(著)少年写真新聞社 新窓で開きます
『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』工藤美代子(著)毎日新聞出版 新窓で開きます
『ヘルンとセツ』田淵久美子(著)NHK出版 新窓で開きます
『セツと八雲』小泉凡(著)朝日新聞出版 新窓で開きます
『小泉八雲とその妻セツ 古き良き「日本の面影」を世界に届けた夫婦の物語』青山誠(著)KADOKAWA 新窓で開きます
『面白すぎて誰かに話したくなる 小泉八雲とセツ』伊藤賀一(著)リベラル社 新窓で開きます『八雲の妻:小泉セツの生涯』長谷川洋二(著)今井書店 新窓で開きます
『小泉八雲と妖怪』小泉凡著(著)玉川大学出版部 新窓で開きます
『怪談・骨董』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『日本瞥見記(上・下)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『東の国から・心)』小泉八雲(著)・平井呈一(訳)恒文社 新窓で開きます
『思ひ出の記』小泉節子(著)・小泉八雲記念館(監修)ハーベスト出版 新窓で開きます
『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』NHK出版(編)NHK出版 新窓で開きます
『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』櫻庭由紀子(著)内外出版社 新窓で開きます
■「詳述年表ラフカディオ・ハーン伝」板東浩司(著)英潮社
■「小泉八雲: 思い出の記・父八雲を憶う」小泉節子,小泉一雄(著)恒文社
■https://archive.org/details/kottojapanese00hearrich KOTTO
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.79571/page/n13/mode/2up KWAIDAN
■https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.45846/page/n11/mode/2up Out Of The East
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami0lhear Glimpses of unfamiliar Japan vol.1
■https://archive.org/details/glimpsesofunfami02hear Glimpses of unfamiliar Japan vol.2
■「松江に於ける八雲の私生活」桑原羊次郎(著)山陰新報社
『ラフカディオ・ハ-ンのアメリカ時代』エドワード・ラロク ティンカー(著)木村勝造(訳)ミネルヴァ書房 新窓で開きます
■『小泉八雲事典』平川祐弘(監修)恒文社
『夢の途上: ラフカディオ・ハーンの生涯〈アメリカ編〉』工藤美代子(著)集英社 新窓で開きます
『評伝ラフカディオ・ハーン』E.スティーヴンスン(箸)遠田勝(訳)恒文社 新窓で開きます
『小泉八雲 日本を見つめる西洋の眼差し』筑摩書房編集部(箸) 新窓で開きます
『明治時代の人生相談』山田邦紀(著)幻冬舎 新窓で開きます
■富田旅館の証言(国立国会図書館サーチ〈NDLサーチ〉 新窓で開きます
レファレンス協同データベース 新窓で開きます
島根郷土資料刊行会編「西田千太郎日記」 新窓で開きます
国立国会図書館蔵書「小泉八雲全集 第1-17巻」 新窓で開きます
名古屋大学「人事興信録」データベース 新窓で開きます
書陵部所蔵資料目録・画像公開システム - 宮内庁 新窓で開きます
『父小泉八雲』小泉一雄(箸)小山書店 新窓で開きます
『小泉八雲「見えない日本」を見た人』畑中章宏(著)光文社新書 新窓で開きます
『ラフカディオ・ハーン-異文化体験の果てに』牧野陽子(著)中公新書 新窓で開きます
『さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション』小泉八雲(著)、池田雅之(編)ちくま文庫 新窓で開きます
『小泉八雲と松江―異色の文人に関する一論考』池野誠(著)島根出版文化協会 新窓で開きます



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連続テレビ小説「ばけばけ」

NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『ばけばけ』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)Instagram

第95回第19週『ワカレル、シマス。』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。


ヘブン(トミー・バストウ)の本当の思いを知ったトキ(髙石あかり)は、松江を離れ、熊本に行くことを決意する。それから数日、トキとヘブンは松江の人々へ別れの準備を進める。トキは長屋を訪れサワ(円井わん)との別れの時間を過ごす。一方、錦織(吉沢亮)、庄田(濱正悟)が見守る中、ヘブンは中学校で生徒たちに松江を離れることを告げる。激しく動揺する生徒たちに、庄田からさらに驚きの知らせが告げられる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------


