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2017/11/11 22:50 記事更新
コウノドリ[2]

TBSテレビ系・金曜ドラマ『コウノドリ[2] 命についてのすべてのこと』公式
第4話『自然分娩 “良い母”になるリスク』の感想のかなり濃厚な第2弾
なお、原作:鈴ノ木ユウ「コウノドリ」(漫画)は未読。


研修医・吾郎(宮沢氷魚)が報告を怠ったことで妊婦の体が危険にさらされた。サクラ(綾野剛)たちがすぐに対応したため、大事には至らなかったものの、四宮(星野源)は吾郎を「使えない」と切って捨てる。そんな折、サクラは「トーラック」を希望する妊婦・蓮(安めぐみ)を担当する。トーラックとは、帝王切開の次の出産で自然分娩をすること。「リスクを伴う出産になる」とサクラは念を押すが、蓮は譲ろうとしない。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

まえがき

脚本:坪田文(過去作/コウノドリ 第7,8話) ※第1,3話
   矢島弘一(過去作/毒島ゆり子のせきらら日記) ※第2,4
   吉田康弘(過去作/プラージュ)
演出:土井裕泰(過去作/コウノドリ、重版出来!、逃げ恥) ※第1,2話
   山本剛義(過去作/Nのために、夜行観覧車) ※第3,4
   加藤尚樹(過去作/コウノドリ、ホワイト・ラボ)

一部の読者の皆さん、たいへんお待たせしました。前回の感想で書き足りないかった部分を全力でフォローする、今や恒例?となった濃厚な感想の第2弾。早速書きますね。
※第3話の濃厚版より、約1.2倍の超長文です(謝)

アバンタイトルを定型にしているからこその期待感

今回のアバンタイトルは、まず前回のラストでの研修医・吾郎が “産科の現場で使えない” 話で始まり、いつもの展開で今回のメインの妊婦さんの状況説明から始まった。こう言う部分をきちんと定型化するのって意外と大事。まず、安心感があるし、今回はどんな妊婦さんかな?と言う期待感が湧くから。

『ドクターX』は傍観型、『コウノドリ』は疑似体験型

今期同じ医療ドラマで大人気の『ドクターX』は導入部を敢えて不定形にして、“生きるか死ぬか” や “切るか切らないか” みたいなハラハラドキドキ感を煽り、あくまでも視聴者を全体の傍観者の立場で楽しませる、大門未知子を孤独なガンマンに見立てた西部劇風エンターテイメントに仕上げている印象だ。

しかし、本作は同じ医療ドラマでも、視聴者へのアプローチが全く異なる。

“如何に安全に出産を終えるか” や “出産後の育児が抱える問題” について、視聴者を半分はドラマの中に感情移入させ、半分は自身の出産育児経験に重ねさせたり未知の体験に思いを馳せさせたりと、絶妙なバランスで周産期医療の現場の疑似体験エンターテイメントになっている。

この “疑似体験気分にさせる” のがとても上手い。視聴者は、ある時は分娩台の上の妊婦になったり、医師としてカンファレンスに参加したり、育児鬱の新米母になったり、それぞれの立場でドラマに参加している気分になれるように出来ている、と言う感じだ。

「トーラック」がテーマだから "いつも通り" に大きな意味がある

なぜ、今回はこんなことから感想を書き始めたかと言うと、第4話でメインになる「トーラック」を希望する妊婦・秋野 蓮のエピソードは、蓮の出産への考え方に共感するのか、そうでないのかをハッキリさせた方が、作品をいろいろな意味で楽しめそうだと、私が考えたから。

だから、その視点でアバンタイトルの構成をもう一度考えてみると、いつも通りに始まることは大きな意味がある…と分かるのだ。

「今回はどんな妊婦だろう?」と思わせるのが上手過ぎ!

