連続テレビ小説「エール」 （第24週・最終週/土曜日版・2020/11/28） 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』（公式サイト）
第24週（最終週）『エール』の 『土曜日版』の感想。


※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。

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アキラ（宮沢氷魚）が華（古川琴音）との結婚の許しを得ようと古山家にやってくる。ぶ然とする裕一（窪田正孝）と心配する音（二階堂ふみ）。裕一と音は、アキラのロカビリー歌手という不安定な職業や、これまでの派手な生活から結婚に反対する。しかし、華を思って作ったアキラの歌を通して彼の本気を感じた裕一は、音との結婚も自分たちを信じる気持ちで親が許してくれたことを思い出す。
それから数年後、裕一の元に、東京オリンピックの開会式の入場行進曲の作曲依頼が舞い込む。裕一は、これまでの人生を振り返りながら、平和の祭典に向けてこん身の一曲を書き上げる…。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---

華の結婚話に、本当に数日分も必要だったのか？

「土曜日版」を見て、改めて感じたのは、週を跨いで描かれた、華の結婚話は本当に数日分も必要だったのかとは思う。先週のうちにサクッと終わらせておいた方が絶対に良かったと思う。明らかに、時間の無駄遣いだった。

華の恋バナに時間を割くなら、華の恋バナに裕一と音の結婚場話を重ねるなら、もっと以前から華と言う人間をしっかりと描くべきだったと思う。

撮影前からエピソード等の取捨選択が精査されていたのか？

音の母・光子の死もそうだが、本作は時々、描くべきことと、描く必要のないことの取捨選択が間違うことが多かった。スピンオフの週もその一つだ。話数減少が全体のストーリーに大きな影響を与えたのは理解するが、撮影中断前にあの第12週『アナザーストーリー ～それぞれの愛のカタチ～』は撮影済みだったとされている。

だから、やはり、撮影当初からエピソード、描く登場人物、使う俳優の取捨選択が、本作のテーマを描くことと。きちんと精査されていたのかは、大きな疑問として残る…

日村さんが「土曜日版」のナビゲーションを止めるのは残念

そして、「土曜版」の最終回を見て思ったのは、バナナマン日村さんが、「土曜日版」のナビゲーションを今作で止めてしまうのは残念だなぁと言うこと。間違いなく、本編が雑な作りの時は、土曜日のナビゲーションが間違いなく補足と補強をしていたから。

「実質的な最終回」と「コンサート」を見て感じたこと…

さて。本作の総括的なことは、実質的な最終回だった木曜日の感想に書いたし、本当の最終回である金曜日の「コンサート?」を見終えた感想で、本作全体の総括をする必要はないと思うと書いた。前述の思いは、「土曜日版」を見ても変わらなかった。

しかし、「実質的な最終回」と「最終回のコンサートでの裕一と音のアイコンタクト」の2回分を何度も見直して、新たに感じたことがあった。

2日間で描いた"裕一と音の夫婦の3通りの最後"は"余白"…

それは、裕一が、晩年に乳ガンを患った音と、自分が作曲した数々の楽曲たちと闘病生活を送ることを決意したことと、木の床から豊橋の海岸を無邪気に駆け回る若かりし姿の裕一と音の夫婦像、そしてNHKホールのステージで夫である裕一が指揮するオーケストラをバックに歌手になる夢を叶えた音…

この3つを敢えて “裕一と音の夫婦の3通りの最後” とするならば、これは、作り手が、視聴者それぞれが、裕一と音の3通りの最後を見る時間、所謂、「木曜日と金曜日」が「自分の人生を振り返る時間」であり、歌を聞きながら、視聴者それぞれがこの3通りの最後を、どう感じるか？ どう想像するか？ そのような “ゆとり” を持たせたのではないかと思ったのだ。

本作に"余韻"は無いが自分の人生を振り返る"余白"があった

だから、敢えて言ってしまうが、本作には “余韻” が殆ど無い。“余韻” は無いが、考えたり感じたりする “余白” があったのだ。それが、私が考える、「木曜日と金曜日」に最終回を分けた企画意図であり、余韻を残さず「週5放送」の中で「自分の人生を振り返る時間」を消化させた脚本と演出だったのではないか… と思ったのだ。

コロナ禍の現実と、作品のテーマが奇跡的に合致した!

そして、『エール』の感想の最後に、どうしても書き残しておきたいことがある。それは、「現実の世界と、ドラマのテーマが、奇跡的に繋がりを持ったことだ。皆さんもご存知の通り、世界は未曾有のコロナ禍だ。春の自粛期間中は当然のこと、今でも人の心は深く沈みやすい助教にある。

しかし、奇しくも、新型コロナウイルス感染が騒がれ始めた頃に放送が始まった朝ドラのタイトルが『エール』だ。「エール」とは、 “相手を勇気づけるための行動” であり、 “相手の健闘を祈ったりする目的で掛ける声のこと” だ。

本作のテーマである「音楽や歌は、どんな時代でも人々を励まして来た」が、コロナ下で疲弊した人たちの “エール” となったのは、奇跡か、はたまた運命的なものさえ感じてしまうのだ。

あとがき

正直、放送中断の前後は、明らかに中弛みがありました。もっと、裕一を、もっと裕一の作曲を、もっと裕一の音楽を描いて欲しかったと言う思いもあります。ただ、終わってみると、本作が「志村けんさんの遺作」となったことの作り手への重圧はあったと思います。でも、朝ドラらしからぬ “インパール作戦” の戦争描写の挑戦もありました。

『エール』と言う作品は私の中では、朝ドラとしての完成度の得点は決して高い作品ではありません。でも、数年後、10数年後に「『エール』と言う朝ドラと共に生きた8か月があった」と記憶に残る作品だったのは間違いありません。そんな作品と出会えたのは、未曾有の今の中の “奇跡的な幸せ” だと思います。

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第1週『初めてのエール』
1 2 3 4 5 土
第2週『運命のかぐや姫』
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16 17 18 19 20 土
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21 22 23 24 25 土
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6
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いよいよ来週から! 連続テレビ小説「エール」再開SP
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