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第1章:デジタル化が進む社会と買い物の変化
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令和8(2025)年現在、私たちの生活圏内にある多くの商店では、支払いの仕組みが大きく変化している。
コンビニエンスストアやスーパーマーケットだけでなく、衣料品店などでも、客が自ら会計を行う「セルフレジ」の導入が加速している。
これらは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、つまりデジタル技術によって生活をより良く変える取り組みの一環として紹介されることが多い。
この「DX」に関しては、最新の技術を駆使した便利な買い物体験ができるという宣伝文句をよく耳にする。
しかし、その実態を冷静に観察すると、利用者側に新たな負担が生じている側面が見えてくると思う。
第2章:セルフサービスという言葉の捉え直し
本来、商品の代金を計算して受け取る作業は、店側が提供すべき業務、いいや、店側が提供してきたサービスであった。
もちろん、「サービス」といっても、レジを打つパートの作業員の人件費や機器の導入費用は、当然の如く「商品価格に転嫁されている」わけだが。
しかし、「レジ業務」に「セルフ」という言葉が加わったことで、さも、自分(客)のペースで会計ができる自由な仕組みであるかのように印象付けられている。
これを他のサービスに置き換えて考えてみると、その違和感、異様さが分かりやすくなると思う。
例えば、飲食店を訪れた際、これまでは、客がテーブルについてメニューを見て料理を注文すると、客は座っているだけで料理が提供され、食後にはレジで店員相手に会計を済ませていた(と思う)。
しかし、これを「セルフ飲食店」としたら、どうなるか?
客はゆっくり座る間もなく、客が厨房に入って冷蔵庫から材料を選び、棚から調味料を出し、自ら調理や盛り付けを行い、自分でテーブルまで運んで食べて、厨房で食器を洗い片付け、最後には「セルフでなかったときの価格」を同じ代金を請求されるのだ。
これのどこをどう好意的に解釈しようが、店が提供しているのは「厨房環境と飲食環境」だけだから「サービス」とは呼ば(べ)ないだろう。
こうして考えれば、現在の「セルフレジ」で行わ(さ)れている作業は、本来は店員が担っていた「労働」を、客が肩代わりしている状態だといえないだろうか。
第3章:作業効率と技術的な課題
熟練した技術を持つレジ店員であれば、商品の登録作業は短時間で正確に完了する。
それに対し、不慣れな客がバーコードを一点ずつ探し出して読み取らせる作業には、多くの時間と労力が必要となる。
また、現在のシステムは完全なものではなく、商品の置き方や重量の検知によって頻繁にエラーが発生する。
割引クーポンを適応させる際は「このボタンを押して店員を読んでください」だし、飲み物などのケース買いの際は「店員がわざわざシールを貼りに来る」ことさえある。
そう、結局、「セルフレジ」とは言ったところで、必要に応じて店員が確認に駆けつける様子を見ると、店側の負担も十分に軽減されているとは言い難い。
かつて、レジ打ちの専門業務を担っていた店員は、その極意を生かす機会を失い、レジの機械の不具合を解消するための監視業務に追われているのが現状なのだ。
こんな現状を、「DX」つまり技術による真の革新とは呼ぶのは甚だ矛盾だらけに思うのだが。
第4章:労働に対する正当な対価の必要性
もし店側が人手不足の解消や経費の削減を目的として客にレジ打ち作業を依頼するのであれば、その協力に対する報酬を検討すべきだと思う。
客が店員の代わりに労働力を提供し、店舗の運営を助けているのだから、経済的な仕組みとして何らかの利益を客に還元するのが自然な考え方ではないか?
具体的には、セルフレジを選択した利用者に対して、商品の割引やポイントの付与といった特典を用意することで、本来店側が負担するべき費用の一部を顧客に還元すべきだと思う。
客の時間を費やして作業を行わせているという事実を店側が認識し、相互に利益がある形を整えることが、納得感のある仕組み作りには不可欠であり。
レジ打ちの素人である客でも、熟練のレジ店員と同じ結果(時間はかかるとしても)を出せるということこそが、「DX」つまり技術による真の革新とは呼ぶにふさわしいと思う。
第5章:技術が目指すべき本来の姿
本来のデジタル化が目指すべき方向は、人間に作業を押し付けることではなく、作業そのものをなくすことにある。
例えば、商品を袋に入れたままゲートを通過するだけで決済が完了するシステムや、専用の機器に置くだけで全ての商品を瞬時に識別する技術は、利用者に感動を与える。
JR系などで実証実験中の「無人コンビニ」や、ユニクロで導入されている「RFIDゲート型」などが、それの一角であろう。
このような会計支払いシステムこそがテクノロジーによる生活の向上である。
一方、一点ずつ手作業でスキャンを繰り返させる現在の多くの仕組みは、デジタルの形を借りたアナログな労働に過ぎない。
誰を楽にするための技術導入なのかを、今一度問い直す必要があると思う。
第6章:より良い共生社会に向けた改善策
もちろん、この先数年後に、先進的で未来的な会計支払いシステムが実用化されるとは、まだ思えない。
となれば、現状の「セルフレジ」においては、店舗と客の双方が満足できる環境を構築するために、まず客の協力に報いる具体的な制度を整えるべき)である。
セルフレジの利用回数に応じた特典の提供や、高齢者向けのセルフレジ利用講習会も積極的に行うべきだろう。
また、店員と対話しながら買い物をしたい人と、効率を重視して自ら作業を行いたい人の双方が、それぞれの価値観に合わせて自由に選択できる体制を維持することも重要である。
※一部の大型スーパーでは有人レジとセルフレジの両方ある店もあるが、有人レジが圧倒的に少ない。
店側の都合だけでなく、利用者の心理的な負担や時間的な価値を尊重することが、今後のサービスにおいて重要な視点となると思う。
あとがき
私たちの身近にあるセルフレジを題材に、技術と人間の関わり方について考察してみました。
デジタル技術の発展は、本来私たちの生活を豊かで自由なものにするためのものです。
店側と利用者がお互いの立場を理解し、協力に対する感謝や喜びが形になることで、より温かみのある便利な社会が実現することを期待しています。