で、上手いよね。「今回はどんな妊婦さんだろう?」って見せるのが。まず、児童公園のシーンから蓮と美奈の母子関係が、何となくギクシャクしているのを丁寧に描く。そして、ギクシャクしている理由をあっさり見せずに、早くも疑似体験型らしい描写で、視聴者に自発的に模索させるように、情報は最小限で焦らしていく。

「夫の壮太が育児に非協力だからかな?」と思わせては、直後に妻の話に耳を傾ける壮太を見せて予想を裏切る。

蓮「次は 自然分娩で産みたいなって」
蓮「私が そうしたいの」

そして、この↑蓮の2つの台詞で、蓮が少々厄介な患者になるであろうことが想像できる。実はもうこの時点で視聴者の多くが、蓮の考え方に賛成派と反対派に大きく分かれ、視聴者のほぼ全員が「サクラはどんな対応をするのか?」への期待感が高まっている。

しかし、映像は、なかなかペルソナ病院にならない。視聴者は秋野家にいる蓮のペースで、夫の壮太と一緒に一方的な説明を聞かさせる。そして、面倒くさくなった壮太を見せて、視聴者の「益々意固地になるのではないか?」や「早くサクラでも四宮でも良いから受診して意見を聞いた方が良い」と焦る気持ちを高ぶらせる。

焦らせて、焦らせて…

そして、今度は今橋が医師探しに奔走するシーンを挟んで焦らす。まだ焦らせる。

更に、ここで描かれる周産期医療現場の慢性的な人手不足の問題が、「トーラック」を断る大学病院が増え、「トーラック」を実施するのは独自路線を売りにするそれなりの規模の病院に限られてきている現状(事実)に繋がって行くのだから、ここの構成は本当に良く練られている。

助産師の小松の壮太への一言が、気が効いていた良かった

そして、いよいよサクラの診察が始まる。この診察の序盤で、私が気の効いた台詞と思ったのが助産師・小松のこの↓夫の壮太への一言。

小松「男の人には 難しい話だよね」

何故気が利いているかって?だって、これまでの4話で「妊娠、出産、育児は夫婦でするもの」「性別は関係ない」をずっとテーマの1つに強く描いてきた本作で、蓮が選びたい「トーラック」は、女性、母親だからこその性別に関わる大きな悩みであり問題であることを、明示したのと同じだから。

第3話を見た人の方が、第4話をより深く感動できる

蓮「陣痛を味わって 産道を通して産むと
  子供に対する愛情って違うんですよね」

また、この↑蓮の考え方は、第3話に登場した心臓疾患の妊婦・麗子(川栄李奈)の夫・友和(喜矢武豊 feat.ゴールデンボンバー)の例の名言↓に対称的に繋がっている。

友和「痛みがなきゃ 愛情が生まれないっていうなら
   俺達 男は どうやって父親になればいいんだよ」

ねっ、深いよね。出産方法と母親としての自覚の関係性と、男女の性差による親としての自覚の違い、この人間に生まれたからこその永遠の悩ましき2つの問題が、第4話のテーマになっている。従って、第3話を見た人とそうでない人は、今回のテーマの受け取り方に大きな差があったに違いない。第3話を見た人は正解だ。

今まで以上に、今の周産期医療の問題を愛で鋭く描く

そして、予想通り?にサクラは、一方的に危険だからと「トーラック」を反対せずに患者に寄り添う答えを選択する。すると、これまた予想通り?な反応をする四宮。

四宮「いいかげん やめてくれないかな。
   サクラ、そう言うの ホント あきれるわ。
   お前のそのやさしさのせいで、妊婦はもちろん、
   俺たちも余計なリスクを背負わされているんだよ」

この↑四宮の台詞は、サクラに対して言ったものだが、実は多くの「トーラック」を断っている病院側の本音だ、きっと…。

こんな感じで第4話ではこれまで以上に、サクラと四宮を使って現代の周産期医療の問題を、愛をもって鋭く描こうとする姿勢が見えた、だから、10分にも及ぶアバンタイトルもこれまでの中で最も意欲作と見るのは大袈裟だろうか。

白川の早合点によるコミカルなシーンもメリハリには重要なアイテム

さて、意欲作のアバン、いつものメインタイトルに続いていよいよ本編(ここまでで既に感想が長文過ぎるか…)。

タイトル明け。蓮の家の家族会儀で更にドラマの深刻さを深めるかと思いきや、なんと白川の早合点によるコミカルなシーン。それに倉橋の人物紹介もさらりと終了。こう言う緩急の付け方の上手さが、1時間なのに満足感を創出するのだ。

