映画「犬とあなたの物語 いぬのえいが」 感想と採点 ※ネタバレあります

映画『犬とあなたの物語 いぬのえいが』（公式）を、先日（1/23）鑑賞。日曜日の午後の回で観客は40名ほど。

最初に言っておきますが、私は犬嫌いです。
小さい頃のトラウマがありまして、目を合わせるのも触るのもダメです。
でも、誰でも好き嫌いがありますし、それには理由があるわけで、その辺を垣間見れるかな？と思って観てみました。

採点は、★★☆☆☆（5点満点で2点）。100点満点なら30点。前作は観ていないので比較していませんし、もちろん、犬が出演しているから評価が低いのではありません。

ざっくりストーリー

【1.あきら】カフェでお茶をする中尾彬（本人役）と「あきら」と呼ばれる犬との話。
【2.愛犬家をたずねて。】恐るべき愛犬家が次々登場する番組仕立て。
【3.DOG NAP】愛犬の誘拐事件発生。。犬好きの刑事（内野聖陽）と犯人の話。
【4.お母さんは心配症】長男の結婚式に出席中の美知代（高畑淳子）は、家に残した愛犬が気になり、被害妄想がエスカレートしていく…
【5.犬の名前】翻訳家の一郎（大森南朋）は幼少時の犬との辛い思い出から犬嫌いになっていたが、妻の美里（松嶋菜々子）は新居にラブラドール・レトリバーのラッキーを連れて来る。二人と一頭の生活が始まるが、一郎に病魔が襲う。苦悩する二人を救うのは…。
【6.バニラのかけら】昨秋愛犬バニラを亡くしたことを忘れられない奈津子（北乃きい）が、公園で茉奈（芦田愛菜）の飼うバニラそっくりの犬に惹かれ、一緒に散歩に出る…
長短編が混ざった6つの犬にまつわるオムニバス映画。

「愛犬家なら大人も子供も楽しめるのか？」と心配になる…

私は、事前情報無しに観に行ったため、中盤でいきなりシリアス路線転向したり、急にコント風になったりとビックリした。
特に、【5.犬の名前】では、場内の子供があちこちで「つまんない」と言い出すし、大人たちもざわざわしだした。私は勝手に「犬好きの人の気持ちもわかるなぁ」って気分にさせてくれると思ったから、些か期待はずれだった。

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今回も相当辛口の感想なので、出演者やスタッフのファンの方や、最初から2点の採点に異論のある方は読まない方が良いです(と言うか読まないでください)。
「意見には個人差があるから」と寛大なお心の方のみ、採点の理由も含めて詳しい話はネタバレがあるので、右下からどうぞ。

ここからネタバレあります！

メイン料理が残念なフルコースみたい！

フランス料理のフルコースに例えると、1話目はオードブルに相応しいフルコースの幕開けを感じさせる面白さ。2話目は短編集だが、生瀬勝久さんや小倉智昭さんが登場してなかなかスパイシーなスープ。3話目は魚料理だが、この辺から怪しくなる。設定も配役もウケ狙い見え見え。4話目はお口直しのソルベらしく、高畑淳子の豪快な演技で笑わせてくれる。
そして、第5話がメインの肉料理だが、ここまで折角“犬好き”のキーワードで括ってきたのに、突然“犬と生活している人”の話になる。3倍速で観ても理解できるような脚本と演出。大森南朋さんの演技は見応えがあるが、松嶋菜々子は看病疲れに見えないし、ラッキーも6話中で最も演技力がなかったように思う。
最後はデザートらしく、犬を飼った（飼ってる）人なら誰でも頷いてしまうような心温まるお話。

犬嫌いが、とやかく言う作品でないのはわかっているが…

エンド・クレジットを見て、【犬の名前】だけ評価を分けないといけないと思った。【犬の名前】以外はCMディレクターが監督を務めているだけに、短編らしいテンポの作品になっているが、逆に言えばそれが正解。あれ以上長かったら本作は悲惨な結果になったろう。
さて、【犬の名前】だが、実はこれだけで1本映画化しようと企んだのではと想像してしまうほど、他の5作から浮いているのだ…

メインの話がシリアスすぎ。せめてラッキーがジロー似の柴犬だったら…

ネタバレするが、一郎（大森南朋）は若年性アルツハイマーになるし、妻の美里（松嶋菜々子）は犬を飼うのに反対する夫を無視するし、看病疲れでうつ病患者のようになり、愛犬ラッキーを動物愛護施設に殺処分に出したり取り戻したり。挙句の果ては二人ともいつ自殺してもおかしくないような状態。
それ以前に、【犬の名前】って、愛犬家の話だろうか？犬の寿命がどの程度か知らないが、一郎が子供の頃に何らかの理由で柴犬ジローと離れ離れになり、大人になって偶然ジローそっくりな柴犬がラッキーとしてやってきたなら、一郎とジローが次第に親しくなるのも、最後の一郎の「ジロー」の台詞も生きてくるだろうに。 ラッキーも意外と動きがなく、これが、「ボクだけ置いてけぼりなの？」と言う演技なら大したものだが。

なぜ、マナー違反の愛犬家の行為を描くのか？

犬と人間が同じものを食べたり（消化器官が違わないの？）、店先に犬を繋いだまま買い物したり（盗まれないの？）、犬を先頭にして散歩したり（他の歩行者も犬も危険じゃないの？）、散歩中に犬が電信柱にオシッコしたままにしたり（糞尿の始末はしないの？）など、犬嫌いの私でも、スルーできない飼い主のマナーの悪さがスルーされていた。
一部のマナー違反の愛犬家（と言って良いのかわからない）の行為で、愛犬家全体の評価が悪くなるのは、愛犬家さんたちも本望でないはず。この映画だからこそ、もっと気を遣って描いて欲しかった。

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犬嫌いで、この映画を観る人って少ないでしょうし、殆どのレビューが愛犬家でしょうから高評価なのは頷けます。どうぞ、愛犬家の方は、愛犬家さんのレビューを参考になさってください。

犬嫌いで観ようか迷っている方は、無理に観るほどのことは無いと思います。もし観るなら、コメディとシリアスが混在しているオムニバス映画と言うことを知っていれば、愛犬家の世界を垣間見たり、愛犬家も大変だなぁと知ることが出来ます。

昨日（1/24）の『笑っていいとも』のテレフォンショッキングと、『スマスマ』に、松嶋菜々子さんが映画のPRで出演されていました。『いいとも』では犬種、『スマスマ』では映画のタイトルを間違えました。主演女優がその程度の認識で出演した作品と思えば、すべてを納得できます。

　　             　
   

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