新しい仕組みが、全ての人にとって本当の意味での「幸せな変化」につながることを願っています。
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第22回/第5週『集いし者たち』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
学校生活が始まるが、看護の先生はまだスコットランドから到着しない。その代わり、「ナイチンゲールの著書を理解するまで読むように」と書かれた先生からの手紙と洋書が先に届く。英語の得意な直美(上坂樹里)と多江(生田絵梨花)が中心となって2班に分かれて翻訳作業を進めるが…
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘,おむすび) 第5週
松本仁志(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。) 第3週
制作統括:松園武大(過去作/とと姉ちゃん,半分、青い。,ちむどんどん)
宮本えり子(過去作/なつぞら,エール)
音楽:野見祐二(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「風と町」
語り(本編):研ナオコ
土曜日版ナレーション:石橋亜沙(NHK東京アナウンス室)
※敬称略
視点の偏りが招く共感不全の構造
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―――ここまで、ごあいさつ―――
テレビドラマにおいて、物語を牽引する登場人物の設定は非常に重要だ。
しかし、現在放送されている『風、薫る』では、裕福な家柄の令嬢が困難に直面するという展開が繰り返されており、新鮮味に欠ける印象を拭えない。
例えば、今回のアバンタイトルに次のセリフがあった。
直美「華族のお嬢様が どうしてここに?」
確かに、時代を鑑みれば「なぜ、お嬢様が?」ではあるが、フツーに考えれば、この逆の論理展開、そう「なぜ、孤児が?」が劇中に存在すべきであり、そこから話を広げるべきなのだ。
そう、本来であれば、身寄りのない女性がどのような決意を持って生きていくかといった、異なる視点からの描き方もあったはずであり、そう描くことができたのである。
では、本作がこれまで描いた直美(上坂樹里)の物語を振り返ってみよう。
自分の身分を偽り、士族という特権階級のふりをして明治時代の社交場である鹿鳴館へ乗り込むといった、他人を欺く行為が中心となっていた。
その後の展開で、登場人物の一人である捨松(多部未華子)に嘘であることを打ち明け、女子教育の場である女学校へ進むことで反省の色を見せたかのように描いたつもりだろう。
しかし、現状の描写・表現では、好意的に見ようと頑張ったところで、直美の心境の変化が本物であるかどうかが伝わりにくい状況にある。
これでは、「ダブル主人公もの」「女性バディもの」として、片方の信頼度以前に、共感性が得られず、全く進んでいないと思うのだ。
主人公の不誠実さが生む没入阻害と制作側との乖離
今週の放送における主人公の一人・直美の言動を観察すると、過去の過ちを本当に悔いているのか疑問を感じざるを得ない。
周囲に対して不誠実な態度が目立ち、再び恩人である捨松を裏切っているようにも受け取れる。
本来、自分の非を認めるべき場面であっても、心の底からの謝罪の言葉を口にせず、反抗的な態度を崩さない姿は、視聴者に不快感を与えてしまっている。
捨松の名前を盾にしているものの、その行動からは主体性が感じられず、嫌々ながらその場に居合わせているように見えてしまっているのだ。
物語の中心となる人物が、これほどまでに支持を得にくい性格として描かれている意図が不明確すぎる。
そして、明らかに、視聴者が物語に没入する妨げとなっていることに、脚本家や演出家や制作統括は気づいていないのだろうか?
ネット界隈の反応を見ても、「そもそも作品に興味がわかない人」が多いことに納得できるのは、このような制作側の視聴者との乖離が原因だと思う。
と同時に、その差が埋まるのはだいぶ先か、最終回終了後だと思うが。
共感を欠いた主人公が損なう物語の成立条件
ドラマの主人公は、必ずしも品行方正である必要はない。
しかし、どのような性格であっても、視聴者がその人物の行く末を見守りたいと思わせる「魅力」や「興味」を抱かせる必要がある。
視聴者が主人公に共感したり、その行動の理由に関心を持ったりしなければ、ドラマ全体の価値が損なわれてしまうからだ。
物語の中で傲慢で横柄な態度をとっていたとしても、その裏側に隠された正当な理由や、人知れず抱えている苦悩を描くことが不可欠)なのだ。
しかし、本作の直美に関する描写・表現においては、主人公として越えてはならない一線を越えてしまっており、視聴者が応援したくなるような要素が極端に不足していると思う。
まっ、「こういう反骨精神のある強気なキャラが好き」もあるとは思うが。
説明不足が招く信頼失墜と再起への猶予問題
今作は二人の主人公を描く「ダブル主人公」という形式を採用している。
しかし、どれほど優れた企画であっても、視聴者が「続きを見たい」と感じなければ、その狙いは達成されない。
本作の現状における最大の問題は、直美という人物の背景にある「実はこうだった」という説明が不足している点にある。
物語の終盤(14分過ぎ)で、もう一人の主人公・りん(見上愛)が直美の嘘を指摘する場面があった。
りん「髪と一緒に いろいろ断ち切ったって…
そう自分に うそをついているみたいで
かえって疲れそう」
これが視聴者の信頼を取り戻すための最後の機会になるかもしれない… と思ってしまった。
本来であれば、過去の偽装工作を描くよりも、女学校での生活から物語を開始したほうが、キャラクターの印象を悪くせずに済んだはずだが。
一度根付いてしまった否定的な印象を拭い去るには、これまでの描写を補って余りあるほどの丁寧な心理描写と時間が必要となる。
放送開始から早1か月、それを取り戻すにはさらに1か月以上が必要となって、結果「半年の半分」が《直美のイメチェン》になるのかどうか、お手並み拝見か。
背景描写の欠落が招いた不信と再構築の必要性
『風、薫る』をより価値のあるものにするためには、まず「直美が、なぜ反発的な態度をとるのか」という背景を、視聴者が納得できる形で丁寧に描き出すべき(であった)。
不快な言動の裏に隠された真意を早期に提示することで、キャラクターへの興味を持続させることが可能となるのだ。