下屋と吾郎の "若さゆえ" のリアルさ

そして今度は、何かと吾郎に突っ掛かる下屋のくだり。研修医を卒業した自分が現場で役立とうとする姿勢が少々鬱陶しいが、この “若さゆえ” が実にリアルだ。もちろん、吾郎も。

ゲストも芸達者揃いで見応えがあるのも人気の理由なのに…

場面変わって NICU。息子の一博が治療中で、あと2週間位で退院出来そうなことを知りソワソワする母の青木朋子。

演じるゲストは木下優樹菜さん。こんなことを言うと彼女のファンから叱られそうだか、『コウノドリ』は先週までの高橋メアリージュンさんのように、ゲストも芸達者揃いで見応えがあるのも人気の理由だと思っている。その意味では、私のように「なぜ木下さん?」と感じた人もいたのでは?

木下優樹菜さんは、VBAC経験者だからの出演か?

でも、彼女を知る人なら、彼女が「VBAC(少し前まで「トーラック」を「ヴイバック」と呼んでいた)」の経験者だから、第4話のゲストになった可能性はある。

だとすると、NICUに一人息子を預けたまま旅行に行ってしまう夫婦役とは、何とも本作らしくない下衆なキャスティングとも言えるが、ここは好意的に “分かる人だけのお楽しみ” としておこう。

子供を預けて旅行する夫婦への白川の正直な気持ち…

一博の容体が落ち着いたその夜。青木夫婦の行動に納得のいかない白川が、今橋に愚痴をこぼしつつ相談するくだり。まず、最初の白川の台詞↓が良いね。

白川「ちょっと理解できないです。
   こんな状況で旅行に行って楽しめんのかなあと思って」

「旅行に行く気が知れない」でなく、「旅行に行って楽しめるのか」と言う点に疑問を持ったのが。「行くな!」でなく、白川なりに患者の家族の気持ちを思い図ってはいるのだ。そして、そんな悩む白川に言う今橋のこの↓2つの台詞もジーンと来る。

今橋「そうだね。だけど それでも僕達はご両親の気持ちも
   理解してあげないといけないのかもしれない」
白川「えっ?」
今橋「僕達が一生 一博君を育てるわけでは ないからね」

病院は一時的に患者と関わる場所であると言う考え方だが、これが後に登場する白川の「託児所じゃない」と意味深に重なると捉えてみた。救急車をタクシー代わりに使ったり、蛭間の長い待ち時間が嫌だから夜間診療を利用したり、そう言うおかしな輩が未だに絶えない日本。本当にどうかしている…

自己洗脳の領域に足を踏み込んでしまったような蓮の怖さ

場面は公園。あれこれ自分に都合の良い情報ばかりを選択しては鵜呑みにする蓮が、ママ友にこんな↓ことを話す。

蓮「リスクは高いんだけど それでも
  ちゃんとおなかを痛めて産むことに
  意味があるんじゃないかなって」

蓮に対してママ友の1人が「美奈ちゃんママ すごい 頑張ってね」と無責任な発言をする。が、既に蓮の気持ちは「自分の選択肢に間違いはない!」と言う方向にどんどん向かっている。そのことは娘の美奈への一言、「ママ 頑張るからね」に象徴されている。

もはや、自己暗示を超えて自己洗脳の領域に足を踏み込んでいるような恐怖すら感じる。

「今橋貴之」の "設定の上手さと巧みさ" を解説する

カンファレンスのシーン。産科医のサクラと四宮が対立する。産科は真っ二つ、麻酔科はやや積極的な後方支援体制、新生児科は消極的後方支援体制になる。さて、周産期医療センター―はどちらを選択するのか、センター長の今橋に判断が委ねられる。

