NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『風、薫る』
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第95回/第19週『黎明(れいめい)の翼』の感想。
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感染が収束したことを喜ぶりん(見上愛)と直美(上坂樹里)。直美は、派出看護婦会がうまくいっておらず、本当はりんの様子を見に新潟にやって来たと本音を漏らす。二人の様子を見て状況を知った黒川(平埜生成)から、りんに意外な提案があって…
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4,8,11,12,19週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2,6,10,18週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,おむすび) 第5,9,13,17週
松本仁志(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。) 第3,7,14,15週
内田貴史(過去作/ちむどんどん) 第16週
制作統括:松園武大(過去作/とと姉ちゃん,半分、青い。,ちむどんどん)
宮本えり子(過去作/なつぞら,エール)
音楽:野見祐二(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「風と町」
語り(本編):研ナオコ
土曜日版ナレーション:石橋亜沙(NHK東京アナウンス室)
※敬称略
主人公の心の成長をしっかり描く大切さ
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―――ここまで、ごあいさつ―――
連続ドラマにおいて、登場人物どうしの信頼関係や主人公の献身的な看護を描く際、画面上の表現が不十分だと視聴者にその情熱が届きにくくなる。
特に、ダブル主人公の一人である一ノ瀬りん(見上愛)が避病院で患者に向き合う過程や心を通わせる日常が省略されがちになると、劇的な台詞だけが浮いて聞こえてしまうのだ。
本来であれば、看護の具体的な苦労や細やかな看病の積み重ねがあってこそ、患者や周囲の人々との深い結びつきが生まれるはずである。
しかし本作では、そうした基礎となる生活描写が非常に不足していたため、‘りん’の奮闘ぶりが画面から十分に伝わってこない。
もちろん、脚本家や演出家や制作統括は、‘りん’の《患者に触れると震える手》が “震えなくなった” という映像表現で、‘りん’の奮闘ぶりを描いたつもりなのだろう。
好意的な脳内補完を無意識にやっている視聴者も、‘りん’ともう一人の主人公である大家直美(上坂樹里)と共に涙したころだろう。
しかし、この程度の描写では、結果として、‘りん’が口にする力強い言葉や感動的なやりとりが、上滑りしているような印象を与えるのだ。
「看護」という、本作の物語の最重要な要素であるからこそ、表面的な言葉やニュアンスで逃げずに、日々の地道な関わり合いをていねいに描く姿勢が求められたと思う。
人物同士のつながりを丁寧に描くことの大切さ
‘りん’と医師の黒川(平埜生成)との関係性についても、唐突な展開が目立ち、物語のつながりに対する不自然さが残る。
きっと、好意的な脳内補完を無意識にやっている視聴者は、「黒川先生、グッジョブ」「りん、よかったね」と胸をなでおろしたころであろう。
しかし、本来、重要な仕事を依頼するほどの深い信頼関係を築くには、それ相応の過去のエピソードや交流の過程が必要不可欠だ。
でも、本作の劇中ではそうした事前の一節が省略されているため、なぜ黒川医師が‘りん’に自身の病院での看護婦育成の助力を求めたのかという根拠が希薄に感じられた。
このような説明不足な展開が繰り返されると、冷静に見ている視聴者は登場人物たちの心理的距離感を測りかねて混乱してしまう。
つまり、本作全編を通して《人物関係の掘り下げが浅いまま進行する》ため、《物語としての整合性が保てなくなっている》のである。
脚本家や演出家や制作統括の意図を前向きに解釈しようとしても、積み重ねの薄さから来る違和感を拭い去ることは難しいのだ。
本筋から外れた場面を減らしてドラマの核を見せる
今さら書くまでもないが、本作の劇中では〈本来重点を置くべきでない周辺の些細な出来事〉に、多くの時間が割かれている場面が目立つ。
たとえば、赤痢患者だったアサ(美山加恋)とアサの息子・長太郎(渋谷そらじ)からの感謝のシーンなんて、あんなに長尺は必要なかろう。
また、高越女学校の校長・望月勘治(関智一)や女学生の久(近藤華)の母・サワ(磯山さやか)との細かな世間話などが、過剰に長く挿入されていた。
こうした謝意や状況説明は、短いセリフやシンプルな演出だけで十分に伝えることが可能である。
それこそ、長太郎はひと言「ありがとう」で済むし。
望月校長とのやり取りも、「新聞で読んで知っている」、「(地元の名士である)黒川さんから聞きました」と言えば済む。
むしろ、(あまり、‘りん’が推した印象はないが)学生たちからの真心のこもった見送りや応援の言葉を端的に描くほうが、場面としてのまとまりと感動が生まれたのでは?
周辺人物とのやりとりを冗長に描くことで、肝心の主人公たちの動きや看護の場面が削られてしまうのは本末転倒である。
脚本と演出の焦点をどこに合わせるかを整理しないと、本当に伝えるべきドラマの核が霞んでしまう。
要するに、今回の全てが《目に余る箇条書き》だったということだ。
途中の経過を丁寧に描くことで物語に感動が生まれる
本作の「物語全体を組み立てる枠組み」において、出来事が発展していく途中の経過を描く段階が極めて脆弱であることが最大の課題である。
導入部分に時間を費やしすぎる一方で、事態が深まっていく途中の変化や展開の描き込みが不足している。
そのため、状況が大きく動く局面へのつながりが不自然になり、物語の大きな山場としての迫力や劇的な変化が生まれない。
最後の締めくくりだけは形式的に整えられていても、途中の道のりが抜け落ちているため、視聴者の心に響く大きな感動には繋がらないのだ。
事前の準備や途中の過程をどれほど丁寧に示すかによって、最後の結末が持つ重みや説得力は大きく変化する。
つまり、全体の時間配分を見誤り、もっとも大切な経過部分を軽視してしまったことが、作品全体の盛り上がりを欠く原因となっているのだ。
大切な場面に集中することで作品の魅力が大きく高まる
作品の質を大きく向上させるためには、物語の軸となる「起承転結」の「承」の部分に徹底して時間を割く構成へと変える必要がある。
逆に、事件の発端や登場人物の依頼といった「起」の場面は、必要最小限の短い台詞や説明にとどめて迅速に通過すべきである。
それこそ、途中で差し挟まれた「村人たちとの細かな騒動や移動の場面など」を大幅に短縮すれば、重要な「看護の描写」に十分な時間を確保できる。
やはり、主人公の‘りん’が患者と向き合い、試行錯誤しながら看病を続ける日常をしっかりと描くことで、初めて物語に深い説得力が宿るのだ。
要点となる過程さえ丁寧に積み重ねれば、結末に向けた展開や感情の動きは短い描写でも鮮やかに際立つのだ。
編集段階で不要なエピソードを削り取り、描くべき場面に焦点を絞り込むことこそが、作品の魅力を最大限に引き出す解決策となるはずである。
あとがき
褒める点があるとすれば、前回で本作は《芝居の “間合い” が乏しい》と書きましたが、今回のアバンタイトルでは、想像以上に “間合い” を使っていたと思います。
逆に、上記以外に気になったのが(重箱の隅ですけれど)、‘りん’の部屋での女学生たちとの物理的な距離感が近すぎることで、女学生たちはあと20センチは下がったほうが自然に見えたと思います。
©NHK
また、‘りん’なしで、直美が一年間で恵風看護婦会を立て直せるなら、‘りん’を新潟から引っ張ってくる必要はないのでは???