また、物語の構成を見直し、過去の失敗を長々と描くのではなく、成長や変化の兆しが見える女学校での生活に焦点を当てるべきだ。
(前章の繰り返しになりますが)失われた信頼を回復させるには、過去の過ちを認める描写を倍以上の時間をかけて積み重ね、変化の過程を誠実に描くことが求められる。
制作陣には、演じている俳優の努力が報われるような、論理的で一貫性のある物語の構築が期待される。
あとがき(その1)
今回の分析を通じて、ドラマにおけるキャラクター描写と物語構成の重要性が改めて明確になりました。
視聴者が登場人物の心の動きに寄り添い、共に成長を感じられるような展開は、作品の質を高めるために欠かせない要素です。
物語が新章となり、転換点を迎えようとしている今、今後の描写によって主人公たちの真意が丁寧に解き明かされ、より多くの人々が心から楽しめる作品へと発展していくことを期待します。
しっかし、ここまで「本編」の内容がないのに感想を書けた自分をほめてあげたいです(笑)
お知らせ
今朝、劇中の「看護婦養成所」のモチーフとなった『桜井女学校の附属看護婦養成所』の20年間の歴史と、ナイチンゲール誓詞に代表されるナースになる人の志などについて、包括的に書いた補足記事を投稿しました。
その中に、「髪を短く切って覚悟を示した生徒」と書きましたが、これが直美の意匠のもとになっていると思われます。
「本編」よりは面白いと思いますので、ぜひ読んでみてください。
朝ドラ『風、薫る』140年前の女子革命!自立を夢見た「トレインド・ナース」の真実と、20年で幕を閉じた伝説の看護婦学校、その志のゆくえ|ディレクターの目線blog ![]()
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【忠告】
NHK連続テレビ小説『風、薫る』の先の展開のネタバレは基本的に書いてありません。
ですが、ダブル主人公「一ノ瀬りんと大家直美」のモチーフである「大関和と鈴木雅」の[史実]について触れます。
あとから「読むんじゃなかった…」がないよう、読む際は自己責任でお願いします。
※以下、敬称は部分的に使い分けをします。
大関和と鈴木雅が通った「看護婦養成学校」についての史実
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俳優・見上愛さんと上坂樹里さんがダブル主演を務め、見上さんが「大関和」、上坂さんが「鈴木雅」を演じて、「日本近代介護の黎明期」を描くNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『風、薫る』(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)。
第5週『集いし者たち』では、りん(演・見上愛)と直美(演・上坂樹里)が看護婦養成学校に入学した姿が描かれています。
そこで今回は、りんのモチーフ(モデル)である「大関和(おおぜき・ちか)」と、直美のモチーフ(モデル)である「鈴木雅(すずき・まさ)」が通った「看護婦養成学校」についての[史実]を記してみます。
きっと、「本編」では採用されない(と思います)エピソードを知ることに」なるので、より今作を深読みできると思います。
第1章:ドラマのヒロインが挑む「新しい生き方」の正体
朝ドラ『風、薫る』の中で一ノ瀬りん(演・見上愛)と大塚直美(演・上坂樹里)が目指している「トレインド・ナース」という職業、立場を表した言葉。
この意味は単なる看護のお手伝いさんではない。
しっかりと学校で勉強して、科学的な知識と技術を身につけた「プロの看護師」を指す言葉である。
この二人のモチーフ(モデル)になったのは、日本で最初の看護婦といわれる大関和(おおぜき・ちか)と鈴木雅(すずき・まさ)という実在の女性である。
彼女たちに道を示したのは、アメリカで看護婦の資格を取った大山捨松(演・多部未華子)だった。
当時は「女性が外で働くこと」に対して今よりもずっと厳しい偏見があった時代だ。
それでも彼女たちがこの道を選んだのは、誰かに寄りかかって生きるのではなく、自分の足で人生を切り開きたいという強い思いがあったからである。
ドラマの中で、りんの父親・信右衛門(北村一輝)が「学問は身を守る武器になる」と語っていたように、彼女たちは知識という翼を手に入れて、新しい世界へ飛び立とうとしたのだ。
第2章:看護の常識をひっくり返した「ランプの貴婦人」の戦い
日本の看護教育に大きな影響を与えたのが、イギリスのフローレンス・ナイチンゲールだ。
文政3(1820)年5月12日に生まれた彼女は、とても裕福な家庭で最高の教育を受けて育った。
しかし、貧しい人々を助けたいという情熱から、家族の反対を押し切って看護の道へ進む。
彼女が活躍した『クリミア戦争』の戦場では、今の私たちには信じられないような苦労があった。
当時の病院は男性中心の社会で、やってきた看護婦たちは「お嬢様たちの遊びだろう」とバカにされ、まともに仕事もさせてもらえなかったのだ。
しかし、ナイチンゲールは諦めなかった。
病院を徹底的に掃除して清潔にし、食事の栄養バランスを整えることで、多くの兵士の命を救ったのである。
彼女は夜になるとランプを持って患者を見回ったため、「ランプの貴婦人」として慕われるようになった。
自然は病人を癒やし、看護師は自然を助ける
※出典:フローレンス・ナイチンゲール「看護覚え書」
この言葉通り、彼女は「患者が自分自身の力で治るための環境を整えること」こそが看護の本質だと考えたのだ。
第3章:伝説の卒業生とつながる「看護の魂」
ドラマに登場する大山捨松も、ナイチンゲールの考えを深く受け継いでいる。
彼女はアメリカの大学を卒業した後、現地の病院にある養成所で学び、実際に看護婦の資格を取得した。
彼女にとって、清潔な環境を作ることや女性が社会で活躍することは、当たり前の目標だったのだ。
その絆を象徴するように、イギリスにある『ナイチンゲール博物館』には、今も大山捨松の写真が飾られている。
ドラマのヒロインである‘りん’のモチーフ、大関和もこの教えを忠実に守った。
彼女は病室の掃除や換気を徹底し、患者の体を清潔に保つことで、恐ろしい感染症から多くの人々を守ることに成功している。
ナイチンゲールが目指した「科学的な看護」は、遠い海を越えて日本の女性たちにもしっかりと受け継がれたのである。
第4章:本物の学校で学んだ「科学的な看護」とは?
