設定を引き継がない「コード・ブルー3」に落胆… （第6話・2017/8/21） 感想 その2

フジテレビ系・月9『コード・ブルー～ドクターヘリ緊急救命～THE THIRD SEASON』（公式）
第6話『落胆の向こう側』の感想の第2弾。
なお、過去の2008年放送の『1st SEASON（便宜上こう呼ぶ）』、2009年放送の『新春スペシャル』、2010年放送の『2nd SEASON』はすべて鑑賞済み。

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院内で17歳の高校生の脳死判定の準備が進む。結果次第では、優輔（歸山竜成）に心臓移植のチャンスが巡ってくる。橘（椎名桔平）は経過を静かに見守る。そんな中、藍沢（山下智久）らは荷崩れ事故が起きた冷凍倉庫に飛ぶ。藍沢は運び出された重傷の作業員をその場で治療。フェローの灰谷（成田凌）らは身動きが取れなくなった作業員の処置を冷凍倉庫内で続ける。が、停電が起き、庫内に灰谷らが閉じ込められてしまう。
---上記のあらすじは[FOD]より引用---

まえがき

第4話の感想も1回分の投稿に書き切れなかったのですが、この第6話では最初の感想では、とにかく気になったこと、特に医療ドラマとしてどうかと思う部分を中心に書きました。しかし、何度も録画を見直して、どうしても登場人物たちの描写についても言及したくなったので、第2弾として改めて感想を書きます。

いつも通りに『1』『2』と観てきた本シリーズの大ファンだから、敢えて言いたいことを、第6話の放送順に書いてみます。
※要は、全編が愚痴と要望です。

ｱﾊﾞﾝﾀｲﾄﾙだけで、十分に "落胆の向こう側" 気分だ!

もう、アバンタイトルだけでも、サブタイトル『落胆の向こう側』なんて、「正に今の私の心境だ！」と言いたいくなる仕上がり。どうして、脚本家や演出家たちは、『1』から『2』へと丁寧に育て上げた藍沢ら5人と、『3』から彼らが育てるべきフェロー4人に、愛情を注がず、その場しのぎの騒動で、キャラクターを変更してしまうのか？

重要書類を拾わない緋山は、説得力ゼロ!

まず、冒頭の数秒間で頭を抱えてしまった。緋山（戸田恵梨香）が白石（新垣結衣）とぶつかって、「脳死判定承諾書」の書類を落してしまうシーンだ。中盤であんなに大切な「6行」のエピソードを紡ぐことになる、ドラマとしても最重要書類を、緋山は自分から拾おうとしなかった。

©フジテレビ

もう、この時点で、このあとに緋山がどんなに偉そうなこと言っても、説得力がない。だから、エンゼルケアで素手で洗髪するなんて、ドラマがきちんと出来ていればスルー出来ることも気になるのだ。緋山が慌てて拾ってホコリを叩く位の演技指導は、やって当然のシーンではないだろうか。

©フジテレビ

いや、そもそも今までの緋山なら、夜勤明けで辛かろうが、責任の重圧で書類を胸にしっかりと抱えて、緊張の面持ちで現場に向かっていると思うが…

お気軽に重要書類を緋山に渡す白石もリーダー失格!

書類の落とす緋山も緋山だが、その書類の「おう、おう、おう」とか言って、拾ってあげてバインダーに整えて、「はい」と緋山に渡して、昨夜の夜勤について雑談する白石も白石だ。

©フジテレビ

今や救命救急センタースタッフリーダーとして、救命の現場を仕切る立場なら、ここの白石は、「夜勤でボーっとしちゃ困るの。脳死判定も医者の大事な仕事なんだから、気合い入れてよ」くらい、ピシャッと緋山に釘を刺さないと、慣れ合っているように映ってしまう。

そもそも、白石だって、どちらかと言えば一匹狼的な部分があった。その白石が現場を束ねる立場を得たのだから、父親との約束を考えれば、何があっても職務を全うしようとするはずだと思うが…

冴島の復活劇で遊ぶなら、流産させないで欲しかった…

そして、頭を抱えさせて頂いたのが、冴島（比嘉愛未）の現場復帰、ドラマ上の復活劇の描き方だ。点滴パックを暖簾（のれん）のように開けて出て来るなんて、まるでコント以下のお遊び脚本と演出でないか。冴島の復活劇をあのように軽率な扱いにするなら、流産なんてさせるなと脚本家に訴えたい。

©フジテレビ

救命の5人の中で、最も真面目に仕事に取り組み…もう、いいや。結局、冴島が藤川（浅利陽介）とデキ婚みたいな（私から見て計画性の乏しい）人生を歩むのも違和感あり過ぎだし、何も無かったように現場復帰する冴島はあり得ない。脚本家は、どこまで改悪をすれば気が済むのかと言いたい。