とにかく、この「第95回」だけでなく、数週間にわたる「新潟編」の全編が《見事な箇条書き》で終始してしまったと感じます。
その理由も簡単で、つまり《‘看護’そのものを描かない》からです!
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りん(見上愛)、直美(上坂樹里)、黒川(平埜生成)らの思いが通じて、村人たちは少しずつ理解を示し始める。しかし、アサ(美山加恋)の容体がなかなか改善しなかった。長太郎(渋谷そらじ)を見かけた直美はその様子が気にかかり…
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演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4,8,11,12,19週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2,6,10,18週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,おむすび) 第5,9,13,17週
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語り(本編):研ナオコ
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急展開とダイジェスト描写で置いてけぼり? 視聴者の困惑とモヤモヤを徹底分析
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今回は、こんな、久しぶりの占い師・真風(研ナオコ)の語りから始まった。
真風(N)「アサの入院から1週間。
容体は よくなる兆しも見えず…」
で、この直後の「病床のアサ(美山加恋)」後の、ダブル主人公の一人である一ノ瀬りん(見上愛)と患者・弥平(水野智則)のやり取りはこんな感じ。
りん「経過よさそうですね」
弥平「痛みも引いてきたで」
これ、超好意的な脳内補完を活用すれば、「よくなる兆しが見えない」のはアサだけで、他の患者は「よくなってきた者もいる」と分かる。
メインタイトル映像を挟んだシーン間のやり取りならまだしも、ほぼ直結のシーンでやるのは配慮がなさすぎるのでは?
しかしも、語りを使ってアサが治療を受け始めてから1週間が経過したと言わせた。
折角、前回のラストで、これまで反発しかしていなかった「村民の女性たちが給仕の手伝いを申し出てきた」と描いたのに、その協力の様子は全部削除して、時間経過。
で、逆に、何の説明もなく、今度は村民の男性たちが急に協力的になった。
さらに、終盤では「1か月の時間経過」があった。
「本来は‘そこ’を描くのがドラマじゃないの!?」ということで、ちょうど良いタイミングなので、ぜひ昨夜に投稿した下記を読んでいただきたい。
これを読めば、先日、「なぜ、反対派の村民がクワで襲いかかったのか?」までもがスッキリすると思う。
というか、これを読んだほうが、「本編」を見るより断然に分かりやすいし、感動もできると思う。
朝ドラ『風、薫る』一ノ瀬りん(演・見上愛)のモチーフ・大関和が赤痢に挑む!偏見と恐怖を乗り越えた看護と感染対策の原点|ディレクターの目線blog
ポエム風なセリフにモヤモヤ! 丁寧すぎて不自然に感じる会話劇の違和感
メインタイトル映像明け、吉澤智子脚本がお得意の《ポエム風なやり取り》が炸裂である。
しかも、チーフ監督・佐々木善春氏の演出まで《ポエムをポエムに際立たせ》てしまった。
たしかに、ダブル主人公である一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が使う言葉自体は、難しすぎずシンプルであり、その点については評価できるかもしれない。
とにかく、私の基準では《丁寧を超えて、クドすぎる!》にか感じ取れなかった。
例えば、次の‘りん’のセリフなんて、クドいというか、現実ではありえないというか。
りん「私は あの時…
父に 戸越しで会えないままだった。 今なら
あの時の父の気持ちも分かるんだけど」
このセリフのどこがクドくて、あり得ないのか。
それは、一般的な〈気心知れた二人の会話〉として、「あの時」「父に(の)」と繰り返している点だ。
これ、フツーに考えれば、「今なら、感染した父の気持ちは分かるんだけど」だと思うのだ。
それを、必要以上に《ポエム風なやり取り》に作り込んだために、不自然な言い回しになったのだ。
言葉を削って「間」で魅せる! セリフに頼りすぎない演技の真骨頂
前章で取り上げたシーンには、もう一つの失敗がある。
それは、二人の芝居に、ほぼ “間” や “間合い” がない点だ。
ここ、前章で書いたように、‘りん’のセリフは本来であれば、「今なら… 分かるんだけど」だけで済む。
そして、このセリフの前後と、「今なら…」と「分かるんだけど」の間に “演技の間” を作るだけで、全てが伝わると思うのだ。
いいや、ドラマは《映像で見せて(show)魅せる(captivate)》ことだとすれば、余計な言葉を減らして、短い一言にとどめるほうが、登場人物の気持ちがより深く伝わるはずである。
セリフを減らして生まれた沈黙の時間、つまり、“間” を上手につくることで、俳優の細かい表情や演技をじっくり見せることができるからである。
つまり、言葉(セリフ)で説明し尽くさないからこそ、登場人物の強い感情が際立ち、見ている人の心に響く表現になるのだ。
「間」の使い方で大違い! 独特な雰囲気を生み出す演出テクニックの差
もっとも、あえて繰り返しの多い表現を使って独特の雰囲気を作り出す作品も存在する。
昔から一つの制作スタイルとして認められてきた手法であり、作品の個性として受け入れられることもある。
これらの評価される作品群は単にくどいだけでなく、言葉の合間に絶妙な沈黙の “間” を組み込むことで質の高さを保っている(とはいえる)。
逆に、一見すると似たような作風に見えるが、実はほぼ真逆な作風に位置するのが、例えば、ドラマ『silent』(フジ系・2022)や、現在放送中のドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系・2026)の脚本担当である生方美久氏の一連の作品群である。
これらの作品群は、巧みに “間” を利用するというよりも、とにかくあちこちに “間” を設け、言葉を繰り返すことで、「まるで、何かの意味があるかのような」錯覚に陥らせ、くせにさせる効用を発揮する。
このような作品を、当ブログでは《ニュアンスや技術を “逃げ” で使う》作品として、良くない作例の一つに挙げているが。
いずれにしても、最近のテレビドラマでは沈黙の “間” を活用する工夫が不足しており、単にセリフを連続して声に出しているだけのように聞こえてしまうことが、よくある。