ここで、前回の感想で書いた、本作の脚本に於ける「今橋貴之」の設定の上手さと巧みさについて書いてみる。まず、今橋の結論はこうだ↓。

今橋「今回は ご家族の希望を尊重して
   トーラックを進めてあげるべきでしょう」

この今橋の決断によって、このあとにドラマチックな展開が待っているのだが、実はこれが「今橋貴之」の設定の上手さと巧みさなのだ。

今橋が「新生児科」でなく「産婦人科」の部長だったら…

実は、多くの周産期医療センターンのセンター長は、産婦人科の部長が就任している。まあ、産む人がいての生まれる子だから、産婦人科がリードすることは不自然でない。しかし、今橋は「新生児科部長」だ。生まれた子がいなければ、仕事にならない。

別に、ペルソナ病院に “白い巨塔” があると言うのではなく、産科はお母さんを、新生児科は赤ちゃんを診る診療科だから。従って、今橋が「新生児科部長」でなく「産婦人科部長」だったら、2つの命を危険にさらすようなリスクは最初から選択しないはず。だから、四宮の意見が採用される流れになってしまう。

それでは、ドラマとして困るから、周産期医療センター長の立場を、現実の病院では少ない「新生児科部長」に設定したと考える。「新生児科部長」なら、患者のためなら危ない橋を渡ることも辞さない “サクラの魅力” が、更に光ると言う仕掛けがあったことに、今更気付いたと言うわけ。もちろん、私の想像だが。

また、この設定によってすべてのリスクを最小限にするべきと言う “四宮の立場” も輝く。何とも、巧みな設定ではないか。

「白川は良い医者になるぞ」と心の中ででエールを送った

26分頃、旅行先から一博に面会に来た青木夫婦に白川がモノ申すシーン。今橋が一旦割って入りそうになるが、先日の夜の話を理解してくれたはず…と、言わんばかりにグッと堪えて白川に任せる。

白川「ご両親からの愛情を楽しみにして日々戦ってます。
   もう家族なんです。
   夫婦で楽しむことは もちろん 大事ですが
   これからは 家族で楽しむことを考えてみてください」

そんな今橋の期待に応えるように、成長した白川のこの↑一言も印象的だ。そして、更にこんな↓言葉を青木夫婦に添えてフォロー。つい「きっと白川は良い医者になるぞ」と心の中でエールを送ってしまった。

白川「次… 旅行に行くときは一博君も一緒だといいですね」

陣痛は、ドラマのようにいきなり激痛で始まらない!

我が家の周産期医療従事者が「こう言う演出は、もうドラマで止めてもらえないのかなあ」と言っていたシーンが、29分頃の蓮が台所で陣痛の痛みで蹲(うずくま)る場面。妊娠出産経験者ならご承知だと思うが、陣痛はあのようにいきなり激痛で始まるものではない。

赤ちゃんが生まれる「本陣痛」の前に「前駆陣痛(別名を「偽陣痛」)」と言う、本番の陣痛の予行練習のような子宮下部や子宮頸管の動きを柔らかくして赤ちゃんの通り道の準備をするための痛みの段階がある。多くの場合は、生理痛や下痢などの体調不良時に似た感じの痛みや、我慢できる程度の痛みがある。

もちろん、多くの初産婦さんやその家族も知識として「前駆陣痛」の存在を知っている。しかし、初産だと気が動転することもあるのは当然。そう言う時に、「いきなり激痛→陣痛→急いで病院へ」と言う今やお決まりの演出(映像)が冷静さを欠く行動を誘引すると言う訳だ。

実際に、慌てて病院に来たものの「前駆陣痛」だったと言うケースは多く、その中に「テレビドラマでやっていたから」と答える初産婦さんが多いらしい。確かに劇的だし悪気のない演出なのだが、再考の余地はあるかも。特に『コウノドリ』と言う妊婦さんに影響力のある作品では…な~んて思った訳だ。

因みに、今回は「いきなり激痛→CM→陣痛の連絡を受けた病院→急いで病院へ」と言った具合に激痛と病院搬送の間に2クッションを入れる配慮が為されていると私は解釈したが。

四宮の吾郎への先制パンチで、物語と吾郎の人生が動き出す

さ~て、わたし的に、いや読者の皆さん的にも、やっと33分の蓮の出産の時が刻々と迫り来るシーンがやって来た(パチパチ)。当然ながら、蓮の出産はとんとん拍子に進まない。自然分娩に拘る妊婦を小馬鹿にしたような言いっぷりの吾郎に四宮の冷静で正確なパンチ↓が送り出されて、物語と吾郎の人生が大きく動き出す。