明治19(1886)年12月、りんと直美が入学した「梅岡女學校」。
そのモデルとなったのは、実在した『桜井女学校の附属看護婦養成所』だ。
ここは宣教師のマリア・T・ツルーが始めた場所で、当時はまだ珍しい看護の専門学校だった。
入学したのはわずか7名から8名ほどで、まさに選ばれた少人数でのスタートだった。
この学校では、スコットランドから招かれたアグネス・ヴェッチという先生が最新の授業を行った。
その内容は、病院での実習をメインにしながら、礼儀作法や人格を磨く教育、さらには科学に基づいた衛生管理を学ぶという、当時の日本にはなかった画期的なものだった。
史実によれば、モデルとなった和と雅の二人は、明治21(1888)年10月26日にこの学校を卒業し、晴れてプロの看護婦となっている。
第5章:驚きの給料事情とヒロインの意外な素顔
プロの「トレインド・ナース」になることは、経済的な自立も意味して)いた。
当時の一般の男性労働者の月収が3円から5円くらいだった時代に、彼女たちはなんと約30円という高い給料をもらっていたという記録がある。
これは小学校の先生の給料よりもずっと高く、当時の人々にとっては人生を劇的に変えるほどの大きな金額だった。
自分の腕一本で生きていくための力を、彼女たちは手に入れたのだ。
一方で、モデルの大関和には人間味あふれるエピソードも残っている。
彼女は非常に優秀で、医師とも対等に話せるほどの技術を持っていたが、困ったことがあると恩師の前で大粒の涙を流して泣いてしまう一面もあったそうだ。
周りからは「ナイチンゲール」ではなく「泣キチン蛙」だと笑いながら励まされていたという。
ドラマの中で、感情豊かに突き進む‘りん’のキャラクターは、こうした彼女の愛らしい素顔がヒントになっているのかもしれない。
第6章 明治の新しい風を吹かせた女性、櫻井ちかとその学校
ここで、少しだけ『桜井女学校の附属看護婦養成所』について書いてみる。
現在の女子学院の前身となった桜井女学校は、明治9(1876)年に「櫻井ちか」という女性によって作られ)た。
江戸の上野に生まれた彼女の父親は、徳川将軍家に関わる神聖な道具を扱う商人であった。
ちかは17歳で結婚したが、夫は仕事で遠く離れた北海道などに行くことが多く、別々に暮らす時間が長かった。
そんな中、彼女は自分の力で生きていくために勉強をしたいと考え、英語を教える学校などで知識を深めていった。
ちかが自分の名前をつけた「桜井女学校」を東京の麹町に開いたのは、まだ21歳という若さの時であった。
彼女は理屈だけでなく、日々の暮らしをより良くするための教育を大切にしていた。
例えば、明治26(1893)年以降のアメリカ滞在の経験を生かし、日本の家庭にぴったりの台所の形を提案したこともある。
大正6(1917)年の雑誌では、自分の家の台所を「無駄がなく経済的な食堂」として紹介している。
西洋の人たちは食事をとても大切に考えている。食堂を美しく飾る人もいれば、質素さを好んで非常にシンプルな作りにする人もいる。私の自宅では、台所の片隅にテーブルを置いて、そこで毎日の食事を済ませるスタイルを取り入れている。
※出典:須崎文代(2023autumn)「連載 台所史探訪 第6回 米国式台所の導入― 教育者・櫻井ちか子による紹介を契機として」『Vesta』№132
第7章 看護の道を開いた宣教師マリア・ツルーの情熱
この学校に、明治19(1886)年11月、看護婦を育てるための養成所が作られた。
ここで教育のリーダーとなったのが、アメリカから来た宣教師のマリア・ツルーであった。
彼女が日本で看護教育を始めようと決めたのには、大切な友人の死が関係していた。
友人のバラ夫人は、看護を通じた活動を広めるためにアメリカで募金活動をしていたが、その途中で急に亡くなってしまったのである。
ツルーはその遺志を継ぐことを誓い、日本に戻って看護婦養成所を立ち上げた。
彼女が目指したのは、単に病気を治す手伝いをするだけでなく、家庭で患者を支える「家庭看護婦」を育てることであった。
患者に合う料理の作り方を教えたり、家族が健康でいられるような知識を広めたりすることに力を注いだ。
しかし、学校には練習するための自分たちの病院がなく、さらにツルー自身も看護師の資格を持っていなかった。
そのため、アメリカの教会の協力でイギリスからアグネス・ヴェッチという看護婦を招き、専門的な授業を任せることにしたのだ。
第8章 未来の看護師たちと学びの現場
勉強する期間は2年間と決められ、2年目になると生徒たちは今の東京大学医学部附属病院へ行き、実際の現場で研修を受けた。
明治21(1888)年10月には、6名の卒業生が初めての修業証書を手にした。
その中には、髪を短く切って覚悟を示した生徒や、キリスト教への強い信仰を持って転校してきた生徒など、強い意志を持った女性たちが揃っていた。
卒業生の一人である大関和は、当時はまだ「看病婦」と呼ばれ、社会的な地位も低かった看護の仕事について、後にこう振り返っている。
明治20(1887)年ごろ、日本で初めて看護という職業が生まれた。当時は十分な教育を受けていない人もいたが、私たちは学校で体の仕組みや看護の方法をしっかり学び、大学病院で実習を重ねて卒業証書をもらった。ツルー校長は、日本の女性の立場を高くしたいという熱い思いで、アメリカで資金を集めるなど大変な苦労をして私たちを育ててくれた。私たちはその深い愛情にこたえるために一生懸命働いた。
※出典:大関和子(1909)「看護婦会の困難」『婦人新報』第141号、日本基督教婦人矯風会
第9章 20年で幕を閉じた理由とその輝き
櫻井女学校の看護婦養成所は、日本の看護教育の始まりにおいて非常に重要な役割を果たした。
しかし、その活動は長くは続かなかった。
明治39(1906)年、養成所は閉鎖されることになった。
その最大の理由は、学校を運営し続けるための「お金の問題(財政難)」であった。自分たちの病院を持たない中で教育を続けるには限界があったのである。
養成所が存在した20年という短い期間の間に、ここを卒業していったのはわずか20名ほどであった。
人数は少なかったかもしれないが、彼女たちが学んだ高度な知識や「人を助けたい」という高い志は、その後の日本の看護の土台となった。
20年という歳月で学校が閉じたのは、決して失敗ではなく、次の時代へバトンを渡すための尊い挑戦だったといえる。
あとがき
明治という激動の時代に、自らの意志で新しい職業を切り開いた女性たちの姿には、現代の私たちも勇気をもらえますね。
ドラマ『風、薫る』の背景には、ナイチンゲールの精神や、それを受け継いだ大山捨松、そして実際に現場で戦った大関和さんたちの情熱がぎゅっと詰まっています。