ポエムを装うのであれば、もっと朗読劇の手法を勉強して、ドラマに取り入れる必要があると思う。
雑な展開も「間」の演出で変わる! セリフだけに頼らないドラマの魅力
今回の物語であるが、ストーリー全体の組み立てや急な話の展開には首をかしげる部分がある。
アバンで1週間飛ばし、終盤で1か月飛ばし。
それでも、セリフのやり取りにおいて沈黙の “間” を、意識して取り入れるだけで、受ける印象は大きく変わるはずである。
きっと、仕上がって現場に配布された脚本を変更するのは難しいだろう。
しかし、演出家の演技指導によって、字面だけが並ぶ脚本であっても、芝居によっていくらでも “間” を設ける演出ができるはずだ。
今回だって、‘りん’の「今なら父の気持ちが分かる」が、もっともっと印象的に残るような演出を施していれば、村民や村長のくだりなんて1秒、1フレームもなくたって、十分に “アサに心底から寄り添う‘りん’” が表現できたと思う。
そこの、直球勝負の脚本と演出を避けて、子役でのお涙頂戴やイケメンのスリーピース姿でお茶を濁すのは明らかに邪道である。
やはり、多くの要素を詰め込みがちな今どきの作品であっても、セリフを詰め込むだけでなく、;“間” を生かした丁寧な表現を行うことが大切である。
ことばの削ぎ落としと「間」で変わる! 深みのある作品を作るための提案
第一に、二人きりの会話シーンでは不必要な言葉の重複を削り、一言の重みを大切にする脚本の推敲が必要である。
第二に、俳優が言葉を発しない沈黙の 間“” をしっかり確保し、視線や表情で感情を表現する時間を映像の中に盛り込むことが効果的である。
第三に、アバンタイトルの語りに関しても、視聴者の想像に頼りすぎず、映像と語りだけで状況がすんなり伝わるような構成に整えることが望ましい。
これらの改善を行うことで、セリフだけに頼らない深みのあるドラマ表現が実現できる。
あとがき
しかし、日本橋の商店「瑞穂屋」 の店員・柳川文(内田慈)が病気の時は、間違いなく顔のアップだけでも病人に見えたが、アサは一向にだるくて横になっているだけにしか見え…(自粛)
まっ、「病気の重さが違うから」ってことにしておきます。
演出家によって、病状の描き方に違いがあるのもどうかと思いますけれど。
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【忠告】
NHK連続テレビ小説『風、薫る』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありません。
ですが、ダブル主人公「一ノ瀬りんと大家直美」のモチーフである「大関和と鈴木雅」の[史実]について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
※以下、敬称は部分的に使い分けをします。
大関和が新潟や関東の山村で赤痢の防疫活動に奔走する史実
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俳優・見上愛さんと上坂樹里さんがダブル主演を務め、見上さんが「大関和」がモチーフの「一ノ瀬りん」、上坂さんが「鈴木雅」がモチーフの「大家直美」を演じ、「日本近代看護の黎明期」を描くNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『風、薫る』(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)。
第19週『黎明(れいめい)の翼』では、新潟の地で、一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が伝染病の発生した村で、赤痢患者やその家族、村民に真っ向から向き合う姿が描かれています。
そこで今回は、一ノ瀬りんのモチーフとされている「大関和」が明治20年代(1880年代後半?1890年代)に新潟・上越にある知命堂病院で看護婦長となり、新潟や関東の山村で赤痢の防疫活動に赴くあたりの運命的な人生についての[史実]を記してみます。
きっと、「本編」では採用されない(と思います)エピソードを知ることになるので、より今作を深読みできると思います。
第1章:病気に挑んだ一人の看護婦
NHKの朝ドラ『風、薫る』では、ダブル主人公の一人である一ノ瀬りん(演・見上愛)が伝染病の発生した村へ向かう話が描かれた。
‘りん’のモチーフとなった実在の女性・大関和(おおぜき・ちか)も、実際に新潟県高田(現在の上越市)の山村で猛威を振るった〈赤痢の現場〉へ飛び込んで)いる。
当時、明治20年代前半(1880年代後半?1890年代初頭)は病気の原因が分からず、祈りや‘まじない’にすがる人が多かった。
人々は、病そのものへの恐怖から〈医療関係者〉を不気味がり、強い偏見を持っていた。
現地へ足を踏み入れた和たちにも、刃物を手に迫り追い返そうとする住民まで存在したほどである。
かつては、村へ足を運んだ医者が命を奪われる凄惨な事故も発生した。
強い緊張と危険が取り囲む状況で、和は感染予防を成し遂げる功績を残したのだ。
第2章:誤解された隔離施設と不信感
当時の人々は、病者を「避病院」という施設へ集める〈警察や医師〉をも非常に嫌っていた。
お巡りさんをからかうような歌が街中で流行するほど、隔離措置は忌み嫌われていた。
その背景には、避病院と呼ばれた場所のあまりに貧弱な環境がある。
医者が常駐しておらず、世話をする者も足りないため、運ばれた患者の多くは助からなかった。
「救うための場所」というよりは、「死を待つ小屋」のような状態だったのだ。
だからこそ、地域の人々は「連れて行かれまい」と激しく抵抗したのだ。
第3章:流言飛語が引き起こした悲劇
かつて、感染症が猛威を振るった明治10(1877)年、千葉の鴨川で凄惨な事件が起きた話をしてみよう。
※出典:コレラ事件(館山市立博物館)
現地で消毒や処理に当たった西洋医学の医師・沼野玄昌(ぬまの・げんしょう)に対し、おそろしい噂が広がった。
「医者が井戸に毒を投げ込んだ」
そんなウソの情報を、村人たちはすっかり信じ込んだのだ。
そして、そのウソに興奮した住民らは農具などを手に医者を襲い、命を奪ってしまった。
命を助けるためにやってきた医療従事者を、地域の人々自らの手で殺害してしまった悲惨な出来事である。
危険と隣り合わせの現場へ向かった和たちも、大きな不安を抱えていたはずである。
第4章:海外の教えを応用した予防術
和たちのグループは、現場に到着すると部屋の風通しを良く(=換気)し、床や壁を念入りに掃除した。
また、徹底した消毒や衣類の取り替えなど、清潔な環境作りを最優先で行った。
この防疫方法は、かつてナイチンゲールがクリミア戦争の野戦病院で実践した手法と同じであった。
