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コウノドリ[2]

TBSテレビ系・金曜ドラマ『コウノドリ[2] 命についてのすべてのこと』公式
第2話『母と子、答えなき命の選択』の感想の第2弾
なお、原作:鈴ノ木ユウ「コウノドリ」(漫画)は未読。


サクラ(綾野剛)の担当する妊婦・佐和子(土村芳)が子宮頸(けい)がんを患っていると判明。がんは思った以上に進行しており、検査のための切除では完全には取り除けなかった。佐和子の治療を最優先にする場合、子どもを諦めて子宮を全摘出する必要がある。佐和子と夫・慎吾(福士誠治)はつらい選択を前に、心が揺れる。一方、四宮(星野源)は出産を終えてすぐ仕事に復帰したがる彩加(高橋メアリージュン)を心配する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

第2話も、期待せざるを得ないアバンタイトル

鴻鳥「久保さんは 子宮頚部腺がんの細胞が出ています」

さて、今週も『コウドノドリ』の第2話が始まった。『1』を鑑賞済みの視聴者なら知っているだろうが、本作で描かれる妊娠・出産はすべてハッピーエンドばかりでない。

今回はそれを冒頭のサクラの台詞でビシッと提示。今やガン告知は、このように心の準備が無くても言われる普通の時代。そんなことを知らない人には情報提供になっているのも、テレビと言うメディアの役割を理解している真面目なスタッフの姿が見えて来るシーンだ。

また、ここのサクラが妊婦・佐和子に円錐切除の説明をするのも、丁寧で視聴者にも分かり易くて良かった。とにかく円錐切除はがんの進行を見るために必要な手術だが、円錐切除そのものが切迫早産になりやすいのだ。そして「自分の命か、赤ちゃんか?」の究極の選択を突然、それも1人で受け止めざるを得なかった佐和子。

佐和子の想像できない動揺と、患者の運命を背負い込んだサクラの決心を、BABYの演奏シーンとピアノの音を診察シーンと切り返した編集で、命をやり取りする現場とドラマチックさを同時に魅せた。また「ある人のことを思って弾いたんだ」の台詞が、ピアニストとしての力量もさり気なく表現した。

第2話も期待せざるを得ないアバンタイトルだ。そして、第2話の感想も前回の『かなり濃厚な第2弾』に並ぶ超が付く長文である…

配役の良いドラマは、見ていて不安や不快さがない

まだ、アバンだから素晴らしい。続いては、前回で目の芝居の素晴らしさで私を驚かせ、キャリアウーマンの妊婦・彩加を見事に演じた高橋メアリージュンさんが登場。今回は「大丈夫です」を殊更繰り返す、どこからどう見ても「産後うつ、マタニティーブルー」の症状で…。

我が家にいる周産期医療従事者(助産師)もこう言う。そもそも「うつ病」になりやすい人は、産後うつやマタニティーブルーになりやすい傾向がある。そして、頑張り過ぎる人や人に頼りたくない人たち、真面目な人は要注意だそうだ。なぜなら、うつの人は赤ちゃんを虐待するから…

ドラマの内容とは直接関係ないが、あまりにも高橋メアリージュンさんの目の演技が優れているので、こちらも勝手に担当医の四宮や助産師・小松の目線で、彩加が本気で心配になってくる。ホント、配役も良いドラマは見ていて不安や不快さがない。それに引き換え『わろてんあ』は…この話は止めておこう。

しっかりとメリハリのある台詞の使い方が上手い

メインタイトル明けの術後説明のシーン。早産になればなるほど、赤ちゃんに障害が残る確率が高いと言う、とてもデリケートな問題だからサクラはオブラートに包んでこう↓言う…