ただの感動ストーリーではなく、科学的な根拠を持って人の命を救おうとした彼女たちの挑戦を知ることで、ドラマの視聴がより深いものになれば嬉しいです。
一歩踏み出す勇気の大切さを、彼女たちの歩みが教えてくれているような気がします。
ドラマで描かれるフィクションの奥に、こうした史実を知ることで、物語がより深く、温かく感じられると思います。
読者の皆様の “ドラマを楽しむ” ためのお役に立てれば幸いです。
参考・出展
■田中ひかる(著)「明治のナイチンゲール 大関和物語」中央公論新社 ![]()
■メディアソフト(編集)「大関和と鈴木雅の人生」 ![]()
■伊多波碧(著)「小説 もうひとりのナイチンゲール 鈴木雅の生涯」潮出版社 ![]()
■毎日新聞出版(編)「Newsがわかる特別編 大関和がわかる」毎日ムック ![]()
■土曜会歴史部会(著)「日本近代看護の夜明け」医学書院 ![]()
■東京大学医学部附属病院百年史 ![]()
■知命堂病院百二十年史 ![]()
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第2話『守りたいもの、出馬できない理由』、ラテ欄『スナックのママが都知事選出馬を決意するまで』の感想。
都知事選への出馬を茉莉(黒木華)に懇願され、動揺するあかり(野呂佳代)。固辞するあかりに対し、茉莉は副知事就任を狙う自身の思惑を胸に食い下がる。やがてあかりは過去を語るため、先代ママ・鴨井とし子(木野花)のもとを訪れる。一方、民政党内では鷹臣(坂東彌十郎)が流星(松下洸平)擁立を進め、対抗勢力も動き出す。そんな中、茉莉は父から冷酷な“最後通告”を突きつけられ…。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---
原作:なし
脚本:蛭田直美(過去作/しずかちゃんとパパ,舟を編む)
演出:松本佳奈(過去作/コタローは1人暮らしS1,きのう何食べた?S2) 第1,2話
藤澤浩和(過去作/低体温男子になつかれました。,ホンノウスイッチ)
瀧悠輔(過去作/大豆田とわ子と三人の元夫,シェフは名探偵)
稲留武(過去作/秘密~THE TOP SECRET~,僕達はまだその星の校則を知らない)
主題歌:浜野謙太(ex.在日ファンク)&後藤真希 feat. 黒木華&野呂佳代「おーへい」
音楽:坂東祐大(過去作/大豆田とわ子と三人の元夫,17才の帝国)
P:佐野亜裕美(過去作/大豆田とわ子と三人の元夫,17才の帝国,エルピス-希望、あるいは災い-)
※敬称略
突然のスカウトと日常の風景
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―――ここまで、ごあいさつ―――
ドラマ『銀河の一票』の第2話では、スナックを営む月岡あかり(野呂佳代)の隠された日々が明らかになった。
与党・民政党幹事長の父の元秘書の星野茉莉(黒木華)から「東京都知事選挙に出てほしい」と頼まれたあかりだが、最初はそれを冗談のように受け流し、いつも通りの朝を過ごす。
しかし、その穏やかな生活の裏側には、彼女が歩んできた複雑な道のりが隠されていた。
前回の第1話では、政治家という特別な仕事を目指す人の条件が問いかけられてきたように思う。
その内容を受け取った第2話は、普通の市民であるはずのあかりが、なぜ都のリーダーを目指すことになるのかを描く重要な転換点となった。
今作は、いわゆる「ダブル主人公ものドラマ」であり、「女性バディもの」であるから、主演は黒木華さんであっても、物語としては二人を同等に描く必要がある。
その意味で、第1話は茉莉の人物紹介、第2話はあかりの人物紹介を丁寧にやったのは、2話を使って連ドラの「起承転結の起」として正しい選択だと思う。
笑顔の裏に隠された過去の痛み
あかりはいつも明るい笑顔を見せているが、実は心に深い傷を抱えていた。
かつて誰かを助けることができなかったという後悔が、彼女を突き動かしている。
彼女は自分自身を「失敗ばかりの人間だ」と感じており、一時は人生に行き詰まっていた。
前にも進めず、後にも戻れない、どん底にいたあかりを絶望から救ったのが、「スナックとし子」のママ・鴨井とし子(木野花)という女性だった。
とし子は、生きる意味を見失っていたあかりに「念のため」生きてみようと語りかけ、自分の店を託した。
あかりにとって「スナックとし子」は、単なる店ではなく、自分を守ってくれた大切な居場所そのものとなったのだった。
この、「居場所」というキーワードこそが、本作の背骨を貫く大切な言葉になるように感じる。
自宅や職場、社会的立場など「自分の居場所」を見失いかけている人が増えていると思われる社会だからこそ、「居場所探し」と「居場所提供」のマッチング(めぐり合わせ)を描いたドラマと言えないだろうか?
茉莉が抱く野心と緻密な作戦
一方で、あかりを誘った茉莉もまた、単なる善意だけで動いているわけではない。
彼女は非常に頭の切れる人物であり、自分が副知事という立場に就くことで政治の世界に戻ろうと企んでいる。
その目的を果たすためなら、有力な政治家である自分の父親の不正を暴くことさえ恐れない。
茉莉は、知名度のないあかりを候補者に立てることで、今の政治に飽きている人たちの心をつかもうと考えている。
生活者の感覚を大切にするあかりと、目的のために手段を選ばない茉莉。
正反対の二人が、少しずつお互いの孤独を理解し、心の距離を縮めていく様子が丁寧に描かれた。
こうした、出自も生きてきた環境も全く違ったキャラクターが互いに何となく惹かれあい、近づいていくことこそが「ダブル主人公ものドラマ」であり、「女性バディもの」の醍醐(だいご)味だ。
人々を救うための新しい「公共」の形
政治の本質は、困っている人を助けることにある。
あかりがとし子から教わった料理の作り方を何度も聞き返すのは、認知症が進むとし子に「頼られている」と感じてもらうための、彼女なりの深い愛情表現だろう。
こうした身近な場所での助け合いこそが、本来の「公共」の姿であることをこのドラマは教えてくれる。
要するに、支援する立場にある者は、同時に誰かに支えられる存在でもあり、そのような自分たちにこそ居場所が求められるのだ。
そして本作は、最も身近で根源的な「公共性」の在り方を提示しているとも言えるのだ。
自分自身の理想を「ただのきれいごと」だと自信を持てずにいた茉莉に対し、あかりは「きれいなことを諦めない人は強い」と言葉をかけた。