不衛生で空気の悪かった病院の環境を整え、患者の体を拭き清潔に保つ取り組みだ。
劣悪な環境を改めた結果、非常に高かった死亡率が劇的に下がったとされる。
「伝染病の如きは、独り病人を看護するのみの目的にあらずして、一家村市都府あるいは全国にも及ぼすものなれば、看護婦の任、又大なりといわざるべからず。」
※出典:『派出看護婦心得』大関和 著(国立国会図書館デジタルコレクション)
第5章:病の拡大を国の危機と捉えた決意
和は病気が広がる事態を、単なる〈個人の問題〉ではなく〈国全体の危機〉と考えた。
「自分たちの手で防がなければ被害が日本中に届いてしまう」という強い責任感を胸に抱いていた。
そして、朝ドラ『風、薫る』中の「黒川病院」のモデルである「知名堂病院」では、実際に明治27年(1894)に新潟県内初の看護婦養成所となる「知名堂病院付属産婆看護婦養成所」が創設される。
つまり、日本各地の病院に、看護を学ぶための施設が作られ、知にあこがれて医療、看護の道を志す者が現れるきっかけにもなったのである。
「群馬県の九十九村では100名の赤痢患者を扱って死者わずかに6名、埼玉県の加治村でも100名の赤痢患者のうち死者5名、あとは全員完治させている。(中略)当時の医療水準から考えればこれは奇蹟とも言うべきで、いかに看護の力が大きかったかをものがたっている」
※出典:『大正期の職業婦人』村上信彦 著
第6章:現代へつながる感染対策の礎
和の手掛けた徹底的な予防策によって、現場での死亡率は大きく下がった。
彼女の成果は瞬く間に知れ渡り、あちこちから「助けてほしい」という要請が舞い込んだ。
時代が移り変わっても、部屋の空気を取り替える作業や消毒、手洗いといった基本の重要性は変わらない。
未知の脅威に立ち向かい、偏見を乗り越えて人々を救った努力は実に素晴らしいものだ。
と同時に、過酷な状況でも諦めずに人々の命を守り抜いた大関和の姿勢には、深い感動と敬意を覚える。
あとがき
偏見や恐怖に負けず、知識と誠実さで人々を救った大関和さんの姿は、現代に生きる私たちにも大きな勇気を与えてくれますね。
素晴らしい偉人たちの情熱に触れ、とても温かく前向きな気持ちになりました。
ドラマで描かれるフィクションの奥に、こうした史実を知ることで、物語がより深く、温かく感じられると思います。
読者の皆様の “ドラマを楽しむ” ためのお役に立てれば幸いです。
参考・出展
■田中ひかる(著)「明治のナイチンゲール 大関和物語」中央公論新社 ![]()
■メディアソフト(編集)「大関和と鈴木雅の人生」 ![]()
■伊多波碧(著)「小説 もうひとりのナイチンゲール 鈴木雅の生涯」潮出版社 ![]()
■毎日新聞出版(編)「Newsがわかる特別編 大関和がわかる」毎日ムック ![]()
■宮本百合子(著)「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」新日本出版社 ![]()
■セシル・ウーダム・スミス(著)武山満智子・小南吉彦(訳)「フロレンス・ナイチンゲールの生涯(上)」現代社 ![]()
■青山誠(著)「大関和 看護に人生を捧げた日本のナイチンゲール」角川文庫 ![]()
■田中ひかる(監修)「大関和 明治のナイチンゲールたち」平凡社 ![]()
■櫻庭由紀子(著)「戦う白衣の天使?大関和・鈴木雅ものがたり」内外出版社 ![]()
■フロレンス・ナイティンゲール(著)小玉香津子,尾田葉子(訳)「看護覚え書き」日本看護協会出版会 ![]()
■フロレンス・ナイチンゲール(著)湯槇ます,薄井坦子,小玉香津子,田村眞,小南吉彦(訳)「看護覚え書』現代社 ![]()
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【2026年秋ドラマ】10月スタートの地上波ドラマ一覧!感想投稿予定リストも!!(主要スタッフ表付き)
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NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『風、薫る』
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第93回/第19週『黎明(れいめい)の翼』の感想。
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※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
東京へ帰ったはずの直美(上坂樹里)が合流し、りん(見上愛)と直美は、一人でも多くの命を救おうと看護に奮闘する。そんな中、アサの夫の太助(板橋駿谷)が避病院にやってきて、穴掘りを手伝うと申し出る。患者が増える中、直美はあることを思いつき…
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4,8,11,12,19週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2,6,10,18週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,おむすび) 第5,9,13,17週
松本仁志(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。) 第3,7,14,15週
内田貴史(過去作/ちむどんどん) 第16週
制作統括:松園武大(過去作/とと姉ちゃん,半分、青い。,ちむどんどん)
宮本えり子(過去作/なつぞら,エール)
音楽:野見祐二(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「風と町」
語り(本編):研ナオコ
土曜日版ナレーション:石橋亜沙(NHK東京アナウンス室)
※敬称略
言葉の説明で強引に筋を通す展開に感じる演出の違和感
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私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――
衝撃の描写である。
しかも、本作には超珍しく、《いい意味での衝撃の描写》だ。
直美「駅で 近くで赤痢が出たって聞いて
りんなら きっとって思って…。
環ちゃんは シマケンさんに預けて」
前回の感想でも書いたとおり、前回の最終盤でダブル主人公の一人である大家直美(上坂樹里)が、もう一人の主人公である一ノ瀬りん(見上愛)の窮地に、まるで救世主のように登場するのは「いかにも主人公」といった感じで、あり得ないと感じる展開だった。
