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連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第4週『誇り』 『第23,24回』の感想。


 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第23回】
根岸(財前直見)は、まず糸子(尾野真千子)に洋服を着せ商店街を歩かせる。根岸は好きな花を尋ね、糸子がカーネーションを挙げると「その花のように堂々としろ」と教える。続いて心斎橋のカフェに糸子を誘い、本当によい服は夢や希望を与えると話し、糸子は大きな影響を受ける。だが、またも女連れの春太郎(小泉孝太郎)を目にし、糸子は猛然とにらみつける。帰り道では、堂々と会釈する糸子を泰蔵(須賀貴匡)が驚いて見送る。

【第24回】
洋裁の基礎を一週間でたたき込もうと厳しく教える根岸(財前直見)に、糸子(尾野真千子)は必死でついていく。その様子は、見物に来た勘助(尾上寛之)もたじろぐほどだった。楽しいお別れ会の後、根岸先生は「頑張りなさい」の言葉を糸子に残し去っていく。灯が消えたような小原家に、善作(小林薫)がラジオを買ってくる。2年後、小原呉服店は相変わらず不景気だが、糸子はラジオでデパートの火災を知り、制服作りを思いつく。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第23回】不思議な感覚…

不思議な感覚だ。前回 4/26(木)だったから、今回が5日振りの放送となるが、通常の朝ドラで中4日間も空くことはない。それだけに、どんな感覚で第4週の金曜日と土曜日、所謂週末分を見るのか、ちょっと興味津々で迎えた本日の再放送。始まってみれば、何てことなない。いつも通りの “カーネーションの世界” が広がっていた。

根岸が "弁天様=芸術の神様" に見えた!

さて、窓を背にして洋服で正座する根岸で始まった第23回。スカートの裾の広がりやボブスタイルの髪型、逆光気味で身体の輪郭のエッジが輝いて、どことなく後光の射す弁天様のよう。ご存知の通り、弁財天は七福神の紅一点で、芸術の神として民俗伝承のある神様。それを意識しない演出家がいるはずはない…

のどかな中で "糸子のだんじり" が静かに動き出した…

そして、寒色系ではあるが根岸の淡いミルキーブルーのワンピースと対照的に、暖色系や緑の中間色系の和服を身に纏った糸子ら姉妹が登場。色鮮やかな金曜日(放送当時)の朝だった訳だ。その色彩豊かな朝は、根岸のこの台詞↓の直後、明るいカントリー調のヴァイオリンの音色と同時に大きく動き出す…

根岸「これに着替えて」

ついに、糸子が洋服を着た。淡いピンク色のワンピースを着て立ち上がる。糸子の背後の壁に飾ってある2枚の習字が目を引く。1枚は「和気(=のどかな陽気、のどかな気分)」で、もう1枚は「地車(=だんじり)」だ。のどかな雰囲気の中で “糸子のだんじり” が静かに動き出したのだ。

「ウエスト」も知らない糸子が、腰のベルトの位置を上げただけで足が長く見えることに、目をキラキラと輝かせたり、ヒールのある靴を履いただけで「もっと長なった」と、まるで子供のようにはしゃいだりする姿が可愛らしい。髪型も洋装風に整えて、外出するために自分の前を静かに通る糸子を見た善作の動揺っぷりったら、ありゃしない。

糸子にとって、根岸の "一生ものの言葉" が…

いよいよ街を歩き出す洋装の糸子と根岸。まるで西部劇で荒野の中の街に馬に乗ったガンマンが登場するようなバックショット(後ろ姿)が印象的だ。背筋をピンと張って堂々と歩く根岸と、背中を丸め腰が引けている糸子が対照的に描かれる。そして、このシーンで糸子から「カーネーション」と言う言葉が登場した。

根岸「堂々としなさい。
   洋服を着て胸を張って歩くという事を
   あなたの使命だと思いなさい」

「カーネーションのように堂々と」と言う意味で言った根岸のこの言葉↑だが、「洋裁を教えて欲しい」と言っただけの糸子に、なぜ “あなたの使命” とまで言ったのか。もちろん、言われた当の糸子も良く分からぬ表情だったが、この言葉がのちの糸子の運命を左右したり窮地に思い出したりする “一生ものの言葉” になるに違いない。いいシーンだ。

『半分、青い。』に無い "丁寧な過程の描写" がある

例の高級パーラーで一休みする2人。三色アイスにウエハースと、四角いアイスクリームスプーンを持つ巻き髪で洋装の糸子がとても新鮮。ここでまた根岸から名言が飛び出す。

根岸「本当にいい洋服は 着る人に品格と誇りを与えてくれる。
   人は 品格と誇りを持てて初めて夢や希望も 持てるようになる。
   いい? あなたが志している仕事には
   そんな大事な役割があるのよ」

内容の感想から反れるが、冒頭で今回が第4週の金曜日分と書いた。この時点で本作は既に、糸子自身が将来どう言う商売、どう言う人間になるのか見えていないが、根岸にはそれが見えていると言う描写になっている。この脚本の全体を見据えた構成がいい。

恐らくこの放送時点でも、多くの視聴者が「小篠綾子の生涯がモデル」であることを知っていたはず。だからこそ、妙に「小篠綾子」になって行くであろうフラグ立てや伏線張りをせずに、糸子自身でなく “周囲からの見た糸子” で、のちの姿を想像させ易くしていると思う。

何となく漫画家になりたいと思って漫画を描いたら、何となく弟子入り出来ちゃった『半分、青い。』とは雲泥の差と言わざるを得ない。そう、本作には “丁寧な過程の描写” があるのだ。決して “ポエム” な台詞で誤魔化ことはしないのだ。