二人が同じ目線で社会を見つめ始めたことで、物語は政治という難しいテーマを超え、人間同士の熱いドラマへと進化していると強く感じる第2話だった。
あとがき
このドラマによって、政治という一見難しそうなテーマが、実は私たちの日常生活や心の居場所を守るための活動なのだと気づかされますね。
したがって、「選挙エンターテインメント=選挙を描くドラマ」と銘打っていますが、「市民のための政治を選挙を通して描くドラマ」と考えるのが良いように思い始めました。
そう考えると、黒木華さんと野呂佳代さんの演じるキャラクターが、それぞれの傷を抱えながらも “誰かのために” 手を取り合う姿には、大きな希望を感じます。
自分たちの手で社会を少しずつ良くしていこうとする彼女たちの挑戦を応援したくなる… そんなドラマになっていくのを期待します。
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【これまでの感想】
第1話
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
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NHK総合・NHK BS・プレミアム4K/連続テレビ小説『風、薫る』
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第21回/第5週『集いし者たち』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まないほうが良いです。
看護婦養成所に一期生として集まったのは、りん(見上愛)・直美(上坂樹里)に加え、多江(生田絵梨花)、喜代(菊池亜希子)、ゆき(中井友望)、しのぶ(木越明)、トメ(原嶋凛)の7人。年齢も個性も異なる7人の寮生活が始まるが…
------上記のあらすじは、公式サイト等より引用------
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
脚本:吉澤智子(過去作/ドリームチーム,幸運なひと,くるり~誰が私と恋をした?~)
演出:佐々木善春(過去作/ごちそうさん,マッサン,あさが来た) 第1,4週
新田真三(過去作/あさが来た,べっぴんさん,トクサツガガガ) 第2週
橋本万葉(過去作/とと姉ちゃん,生理のおじさんとその娘,おむすび) 第5週
松本仁志(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。) 第3週
制作統括:松園武大(過去作/とと姉ちゃん,半分、青い。,ちむどんどん)
宮本えり子(過去作/なつぞら,エール)
音楽:野見祐二(過去作/光る君へ,どうせ死ぬなら、パリで死のう。)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「風と町」
語り(本編):研ナオコ
土曜日版ナレーション:石橋亜沙(NHK東京アナウンス室)
※敬称略
看護職への敬意を欠く直美の描写への違和感
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―――ここまで、ごあいさつ―――
新章が始まり、その冒頭を飾ったのが次の直美(上坂樹里)のセリフだ。
直美「士族の娘さんは ナースになんて
ならないと思った」
先週末の第20回(2026年4月24日放送)で既に登場したセリフだが。
新章になっても、繰り返して使ったことに、まず大きな疑問が残る。
このセリフは、単に直美の性格が個性的であることを示しているだけではないのだ。
かつての特権階級である士族への対抗心が含まれている。
だとしても、それ以上に、命を救う専門職である看護師という仕事そのものを軽んじているように受け取れてしまうのだ。
視聴者が(特に、朝ドラの)主人公に寄り添い、その成長を応援するためには、対象となる職業に対する最低限の尊敬の念が描写されるべきでは?
そう、脚本家や演出家や制作統括が、本作が主軸に描くとしている「ナース(看護職)」をリスペクトしているとは思えないのだ。
このことは、とりわけ、妻が看護師である筆者にとっても、クリエーターの端くれの一人としても、看過できないのだ。
育った環境と言葉遣いの不自然な関係
舎監兼通訳の松井エイ(玄理)が看護婦養成所の成り立ちを説明している場面で、りん(見上愛)と直美が小声で話すシーンがあった。
物事を教わる立場の人間として、話す人のことを見ない、聞かないのを、子供たちも観る機会の多い朝ドラが堂々とやるのはどうかと思うが。
それはさておき、言葉はその人の生い立ちや教育環境を映し出す鏡である。
しかし、本作における直美の描写には、その背景と実際の言動の間に大きな矛盾が生じている。
直美は英語を非常に流暢に操るが、その技術を習得するためには宣教師など教養のある外国人と深く関わってきたはずである。
本来、そのような環境で教育を受けたのであれば、言葉遣いや立ち振る舞いには相応の影響が現れるのが自然である。
そう、言葉遣いや立ち居振る舞いがきれいな下谷松町教会の牧師・吉江善作(原田泰造 ex.ネプチューン)や、宣教師のメアリー(アニャ・フロリス)の影響だ。
ところが、彼女は極端に口が悪く、その一方で生活環境からは想像もつかないような難しい言葉(今回であれば「信仰にあつくありません」)を突然使い出す。
孤児という設定を考慮しても、周囲の人物と比べて彼女だけが突出して異質な言葉を使っている現状は、物語の世界観に混乱を招いていると思う。
もちろん、栃木弁でおっとりと丁寧に話す‘りん’との差別化が目的だろう。
しかし、何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」だと思うが。
成長の不在と人物への敬意欠如が招く物語の停滞
物語、特に朝ドラの物語の中では、登場人物が失敗から学び、変化していく過程が重要である。
直美は第15話(2026年4月17日放送)で、捨松(多部未華子)という人物に対して自身の非を認め、反省するような態度を見せた場面があった。
しかし、今回の放送ではその教訓(ドラマの内容)が全く活かされていない。
あろうことか、再び周囲のあらゆる人々に対して攻撃的な態度をとっている。
このような一貫性のない描写は、実在の人物をモデルにしている作品としては、その人物の功績や人生に対する敬意が不足していると言わざるを得ない。
そう、本作は「ナース(看護職)」をリスペクトしていないだけでなく、直美のモチーフ(モデル)である「鈴木雅(すずき・まさ)」三さえもリスペクトしていないのである。