四宮「サクラは子宮口が全開になるまで待ってるんだろう」
吾郎「でもカイザーのほうが
   妊婦にとっても赤ちゃんにとっても安全じゃ?」
四宮「まだ切らなくてもいいものを
   何でわざわざ急いで切る必要がある。
   そんなの優しさでも何でもない。
   それで生まれてお前は心からお母さんに
   おめでとうって言えるのか?」 吾郎「…」
四宮「自分の目で確かめてきたらどうだ」

このあと、夜の陣痛室のシーンがある。蓮の娘・美奈がトイレに行きたいと言い出した時に、サクラと下屋が壮太と美奈とすれ違う場面で、何気に下屋が壮太にトイレの方向を指さす演技がある。私は演技指導と言うよりも松岡茉優さんのアドリブに見えたのだが、こんなところでも本作の丁寧さが垣間見られる。

吾郎が壮太に毛布を持って来る演出を、私なりに解説

吾郎が陣痛室にやって来る。時計は午後7時20分23秒。待ちくたびれて眠ってしまった美奈に寄り添う壮太が待合室にいる。そこへ、毛布を持った吾郎がやって来る。昼間には「屋形船?」と2度も小松にツッコミを入れられていた壮太が、吾郎にふとこんなこと↓をこぼす…

壮太「まさか…こんな大変だとは思いませんでした。
   女性は命がけで出産に立ち向かっているんですね」

吾郎はあまりの自分の認識の甘さに愕然としたように、その場を立ち去ろうとすると、そんな吾郎の後ろ姿に壮太が立ち上がって声を掛ける…

壮太「先生。先生達も大変ですね。
   僕達夫婦のわがままを聞いてくれて
   本当にありがとうございます。

最初は少し吾郎を斜め上から見下ろした感じのカメラアングルで「絶望」を表現し、そのままカメラが下に下りて行き天井がたくさん映り込み結果的にカメラが吾郎を見上げるアングルになって「希望」を表す。王道のカメラワークだ。しかし、次の廊下を歩く後ろ姿の吾郎の編集が洒落ている。

1カット目は廊下の先の光る方向(これが「希望」を表す)へ真っ暗な後ろ姿がゆっくりと歩く。2カット目はカメラを切り返して吾郎の正面を捉えるが、吾郎の顔は(照明的に)暗いまま。しかし、吾郎の足が少しずつ速くなり、やがて昇って来た朝日(これも「希望」)とオーバーラップ。吾郎が変わった瞬間だ。

蓮、美奈、壮太の3人のギュッと握られた手のアップが印象的

翌朝の分娩室。やはり分娩が進まない。サクラが蓮にカイザーの提案をする。しかし、一向に蓮の頑なな自然分娩への拘りは微動だにしない。なおも丁寧に説得を続けるサクラ。でも、蓮の決心は固い。すると、苦しみ涙ぐむ母親の姿を一晩見ていた娘の美奈が泣きながらこう↓言う…

美奈「ママは頑張ってる」
 蓮「えっ?」
美奈「ママ 頑張ってる」

そして、壮太も蓮に声を掛ける…

壮太「帝王切開にしよう。もう十分 頑張ったよ。
   蓮はいい母親だよ」

サクラが蓮の意思を最後まで尊重し、そして本当の最後の最後には夫と娘、家族の言葉が母であり妻の蓮の気持ちをついに動かした。蓮、美奈、壮太の3人のギュッと握られた手のアップが印象的だった。そして、3度目の小松の「屋形船」のツッコミで私たちの肩の力も抜ける。助産師・小松、恐るべし(笑)

宮沢氷魚さんが目で吾郎の心情を魅せた芝居は見事だった

42分。分娩室の前で吾郎の人生の分岐点が、サクラのこの↓一言で突然訪れる。

サクラ「吾郎君」
吾 郎「はい」
サクラ「前立ちしてみる?」
吾 郎「えっ?」
下 屋「何言ってるんですか?」
吾 郎「でも僕 やったことないですけど」
サクラ「僕がヘルプするよ。
    それとも ここでの研修はもう終わりだから
    その必要ない?どうする?」
吾 郎「やります」
下 屋「はっ?」
小 松「破水しました羊混あります」
サクラ「はい」
下 屋「吾郎先生、本気でやらないと許さないから。急いで」
吾 郎「はい」