"小鳥のさえずり" で糸子の心の変化を巧みに表現

それは、道で泰蔵と擦れ違うシーンでも見て取れる。恥ずかしそうに根岸の影に隠れる糸子の態度を素早く察知した根岸が、言葉でなく「会釈」の仕草だけを教える場面だ。またここでヴァイオリンを中心としたストリングスの劇伴。

特に糸子と泰蔵が擦れ違う瞬間は “小鳥のさえずり” を効果音で加えて、糸子の心の変化を巧みに表現していた。

これを『半分、青い。』風にやったら、なら泰蔵が「おぉ!」とか、根岸が「ごきげんよう」とか言いそうだが、本作はやらない。劇伴と小鳥のさえずりと角を曲がって行く糸子だけで魅せた。これが演出。これがドラマだ。

「食べる」と言う行為を映像化する意味…

終盤の祖母・ハルと根岸の関係修復のシーンも楽しかった。それを家族団らんの夕食の場面に持って来たのが如何にも朝ドラらしい。やはり、家族が一緒にご飯を食べるシーンはいい。「食べる」と言う行為は、食欲と言う他人にはあまり見せたくない人間の本能が出る行為。だからこそ、ハルと根岸の本音が映った、そして見えたのだ。

【第24回】洋裁教室の残り6日分をどう描く?

さて、前回で1週間の第1日目が終わり、残りの6日間をどう描くのか、とても気になっていた。今回で終わるのか週を跨ぐのか? もちろん、ここで尺を割くのは得策でない。なぜなら今は話を進めるべきだから。先生の面白キャラをダラダラ描く『半分、青い。』とは違うのだから。

師匠と弟子の心が通い合っていた…

で、予想通りに、いや予想以上に「善作と根岸の謡の授業」も並行に描かれ、糸子の成長も、糸子このナレーションでビシッと描いた。師匠と弟子の心が通い合っていたのだってことを…

糸子(N)「けど うちと おんなしくらい必死で
     教えられるだけの事を 教えようとしてくれました」

主人公が泣くには明確な理由が無いと共感出来ない!

そして、「お別れ会」と言う名の食事のシーンだ。僅か47秒間の「お別れ会」だが、皆が一緒にご飯を食べることで、皆が1つになる。折角1つになったのに、別れるから悲しいのだ。登場人物、特に主人公が泣くには明確な理由が無ければ、視聴者は共感出来ないのだ。そう言うものなのだ。

だから、5/1放送の『半分、青い。』での主人公の涙はダメだってこと。

「2年間の時間経過」もさらりとこなし…

根岸が去った小原家は灯が消えたよう。そこからの脱出をラジオ1つで描いたのも良かった。無理に根岸との回想シーンなど挟まずに、ラジオ体操や善作の謡や食事の場面を繋ぎ合わせて、小原家の日常の変化を丁寧に描いた。そして、その流れのまま「2年の時間経過」をさらりとこなした。

登場人物が情報の単なる受け手で終わると、つまらない

そう言えば、意外? に糸子は新聞を読む。まっ、時代が時代だから当然だが。人伝でなく新聞から糸子が情報を取ると言うのが意外と新鮮だ。最近の朝ドラはすぐにご近所さんや同級生が情報を持って来て、登場人物が情報の単なる受け手で終わるつまらない作品が多い。

しかし、本作の糸子は新聞を読む。そこから何かを感じ取る。以前に「不況」を文字からも感じ取ったように。そして今回はデパート火災の記事のこの中見出し↓に目を留める。

「裾の乱れを気にして むざむざ(=なすすべもなく)死んだ女店員」

この1週間分もこれまでの4週間分も、脚本と演出がお見事!

そして、デパートの女店員の制服の洋服化を思い付く。心斎橋で、大阪中で最初に思い付いた人間であることを乗りつつ、心斎橋のデパートに急ぎ走る糸子が、百貨店を見上げるアップで土曜日が終わった。これ、お見事と言うしかない。理由は簡単。予告編の編集も良く出来ており、単純に先が見たくなったから。

特に、國村隼さん演じる百貨店の支配人らしき人物と糸子で一悶着があった上で、何となく上手く行きそうな展開と、相変わらずの頑固者の善作との関係も、とても気になる。これで第4週が終わり。本作、今のところは恐ろしい程に完成度が高いのは間違いない…

あとがき

話を進めるために絶対に必要ですが、どうしても単調になりがちな説明の部分と、本作らしさを醸し出すための雰囲気づくりの部分の両方がバランスよく描かれた上で、ドラマで何よりも大切な人物描写が疎かになっておらず、更に言えば、脇役も描いて主人公はもっと描いて楽しませる。それが出来ていますね。今のところ、見ていて不満はありません。

最後に。前回(第21,22回)の感想に 121回、4/26投稿「放送延期」の感想? にも 79回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。朝ドラ好きで本作初見の読者さんたちの本作への期待感と、『半分、青い。』への落胆ぶりがよ~く分かりました。だって、私も同じですから。あー、楽しい朝ドラの感想を書くのは気分が良いです…

ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人が、多くて困っています。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※しばらくの間、テンプレです(謝)

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1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16 17,18
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19,20 21,22


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  • 根岸先生、かっこいい
わらいめし 2018/05/01(Tue)23:26:13 編集
凛としていて、使命感に燃えていて、本当に憧れますね。財前直見さんもキャリアの長い女優ですが、私は本作の根岸先生役が一番印象深いです。
  • Re:根岸先生、かっこいい
みっきー 2018/05/02 09:34
☆わらいめしさん
コメントありがとうございます。

>凛としていて、使命感に燃えていて、本当に憧れますね。財前直見さんもキャリアの長い女優ですが、私は本作の根岸先生役が一番印象深いです。

財前直見さんにピッタリの役ですよね。
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