鴻鳥「つまり どこまで 赤ちゃんを
   久保さんのおなかの中で成熟させ
   どのタイミングで出産し
   同時に久保さんの治療を開始するのか…」

ところが、この直後に更に佐和子夫婦に厳しい現実が告げられる。このような内容的にしっかりとメリハリのある台詞の使い方も上手いのも、本作が秀作たる所以だ。

鴻鳥「ですが…今お話したのは '産む' 前提のお話です」

何気ないことだが、序盤の診察のシーンで佐和子は鮮やかな赤系の衣裳を着ているが、このシーンでは夫婦揃ってグレーのジャケットを羽織っている。登場人物の衣裳で、この衝撃の現状を真摯に受け止めようとしている夫婦の心をジャケットで、不安な気持ちをグレーの色で表現していると思われる。衣装さんの細かい仕事だ。

ベタな台詞のやり取りでも物語をギュッと締める秀逸なテクニック

診察を終えて、夜の待合室での佐和子と夫・慎吾の会話も身につまされる。慎吾は赤ちゃんよりも妻の命が大切だと言うが、佐和子はこう↓応える…

佐和子「離婚してもいいよ」
慎 吾「えっ?」
佐和子「私の命が助かっても子宮取っちゃったら
    もう子供 産むことできないし」

正直、この類のシーンでの台詞のやり取りは、これまでもあちこちのドラマで使い古された表現だ。しかし、慎吾の次の↓台詞があまりにも堂々としているために、既視感や恥ずかしさなど吹っ飛んで、慎吾と佐和子の夫婦を応援したくなる。

慎吾「子供を産める 産めないで 価値なんか決まんないよ。
   俺は子供を産んでもらうために
   佐和子と結婚したんじゃない」

こう言うベタな台詞のやり取りも入れるべきは入れないと、物語が締まらない。ドラマ作りに手抜きをせず行っているスタッフの姿勢がいい。

肩がこらずに楽しく見ていられる絶妙な緩急の付け方

向井「私のこと 子供 産んでからも 女として見るんです」

幼児虐待のニュース映像の後に、メディカルソーシャルワーカーの向井のこの↑台詞で、医局に笑いが起こる。緊張と重厚なシーンの連続の後のちょっとした癒しのシーン。江口のりこさんの個性が活かされた和みの瞬間。また、四宮を知る謎の妊婦・倉崎恵美の存在も。

こう言う絶妙な緩急の付け方があるから、肩がこらずに1時間楽しく見ていられる訳だ。

サクラが施設で「母と子」の原点に帰るシーンが絶妙な尺で

そして17分過ぎに、サクラが育った児童養護施設。佐和子のことを心配するサクラが施設を訪れ、「母と子」の原点に帰るシーンも良い。尺も描き過ぎず丁度いいし。もちろん、佐和子夫婦の職場であるレストランウェディング会場との切り返しの編集で、授かり婚の新郎新婦に大きな拍手を送る佐和子、それをチラ見する夫。上手いなぁ。

カンファレンスのシーンはリアルに描き過ぎないのが良い

続いて、カンファレンスのシーン。サクラは「28週まで待ちたい」と言う。一方、四宮ら「32週まで待つべき」と対立する。そんな中で四宮から意見を求められた新生児科の新米医師・白川はこう↓答える。

白川「やはり 4週の差は大きいと思います」

因みに、現在の周産期の現場では、赤ちゃんの障害と今後の発達を望むならの「妊娠28週で体重1,000g」がボーダーラインだそうだ。また。外界の1か月=お腹の中の1週間」と言われ、週数と体重はとても大切。このことを面倒な説明を省いて、所属長の今橋の言葉でまとめた。リアルに描き過ぎない良く出来たシーンだ。

逆に、この直後の子宮頸がんワクチンに関する視聴者への情報提供を兼ねたシーンも必要枠だし、そのシーン尻(シーンの終わり部分)を四宮と小松のコミカルな場面で締めくくったのも良かった。

慎吾と佐和子夫婦の "衣裳の違い" にも気付いて欲しい

慎吾と佐和子の夫婦が再び病院にやって来た。慎吾は前回と同様にグレーのジャケットだがシャツは紺色から明るめの青、佐和子はブラウスが白色から花柄へ、グレーのジャケットは白系のカーディガンに変わっている。若干2人の気持ちが開放的になっていると見えるが、慎吾の方がむしろ悩んでいるのが見える…