また、視聴者はキャラクターの心の変化を追うことで共感して感動を覚える。
がしかし、現在の描写ではその場限りの感情のぶつかり合いに終始している。
特に、今回の後半の大部分を占めた「同級生の自己紹介のし合い」なんて、ただただ「いがみ合い」を描くだけだった。
この場面を見て私の頭に浮かんだのは、『ひよっこ』(NHK/2017年度前期)に登場した「向島電機」の「乙女寮」の同室メンバーのやり取り。
脚本も演出も、あの作品くらい丁寧に人間描写をやってくれるのか、お手並み拝見である。
新章の停滞と動機描写の希薄さが招く不透明感
新章に突入すれば物語に新しい風が吹くと期待されるが、月曜日のわずか15分間を見ても、実際の内容は停滞しているのはお分かりいただけただろう。
新しい登場人物たちも、既存のキャラクターと似たような性格設定ばかりであり、人間関係に新鮮味が感じられない。
週の始まりである月曜日の放送でありながら、ストーリーがほとんど進展していない点も懸念される。
看護師を目指すという展開についても、そこに至るまでの心理的な積み重ねが不十分なまま唐突に話が進んでいる印象が強い。
特に、りんと直美については、「なぜ、いま、トレインドナースになると決めたのか?」が実に曖昧である。
結局、ドラマとしての見どころが明確にならず、制作者側がこの新章を通じて何を伝えたいのかが不透明な状況なのだ。
まあ、多くの視聴者が想像できるような「英語学習の難しさ」「掃除当番や給仕当番の騒動」「看護の先生がスコットランドから来ない」などをしばらくはだらだらと描くのだろうが。
人物造形の再構築と動機描写の強化が求められる改善提案
このドラマ『風、薫る』をより深く、納得感のあるものにするためには、まず直美の言葉遣いと背景の整合性を整える必要がある。
英語に堪能である理由を裏付けるような、宣教師からの精神的な教育の形跡を丁寧に見せるべきだ。
また、看護師という職業についても、単なる生活の手段(女が生きるための手段)として描くのではなく、りんと直美がその仕事の尊さに気づき、自発的に献身しようとする心の変化を具体的に描くことが求められると思う。
中でも直美は周囲への攻撃的な態度を抑え、過去の反省を次の行動に活かす描写を増やすことで、視聴者が彼女の成長を論理的に理解し、共感できるような構成に改めることが望ましい。
どうやら、りんのパートは王道というかオーソドックス(面白いかどうかは別にして)で進むとして、直美のパートは問題山積に思う。
まあ、どこかの時点で強引に「心変わり」を盛り込んで物語の舵を切ると思うが。
あとがき
ハッキリ言って、「これから面白くなる気がしない」です。
史実は別にして、りんと直美が看護婦になるのは決まっているわけで、「なぜナースを目指すのか?」が曖昧なまま、学校が始まったら、ラストの1か月で晩年を描くまでは紆余曲折を乗り越えて「なる」しかないですもんね。
りんは、あまりにも受け身すぎて魅力に欠けますし、直美は反発と反骨ばかりで可愛げが乏しい。
どれだけの視聴者が、こんなバディの成長物語を見たいと思うでしょうか?
もう少し、脚本家や演出家や制作統括は創意工夫をするべきだと思います。
「土曜日ダイジェスト版」の投稿が夜になったのは、午前中から菩提寺のお施餓鬼会に参加していたからでした。
下の写真は、菩提寺近くの浅草の春の空の下の風景です。
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GTO[2]
死にたい夜にかぎって
死幣ーDEATH CASHー
地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子
下北沢ダイハード
しもべえ
シャーロック アントールドストーリーズ
死役所
獣医さん、事件ですよ
就活家族~きっと、うまくいく~
就活生日記
19番目のカルテ(最終回)
集団左遷!!
10の秘密
重版出来!
重要参考人探偵
准教授・高槻彰良の推察 Season1
正直不動産
正直不動産2
JKは雪女
女囚セブン
少年寅次郎
少年寅次郎スペシャル2020
昭和元禄落語心中
知らなくていいコト
シリーズ江戸川乱歩短編集IV
シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。
新・刑事吉永誠一
新宿セブン
新宿野戦病院
新・信長公記~クラスメートは戦国武将~
深夜食堂[3]
- 過去の連ドラの感想記事一覧(す~そ)
SUITS/スーツ
SUITS 2/スーツ2
水球ヤンキース
スカーレット
好きな人がいること
素敵な選TAXI
素敵な選TAXI[再]
スーパーサラリーマン左江内氏
すきすきワンワン!
スキャンダル専門弁護士 QUEEN
スティンガース 警視庁おとり捜査検証室
ストロベリーナイト・サーガ
スナック キズツキ
スパイラル~町工場の奇跡~
スペシャリスト
すべてがFになる
砂の塔~知りすぎた隣人
スニッファー嗅覚捜査官
スミカスミレ 45歳若返った女
住住(すむすむ)
正義のセ
正義の天秤
青春探偵ハルヤ
聖女
せいせいするほど、愛してる
世界一難しい恋
セカンド・ラブ
セシルのもくろみ
セミオトコ
全領域異常解決室
サバイバル・ウェディング
銭の戦争
絶対正義
絶対零度~未然犯罪潜入捜査~
絶対零度[4]~未然犯罪潜入捜査~[2]
セトウツミ
ゼロの真実~監察医・松本真央~
先生を消す方程式。
最後から二番目の恋
続・続・最後から二番目の恋
そして、誰もいなくなった
そのご縁、お届けします―メルカリであったほんとの話―
宙わたる教室・宙(そら)わたる教室
それぞれの断崖
それってパクリじゃないですか?
- 過去の連ドラの感想記事一覧(た)
DIVER-特殊潜入班-
大貧乏
DIVE!!
大恋愛~僕を忘れる君と
高嶺の花
戦う!書店ガール
玉川区役所 OF THE DEAD
民王
ダメな私に恋してください
タリオ 復讐代行の2人
探偵が早すぎる
探偵さん、リュック開いてますよ
探偵の探偵
探偵・由利麟太郎
小さな巨人
ちむどんどん
中学聖日記
超速パラヒーロー ガンディーン
ちょっとだけエスパー
終のひと
作りたい女と食べたい女
作りたい女と食べたい女(2)
燕は戻ってこない
妻、小学生になる。
デート ~恋とはどんなものかしら~
dele/ディーリー
ディア・ペイシェント~絆のカルテ~
DCU Deep Crime Unit ~手錠を持ったダイバー~
デザイナー 渋井直人の休日
デジタル・タトゥー
デスノート
テセウスの船
出入禁止(デキン)の女
テディ・ゴー!
