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連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第12週『薄れゆく希望』の 『第70回』感想。


 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第70回】
昭和18年9月。戦局が厳しくなり、オハラ洋装店でも庭で野菜を育て、衣料品を手に農家を回って食料を得るようになった。糸子(尾野真千子)らが軍需品の肌着などを縫う脇で、長女・優子(花田優里音)は軍事教練ごっこに余念がない。そんな中、優子にせがまれ糸子は映画を見に行くが、戦争の場面ばかりで退屈して出てきてしまう。糸子は、暗い子ども時代が続く娘たちを思い、せめてキレイな絵を描くようにと色鉛筆を買ってやる。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第70回】年末年始で戦中から戦後になる?

第12週の木曜日。先日も書いたが本放送時は、2011年12月22日(木)で、当時の年内の放送が12月28日(水)の第75回だから…。もしかして、今週と次週の3回で終戦と言う展開なのか? いや、戦中の話が長いとは思わないが、その先を見てみたいと言う衝動が「戦争はいつまで?」と、せっかちな私をせっつくのだ。

で、あと6回と考えれば相当いい感じだ。年末年始で戦中から戦後になるなんて、当時見ていたら「斬新!」と思ったに違いない。おっと、あくまでも想像の域の話だが。

「四コマ漫画」のような日常を描く回が、心地良くて好きだ

でも、戦中はあと6回だなんて考えると、確かに時は戦局が厳しくなった昭和18年(1943)の9月はまだまだ戦時中だ。そして、この15分間は、戦争が終わるまでの “繋ぎ” 的な役割でしかないのだが、実は私は本作の “繋ぎ” 的な役割の放送回が好きだ。

「一話完結」の面白さがギュッと詰まった「神回」的な15分間や、「連ドラ」ならではのフラグを回収してドラマチックな展開の15分も、もちろん好きだ。しかし、そう「小原家の日常」を、まるで「四コマ漫画」のような軽快さと分かり易さと「起承転結の結」の説得力と共感性で描く15分間が、とても心地良くて好きなのだ。

感情に訴える場面とそうでない場面をしっかりと描き分ける

さて、本編。何となく糸子の踏むミシンの音が軽快でないと思ったら、店の前を戦死した夫の遺影を持つ若い妻らの葬列が通過するところだった。

そして、画面は先日亡くなった糸子の父・善作の遺影のアップへ。何度も善作の死を知らせているにも拘らず、戦地の勝からの手紙には「お父さんは お達者ですか?」の文章があると描いて、さり気なく “勝の戦死” のフラグ? を立てたように感じた。で、物語は、この優子の台詞↓から「小原家の日常」の描写で始まった。

優子「お母ちゃん ただいま帰りました!」

今回の糸子以外の主人公が優子と言う訳だ。その後も、正に「小原家の日常」の中の「戦時中の裕子の日常」が丁寧に描かれる。当時の教育事情や子供たちの遊び事情や食糧事情だ。その中でも「軍事教練をしてきます!」で始まった優子と女友だち2人のやり取りの描写の旨さが光った。

我々は “未来”を知っている。だから、青少年を対象とした軍事予備教育の恐ろしさも知っている。それだけに脚本家も演出家も自在にメッセージを込められる。しかし、本作は決してこう言う場面でメッセージを込めない。

今回も最初は恐ろしさや可哀想さを感じさせるが、どこかユーモラスな部分をきちんと残し、このシーンがあくまでも戦時中であることの状況説明の1つであること、感情に訴える場面とそうでない場面をしっかりと描き分ける。ここが、本作の描写の旨さだと思う。

「糸子」の名前の由来のくだりが、入ったのも良かった

また、久し振りに「糸子」の名前の由来についての描写があった。こんな描写も朝ドラには有効的だ。毎朝見続ける視聴者もいれば、たまた見た視聴者もいる。そんな一見さんへの配慮にもなるし、常連さんに対しては「糸子」のキャラクターの再確認になるからだ。

まっ、某作の場合は、「母親が出産数日後の朝に聞いた “スズメ” の鳴き声を可愛いと思ったから」だから、挿入する意味さえないのだが(失笑)

高齢者と、それに寄り添う家族の気持ちを "やんわり" 描く

糸子とハルのやり取りも好きだ。個人的な話になるが、私の母が数年前に夫(私の父)を亡くしてから、感情の起伏が激しい時があり、鬱的な症状が強い時は、ハルのこの台詞↓のようなことを言い出すことがある。

ハル「はあ… はよ 天から お迎え 来んかいな」

そんな時、糸子の「来るかいな。まだ こんな お粥さんかて ようさん 食べれるのに」のように言って、その場を和ます。と言うか、笑いに変えてその場を過ごす。何でもないシーンだが、実に高齢者の気持ちとそれに寄り添う家族の気持ちを “やんわり” と描いた良いシーンだと思う。

糸子の急場凌ぎのクイズで、誰もが幼少期を思い出したのでは?