鴻鳥「お母さん ご自身の手で
   赤ちゃんを育ててほしいからです」

新生児科でなく、母体と赤ちゃんの両方を考える産婦人科医らしいサクラのこの↑台詞で夫婦の気持ちが再び揺らぐ。そんな2人を今橋がNICUに連れて行く。

少し話は逸れるが、我が家にいる周産期医療従事者(助産師)の話では、実際にNICUの可能性のある妊婦さんには、NICUを口頭で説明するらしいが、最近は「コウノドリのあれですよね?」と言う人が多いらしい。そして、実際のNICUのナースも反響の大きさに驚いているそうだ。本作の影響力がとても大きいことの証明ではないだろうか。

妻の女としての強さや母親としての使命に応える夫の言葉

NICUで超未熟児を育てる母親と話した後、病院の中庭で今後のことを話す佐和子と慎吾。慎吾は相も変わらず妻の体調を心配するが、佐和子は違う。

佐和子「おなかの中で できるかぎり育てたい。
    ちゃんと育てて慎ちゃんに迷惑かけないようにしたい。
    慎ちゃんが一人でも大丈夫なように」」

女性の強さ、母親としての使命を感じさせる妻の言葉に、「一緒に生きたいよ」と本音をぶつける慎吾。この一言で佐和子の決心がつく。何とも言えない感動的なシーンだ。

彩加の「産後うつ」の症状が悪化しているのが気になる

再び元キャリアウーマンの妊婦・彩加が登場。もう完全に目がイってしまっている。それに気付いた助産師の小松が「EPDS」と呼ばれる「エジンバラ産後うつ病質問票」の記載を彩加に促す。予想通り自信たっぷりに回答を拒む彩加。さて、どんな回答をしたのだろう。ラストシーンを含めて、彩加が気になる…

それにしても、ペルソナ総合医療センターは周産期医療の最先端を行っている。この彩加の「新生児2週間検診」も産婦人科学会で推奨中だが、スタッフ不足などを理由に大きな病院では実施できていない所が多い。そんなこともさり気なく情報提供しているようだ。

本作の主人公は "妊婦やその家族で無い" のを決定づける

そして佐和子の出産シーン。今回は前回の自然分娩と違って帝王切開のため雰囲気がだいぶ違うが、熱いながらもどこか冷静で沈着した赤ちゃんをNICUに預ける場面での、サクラと佐和子が赤ちゃんを見つめる目の優しさが心に響く。我が子を初めて見る慎吾の場面も実に自然だ。

そして、分娩に続いて自身のがん手術に臨む佐和子。術後、お腹の大きな妊婦と擦れ違う佐和子。NICUで我が子と対面する佐和子。何れも、短いカットだがとても印象的。そして、がん摘出手術も無事に成功したのだろう。サクラに四宮が言うこの↓台詞が心に残る…

四宮「母の手で子供を育てさせたいっていう
   お前の思いが勝ったんじゃないか?」

そう。この台詞が大事。本作の主人公は妊婦やその家族で無いのだ。あくまで産婦人科医サクラが主人公。そして、周産期医療に関わる医師たちの妊婦や赤ちゃんへの気持ちを描くのが本作。この手綱を締めている限り、本作の背骨は決して曲がることはない。簡易な言い方だが、本当に良く出来たドラマだ。

あとがき

褒めてばかりですが、もっとこうしたら良いのに…と思う部分もあります。例えば、産科をスーパーローテート研修中の赤西吾郎をもう少し活かしたら、もっと下屋が前に出て来て『1』からの成長が描けると思います。

また、『1』では登場していた救急救命医の加瀬宏(平山祐介)のような救命医が画面に出て来ると、更に緊迫した医療現場の雰囲気が高まるのでは?とか。でも、面白くて感動できて周産期医療の知識も増える盛りだくさんな本作は好きです。次回も大いに期待します。

最後に。第1話の1回目の感想に46回、かなり濃厚な第2弾の感想に90回ものWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございます。いやぁ、本当に良いドラマです。面白いと言う表現では表し切れない感動や考えなど、様々な思いを巡らせることが出来る作品ですね。引き続き応援したいと思います。

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