しかし、今回のアバンタイトルの冒頭で、直美がこう言ってのけたのだ。
もちろん、冷静に‘りん’が直美たちを見送ってからの時間経過を鑑みれば、移動のタイミングに不自然な点がある。
「脚本の仕掛け」や「物語の見せ方」として「まあ、そういうことにしておくか」レベルで受け入れることも可能だが、少し首をかしげたくなる場面だ。
しかし、このセリフがもたらす最大の問題は、直美が‘シマケン’こと島田健次郎(佐野晶哉 ex.Aぇ! group)に‘りん’の娘・環(英茉)を託してやってきた理由を “わざわざ言葉で説明” した点にある。
今さら改めて書くことではないが、本作は普段、人物がどう行動したかという場面をほとんど見せない。
突然事件が起こり、解決するまでの道のりを省く手法がいつものやり方なのだ。
そのため視聴者は、起きた出来事を自分の頭の中で補うしかなかった。
まるで、「ダブル主人公だから尺が足りない」という理由で、内容を省略して視聴者に丸投げしているように見えていたのだ。
これでは、脚本家や演出家や制作統括が「自力で状況を想像してみろ!」と視聴者を突き放しているような印象を与えかねないのに… である。
視聴者に展開を丸投げする省略の多用が招く解釈のズレ
結末を視聴者の想像に任せる手法自体は、物語の終わりの「脚本の仕掛け」や「物語の見せ方」としては、決して悪くはない。
しかし、作品全体で “ほぼ常に” 物語の展開を省略し続けると、大きな支障が出てくる。
なぜなら、視聴者は、人それぞれ育った環境も考え方も全く異なるからだ。
出来事の裏側を想像したとき、誰もが同じ展開を思い浮かべるわけではない。
したがって、物語の途中で想像に頼りすぎると、人によって物語の解釈がバラバラになってしまう。
本来は、視聴者全員が共通認識として積み重ねてきた “ドラマ” があるからこそ、最後の場面を想像に任せる手法が生きるのだ。
やはり、どれほど放送尺が足りなくても、あらゆる場面で説明を省くやり方は避けるべきである。
作品の土台となる部分を言葉や映像でしっかり見せることが、物語にとって最も大切な要素だから… である。
強引なセリフ説明よりも自然な展開で見せるべき理由
これまで何度も書いてきたが、恋バナや家族の絆を表現したい意図は理解できる。
今回の感想の前段で書いたように、本作には珍しく “理屈っぽい言い訳” をやったのも全面的に否定はしない。
しかし、もっと自然な展開にするのであれば「駅で情報を知る」よりも、第90回(2026年7月31日放送)の最終盤にあった《夕日の海辺でのランデブーもどき》の場面に、前回の大ラスのように黒川医師が(平埜生成)が突然登場して事情を話せばよかったと思う。
黒川の必死の願いによって、‘りん’と直美が協力を決意し、シマケンに娘を預けるのだ。
たとえ展開が都合よく見えたとしても、こちらのほうが観ている側はスムーズに納得できるのでは?
こうした工夫があれば、わざわざセリフで経緯を説明しなくても自然に伝わったはずである。
対立を煽るより丁寧な医療の姿こそを丁寧に描く大切さ
さて、前回の感想で、敢えて「ポエム(詩的)なセリフ」をプチ解説」とまで書いて説明した、本作お得意の “ポエム(詩的)なセリフ” だが。
今回の中盤にあった、村民たちに向けての《直美のスピーチ》はシンプルで分かりやすく、悪くない内容だった。
本作は、前回の第92回(2026年8月4日放送)で、「医療従事者 VS 村民」を描いたわけだが。
そんな対立構造を作るより、‘りん’や直美、黒川たちが医療従事者として丁寧な説明を行う姿を描くほうが適切だったと言える。
つまり、「ドラマが派手に見えるから」のような陳腐な理由で、対立やケンカを盛り込むのではなく、徹底的に「医師は患者を治療」し、「看護部は患者を看護する」を描き、その延長線上に「患者とその家族を診て、看(み)る姿勢」を丁寧に表現することこそが、この作品に求められている本質的な部分だ。
言葉だけに頼らず経過を丁寧に描くことで生まれる納得感
作中の描写不足を解消するためには、出来事の途中経過をセリフだけに頼らず映像や行動で示す工夫が必要だ。
省略を減らし、登場人物がどのように試練を乗り越えたのかを順番に見せることで、誰でも理解しやすい構成になる。
また出来事を詰め込みすぎず、看護の場面など物語の核となる部分をじっくり深掘りして描くことも重要だ。
さらに登場人物同士の話し合いや村人への説明を省かずに描写すれば、展開の強引さが減り自然な流れが生まれる。
これらの改善を行うことで、誰もが素直に納得して楽しめる作品へと変わるはずだ。
あとがき
直美のセリフを “ポエム” にしなかった吉澤智子氏の脚本に対して、チーフ監督の佐々木善春氏が終盤の看護シーンに「讃美歌風の劇伴」をつけて、わざわざ “ポエムの蒸し返し” をやっちまいましたね。
劇伴そのものは悪いと思いませんが、演出が余計なことをやったと思います。
佐々木氏は、前回のアバンタイトルでも、赤痢患者のアサ(美山加恋)を‘りん’たちが荷車で移送する際に、『TOKYO MER』でも始まりそうな大袈裟な劇伴をつけて、必要以上に盛り上げようとしたばかり。
せっかく、脚本がフツーに書いているのに、チーフ監督が異様にする意味が分かりません。
まっ、本作の演出家は、担当者が交代しても大したことをやってはいませんけれど。
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
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※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
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村人たちから非難を受ける中、アサ(美山加恋)を避病院に連れていくりん(見上愛)と黒川(平埜生成)。たどり着いた避病院の環境は劣悪で、りん(見上愛)は看病婦たちに指示を出して環境を整えていく。患者の中には東京から来た男(中村倫也)もいて・・そんな時、思いがけない人物がやってくる。
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作劇に力が入りすぎて物語から浮いてしまった描写の違和感
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―――ここまで、ごあいさつ―――
今回は、ゲストに中村倫也さんが登場するので、NHKをはじめ、脚本の吉澤智子氏も気合が入っているのか?
はたまた、脚本家や演出家や制作統括が、数年前に世界中を襲ったパンデミック「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の恐怖の現実味を持たせようと工夫しているのか?
