連続テレビ小説「虎に翼」 （第21回・2024/4/29） 感想

NHK総合・NHK BS・ﾌﾟﾚﾐｱﾑ4K／連続テレビ小説『虎に翼』
公式リンク：Website、X(旧Twitter)、Instagram

第21回／第5週『朝雨は女の腕まくり？』の感想。

※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。

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直言（岡部たかし）ら１６人が贈収賄の容疑で逮捕された「共亜事件」は世間の注目を集め、寅子（伊藤沙莉）は大学に行けずにいた。そんな中、花岡（岩田剛典）と穂高（小林薫）が猪爪家にやってくる。穂高が直言の弁護を引き受けてくれることになり安どする寅子たち。逮捕から４か月後、予審が終了し、「罪を自白した」と書かれた新聞記事に戸惑う寅子たちの元に直言がようやく帰ってくる。
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------

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原作：なし
脚本：吉田恵里香（過去作/恋せぬふたり,生理のおじさんとその娘）
演出：梛川善郎（過去作/べっぴんさん,おちょやん,あなたのﾌﾞﾂが､ここに） 第1,2,4週
　　　橋本万葉（過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘） 第3週
　　　安藤大佑（過去作/とと姉ちゃん,となりのﾏｻﾗ,やさしい猫） 第5週
音楽：森優太（過去作/海の見える理髪店,あなたのﾌﾞﾂが､ここに,忘恋剤）
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博（明治大学 法学部 専任教授）
料理指導：赤堀博美（過去作/花咲舞が黙ってない,厨房のありす）
タイトルバック制作：シシヤマザキ（公式サイト ）
取材：清永聡（NHK解説委員:司法･事件･公文書管理･災害）
語り(本編)：尾野真千子（過去作/ｶｰﾈｰｼｮﾝ,長谷川町子物語,足尾から来た女）
語り(土曜日版)：山下誠一郎（過去作/Eﾃﾚ｢小雪と発酵おばあちゃん｣）
副音声解説：山崎健太郎（過去作舞いあがれ!,らんまん,ﾌﾞｷﾞｳｷﾞ）
制作統括：尾崎裕和（過去作/恋せぬふたり,鎌倉殿の13人）
※敬称略

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"大型連休だから毎日見る習慣の人も見ないかも？"だから…

「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです！
当ブログに来てくださり、ありがとうございます。

今週も「共亜事件」の続きだ。

そこで、もしも史実が気になるなら、第4週『屈み女に反り男？』・第20回（4/26）の感想で解説したので、下記のリンクから読んでいただきたい。

「共亜事件」のもとになった「帝人事件」をプチ解説 

そして、冒頭から丁寧な解説、説明だ。

アバンタイトル（2分19秒）の前半の約90秒で前回の振り返りをやった。

寅子（伊藤沙莉）の家のトラブルではあるが、しっかりと山田よね（土居志央梨）、 桜川涼子（桜井ユキ）、大庭梅子（平岩紙）らの回想シーンを入れて、世界観が狭まることに配慮した編集だ。

更に、さりげなく先週で涼子の夫・徹男（飯田基祐）を特別教師に呼んだ際の穂高（小林薫）の腰痛も回収も（笑）

こういう編集は、先週も書いたとおり「大型連休だから毎日見る習慣の人も見ないかも？」だから、視聴者サービスとしても良いことだ。

リーガルものとして面白いから、一粒で二度おいしい

メインタイトル映像明けも、いい感じだ。

穂高「いや 『目から鱗(うろこ)』だったよ」

か～ら～の。

花岡「お兄さん 頭を上げてください」
優三「あっ いや… 僕はお兄さんでは…」
花岡「えっ？」
優三「僕は ただの書生です」
寅子「ただのじゃないです。優三さんは家族ですよ」

おもいを寄せる女性の近くにいる若い男性を「お兄さん」と呼んじゃうのも、お約束だし。

「優三さんは家族ですよ」も、恐らく、あれこれのネタ振りだし（笑）

花岡（岩田剛典）と優三（仲野太賀）の表情の違いが “恋のライバル” 風でホントにいい。

きっと「視聴者の多くが、これから数日間は重苦しい展開になるのを承知していると思うのだ。

だからこそ、こういった微笑ましい描写が入ると、ホームドラマらしさが見えてホッとできる。

「今作は、朝ドラ初のリーガルドラマで、ホームドラマではない！」なんて乱暴な論調も見受けられるが。

どこをどう解釈したら「ホームドラマではない！」といえるのだろう？

女性初の弁護士になる主人公のホームドラマを描いている「家のトラブル（水回りなどのトラブルじゃない・笑）」だから、リーガルもの風になっているだけ。

そして、リーガルものとして面白く作っているから、一粒で二度おいしいだけなのだ。

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今作には、"よく見るカメラワーク"がない"のが、とても良い