そして、物語は「集会所での映画会」へ。「映画行きたい!」と駄々を捏ねる優子の台詞に合わせて、劇伴が止まったり流れたりする演出も面白かった。が、集会所内で糸子の「面白いやろか?」の質問に対して…

優子「面白いに決まってる!
   絶対 絶対 面白いに決まってる!」

と、目を輝かせた優子が、鑑賞中にショックを受けるくだりまでは想像出来たのだが、その後の展開が予想外だった。見たい映画をこのように表現↓して…

優子「きれえな お姫様が
   きれえなドレス 着て 出てくるんや」

そう言った優子で、まず「母と娘の絆」が描けたし、「似た者親子」と言う一面や、「オシャレ」と言う共通項も魅せた。そこをちゃんと描写した上で、憲兵に追いかけられる男性の登場だ。

ここで私が説明するまでも無いが、「アカ」とは戦時中に、“自由主義者や反軍国主義者に投げつけられた言葉” である。その「アカ」が憲兵に捕まると周りの男たちが暴行を。そんな酷い光景を見た優子と直子の気を紛らわせるために、糸子の会話がこんなことを言い出す。

直子「アカって 何?」
糸子「優子。赤に 白 混ぜたら何色になる?」
優子「え?」
糸子「何色になる?」
優子「桃色」
糸子「もっと足したら?」
優子「桜色」
糸子「ほな… ちょっと 青 足したら?」
優子「う~んと… 紫」

クイズだ。それも、字幕が無い世界だからこそ「アカ=赤」と例えた、糸子の急場凌ぎのクイズだ。そう言えば、子供の頃、私が駄々を捏ねると、親や祖母がクイズを出して気を紛らわせる作戦を使っていたのを思い出した。これ、「私の子どもの頃の日常」だ。だから、多くの視聴者にもそれぞれの「私の子どもの頃の日常」として届いたに違いない。

色鉛筆で、子育て論みたいなものを、巧みに描いた

そして、この会話のやり取りの最後の「紫」だけを翌日にして、優子が実際に色鉛筆で実験している場面に繋がる。ここの物語の運びが上手く出来てる。そう、ここからが本作らしさの楽しさだ。

クイズの翌日に糸子が当時は高価な品だった色鉛筆を優子に買い与えたではないか。色鉛筆で優子の気を紛らわせ、オシャレに関係しそうなことにはお金を惜しまないと言う子育て論みたいなものを、巧みに描いたと思う。ここでの色鉛筆の変化球的な使い方はお見事だ。

劇中の約2年後の昭和20年8月15日に終戦になると言う未来を知っている私でも、いつまで続くのか分からない時代の母と娘、いや小原糸子と優子のやり取りのリアルさを感じさせるのが、本作の魅力。もう一度書くが、お見事な5分間だ。

あとがき

劇中で、昭和18年当時の色鉛筆が「10円」との表現がありました。下記のサイトを見てみると、8,500円位に当たるようです。まっ、ざっくり言うと 1,000倍ですね。普通の鉛筆が、10~15銭の時代ですから、かなり高価な品ってことですね。

日本円貨幣価値換算計算機(GDP・戦前企業物価指数)(1902-2016)
     https://yaruzou.net/historical-prices-1932

1943年(S18)の10,000円は、
2016年(H28)の8,583,365円にあたります(858.34倍)
2016年(H28)の10,000円は、
1943年(S18)の11.65円にあたります(0.0012倍)

さて、今回は優子役の花田優里音さんの演技が素晴らしかったです。そして、ラストでこれまた久しぶりに「だんじり祭り」の話が登場しました。次回は、「だんじり」と言えば「泰蔵兄ちゃん」ですから、八重子さんですね。八重子さん、ミシンが供出されてなければ良いのですが…。次回も楽しみです。

また、本日25日は、国会中継の延長で4分遅れで放送開始して、放送予定だった第71回は翌日の26日の午後4時20分からに変動になりました。そのお陰で、予定通り放送されれば、明日は第12週の金曜と土曜日の組合せとなるので、年の瀬の週末気分で鑑賞と言う訳です。でも、今の真夏のような千葉県の天気では年末と真逆ですが(笑)

最後に。前回の感想に 168回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。今回の母と娘の話、良くある話のようですが、ちゃんと糸子が中心に描かれ、糸子らしさも際立って良い回でした。これで、優子も敬礼はしなくなるのかな?

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1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
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第10週『秘密』
55 56,57 58,59 60
第11週『切なる願い』
61 62,63 64,65 66
第12週『薄れゆく希望』
67 68,69


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  • 違和感ゼロでした
ぷり 2018/06/25(Mon)21:33:02 編集
放送時期は年末とはいえ、震災のあとの始めての年末年始でしたから…お祝い気分というより、緊張感と不安感と、義務感?があったように思います。

小原呉服店やオハラ洋装店にあったあんな綺麗な世界はもう無いのかな、というドラマの中と
震災前の呑気に電気を使って暮らしてた世界はもう無いのかな、という実世界の気分とがつながって、日々の色が失われていくような不安もありつつ、子供にはきれいな色を見せてやりたいという糸子に共感していました。
  • Re:違和感ゼロでした
みっきー 2018/06/26 09:39
☆ぶりさん
コメントありがとうございます。

そうか、東日本大震災の年の暮れだったのですね。

そう考えると、
糸子の “ところがどっこい!” 的な部分は、
より共感を生んだかもしれません…
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