とにかく、アバンタイトルから “ポエム調のセリフ三昧” である。
しかし、医療従事者たちの理想や使命感を作品のなかで表現したいのであれば、登場する村人たちにもしっかりと伝わるような分かりやすい描写にするべきである。
もちろん、劇中の今後の展開を考えると、地元の人々からの強い反発や誤解を描きたい意図があるのは理解できる。
それでも、村人が農具を持ち出して暴れそうになる場面は、さすがに極端すぎて物語の流れから浮いてしまっている。
やはり、制作者たちの “力の入れすぎ” の弊害でしかない。
そのそも「ポエム調なセリフ」とはどんなものなのか?
ひと言で表すなら、《概念化されたセリフ回しとリアリティの欠如》である。
ドラマにおける「ポエムのようなセリフ回し」とは、劇中の登場人物が苦悩する生々しいプロセスを省略し、美辞麗句や綺麗事だけで物語を動かそうとする手法である。
そこでは、日常の会話で使わない文章語や概念的な言葉が多用され、セリフが “作品スローガンの発表会” のようになって)しまう。
また、登場人物の動機や葛藤を描き込む代わりに情緒的な言い回しを用いるため、物語としての具体的な説得力が薄れてしまうのである。
さらに、劇中の相手に対する自然な対話ではなく、“視聴者を感動させるための名言の応酬” になりがちである。
その結果、キャラクターの背後に作り手の意図が透けて見え、視聴者に押しつけがましさを抱かせることになる。
つまり、現実社会の生身の人間味を排し、雰囲気だけの言葉で感動を強要する脚本表現こそが、ポエムと称される違和感の本質と言える。
医療の過渡期だからこそ描くべきだった人々の言葉と葛藤
この作品が対象としている時代は、手厚いケアを提供する仕事だけでなく、近代的な医療制度そのものが一般社会へ広がっていく重要な転換期であった。
日本に昔から存在していた伝統的な治療法と、西洋から新しく導入された技術とが混ざり合い、一般の人々へ正しく認識してもらうための過渡期でもあったはずだ。
だからこそ、登場人物である黒川医師(平埜生成)や、ダブル主人公の一人である一ノ瀬りん(見上愛)が語る言葉は、当時の背景を踏まえて、もっと重みを持たせて丁寧に描写されるべきだったと言える。
そうした言葉の重みを雑に扱ってしまうと、当時の社会の変化や人々の葛藤という重要な要素が薄れてしまうからだ。
要するに、まずは、安直に《医療従事者 VS 村民》の対峙構造を作り出し、そこに発生した騒動を強調するのをやめる。
そして、〈村民たちの率直な不安や恐怖〉と〈医師や看護婦らの志や矜持〉を、約2分20秒なんて中途半端な放送尺のアバンにせず、十分な尺を用いて描くべきだったのだ。
患者へのケアと行動のギャップに感じてしまう戸惑い
さらに疑問が残るのは、脚本家や演出家や制作統括が、もっと医療現場におけるケアの様子に焦点を当てるべきだという点である。
‘りん’は目の前の業務(=患者に対する看護)に集中するべき場面であるにもかかわらず、なぜか患者以外の出来事(=換気・清掃・消毒)ばかりに気を取られてしまっている。
つい最近の放送では、亡くなった患者のために必死になって寄り添っていたはずなのに、その熱意が嘘だったかのように見えてしまった。
決して制作陣がケア(看護)の場面を全く描いていないわけではないが、場面ごとの態度の変化があまりにも大きすぎるため、見ていて戸惑いを覚えてしまう。
いや、むしろ、‘りん’が今にも死にそうな東京から来た患者の男(中村倫也)に異常に肩入れしてしまいそうになり、トラウマが発動し、ふと我に返り、換気・清掃・消毒に注力するという “心持の変化” を描くべきだったのだ。
不自然な移動や設定が物語の説得力を損ねてしまう違和感
さて、まだまだ違和感はある。
例えば、もう一人の主人公である大家直美(上坂樹里)は、つい先日「新潟に来て、東京に戻ったばかり」のはずなのに、再び慌ただしく新潟へ向かう(戻る)展開には大きな違和感が残る。
劇的な効果を狙って、《直美を現場へ駆けつけさせる手法》自体は悪いとは思わない。
しかし、直前まで東京にいた、しかも、新規事業が思うように進まず収入もほぼないはず… という設定が説得力を損ねているのだ。
当初から、「赤痢の発生」という重大な報せを入れるのは分かっていたのだから、直美が新潟滞在中に黒川医師から緊急招集の一方が入るほうが自然な構成と言える。
こうした無理のある設定や不自然なつなぎ方を重ねてしまうと、物語全体の滑らかさが失われてしまうのだ。
出来事の羅列で物語の流れや感情移入が途切れる問題点
今作の問題点は、登場人物の感情や出来事の繋がりを考慮せず、ただ発生した事象を順番に並べているように見えてしまうところにある。
最初から「箇条書き」なら気にならないが、一応はストーリーとして一連の流れを作ろうとしている以上、矛盾が目立ってしまう。
せっかく途中まで物語の道筋を作りかけているのに、自らその流れを壊してしまうような展開を挟む理由が理解しがたい。
結果として、トラウマを抱える‘りん’と派出看護を始めた直美を互いに応援し合うという視聴者が感情移入しかけたタイミングで気持ちが途切れてしまう原因になっている。
物語の繋がりを整えて作品の魅力を高めるための改善策
これらの問題点を克服するためには、まず登場人物たちの行動やセリフに一貫性を持たせることが不可欠である。
特に時代背景や医療の重要性を伝える場面では、極端な演出に頼るのではなく、視聴者が納得できる丁寧な対話を描く必要がある。
また、事件や出来事をただ発生させるだけでなく、登場人物の移動時間や状況の変化に配慮した自然な場面転換を意識しなければならない。
キャラクターの感情の変化を順を追って提示することで、物語全体の繋がりが整い、より多くの人が引き込まれる作品になるはずだ。
あとがき
何となく、好意的な解釈を用いて、黒川医師に‘りん’が作った「ホットドリンク」にいれたガラス瓶の中身は「水飴」かな?と予想はできました。
で、副音声で見直し)たら「水飴を入れたお湯を飲む」とあったので間違いないです。
副音声でフォローする以前に《映像で見て分かる》ように作るべきだと思います。
それこそが、老若男女問わず、病気や障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しめる「看護をテーマにした朝ドラ」がやるべきことだと考えます。
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警視庁・捜査一課長
刑事ゆがみ
警部補・杉山真太郎
ゲゲゲの女房
下剋上球児
下剋上受験
結婚相手は抽選で
結婚式の前日に
Get Ready!