よねたちの学友としての友情と、轟（戸塚純貴）のナイス・アシストがあって。

花岡が「不器用で いろいろ考え過ぎちゃう人なのね」であることも判明するし。

ちょうど半分の８分過ぎから、一気に再び重苦しい雰囲気に転換だ。

そこで、少し演出に触れてみる。

以前にも書いたと思うが、最近の朝ドラでやたらと安易に多用する “あるカメラワーク” がある。

それは、「怒涛の」「衝撃の」「涙の」「絶望して」「激高して」などの、主要登場人物が異様に高揚した場面で使われる “手持ちカメラによるブレブレ＆ゆらゆら映像”） だ。

別に全否定するつもりはない。

しかし、“手持ちカメラによるブレブレ＆ゆらゆら映像”を使うことで、キャラクターの高揚感を描写した “気になっている” 稚拙な幼稚な演出家が多いのだ。

しかし、今作は、今週で４人目の演出担当になるが、今のところ、一人も、一度もお目にかかった記憶がない（あったかもしれないが）。

今回なら、検察官・日和田（堀部圭亮）が直言（岡部たかし）を取り調べる場面で、“ブレブレ＆ゆらゆら映像” を使っていてもおかいしくない。

前作『ブギウギ』では、梅丸の社長・大熊熊五郎（升毅）が劇場でトップスターの大和礼子（蒼井優）を解雇すると進言するくだりに怒りまくるスズ子（趣里）のときが、目も当てられぬ“ブレブレ＆ゆらゆら” だった。

でも、今作はこれまでも毎週のように差別表現を描いているのに、“ブレブレ＆ゆらゆら” は使わない。

こういう部分も、私には「朝ドラらしからぬ朝ドラ」と評価するゆえんなのだ。

簡単にいえば、俳優がキャラクターの心情を的確に演じてくれたのなら、余計なことはしなさんな！ ってことなのだ。

それが、演出家の俳優へのリスペクトだと私は思う。

モロボシ・ダンの森次晃嗣さんとアマギ隊員の員古谷敏さん

息が詰まる展開だから、ここでひと休みひと休み… by 一休さん（笑）

今回で、一番目を引いたのが、貴族院議員の水沼淳三郎を演じた森次晃嗣さんだ。

昭和世代なら、森次さんが特撮ドラマ『ウルトラセブン』のモロボシ・ダン役などでご存じの存在だ。

あの堂々としてふてぶてしい演技で、どこから見ても “正義の味方”ではなく “ラスボス” だ。

そして、今回は新聞紙面上での登場となったのが、 クレジット記載で現職商工大臣として逮捕された若島武吉（若島男爵）役で確認できた古谷敏さんだ。

©NHK

古谷さんといえば、ウルトラマンの初代スーツアクターで、『ウルトラセブン』ではアマギ隊員を演じた我が青春のヒーローだ。

その上、“意外にいいやつ” な花岡を演じる岩田剛典さんは、リーガルドラマとして日曜夜放送中の日曜劇場『アンチヒーロー』（TBS／2024）で、金髪で無表情の殺害事件の被告人を演じている。

