連続テレビ小説「ばけばけ」 （第42回・2025/11/25） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『ばけばけ』
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第42回／第9週『スキップ、ト、ウグイス。』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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トキ（髙石あかり）とヘブン（トミー・バストウ）は、リヨ（北香那）にプレゼントされたウグイスを花田旅館でお披露目していた。なかなか「ホーホケキョ」と鳴かないウグイスに違う鳥ではないかと疑いはじめるトキとヘブンだったが、平太（生瀬勝久）の解説でウグイスだと納得する。数日後、ヘブンはリヨに招かれて知事（佐野史郎）の家でディナーをする。積極的なリヨの姿勢に知事と錦織（吉沢亮）はヘブンへの恋心に気づく。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：ふじきみつ彦（過去作/ﾊﾞｲﾌﾟﾚｲﾔｰｽﾞ,きょうの猫村さん,一橋桐子の犯罪日記）
演出：村橋直樹（過去作/まれ,透明なゆりかご,ｻｷﾞﾃﾞｶ） 第1,2,5,7週
　　　泉並敬眞（過去作/ｽｶｰﾚｯﾄ,ｶﾑｶﾑｴﾌﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ） 第3,6,9週
　　　松岡一史（過去作/まんぷく,心の傷を癒すということ,ｶﾑｶﾑｴﾌﾞﾘﾊﾞﾃﾞｨ） 第4,8週
制作統括：橋爪國臣（過去作/青天を衝け,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
音楽：牛尾憲輔（過去作/ﾁｪﾝｿｰﾏﾝ,僕の心のﾔﾊﾞｲやつ,ﾀﾞﾝﾀﾞﾀﾞﾝ）
主題歌：ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
土曜日版ナレーション：北郷美穂子（NHK大阪アナウンサー）
副音声解説：山崎健太郎（過去作/舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ,虎に翼,おむすび）
タイトル写真：川島小鳥（過去作/未来ちゃん,SHISHAMOｱｰﾄﾜｰｸ）
タイトルロゴ：西沢和樹（instagram.com/nishizawa_k/）
プロデューサー：田島彰洋,鈴木航,川野秀昭｜美術：山内浩幹、淀裕矢、向理沙、有本弘｜美術進行：澤幸樹、嶋原広起｜技術：増田徹、備中正幸｜音響効果：松本有加、巽浩悦、吉田亜矢｜撮影：岩崎亮、関照男｜照明：根来伴承、大西弘憲｜音声：吉竹淳樹、稲垣雄二、大成友二、安河内裕斗｜映像技術：前田惇徳、原幸介、山下健、若嶋なな｜カラーグレーディング：原幸介、前田惇徳、山下健、日野維乃、若嶋｜VFX：西垣友貴、神戸大樹、山田茂人、北島規｜CG：大西智子、空閑卓海、古市百人、佐藤望、田邊亮哉,大関聡｜美術進行：澤幸樹、嶋原広起、大塚良子,厚朴美沙子｜装置：佐藤千織、坂口大吾、山中宏華,澤井洸、平松康｜装飾：津村政幸、横田浩之、長洲史｜特殊効果：奥村陵、宮崎真有｜衣装：横山智和、中村みのり、鍛元美佐子、横山智和,鍛本美佐子｜メイク：堀洋子、正田早百合、秋山直美、櫻井安里紗｜持道具：楠正由貴、森上陽子｜かつら：松本誠也、丹波峯子｜特殊メイク：江川悦子、権田日和｜特殊メイク協力：荒井律子、大谷美咲、山埼佳子｜助監督：小林直毅、小島東洋、田中陽児、早川俊介、岡本拓大｜制作担当：木村晴治、長岡しのぶ、本田良太、森岡あゆみ、片山哲治,斎藤明日香、竹本航｜取材：川野秀昭、鈴木航｜編集：藤澤加奈子｜記録木本裕美｜時代・風俗考証：刑部芳則｜松江風俗考証：藤岡大拙｜出雲ことば指導：多々納斉,松嶋彩｜所作指導：藤間豊宏｜料理指導：広里貴子｜英語指導：塩屋孔章,ネイサン・ベリー｜英字指導：前田祐加｜眼科指導：大路正人,川村肇｜怪談ばなし指導：玉田玉秀斎｜茶道指導：有澤一男｜三味線指導(タエ)：菊央雄司｜三味線指導(遊郭)：長江浩子｜アクション指導：中村健人｜日本画指導：諫山恵実｜絵画指導：苅谷昌江｜華道指導：神前光園｜造園：堤正和
※敬称略