ここまで引用してしまったら、私が補足することは殆ど無い。しかし、言葉では表現できない部分で、このシーンでの赤西吾郎役の宮沢氷魚さんの演技、特にマスクをしているため目だけで吾郎の心情を表現しなければいけない状況下で、素晴らしい芝居を魅せてくれた。

因みに、宮沢氷魚さんは、元THE BOOMのボーカリスト宮沢和史さんとタレント光岡ディオンさんの長男で、2017年3月に大学を卒業したばかり。ドラマは本作が初出演らしい。確かに顔はお父さん似かも?最近、二世タレントの不祥事が続いているが、是非宮沢氷魚さんには今後の活躍に期待したい。

吾郎の成長と蓮の気持ちの両方に寄り添うサクラが感動的

分娩室。吾郎が蓮のお腹を押して、無事に赤ちゃんが産まれた。完全な新生児が画面に映ったのもビックリしたが、吾郎の覇気があるこの↓言葉を聞いた下屋もサクラも驚く。

吾郎「おめでとうございます!本当におめでとうございます!」

これまでクールで俺は関係ないとしていた吾郎の熱い瞬間。そして、主治医のサクラが蓮に声を掛ける…

サクラ「秋野さん、赤ちゃんもこんなに頑張ってくれた
    お母さんに感謝しています。
    どう産んだかよりも どう思って産もうとしたか
    その思いはきっと赤ちゃんに伝わっています。
    美奈ちゃんにとっても、そして赤ちゃんにとっても
    秋野さんは 世界一のお母さんなんです」

まあいいタイミングで新生児役の赤ちゃんが泣くものだ、とディレクター目線で見てしまったが。とにかく、良く出来ている。出産シーンなのに妊婦を前面に出さず、あくまでメインは周産期医療従事者であることを忠実に守りながら、吾郎の成長と蓮の気持ちの両方に寄り添うサクラがしっかりと感動的に描かれていた

下屋の「いつも笑顔で」の "もう1つの意味" を考える

カイザーのオペが終わって休憩中のシーン。

小林「初の前立ちの感想は?」
吾郎「今日の赤ちゃんを初めて見たときの
   家族の幸せそうな顔は特別でした。
   だから疲れも吹っ飛びます」
下地「今回もね 妊婦さんの希望を尊重してあげられたからこそ
   ご家族の幸せそうな顔が見れたんだよ」
吾郎「はい」
下地「いつも笑顔でいなきゃね。
   そうじゃないと 普段から妊婦さんにも ご家族にも
   優しくなれないから」
四宮「まあ 優しさにも ほどがあると思うけどな」

医療従事者は疲れるとよく言う。過酷な労働条件もあるが、実は仕事以外の実生活を100としたら、病院勤務中は120位のテンションを保つ必要があるそうだ。なぜなら、患者さんたちは80、いや50以下のマイナスの状況で病院にやって来たり入院したりしているから、通常の100では患者さんに引っ張られて100を保てないのだそうだ。

そして、中でも産科勤務の人たちは更に140位のハイテンションで妊婦さんたちに接するらしい。何せ、妊婦は病人でなく健康な人たち。だから妊婦さんは蓮のように100以上のテンションで病院にやって来る(ことが多い)。そんなことを知っていると、この↑下屋の「いつも笑顔で」の意味も重みを持って来るのではないだろうか。

「ふんっ!」と鼻であしらった四宮が印象的なラストカット

終盤は、BABYのピアノ演奏で、ペルソナ病院の周産期医療センターで働く医師たちの悲喜交々を静かに描く。夜の屋上の場面では、電話の向こうで嬉しそうな顔の吾郎の父親の顔が思い浮かんだ。また、久し振りに自宅に帰った今橋は、何とか娘のと関係も何とか修復したようだ。ここでも親と子の絆が優しく描かれた。