健康で文化的な最低限度の生活
限界団地
恋がヘタでも生きてます
恋せぬふたり
恋仲
恋はつづくよどこまでも
恋です!ヤンキー君と白杖ガール
恋はDeepに
合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~
コウノドリ[1]
コウノドリ[2]
こえ恋
ごくせん2002特別編[再]
極主夫道
心がポキッとね
心の傷を癒すということ
5→9 ~私に恋したお坊さん~
ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○
ゴーストライター
珈琲いかがでしょう
後妻業
コタキ兄弟と四苦八苦
コタツがない家
コタローは1人暮らし
ごちそうさん
孤独のグルメ[4]
孤独のグルメ[5]
孤独のグルメ[6]
孤独のグルメ[7]
孤独のグルメ[8]
孤独のグルメ[9]
孤独のグルメ[10]
コード・ブルー[3]
この素晴らしき世界
この世界の片隅に
古見さんは、コミュ症です。
ごめん、愛してる
ごめんね青春!
これは経費で落ちません!
婚姻届に判を捺しただけですが
コントが始まる
- 過去の連ドラの感想記事一覧(さ~し)
最愛
最高のオバハン 中島ハルコ
最後から二番目の恋
最後の鑑定人
サイレーン
サイン―法医学者 柚木貴志の事件―
櫻子さんの足下には死体が埋まっている
サギデカ
先に生まれただけの僕
SAKURA~事件を聞く女~
桜の塔
さすらい温泉 遠藤憲一
サムライせんせい
さぼリーマン甘太朗
さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~
ザ・ロイヤルファミリ
残念な夫。
3人のパパ
35歳の少女
37.5℃の涙
3年A組 今から皆さんは、人質です
G線上のあなたと私
シェフは名探偵
Chef~三ツ星の給食~
視覚探偵 日暮旅人
シグナル 長期未解決事件捜査班
時効警察はじめました
地獄先生ぬ~べ~
しずかちゃんとパパ《再編集版》
下町ロケット
下町ロケット[2018]
七人の秘書
シッコウ!!~犬と私と執行官~
知ってるワイフ
GTO[2]
死にたい夜にかぎって
死幣ーDEATH CASHー
地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子
下北沢ダイハード
しもべえ
シャーロック アントールドストーリーズ
死役所
獣医さん、事件ですよ
就活家族~きっと、うまくいく~
就活生日記
19番目のカルテ(最終回)
集団左遷!!
10の秘密
重版出来!
重要参考人探偵
准教授・高槻彰良の推察 Season1
正直不動産
正直不動産2
JKは雪女
女囚セブン
少年寅次郎
少年寅次郎スペシャル2020
昭和元禄落語心中
知らなくていいコト
シリーズ江戸川乱歩短編集IV
シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。
新・刑事吉永誠一
新宿セブン
新宿野戦病院
新・信長公記~クラスメートは戦国武将~
深夜食堂[3]
- 過去の連ドラの感想記事一覧(す~そ)
SUITS/スーツ
SUITS 2/スーツ2
水球ヤンキース
スカーレット
好きな人がいること
素敵な選TAXI
素敵な選TAXI[再]
スーパーサラリーマン左江内氏
すきすきワンワン!
スキャンダル専門弁護士 QUEEN
スティンガース 警視庁おとり捜査検証室
ストロベリーナイト・サーガ
スナック キズツキ
スパイラル~町工場の奇跡~
スペシャリスト
すべてがFになる
砂の塔~知りすぎた隣人
スニッファー嗅覚捜査官
スミカスミレ 45歳若返った女
住住(すむすむ)
正義のセ
正義の天秤
青春探偵ハルヤ
聖女
せいせいするほど、愛してる
世界一難しい恋
セカンド・ラブ
セシルのもくろみ
セミオトコ
全領域異常解決室
サバイバル・ウェディング
銭の戦争
絶対正義
絶対零度~未然犯罪潜入捜査~
絶対零度[4]~未然犯罪潜入捜査~[2]
セトウツミ
ゼロの真実~監察医・松本真央~
先生を消す方程式。
最後から二番目の恋
続・続・最後から二番目の恋
そして、誰もいなくなった
そのご縁、お届けします―メルカリであったほんとの話―
宙わたる教室・宙(そら)わたる教室
それぞれの断崖
それってパクリじゃないですか?
- 過去の連ドラの感想記事一覧(た)
DIVER-特殊潜入班-
大貧乏
DIVE!!
大恋愛~僕を忘れる君と
高嶺の花
田鎖ブラザーズ
戦う!書店ガール
玉川区役所 OF THE DEAD
民王
ダメな私に恋してください
タリオ 復讐代行の2人
探偵が早すぎる
探偵さん、リュック開いてますよ
探偵の探偵
探偵・由利麟太郎
小さな巨人
ちむどんどん
中学聖日記
超速パラヒーロー ガンディーン
ちょっとだけエスパー
終のひと
作りたい女と食べたい女
作りたい女と食べたい女(2)
燕は戻ってこない
妻、小学生になる。
デート ~恋とはどんなものかしら~
dele/ディーリー
ディア・ペイシェント~絆のカルテ~
DCU Deep Crime Unit ~手錠を持ったダイバー~
デザイナー 渋井直人の休日
デジタル・タトゥー
デスノート
テセウスの船
出入禁止(デキン)の女
テディ・ゴー!
