連続テレビ小説「おちょやん」 （第21週/土曜日版・2021/5/1） 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』（公式サイト）
第21週『竹井千代と申します』の 『土曜日版』の感想。


※ 本作は、2021/04/14 にクランクアップ（撮影終了）しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を

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千代（杉咲花）が道頓堀からいなくなってから、1年が過ぎた。その頃、NHK大阪では、「お父さんはお人好し」というラジオドラマの企画会議が開かれていた。脚本家の長澤（生瀬勝久）は、お母さん役に全国的に有名な女優にやってもらいたいと考えていた。しかし、お父さん役の花車当郎（塚地武雅）が、竹井千代に自分の相手役をやってほしいと強く主張していた。そのため、NHK大阪のスタッフは千代を捜索することにする。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---

冒頭の「今週で描きたかったことを一言でいうと」が変

「一平君と別れた千代ちゃんに 新たな出会いが訪れます」だそうだ。土曜日版での冒頭の「今週で描きたかったことを一言でいうと」みたいな文章。もう、既に迷走しているのがわかる。だって、「一平君と別れた千代ちゃんに 新たな出会いが訪れます」となったら、普通は、「新たな出会い＝好きになる人」と、ならないだろうか。

だから、正しくは、「一平君と別れた千代ちゃんが 女優として復活します」でないのかと。なんか、こんなところにも、本作が雑になっているのが見えるのが辛い…

当郎の「お帰り」に、千代は「昔飼うてた ヒキガエルさん…」では?

今週は、感想で何回こう言っただろうか？ どうでも良いことだが。今回は、本編でも気になっていたが触れていなかった、どうでも良いことを一つ。なぜなら、「土曜日版」で強調して編集されていたから、スルーしてしまうわけにはいかなくなったのだ。

それは、初めて千代（杉咲花）の家に花車当郎（塚地武雅）が訪ねて来る場面でのこと。当郎は客人なのに、芸人らしく、更に親しみを込めて「お帰り」と、千代を出迎えた。しかし、千代は「花車さん…」と答える。確かに、この時点での千代は女優業を廃業している設定だ。

でも、「土曜日版」でも放送された防空壕のシーンでは、スッと喜劇女優魂が出て、当郎と即興漫才をやった。あれで（賛否両論あったが）、少なくとも、千代が喜劇女優らしく見えたのだ。だから、今回だって、当郎の「お帰り」を受けて、千代は<「昔飼（こ）うてた ヒキガエルさん…」と言うべきだったのでは？

そうすれば、千代が女優魂を封印していても、“つい出てしまう” 感じが出るし、「三つ子の魂百まで」的な “機転が利く千代” を描けたと思う。ハイ、どうでも良いことだが（苦笑）

千代の人生の転機には、必ず千代を叱咤激励する脇役が出現する

今週で最大級の致命傷は何か？ それは、脚本家の長澤（生瀬勝久）の存在を徹底的に強調しなかったこと。これに尽きる。覚えている人も多いはずだ。千代の人生の転機には、必ず千代を叱咤激励する脇役が出現する。簡単に列記すると、ざっとこんな感じだ。

●千代の最初の師匠、京都の「山村千鳥一座」の女座長・山村千鳥（若村麻由美）
●千代が働いていたカフェー 「キネマ」の店主（監督）の宮元潔（西村和彦）
●千代の憧れの女優、高城百合子（井川遥）
●「鶴亀撮影所」所長の片金平八（六角精児）
●芝居茶屋「岡安」の女将、岡田シズ（篠原涼子）
●宗助（名倉潤）は、少々薄めだが…
●みつえ（東野絢香）
●芝居茶屋「岡安」の先代女将でシズの母、ハナ（宮田圭子）
●老舗芝居茶屋「福富」の女将・富川菊（いしのようこ）
●一平の母・夕（板谷由夏）も、入れても良いかも知れない。

名前を見れば、何となく千代の転機に現れて、千代に（いろいろな意味で）叱咤激励をしてくれたのを思い出すと思う。しかし、離婚後になってから、その役割の人がいない。栗子（宮澤エマ）は、どちらかと言うと、千代におんぶに抱っこ派。当郎は、どちらかと言えば、一度切りの共演者ってだけ。

脚本家の長澤を､千代の叱咤激励役として強調すべきだった!

しかし、脚本家の長澤は違う。「土曜日版」でも、こんな印象的な台詞が残っていた。

長澤「生きていれば 人生 おもろいことが起きるんやて
　　　諦めたらあかんのやて 教えてやりたい」

もちろん、この台詞は、劇中では、戦争で家族を亡くした多くの子どもたちに長澤が、この度のラジオドラマを通して伝えたいテーマとしての台詞だ。でも、結果的に、この長澤の言葉が、千代への叱咤激励になって、千代は喜劇女優として再起する。

だったら、栗子がどうのこうのを描く暇に、まず、長澤がどうしてこの作品を今作りたいのか？ そのためにどんな声優（女優）が必要なのか？ そう言う作り手としての信念みたいな部分をきっちりと描いて、月曜日中に、「長澤＝今週のキーパーソン」に誰の目にも映るようにするべきだった。

しかし、下手な演出のお陰で、「栗子と当郎＝今週のキーパーソンズ」に作ってしまった。完全な演出の失敗だ。もちろん、その前に脚本が大失敗していることは間違いないが。ここさえ間違えなければ、先述の長澤の台詞が、本作そのもののテーマに成りえたし、今後の展開（最終回までの物語）も、「生きていれば」を貫くだけで、ドラマになったと思う。残念…

あとがき

来週は、ラジオドラマだけで終わりそうですね。千代のモデルとなっている浪花千栄子さんの女優人生を知っていれば、むしろ、映画での活躍を描いて欲しかったです。一平なんて、どうでも良いので。さっ、皆さん、いよいよ残り2週。気を入れずに見守りましょう。

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【これまでの感想】

第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや～』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん　よいお年を！』
第5週『女優になります』
21 22 23 24 25 土
第6週『楽しい冒険つづけよう！』
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第7週『好きになれてよかった』
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第8週『あんたにうちの何がわかんねん！』
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第11週『親は子の幸せを願うもんやろ？』
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第18週『うちの原点だす』
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第19週『その名も、鶴亀新喜劇や』
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