ﾌｪﾛｰたちのやる気の無さやﾚﾍﾞﾙの低さにも限度がある

フェローたちのやる気の無さやレベルの低さは、私はある意味で、現場実習をして来ずに現場の職に就くリアルな医療現場を再現しているとは思っている。新人の成長も時間が掛かるものだとは思う。

©フジテレビ

しかし、モノには限度ってものがある。既に、第6話にもなっているのに、事故現場で極寒の中で死にそうな患者を目の前にして、男性フェローから防寒コートを「私、女だから…」みたいに奪う横峯（新木優子）を物語に登場させる脚本上の意味が知りたい。

奏の藍沢への感情をもっと描かねば、2人に共感できない

藍沢（山下智久）と奏（田鍋梨々花）のシーンも問題ありだ。まず、序盤での奏からの質問にきちんと答える場面を、フライト要請の携帯電話で遮った。脚本構成上で、前後編に分ける必要があるのは認めるが…

©フジテレビ

流石に、指が強張って動かない奏を見る藍沢から、「リハビリを頑張れば元のようにピアノが弾けるんだよね」と明るく聞く奏、答えに困る藍沢が運良く掛かって来た携帯電話で茶を濁すみたいな中身のない脚本と、それを1分4秒しか描かない演出では、前々回の『笑顔の効能』と前回の『寄り添う人』が聞いて呆れる。

正に、今週が我々ファンの『落胆の向こう側』になってしまったではないか。

超好意的な脳内補完をするにも限度がある

だから、終盤の後編で藍沢はいとも簡単に「約束を守れなかった。申し訳ない」と奏に言ってしまう。ここは、藍沢の葛藤を “山下智久” でじっくり描くべきだった。それを簡単に済ませてしまうから、奏が藍沢に「嘘つき！」と気持ちを吐き出す場面が茶番劇のように見えてしまったのだ。

©フジテレビ

いくら、奏役の “田鍋梨々花” が頑張って泣きの芝居をしても、奏の側の葛藤や苦悩や絶望をしっかりと描いていないから、こちらが超好意的な脳内補完をして、奏を応援し、藍沢の更なる成長を望むしかない。

来週の予告編では、奏の手術中の藍沢に何かが起こったようなカットがあった。どうやら、藍沢と奏は容易な医師と患者の関係で終わりそうにない。そうなると思い出させるのが、藍沢と藍沢の祖母・絹江（島かおり）との関係だ。藍沢と奏が一生の何かを背負って生きて行くような展開なら、もっとしっかりと2人を描いて欲しい。

ｱﾊﾞﾝﾀｲﾄﾙでﾈﾀﾌﾘし、本編を細切れにするのは止めるべき

そのためには、まず、アバンタイトルで予告編みたいなダイジェスト版を見せて、メインタイトル後に細切れにエピソードを入れる構成の脚本と編集は即刻止めた方がいい。視聴者が感動するのも、そんなに簡単じゃない。きちんと正しい手順を踏んで描いてくれなければ、感情移入も共感も出来ないのだ。

あとがき

これね。当blogの読者さんのコメントでも、「『1』と『2』を見てなくて、FODで見たら、登場人物たちの設定が繋がっていない」と言うのをたくさん頂戴しました。そうなんですよ。『3』から観始めたとか、この第6話だけ観たなら、それなりに納得できると思うんです。

でも、本作には、脚本家・林宏司さんとスタッフやキャストが創り上げて来た『コード・ブルー』と言う独自の世界観が、長年のファンに定着してます。それを、突然やって来た新しい脚本家やフジテレビの存続をかけてみたいな大人の事情で、キャラクターの設定を変え、ただの医療群像劇ドラマされたのには腹が立ちます。

視聴率は、フジテレビの作戦が功を奏したのか、今期の連ドラでは断トツに高いいです。でも、初回から少しずつですが視聴率は下がってます。第5話から第6話も僅か 0.1% ですが下がってます。これが、本作のファンの “落胆” の数字だと思います。まだ、クランクアップしていないなら、何とか目を覚まして欲しいです。

             

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【『1nd season』の感想はこちら】
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【『2nd season』の感想はこちら】
●「コード・ブルー 2nd season」ロケ地＠千葉県八千代市
●「コード・ブルー 2nd season」ロケ地＠千葉県八千代市 (その2)
●「コード・ブルー 2nd season」ロケ地＠千葉県八千代市 (その3)
●「コード・ブルー 2nd season」ロケ地＠千葉県八千代市 (その4)「スナックすれちがい」
●「コード・ブルー 2nd season」ロケ地＠千葉県八千代市 (その5)「八千代医療センター」

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【『THE THIRD SEASON』の感想はこちら】
●「コード・ブルー」再放送中で毎日感動! 月9で7年ぶりの続編で奇跡の再集結!!
●[一安心] 「コード・ブルー」サードシーズンもミスチル「HANABI」が主題歌
●奇跡のコラボ 「ひよっこ」の三男が「コード・ブルー2」に出演していた

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