原作:なし
脚本:ふじきみつ彦(過去作/バイプレイヤーズ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記)
演出:村橋直樹(過去作/まれ,透明なゆりかご,サギデカ) 第1,2,5,7,13,14,19
   泉並敬眞(過去作/スカーレット,カムカムエブリバディ,ブギウギ) 第3,6,9,12,15,18
   松岡一史(過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,カムカムエブリバディ) 第4,8,10,16
   小島東洋(過去作/『ばけばけ』助監督) 第11
   小林直毅(過去作/『ばけばけ』助監督) 第17
制作統括:橋爪國臣(過去作/青天を衝け,あなたのブツが、ここに,ブギウギ)
音楽:牛尾憲輔(過去作/チェンソーマン,僕の心のヤバイやつ,ダンダダン)
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション:北郷美穂子(NHK大阪アナウンサー)
副音声解説:山崎健太郎(過去作/舞いあがれ!,らんまん,ブギウギ,虎に翼,おむすび)
副音声日本語吹替:西地修哉(ヘブン担当)、木村はるか(リヨ担当)
タイトル写真:川島小鳥(過去作/未来ちゃん,SHISHAMOアートワーク)
タイトルロゴ:西沢和樹(instagram.com/nishizawa_k/)
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、川野秀昭、田中陽児|美術:山内浩幹、淀裕矢、向理沙、有本弘|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、毛尾喜泰|技術:増田徹、備中正幸、酒井俊史|音響効果:松本有加、巽浩悦、吉田直矢|撮影:岩崎亮、関照男|照明:根来伴承、大西弘憲、武井美晴|音声:吉竹淳樹、稲垣雄二、大成友二、安河内裕斗|映像技術:前田惇徳、原幸介、山下健、若嶋なな|カラーグレーディング:原幸介、前田惇徳、山下健、日野維乃、若嶋なな|VFX:西垣友貴、神戸大樹、山田茂人、北島規、北島規、眞弓敬司|CG:大西智子、空閑卓海、古市百人、佐藤望、田邊亮哉、大関聡|美術進行:澤幸樹、嶋原広起、大塚良子、厚朴美沙子、毛尾喜泰|装置:佐藤千織、坂口大吾、山中宏華、澤井洸、平松康、吉田隆広、布川紗生、大島櫻子|装飾:津村政幸、横田浩之、長洲史、横田浩之、高浪隆史、三好勇作、石井千尋|特殊効果:奥村陵、宮崎真有|衣装:横山智和、中村みのり、鍛元美佐子、横山智和、鍛本美佐子|メイク:堀洋子、正田早百合、秋山直美、櫻井安里紗|持道具:楠正由貴、森上陽子|かつら:松本誠也、丹波峯子、山崎浩彦、栗野洋子|特殊メイク:江川悦子、権田日和|特殊メイク協力:荒井律子、大谷美咲、山埼佳子|助監督:小林直毅、小島東洋、田中陽児、早川俊介、岡本拓大、後藤怜亜、大野陽平、小峰陸矢、上野香織、佐伯木乃実、畝岡歩未、増田愛海、野曾原明香|制作担当:木村晴治、長岡しのぶ、本田良太、森岡あゆみ、片山哲治、斎藤明日香、竹本航、徳岡美紀、奥山温子|取材:川野秀昭、鈴木航|編集:藤澤加奈子|記録:木本裕美|時代・風俗考証:刑部芳則|松江風俗考証:藤岡大拙|出雲ことば指導:多々納斉、松島彩|所作指導:藤間豊宏|料理指導:広里貴子|英語指導:塩屋孔章、ネイサン・ベリー、米倉リエナ|英字指導:前田祐加|眼科指導:大路正人、川村肇|怪談ばなし指導:玉田玉秀斎|茶道指導:有澤一男|三味線指導(タエ):菊央雄司|三味線指導(遊郭):長江浩子|アクション指導:中村健人|日本画指導:諫山恵実|絵画指導:苅谷昌江|華道指導:神前光園|造園:堤正和、宮崎昭徳|書道指導:今口鷲外
※敬称略




冒頭から面白いアングルと構図

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私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

今回も、今週の演出担当である本作チーフ監督・村橋直樹氏の演出術について書いてみる。

冒頭から面白いアングルと構図があった。

冒頭、長屋を訪れたトキ(高石あかり※高=はしごだか)とサワ(円井わん)のカットでは、カメラはしゃがんだサワの目線の低い位置から、中央の狭いエリアに二人を配置して全体を捉えている。


朝ドラ ばけばけ
©NHK

次のカットのカメラは長屋の二階に据えて、上からトキとサワを捉える構図だが、「別れを惜しむ二人」の場面だから、カメラ手前に格子戸を置いて、トキとサワを異なる「枠」に収めることで、二人の立場の違いを映像で表現している。