デッドストック
デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
天国と地獄 ~サイコな2人~
天使と悪魔
天使にリクエストを~人生最後の願い~
転職の魔王様
天皇の料理番
TWO WEEKS
東京スカーレット~警視庁NS係~
東京センチメンタル
東京タラレバ娘
東京独身男子
同窓生~人は、三度,恋をする~
東京サラダボウル
東京放置食堂
逃亡医F
透明なゆりかご
ドS刑事
時をかける少女
毒島ゆり子のせきらら日記
トクサツガガガ
ドクター調査班~医療事故の闇を暴け~
ドクターX ~外科医・大門未知子~[3]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[4]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[5]
ドクターX ~外科医・大門未知子~[6]
ドクターX~外科医・大門未知子~[7]
ドクターカー
DOCTORS 3 最強の名医
Dr.倫太郎
特捜9
トクメイ!警視庁特別会計係
匿名探偵[2]
とげ~小市民 倉永晴之の逆襲~
ど根性ガエル
突然ですが、明日結婚します
トップナイフ ―天才脳外科医の条件―
とと姉ちゃん
トドメの接吻
隣の家族は青く見える
となりの関くんとるみちゃんの事象
ドラゴン桜(2021年版)
虎に翼
ザ・トラベルナース
ザ・トラベルナース[2]
ドリームチーム
トリリオンゲーム
トレース~科捜研の男~
ドロ刑 -警視庁捜査三課-
- 過去の連ドラの感想記事一覧(な)
24 JAPAN
ナイト・ドクター/Night Doctor
ナイトヒーローNAOTO
ナオミとカナコ
凪のお暇
なつぞら
70才、初めて産みます セブンティウイザン。[地上波特別版]
ナポレオンの村
波うららかに、めおと日和
二月の勝者 -絶対合格の教室-
逃げるは恥だが役に立つ
逃げるは恥だが役に立つムズキュン特別編[再]
にじいろカルテ
日曜の夜ぐらいは…
ニッポンノワール-刑事Yの反乱-
日本沈没ー希望のひとー
ネメシス
ノーサイド・ゲーム
ノースライト
脳にスマホが埋められた!
「野ブタ。をプロデュース」特別編
信長協奏曲
信長のシェフ[2]
- 過去の連ドラの感想記事一覧(は行)
バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~
バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~
バイプレーヤーズ~名脇役の森の100日間~
バカボンのパパよりバカなパパ
白衣の戦士!
ハゲタカ(テレ朝)
ばけばけ
ハケン占い師アタル
ハケンの品格[2020]
ハコヅメ~たたかう!交番女子~
はじめまして、愛しています。
初めて恋をした日に読む話
八月は夜のバッティングセンターで。
初恋、ざらり
花子とアン
花咲舞が黙ってない
花咲舞が黙ってない[2024]
花のち晴れ~花男 Next Season~
母になる
ハヤブサ消防団
ばらかもん
ハラスメントゲーム
ハルカの光
ハル ~総合商社の女~
ハロー張りネズミ
半沢直樹[2020]
半分、青い。
パーフェクトワールド
BG~身辺警護人~
BG~身辺警護人~(第2章)
「PJ ~航空救難団~』
ヒガンバナ~警視庁捜査七課~
ひきこもり先生
悲熊
美食探偵 明智五郎
人は見た目が100パーセント
火の粉
100万回 言えばよかった
病室で念仏を唱えないでください
病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~
ひよっこ
ひよっこ2
ビリオン×スクール
Believe -君にかける橋-
昼のセント酒
HERO[2014]
ファーストクラス[2]
ファーストペンギン!
ファイトソング
FINAL CUT
ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん
フェルマーの料理
VRおじさんの初恋
不機嫌な果実
ブギウギ
不適切にもほどがある!
不便な便利屋
ブラックペアン
ブラックペアン シーズン2
フラジャイル
フランケンシュタインの恋
ブラックリベンジ
フリンジマン
フルーツ宅配便
ブルーモーメント
プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮
べしゃり暮らし
ヘッドハンター
べっぴんさん
ペテロの葬列
Heaven?~ご苦楽レストラン~
保育探偵25時
ボイス 110緊急指令室
ボーダーライン
HOPE~期待ゼロの新入社員~
ボク、運命の人です。
僕たちがやりました
ホクサイと飯さえあれば
僕とシッポと神楽坂
僕の初恋をキミに捧ぐ
僕のヤバイ妻
僕はどこから
僕らは奇跡でできている
僕達はまだその星の校則を知らない
星新一の不思議な不思議な短編ドラマ
星降る夜に
ホテルコンシェルジュ
ホリデイラブ
- 過去の連ドラの感想記事一覧(ま行)
舞いあがれ!
マイファミリー
マウンテンドクター
マザー・ゲーム
マジで航海してます。
まだ結婚できない男
マッサージ探偵ジョー
マッサン
まっしろ
真夏の少年~19452020
真夏のシンデレラ
真昼の悪魔
ママとパパが生きる理由。
ママはバーテンダー~今宵も踊ろう~
○○妻
まれ
まんぷく
未解決の女 警視庁文書捜査官[1]
未解決の女 警視庁文書捜査官[2]
みかづき
ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~
Missデビル人事の悪魔・椿眞子
ミステリと言う勿れ
南くんの恋人
御上先生
MIU404
未満警察 ミッドナイトランナー
未来への10カウント
民衆の敵
無痛~診える眼~
メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断
モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう
MOZU Season2 ~幻の翼~
元彼の遺言状
モトカレマニア
もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~
問題のあるレストラン
問題物件
モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-
- 過去の連ドラの感想記事一覧(や~わ)
やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる
やさしい猫
ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~
屋根裏の恋人
山田孝之の東京都北区赤羽
ヤメゴク
ユーミンストーリーズ2024
ゆとりですがなにか
ユニコーンに乗って
ユニバーサル広告社
妖怪シェアハウス
ようこそ、わが家へ
4号警備
40万キロかなたの恋
4分間のマリーゴールド
[ら]
ライオンの隠れ家
ラヴソング
ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~
ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~
THE LAST COP/ラストコップ
ラストチャンス 再生請負人
ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~
ラストマン-全盲の捜査官-
らんまん
リーガル・ハート ~いのちの再建弁護士~
リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~
リエゾン-こどものこころ診療所-
陸王
リコカツ
リスクの神様
リバース
リバーサルオーケストラ
リピート ~運命を変える10か月~
リブート
#リモラブ ~普通の恋は邪道~
竜の道 二つの顔の復讐者
路(ルウ)~台湾エクスプレス~
ルパンの娘[1]
ルパンの娘[2]
流星ワゴン
臨床心理学者 火村英生の推理
レッドアイズ 監視捜査班
恋愛時代
レンアイ漫画家
レンタル救世主
レンタルなんもしない人
レンタルの恋
六畳間のピアノマン
6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱
[わ]
ワイルド・ヒーローズ
若者たち2014
私 結婚できないんじゃなくて、しないんです
私たちはどうかしている
ワタシってサバサバしてるから
わたし、定時で帰ります。
わたしを離さないで
私のおじさん~WATAOJI~
私の家政夫ナギサさん
罠の戦争
わにとかげぎす
わろてんか
皆様のおかげで、2026年1月16日に3,900万アクセス達成をいたしました。(御礼の記事)