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まえがき　‘一日違い’とはいえ、運が良かった…話

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
お仕事や学校の休憩時間や移動中の方、就職活動中の方、病気療養、子育て、介護など、それぞれの生活を送る読者の皆様…
私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――

三連休でお久しぶりの読者様、お帰りなさい！

今朝は、久しぶりに感想の前に「まえがき」をやってみます。

私は一昨日（2025年11月23日・日）東京・足立区の妻の実家へ休日介護に行っていました。

で、きのう（11月24日・月祝）こんなニュースがありました。

東京・足立区で11人死傷・盗難車でひき逃げか？ 展示車両を盗んだ疑いで37歳男を逮捕「車を試乗するため店を出た」と容疑否認【news23】 | TBS NEWS DIG 

私、この事故の24時間前に‘そこ’を車で通っていたんですよ。

‘一日違い’とはいえ、運が良かったと思います。

と同時に、さらに安全運転に気を付けようと誓いつつ、気を付けるのにも限界があるなあと怖くなったわけです。

皆様も、どうか交通事故にだけは…、いいや〈事故につながりそうなことは基本的にやらない〉にしませんか？

ウグイス相対性理論：観測系の違いが生む科学的夫婦漫才

アバンタイトル冒頭から、理系人間の心をくすぐる展開だ。

花田旅館の踏込で、花田旅館の主人・花田平太（生瀬勝久） と女将・ツル（池谷のぶえ） が鳥籠に入っている “ウグイス” がオスか？　メスか？　で言い合う場面だ。

このやり取りはまるで「ウグイス観測理論」である。

平太は絶対論者で、「オスは常に一回り大きい」と決めつける。
ツルは相対論者で、「メスがいなければその大きさは測定不能」と反論する。

つまり、平太の世界では大きさは絶対値として存在し。
ツルの世界では比較対象があって初めて意味を持つ。

この違いは、観測系の違いによる結論の相違であり。
まるで科学のパロディのように笑いを生んでいるのだ。

しかも、やり取りの中にアインシュタイン博士の「相対性理論」に通じるような小難しさを一切感じさせず…　にだ。。

「比較対象がないのに比較を前提にする」という論理のねじれを面白さ（比較不可能性のパラドックス）や、ウィトゲンシュタイン（言語と論理の関係を探求した20世紀の哲学者）風に「『一回り大きい』という言葉は比較対象があって初めて意味を持つ」という哲学的な言葉遊びのユーモアに転嫁している。

ますます、これまでの朝ドラとの違いを感じるとともに、期待が高まる会話劇である。

ウグイス騒動せず「誰にでもあるちょっとしたミス」に帰着

前回の感想に次のように書いた。

リヨにわざわざ「私自身　ウグイスは全く」と言わせているので、この先にオチがあるのだと期待はします。

結局、松江新報の自称・敏腕記者で、ヘブンに密着する梶谷吾郎（岩崎う大） の説明できれいなオチになっていた。

徳川家康の名言になぞらえば「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ウグイス」ではなく。

「メジロなら　泣くまで待っても　チーチョルチー」ということだ（笑）
　※メジロの鳴き声（さえずり）はウグイスの「ホーホケキョ」のようなものはないので、「チーチュル、チーチュル、チョルチー」から連想しました。

放送当日のネット界隈では「NHKがウグイスとメジロを間違えるはずはない」など飛び交っていたが、意外とあっさり解決したわけだ。

やはり、今作は「何も起こらない物語」なのだ。

騒動やトラブルとまで昇華はさせないで、あくまでも「誰にでもあるちょっとしたミス」に帰着させたのだ。

これくらいの塩梅がちょうどよいと思う。

ヘブン「私も料理をしますが」

冒頭のししおどしの音、時計の時報、食器を動かす音など、島根県知事・江藤安宗（佐野史郎） の江藤邸の生活音だけでディナーの序盤を描き、一瞬の沈黙をつくって、ディナー続行だ。