「医者の中でも産科医だけがおめでとうって言えるからね」と言う台詞も良かったが、やはり本作でここぞと言う時に良い台詞を言ってその場を持って行くのは今橋先生。今回では、四宮が産科医の息子であることも明かされたラストシーンでのこの↓今橋の吾郎への応援歌的な一言が良かった。

四宮「もう戻ってこなくていいからな。
   せいぜい そっちで頑張れよ ジュニア君」
今橋「吾郎先生」
吾郎「はい」
今橋「四宮先生の期待に応えなきゃね」
吾郎「頑張ります」

そしてそして、サクラの「よっ 初代ジュニア君」に対して、「ふんっ!」と鼻であしらった四宮が印象的なラストカットだった。

いやぁ、昨日の仕事の帰路から書き始めて、細切れで10時間位かかってしまいました。書くのも難儀でしたから、さぞ読者さんも最後まで読むのは大変でしたでしょう。最後まで下さりありがとうございました。今回も名シーン、名セリフの数々に感動しましたね。

最後に。先日の第4話の濃厚版の予告だけの感想に 34回ものWeb拍手を頂きありがとうございました。第3話の濃厚な感想には、たくさんの共感を頂きました。第3話に続き、この第4話も濃厚版の感想で、本作の感動が蘇り深まると良いのですが。引き続き当blogは、『コウノドリ』を全力で応援します。

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【シーズン1の感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 最終回


【第2シーズンのこれまでの感想】
第1話 第1話(濃厚版) 第2話 第3話 第3話(濃厚版) 第4話


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  • 濃厚番!!!!!!
naraku 2017/11/06(Mon)23:19:14 編集
かなり昔、学生のころに家庭教師に伺っていた先が産婦人科の個人病院でした。やせ形の男性医師と丸型の奥様とが対照的で、そこの娘さんに教えに行っていたのです。ご両親と娘さんとお兄さんとご一緒に食事をしたりするような、家族ぐるみのお付き合いでした。その産婦人科医であるお父さんも、産科を選んだ理由として「産科医は患者さんにおめでとうって言えるからね」とおっしゃったのを思い出しました。当時は高校生だったお兄さんが医学部に進学し産婦人科医になる直前にがんで他界されたのがとても残念でした。
コウノドリを見ていつも思うのは、出産って人生にまつわる色々なことを考える・学ぶ大きな契機なのだなあと言うことです。残念ながら私自身はかなりの晩婚で出産や育児の経験はないのですが、妊婦さんの気持ちをしみじみと感じます。ずっと働いていた立場なので、前回までのメアリージュンさんの気持ちはとてもよくわかるように感じました。
コードブルー3rdでは新人の成長過程があまり丁寧に描かれた感じがしなかったので、今回のコウノドリのように、研修医の吾郎さんが成長していく姿が見られるのが楽しみです。
  • Re:濃厚番!!!!!!
みっきー 2017/11/07 11:03
☆narakuさん
コメントありがとうございます。

以前にも書いたと思いますが、
産婦人科では「病棟」と言わずに「健康棟」と言う病院もあるんです。

妊娠は病気でありませんからね。
心身共に健康だから、妊娠、出産ができる訳ですから。

そう考えると、妊娠・出産は、
健康だからそ、
病気を患ってるからこそ、
夫がいるから、妻がいるから、子どもがいるから、
そして家族や周囲の人もいるから…
そうやって、多方面に色々考える良き機会ですね。

そう言う機会を、
このドラマを通して考えることも大切だと思います。
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フリーランスのホテル宴会(婚礼含む)&映像ディレクター"みっきー"が、テレビ、映画、CM、ディズニー、音楽などエンターテインメント全般の感想を綴ります。愛するが故に、記事により毒を吐きますがご勘弁を。


  • 管理人 自己紹介
【ハンドルネーム】
みっきー
【性別】
男性
【職業】
宴会/映像ディレクター(フリーランス)
【自己紹介】
東京下町生まれ千葉県在住。
ホテル音響照明映像会社を経て、2001年独立。
ホテルでイベント、パーティー、
映像コンテンツ等の演出を手掛ける。
活動拠点は東京と千葉の有名ホテル等。
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