朝ドラ ばけばけ
©NHK

で、ここで注目するのは、画面にある「白い手拭い」だ。

るのだ。

もちろん、近景をサワ、遠景をトキとすれば、手拭いは中景となって、立体感を生み出して両方のカットにさりげなく「白い手拭い」を映り込ませることで、カメラの角度が全く違う二つのカットが連続しているように見せる役割も果たしている。

何気ない二つのカットだが、よく考えられていると思う。

それにしても、「熊本」と「川のあっち側」を擬人化して、お互いの親友にエールを送るというのは、これまた面白い脚本のアイデアだ。


シーン頭のカメラを「校外」「屋外」の設定にすると

メインタイトル映像明けも興味深いカットで始まった。

いつも書くことだが、シーン(場面)が変わった最初のカットは、できるだけ「5W1H」が分かるようにするべきだ(と思っている)。
 ※「5W1H」とは、英語の6つの疑問詞の頭文字を使って、物事を分かりやすく伝えたり、調べたりするときの考え方のひとつ。

その意味では、このカットだけでは完全に「5W1H」の全てが分かるわけではないが、学校での始業前で、長袖、厚手の服を着る季節で、天気が良い日でないことは分かる。

小さな情報だが、映像で提示すべきテレビドラマとしては、「情報が見て分かる」のは実は大切なことなのだ。


朝ドラ ばけばけ
©NHK

そして、私があえてこのカットに注目したのは、カメラが「屋外」にある「設定」で撮影されていることだ。

一般的に考えると、「学校で雨が降っている」を映像化したい場合、カメラは廊下にあって、その廊下沿いの窓ガラスに雨が当たっている情景を作ると思う。

そうすれば、撮影する場所を「校内」だけにすることができるからだ。

しかし、今回のようにカメラを「校外」「屋外」の設定にすると、この直前(メインタイトル映像前)が「屋外のシーン」だったから、映像的に馴染むのだ。

そう、メインタイトル映像明けに、唐突に屋内のシーンにならないで済むのだ。

細かいことだが、「ほぼ全編がスタジオセット撮影」である本作だからこそ、映像劇な閉塞感を排除する目的でも「屋外風に見せる」のは有効な作戦なのだ。


「次第に強まる雨、雨音」には、どんな効果があるのか?

ついに、ヘブン(トミー・バストウ)が松江を離れること、庄田(濱正悟)が次期校長になること、錦織(吉沢亮)のつらい真実が、生徒たちに告げられた。

である。この場面で印象的なのは「次第に強まる雨、雨音」

映像表現において「雨」「雨音」にはたくさんの役割がある。

今回で使われた「次第に強まる雨、雨音」には、どんな効果があったのか?

一つは「感情・心理の可視化」である。
登場人物の孤独、不安、悲しみ、葛藤などの “内面の揺れ” を外側に自然現象として示すと同時に、心情の重さや沈み込みを、雨の湿度や暗さで補強する効果があった。

二つ目は「空気感・世界観の演出」だ。
静かな雨は “内省的” “停滞” “静謐”といったムードをつくるし、雨音はリズムとして働き、シーンのテンポや緊張感を調整する。

三つめは「物語の転換点の予兆」だ。
雨は「変化の前触れ」として使われることが多く、物語の節目を示す象徴として機能する今回では、これらすべての効果を期待して、演出として「雨を降らせた」だろうし、しかも「屋外設定」にすることで、強調したのだ。

また、「次第に強まる雨、雨音」には、人物の感情が “抑えきれず膨らんでいく” 様子を外的に示したり、物語がクライマックスへ向かうことを視覚・聴覚的に強調するし、小雨→土砂降りという変化は、物語が “後戻りできない段階” に入ったことを象徴する。