劇中にこんなセリフがあった。

ヘブン「私も料理をしますが」

これ↑については、先週末に4本投稿した「補足記事」に、小泉八雲の料理への関心やアメリカ時代に経営したレストランについて書いた記事もあるので読んでいただきたい。
　※リンクは最終章にまとめました。

やはりここも、いい意味で「何も起こらない物語」だ。

《リヨを‘西洋文化への憧れを象徴する存在’に仕立てる》

妻・ルイ（木全昌子） と娘・リヨ（北香那） から仲間外れ気味になった知事の気持ちを必要以上に強調せず、アバンでのトキ（髙石あかり）とヘブン（トミー・バストウ）の親しい感じと、ディナーで次第に距離が縮まるヘブンとリヨを対比させた。

しかしここで私はこう捉えた。

《思ったよりも、三角関係を強調してこない》

もちろん、現状ではトキのヘブンへの明確な恋心を盛り込んでいないから、三角関係にはならないわけだが。

脚本家や演出家や制作統括のやりようで、いくらでも三角関係の “匂わせ” はできると思う。

でも、私には “匂わせ” を意図的にやっていないように映るのだ。

そして、むしろ私には次のように見えている。

《リヨを‘西洋文化への憧れを象徴する存在’に仕立てる》

知事をはじめ、錦織（吉沢亮）、かつての遊女・なみ（さとうほなみ／ほな・いこかex.ゲスの極み乙女）らの “頂点的な位置づけ” という意味だ。

当時はまだ珍しかった外国人、それも年上の異性に物怖じせず英語を使う上流階級のリヨは “文化としての外国” 夢を見るキャラクターとなり。

トキは経済的な理由で女中として必死に働く中で、身近な日本語でヘブンと向き合うキャラクター。

この対比こそ、“明治の日本が抱えていた揺れそのもの” を映し出しつつある…　と思う。

週末に追加した補足記事などのリンク集

八雲が料理への関心とアメリカ時代に経営したレストランについて
朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲の心は、今もニューオーリンズにある ―クレオール料理がつないだ絆―” 

八雲と妻セツさんの手書き絵手紙の交流について
朝ドラ「ばけばけ」絵がうまかった小泉八雲とその家族 ―絵と手紙でつむぐ温かな日々―” 

八雲のビール好きと変わったおつまみについて
朝ドラ「ばけばけ」尊敬された“ハーン先生”の裏側 ―ビールと和菓子が語る八雲の暮らし―” 

知事の娘リヨ（北香那）のモデルは幼少期のセツさん？
朝ドラ「ばけばけ」異国の教師と少女リヨ（北香那） ―「ばけばけ」が描く“すれ違う恋”の理由― を考える” 

あとがき

錦織からはリヨとヘブンが恋仲にならないように協力を求められたので、きっと次回はリヨからヘブンとの恋仲を応援してほしいと協力を求められて、板挟みになるトキ…　でしょうね。

これによって「ただの三角関係の恋バナ」ではなく、ちゃんと「トキの物語」になるわけです。

大きくは進みませんが、これくらいのテンポ、情報量がちょうどいいと思います。

厳選『ばけばけ』で描かれない秘話の解説ﾘﾝｸ集

・八雲×セツ「耳で読む異文化」 → こちら 
・八雲×セツの松江婚“日本語で恋” → こちら 
・八雲漂着“英→米→松江の道程” → こちら 
・三之丞(板垣李光人)ﾓﾃﾞﾙ“静かなる光” → こちら 
・八雲×セツ 松江借家の“ギクシャク” → こちら 
・雨清水タエ(北川景子)ﾓﾃﾞﾙ“栄華→没落” → こちら 
・錦織(吉沢亮)ﾓﾃﾞﾙ“八雲＋セツとの友情” → こちら 
・“本当は中年女中”→若いセツ、乱入 → こちら 
・妾か女中か？“八雲が求めた女中の条件” → こちら 
・八雲はモラハラ夫？“繊細で偏屈な素顔” → こちら 
　※他のリンクは下記↓の折り畳みの中！

※文中の方言風の創作セリフは、下記のサイトを利用しています。
恋する方言変換 | BEPPERちゃんねる 

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