ドラマ「おっさんずラブ」Blu-ray鑑賞 感想と採点 ※ネタバレなし

テレビ朝日系・土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ』（公式）を Blu-ray BOX にて鑑賞。
採点は、★★★★☆（最高5つ星で、4つ）。100点満点なら80点にします。

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【私の評価基準：映画用】
★★★★★  傑作! これを待っていた。Blu-rayで永久保存確定。
★★★★☆  秀作! 私が太鼓判を押せる作品。
★★★☆☆  まあまあ。お金を払って映画館で観ても悪くない。
★★☆☆☆  好き嫌いの分岐点。無理して映画館で観る必要なし。
★☆☆☆☆  他の時間とお金の有意義な使い方を模索すべし。

ディレクター目線のざっくりストーリー

結婚願望は強いが全くモテる気配のない33歳の春田創一（田中圭）は、会社の上司で尊敬する黒澤武蔵（吉田鋼太郎）と後輩の牧凌太（林遣都）の2人の同性から告白される。春田は戸惑いながらも、ピュアな恋心の黒澤部長と牧、牧の元カレなどの男たちとの関りの中で、いつの間にか心を揺さぶられ…

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原作：なし
脚本：徳尾浩司（過去作/あいの結婚相談所、警視庁ゼロ係S.3）
演出：瑠東東一郎（過去作オトナ高校、探偵が早すぎる） 第1,4,最終話
　　　山本大輔（過去作/オトナ高校、ホリデイラブ） 第2,5話
　　　Yuki Saito（過去作/昼のセント酒） 第3,6話
音楽：河野伸（過去作/ATARU、重版出来!、大恋愛～僕を忘れる君と）
主題歌：スキマスイッチ「Revival」(AUGUSTA RECORDS / UNIVERSAL MUSIC LLC)

今年夏の映画化と本年中の連ドラの続編制作決定を受けて…

実は、連ドラ『おっさんずラブ』はノーマークだった。特に理由は無いが、あるとすれば、テレビ朝日系列『土曜ナイトドラマ』枠の一連の作風が苦手だからと言う事になるか。しかし、あまりの世間での評判の高さ、2019年夏の映画化と2019年中の連ドラの続編制作決定の情報を得て、この度ついに Blu-ray 鑑賞した。

ネタバレ云々はどうでも良いとは思うが、私のように話題になっているから遅ればせながら見てみようと言う読者さんもいるだろうから、今回はネタバレなしで感想を書いてみる。

なぜ"男性同士の恋愛ドラマ"が大旋風を巻き起こしたのか?

まず、本作で描かれた “男性同士の恋愛” と言うモチーフが、（本放送当時 2018年4～6月では）今時らしいとか斬新だとか、あれこれ言ったところで、正直 “好みが分かれる内容” であったのは間違いないと思う。

しかし、本作はツイッターの「世界ドレンド1位」を記録したり、『新語・流行語大賞2018』でトップ10入りを果たりする程の大旋風を巻き起こした。それは何故なのか？

「BL」が、女性にウケる理由は想像がつく…

「BL（和製英語「ボーイズラブ」の略で、日本に於ける男性（少年）同士の同性愛を題材としたエンターテインメント全般を指す）」が、現実の恋愛が上手く行かなかったり、“女性らしさ” に自信が無い女性にウケるのは何となく分かる。一般的な「BL」描写は、現実的に面倒な性差を意識せずに客観的に恋バナを楽しめるだろうから。

また「BLあるある」的に言えば、男女のカップルのような性別による役割分担が殆ど無いとか、基本的に共働きだから共感し易いとか、上下関係みたいなものが余り存在しないとか、「女だから生き辛い世の中」への憂さ晴らし的な痛快さを感じるとも思う。

男性にもウケたのは、純粋な思いを描いた恋愛ドラマだから

しかし、本作は男性にもウケた。私も全7話を一気見する程に楽しく観た。その理由は何なのか？

実は、本作で描かれた「三角関係」「社内恋愛」「元彼との完全に切れない関係」と言った一般的な恋愛に於ける “恋愛あるある” に加えて、「最終回直前の別れ」「際どい擦れ違い」「結婚式を抜け出す」など “恋愛ドラマあるある” が多分に散りばめられており、実に「ベタ」だし「既視感」もある。なのに、新鮮で面白い。

それは、何よりも最近では数少なくなった「純粋な気持ちを真正面から丁寧に描いた恋愛ドラマ」だからだと思う。

「人が人を好きになるのに理由は要らない」を描き切った!

全編に漂う、会社内の人間関係や、1対1の人間関係に於いても、人間同士が通い合う事によって生じる温かさ、思いやり、潔さ、可愛らしさを丁寧に描写し積み重ねる事で、ちょっと変わった関係を見る興味と彼らの関係を見守る優しさを、時にコミカルに時にシリアスに表現しながら、「人が人を好きになるのに理由は要らない」ってことを描き切った。

英語での「chemistry（ケミストリー）には、「化学物質」や「化学作用」と言う意味の他に、「相性、波長」や「意気投合する、ウマが合う」が転じて、「恋をすること」と言う意味もあるそうだ。「恋に理由は要らない」の反対側に「恋するには様々な感情や作用がある」とも言える。

人の心の透明感を描き、視聴者たちの心の洗濯をしてくれた

結末には敢えて触れないが、全ての登場人物たちが相手に対して「君に会えて良かった」と言う本作は、人の心の透明感を描いて、視聴者たちの心の洗濯をしてくれたと思う。

その意味で、本作は「BLドラマ」や「恋愛ドラマ」を超越した、徹底的にその登場人物の人間としての内面と、人間同士の言動を描いた「極上のヒューマンドラマ」に仕上がった。

「ドラマは人を描く」に真摯に向き合えば結果は付いて来る

それが可能になったのは、スタッフとキャストが一丸となって、奇抜な設定や客寄せの配役に踊らされずに、しっかりと地に足を踏ん張って、連ドラ『おっさんずラブ』で人間の本質を描こうと徹底的に作り込んだ結果だと思う。

やはり、私がいつも言うように「ドラマは人間そのそもの描くもの」がドラマづくりの本質であり、そこにきちんと向き合えば、自ずと評価や結果は付いて来るのだ。

あとがき

星★を1つ減点した理由は、全7話構成として捉えると…。最終回に、もっと “ラブコメらしさ” を盛り込んで欲しかったし、もっともっと “サプライズ” を魅せて欲しかったから。もちろん、最終回が不満と言うのでなく、第6話までが毎回新鮮な笑いと感動に溢れていたので、「最終回はそれらを超えて欲しかった」と言う贅沢な願いです。

そして、マイナス1つの星★を、劇場版や連ドラの続編で埋めて欲しいと言う願望も込めました。まだ、見ていない読者さん、機会があったら見て下さい。食わず嫌いは勿体ないです。DVD-BOX や Amazon Prime でも観られます。そして最後に、俳優陣の演技と見事な配役も、本作の高評価に一役を買っていた事は言うまでもありません…

  

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