今回では、これらすべての効果を期待して、演出として「雨を降らせた」だろうし、しかも「屋外設定」にすることで、強調したのだ。

そして、ある意味で、冒頭に提示した「窓に当たる雨のアップ」がネタ振りであり、その後が “回収” になって、エピソードとして固まり感の創出に成功したと思う。


「明治24年11月15日」なる日付テロップについて

さて、本作では誠に珍しく「明治24年11月15日」なる日付テロップが入った。

ちなみに、(興味がない人もいるでしょうあ)[史実]では、熊本到着日は 1891年(明治24)11月19日だ。

これは、『小泉八雲全集』(第一巻・年譜)、『小泉八雲伝』(平川祐弘)、『ヘルン先生の松江日記』 などで 「11月19日、熊本着」 と明記されている事実である。

そして、当時の交通事情(松江→宍道→三次→可部→呉→船で門司→鉄道で熊本)を考慮して「4~5日間」が旅行期間であると考えられており。

主要な説は「11月15日、松江出発」となっている。

というわけで、「なぜ、ここだけ史実に寄せるの?」「わざわざ明記するの?」とは思う(引っ越し期間は描かないと思うので)。

しかし、これまた[史実]を紐解けば、錦織のモデル「西田千太郎」は生まれつき体が弱く、八雲と一緒に仕事をしていた時期から、すでに結核という重い病と闘っており、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が松江を出発する際も体調が優れずに見送りに行けなかったのは、本作のとおりであり。

ハーンの人柄を慕っていた200人を超える教え子たちが、早朝から自宅の門の前に集まり、恩師との別れを惜しんだり。

船着き場では、彼らの熱烈な「万歳」の声が響き渡る中で船出を迎えたのも、ほぼ本作の描写のとおりだった(と思う)。

もちろん、ハーンと西田の交流も、熊本時代以降も続いたのである。


ここ数週間、ヘブンのバディがトキではなく錦織だから

ラストの「虫の音」が悲しく響いたわけだが。

掛け値なしで書けば、やはり「もっともっと、トキとヘブン、トキと知り合いとの別れを見たかった」となるし。

別れだけなく、「生まれ親しんだ松江を離れる決意をする主人公としてのトキを見たかった」のが正直なところだ。

そう感じさせる最大の原因は「物語を錦織主導にしすぎ」だからである。

あえて厳しく書くなら、「錦織が動くから、物語が動く」が第一で、第二に「ヘブンが動くから、物語が動く」となって、肝心の「トキが物語をけん引する」が最弱化しているから、《ほぼトキ不在》で物語が進行して見えるのだ。

まあ、こういっては何だが、ここ数週間の描写では、ヘブンのバディが‘トキ’ではなく‘錦織’に仕立てられているからしょうがない。

できれば、ヘブンが熊本移住で悩んでいる際に‘トキ’がよき相談相手して描いてほしかったのに、そこをやらずに言い合いばかりになったのが《ほぼトキ不在》の元凶だろう。

まあ、前回でタエ(北川景子)や勘右衛門(小日向文世)たちから、「トキが周囲の人に相談しにくい状況下だった」ことは言及があるので、ある意味で《トキは蚊帳の外状態》なのは、好意的に脳内補完はできるが。

それでも、「もう少しトキを描いてほしかった」というのは残るが。


あとがき

少し厳しいことも書きましたけど、先々週から比べたら次第に良くなっているとは思います。

ただ、やっぱり、できれば、もっと、「主人公のトキを描いてほしい」とは思いますね。

それと、また封印状態に入ってしまった「怪談」も、ぼちぼち描いてほしいです。

でもこれで、しばらくは錦織が何かと登場するのは減ると思いますので、コミカル&シリアスなホームドラマが戻るのに期待します。

で、明日の「ダイジェスト版」ですけど、このまま編集したら、《ほぼトキ不在》になるので、お手並み拝見です。


厳選『ばけばけ』で描かれない秘話の解説リンク集
●八雲×セツ「万物に霊が宿るアニミズム思想」 → こちら 新窓で開きます
●三之丞(板垣李光人)モデル“静かなる光” → こちら 新窓で開きます
●錦織(吉沢亮)モデル“八雲+セツとの友情” → こちら 新窓で開きます
●妾か女中か?“八雲が求めた女中の条件” → こちら 新窓で開きます
八雲はモラハラ夫?“繊細で偏屈な素顔” → こちら 新窓で開きます
●八雲先生が"英語"で伝えた日本の文化 → こちら 新窓で開きます
"禁じられた結婚"とセツ・マティの共鳴 → こちら 新窓で開きます
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フリーランスのホテル宴会(婚礼含む)&映像ディレクター"みっきー"が、テレビ、映画、CM、ディズニー、音楽などエンターテインメント全般の感想を綴ります。愛するが故に、記事により毒を吐きますがご勘弁を。


  • 管理人 自己紹介
【ハンドルネーム】
みっきー
【性別】
男性
【職業】
宴会/映像ディレクター(フリーランス)
【自己紹介】
東京下町生まれ千葉県在住。
ホテル音響照明映像会社を経て、2001年独立。
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映像コンテンツ等の演出を手掛ける。
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