デッドストック
デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
天国と地獄 ~サイコな2人~
天使と悪魔
天使にリクエストを~人生最後の願い~
転職の魔王様
天皇の料理番
TWO WEEKS
東京スカーレット~警視庁NS係~
東京センチメンタル
東京タラレバ娘
東京独身男子
同窓生~人は、三度,恋をする~
東京サラダボウル
東京放置食堂
逃亡医F
透明なゆりかご
ドS刑事
時をかける少女
毒島ゆり子のせきらら日記
トクサツガガガ
ドクター調査班~医療事故の闇を暴け~
ドクターX ~外科医・大門未知子~[3]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[4]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[5]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[6]
ドクターX~外科医・大門未知子~[7]
ドクターカー
DOCTORS 3 最強の名医
Dr.倫太郎
特捜9
トクメイ!警視庁特別会計係
匿名探偵[2]
とげ~小市民 倉永晴之の逆襲~
ど根性ガエル
突然ですが、明日結婚します
トップナイフ ―天才脳外科医の条件―
とと姉ちゃん
トドメの接吻
隣の家族は青く見える
となりの関くんとるみちゃんの事象
ドラゴン桜(2021年版)
虎に翼
ザ・トラベルナース
ザ・トラベルナース[2]
ドリームチーム
トリリオンゲーム
トレース~科捜研の男~
ドロ刑 -警視庁捜査三課-
- 過去の連ドラの感想記事一覧(な)
24 JAPAN
ナイト・ドクター/Night Doctor
ナイトヒーローNAOTO
ナオミとカナコ
凪のお暇
なつぞら
70才、初めて産みます セブンティウイザン。[地上波特別版]
ナポレオンの村
波うららかに、めおと日和
二月の勝者 -絶対合格の教室-
逃げるは恥だが役に立つ
逃げるは恥だが役に立つムズキュン特別編[再]
にじいろカルテ
日曜の夜ぐらいは…
ニッポンノワール-刑事Yの反乱-
日本沈没ー希望のひとー
ネメシス
ノーサイド・ゲーム
ノースライト
脳にスマホが埋められた!
「野ブタ。をプロデュース」特別編
信長協奏曲
信長のシェフ[2]
- 過去の連ドラの感想記事一覧(は行)
バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~
バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~
バイプレーヤーズ~名脇役の森の100日間~
バカボンのパパよりバカなパパ
白衣の戦士!
ハゲタカ(テレ朝)
ばけばけ
ハケン占い師アタル
ハケンの品格[2020]
ハコヅメ~たたかう!交番女子~
はじめまして、愛しています。
初めて恋をした日に読む話
八月は夜のバッティングセンターで。
初恋、ざらり
花子とアン
花咲舞が黙ってない
花咲舞が黙ってない[2024]
花のち晴れ~花男 Next Season~
母になる
ハヤブサ消防団
ばらかもん
ハラスメントゲーム
ハルカの光
ハル ~総合商社の女~
ハロー張りネズミ
半沢直樹[2020]
半分、青い。
パーフェクトワールド
BG~身辺警護人~
BG~身辺警護人~(第2章)
「PJ ~航空救難団~』
ヒガンバナ~警視庁捜査七課~
ひきこもり先生
悲熊
美食探偵 明智五郎
人は見た目が100パーセント
火の粉
100万回 言えばよかった
病室で念仏を唱えないでください
病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~
ひよっこ
ひよっこ2
ビリオン×スクール
Believe -君にかける橋-
昼のセント酒
HERO[2014]
ファーストクラス[2]
ファーストペンギン!
ファイトソング
FINAL CUT
ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん
フェルマーの料理
VRおじさんの初恋
不機嫌な果実
ブギウギ
不適切にもほどがある!
不便な便利屋
ブラックペアン
ブラックペアン シーズン2
フラジャイル
フランケンシュタインの恋
ブラックリベンジ
フリンジマン
フルーツ宅配便
ブルーモーメント
プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮
べしゃり暮らし
ヘッドハンター
べっぴんさん
ペテロの葬列
Heaven?~ご苦楽レストラン~
保育探偵25時
ボイス 110緊急指令室
ボーダーライン
HOPE~期待ゼロの新入社員~
ボク、運命の人です。
僕たちがやりました
ホクサイと飯さえあれば
僕とシッポと神楽坂
僕の初恋をキミに捧ぐ
僕のヤバイ妻
僕はどこから
僕らは奇跡でできている
僕達はまだその星の校則を知らない
星新一の不思議な不思議な短編ドラマ
星降る夜に
ホテルコンシェルジュ
ホリデイラブ
- 過去の連ドラの感想記事一覧(ま行)
舞いあがれ!
マイファミリー
マウンテンドクター
マザー・ゲーム
マジで航海してます。
まだ結婚できない男
マッサージ探偵ジョー
マッサン
まっしろ
真夏の少年~19452020
真夏のシンデレラ
真昼の悪魔
ママとパパが生きる理由。
ママはバーテンダー~今宵も踊ろう~
○○妻
まれ
まんぷく
未解決の女 警視庁文書捜査官[1]
未解決の女 警視庁文書捜査官[2]
未解決の女 警視庁文書捜査官[3]
みかづき
ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~
Missデビル人事の悪魔・椿眞子
ミステリと言う勿れ
南くんの恋人
御上先生
MIU404
未満警察 ミッドナイトランナー
未来への10カウント
民衆の敵
無痛~診える眼~
名探偵のままでいて
メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断
モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう
MOZU Season2 ~幻の翼~
元彼の遺言状
モトカレマニア
もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~
問題のあるレストラン
問題物件
モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-
- 過去の連ドラの感想記事一覧(や~わ)
やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる
やさしい猫
ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~
屋根裏の恋人
山田孝之の東京都北区赤羽
ヤメゴク
ユーミンストーリーズ2024
ゆとりですがなにか
ユニコーンに乗って
ユニバーサル広告社
妖怪シェアハウス
ようこそ、わが家へ
4号警備
40万キロかなたの恋
4分間のマリーゴールド
[ら]
ライオンの隠れ家
ラヴソング
ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~
ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~
THE LAST COP/ラストコップ
ラストチャンス 再生請負人
ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~
ラストマン-全盲の捜査官-
らんまん
リーガル・ハート ~いのちの再建弁護士~
リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~
リエゾン-こどものこころ診療所-
陸王
リコカツ
リスクの神様
リバース
リバーサルオーケストラ
リピート ~運命を変える10か月~
リブート
#リモラブ ~普通の恋は邪道~
竜の道 二つの顔の復讐者
路(ルウ)~台湾エクスプレス~
ルパンの娘[1]
ルパンの娘[2]
流星ワゴン
臨床心理学者 火村英生の推理
レッドアイズ 監視捜査班
恋愛時代
レンアイ漫画家
レンタル救世主
レンタルなんもしない人
レンタルの恋
六畳間のピアノマン
6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱
[わ]
ワイルド・ヒーローズ
若者たち2014
私 結婚できないんじゃなくて、しないんです
私たちはどうかしている
ワタシってサバサバしてるから
わたし、定時で帰ります。
わたしを離さないで
私のおじさん~WATAOJI~
私の家政夫ナギサさん
罠の戦争
わにとかげぎす
わろてんか
皆様のおかげで、2026年6月24日に4000万アクセス達成をいたしました。(御礼の投稿