更に、岡部たかしさんは、現放送中の連ドラ『約束 ?16年目の真実?』（読売・日テレ／2024）では、捜査第一係の課長役。

ほかにも、平岩紙さんは『ブルーモーメント』、仲野太賀さんは『季節のない街』、戸塚純貴さんんは『肝臓を奪われた妻』など、列記したらキリがない。

人気実力がある俳優さんは引っ張りだこのようだし、ドラマファンとしては俳優さんの演技を楽しめる良き機会になっていると思う。

脚本家が書いたことを、俳優の演技で、演出が見せて魅せる…

10分過ぎ、夕景の長くぼやけた影で家に帰ってきた直言（岡部たかし）。

長くぼやけた影と岡部たかしさんの演技だけで、憔悴しきった直言が伝わる。

だらりと垂れた腕と、力が抜けて怒りで握ることもできない、一瞬だけピクッとだけ動く左の手のひらが印象的だ。

前述したとおり、ワンカットも“ブレブレ＆ゆらゆら” せず。

シーン頭の影で入っているカット以外は、ラストシーンまで、すべてフィックス（カメラを三脚に固定して、カメラの首を振るだけ）で撮影・編集されていた。

「カメラが不要に動かない」から「俳優さんの動き」に注視できるのだ。

創作料理の店にありがちな「シェフの気まぐれサラダ」じゃあるまいし。

演出家の気まぐれや、撮影スタッフの腕試し、「何となく」で“ブレブレ＆ゆらゆら” させるなんて愚の骨頂だ。

その場面で、映像で見せて（show）魅せる（fascinate）べき！ことを取捨選択すべきなのだ。

ドラマは、スタッフの技術のお披露目会、テクニックの見本市でもない。

脚本家が書いたことを、俳優の演技で、演出が見せて魅せる… それが “ドラマ” なのだ。

そんな単純で当たり前のことをやっているだけだが、そんなこともできない “ドラマ” が多いから、今作を大いに評価したくなるのだ。

今週が初演出の安藤大佑氏は"弱い人を応援する"作風が得意

さて、最後に今週の演出担当で、今作は今週が初演出の安藤大佑氏について書いてみる。

私が、安藤大佑氏の演出作品を意識し始めたのが、NHK佐賀放送局時代に制作された『私が初めて創(つく)ったドラマ』（NHK／2010）だ。

星野源さん演じる若き佐賀県のフィルムコミッションの職員が怪獣映画のロケの誘致に奔走するドラマだ。

DVDが購入できるから、興味があったら見てほしい。

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そして、安藤氏のルーツは、東京外語大学在学中（韓国語専攻）に製作した短編映画『けつわり』（2019）の脚本・監督でにわかに注目していた映像作家と同一人物であるとつながった。

「けつわり」は漢字で「尻割り」と書き、建設業界用語で、請け負った仕事を完成させずに途中で投げ出してしまうことで、由来は韓国語の「逃亡する＝ケッチョガリ」だとされる。

安藤氏の祖父の実話をベースに、戦時下における朝鮮人と日本人の交流を描いた作品だ。

更に最近は、ネパールコミュニティに入れずに困惑する日本人と在日外国人の交流を描いた、NHK福岡ドラマ『となりのマサラ』（NHK／2020）。

違法滞在中のスリランカ人男性と日本人女性の結婚問題を描いた、NHK 土曜ドラマ 『やさしい猫』（NHK／2023）の演出も手掛けている。

これらのことからも、安藤氏が「誰もができないと思うことを必死に実現する人たち」や「あらゆる差別を乗り超える人たち」を応援する、支える作品に注力する演出家なのはお分かりいただけると思う。

だから、今週の演出担当に適任だし、期待したいのだ。

『けつわり』予告編　ヤン・イクチュン主演

あとがき

穂高「君にしかできないことがある」

これで、寅子が主人公としてやるべきことが分かりやすく提示されましたね。

見ても分かるように、今週は「男女差別」と距離を置いた物語です。

これで、第10回で寅子が言ったことが、更に強調されると思います。

寅子「私はね 法は弱い人を守るもの。
　盾とか 傘とか 温かい毛布とか
　そういうものだと思う」

今週も楽しみです。

みっきーの植物図鑑（第227回）

大型連休の３日目ですが、今年は５月、６月に控えているやや大きめの仕事(汗)の準備をコツコツとやっております。

写真は、快晴の今朝、近所の公園で見かけた鈴なりに咲く白い花。

エゴノキ科の「ハクウンボク（白雲木）」です。

白い花が美しく群がって咲く様子が、白い雲のようなので「白雲木」だそう。

香りが強くて、清涼感はあるのですが、とにかく甘さがきついといいますか。
だから、蜂がブンブンと飛び交っていて、ちょっと危険でした。

花言葉は、「壮大」「愛の旅」「朗らかな人」。
素敵な花言葉ですね。

妄想映画｢ﾄﾗつば･ｱﾍﾞﾝｼﾞｬｰｽﾞ／ｳｨﾒﾝｽﾞ･ﾌｧｲﾄ｣

★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”

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【これまでの感想】

第1週『女賢しくて牛売り損なう？』
1 2 3 4 5 土 
第2週『女三人寄ればかしましい？』
6 7 8 9 10 土 
第3週『女は三界に家なし？』
11 12 13 14 15 土 

朝ドラ「虎に翼」は、「戦隊モノ」でなく「和製アベンジャーズ」だと本気で思う理由 

第4週『屈み女に反り男？』
16 17 18 19 20 土 
第5週『朝雨は女の腕まくり？』

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感想の趣旨について

当ブログの感想は、僭越ながら 「もっと こうしたらよいのに…」を追究 することで、広く映像作品を楽しめるようになることを目的としています。
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。

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